説明

無段変速装置

【課題】装置全体を小型化出来る無段変速装置を提供する。
【解決手段】本発明の無段変速装置は、動力源により回転駆動されるバリエータ入力軸8と、トロイダル型無段変速機構22と、入力ディスク14をパワーローラ16を介して出力ディスク18に押圧するローディング機構20とを備えた無段変速装置において、前記バリエータ入力軸8は、前記入力ディスクを軸方向に移動可能に、かつ相対回転不能に支持する入力ディスク連結軸15と、この入力ディスク連結軸と同軸上に、かつ回転自在に設けられ、前記ローディング機構が前記入力ディスクを押圧するときに生じる軸方向の反力を支持する軸力支持軸10と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無段変速装置、特に自動車用として用いる無段変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用変速機用の無段変速装置として、駆動軸と、入力側ディスクと出力側ディスクとの間にパワーローラが傾転自在に配設されたトロイダル型無段変速機と、このトロイダル型無段変速機の出力を2自由度を有する遊星歯車機構に出力歯車等を経て伝達する第1の動力伝達機構と、入力軸より無段変速機をバイパスして直接2自由度を有する遊星歯車機構に伝達する第2の動力伝達機構と、出力軸とを備えたものがある(特許文献1の図1参照のこと)。
【0003】
この構成を説明すると、エンジン19に接続する駆動軸18の動力は、押圧装置10を介してトロイダル型無段変速機24bの入力側ディスク2A、2Bに伝達される。入力ディスク2A、2Bは、パワーローラ9を押圧し、動力を出力側ディスク4Aに伝達する。出力側ディスク4Aは第1の動力伝達機構32に接続されており、動力は第1の動力伝達機構32から出力軸23aに伝達される。
【0004】
ここで、無段変速機24bの入力軸11aは、入力側ディスク2A、2Bを相対回転を禁止し、軸方向に変位可能に支持される。また、出力側ディスク4Aは、入力軸11aに対して回転自在に支持される。また、入力軸11は、押圧装置10に入力軸回りに相対回転可能に支持されており、かつ、入力側ディスク2A、2Bに作用する押圧力の軸方向反力を押圧装置10を介して支持するよう構成される。
【0005】
また、エンジン19に接続する駆動軸18の動力は、第2の動力伝達機構35を通じて2自由度を有する遊星歯車機構25aに伝達され、遊星歯車機構25aから出力軸23aに伝達される。
【0006】
この無段変速装置においては、遊星歯車機構25aを介して第1の動力伝達機構32が出力軸23aに直接動力を伝達する第1のモードと、この第1のモードにおいて、遊星歯車機構25aからトロイダル型無段変速機24bに動力循環した動力が入カした動力と合算されて第2の動力伝達機構35を経て遊星歯車機構25aに流入し、出力軸23aには流入した動力と動力循環した動力の差が出力動力として出力される第2のモードとを設定している。
【0007】
前記第2のモードにおいては、高速走行時にトロイダル型無段変速機24bに入力される動力を小さくして、このトロイダル型無段変速機24bの構成部品の耐久性の向上が図れると共に、伝達効率の向上が図れる。
【0008】
さらに、上記無段変速装置においては、第1のモードの変速比と第2のモードの変速比が連続して切替られるため、無段変速装置の変速比巾(最Low変速比/最High変速比)がトロイダル型無段変速機の変速比巾より拡大できる利点がある。
【特許文献1】特開平2002−21969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記第2のモードにおいては、トロイダル型無段変速機24bの出力側ディスク4Aから入力側ディスク2Aに動力が循環するモードであるため、トロイダル型無段変速機24bの変速比(=入力側ディスク回転数/出力側ディスク回転数)が小なる場合、出力側ディスク4Aに流入したトルクが1/変速比を乗じた値に増幅され入力ディスク2Aに伝達される。この際、一組の入力側ディスク2A、2B間に互いに作用する軸方向反力は押圧装置10により生じるが、この押圧装置10により生じる軸方向推力は入力側ディスク2A、2Bに伝達されるトルクに比例する。この結果、大きな軸方向推力が押圧装置10を介して入力軸11aに生じることになる。
【0010】
そのため、一組の入力側ディスク2A、2B間の軸方向反力をうける入力軸11aには、入力側ディスク2A、2Bの回転に伴う捩りトルクと軸方向反力とが同時に作用することになる。このため、入力軸11aは、これに耐えるように十分な軸径が必要となり、装置の重量や寸法の増大につながる。
【0011】
