説明

点灯装置

【課題】光源を消灯に近付ける制御を行った場合であっても、コンバータを安定に作動させることが可能な点灯装置を提供する。
【解決手段】外部から供給される交流電圧を整流する整流器14と、トランス40を用いた電圧変換によって外部のLEDに供給すべき直流電圧を生成する点灯回路4との間に介装されたリアクトル21を用いる昇圧回路2によって力率を改善する。そして、外部のLEDに供給される電流に応じた信号を点灯回路4の一次側の制御IC46にフィードバックする二次側の比較回路6及びフォトカプラ47に供給する電源電圧を、リアクトル21に巻回された第2の補助巻線27に誘起する交流電圧から生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源から供給される交流電圧を整流した直流電圧を、変圧器を有するコンバータで電圧変換して外部の光源に供給する点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蛍光灯、発光ダイオード(LED)等の光源を所望の明るさに調整する調光機能を有する照明機器が、住宅用の用途のみならず、工場や事業所用、道路用、産業用等の用途に広く使用されている。このような照明機器で光源を点灯させる点灯装置では、商用の交流電圧を整流器で整流した直流電圧を、半導体素子でスイッチングして高周波電力に変換した後に整流及び平滑して直流電源を得るコンバータ(スイッチング電源)が用いられている。
【0003】
コンバータでの調光制御は、PWM制御方式が採用されることが多い。また、点灯装置の入力側と出力側を電気的に絶縁するような場合には、フライバック方式のようにトランスフォーマ(変圧器、以下トランスという)を有するコンバータが用いられる。更に、コンバータにおける半導体素子に印加される電圧がゼロとなるタイミングで半導体素子をオンさせてスイッチングするソフトスイッチングを行うために、擬似共振制御が行われる場合もある。
【0004】
例えば、特許文献1では、商用交流電源から供給された交流電圧を直流電源回路で直流電圧に変換し、変換した直流電圧を直流点灯回路で昇圧して、複数個直列に接続されたLEDを点灯させるLED点灯装置が開示されている。上記直流点灯回路では、電界効果トランジスタがコンバータトランスの一次巻線をPWM周期でオン/オフすることにより、昇圧されてLEDに印加される電圧の分圧電圧と、PWM調光信号のデューティ比に応じて低下する電圧とが等しくなるようにフィードバック制御される。これにより、PWM調光信号のデューティ比の大/小に応じて、LEDに印加される電圧が低/高に変化するようにPWM制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−310963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された直流点灯回路では、PWM制御を行う制御回路の電源電圧が、コンバータトランスの三次巻線に誘起する電圧から生成されているため、LEDを消灯に近付けた場合、三次巻線から生成される制御回路の電源電圧が低下してコンバータの動作が不安定になる問題があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光源を消灯に近付ける制御を行った場合であっても、コンバータを安定に作動させることが可能な点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る点灯装置は、交流電源から供給される交流電圧を整流器で整流した直流電圧を、変圧器及び制御回路を有するコンバータでフィードバック制御して電圧変換し、電圧変換した直流電圧を外部の光源に供給する点灯装置において、リアクトルが前記整流器及びコンバータ間に介装されており、前記交流電源の力率を改善する力率改善回路を備え、前記制御回路は、前記変圧器の一次側のスイッチングを制御する一次側回路、及び前記光源に供給される電圧又は電流に応じた信号を前記一次側回路にフィードバックする二次側回路を含み、前記リアクトルに巻回された巻線に誘起する交流電圧から、前記二次側回路に供給する電源電圧を生成する電源回路を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、交流電源から供給される交流電圧を整流する整流器と、変圧器を用いた電圧変換によって外部の光源に供給すべき直流電圧を生成するコンバータとの間に介装されたリアクトルを用いる力率改善回路によって力率を改善する。そして、光源に供給される電圧又は電流に応じた信号をコンバータの一次側回路にフィードバックする二次側回路に供給する電源電圧を、リアクトルに巻回された巻線に誘起する交流電圧から生成する。
