説明

点滅灯内において一体にまとめられた、光学的な、側方の周辺センサーを有する自動車

【課題】 本発明は、車両の側方の周辺内における対象物を検出するための、少なくとも1つのセンサーを有する自動車であって、その際、
このセンサーが、電磁的な放射線を発信するための少なくとも1つの発信部、並びに、対象物に反射された電磁的な放射線を受信するための1つの受信部を有している様式の上記自動車に関する。
【解決手段】 本発明により、発信部15および受信部20は、側方点滅灯10内において設けられており、この側方点滅灯が、自動車の側壁に装着されており、その際、この発信部15および受信部20が、この側方点滅灯10のカバー50によって覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側方の周辺内における対象物を検出するための、少なくとも1つのセンサーを有する自動車であって、その際、
このセンサーが、電磁波、または音響波を発信するための少なくとも1つの発信部、並びに、対象物に反射された電磁波、または音響波を受信するための1つの受信部を有している様式の上記自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転者の支援のため、および、安全保護手段の制御のために、それら周辺センサー(Umfeldsensoren)でもって、特に、例えば他の車両のような対象物、もしくは障害物との間隔が量定され得る、該周辺センサーを使用することは公知である。これらセンサーは、その際、通常、レーダセンサー、赤外線センサー、または超音波センサーとして構成されており、これらセンサーが、電磁波、または音響波を発信する1つの発信部を装備しており、これら波が、この車両の周辺内における対象物によって反射される。これら波の反射された成分は、受信部によって検出され、その際、これら反射された波の経過時間から、これら対象物からの間隔が量定され得る。
【0003】
特に、その際、車両の側方に設けられており、且つこの車両の側方領域内において存在する対象物を検出する、周辺センサーを使用することは公知である。この様式のセンサーは、この車両に対する対象物の側方の衝突を早期に認識するため、および、例えばサイドエアバッグのような安全保護手段を作動状態にするために使用される。更に、側方に設けられたセンサーは、側方にこの車両から設けられた駐車余地を検出するシステムにおいても使用される。
【0004】
この様式のセンサーは、通常、しかしながら、明確に目視可能であり、且つ、このことによって、車両の外側の外観に不利な影響を与える。
このような様式の装置に関して、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、車両の側方領域内における、対象物を検出するためのセンサーを、可能な限り目立たない状態で、この車両の側方に配設することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従い、この課題は請求項1の特徴を有する自動車によって解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、冒頭に記載した様式の自動車は、発信部および受信部が、側方点滅灯内において設けられており、この側方点滅灯が、自動車の側壁に装着されており、その際、この発信部および受信部が、この側方点滅灯のカバーによって覆われているように構成されている。
【0008】
この方法で、センサーの発信部および受信部は、目立たない状態で、車両の側方点滅灯内へと一体にまとめられ、この車両の外観にどんな種類の不利な影響も誘起しない。
【0009】
センサーの問題の無い機能を保証するために、このセンサーから受信部内への直接的な波(放射線)の照射を防止することは必要である。
【0010】
本発明の有利な実施形態において、従って、発信部は、側方点滅灯のレフレクターの領域内において、および、受信部が、このレフレクター領域の外側に設けられており、その際、このレフレクターの壁が、この発信部と受信部との間の分離要素を形成している。
【0011】
更に別の、本発明の同様に有利な実施形態において、選択的に、受信部は、側方点滅灯のレフレクターの領域内において、および、発信部が、このレフレクター領域の外側に設けられており、その際、このレフレクターの壁が、この発信部と受信部との間の分離要素を形成している。
【0012】
レフレクターの領域内における、発信部または受信部の配設によって、点滅灯の発光手段のために、ただ限定された構造空間だけが使用に供せられる。
【0013】
上記にも拘らず、点滅灯の十分な輝度を達成可能とするために、本発明の有利な実施形態において、レフレクターの領域内において、有利には、少なくとも1つの発光ダイオードが、方向標識の表示のために設けられている。
