説明

無砥粒ケミカルメカニカルポリッシング組成物及びそれに関連する方法

【課題】非鉄金属からなるパターン付き半導体ウエハの研磨において、研磨作業時間を延ばすことなくトレンチ又はトラフ中の金属のディッシングを低減し、かつ配線金属残渣が生じない研磨用組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、酸化剤、非鉄金属のインヒビター、水溶性改質セルロース0〜15重量%、リン化合物0〜15重量%、炭素数2〜250のイオン親水部分を有する両親媒性ポリマー0.005〜5重量%及び水を含む。特に両親媒性ポリマーとして50〜5000の数平均分子量を有するアルキルメルカプタンで形成されたコポリマーが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ材料のケミカルメカニカルポリッシング(CMP)に関し、特に、絶縁材及びバリヤ材料の存在で半導体ウェーハ上の金属配線を研磨するためのCMP組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体ウェーハは、絶縁層を有するシリコンウェーハであって、回路配線のためのパターンを形成するために設けられた多数のトレンチを絶縁層中に含むものである。パターン配置は通常、ダマシン構造又は二重ダマシン構造を有している。バリヤ層がパターン付き絶縁層を覆い、金属層がそのバリヤ層を覆っている。金属層は、パターン付きトレンチを金属で埋めて回路配線を形成するのに少なくとも十分な厚さである。
【0003】
多くの場合、CMP加工は多数の研磨工程を含む。たとえば、第一工程が過剰な配線金属、たとえば銅を高い初期速度で除去する。第一工程の除去ののち、第二工程の研磨が、配線金属の外側のバリヤ層の上に残る金属を除去することができる。その後の研磨が、バリヤ層をその下に位置する半導体ウェーハの絶縁層から除去して、平坦な研磨面を絶縁層及び金属配線上に提供する。
【0004】
半導体基材上のトレンチ又はトラフ中の金属が、金属回路を形成する金属ラインを提供する。解消されるべき問題の一つは、研磨作業が、各トレンチ又はトラフから金属を除去して、そのような金属を凹ませるディッシングを生じさせる傾向にあることである。ディッシングは、金属回路の臨界寸法の変化を生じさせるため、望ましくない。ディッシングを減らすためには、低めの研磨圧力で研磨を実施する。しかし、単に研磨圧力を下げるだけでは、研磨をより長い時間継続しなければならなくなる。しかも、そのより長い時間全体にわたってディッシングが形成される続けるであろう。
【0005】
Schroederらの米国特許公開公報第2003/0228763号は、両親媒性非イオン界面活性剤を使用して銅ディッシング及び絶縁材エロージョンに影響を加える方法を開示している。パターン付きウェーハ研磨技術がライン幅の減少の方向に進むにつれ、研磨作業の時間を延ばすことなくトレンチ又はトラフ中の金属のディッシングを減らす方法が絶えず要望される。さらには、短い研磨時間ののち配線金属残渣のない表面を残す研磨組成物が要望される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、非鉄金属を含有するパターン付き半導体ウェーハのケミカルメカニカルポリッシングに有用な無砥粒水性組成物であって、酸化剤、非鉄金属のインヒビター、水溶性改質セルロース0〜15重量%、リン化合物0〜15重量%、炭素数2〜250のイオン親水部分を有する両親媒性ポリマー0.005〜5重量%及び水を含む組成物を提供する。
【0007】
本発明の代替態様は、非鉄金属を含有するパターン付き半導体ウェーハのケミカルメカニカルポリッシングに有用な無砥粒水性組成物であって、酸化剤0〜25重量%、非鉄金属のインヒビター0.05〜15重量%、非鉄金属の錯化剤0〜15重量%、水溶性改質セルロース0.01〜5重量%、リン化合物0.01〜10重量%、炭素数5〜100のイオン親水部分を有する数平均分子量50〜4,000の両親媒性ポリマー0.01〜3重量%及び水を含む組成物を提供する。
【0008】
本発明の代替態様は、非鉄金属を含有するパターン付き半導体ウェーハのケミカルメカニカルポリッシングの方法であって、a)ウェーハを、酸化剤、非鉄金属のインヒビター、水溶性改質セルロース0〜15重量%、リン化合物0〜15重量%、炭素数2〜250のイオン親水部分を有する両親媒性ポリマー0.005〜5重量%及び水を含む組成物と接触させること、及びb)ウェーハを研磨パッドで研磨することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