これにより、力率改善回路が定常的に直流電圧を生成する間にリアクトルに蓄積されるエネルギーの一部が、変圧器を用いるコンバータの二次側回路の電源電圧に変換される。
【0010】
本発明に係る点灯装置は、前記巻線は、タップを有し、前記電源回路は、前記タップを用いた全波整流によって前記電源電圧を生成するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、力率変換回路のリアクトルに巻回された巻線に誘起する電圧を、タップを用いて全波整流した電圧から、コンバータの二次側回路に供給する電源電圧を生成する。
これにより、外部から供給される交流電圧の大きさの大/小に応じて、前記巻線の一端の電圧を整流した電圧が大/小に,他端の電圧を整流した電圧が小/大に変化することから、交流電圧が変動した場合であっても、生成された電源電圧の変動幅が小さく抑えられる。
【0012】
本発明に係る点灯装置は、前記コンバータは絶縁型であり、前記制御回路は、フォトカプラを有しており、該フォトカプラによって前記一次側回路及び二次側回路間が絶縁されていることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、コンバータが変圧器によって一次側と二次側とに分離されており、変圧器の一次側のスイッチングを制御する一次側回路と、光源に供給される電圧又は電流に応じた信号を一次側回路にフィードバックする二次側回路とがフォトカプラで分離されている。
これにより、コンバータの二次側と接地電位を共有する外部の照明に対して、一次側回路の高電圧が印加されたり、漏電したりする虞がなくなる。
【0014】
本発明に係る点灯装置は、前記二次側回路は、前記光源に供給される電流に応じた信号をフィードバックすることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、光源に供給される電流に応じた信号が二次側回路から一次側回路にフィードバックされて、コンバータのスイッチングが制御される。
これにより、駆動電流の大きさに応じて明るさが変化する光源に適するように、点灯回路の制御が行われる。
【0016】
本発明に係る点灯装置は、前記光源は、LEDであることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、外部の光源がLEDを含んでなる場合に適用される構成をとるため、駆動電流の制御がLEDに最適化されたものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リアクトルを用いて力率を改善する力率改善回路が定常的に直流電圧を生成する間にリアクトルに蓄積されるエネルギーの一部が、変圧器を用いて電圧変換するコンバータの二次側回路の電源電圧に変換されるため、コンバータの負荷変動による二次側回路の電源電圧の変動が防止される。
従って、光源を消灯に近付ける制御を行った場合であっても、コンバータを安定に作動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る点灯装置の接続構成を略示する回路図である。
【図2】LEDからなる光源に印加される電圧の変化を例示する説明図である。
【図3】第2の補助巻線のセンタータップ(β)に対する他端(γ)の巻線電圧を模式的に示す説明図である。
【図4】第2の補助巻線のセンタータップ(β)に対する一端(α)の巻線電圧を模式的に示す説明図である。
【図5】外部から供給される交流電圧に対する電源部の入力電圧を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る点灯装置の接続構成を略示する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る点灯装置の接続構成を略示する回路図である。図中100は点灯装置であり、点灯装置100は、電源入力端子11,12からフィルタ13を介して供給される交流電圧を全波整流する整流器14と、該整流器14が整流した直流電圧を昇圧する昇圧回路2とを備える。以下では、単なるノイズ除去、回路の保護、タイミング調整、増幅率の調整等の目的で用いられる抵抗器及びコンデンサについての説明を省略する。
【0021】
点灯装置100は、また、昇圧回路2が昇圧した直流電圧を電圧変換して、駆動出力端子15,16の外部に接続されたLED等の光源を点灯させる点灯回路4と、該点灯回路4による光源の駆動電流を検出する抵抗器17と、信号入力端子18,19から入力される調光信号に応じた直流電圧を生成する電圧生成回路5とを備える。前記駆動電流に応じて抵抗器17に発生した電圧は、比較回路6にて、電圧生成回路5が生成した直流電圧及び基準電圧と各別に比較され、比較結果に基づいて点灯回路4が光源の駆動電流を増減させるようになっている。