その結果、トロイダル型無段変速機の径方向の寸法が増加し、設置スペースやコストも増加するという問題がある。
【0012】
したがって、この発明の目的は、小型でかつ軽量な無段変速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、動力源により回転駆動されるバリエータ入力軸と、前記バリエータ入力軸に基づく動力を取り出す出力軸と、前記バリエータ入力軸と前記出力軸との間に配設され、入力ディスクと、出力ディスクと、前記入力ディスクと前記出力ディスクの間に傾転自在に配設されたパワーローラとからなるトロイダル型無段変速機構と、前記入力ディスクを前記パワーローラを介して前記出力ディスクに押圧するローディング機構とを備えた無段変速装置において、前記バリエータ入力軸は、前記入力ディスクを軸方向に移動可能に、かつ相対回転不能に支持する入力ディスク連結軸と、この入力ディスク連結軸と同軸上に、かつ回転自在に設けられ、前記ローディング機構が前記入力ディスクを押圧するときに生じる軸方向の反力を支持する軸力支持軸と、からなる。
【発明の効果】
【0014】
前記バリエータを軸力の反力を主に支持する軸力支持軸と、入力ディスクのトルクを専ら受ける入力ディスク連結軸とに分割したので、それぞれの軸の外径を小さくして、トータルとしてのバリエータ入力軸の外径を小さくし、十分な耐久性を確保しつつ、軽量でコンパクトな無段変速装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を適用した無段変速装置のトロイダル型無段変速機の構成を示している。
【0016】
無段変速装置は、動力源として例えばエンジンEに連結されたトルクコンバータ等の発進装置2に接続する入力軸3およびローディング機構20を備える。したがって、エンジンEの動力は、ローディング機構20を介してダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機(以下、バリエータという)22に伝達される。バリエータ22にはローディング機構20を介して動力が伝達される一対の入力ディスク14a、14bが対向して設けられる。一対の入力ディスク14a、14bは、ローディング機構20を介してバリエータ入力軸8に連動して回転する。この一対の入力ディスク14a、14bの間にはバリエータ入力軸8に対し遊嵌状態の一対の出力ディスク18が同軸的に配置される。
【0017】
入力ディスク14a、14bと出力ディスク18との間には傾転自在に転接された複数のパワーローラ16が設けられる。したがって、ローディング機構20により入力ディスク14a、14bが軸方向に押され、入力ディスク14a、14bがパワーローラ16を介して出力ディスク18に押し付けることにより、入力ディスク14a、14bの動力が出力ディスク18に伝達される。
【0018】
ここで、バリエータ入力軸8は、軸力支持軸10と入力ディスク連結軸15とから構成される。軸力支持軸10は、ローディング機構20が入力ディスク14a、14bを押圧する時に生じる軸方向反力を支持するように、ローディング機構20と相対回転可能にスラスト力を受けるアンギュラ玉軸受12a、12bにより両端を支持される。
【0019】
入力ディスク連結軸15は、軸力支持軸10と同軸上に、かつ軸力支持軸10に対して回転自在に設けられる。入力ディスク連結軸15は、一対の入力ディスク14a、14bの相対回転を禁止し、軸方向に変位可能に支持する。したがって、軸力支持軸10がローディング機構20の押圧力の反力を受け、一方、入力ディスク連結軸15が入力ディスク14a、14bの回転トルクの反力を受ける構成となる。
【0020】
さらに入力ディスク連結軸15と同軸上に一対の出力ディスク18が嵌合する出力ディスク連結軸19が回転自在に設置される。出力ディスク連結軸19には第1歯車7aが設けられ、出力ディスク18の動力が第1歯車7aを介して図示しない駆動輪等に伝達される。
【0021】
次に、作用を説明する。
【0022】
今、バリエータ22の変速比が小さい時、すなわち、High状態にある時に、アクセルペダルを急激に離した場合、減速によるエンジンブレーキトルクが図示しない駆動輪から第1歯車7aを経て出力ディスク18に作用する。この場合、出力ディスク18から見ると変速比はLow状態であるため、出力ディスク18より大きなトルクが増幅されて入力ディスク14a、14bに作用する。この増幅されたトルクは、入力ディスク14a、14bから入力ディスク連結軸15に伝達され、1つのトルクに合わされる。この合流したトルクがローディング機構20に作用し、その結果、ローディング機構20により生じた軸方向反力、即ち軸力(引張力)が軸力支持軸10に作用する。
【0023】
