説明

無停電電力供給システム

【課題】停電時に、商用電源が供給されている通常時に商用電力の電気エネルギーによって水の電気分解で得た水素を利用して有効に発電可能な無停電電力供給システムを提供する。
【解決手段】商用電源供給時には、商用電力の電気エネルギーを利用して水を電気分解装置3により電気分解することで水素ガスを水素ガス保存手段9に蓄えておくと共に二次電池15を充電する。停電時には、燃料電池装置8の電力供給が安定化するまで一時的に二次電池15からの無停電による電力供給を行い、その後、水素ガス保存手段9に蓄えた水素ガスと空気中の酸素とから電力エネルギーを発生する。そして、電気分解で得られた酸素を酸素ガス保存手段5に蓄えて酸素ガス供給管システム21にて病院施設内に供給し、また燃料電池装置8の動作中に発生する熱を温水供給システム23の熱源に利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給余剰時間帯に電力会社から供給される電力を他の形態のエネルギーに替えて保存しておき、停電時に保存していたエネルギーを電力エネルギーに変換し利用する技術に関し、特に、病院施設、事務所ビル、工場施設や住宅等の各施設に設置する無停電電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術をしたり人工呼吸器機等の生命維持装置を設置する病院施設においては商用電源の停電時においても施設内の必要箇所に電源供給を継続する無停電電源供給システムが必須である。また、長時間の発酵工程や焼き工程を行う食品工場、若しくは電熱による一定時間加熱処理を行う種々の製造工場においても無停電での電源供給は不可欠である。
【0003】
このような施設内に設置する無停電電源供給装置の多くは、商用電源の停電後直ちにディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関を始動させ、この内燃機関によって発電機を回転させることにより、発電機から施設内に電源供給を再開継続させるものである。多くの大規模な製鉄所は、このような内燃機関による自前の発電設備を備えている。
【0004】
しかし、内燃機関による無停電電源供給装置は、停電時間が長くても長期間の電力供給が継続できる等の長所を有するものの、発電設備の運転音が大きく排気ガスを放出することから設置できる箇所は限られる。このため、無停電電源供給システムが必要な市街地に立地する病院施設等では、無停電電源供給装置は地下室に設置され排気ガスを地下室外の大気中に排出する必要があることから設置コストが大きかった。また、既存施設にあとからこのような内燃機関による無停電電源供給装置を設置することは困難であった。
【0005】
内燃機関による発電機回転方式以外の無停電電源供給装置の一つとして、商用電源の通常供給時に、鉛蓄電池、ニッケルカドニウム蓄電池、リチウムイオン蓄電池等の二次電池に蓄電し、停電時にこれらの二次電池に蓄えられていたエネルギーをインバータ(直流/交流変換装置)によって交流電源に変換して施設内に電力供給する蓄電池無停電供給システムが挙げられる。
【0006】
また、近年、水素ガスをエネルギー源として電力エネルギーを得る燃料電池の技術が確立され、燃料電池のコスト低減が図られてきたことから、長時間連続して稼動可能な燃料電池装置を搭載する携帯用パーソナルコンピュータや、商用電源を本電源とし燃料電池を予備電源とする電源供給システムも知られるようになった。
【0007】
さらに、風力発電等によって得られた電力エネルギーを利用して水を電気分解して水素ガスを得てこれを貯蔵し、貯蔵した水素ガスを燃焼させることによりタービン発電機を作動させて発電する電気エネルギー発生システムも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開公報第WO2006/064719A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、このような二次電池において貯められる電力エネルギーの最大量は、設置する二次電池の容量に限られ、短時間の停電には対応できるものの、例えば5時間以上に及ぶ停電に対応するためには、膨大な量の蓄電池が必要となり、そのような大規模な蓄電池設備を設置することはコスト的に困難であった。
【0010】
原子力発電の安全性が深刻に問われている現今の状況下の日本国において、電力供給不足の事態が生じて商用電源の電力供給不足から停電になる恐れがあるのは、主に夏季(6月下旬から9月)の午後の時間帯であって、夏季以外の時期や、夏の季節であっても午前及び夜間の時間帯は、電力会社からの供給電力量は消費電力量に対して余剰しているのである。すなわち、電力会社は、電源コストの面から電力は貯めることができないものとして、夏のピーク電力消費量に対応した発電電力を備えた発電所を設置していたのである。
【0011】
一方、再生可能な自然エネルギーと言われる風力発電や太陽光発電は、電力消費がピークとなる夏の午後の時間帯時に、無風であったり、曇天や雨の場合は、その発電量が大幅に低下してしまうことから、これらの再生可能自然エネルギーの発電設備は、供給可能電力供給量に加算することができないのである。
【0012】
従って、電力を消費する各施設において、年間の電力供給余剰時に(特に電気料金が安価な深夜電力を利用して)、電力を他の形態のエネルギーに変換して保存しておき、当該保存エネルギーを商用電力の供給不足時に電力エネルギーに再生してしようするようにした二次電池に替わる蓄電または電力以外のエネルギーを蓄える設備を備えた無停電電力供給システムが必要とされている。
