無線システム
【課題】 簡便な構成であっても広い範囲での使用が可能で、かつ低価格の無線システムを提供する。
【解決手段】 移動体無線装置a,b,cがアドホック通信手段で基準無線装置R1に到達するまでに経由する無線装置数の計測結果を利用して、各移動体無線装置の位置を決定する。
【解決手段】 移動体無線装置a,b,cがアドホック通信手段で基準無線装置R1に到達するまでに経由する無線装置数の計測結果を利用して、各移動体無線装置の位置を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムにおいて、各無線装置の位置を決定することが可能な無線システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体等の物体の追跡、探索を行う方法としては、GPS(Global Positioning System)や携帯端末を用いた無線通信技術が普及している。
【0003】
図15は、従来の無線システムを示す図である。移動体位置検出の基準となる基準無線装置R11、R12、R13から送信された電波は移動体無線装置aで受信し、該信号を送信元である各基準無線装置R11、R12、R13に各々返信する。各基準無線装置R11、R12、R13では同一電波の送信と受信の時差を用いて、各基準無線装置R11、R12、R13から移動体無線装置aまでの距離を推測し、三角測量法により移動体無線装置aの位置を検出する。このような無線システムおよび位置検出方法は、例えば特許文献1に示されている。
【0004】
上述の無線システムは、電波の送信と受信の時差を検出して基準無線装置から位置検出対象の移動体無線装置までの距離を割り出すために、正確に時差を測定する必要があるが、そのために基準無線装置のCPUをはじめとする機器構成が複雑化する。
【0005】
さらに、移動体無線装置は、三角測量法を用いて位置検出するが故に、少なくとも2台の基準無線装置の直接的な通信範囲内に存在していないと、位置検出不能となるため、広範囲での使用に対しては、基準無線装置の通信距離を伸ばすか、もしくは、多数の基準無線装置を使用範囲内に配さなければならない。従って、使用可能範囲が限定されると共にシステム全体も高価格となるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−152799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、広い範囲での使用が可能で、かつ低価格の無線システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線システムは、アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムであって、位置計測の基準となる基準無線装置と、複数の移動体無線装置がアドホック通信手段で基準無線装置に到達するまでに経由する無線装置数の計測結果を利用して、各移動体無線装置の位置を決定する。
【0009】
本発明によれば、アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムであって、位置計測の基準となる複数の基準無線装置と、1以上の移動体無線装置からなり、前記基準無線装置と通信を行うために経由する前記移動体無線装置数を計数し、前記各基準無線装置における前記計数値を用いて前記各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0010】
本発明によれば、前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記第1の基準無線装置における前記計数値に応じて、前記第1の等分割点の組上に前記移動体無線装置を仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0011】
本発明によれば、前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との差を2等分した値に応じて、前記第1の等分割点の組上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0012】
本発明によれば、前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との、少ない方の値に応じて、前記第1の等分割点の組上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0013】
本発明によれば、第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記第1及び第2の基準無線装置間の距離を、第1の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、第3の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記第3及び第4の基準無線装置間の距離を、第3の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記第1および第3の基準無線装置における前記計数値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0014】
本発明によれば、第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの前記基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第1および第2の基準無線装置間の距離を、第1および第2の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との差を2等分した第1の値と、第3の基準無線装置および第4の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第3および第4の基準無線装置間の距離を、第3および第4の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第3の基準無線装置の計数値と第4の基準無線装置の計数値との差を2等分した第2の値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0015】
本発明によれば、第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第1および第2の基準無線装置間の距離を、第1および第2の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における第1の前記基準無線装置の計数値と第2の前記基準無線装置の計数値との少ない方を選択した第1の値と、第3の基準無線装置および第4の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第3および第4の基準無線装置間の距離を、第3および第4の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第3の基準無線装置の計数値と第4の基準無線装置の計数値の少ない方を選択した第2の値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0016】
本発明によれば、前記無線システムにおいて、前記計数値に特定の重み付け関数を適用して、前記移動体無線装置を再仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、広い範囲での使用が可能で、かつ使用範囲の変更も容易な、低価格の無線システムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の無線システムは、アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムであって、1以上の移動体無線装置と、これらの移動体無線装置の位置を特定するための位置計測の基準となる少なくとも2台の基準無線装置で構成される。前記複数の移動体無線装置は、アドホック的に接続されて通信を行う。基準無線装置は移動せず、その位置関係や配置間隔は明確化されている。
【0019】
任意の移動体無線装置は、任意の基準無線装置から送信された電波を、直接もしくは、該基準無線装置と該移動体無線装置の間に存在するその他の移動体無線装置を1台もしくは複数経由して受信し、電波を返信する。該基準無線装置は、該無線装置と通信するために経由した無線装置の数を計数記録し、複数の基準無線装置における経由した無線装置の計数値をもとに各移動体無線装置の位置を決定する。なお、基準無線装置であっても、必要に応じて移動体無線装置と同等とみなしてもよい。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例を示す図で、基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2は、あらかじめ位置が明確化されており、直線距離Dだけ離れて配置されている。また、基準無線装置R1と基準無線装置R2の間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置cがある。