【0014】
発光ダイオードの僅かな組込みサイズに基づいて、本発明のこの実施形態において、発信部または受信部、並びに発光手段の配設は、点滅灯が従来の寸法を超過すること無しに、レフレクターの領域内において可能である。従って、従来の点滅灯のための組付け開口部は、本発明の領域内において設けられる点滅灯の組付けのために使用され得る。
【0015】
レフレクター面の特に良好な照明を得るために、有利には、発信部または受信部は、レフレクターの中央に設けられており、少なくとも2つの発光ダイオードによって取り囲まれている。
【0016】
車両の側方の点滅灯、および特にこのような点滅灯のレフレクターは、通常、縦長の形状を有している。このレフレクターの良好な照明は、その際、有利には、特に、それぞれ1つの発光ダイオードが、中央に設けられている発信部、または中央に設けられている受信部の側方に取り付けられていることによって達成される。
【0017】
センサーの評価電子機器は、本発明の有利な実施形態において、点滅灯のケーシング内において格納されている。
【0018】
本発明の有利な実施形態において、センサーは、赤外線センサーとして構成されている。この実施形態において、センサーは、有利には、赤外線のスペクトル領域において放射するレーザーダイオードである。受信部は、有利には、受信ダイオードである。
【0019】
本発明の更なる利点、特徴、および合目的な更なる構成は、以下で図1に基づいて説明される実施例から与えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
それら点滅灯の方向標識は、特に、前方を走行する、または後方を走行する車両から目視可能である、前部領域、および後部領域内において設けられた、該点滅灯と同時に、車両は、通常は、同様に側方点滅灯を装備し、これら側方点滅灯が、側方で、この車両に沿って設けられており、且つ、これら側方点滅灯の方向標識が、例えば、この車両と並んで存在する更に別の車両から認知可能である。これら側方点滅灯は、その場合に典型的に、この車両の側方で前方のフェンダーの領域内において装着されており、且つ、例えば、縦長の形状において、丸くされた前面を有して形成されており、その際、これら側方点滅灯が、水平方向の状態において組み込まれている。
【0021】
本発明の領域内において、ここで、間隔センサーを車両の側方点滅灯内に一体にまとめることが提案される。一体にまとめられた間隔センサーを有する側方点滅灯の有利な実施形態は、その際、図1内において図示されており、且つ、全体として、参照符号10でもって指示されている。
【0022】
センサー自体は、その際、当業者に公知の様式において構成されている。このセンサーは、発信部15を装備し、この発信部が、電磁波、または音響波を、所定の監視空間内へと発信する。この監視空間内において、対象物に反射された波は、受信部20によって検出され、従って、この監視空間内における対象物の存在が認識され得る。この反射された信号の所要時間から、この車両からのこの対象物の間隔が算出される。
【0023】
本発明の有利な実施形態において、センサーは、赤外線センサーとして構成されている。
発信部15として、その際、レーザーダイオードが使用される。受信部20は、受信ダイオードである。
【0024】
従来の側方点滅灯のように、本発明による側方点滅灯10は、内方へと、即ち、点滅灯ケーシング30の方向へとアーチ形にされた、光を反射する表面を有する、レフレクター25を装備している。このレフレクター25は、その際に、有利には、丸くされた前面を有する、縦長の矩形の形状における基礎面を有している。
【0025】
受信部20は、図1内において図示されている側方点滅灯10の実施形態の場合、レフレクター25の中央に設けられている。この側方点滅灯10の発光源として、発光ダイオード35が設けられており、これら発光ダイオードは、これら発光ダイオードの僅かな組込みサイズに基づいて、この受信部20と共に、このレフレクター25の領域内において配設され得る。
【0026】
発光ダイオードは、その際、方向標識の表示の役目を果たし、且つ、点灯された状態において、オレンジ色でもって発光する。
【0027】
図示された縦長のレフレクター25の良好な照明を可能とするために、その際、それぞれ1つの発光ダイオード35が、このレフレクター25の長手方向内において、受信部20の手前および背後に設けられており、且つ、このレフレクター25の横方向において、有利にはこのレフレクター25の中央に、位置決めされている。これら発光ダイオード35のこの配設によって、両方の、受信部によって分離された、このレフレクター25の長手方向の延在の領域は、それぞれに、1つの発光ダイオード35によって照明される。特に、この受信部20は、その際、ソケット内へと、このレフレクター25の中央に一体にまとめられており、且つ、これら発光ダイオード35が、このソケットの側方に取付けられている。