以上より、入力ディスク連結軸15には専らトルクが、軸力支持軸10には主に軸力が作用する。軸の応力は、トルク(捩りトルク)に対してはおおよそ軸径の1/3乗に、引張力に対してはおおよそ軸径の1/2乗に比例する。本発明では、トルクと引張力を分担する軸を、トルクを専ら分担する入力ディスク連結軸15と引張力を主に分担する軸力支持軸10に分割したので、それぞれに最適な軸径が選択出来る。その結果、バリエータ入力軸8の径方向の寸法を短縮できる。このため、バリエータ22の径寸法を小型化し、軽量でコンパクトな無段変速装置を提供することができる。
【0024】
また、軸力支持軸10は、その両端をアンギュラ玉軸受12a、12bにより支持され、軸方向反力をアンギュラ玉軸受12a、12bを介して受けるため、捩り方向のさらなるフリクションの低減が図れ、さらなる捩りトルクと張力の分離が図れる。
【0025】
なお、車両が急減速を行った場合や急降坂路をエンジンブレーキにより走行する場合などの出力ディスク18から入力ディスク14a、14bに動力が流入する場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0026】
図2に第2の実施形態として無段変速機を備えた無段変速装置の構成図を示す。この実施形態の無段変速装置は、バリエータ22と、動力源としてのエンジンEの動力を動力伝達軸1からバリエータ22に選択的に伝達する発進装置2と、複数の歯車からなる第1から第4動力伝達機構7、9、11、21と、発進装置2の動力をバリエータ22と第2動力伝達機構9とに分割して伝達する遊星歯車機構17と、第3動力伝達機構11と第4動力機構21に備えられ、歯車の回転を拘束するクラッチ4、6と、バリエータ22と出力軸19との接続を制御するクラッチ5と、およびクラッチ群4〜6を制御する制御装置23から構成される。なお、バリエータ22の構成は、図1に示すバリエータに対してローディング機構20の位置を除き略同一である。
【0027】
エンジンEに連結された動力伝達軸1は、トルクコンバータ等の発進装置2、発進装置2の出力を伝達する入力軸(タービン軸)3を介して遊星歯車機構17(差動歯車機構)のリングギヤ(第1回転要素)17eに接続される。このリングギヤ17eに伝達された動力の一部が、遊星歯車機構17のサンギヤ(第2回転要素)17aに伝達され、残りの動力がキャリヤ(第3回転要素)17dに伝達される。すなわち、遊星歯車機構17は、リングギヤ17eに伝達された動力をサンギヤ17aとキャリア17dへ分配する動力分配機構として作用する。
【0028】
サンギヤ17aに伝達された動力は、入力軸3と同軸上に配置したバリエータ入力軸8の軸力支持軸10を経てローディング機構20に伝達される。このローディング機構20を介してバリエータ22の入力ディスク14a、14bに動力が伝達されるようになっている。ここで、ローディング機構20は、バリエータ22に対して遊星歯車機構17と相反する側に設置されている。
【0029】
なお、バリエータ入力軸8は、軸力支持軸10と入力ディスク連結軸15とから構成される。軸力支持軸10は、アンギュラ玉軸受12a、12bにより両端を支持されるとともに、ローディング機構20が入力ディスク14a、14bを押し付ける軸力の反力を主に受ける。
【0030】
一対の入力ディスク14a、14bは、バリエータ22に互いに対向して設けられる。これら入力ディスク14a、14bは、軸力支持軸10と同軸上に、かつ軸力支持軸10に対して相対回転可能に設置された入力ディスク連結軸15に連結する。入力ディスク連結軸15は、入力ディスク14a、14bを軸方向に変位可能に支持するとともに、相対回転を禁止するように支持する。この一対の入力ディスク14a、14b間に、一対の出力ディスク18が入力ディスク連結軸15と同軸上に、かつ入力ディスク連結軸15に対して回転自在に配置される。この一対の出力ディスク18は、出力ディスク連結軸19に嵌合し、一体に回転する。
【0031】
入力ディスク14a、14bと出力ディスク18との間には傾転自在に転接されたパワーローラ16がそれぞれ設けられる。ローディング機構20により入力ディスク14a、14bが出力ディスク18にパワーローラ16を介して押圧されることで、動力は、パワーローラ16を介して入力ディスク14a、14bから出力ディスク18に伝達される。
【0032】
出力ディスク18は、出力ディスク連結軸19に固定された第1動力伝達機構7の第1ギヤ7aに接続する。ここで、第1動力伝達機構7は、第1ギヤ7aと、第1ギヤ7aに噛合する第2ギヤ7bと、第2ギア7bに噛合してカウンタ軸24に固定される第3ギヤ7cとから構成される。ここで、カウンタ軸24は軸力支持軸10と並行に設置される軸である。したがって、出力ディスク18の動力は、第1ギヤ7aから、第2ギヤ7b、第3ギヤ7cを介してカウンタ軸24に伝達される。
