説明

無段変速機および無段変速機の製造方法

【課題】シーブ面とベルトとの摩擦係数を大きくし、燃費を向上することができる無段変速機を提供する。
【解決手段】Vベルト4が掛け渡されて、Vベルト4と接触するプライマリプーリ2とセカンダリプーリ3とのシーブ面11a〜14aが、Vベルト4とシーブ面11a〜14aとの間の反応膜を摩滅させない初期摩耗高さと、シーブ面11a〜14aとVベルト4とを金属接触させないための反応膜生成を促すために必要な油溜まり深さと、を有する面とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無段変速機および無段変速機の製造方法に関するものであり、特に各プーリのシーブ面に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルト式無段変速機では、プライマリプーリとセカンダリプーリの各プーリ間に掛け渡したベルトを、各プーリに設けた油室内の油圧を用いてプーリによって押さえつけて挟持する。また、油室の油圧を給排することで、各プーリとベルトとの接触半径を変化させ、プーリ比(変速比)を変更することで無段階に変速を行う。
【0003】
ベルトに滑りを生じさせないためには、比較的高い油圧によって、各プーリを押さえつけなければならないが、油室の油圧を高くすると、各プーリに供給する油圧の元圧となるライン圧が高くなり、ライン圧を高くするために燃費が悪くなるといった問題が生じる。
【0004】
従来、プーリのシーブ面の表面粗さを小さくすることで、シーブ面とベルトのエレメントとの接触面積を大きくし、シーブ面とベルトとの摩擦係数を向上させることで、シーブ面とベルトとの摩擦力を大きくし、プーリを押さえつける油圧を小さくして燃費を向上させるものが特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2005−321090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の発明では、シーブ面の表面粗さを小さくする場合でも、シーブ面とエレメントとの摩擦係数にバラツキが生じ、所望する摩擦力を得ることができない場合があり、プーリを押さえつける油圧を小さくして燃費を向上させることができない、といった問題点がある。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決するために発明されたもので、表面粗さを小さくした場合に、シーブ面とエレメントとの摩擦係数を向上させ、摩擦力を大きくする。そしてプーリを押さえつける油圧を小さくして燃費を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エレメントとシーブ面との接触部においては、基本的に油膜を介して接触しており、この油膜は潤滑油中の添加剤成分がエレメントおよびシーブ面の表面に吸着してできる反応膜と潤滑油として機能する潤滑膜とから構成される。これらのエレメントとシーブ面の接触面について模式図を図7に示す。境界摩擦理論式Bowden-Taborの式(1)においても、反応膜に関する項が与えられており、反応膜が摩擦係数へ影響を及ぼす重要な要素であることがわかる。
摩擦係数μ=反応膜のせん断強度τ/Heff・・・式(1)
(接触部がすべて反応膜に被覆されている場合)
ここでHeffは下記の式(2)のように表される。
Heff=H2+(H1-H2)exp(-ct/B)・・・式(2)
H2:反応膜の硬さ
H1:母材の硬さ
t:反応膜の厚さ
B:突起の曲率半径
c:定数
【0008】
トルク伝達はせん断力を発生する反応膜を介して行われるため、接触部に反応膜を広く形成させることで高摩擦係数を得ることができる。しかし、この反応膜は金属ほど硬くないために過大なせん断力が発生すると摩滅し、摩擦係数の低下を招くため、高摩擦係数を得るためには反応膜の摩滅を抑制させる必要がある。
【0009】
本発明は、無段変速機において、対峙するシーブによって形成される溝幅が変化する入力側のプライマリプーリと、対峙するシーブによって形成される溝幅が変化する出力側のセカンダリプーリと、プライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられ、溝幅に応じてシーブのシーブ面との接触半径が変化するベルトと、を備え、シーブ面は、シーブ面とベルトとの間の反応膜を摩滅させない初期摩耗高さと、シーブ面とベルトとを金属接触させないための反応膜生成を促すために必要な油溜まり深さと、を有する。
【0010】
また、対峙するシーブによって形成される溝幅が変化する入力側のプライマリプーリと、対峙するシーブによって形成される溝幅が変化する出力側のセカンダリプーリと、プライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられ、溝幅に応じてシーブのシーブ面との接触半径が変化するベルトと、を備える無段変速機の製造方法において、シーブ面を、初期摩耗高さと油溜まり深さとに基づいて加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、無段変速機のプーリのシーブ面が、シーブ面とベルトとの間の反応膜を摩滅させない初期摩耗高さと、シーブ面とベルトを金属接触させないための反応膜生成を促すために必要な油溜まり深さと、を有することで、表面粗さを小さくした場合に、摩擦係数を向上させ、シーブ面とベルトとの摩擦力を大きくし、プーリを押さえつけるために必要となる油圧を小さくすることができ、燃費を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、Vベルト式無段変速機(以下、無段変速機とする)1の概略を示し、この無段変速機1はプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3を両者のV溝が整列するよう配して備え、これらプーリ2、3のV溝にVベルト(ベルト)4を掛け渡す。