【0022】
昇圧回路2は、点灯装置100に入力される交流電力の力率を改善しつつ、整流された電圧を昇圧するPFC(Power Factor Controller )回路からなる。昇圧回路2は、整流器14が整流した直流電圧(脈流)が一端に印加されるリアクトル21と、ドレインに接続されたリアクトル21の他端を反復的にスイッチングして交流電圧を誘起させるNチャネル型のMOSFET(以下、FETという)22とを有する。FET22のソースには、FET22のオン電流を検出するための抵抗器23が直列に接続されている。上述のスイッチングによってFET22のオフ期間にリアクトル21の他端に誘起した交流電圧は、ダイオード24で半波整流され、整流された直流電圧がコンデンサ25で平滑されて点灯回路4に供給される。
【0023】
昇圧回路2は、また、リアクトル21に巻回された補助巻線26を有する。該補助巻線26に誘起する交流電圧がダイオード28,29で整流され、整流された直流電圧(脈流)が抵抗器30,31及びコンデンサ32で平滑されて、PFCの制御IC33に電源電圧として供給される。補助巻線26のセンタータップが、第1の接地電位を供給する。上述の整流器14、抵抗器23及びコンデンサ25夫々の一端は、第1の接地電位に接続されている。尚、図中の●印は、各巻線の巻き始めを示すものである(以下同様)。
【0024】
制御IC33は、FET22をオン/オフさせる制御信号をFET22のゲートに与えることにより、ここでのPFC回路をいわゆる臨界電流モードで動作させるが、電流連続モード等で動作させてもよい。制御IC33がFET22をオンさせるタイミングは、リアクトル21の電流がゼロになるタイミングであり、このタイミングを検出するための電圧が、補助巻線26の一端から抵抗器34を介して制御IC33に与えられる。FET22がオンしている期間中のオン電流は、リアクトル21の一端に印加される直流電圧(脈流)の瞬時値に応じて直線的に増加する。
【0025】
制御IC33には、第1の接地電位に対する昇圧回路2の出力電圧を抵抗器35,36で分圧した電圧が帰還されており、この電圧が制御IC33内部の誤差アンプ(図示せず)で基準電圧と比較されて誤差電圧が生成される。制御IC33には、また、整流器14が整流した直流電圧(脈流)を抵抗器37,38で分圧した電圧が与えられており、この電圧と前記誤差電圧とが、制御IC33内部の乗算器(図示せず)で乗算されることにより、電源入力端子11,12から供給される交流電圧と、上記誤差電圧とに比例した正弦波状の電圧が生成される。
【0026】
制御IC33には、更に、FET22のオン電流に応じて抵抗器23の両端に発生する電圧が帰還されており、帰還された電圧が、制御IC33内部の電流コンパレータ(図示せず)にて上記正弦波状の電圧と比較されてFET22のオフタイミングが決定される結果、FET22のオン電流の波形(三角波)の包絡線が、正弦波状となる。つまり、外部から供給される交流電圧に対して、点灯装置100に流入する電流波形の包絡線が正弦波状となり、力率が改善される。
【0027】
次に、点灯回路4は、昇圧回路2から供給される直流電圧が一次巻線401の一端に印加されるトランス(変圧器)40と、ドレインが接続された一次巻線401の他端を反復的にスイッチングするNチャネル型のFET41と、該FET41のドレイン及びソース間に接続されたコンデンサ42とを有する。FET41のソース及び第1の接地電位間には、FET41のオン電流を検出するための抵抗器43が直列に接続されている。
【0028】
点灯回路4は、一次巻線401のインダクタンス及びコンデンサ42のキャパシタンスによる共振を利用するRCC(Ringing Choke Converter )方式のコンバータからなる。上述のスイッチングによってトランス40の二次巻線402に誘起した交流電圧は、ダイオード44で半波整流され、整流された直流電圧がコンデンサ45で平滑されて、駆動出力端子15,16の外部に接続された光源に抵抗器17を介して供給される。二次巻線の一端及びコンデンサ45の接続点が、第2の接地電位を供給する。
【0029】
点灯回路4は、また、FET41をオン/オフさせる制御信号をFET41のゲートに与える制御IC46を有する。制御IC46の電源電圧は、制御IC33と同様に、コンデンサ32から供給される。コンデンサ32と整流器14の他端とを接続する抵抗器39は、点灯装置の起動時に制御IC33,46に直流電圧を与えて、昇圧回路2及び点灯回路4を起動させるためのものである。