【0013】
また、水素ガスをエネルギー源として電力エネルギーを得る燃料電池は、その起動から電圧の定格値までに立ち上げまでに少なくとも数十秒間の時間を要することから、このままではこのような燃料電池を無停電の電源供給手段として利用することはできない。
【0014】
さらに、特許文献1に記載されたような再生可能自然エネルギーから得られた水素ガスを燃焼させることによりガスタービンを回転させることによる発電システムは、再生可能エネルギーを電力不足時に利用する点で極めて優れているものの、ガスタービン発電機の設置コストと騒音及び振動の問題から、設置コストと設置できる立地等の条件が厳しく、設置箇所が大きく限定されてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、従来技術の種々の課題に鑑みてなされたものであって、電力を消費する施設内に設置される無停電電力供給システムであって、商用電源が供給されている通常時に商用電力の電気エネルギーによって水を電気分解することにより水素ガスと酸素ガスを得る水の電気分解装置と、前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを高圧力状態にして各ボンベ内に保存する水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段と、商用電源の停電を検知する停電検知装置と、商用電源の停電検知後に、前記水素ガス保存手段に保存されて水素ガスにより電力エネルギーを発生する燃料電池装置と、商用電源の停電検知後から前記燃料電池装置が電力供給を安定的に開始するまでの間に電力エネルギーを放電供給する二次電池と、商用電源が供給されている通常時に、商用電源を利用して前記二次電池を充電する充電装置と、商用電源の停電検知後に、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを前記施設内に供給する電力供給装置と、を備えたことを特徴とする無停電電力供給システムを提供するものである。
【0016】
そして、前記水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段は、前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを高圧力状態にして各ボンベ内に保存する。また、前記水素ガス保存手段は、水素吸蔵合金または有機ハイドライドを用いても良い。
【0017】
本発明は、また、電力を消費する施設内に設置される無停電電力供給システムであって、商用電量が供給されている通常時に商用電力の電気エネルギーによって水を電気分解することにより水素ガスと酸素ガスを得る水の電気分解装置と、前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを高圧力状態にして各ボンベ内に保存する水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段と、前記水素ガス保存手段に保存されている水素ガスを液化して保存する液化水素保存手段と、商用電源の停電を検知する停電検知装置と、商用電源の停電検知後に、前記液化水素保存手段に保存されている液化水素から水素ガスを得て、当該水素ガスにより電力エネルギーを発生する燃料電池装置と、商用電源の停電検知後から前記燃料電池装置が電力供給を安定的に開始するまでの間に電力エネルギーを放電供給する二次電池と、商用電源が供給されている通常時に、商用電源を利用して前記二次電池を充電する充電装置と、商用電源の停電検知後に、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを前記施設内に供給する電力供給装置と、を備えたことを特徴とする無停電電力供給システムを提供するものである。
【0018】
ここで、前記電力供給装置は、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを交流電力に変換するインバータ手段を備え、当該交流電力を前記施設内の商用電力配線網を介して供給する。
【0019】
また、前記電力供給装置は、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを直流電力のまま、前記施設内に設けられた直流電力供給配線網を介して供給するようにしても良い。
【0020】
本発明は、また、上記の無停電電力供給システムを備え、前記酸素ガス保存手段内に保存されている酸素ガスを施設内の必要箇所に供給する酸素ガス供給管システムと、をさらに備えた無停電電源供給及び酸素供給システムを提供するものである。
【0021】
本発明は、さらに、上記の無停電電力供給システムを備え、前記燃料電池装置において発生する熱を熱源に利用する温水タンクと、前記温水タンクに貯蔵された温水を施設内の必要箇所に供給する温水供給管システムと、をさらに備えた無停電電力供給及び温水供給システムを提供するものである。
【0022】