組成物及び方法は、半導体ウェーハがCMP及び両親媒性ポリマーを含有する研磨組成物に曝されたとき、超低レベルの金属配線ディッシングで良好な金属除去速度及び十分な金属掃去を提供する。場合によっては、組成物は、水溶性改質セルロース、水混和性有機溶媒及びリン化合物を含有してもよい。溶液は無砥粒であり、いかなる砥粒をも要しない。
【0010】
本明細書に関していう両親媒性ポリマーとは、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロックコポリマーである。疎水性セグメントは、2〜250の炭素数を有するポリマー鎖であることができる。本明細書に関して、炭素数は、親水性セグメント中の炭素原子の数を表す。炭素数は、好ましくは5〜100であり、もっとも好ましくは5〜50である。親水性セグメントはイオン性である。親水性セグメントのモノマー単位の数は、好ましくは1〜100である。有利には、組成物は、これらの両親媒性ポリマーを0.005〜5重量%含有する。好ましくは、組成物は、これらの両親媒性ポリマーを0.01〜3重量%含有する。好ましくは、組成物は、これらの両親媒性ポリマーを0.05〜2重量%含有する。
【0011】
両親媒性ポリマーの好ましい数平均分子量は50〜5,000である。本明細書は、両親媒性ポリマーの分子量を数平均分子量として表す。より好ましくは、数平均分子量は50〜4,000であり、もっとも好ましくは、数平均分子量は100〜3,000である。イオンセグメントは、カチオン、アニオン及び両性イオン(高分子両性電解質及びポリベタイン)を含む。好ましくは、親水性セグメントはアニオン性であり、たとえばポリアクリル酸又はポリメタクリル酸である。親水性セグメントは、好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸又はアクリル酸とメタクリル酸とのコポリマーを含有する。これらのセグメントのコポリマーへの組み合わせが、金属配線の過度なディッシングなしに掃去を促進する、それぞれのホモポリマーとは異なる性質を有する分子を作り出す。ポリマーの疎水端は、炭化水素鎖又はアルキルメルカプタンを含むことができる。もっとも好ましくは、疎水性セグメントと親水性セグメントとがコポリマーの形態で組み合わさる。
【0012】
場合によっては、組成物は、水混和性有機溶媒を0〜10重量%含有する。本明細書は、すべての組成範囲を重量%で表す。通常、このような水混和性有機溶媒は、アルコール類又はケトン類、たとえばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、アセトン及びメチルエチルケトンの少なくとも一つである。有利には、組成物は、これらの有機溶媒を0.005〜10重量%含有する。好ましくは、組成物は、これらの有機溶媒を0.01〜7.5重量%含有する。もっとも好ましくは、組成物は、これらの有機溶媒を0.02〜5重量%含有する。
【0013】
本発明は、銅配線で特に有用であるが、本水性研磨組成物はまた、他の非鉄金属配線、たとえばアルミニウム、金、ニッケル、白金族金属、銀、タングステン及びそれらの合金の研磨をも増強する。
【0014】
場合によっては、組成物は、水溶性セルロースを0〜15重量%含有する。好ましくは、組成物は、水溶性セルロースを0.01〜5.0重量%含有する。もっとも好ましくは、組成物は、水溶性セルロースを0.05〜1.5重量%含有する。典型的な改質セルロースは、アニオン性ガム、たとえばアガーガム、アラビアガム、ガッチガム、カラヤガム、グアーガム、ペクチン、ローカストビーンガム、トラガカントガム、タマリンドガム、カラゲナンガム及びキサンタンガムの少なくとも一つ、改質デンプン、アルギン酸、マンヌロン酸、グル(ク)ロン酸ならびにそれらの誘導体及びコポリマーである。好ましい水溶性セルロースであるカルボキシメチルセルロース(CMC)は、1K〜1,000Kの重量平均分子量で0.1〜3.0の置換度を有する。より好ましいCMCは、40K〜250Kの重量平均分子量で0.7〜1.2の置換度を有する。CMCの置換度は、置換されるセルロース分子中の各無水グルコース単位上のヒドロキシル基の数である。これは、CMC中のカルボン酸基の「密度」の尺度と見なすことができる。
【0015】
溶液は酸化剤を含有する。好ましくは、溶液は、酸化剤を0〜25重量%含有する。より好ましくは、酸化剤は、5〜10重量%の範囲である。酸化剤は、低いpH範囲で銅を除去する場合に溶液を支援するのに特に有効である。酸化剤は、多数の酸化性化合物、たとえば過酸化水素(H22)、一過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過フタル酸マグネシウム、過酢酸及び他の過酸、過硫酸塩、臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、硝酸塩、鉄塩、セリウム塩、Mn(III)、Mn(IV)及びMn(VI)塩、銀塩、銅塩、クロム塩、コバルト塩、ハロゲン、次亜塩素酸塩ならびにそれらの混合物の少なくとも一つであることができる。さらには、酸化剤化合物の混合物を使用することがしばしば有利である。研磨スラリーが不安定な酸化剤、たとえば過酸化水素を含有する場合、多くの場合、使用の時点で酸化剤を組成物に混合させることが非常に有利である。