プライマリプーリ2と同軸にエンジン5を配置し、このエンジン5およびプライマリプーリ2間にエンジン5の側から順次、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータ6および前後進切り替え機構7を設ける。
【0013】
プライマリプーリ2の回転はVベルト4を介してセカンダリプーリ3に伝達され、セカンダリプーリ3の回転はその後、出力軸8、歯車組9およびディファレンシャルギヤ装置10を経て車輪に伝達される。
【0014】
上記の動力伝達中にプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3間における回転伝動比(変速比)を変更可能にするために、プライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3のV溝を固定シーブ11、12と可動シーブ13、14とによって形成する。可動シーブ13、14は固定シーブ11、12に対して軸線方向へ変位可能であり、可動シーブ13、14は、ライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecをプライマリプーリ室2aおよびセカンダリプーリ室3aに供給することにより固定シーブ11、12に向け附勢され、これによりVベルト4を各シーブに摩擦係合させてプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3間での動力伝達を行う。
【0015】
Vベルト4は図2に示すように、エレメント20と、金属ベルト21と、から構成される。Vベルト4は複数のエレメント20を積層し、積層したエレメント20を略円形の金属ベルト21によって挟持することで形成される。
【0016】
固定シーブ11、12、可動シーブ13、14のシーブ面11a〜14aとVベルト4のエレメント20とは、油膜を介して接触する(以下、これをシーブ面とエレメント(Vベルト)との接触という)。
【0017】
変速に際しては、プライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psec間の差圧により両プーリ2、3のV溝幅を変化させる。プーリ2、3に対するVベルト4の巻き掛け円弧径を連続的に変化させることでプーリ比(変速比)を変更し、変速を行う。
【0018】
以下、実施例により本発明を説明するが、下記実施例により本発明が限定されるものではない。
【0019】
この実施例では、シーブ面をELID切削、ハードターニング、研磨、鏡面仕上げによって加工し、加工したシーブ面を、表面粗さRaと初期摩耗高さRpkと油溜まり深さRvkとによって評価する。なお、鏡面仕上げ仕様については異なる砥粒で仕上げた2種類を用い、それぞれ鏡面仕上げA、鏡面仕上げBとする。
【0020】
(表面粗さRa、初期摩耗高さRpk、油溜まり深さRvkの測定方法)
表面粗さRaは、JIS B 0601:2001に規格された算術平均粗さである。算術平均粗さは、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。この実施例では、シーブ面が拡径する径方向に測定する。
【0021】
初期摩耗高さRpk、油溜まり深さRvkは、JIS B 0671−2:2002に規格されるものである。まず、初期摩耗高さRpkについて詳しく説明する。
【0022】
或る粗さ曲線について、図3に示すように負荷長さ率tpを横軸として負荷比曲線を描いた場合に、負荷長さ率tpの差が40%となる最低傾斜直線を引き、この直線と負荷長さ率tp0%とが交差する点をA点とする。A点から横軸に平行に引いた線が負荷比曲線と交差する箇所をB点、つまり或る粗さ曲線において、A点と同じ高さとなる負荷比曲線をB点として、負荷長さ率tpが0%となる負荷比曲線をC点とする。そして、負荷長さ比率tpが0%となる点であり、この点とA、B点とによって形成される三角形の面積が、負荷比曲線の一部である線分BCと、線分AB、線分ACによって囲まれる面積と同じ面積となる点をD点として求める。このようにして求められたD点とA点との距離が初期摩耗高さRpkである。
【0023】
次に油溜まり深さRvkについて詳しく説明する。
【0024】
或る粗さ曲線について、図3に示すように負荷長さ率tpを横軸として負荷比曲線を描いた場合に、負荷長さ率tpの差が40%となる最低傾斜直線を引き、この直線と負荷長さ率tp100%とが交差する点をE点とする。E点から横軸に平行に引いた線が負荷比曲線と交差する箇所をF点として、負荷長さ率tpが100%となる負荷比曲線をG点とする。そして、負荷長さ比率tpが100%となる点であり、この点とE、F点とによって形成される三角形の面積が、負荷比曲線の一部である線分FGと、線分EF、線分EGとによって囲まれる面積と同じ面積となる点をH点として求める。このようにして求められたH点とE点との距離が油溜まり深さRvkである。