【0033】
一方、遊星歯車機構17のキャリヤ17dは、第2動力伝達機構9の第4ギヤ9aに結合する。ここで、第2動力伝達機構9は、バリエータ入力軸8と同軸上に、かつ回転自在に設置された第4ギヤ9aと、第4ギヤ9aと噛合してカウンタ軸24に固定された第5ギヤ9bで構成される。したがって、前記キャリヤ17dの動力は、第2動力伝達機構9を介して、カウンタ軸24に伝達される。
【0034】
カウンタ軸24は、前述のように第1動力伝達機構7の第2ギヤ7bと結合しているため、第1動力伝達機構7を経由した動力と第2動力伝達機構9を経由した動力とがカウンタ軸24にて合流する。
【0035】
さらに、このカウンタ軸24の一端部には第3、第4動力伝達機構11、21が配置されている。第3動力伝達機構11は、軸力支持軸10と同軸上に、かつ回転自在に設けられた第6ギヤ11aと、第6ギヤ11aに噛み合う第7ギヤ11bを備える(なお、図2では第6ギヤ11aと第7ギヤ11bが噛合していないが、実際には噛合している)。さらに、第6ギヤ11aは、出力軸19に結合するとともに、“締結”または“解放”を行える前進高速クラッチ5を介して、ローディング機構20に接続する軸力支持軸10と選択的に連結する。一方、第7ギヤ11bは、“締結”または“解放”を行える前進低速クラッチ4を介してカウンタ軸24に選択的に連結している。
【0036】
次に、第4動力伝達機構21は、カウンタ軸24に固定された第9ギヤ21aと、第9ギヤ21aと噛み合う第10ギヤ21bと、第6ギヤ11aと噛み合う第8ギヤ11cとを備える。ここで、第10ギヤ21bはカウンタ軸24と並設された第2カウンタ軸21cに固定される。第8ギヤ11cは第2カウンタ軸21cに同軸に設置され、第8ギヤ11cは“締結”または“解放”を行える後進クラッチ6を介して選択的に第2カウンタ軸21cに連結する。
【0037】
出力軸19は、前進高速クラッチ5を介してバリエータ入力軸8の軸力支持軸10に連結している。
【0038】
次に、本発明の無段変速装置の動力伝達モードを説明する。
【0039】
今、入力軸3が停止しており、かつバリエータ22が最大減速位置(最Low)にあると共に、前進高速クラッチ5と後進クラッチ6が解放状態に、前進低速クラッチ4が締結状態にあるとする。この状態から発進装置2の作用により入力軸3を所定方向に回転開始させると、この入力軸3の回転に伴って、遊星歯車機構17のリングギヤ17eが入力軸3と同方向に同一回転速度で回転する。そのとき、リングギヤ17eの動力は遊星歯車機構17のサンギヤ17aおよびキャリヤ17dの各々に分配される。サンギヤ17aに分配された動力は、バリエータ22、すなわち、軸力支持軸10、ローディング機構20、入力ディスク14、パワーローラ16、出力ディスク18を経て、第1動力伝達機構7、カウンタ軸24に伝達される。
【0040】
一方、キャリヤ17dに分配された動力は、第2動力伝達機構9を経て、カウンタ軸24に伝達される。カウンタ軸24にて合流された動力は、前進低速クラッチ4が締結状態にある第3動力伝達機構11を経て、出力軸19に所定方向の回転で、かつ動力伝達軸1よりも低速回転となるように伝達される。これが前進低速モードとなる。
【0041】
そして、前進低速モードを維持しながらバリエータ22を増速側に変速させると、出力軸19の回転速度が増加し、パワースプリット型無段変速機の速度比が増速側に変化する。
【0042】
次に、前進高速クラッチ5を締結し、前進低速クラッチ4と後進クラッチ6を解放する。この場合には、バリエータ22を通過する動力の伝達方向が前進低速モードと逆になる。すなわち、前進低速モードと同じく、リングギヤ17eの動力は、遊星歯車機構17のサンギヤ17aおよびキャリヤ17dの各々に分配されて伝達される。しかし、キャリヤ17dに分配された動力は、第2動力伝達機構9、カウンタ軸24、バリエータ22、すなわち、出力ディスク18、パワーローラ16、入カディスク5、機械式ローディング機構20を経て、軸力支持軸10に伝達される。一方、サンギヤ17aに分配された動力はバリエータ入力軸8の軸力支持軸10に伝達される。軸力支持軸10にて合流された動力は、前進高速クラッチ5を経て出力軸19に伝達される。これが前進高速モードである。
【0043】
次に、前進高速モードでの本発明の作用を説明する。バリエータ22の変速比が小なる時、すなわち、High状態にある時に、出力ディスク18から見るとLow状態であるため、入力ディスク14a、14bには増幅された大きなトルクが作用する。この入力ディスク14aに作用するトルクは入力ディスク連結軸15を経て入力ディスク14bで入力ディスク14bのトルクと合流する。この合流したトルクがローディング機構20に作用し、その結果、ローディング機構20により生じた軸方向反力、即ち軸力が軸力支持軸10に作用する。