【0016】
さらには、溶液は、静的エッチング又は他の除去機構による非鉄金属の除去、たとえば銅配線除去速度を制御するため、インヒビターを含有する。インヒビターの濃度を調節することが、静的エッチングから金属を保護することによって配線金属除去速度を調節する。好ましくは、溶液は、インヒビターを0.05〜15重量%含有する。もっとも好ましくは、溶液は、インヒビターを0.2〜1.0重量%含有する。インヒビターは、インヒビターの混合物からなるものでもよい。銅及び銀配線にはアゾールインヒビターが特に有効である。典型的なアゾールインヒビターとしては、ベンゾトリアゾール(BTA)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、トリトリアゾール(TTA)及びイミダゾールがある。アゾールインヒビターのブレンドが銅除去速度を増減することができる。銅及び銀にはBTAが特に効果的なインヒビターである。
【0017】
インヒビターに加えて、組成物は、場合によっては、非鉄金属の錯化剤を含有する。錯化剤は、銅のような金属膜の除去速度を加速することができる。好ましくは、組成物は、非鉄金属の錯化剤を0〜15重量%含有する。もっとも好ましくは、組成物は、非鉄金属の錯化剤を0.1〜1重量%含有する。典型的な錯化剤としては、酢酸、クエン酸、アセト酢酸エチル、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、チオグリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、エチレンジアミン、トリメチルジアミン、マロン酸、gluteric(グルタル)酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、グルコン酸、ピロカテコール、ピロガロール、タンニン酸ならびにそれらの塩及び混合物がある。好ましくは、錯化剤は、酢酸、クエン酸、アセト酢酸エチル、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、シュウ酸及びそれらの混合物からなる群より選択される。もっとも好ましくは、錯化剤はリンゴ酸である。
【0018】
場合によっては、組成物は、リン含有化合物を0〜15重量%含有する。本明細書に関して、「リン含有化合物」は、リン原子を含有する化合物である。好ましいリン含有化合物は、たとえば、ホスフェート、ピロホスフェート、ポリホスフェート、ホスホネートならびにそれらの酸、塩、混合酸塩、エステル、部分エステル、混合エステル及びそれらの混合物、たとえばリン酸である。特に、好ましい水性研磨組成物は、たとえば以下のリン含有化合物、すなわちリン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、ポリリン酸亜鉛、ホスホン酸亜鉛、リン酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、ホスホン酸アンモニウム、リン酸二アンモニウム、ピロリン酸二アンモニウム、ポリリン酸二アンモニウム、ホスホン酸二アンモニウム、リン酸グアニジン、ピロリン酸グアニジン、ポリリン酸グアニジン、ホスホン酸グアニジン、リン酸鉄、ピロリン酸鉄、ポリリン酸鉄、ホスホン酸鉄、リン酸セリウム、ピロリン酸セリウム、ポリリン酸セリウム、ホスホン酸セリウム、リン酸エチレンジアミン、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ホスホン酸ピペラジン、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホスホン酸メラミン、リン酸メラム、ピロリン酸メラム、ポリリン酸メラム、ホスホン酸メラム、リン酸メレム、ピロリン酸メレム、ポリリン酸メレム、ホスホン酸メレム、リン酸ジシアノジアミド、リン酸尿素ならびにそれらの酸、塩、混合酸塩、エステル、部分エステル、混合エステル及びそれらの混合物を使用して調製することができる。また、ホスホネート、ホスファイト及びホスフィネートのホスフィンオキシド、ホスフィンスルフィド及びホスホリナンならびにそれらの酸、塩、混合酸塩、エステル、部分エステル及び混合エステルを使用してもよい。好ましいリン含有化合物はリン酸アンモニウムである。
【0019】