【0025】
この実施例では、表面粗さRa、初期摩耗高さRpk、油溜まり深さRvkを以下に示す条件によって測定する。
測定器 : Taylor Hobson フォームタリサーフ S5
測定長さ : 5mm
評価長さ : 4mm
カットオフ : 0.8mm
フィルタ : ガウシアン
バンド幅 : 100:1
触針の先端半径 : 2μm
【0026】
(摩擦係数μの評価試験方法)
摩擦係数μの評価試験方法としては、上記各方法によって磨いたシーブ面において、油温110℃の潤滑油中で、一枚のエレメント当たり392Nの荷重をかけて、エレメントをシーブ面に当接させる。そして、エレメントを0〜0.8m/sの範囲で上昇・下降させ、連続的に摺動させた際の摩擦係数μを測定する。この条件は、実際に車両に搭載した場合のLow変速比での条件に相当する。この実施例では、以上の条件によって測定したエレメントの速度0.7m/s時の摩擦係数μ値を用いる。
【0027】
(表面粗さRaと摩擦係数μの関係)
図4にシーブ面の表面粗さRaと摩擦係数μとの関係を示す。
【0028】
シーブ面の加工方法によって表面粗さRaは異なり、表面粗さRaが小さくなると摩擦係数μは比較的大きくなる。しかし、表面粗さRaが0.1以下となる領域においては、表面粗さRaが小さいにもかかわらず、摩擦係数μが小さくなる場合がある。
【0029】
摩擦係数μは、シーブ面からエレメントへトルクを伝達するためには大きい方が望ましい。表面粗さRaが小さくなると、反応膜を介してシーブ面とエレメントとが接触する接触面積が大きくなり、摩擦係数μが大きくなるために一般的にトルク伝達機能が大きくなる。しかし、図4によると、表面粗さRaが小さくなった場合でも、摩擦係数μが小さくなり、所望する摩擦力を得ることができない場合があることがわかった。
【0030】
(初期摩耗高さRpkとエレメントの摩耗との関係)
図5に初期摩耗高さRpkとエレメントの摩耗との関係を示す。エレメントの摩耗は、評価試験によるエレメントの摩耗量の平均値である。
【0031】
初期摩耗高さRpkが高い場合には、エレメントの摩耗が大きくなる。これは、シーブ面において、突出した部分とエレメントの局部面圧が大きくなり、反応膜が摩滅してシーブ面から突出した部分とエレメントとが直接接触し、エレメントが劣化するためである。この実施例では、初期摩耗高さRpkは、0.14以下である場合には、エレメントの摩耗が小さくなることがわかった。
【0032】
(油溜まり深さRvkとシーブ面の摩耗との関係)
課題を解決するための手段の項でも説明したとおり、反応膜は金属ほど硬くないため、摺動環境下では生成と消耗を繰り返している。したがって反応膜の生成を促すためには常に微細な凹凸の接触部の近傍より潤滑油を供給する必要がある。
【0033】
接触部の断面模式図を示す図8では、接触面に潤滑油を保持できる部分がほとんど無いために潤滑油が供給されにくい。そのために反応膜の生成は抑制され、逆に反応膜の消耗が進行し、ついには基材であるシーブ面とエレメント同士とが金属接触し、凝着摩耗等の損傷を起こす。
【0034】
そこで、図9に示す断面模式図のように接触面に潤滑油を保持させる溝を設けることで微細な凹凸の接触部に潤滑油を供給し、反応膜の生成を促すことができる。
【0035】
図6に油溜まり深さRvkと、表面粗さRaから試験後の表面粗さRaを引いたシーブ面の表面粗さ偏差と、の関係を示す。
【0036】
油溜まり深さRvkが小さい場合、つまりシーブ面に溝部となる高さの低い箇所が少なく、またはほとんど存在していない場合には、表面粗さの偏差が負の方向へ大きくなる。これは、シーブ面の溝部が少なく、接触部への潤滑油の供給不足のために反応膜の生成が抑制され、消耗が進行したために、シーブ面とエレメントとが金属接触し、シーブ面が摩耗するためである。この実施例では、油溜まり深さRvkが0.05μm以上である場合には、表面粗さ偏差が比較的小さいことがわかった。
【0037】
以上より、表面粗さRaが小さい場合でも、初期摩耗高さRpkが大きい場合には、反応膜が摩滅し、エレメントの摩耗が大きくなり、その結果としてシーブ面とエレメントとの間の摩擦係数μが小さくなると考えられる。また、表面粗さRaが小さい場合でも、油溜まり深さRvkが小さい場合には、接触部の潤滑油不足によって金属接触を起こすためにシーブ面が摩耗し、摩耗が進行することによりプーリ比をスムーズに調整する変速機能に支障をきたす恐れがある。そのため、シーブ面の初期摩耗高さRpkを小さくし、油溜まり深さRvkを比較的大きくすることによって、変速機能の性能を損なうことなく摩擦係数μを大きくし、シーブ面とVベルトとの摩擦力を大きくすることが可能であると考えられる。
【0038】
特に、無段変速機においては、変速比がLow側である場合には、プライマリプーリにVベルトの滑りを抑制するために比較的大きな挟持力が要求される。つまり、シーブ面とVベルトとの摩擦力が特に重要となる。そのため、少なくともプライマリプーリのシーブ面を上記する初期摩耗高さRpkと油溜まり深さRvkとを有するようにすることで、変速機能の性能を損なうことなく、シーブ面とVベルトとのトルク伝達を効率良く行うことができ、燃費を向上させることができる。
【0039】
本発明の実施形態の効果について説明する。
【0040】