制御IC46には、上述の比較回路6の出力電圧に応じて発光するLED471を含むフォトカプラ47に含まれれるフォトトランジスタ472のコレクタが接続されている。フォトトランジスタ472のエミッタは、第1の接地電位に接続されている。制御IC46には、また、FET41のオン電流に応じて抵抗器43の両端に発生する電圧が帰還されている。このように、トランス40の一次側及び二次側は、フォトカプラ47によって絶縁されている。
【0030】
制御IC46がゲートに与える制御信号によってFET41がオンした場合、直線的に増加するオン電流に応じた帰還電圧が、制御IC46内部の電流コンパレータ(図示せず)にて、フォトトランジスタ472を介して帰還される電圧と比較される。その後、オン電流に応じた帰還電圧が、フォトトランジスタ472を介して帰還される電圧を上回った場合、上記制御信号がオフされる。つまり、フォトカプラ47のフォトトランジスタ472に流れる光電流が増加してコレクタ電圧が低下した場合、FET41のオン期間が短縮される結果、点灯回路4の出力電圧が低下するように制御される。
【0031】
制御IC46には、更に、トランス40が有する補助巻線403の電圧が、抵抗器48を介して与えられている。補助巻線403の一端は、第1の接地電位に接続されている。上記制御信号がオフされてFET41がオフした場合、二次巻線402に誘起した電圧によってダイオード44に順方向の電流が導通する。その後、ダイオード44を導通する電流がゼロになった時から、FET41のドレイン電圧は、一次巻線401及びコンデンサ42で形成される共振回路の共振電圧に従って低下し、これに応じて補助巻線403の電圧も低下する。そして、FET41のドレイン電圧が最も低下した時点で、FET41のゲートに与える制御信号が再びオンされる。
【0032】
次に、電圧生成回路5は、逆並列に接続されたLED521,521及びフォトトランジスタ522を含むフォトカプラ52と、フォトトランジスタ522のコレクタに一端が接続された抵抗器53とを有する。LED521,521は、抵抗器51を介して信号入力端子18,19に接続されている。抵抗器53の他端には、後述する電源部75の電源電圧が印加される。フォトトランジスタ522のエミッタは、第2の接地電位に接続されている。フォトトランジスタ522のコレクタ及びエミッタ間には、抵抗器54,55の直列回路が接続されており、該抵抗器54,55の接続点には、ダイオード56のアノードが接続されている。抵抗器55の両端には、該抵抗器55の両端に発生する電圧を平滑するためのコンデンサ57が接続されている。
【0033】
信号入力端子18,19に入力される調光信号は、正極性又は負極性のパルス列からなり、該パルス列のデューティの大/小が、調光すべき光源の調光レベル(明るさのレベル)の低/高に対応するようになっている。調光信号が抵抗器51を介してフォトカプラ52のLED521,521に印加された場合、調光信号に含まれるパルス列のデューティの大/小に応じて、フォトトランジスタ522に流れる光電流が増/減する。これにより、抵抗器55の両端に発生する電圧が低/高に変化する。つまり、ダイオード56のカソードには、調光信号に含まれるパルス列のデューティの大/小に応じて、低/高に変化する直流電圧が生成される。
【0034】
次に、比較回路6は、IC化されたオペアンプによる反転増幅器からなるコンパレータ61,62と、該コンパレータ61,62の出力端子にカソードが接続されたダイオード63,64と、電源部75の電源電圧が両端に印加される抵抗器65,66の直列回路とを有する。コンパレータ61,62には、電源部75の電源電圧が印加されている。ダイオード63,64のアノードは、比較回路6の出力電圧を与えるべく、抵抗器76を介してLED471のカソードに接続されている。LED471のアノードには、抵抗器77を介して電源部75の電源電圧が印加されている。
【0035】
コンパレータ61,62の反転入力端子には、第2の接地電位に一端が接続された抵抗器17の他端が接続されている。抵抗器17には、他端から一端に向けて点灯回路4の駆動電流が流れるため、コンパレータ61,62の反転入力端子には、光源の駆動電流の大/小に応じて高/低に変化するように抵抗器17の両端電圧が与えられる。コンパレータ61の非反転入力端子には、ダイオード56のカソードが接続されており、電圧生成回路5が生成した直流電圧が与えられる。コンパレータ62の非反転入力端子には、抵抗器65,66の接続点が接続されており、該接続点がコンパレータ62に基準電位を与える。この基準電圧は、コンパレータ61の非反転入力端子に与えられる直流電圧の上限よりも高くなるようにしてある。
【0036】