有利には、本発明の研磨組成物のリン含有化合物は、低いダウンフォース圧力で研磨速度を増すのに有効な量で存在する。研磨組成物中の極微量のリン含有化合物でさえ、銅を研磨するのに有効であると考えられる。組成物の0.01〜10重量%の量のリン含有化合物を使用することにより、許容しうる研磨ダウンフォース圧力で満足な研磨速度が得られる。リン含有化合物に好ましい範囲は、組成物の0.1〜5重量%である。もっとも好ましくは、リン含有化合物は、組成物の0.3〜2重量%である。
【0020】
化合物は、残余として水を含有する溶液中、広いpH範囲で効力を提供する。この溶液の有効pH範囲は少なくとも2〜5である。加えて、溶液は、好ましくは、偶発的な不純物を制限するため、残余として脱イオン水に依存する。本発明の研磨流体のpHは、好ましくは2〜4、より好ましくは2.5〜4である。本発明の組成物のpHを調節するために使用される酸は、たとえば硝酸、硫酸、塩酸、リン酸などである。本発明の組成物のpHを調節するために使用される典型的な塩基は、たとえば水酸化アンモニウム及び水酸化カリウムである。
【0021】
本発明の組成物は、導電性金属、たとえば銅、アルミニウム、タングステン、白金、パラジウム、金又はイリジウム、バリヤ又はライナー膜、たとえばタンタル、窒化タンタル、チタン又は窒化チタン及び下に位置する絶縁層を含有するあらゆる半導体ウェーハに適用可能である。本明細書に関して、絶縁材とは、low−k及び超low−k絶縁材料を含む、誘電率kの半導電性材料をいう。組成物及び方法は、多数のウェーハ成分、たとえば多孔性及び非孔性のlow-k絶縁材、有機及び無機low-k絶縁材、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、フルオロケイ酸塩ガラス(FSG)、炭素ドープ酸化物(CDO)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)及びTEOSから誘導されるシリカのエロージョンを防止するのに優れている。本発明の組成物はまた、ECMP(エレクトロケミカルメカニカルポリッシング)にも使用することができる。
【実施例】
【0022】
本発明のいくつかの実施態様を以下の実施例で詳細に説明する。これらの実施例では、コポリマー組成物の重量%固形分は、重量分析によって測定した。数平均分子量は、水性ゲル透過クロマトグラフィーにより、直列にしたTSK-GEL pn/08025 GMPWx及びTSK-GEL pn/08020 G2500PWxカラムを屈折率検出器及びリン酸ナトリウム緩衝溶離液とともに使用して測定した。
【0023】
実施例1:ドデシルメルカプタン終端化アクリル酸ブロックコポリマーC12−S−(AA)30の調製
重合は、攪拌機、温度制御装置、凝縮器、モノマー供給ライン、触媒供給ライン、連鎖移動剤供給ライン及び窒素スイープを備えた1リットルの四つ口丸底反応フラスコで実施した。これらの成分を以下の順序にしたがって加えた。tert−ブチルアルコール190gをフラスコに仕込み、窒素スイープ下、80〜82℃に加熱した。tert−ブチルアルコール50g及びアクリル酸192.6gをモノマー供給タンクに仕込んだ。tert−ブチルアルコール10g及びn−ドデシルメルカプタン19.0gを連鎖移動剤供給タンクに仕込んだ。tert−ブチルアルコール24g及びtert−ブチルペルオキシピバレート4.8gを開始剤供給タンクに仕込んだ。82℃に達したところで、3成分の供給を同時に開始した。モノマーは、毎分2.1gの速度で2時間供給した。連鎖移動剤は、毎分0.25gの速度で2時間供給した。開始剤は、毎分0.21gの速度で2時間供給した。反応物を80〜82℃に維持した。供給が完了したところで、tert−ブチルアルコール5gをモノマー供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール5gを連鎖移動剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール7gを開始剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。次いで、温度を80〜82℃に維持しながら1時間かけて脱イオン水202gを反応フラスコに供給した。反応物を65℃に冷まし、硫酸第一鉄、tert−ブチルペルオキシド及びホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムの添加によって残留モノマーを還元した。反応物を室温まで冷ました。固形分29.3重量%の明澄な溶液を得た。数平均分子量は、水性ゲル透過クロマトグラフィーによる測定で、2134であった。この溶液を真空オーブン中、室温で終夜乾燥させると、白色固体が得られた。
【0024】
実施例2:ドデシルメルカプタン終端化アクリル酸ブロックコポリマーC12−S−(AA)10の調製