本発明は、また、非常電源系統を備えた病院施設内に設置される無停電電力供給システムであって、商用電量が供給されている通常時に商用電力の電気エネルギーによって水を電気分解することにより水素ガスと酸素ガスを得る水の電気分解装置と、前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを高圧力状態にして各ボンベ内に保存する水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段と、商用電源の停電を検知する停電検知装置と、商用電源の停電検知後に、前記液化水素保存手段に保存されている液化水素から水素ガスを得て、当該水素ガスにより電力エネルギーを発生する燃料電池装置と、商用電源の停電検知後から前記燃料電池装置が電力供給を安定的に開始するまでの間に電力エネルギーを放電供給する二次電池と、商用電源が供給されている通常時に、商用電源を利用して前記二次電池を充電する充電装置と、商用電源の停電検知後に、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを前記非常電源系統を介して前記病院施設内に供給する電力供給装置と、を備えたことを特徴とする無停電電力供給システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0023】
本無停電電源供給システムは、商用電力の利用可能時に、商用電力からの電力エネルギーを水素エネルギーの形態に変化させて保存しておき、停電検知後即時に鉛蓄電池等の二次電池によって停電を生じさせること無く施設内の電源供給を継続し、停電検知後直ちに駆動開始された水素ガスによる燃料電池が立ち上がって定格電圧を出力した後に、二次電池から燃料電池に切り替えることにより無停電による電源供給を可能としたのである。
【0024】
本無停電電源供給システムにおいては、貯蔵する水素ガスまたは液体水素の量を増やせば、それに応じて商用電源の停電時間が長期化しても予備電源としての電源供給時間を長期化できるという利点を有する。また、停電検知から燃料電池の立ち上がり時間はシステムの環境温度によって多少変動はするものの概ね一定していることから、予備電源の作動時間の長短に拘わらず設置する二次電池容量は極めて少なくできるのである。
【0025】
ところで、現在、水素ガス(液体水素から得られる水素ガスを含む)を電力源とする燃料電池の技術は既に確立しており、例えば携帯用パソコンの長時間駆動電源として利用されている。水素ガスの製造は、水の電気分解によって高効率に行える。また、燃料電池の性能は、年々向上しており、小型で軽量であるばかりでなく、二酸化炭素ガスや窒素ガスの環境悪化に要因となる排気ガスがゼロであり、燃焼させても水蒸気ガスを排出するだけであることから、特に市街地に立地する病院施設や事務所ビルに適している。
【0026】
特に、本発明の無停電電力供給システムは、酸素ガス保存手段内に保存されている酸素ガスを施設内に配管された酸素ガス供給管を介して前記施設内における酸素ガスの必要箇所に酸素ガスを供給することが多い病院設備システムに最適である。また、本無停電電力供給システムは、酸素ガスを多く使用する化学工場や製鉄所にも有効に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る無停電電力供給システムの構成を説明するためのブロック図を示す。
【図2】本発明に係る無停電電力供給システムにおいて電力系及び信号系の部分で別の構成を説明するためのブロック図を示す。
【図3】図2の状態から停電時となったときの状態の説明図を示す。
【図4】本発明に係る無停電電力供給システムにおいて電力系及び信号系の部分で更に別の構成を説明するためのブロック図を示す。
【図5】図4の状態から停電時となったときの状態の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0028】
本発明に係る無停電電力供給システムを病院施設に適用したときの実施形態にて説明する。図1において、実線は電力経路を表し、矢印の実線は信号経路を表し、点線はガス又は液体の流れを表している。
【0029】
病院施設内において商用電源2は、通常電源系統Lと非常電源系統Lの2系統で供給される。そして、病院内における通常の機器や一般照明等は通常電源系統Lのコンセントに接続されており、停電時には商用電源2の供給が停止される。一方、非常電源系統Lは本発明に係る無停電電力供給システムにて停電時のバックアップを行い、病院施設内で瞬時にでも電源が停止してはならない呼吸器や手術用器械は非常電源系統Lのコンセントに接続しておくことで、これら機器へは継続して給電が行われる。
【0030】
以下、無停電電力供給システムの構成を説明する。制御装置20はシステム全体を制御するものである。電気分解装置3は通常電源系統Lを通じて電源が供給されており、内部の電解槽に給水弁12を通して給水タンク11から導入される水を貯えておき、電解槽内に浸漬した一対の電極に商用電源2からの電気エネルギーを印加することで、水素ガス出口46と酸素ガス出口47とからそれぞれ水素ガスと酸素ガスを得る。そして、取り出した水素ガスと酸素ガスは、それぞれコンプレッサ6,7にて圧縮されて、水素ガス保存手段4及び酸素ガス保存手段5の各ボンベ内に高圧力状態にて保存される。
【0031】
水素ガスを高圧化して密閉保存するタンクには、アルミニウム−マグネシウム−シリコン合金をファイバー強化したもの等が使用され、圧力検知装置22を設けて水素の保存量を検知できるようにしている。また、水素ガス保存手段4に保存している水素ガスを更に極低温環境下に置く液化水素保存手段へ導入し液化して保存しても良い。液化による水素保存は、水素を凝縮して保存するために大量貯蔵に適している。こうした保存以外にも水素吸蔵合金や、有機ハイドライド等のある有機物質を用いて貯蔵することも可能である。