【0028】
本発明の領域内において、しかしながら、もちろん、縦長に形成されているのではなく、むしろ他の形状を有している側方点滅灯10、もしくはレフレクター25も使用され得、従って、受信部20および発光ダイオード35の他の配設は合目的である。基本的に、その際、受信部20、および、一つまたは多数の発光ダイオードの適宜の配設は可能である。
【0029】
従って、円形または正方形の基本形状を有する、側方点滅灯10、もしくはレフレクター25の場合、例えば、多数の発光ダイオード35が、円形の周囲に設けられ、この円形の中央に、受信部20が位置決めされている。
【0030】
発信部15は、図1内において図示された本発明による側方点滅灯10の実施形態の場合、レフレクター25の外側に設けられており、且つ従って、光学的に受信部20から分離されている。光学的な分離は、その際、受信部20内へのこの発信部15の直接的な放射が、防止されることを意味する。
【0031】
図1内において図示された側方点滅灯10の場合、その支持要素内にレフレクター25が組み込まれ、もしくは埋め込まれている該支持要素40が、レフレクター25に隣接して窪み部を有しており、この窪み部内へと、発信部15が組み込まれており、その際、この窪み部が、側方点滅灯10の図示された縦長の実施形態の場合、有利には、この側方点滅灯10の前面に設けられている。
【0032】
発信部15と受信部20との間に、上記に伴って、分離要素45が形成されており、この分離要素は、発信部側で、レフレクター25の方を向いた、窪み部の壁部、および、受信部側で、このレフレクター25の壁部から成り、且つ、この発信部15と受信部20との間の分離を保障している。
【0033】
外側から、側方点滅灯10は、カバー50によって覆われており、このカバーが、支持要素40の上に差し込まれ、且つ、この支持要素40の前面側を、即ち、特に、発信部15を収容する窪み部、並びにレフレクター25を覆っている。このカバー50は、その際、例えば、光透過性の合成物質、またはガラスから製造されていることは可能である。
【0034】
発信部15、受信部20、並びに発光ダイオード35の電気的な接続部は、支持要素40、もしくはレフレクター25の背面側に設けられており、且つ、これら構造部材を、信号的に、基板55の上に格納されている評価電子機器、および制御電子機器と結合することを可能にし、この基板の上に同様に側方点滅灯10の電子機器も配設されており、この電子機器が、特に発光ダイオード35を制御している。この発信部15の電子機器は、同様に、基板55の上に、または更に別の構造部材60内において格納されていることは可能であり、この構造部材が、同様に、この支持要素40の後方の領域内において設けられている。
【0035】
基板を収容するために、側方点滅灯10は、点滅灯ケーシング30を装備しており、この点滅灯ケーシングの上に、支持要素40が差し込まれている。
【0036】
発信部および受信部のそれぞれの様式および機能に応じて、本発明による間隔センサーは、種々の使用目的のために使用され得る。従って、このセンサーは、例えば、車両のいわゆる「死角」の監視のために使用され、その際、車線変更の際に、対象物がこの死角内において検出された場合に、例えば点滅灯の点灯に基づいて運転者によって確認される警報信号が作動され得る。
【0037】
更に、センサーは、乗員保護システムのいわゆる予衝突センサーとして構成されていることは可能であり、このセンサーは、車両の側方の周辺領域を、対象物が衝突の進路(Kollisionskurs)の上で、車両に対して存在するかどうかの観点から監視する。この様式の対象物が認識された場合、車両乗員を衝突の際に保護するために、例えば可逆的なシートベルトテンショナーまたはシート位置調節機構のような、安全保護手段が制御される。更に、既に同様に、対象物のこの予衝突センサーを用いて確認可能な側方の、車両に対する衝突の以前に、例えばサイドエアバッグのような、更に別の安全保護手段が作動され得る。
【0038】
更に、この様式のセンサーは、有利には、駐車支援の際にも、駐車余地を識別および測定することのために使用される。その際、例えば、この駐車余地に沿って傍らを通り過ぎる際に、対象物に対する側方の間隔は、このセンサーを用いて算出される。この駐車余地(Parkluecke)は、その際、その領域内においてこの車両と側方の対象物との間の間隔が更に別の領域内におけるよりも大きい、該領域として識別され、その際これら更に別の領域内においては、例えばこの駐車余地を限定している他の車両のような、これら対象物が配設されている。この車両の車輪回転数センサーの信号に基づいて、その際、比較的に大きな間隔を有するこの領域を通過する間じゅう、この車両から側方に存在する対象物への経過した道程区間、および従ってこの駐車余地の長さが算出される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】一体にまとめられた間隔センサーを有する、車両用の側方点滅灯の概略的な図である。