重合は、攪拌機、温度制御装置、凝縮器、モノマー供給ライン、触媒供給ライン、連鎖移動剤供給ライン及び窒素スイープを備えた1リットルの四つ口丸底反応フラスコで実施した。これらの成分を以下の順序にしたがって加えた。tert−ブチルアルコール190gをフラスコに仕込み、窒素スイープ下、80〜82℃に加熱した。tert−ブチルアルコール50g及びアクリル酸192.6gをモノマー供給タンクに仕込んだ。tert−ブチルアルコール30g及びn−ドデシルメルカプタン53.1gを連鎖移動剤供給タンクに仕込んだ。tert−ブチルアルコール24g及びtert−ブチルペルオキシピバレート4.8gを開始剤供給タンクに仕込んだ。82℃に達したところで、3成分の供給を同時に開始した。モノマーは、毎分2.1gの速度で2時間供給した。連鎖移動剤は、毎分0.70gの速度で2時間供給した。開始剤は、毎分0.21gの速度で2時間供給した。反応物を80〜82℃に維持した。供給が完了したところで、tert−ブチルアルコール5gをモノマー供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール5gを連鎖移動剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール7gを開始剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。次いで、tert−ブチルアルコール240gを反応フラスコに加え、反応物を80〜82℃で1時間保持した。反応物を室温まで冷ました。固形分30.1重量%の明澄な溶液を得た。数平均分子量は、水性ゲル透過クロマトグラフィーによる測定で、796であった。この溶液を真空オーブン中、室温で終夜乾燥させると、白色固体が得られた。
【0025】
実施例3:ドデシルメルカプタン終端化メタクリル酸ブロックコポリマーC12−S−(MAA)30の調製
重合は、攪拌機、温度制御装置、凝縮器、モノマー供給ライン、触媒供給ライン、連鎖移動剤供給ライン及び窒素スイープを備えた1リットルの四つ口丸底反応フラスコで実施した。これらの成分を以下の順序にしたがって加えた。1−プロパノール190gをフラスコに仕込み、窒素スイープ下、80〜82℃に加熱した。1−プロパノール50g及びメタクリル酸192.6gをモノマー供給タンクに仕込んだ。1−プロパノール10g及びn−ドデシルメルカプタン16.0gを連鎖移動剤供給タンクに仕込んだ。1−プロパノール24g及びtert−ブチルペルオキシピバレート4.8gを開始剤供給タンクに仕込んだ。82℃に達したところで、3成分の供給を同時に開始した。モノマーは、毎分2.1gの速度で2時間供給した。連鎖移動剤は、毎分0.25gの速度で2時間供給した。開始剤は、毎分0.21gの速度で2時間供給した。反応物を80〜82℃に維持した。供給が完了したところで、tert−ブチルアルコール5gをモノマー供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール5gを連鎖移動剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール7gを開始剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。次いで、1−プロパノール299.5gを反応フラスコに加え、反応物を80〜82℃で1時間保持した。反応物を室温まで冷ました。固形分29.9重量%の明澄な溶液を得た。数平均分子量は、水性ゲル透過クロマトグラフィーによる測定で、2347であった。この溶液を真空オーブン中、室温で終夜乾燥させると、白色固体が得られた。
【0026】
実施例4:ドデシルメルカプタン終端化メタクリル酸ブロックコポリマーC12−S−(MAA)10の調製
重合は、攪拌機、温度制御装置、凝縮器、モノマー供給ライン、触媒供給ライン、連鎖移動剤供給ライン及び窒素スイープを備えた1リットルの四つ口丸底反応フラスコで実施した。これらの成分を以下の順序にしたがって加えた。1−プロパノール190gをフラスコに仕込み、窒素スイープ下、80〜82℃に加熱した。1−プロパノール50g及びメタクリル酸192.6gをモノマー供給タンクに仕込んだ。1−プロパノール30g及びn−ドデシルメルカプタン44.6gを連鎖移動剤供給タンクに仕込んだ。1−プロパノール24g及びtert−ブチルペルオキシピバレート4.8gを開始剤供給タンクに仕込んだ。82℃に達したところで、3成分の供給を同時に開始した。モノマーは、毎分2.1gの速度で2時間供給した。連鎖移動剤は、毎分0.62gの速度で2時間供給した。開始剤は、毎分0.21gの速度で2時間供給した。反応物を80〜82℃に維持した。供給が完了したところで、tert−ブチルアルコール5gをモノマー供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール5gを連鎖移動剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール7gを開始剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。反応物を80〜82℃で1時間保持した。反応物を室温まで冷ました。固形分45.3重量%の明澄な溶液を得た。数平均分子量は、水性ゲル透過クロマトグラフィーによる測定で、1144であった。この溶液を真空オーブン中、室温で終夜乾燥させると、白色固体が得られた。