【0032】
水素ガス保存手段4の水素ガス供給側は、制御バルブ9を介して燃料電池装置8の水素供給ポート48に接続されている。燃料電池装置8は、水素保存手段4から供給される水素と、空気取込口49から取り込む空気中の酸素とを反応させて電力エネルギーを発生する。
【0033】
燃料電池装置8は停電時に動作して電力を発生するもので、制御装置20が停電検知装置16にて商用電源2の停電を検知したときに出力する検知信号S2により駆動して、発生した電力を電力供給装置17に供給する。そして、燃料電池装置8の電力供給側には電圧検出回路24が配設されて、電圧検出回路24は出力電圧が所定レベルまで到達するのを検知すると検知信号S3を制御装置20に出力するようになっている。
【0034】
充電装置14は、商用電源2を利用して二次電池15を充電するよう交流電力を直流に変換するコンバータを備えている。二次電池15は、停電開始後から燃料電池装置8が電力供給を安定的に開始するまでの間、放電装置25を通して電力供給装置17に電力を出力する。充電装置14及び放電装置25は、制御装置20から出力される制御信号b,cに応答して、二次電池15の充電経路或いは放電経路を形成する。
【0035】
二次電池15の蓄電容量としては、蓄電や非常用に40kWhの容量を持つリチウム二次電池などが実用に供されているが、施設の規模に応じて適宜選定される。しかし、停電後から燃料電池装置8が安定して電力を供給するまでのバックアップとするならば大きな蓄電容量は必要としない。そして、電池の種類もリチウム二次電池や鉛二次電池等からコストや設置スペースも踏まえて選定される。
【0036】
電力供給装置17は非常電源系統Lに接続されて、通常時は商用電源2を病院施設内に敷設される商用電力配線網18に供給する。また、電力供給装置17はインバータ手段を備えており、停電検知装置16が商用電源2の停電を検知したとき、燃料電池装置8と二次電池15から供給される直流電力を交流に変換して商用電力配線網18に供給する。
【0037】
従って、停電時にバックアップが必要な呼吸器や手術用器械は商用電力配線網18のコンセントに接続することで停電時にも対応できる。病院施設においては、非常用のバックアップ電源を備えた非常電源Lから給電されるコンセントは通常のコンセントと色を違えており、これらの機器はこのコンセントにプラグを差し込むことで、非常電源Lに繋がる商用電力配線網18と接続される。
【0038】
また、本無停電電力供給システムを作動させるための制御装置20や燃料電池装置15等も商用電力配線網18に接続されて電力が供給されるようになっている。更に、電力供給装置17は、同じく病院施設内に敷設されている直流電力供給配線網19には直接、燃料電池装置8及び二次電池15の直流電力を供給する。
【0039】
上記構成による無停電電力供給システムの動作について説明する。通常時、電力供給装置17は、商用電源2を商用電力配線網18に供給している。このとき制御装置20は、圧力検知装置22が水素ガス保存手段4の水素圧が低下したことを検知して検知信号S1を出力すると、電気分解装置3への制御信号dを出力して動作を制御すると共に、電気分解装置3内の電解槽に設けた水位センサからの水位検知信号S4に基づき制御信号eを出力し、給水弁12を開閉させて水の補充を制御する。そして、制御装置20は、コンプレッサ6,7にそれぞれ制御信号f,gを出力して駆動し、電気分解で発生する水素及び酸素を圧縮して水素ガス保存手段4及び酸素ガス保存手段5で高圧保存するよう制御する。
【0040】
そして、停電により停電検知装置16が商用電源2の停電検知信号S2を出力すると、制御装置20は、制御バルブ9を開放するよう制御信号hを出力すると共に、燃料電池装置8に制御信号aを出力する。これにより、燃料電池装置8は動作を開始して、水素供給ポート48を制御して水素ガス保存手段4から水素ガスを適宜取り込み、空気中の酸素ガスと反応させて電気エネルギーを発生し、この電力を電力供給装置17に供給する。
【0041】
一方、充電装置14は、通常時は商用電力を直流に変換して二次電池15を充電しているが、停電により制御装置20から制御信号bが出力されると、充電経路を開放する。そして、制御装置20は、放電装置25には放電経路を形成するよう制御信号cを出力するために、二次電池15は蓄電した電力を電力供給装置17に放電する。
【0042】
このとき制御装置20は停電の検知により電力切換の制御信号iを電力供給装置17に出力しており、電力供給装置17は、燃料電池装置8及び充電装置14からの直流電力を交流に変換して商用電力配線網18に供給する。これにより、停電直後、商用電力配線網18は電力供給装置17から二次電池15由来の電力が受けられるために、制御バルブ9と燃料電池装置8は動作を開始することができる。
【0043】
そして、電圧検出回路24は、停電直後に駆動を開始した燃料電池装置8が電力供給を安定的に開始するようになるのを検知すると検知信号S3を制御装置20に出力し、制御装置20は放電装置25への制御信号cの出力を停止して二次電池15の放電経路を開放させる。よって、これ以後電力供給装置17へは燃料電池装置8からの電力が供給され。
【0044】