コンパレータ61,62は、各反転入力に与えられている抵抗器17の両端電圧が、夫々の非反転入力に与えられている電圧を上回った(又は下回った)場合に、出力端子の電圧がハイからロウ(又はロウからハイ)に反転する。例えば、抵抗器17の両端電圧が、電圧生成回路5が生成した直流電圧を上回った(又は下回った)場合、コンパレータ61の出力端子の電圧がロウ(又はハイ)に反転し、ダイオード63を介してLED471に電流がより多く(又は少なく)流れるようになる。その結果、フォトトランジスタ472の光電流が増大(又は減少)して、フォトトランジスタ472のコレクタの電圧が低下(又は上昇)するため、上述したように点灯回路4の出力電圧が低下(又は上昇)する。つまり、調光信号に含まれるパルス列のデューティに応じて電圧生成回路5が生成した直流電圧の大きさに対応するように、光源の駆動電流が調光される。
【0037】
一方、抵抗器17の両端電圧が、抵抗器65,66の接続点から与えられる基準電圧を更に上回った場合、コンパレータ62の出力端子の電圧がハイからロウに反転し、ダイオード64を介してLED471に電流がそれまでより多く流れるようになる。その結果、フォトトランジスタ472の光電流が増大して、フォトトランジスタ472のコレクタの電圧が低下するため、点灯回路4の出力電圧が低下する。このようにして、光源に流れる駆動電流が、基準電圧に対応する所定の上限電流より小さくなるように制御される。
【0038】
尚、本実施の形態1では、外部の光源に流れる駆動電流に応じた信号を、フォトカプラ47を介して制御IC46にフィードバックさせたが、外部の光源に印加される電圧に応じた信号を制御IC46にフィードバックさせるようにしてもよい。
【0039】
次に、電源部75は、入力された電圧を安定化して所定の電源電圧を出力するドロッパ方式の電源からなる。この電源は、ドロッパ方式に限定されず、コンバータを用いてもよい。電源部75に入力されるべき電圧は、例えば、トランス40の第2の補助巻線に誘起する交流電圧を整流して平滑した電圧とすることが考えられる。この場合、第2の補助巻線から生成が可能な電源電圧は、点灯回路4による光源の駆動状態の影響を受ける可能性がある。
【0040】
そこで、光源にLEDを用いた場合について考察する。
図2は、LEDからなる光源に印加される電圧の変化を例示する説明図である。LEDは、24個が直列に接続されている。図2の横軸は調光信号のデューティ比(%)を表し、縦軸は光源の駆動電圧(V)を表す。
【0041】
図2では、調光信号のデューティ比が約95%に増加するまで、光源のLEDに印加される駆動電圧が60V以上に維持されていることが示される。調光信号によって光源のLEDを完全に消灯させるために、調光信号のデューティ比が約95%を上回る値になったときに駆動電圧を0Vとする。この状態では、トランス40に第2の補助巻線を設けたとしても、第2の補助巻線に必要十分な交流電圧が誘起され得ない。そこで、本実施の形態1では、昇圧回路2を利用して、電源部75に入力されるべき電圧を生成する
【0042】
図1に戻って、昇圧回路2は、リアクトル21に巻回された第2の補助巻線27を有する。第2の補助巻線27は、センタータップ(β)を含み、該センタータップ(β)は、第2の接地電位に接続されている。このセンタータップ(β)のタップの位置は、センターに限定されない。第2の補助巻線27の一端(α),他端(γ)は、ダイオード71のアノード(α),ダイオード72のアノード(γ)に接続されており、該ダイオード71,72で整流された直流電圧(脈流)が抵抗器73及びコンデンサ74で平滑されて、電源部75の入力に供給される。
【0043】
以下では、第2の補助巻線27に発生する巻線電圧について説明する。
図3は、第2の補助巻線27のセンタータップ(β)に対する他端(γ)の巻線電圧を模式的に示す説明図である。また、図4は、第2の補助巻線27のセンタータップ(β)に対する一端(α)の巻線電圧を模式的に示す説明図である。図3,4のAは外部から供給される交流電圧が比較的低い場合を示し、Bは同交流電圧が比較的高い場合を示す。図3,4の横軸はωt(rad)(ωは、交流電源の角周波数)を表し、縦軸は巻線電圧を表す。尚、図3,4では、FET22のオン/オフによって変化する巻線電圧の波形が模式的に示されているが、FET22がオン/オフを繰り返す周期は一定ではなく、交流電圧の波高値の瞬時値の高/低によって、短/長に変化する。
【0044】
以下では、昇圧回路2が昇圧した直流電圧をVoとし、交流電源の交流電圧の実効値をVacとする。つまり、図3,4夫々のAとBとでは、AよりBの方でVacの値が大きい。また、リアクトル21の巻数及び第2の補助巻線27の巻数を夫々Np及び2Nsとする。従って、第2の補助巻線27のセンタータップ(β)から一端(α)及び他端(γ)までの巻き数は、何れもNsである。以下に示す電圧は、各巻線の巻き始め(●印が付されている方)を基準とする電圧である。