【0027】
実施例5:オクタデシルメルカプタン終端化メタクリル酸ブロックコポリマーC18−S−(MAA)30の調製
重合は、攪拌機、温度制御装置、凝縮器、モノマー供給ライン、触媒供給ライン、連鎖移動剤供給ライン及び窒素スイープを備えた1リットルの四つ口丸底反応フラスコで実施した。これらの成分を以下の順序にしたがって加えた。tert−ブチルアルコール180gをフラスコに仕込み、窒素スイープ下、80〜82℃に加熱した。tert−ブチルアルコール50g及びアクリル酸192.6gをモノマー供給タンクに仕込んだ。オクタデシルメルカプタン25.1gを蒸気浴でtert−ブチルアルコール20gに溶解したのち、連鎖移動剤供給タンクに仕込んだ。tert−ブチルアルコール24g及びtert−ブチルペルオキシピバレート4.8gを開始剤供給タンクに仕込んだ。82℃に達したところで、3成分の供給を同時に開始した。モノマーは、毎分2.1gの速度で2時間供給した。連鎖移動剤は、毎分0.62gの速度で2時間供給した。開始剤は、毎分0.21gの速度で2時間供給した。反応物を80〜82℃に維持した。供給が完了したところで、tert−ブチルアルコール5gをモノマー供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール15gを連鎖移動剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。tert−ブチルアルコール7gを開始剤供給タンクに加え、反応フラスコに供給した。次いで、脱イオン水202gを反応フラスコに加え、反応物を80〜82℃で1時間保持した。反応物を65℃に冷まし、硫酸第一鉄、tert−ブチルペルオキシド及びホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムの添加によって残留モノマーを還元した。反応物を室温まで冷ました。固形分28.6重量%の明澄な溶液を得た。数平均分子量は特定しなかった。この溶液を真空オーブン中、室温で終夜乾燥させると、白色固体が得られた。
【0028】
実施例6 研磨速度
この実施例では、すべての組成物は、pH3.5でBTA0.50重量%、リンゴ酸0.22重量%、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.32重量%、メチルアルコール1.0重量%、両親媒性ポリマー0.10重量%、リン酸アンモニウム0.50重量%及び過酸化水素9.00重量%を含有するものであった。pHは硝酸で調節し、残余は脱イオン水であった。IPEC 472研磨機により、IC1000(商標)ポリウレタン研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Technologies)を、異なるダウンフォース条件下、160cc/minの研磨溶液流量、80rpmのプラテン速度及び75rpmのキャリヤ速度で使用してCuシートウェーハを研磨して、除去速度をÅ/min単位で測定した。Kinikダイアモンド研磨ディスクで研磨パッドをコンディショニングした。
【0029】
【表1】

【0030】
上記データは、両親媒性ポリマーC12−S−(AA)30及びC12−S−(MAA)30がいずれも許容可能な銅除去速度を提供すること、また、C12−S−(MAA)30のようなアルキルメルカプタン/メタクリル酸コポリマーが最大の除去速度増加を提供することを示す。
【0031】
実施例7 研磨掃去速度
この実施例では、すべての組成物は、pH3.5でBTA0.50重量%、リンゴ酸0.22重量%、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.32重量%、メチルアルコール1.00重量%、リン酸アンモニウム0.50重量%及び過酸化水素9.00重量%を含有するものであった。pHは硝酸で調節し、残余は脱イオン水であった。
【0032】