無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリのシーブ面、特にプライマリプーリのシーブ面が、シーブ面とエレメントとの間の反応膜を摩滅させない初期摩耗高さRpkと、シーブ面とエレメントとを金属接触させないための反応膜生成を促すのに必要な油溜まり深さRvkと、を有することで、シーブ面またはエレメントの劣化を抑制し、変速機能の性能を損なうことなくシーブ面とエレメントとのトルク伝達を効率良く行うことができる。そのため、プライマリプーリ圧Ppri、セカンダリプーリ圧Psecの元圧となるライン圧を低くすることができ、燃費を向上することができる。
【0041】
初期摩耗高さRpkを0.14μm以下とすることで、エレメントの劣化を抑制することができ、摩擦係数μが大きくなり、シーブ面とVベルトとの摩擦力を大きくすることができる。そのため、プライマリプーリ圧Ppri、セカンダリプーリ圧Psecの元圧となるライン圧を低くすることができ、燃費を向上することができる。
【0042】
油溜まり深さRvkを0.05μm以上とすることで、シーブ面の摩耗を抑制することができ、変速機能の性能を損なうことなく、シーブ面とVベルトとのトルク伝達を効率良く行うことができる。
【0043】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態の無段変速機の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態のVベルトの概略構成図である。
【図3】本発明の実施例における初期摩耗高さと油溜まり深さを説明する負荷比曲線の図である。
【図4】本発明の実施例の表面粗さと摩擦係数との関係を示した図である。
【図5】本発明の実施例の初期摩耗高さとエレメントの摩耗との関係を示した図である。
【図6】本発明の実施例の油溜まり深さと表面粗さ偏差との関係を示した図である。
【図7】本発明の実施形態のエレメントの側面とプーリの接触面近傍を表す拡大断面図である。
【図8】本発明の実施例のエレメントの側面とプーリの接触面近傍を表す拡大断面図で油溜まり深さの効果を説明する図である。
【図9】本発明の実施例のエレメントの側面とプーリの接触面近傍を表す拡大断面図で油溜まり深さの効果を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
1 無段変速機
2 プライマリプーリ
3 セカンダリプーリ
4 Vベルト
11、12 固定シーブ(シーブ)
13、14 可動シーブ(シーブ)
11a、12a、13a、14a シーブ面
20 エレメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対峙するシーブによって形成される溝幅が変化する入力側のプライマリプーリと、
対峙するシーブによって形成される溝幅が変化する出力側のセカンダリプーリと、
前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとに巻き掛けられ、前記溝幅に応じてシーブのシーブ面との接触半径が変化するベルトと、を備え、
前記シーブ面は、前記シーブ面と前記ベルトとの間の反応膜を摩滅させない初期摩耗高さと、前記シーブ面と前記ベルトとを金属接触させないための反応膜生成を促すために必要な油溜まり深さと、を有することを特徴とする無段変速機。
【請求項2】
前記初期摩耗高さは0.14μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機。
【請求項3】
前記油溜まり深さは0.05μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の無段変速機。
【請求項4】
前記シーブ面は、表面粗さが0.1μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の無段変速機。
【請求項5】
対峙するシーブによって形成される溝幅が変化する入力側のプライマリプーリと、
対峙するシーブによって形成される溝幅が変化する出力側のセカンダリプーリと、
前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとに巻き掛けられ、前記溝幅に応じてシーブのシーブ面との接触半径が変化するベルトと、を備える無段変速機の製造方法において、
前記シーブ面を、初期摩耗高さと油溜まり深さとに基づいて加工することを特徴とする無段変速機の製造方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図1】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−232410(P2008−232410A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77456(P2007−77456)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成17年度、18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的温暖化対策技術プログラム低摩擦損失高効率駆動機器のための材料表面制御技術の開発プロジェクト」の委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】