【0045】
先ず、図3について説明する。FET22がオンの場合、リアクトル21には、整流器14から供給される式(1)で示される瞬時電圧が周期πで印加される。このとき、第2の補助巻線27の他端(γ)に誘起する巻線電圧は、式(2)で示される負の電圧となる。この電圧が、図3A,3Bにて破線で示される下側の包絡線の電圧である。また、式(2)の右辺に式(1)を代入すれば、式(2)で示される包絡線が正弦波状であることが読み取れる。
【0046】
Vp(ON)=√2×Vac×sinωt・・・・・・・・・・(1)
Vs(ON)=−(Ns/Np)×Vp(ON)・・・・・・・(2)
【0047】
その後、FET22がオフとなった場合、リアクトル21には、電圧Voと、式(1)の右辺に示す瞬時電圧との差分に対応すべく、式(3)で示される逆起電力が発生する。このとき、第2の補助巻線27の他端(γ)に誘起される巻線電圧は、式(5)で示される。尚、式(3)は、式(1)を考慮して式(4)のように変形される。また、式(5)は、右辺に式(4)を代入して式(6)のように変形される。式(6)で示される電圧が、図3A,3Bにて破線で示される上側の包絡線の電圧である。
【0048】
Vp(OFF)=Vo−√2×Vac×sinωt・・・・・・(3)
Vp(OFF)=Vo−Vp(ON)・・・・・・・・・・・・(4)
Vs(OFF)=(Ns/Np)×Vp(OFF)・・・・・・(5)
Vs(OFF)=(Ns/Np)×(Vo−Vp(ON))・・(6)
【0049】
図3A,3Bにて破線で示される上側の包絡線と下側の包絡線との差分は、式(5)で示される電圧と、式(3)で示される電圧との差分によって式(7)で示される。式(7)で示される差分は、右辺に式(2),(6)を代入することにより、式(8)に示す一定値に変形されるから、図3A,3Bにて破線で示す包絡線は、何れも正弦波状であることが示される。
【0050】
Vs(p−p)=Vs(OFF)−Vs(ON)・・・・・・・(7)
Vs(p−p)=(Ns/Np)×Vo・・・・・・・・・・・(8)
【0051】
ところで、第2の補助巻線27のセンタータップ(β)に対する一端(α)の巻線電圧は、同センタータップ(β)に対する他端(γ)の巻線電圧の極性を反転した電圧となるから、図4A,4Bに示す巻線電圧の波形は、図3A,Bに示す巻線電圧の波形に対して、横軸を境に上下を反転させたものとなる。従って、図4A,4Bにて破線で示す包絡線もまた、正弦波状となる。
【0052】
次に、第2の補助巻線27の巻線電圧から生成される直流電圧について説明する。
図5は、外部から供給される交流電圧に対する電源部75の入力電圧を模式的に示す説明図である。図3,4に示す巻線電圧のうち、正の電圧がダイオード72,71によって整流され、整流された脈流が抵抗器73及びコンデンサ74で平滑されて電源部75の入力電圧となる。ここで、図3に示す正の電圧(矩形状のパルス)と、図4に示す正の電圧(同パルス)とは、互いにオン/オフの位相が反転したものであるから、原理的には、これらの電圧がダイオード72,71によって交互に重ね合わされて加算される。
【0053】
一方、ダイオード72,71で整流された脈流が抵抗器73及びコンデンサ74で平滑される結果、ダイオード72,71のカソードの電位が、コンデンサ74の充電電圧より低下することはない。従って、図3に示す巻線電圧に基づいて整流及び平滑されてコンデンサ74に充電された電圧よりも、図4に示す巻線電圧の正のピーク電圧(上側の包絡線の電圧がダイオード71によって整流された電圧)の方が低いうちは、図4の巻線電圧がコンデンサ74の充電に寄与することはない。
【0054】
さて、図5の左半分に示すように、外部から供給される交流電圧の大きさが増大するのに伴い、図3に示す巻線電圧に基づいてコンデンサ74に充電される電圧(即ち電源部75の入力電圧)が、交流電圧の大きさに反比例して低下するのに対し、図4に示す巻線電圧の正のピーク電圧は、交流電圧の大きさに比例して増大し、遂にはこれらの電圧が一致する。このときの交流電圧の実効値をVxとする。
【0055】
その後、交流電圧の実効値がVxより大きくなったときから、図4に示す巻線電圧がコンデンサ74の充電に寄与し始めてその寄与度が次第に増大するため、コンデンサ74の電圧は、図5の右半分に示すように、下に凸の曲線を描いて上昇に転じる。
【0056】
ここでのVxの値と、図5に示す曲線の形状とは、様々な条件によって変化する。例えば、第2の補助巻線27のセンタータップ(β)を、一端(α)側に近いタップに置き換えることにより、ダイオード71によって整流された電圧がコンデンサ74の充電に寄与し始めるときの交流電圧の実効値を、Vxより小さくすることができると共に、図5に示す曲線の下方への湾曲が、交流電圧の変動範囲内において小さくなるようにすることができる。このようにして、電源部75の入力電圧の変動が最小限に抑えられる。