【0044】
つまり、入力ディスク連結軸15には入力ディスク14a、14bのトルクが専ら作用し、軸力支持軸10には軸力と、遊星歯車機構17からバリエータ入力軸8に流入したトルクが作用する。バリエータ入力軸8に流入するトルクは遊星歯車機構17により動力が分配されるため比較的小さい。その結果、軸力支持軸10と入力ディスク軸15の外径を小さくすることができる。これにより、バリエータ22の径方向の寸法を短縮でき、軽量でコンパクトな無段変速装置を提供することができる。
【0045】
また、第1の実施例と異なり、ローディング機構20をバリエータ22に対し、エンジンE等の駆動源と反対側に配設したため、前進高速モードにおいて、軸力支持軸10が伝達するトルクが、エンジンE等の駆動源と同じ側に配設した場合に比較して大幅に減少出来るという効果がある。
【0046】
なお、前記各実施の形態では、トロイダル型無段変速機として、いわゆる、ハーフトロイダル型無段変速機を示したがフルトロイダル型無段変速機を使った機構でも良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、十分な耐久性を確保しつつ、軽量でコンパクトな無段変速装置を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の第1の実施形態における無段変速機の構成図。
【図2】この発明の第2の実施形態における無段変速装置の構成図。
【符号の説明】
【0049】
E…エンジン
1…動力伝達軸
2…トルクコンバータ
3…入力軸
4…前進低速クラッチ
5…前進高速クラッチ
6…後進クラッチ
7…第1動力伝達機構
8…バリエータ入力軸
9…第2動力伝達機構
10…軸力支持軸
11…第3動力伝達機構
12a、12b…アンギュラ玉軸受
14a、14b…入力ディスク
15…入力ディスク連結軸
16…パワーローラ
18…出力ディスク
19…出力軸
20…ローディング機構
21…第4動力伝達機構
21c…第2カウンタ軸
22…バリエータ
23…制御装置
24…カウンタ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源により回転駆動されるバリエータ入力軸と、
前記バリエータ入力軸に基づく動力を取り出す出力軸と、
前記バリエータ入力軸と前記出力軸との間に配設され、入力ディスクと、出力ディスクと、前記入力ディスクと前記出力ディスクの間に傾転自在に配設されたパワーローラとからなるトロイダル型無段変速機構と、
前記入力ディスクを前記パワーローラを介して前記出力ディスクに押圧するローディング機構と、
を備えた無段変速装置において、
前記バリエータ入力軸は、
前記入力ディスクを軸方向に移動可能に、かつ相対回転不能に支持する入力ディスク連結軸と、
この入力ディスク連結軸と同軸上に、かつ回転自在に設けられ、前記ローディング機構が前記入力ディスクを押圧するときに生じる軸方向の反力を支持する軸力支持軸と、
からなることを特徴とする無段変速装置。
【請求項2】
前記動力源から入力された動力を分配する動力分配機構を備え、
分配された一方の動力が前記入力ディスクを経由して前記出力ディスクに伝達され、他方の動力が前記トロイダル型無段変速機を介さずに伝達され、前記一方の動力と前記他方の動力とが合わさり、前記出力軸に伝達される第1モードと、
分配された一方の動力が前記出力ディスクから前記入力ディスクに伝達され、他方の動力が前記トロイダル型無段変速機を介さずに伝達され、前記一方の動力と前記他方の動力とが合わさり、前記出力軸に伝達される第2モードとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の無段変速装置。
【請求項3】
前記ローディング機構は、前記無段変速機構に対し、前記動力源と反対方向に配設したことを特徴とする請求項1または2に記載の無段変速装置。
【請求項4】
前記軸力支持軸は、その両端をアンギュラ玉軸受を介して前記ローディング機構に接続することを特徴とする請求項1乃至3に記載の無段変速装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−226482(P2006−226482A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43744(P2005−43744)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】