このように本無停電電力供給システムは、通常時は二次電池15により蓄電する一方、水素の貯蔵量に応じて電気分解装置3により水素を製造して貯えておき、停電が発生した場合には、先ず、二次電池15の放電により停電時にバックアップが必要な呼吸器や手術用器械、及び制御装置20、燃料電池装置15は商用電力配線網18から電源が供給される。そして、燃料電池装置8が水素ガス保存手段4に貯えた水素と空気中の酸素とから安定した電力を発生するようになると、商用電力配線網18からの供給電力は燃料電池装置8にて賄われる。よって、電力供給余剰時間帯に電力会社から供給される電力を水素に変えて保存しておき、停電時に保存していた水素を燃料電池装置8にて電力エネルギーに変換し、バックアップ電源が必要な各機器で利用することができる。
【0045】
停電から復旧したときは、停電検知装置16からの検知信号S2により制御装置20は、充電装置14に制御信号bを出力して二次電池15を充電状態とすると共に、制御信号a及び制御信号hの出力を停止して燃料電池装置8を動作停止状態とし、制御信号iの出力を停止して電力供給装置17からの商用電力配線網18への電力供給を商用電源2からへと切り換える。
【0046】
このような無停電電力供給システムは、二次電池15と燃料電池装置8との連携により停電時にも安定した電力供給が可能となり、呼吸器等の生命維持に必要な各種の医療機器や手術用器械など瞬時の電源停止でも医療上重大な障害を引き起こすことになる病院施設にあって、最適な無停電電力供給システムとなる。
【0047】
そして、この無停電電力供給システムは、水素の貯蔵量に応じて長時間の停電にも対処できる。この点において、液化水素保存手段による保存は極低温環境が必要となるものの大量に保存することができるため、より長時間の停電にも対処できる。また、電力会社との契約により安価な深夜電力の供給を受けられるのであれば、深夜時間帯を優先に電気分解装置3を駆動して水素を貯えておけば停電時のバックアップ電力のコストの低減が図れる。
【0048】
加えて、燃料電池装置8が発電の際に発生する熱を温水タンク13の熱源または補助熱源にして温水を貯蔵し、貯蔵した温水を病院施設内の温水供給システム23に投入することで無停電電力供給及び温水供給システムが提供される。
【0049】
更に、酸素ガス保存手段5にて保存される酸素ガスは、酸素ガス供給管システム21を通して病院施設内における必要箇所に供給することで、無停電電源供給及び酸素供給システムが提供される。特に、病院施設においては、酸素吸入器や高気圧酸素治療装置などで使用されるために酸素を内製化できるメリットは大きい。
【実施例2】
【0050】
以上、本発明による無停電電力供給システムの全体構成を示したが、電力系及び信号系の部分での他の実施例を図2にて説明する。図2の場合も電力経路を実線、信号経路を矢印の実線にてそれぞれ表し、図1と同様の信号及び構成物には同一符号にて示し説明を省略する。
【0051】
電力供給装置である配電盤31は、停電検知装置16を介し非常電源系統Lに接続されており、瞬時にでも電源が停止させてはならない呼吸器や手術用器械は配電盤31からの給電ラインlにコンセントを繋いで給電される。また、本無停電電力供給システムの制御装置20や燃料電池装置8等も配電盤31からの給電ラインlを通して給電される。電気分解装置3は、通常電源系統Lからスイッチング装置20aを通して給電されるよう構成しているが、非常電源系統Lから給電するようにしても良い。
【0052】
配電盤31には双方向コンバータ33が接続されており、双方向コンバータ33の後段には、スイッチング装置20bを介して二次電池15と、スイッチング装置20cを介して燃料電池装置8の電力出力端8Bと、スイッチング装置20dを介して直流電力供給配線網19とが並列に接続されている。
【0053】
双方向コンバータ33は電力の方向を双方向に制御するもので、ここで用いる双方向コンバータ33は、配電盤31から供給される交流電力を直流に変換して二次電池15に出力し、スイッチング装置20b,20cから入力される二次電池15や燃料電池装置8からの直流電力を交流に変換して配電盤31側に出力するインバータの機能を有している。
【0054】
スイッチング装置20a乃至スイッチング装置20dは制御装置20にてそれぞれオン又はオフが制御される。図2では、通常時におけるスイッチング装置20b,20c,20dの各オン・オフ状態を示しており、スイッチング装置20bがオンして他はオフするよう制御装置20にて制御されている。従って、二次電池15には、配電盤31から供給される商用電源2が双方向コンバータ33にて変換された直流電力がスイッチング装置20cを通して供給されて充電を行っている。
【0055】
制御装置20は、図1で説明したように、圧力検知装置22から水素保存手段4での水素圧の低下の検知信号S1が入力すると、スイッチング装置20aをオンにすることで、電気分解装置3は給電されて電気分解を開始する。そして、図2では省略するが、制御装置20は電気分解装置3への通電制御の間は、水位検知信号S4の入力に応じて電解槽への水の補充を制御する。こうして通常時は、水素の貯蔵量に応じてスイッチング装置20aを実線及び点線で示すようにオン又はオフさせて電気分解装置3の駆動を制御する。
【0056】
このような通常時の状態で停電が発生したとき、制御装置20は、停電検知装置16から停電検知信号S2を受けて、図3で示すようにスイッチング装置20c,20dをそれぞれオンさせる。このとき、スイッチング装置20bはオン状態を継続しており、停電により二次電池15は、双方向コンバータ33の整流作用により放電する。このとき、二次電池15から放電される電力は、双方向コンバータ33にて交流に変換されて配電盤31に供給される。