【0057】
以上のように本実施の形態1によれば、外部から供給される交流電圧を整流する整流器と、トランスを用いた電圧変換によって外部のLEDに供給すべき直流電圧を生成する点灯回路との間に介装されたリアクトルを用いる昇圧回路によって力率を改善する。そして、外部のLEDに供給される電流に応じた信号を点灯回路の一次側の制御ICにフィードバックする二次側の比較回路及びフォトカプラに供給する電源電圧を、リアクトルに巻回された第2の補助巻線に誘起する交流電圧から生成する。
これにより、昇圧回路が定常的に直流電圧を生成する間にリアクトルに蓄積されるエネルギーの一部が、点灯回路の二次側回路の電源電圧に変換されるため、点灯回路の負荷変動による二次側回路の電源電圧の変動が防止される。
従って光源を消灯に近付ける制御を行った場合であっても、コンバータを安定に作動させることが可能となる。
【0058】
また、昇圧回路のリアクトルに巻回された第2の補助巻線のセンタータップを第2の接地電位に接続して全波整流した電圧から、点灯回路の二次側回路に供給する電源電圧を生成する。
これにより、外部から供給される交流電圧の大きさの大/小に応じて、第2の補助巻線の一端の電圧を整流した電圧が大/小に,他端の電圧を整流した電圧が小/大に変化することから、交流電圧が変動した場合であっても、生成された電源電圧の変動幅を小さく抑えることが可能となる。
【0059】
更に、昇圧回路がトランスによって一次側と二次側とに分離されており、トランスの一次側のスイッチングを制御する制御IC等の一次側回路と、外部のLEDに供給される電流に応じた信号を一次側の制御ICにフィードバックする比較回路とがフォトカプラで分離されている。
従って、点灯回路の二次側と接地電位を共有する外部の照明に対して、一次側回路の高電圧が印加されたり、漏電したりする虞をなくすことが可能となる。
【0060】
更にまた、外部のLEDに供給される電流に応じた信号が二次側の比較回路から一次側の制御ICにフィードバックされて、点灯回路のスイッチングが制御される。
従って、駆動電流の大きさに応じて明るさが変化するLED等の光源に適するように、点灯回路の制御を行うことが可能となる。
【0061】
更にまた、外部の光源がLEDを含んでなる場合に適用される構成をとるため、駆動電流の制御をLEDに最適化されたものにすることが可能となる。
【0062】
(実施の形態2)
実施の形態1が、点灯回路4の二次側回路に電源電圧を供給する電源部75の入力電圧を、昇圧回路2のリアクトル21に巻回された第2の補助巻線27に誘起する巻線電圧から生成する形態であるのに対し、実施の形態2は、昇圧回路2が昇圧した直流電圧をトランスを用いる降圧回路で降圧して、上記の入力電圧を生成する形態である。点灯装置の印刷配線基板では、リアクトル21及び第2の補助巻線27間の耐圧を確保した上で導体パターンを引き回すことが難しい場合がある。また、外部から供給される交流電圧の上限を、例えば240Vのように比較的高い電圧まで許容する場合、第2の補助巻線27に誘起する交流電圧から生成した電源部75の入力電圧の変動幅が大きくなる。このような問題に対し、第2の補助巻線27を用いずに、他の手段で電源部75の入力電圧を生成することが考えられる。
【0063】
図6は、本発明の実施の形態2に係る点灯装置の接続構成を略示する回路図である。図中101は点灯装置であり、点灯装置101が、整流器14、昇圧回路2、点灯回路4、抵抗器17、電圧生成回路5、及び比較回路6を備えるのは、実施の形態1の点灯装置100と同様である。点灯装置101は、また、昇圧回路2が昇圧した直流電圧を降圧して、電圧生成回路5、比較回路6及びフォトカプラ47に電源電圧を与える降圧回路8を備える。
【0064】
降圧回路8は、昇圧回路2が昇圧した直流電圧が一次巻線の一端に与えられるトランス81と、該トランス81の一次巻線の他端をスイッチングするFETを含む制御IC82とを有する。トランス81の二次巻線は、一端が第2の接地電位に接続されており、他端が整流用のダイオード83を介してコンデンサ84に接続されている。ダイオード83で整流されてコンデンサ84で平滑された電源電圧が、電圧生成回路5、比較回路6及びフォトカプラ47に供給される。
【0065】