実験は、銅研磨速度を計測し、適度なダウンフォース圧力での半導体ウェーハからの残留銅の掃去を測定した。特に、試験は、研磨速度、掃去時間及び残留銅掃去に対する、Rohm and Haasポリマードデシルメルカプタン終端化メタクリル酸ブロックコポリマーC12−S−(MAA)300.1重量%の使用の影響を測定した。掃去時間は、EPD2−EPD1(秒単位)と定義する。EPD1は、銅層を通してバリヤ層の最初の兆しが検出された初期終点検出時である。EPD2は、検出器がバリヤ層しか見なくなった検出時である。図1は、この掃去時間の定義をグラフで示す。ISRM検出システムを備えたApplied Materials社のMirra 200mm研磨機により、IC1010(商標)ポリウレタン研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP社)を、2psi(13.8kPa)のダウンフォース条件下、150cc/minの研磨溶液流量、80rpmのプラテン速度及び40rpmのキャリヤ速度で使用して、試料を平坦化した。Kinikダイアモンド研磨ディスクで研磨パッドをコンディショニングした。
【0033】
Rohm and HaasポリマーC12−S−(MAA)30は、メルカプタン連鎖移動剤及びメタクリル酸を用いる溶液重合によって製造した。この特定のコポリマーは、低い分子量に合わせたものであった。低分子ブロックコポリマーであった。
【0034】
【表2】

【0035】
表2に示すように、Rohm and HaasポリマーC12−S−(MAA)30を0.10重量%添加すると、良好な銅除去速度が低いディッシングとともに得られた。両親媒性ポリマーは、高密度銅フィーチャを研磨するの特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】掃去時間をグラフで表した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非鉄金属を含有するパターン付き半導体ウェーハのケミカルメカニカルポリッシングに有用な無砥粒水性組成物であって、酸化剤、非鉄金属のインヒビター、水溶性改質セルロース0〜15重量%、リン化合物0〜15重量%、炭素数2〜250のイオン親水部分を有する両親媒性ポリマー0.005〜5重量%及び水を含む組成物。
【請求項2】
前記両親媒性ポリマーが50〜5,000の数平均分子量を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記両親媒性ポリマーが、アクリル酸又はメタクリル酸で形成されたコポリマーである、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記両親媒性ポリマーがアルキルメルカプタン/メタクリル酸ブロックコポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
非鉄金属を含有するパターン付き半導体ウェーハのケミカルメカニカルポリッシングに有用な無砥粒水性組成物であって、酸化剤0〜25重量%、非鉄金属のインヒビター0.05〜15重量%、非鉄金属の錯化剤0〜15重量%、水溶性改質セルロース0.01〜5重量%、リン化合物0.01〜10重量%、炭素数5〜100のイオン親水部分を有する数平均分子量50〜4,000の両親媒性ポリマー0.01〜3重量%及び水を含む組成物。
【請求項6】
前記両親媒性ポリマーが100〜3,000の数平均分子量を有する、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記両親媒性ポリマーが、アクリル酸又はメタクリル酸で形成されたコポリマーである、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
前記両親媒性ポリマーがアルキルメルカプタン/メタクリル酸コポリマーである、請求項5記載の組成物。
【請求項9】
非鉄金属を含有するパターン付き半導体ウェーハのケミカルメカニカルポリッシングの方法であって、a)前記ウェーハを、酸化剤、非鉄金属のインヒビター、水溶性改質セルロース0〜15重量%、リン化合物0〜15重量%、炭素数2〜250のイオン親水部分を有する両親媒性ポリマー0.005〜5重量%及び水を含む組成物と接触させること、及びb)前記ウェーハを研磨パッドで研磨することを含む方法。
【請求項10】
前記接触が前記パターン付き半導体ウェーハから銅を除去する、請求項9記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−165541(P2006−165541A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−338383(P2005−338383)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(504089426)ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】