【0057】
これにより、停電直後には、交流に変換された二次電池15の電力が配電盤31から呼吸器や手術用器械、及び制御装置20、燃料電池装置8等の非常電源系統Lに接続された機器に供給され、制御装置20はシステム全体の制御動作を維持する電源の供給を受けることができる。そして、燃料電池装置8は電源端子8Aに給電され、且つ制御装置20からの制御信号aの出力を受けて動作を開始する。動作開始により燃料電池装置8の電力出力端8Bに発生する電力はスイッチング装置20cを介して双方向コンバータ33に供給される。
【0058】
従って、二次電池15の放電電力と同様に、双方向コンバータ33で交流に変換されて配電盤31から非常電源系統Lに接続された機器には、燃料電池装置8からの出力電力が供給される。このとき、二次電池15及び燃料電池装置8からの直流電力は、スイッチング装置20dがオンされているため、直流電力配線網19にて病院施設内で直流電源にて作動する機器に給電される。
【0059】
そして制御装置20は、電圧検出回路24から燃料電池装置8の出力電力が所定レベルまで到達したことを示す検知信号S3が入力すると、図3の状態からスイッチング装置20bをオフに切り換える。これにより二次電池15からの放電は停止して、これ以後の非常電源系統Lに接続された機器への電力供給は燃料電池装置8の単独にて賄われる。
【0060】
停電から復旧したときは、停電検知装置16からの検知信号S2により制御装置20は、スイッチング装置20bをオンにして二次電池15を充電状態に切り換え、スイッチング装置20cをオフにする共に制御信号aの出力を停止して燃料電池装置8を動作停止状態にする図2に示す状態となる。
【0061】
上記の構成は、通常時の商用電源の病院施設内への供給と、停電時における二次電池15や燃料電池装置8から電力の病院施設内へ供給とが双方向コンバータ33を利用して同じ電力供給ラインを通じて行っている。したがって、停電検知後直ちに駆動開始された水素ガスによる燃料電池が立ち上がって定格電圧を出力するまでは、二次電池15と燃料電池装置8とからの両方の電源供給を併存させて、燃料電池装置8からの出力電圧の安定後に燃料電池装置8からの出力電圧単独へと切り替えることにより無停電による電源供給を可能としている。
【実施例3】
【0062】
無停電電力供給システムにおける電力系及び信号系の部分で更に別の実施例を図4にて説明する。図4の場合も電力経路を実線、信号経路を矢印の実線にてそれぞれ表し、図1と同様の信号及び構成物は同一符号にて示す。
【0063】
図4の構成では、非常電源系統Lに接続される停電検知装置16と配電盤31との間には、共通端子に対して切換端子A及び切換端子Bとを有するスイッチング装置40を設けている。そして、切換端子Aとスイッチング装置20aとの間には、スイッチング装置20eとコンバータ41とから成る二次電池15への充電経路と、スイッチング装置20fとインバータ42とから成る二次電池15の放電経路を設けている。そして、切換端子Bには、インバータ43と電圧検出回路24を介して燃料電池装置8を接続している。尚、インバータ42及びインバータ43はパワーコンディショナーと同義である。
【0064】
スイッチング装置40は制御装置20からの制御信号を受けて切換動作し、スイッチング装置20c,20e,20fは制御装置20からの制御信号を受けてオン又はオフする。図4は通常時を示しており、スイッチング装置40は切換端子A側にあり、スイッチング装置20eがオンして、スイッチング装置20fはオフするよう制御装置20にて制御されている。従って、二次電池15は、スイッチング装置20eを通して供給される商用電源2がコンバータ41にて直流電力に変換されて充電を行っている。
【0065】
瞬時にでも電源が停止させてはならない呼吸器や手術用器械は配電盤31からの給電ラインlにコンセントを繋いで給電される。また、本無停電電力供給システムの制御装置20や燃料電池装置15等も配電盤31からの給電ラインlを通して給電される。
【0066】
電気分解装置3はスイッチング装置20cを通して通常電源系統Lから給電されるが非常電源系統Lからでも良く、通常時、制御装置20は圧力検知装置22から水素保存手段4での水素圧の低下の検知信号S1が入力すると、スイッチング装置20cをオンにすることで、電気分解装置3は給電されて電気分解を開始する。そして、これまでに説明した各実施例と同様に、制御装置20は水位検知信号S4の入力に応じて電解槽への水の補充を制御する。
【0067】
そして、停電時に制御装置20は、停電検知装置16から停電検知信号S2を受けて、スイッチング装置20eをオフにし、スイッチング装置20fをオンにする。よって、充電されていた二次電池15の電力は放電し、インバータ42により交流変換されて切換端子Aを通して配電盤31に供給される。従って、停電直後には、交流に変換された二次電池15の電力が配電盤31から病院施設内に供給される。これにより、制御装置20及び燃料電池装置8の電源端子8Bにも配電盤31より電源が供給される。
【0068】