ダイオード83で整流された電圧は、また、ツェナーダイオード85及び抵抗器86の直列回路に与えられる。抵抗器86の両端電圧は、フォトカプラ87に含まれるLED871に印加される。これにより、ダイオード83が整流した電圧と、ツェナーダイオード85のツェナー電圧との差分がLED871に印加され、印加電圧に応じてLED871が発光する。LED871が発光した光は、フォトカプラ87に含まれるフォトトランジスタ872で受光され、該フォトトランジスタ872に流れる光電流の大/小に応じて低/高に変化する電圧が制御IC82に帰還される。上述した構成により、降圧回路8では、トランス81の一次側の回路と二次側の回路とが、フォトカプラ87によって絶縁されている。
【0066】
制御IC82は、フォトトランジスタ872から帰還される電圧に応じて、トランス81の一次巻線のスイッチングをPWM制御する。具体的には、帰還される電圧の高/低に応じて、PWM制御のデューティ比が大/小に変化するように制御する。これにより、ダイオード83で整流されてコンデンサ84で平滑された電源電圧が一定の電圧となる。ここで生成された電源電圧は、点灯回路4の負荷の大小による影響を受けることなく一定の電圧となる。
【0067】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0068】
以上にように本実施の形態2によれば、外部から供給される交流電圧を整流する整流器と、トランスを用いた電圧変換によって外部のLEDに供給すべき直流電圧を生成する点灯回路との間に介装されたリアクトルを用いる昇圧回路によって力率を改善する。そして、外部のLEDに供給される電流に応じた信号を点灯回路の一次側の制御ICにフィードバックする二次側の比較回路及びフォトカプラに供給する電源電圧を、昇圧回路が昇圧した直流電圧を降圧する降圧回路が生成する。
これにより、昇圧回路が定常的に生成する直流電圧が降圧されて、点灯回路の二次側回路の電源電圧に変換されるため、点灯回路の負荷変動による二次側回路の電源電圧の変動が防止される。
従って光源を消灯に近付ける制御を行った場合であっても、コンバータを安定に作動させることが可能となる。
【0069】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
100、101 点灯装置
14 整流器
2 昇圧回路(力率改善回路)
21 リアクトル
27 第2の補助巻線(リアクトルに巻回された巻線)
4 点灯回路(コンバータ)
40 トランス(変圧器)
46 制御IC(制御回路の一次側回路の主部)
47 フォトカプラ
5 電圧生成回路
6 比較回路(制御回路の二次側回路の主部)
71,72 ダイオード(電源回路の一部)
73 抵抗器(電源回路の一部)
74 コンデンサ(電源回路の一部)
75 電源部(電源回路の一部)
8 降圧回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給される交流電圧を整流器で整流した直流電圧を、変圧器及び制御回路を有するコンバータでフィードバック制御して電圧変換し、電圧変換した直流電圧を外部の光源に供給する点灯装置において、
リアクトルが前記整流器及びコンバータ間に介装されており、前記交流電源の力率を改善する力率改善回路を備え、
前記制御回路は、前記変圧器の一次側のスイッチングを制御する一次側回路、及び前記光源に供給される電圧又は電流に応じた信号を前記一次側回路にフィードバックする二次側回路を含み、
前記リアクトルに巻回された巻線に誘起する交流電圧から、前記二次側回路に供給する電源電圧を生成する電源回路を備えること
を特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記巻線は、タップを有し、
前記電源回路は、前記タップを用いた全波整流によって前記電源電圧を生成するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記コンバータは絶縁型であり、
前記制御回路は、フォトカプラを有しており、該フォトカプラによって前記一次側回路及び二次側回路間が絶縁されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記二次側回路は、前記光源に供給される電流に応じた信号をフィードバックすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記光源は、LEDであることを特徴とする請求項4に記載の点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−116003(P2013−116003A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262569(P2011−262569)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(590004648)株式会社共進電機製作所 (7)
【Fターム(参考)】