【符号の説明】
【0040】
10 一体にまとめられた間隔センサーを有する側方点滅灯
15 発信部
20 受信部
25 レフレクター
30 点滅灯ケーシング
35 発光ダイオード
40 支持要素
45 分離要素
50 カバー
55 基板
60 発信部電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側方の周辺内における対象物を検出するための、少なくとも1つのセンサーを有する自動車であって、その際、
このセンサーが、電磁的な放射線を発信するための少なくとも1つの発信部、並びに、対象物に反射された電磁的な放射線を受信するための1つの受信部を有している様式の上記自動車において、
発信部(15)および受信部(20)が、側方点滅灯(10)内において設けられており、この側方点滅灯が、自動車の側壁に装着されており、その際、
この発信部(15)および受信部(20)が、この側方点滅灯(10)のカバー(50)によって覆われていることを特徴とする自動車。
【請求項2】
発信部(15)は、側方点滅灯(10)のレフレクター(25)の領域内において、および、受信部(20)が、このレフレクター領域の外側に設けられており、その際、
このレフレクター(25)の壁が、この発信部(15)と受信部(20)との間の分離要素(45)を形成していることを特徴とする請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
受信部(20)は、側方点滅灯(10)のレフレクター(25)の領域内において、および、発信部(15)が、このレフレクター領域の外側に設けられており、その際、
このレフレクター(25)の壁が、この発信部(15)と受信部(20)との間の分離要素(45)を形成していることを特徴とする請求項1に記載の自動車。
【請求項4】
レフレクター(25)の領域内において、少なくとも1つの発光ダイオード(35)が、方向標識の表示のために設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の自動車。
【請求項5】
発信部(15)または受信部(20)は、レフレクター(25)の中央に設けられており、少なくとも2つの発光ダイオード(35)によって取り囲まれていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の自動車。
【請求項6】
レフレクター(25)は、縦長の形状を有していること、および、
それぞれ1つの発光ダイオード(35)が、このレフレクター(25)の長手方向内において、中央に設けられた発信部(15)または受信部(20)の、手前および背後に設けられていること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の自動車。
【請求項7】
センサーの評価電子機器、および制御電子機器は、側方点滅灯(10)のケーシング(30)内において設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の自動車。
【請求項8】
発信部(15)は、赤外線のスペクトル領域において放射するレーザーダイオードであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の自動車。
【請求項9】
受信部(20)は、受信ダイオードであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の自動車。

【図1】
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【公表番号】特表2008−514908(P2008−514908A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532905(P2007−532905)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054825
【国際公開番号】WO2006/035020
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(399023800)コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト (162)
【Fターム(参考)】