よって、燃料電池装置8は、停電時に制御装置20から出力される制御信号aにより駆動し、制御装置20は燃料電池装置8の電力出力端8Bから出力される電力が所定レベルまで到達したことを示す検知信号S3が電圧検出回路24より入力すると、スイッチング装置40に制御信号を出力して切換端子Bに切り換える。また、制御装置20は、スイッチング装置20fをオフさせて、二次電池15の放電も停止させる。図5はこのときのスイッチング装置40,20e,20fの状態を示している。これにより、配電盤31からの病院施設内への電力供給は燃料電池装置8にて賄われ、燃料電池装置8に発生する直流電力は、直流電力配線網19にて病院施設内で直流電源にて作動する機器に給電される。
【0069】
停電から復旧したときは、停電検知装置16からの検知信号S2により制御装置20は、スイッチング装置40を切換端子Aに切り換えて、スイッチング装置20eをオンにして二次電池15を充電状態に切り換え、制御信号aの出力を停止して燃料電池装置8を動作停止状態にする。
【0070】
上記の構成は、通常における商用電源2の供給及び停電直後における二次電池15によるバックアップ電源の供給と、停電後に燃料電池装置8からの発生電力が安定してからの電源の供給とを端子の切換にて行っている。したがって、停電検知後に動作を開始した燃料電池装置8が定格電圧を出力するようになった後に、病院施設内への給電を二次電池15から燃料電池装置8に切り替えることにより無停電による電源供給を可能としている。
【0071】
以上、本発明による無停電電力供給システムを病院施設における非常電源系統に接続してもので説明したが、特に非常電源が設置されていない施設にあっては、通常電源系統に接続する。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、通常時に電気分解により生成した水素を利用して、停電時には燃料電池により発電をおこなうことで無停電電力供給システムを提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0073】
3 電気分解装置
4 水素ガス保存手段
5 酸素ガス保存手段
8 燃料電池装置
13 温水タンク
14 充電装置
15 二次電池
16 停電検知装置
17 電力供給装置
21 酸素ガス供給管システム
23 温水供給システム
31 配電盤(電力供給装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を消費する施設内に設置される無停電電力供給システムであって、
商用電源が供給されている通常時に商用電力の電気エネルギーによって水を電気分解することにより水素ガスと酸素ガスを得る水の電気分解装置と、
前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを保存する水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段と、
商用電源の停電を検知する停電検知装置と、
商用電源の停電検知後に、前記水素ガス保存手段に保存されて水素ガスにより電力エネルギーを発生する燃料電池装置と、
商用電源の停電検知後から前記燃料電池装置が電力供給を安定的に開始するまでの間に電力エネルギーを放電供給する二次電池と、
商用電源が供給されている通常時に、商用電源を利用して前記二次電池を充電する充電装置と、
商用電源の停電検知後に、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを前記施設内に供給する電力供給装置と、
を備えたことを特徴とする無停電電力供給システム。
【請求項2】
前記水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段は、前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを高圧力状態にして各ボンベ内に保存することを特徴とする請求項1に記載の無停電電力供給システム。
【請求項3】
前記水素ガス保存手段は、水素吸蔵合金又は有機ハイドライドを用いて保存することを特徴とする請求項1に記載の無停電電力供給システム。
【請求項4】
電力を消費する施設内に設置される無停電電力供給システムであって、
商用電量が供給されている通常時に商用電力の電気エネルギーによって水を電気分解することにより水素ガスと酸素ガスを得る水の電気分解装置と、
前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを高圧力状態にして各ボンベ内に保存する水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段と、
前記水素ガス保存手段に保存されている水素ガスを液化して保存する液化水素保存手段と、
商用電源の停電を検知する停電検知装置と、
商用電源の停電検知後に、前記液化水素保存手段に保存されている液化水素から水素ガスを得て、当該水素ガスにより電力エネルギーを発生する燃料電池装置と、
商用電源の停電検知後から前記燃料電池装置が電力供給を安定的に開始するまでの間に電力エネルギーを放電供給する二次電池と、
商用電源が供給されている通常時に、商用電源を利用して前記二次電池を充電する充電装置と、
商用電源の停電検知後に、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを前記施設内に供給する電力供給装置と、
を備えたことを特徴とする無停電電力供給システム。
【請求項5】
前記電力供給装置は、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを交流電力に変換するインバータ手段を備え、当該交流電力を前記施設内に供給することを特徴とする請求項1乃至4の何れかの項に記載の無停電電力供給システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかの項に記載された無停電電力供給システムを備え、
前記酸素ガス保存手段内に保存されている酸素ガスを施設内の必要箇所に供給する酸素ガス供給管システムと、
をさらに備えた無停電電源供給及び酸素供給システム。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れかの項に記載された無停電電力供給システムを備え、
前記燃料電池装置において発生する熱を熱源に利用する温水タンクと、
前記温水タンクに貯蔵された温水を施設内の必要箇所に供給する熱を利用すると、
をさらに備えた無停電電力供給及び温水供給システム。
【請求項8】
非常電源系統を備えた病院施設内に設置される無停電電力供給システムであって、
商用電源が供給されている通常時に商用電力の電気エネルギーによって水を電気分解することにより水素ガスと酸素ガスを得る水の電気分解装置と、
前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを保存する水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段と、
商用電源の停電を検知する停電検知装置と、
前記商用電源の停電検知後に、前記水素ガス保存手段に保存されて水素ガスにより電力エネルギーを発生する燃料電池装置と、
商用電源の停電検知後から前記燃料電池装置が電力供給を安定的に開始するまでの間に電力エネルギーを放電供給する二次電池と、
商用電源が供給されている通常時に、商用電源を利用して前記二次電池を充電する充電装置と、
商用電源の停電検知後に、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを前記非常電源系統を介して前記病院施設内に供給する電力供給装置と、
を備えたことを特徴とする無停電電力供給システム。
【請求項9】
前記水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段は、前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを高圧力状態にして各ボンベ内に保存することを特徴とする請求項8に記載の無停電電力供給システム。
【請求項10】
前記水素ガス保存手段は、水素吸蔵合金又は有機ハイドライドを用いて保存することを特徴とする請求項8に記載の無停電電力供給システム。
【請求項11】
非常電源系統を備えた病院施設内に設置される無停電電力供給システムであって、
商用電量が供給されている通常時に商用電力の電気エネルギーによって水を電気分解することにより水素ガスと酸素ガスを得る水の電気分解装置と、
前記電気分解装置によって得られた水素ガスと酸素ガスを高圧力状態にして各ボンベ内に保存する水素ガス保存手段及び酸素ガス保存手段と、
前記水素ガス保存手段に保存されている水素ガスを液化して保存する液化水素保存手段と、
商用電源の停電を検知する停電検知装置と、
商用電源の停電検知後に、前記液化水素保存手段に保存されている液化水素から水素ガスを得て、当該水素ガスにより電力エネルギーを発生する燃料電池装置と、
商用電源の停電検知後から前記燃料電池装置が電力供給を安定的に開始するまでの間に電力エネルギーを放電供給する二次電池と、
商用電源が供給されている通常時に、商用電源を利用して前記二次電池を充電する充電装置と、
商用電源の停電検知後に、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを前記非常電源系統を介して前記病院施設内に供給する電力供給装置と、
を備えたことを特徴とする無停電電力供給システム。
【請求項12】
前記電力供給装置は、前記二次電池及び前記燃料電池装置から供給される電力エネルギーを交流電力に変換するインバータ手段を備え、当該交流電力を前記非常電源系統を介して前記病院施設内に供給することを特徴とする請求項8乃至11の何れかの項に記載の無停電電力供給システム。
【請求項13】
請求項8乃至12の何れかの項に記載された無停電電力供給システムを備え、
前記酸素ガス保存手段内に保存されている酸素ガスを前記病院施設内の必要箇所に供給する酸素ガス供給管システムと、
をさらに備えた無停電電源供給及び酸素供給システム。
【請求項14】
請求項8乃至12の何れかの項に記載された無停電電力供給システムを備え、
前記燃料電池装置において発生する熱を熱源に利用する温水タンクと、
前記温水タンクに貯蔵された温水を前記病院施設内の必要箇所に供給する熱を利用すると、
をさらに備えた無停電電力供給及び温水供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−9548(P2013−9548A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141471(P2011−141471)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(592248835)日本エー・シー・ピー株式会社 (56)
【出願人】(505425878)
【出願人】(300042557)
【Fターム(参考)】