【0022】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するためには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、基準無線装置R1は移動体無線装置aと直接通信するので、移動体無線装置aまでの移動体無線装置経由数(ホップ数)すなわち計数値h1は1となる。移動体無線装置bは、基準無線装置R1から移動体無線装置aを経由して通信するので、計数値h1は2となる。同様に移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4となる。
【0023】
図2は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。前述の通り、基準無線装置R1と基準無線装置R2の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をDとする。続いて、距離Dを計数値h1の最大値4で等分し、基準無線装置R1の位置を基点(h1=0)として、基準無線装置R2の位置を終点(h1=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値h1に応じて、距離D上の等分割点上に仮想配置する。
【0024】
従って、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1であるので、基準無線装置R1からD/4の位置、同様に移動体無線装置bは、計数値h1=2であるので、基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、計数値h1=3であるので、基準無線装置R2からD/4の位置に直線上に配置されていると認識する。
【0025】
ここで、実際の配置を示す図1と、検出した配置を示す図2を比較する。各移動体無線装置間の離間距離に誤差はあるものの、近似的には、同一である。なお、実際の配置が、図1のようにほぼ直線上に配されている場合は、理論上、基準無線装置R2を基準として、同様の測定を行っても、検出結果に大差が生じることはない。従って、図1のような直線配置の場合は、基準無線装置R1もしくは基準無線装置R2のいずれか一方を基準とした計数値を用いて移動体無線装置の位置を検出することができる。なお、検出精度向上のために、双方の計数値を用いて移動体無線装置の位置を検出するのも好ましいが、無線システムの簡略化、低価格化には、いずれか一方のみの計数値を用いて位置検出するのが、より好ましい。
【0026】
(実施例2)
図3は、本発明の実施例を示す図で、実施例1(図1)の配置に、移動体無線装置dが追加された場合の基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2は、あらかじめ位置が明確化されており、直線距離Dだけ離れて配置されている。また、基準無線装置R1と基準無線装置R2の間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置cがあり、移動体無線装置cの近傍に移動体無線装置dがある。
【0027】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h1は1となる。移動体無線装置bの計数値h1は2、移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4となる。移動体無線装置dは、移動体無線装置bの近傍に位置しているものの、この場合は、移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置cを経由して基準無線装置R1と通信するので、計数値h1は4となる。
【0028】
図4は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をDとする。続いて、距離Dを計数値h1の最大値4で等分し、基準無線装置R1の位置を基点(h1=0)として、基準無線装置R2の位置を終点(h1=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値h1に応じて、距離D上の等分割点上に仮想配置する。
【0029】
従って、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1であるので、基準無線装置R1からD/4の位置、同様に移動体無線装置bは、計数値h1=2であるので、基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、計数値h1=3であるので、基準無線装置R2からD/4の位置、移動体無線装置dは、計数値h1=4であるので、基準無線装置R2近傍にほぼ直線上に配置されていると認識する。
【0030】
ここで、実際の配置を示す図3と、検出した配置を示す図4を比較する。移動体無線装置dを除き、全体としては、近似的に同一である。なお、移動体無線装置dの計数値h1は、移動体無線装置aのみ経由すれば2、移動体通信装置aおよびbを経由すれば3となり、正確に測定することは困難であるが、高検出精度が要求されずかつ無線システムの簡略化、低価格化を優先する場合は、充分に実用可能である。
【0031】
(実施例3)
図5は、本発明の実施例を示す図で、基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2は、あらかじめ位置が明確化されており、直線距離Dだけ離れて配置されている。また、基準無線装置R1と基準無線装置R2の間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置cがあり、移動体無線装置cの近傍に移動体無線装置dがある。
【0032】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h1は1となる。移動体無線装置bの計数値h1は2、移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4となる。移動体無線装置dは、移動体無線装置bの近傍に位置しているものの、この場合の計数値h1は4である。
【0033】
続いて、基準無線装置R2を基準として、同様に各移動体通信装置の計数値h2を求める。基準無線装置R2を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h2は3、移動体無線装置bの計数値h2は2、移動体無線装置cの計数値h2は1、基準無線装置R1は、基準無線装置R2からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R1の計数値h2は4となる。移動体無線装置dのこの場合の計数値h2は2である。
【0034】
図6は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をDとする。続いて、距離Dを計数値h1およびh2の最大値4で等分し、基準無線装置R1の位置を基点(h1=0)として、基準無線装置R2の位置を終点(h1=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値h1に応じて、距離D上の等分割点上に仮想配置する。
【0035】
次に、基準無線装置R2の位置を基点(h2=0)として、基準無線装置R1の位置を終点(h2=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値h2に応じて、距離D上の等分割点上に仮想配置する。
【0036】
従って、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、基準無線装置R1からD/4の位置、同様に移動体無線装置bは、計数値h1=2、h2=2であるので、基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、計数値h1=3、h2=1であるので、基準無線装置R2からD/4の位置にほぼ直線上に配置されていると認識する。移動体無線装置dは、計数値h1=4、h2=2であるので、移動体無線装置b近傍もしくは基準無線装置R2近傍のいずれかに配置されていると認識するか、または特定不能と認識する。誤差を容認して認識するか、特定不能と認識するかは無線システムにおける設計事項である。
【0037】
ここで、実際の配置を示す図5と、検出した配置を示す図6を比較する。移動体無線装置dを除き、計数値h1を元にした各移動体無線装置の配置と計数値h2を元にした各移動体無線装置の配置は、近似的に同一である。移動体無線装置dの位置は前述の通り、特定できない。
【0038】
図7は、本発明の実施例を示す図で、図6に示した本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係に重み付けを行った結果を示す。重み付けとは、計数値h1およびh2に、特定の関数を適用して、前記仮想配置を再度行うことと定義する。
【0039】
重み付け関数として、「(計数値h1−計数値h2)/2」を採用する。この関数は、異なる基準無線装置から得た各移動体無線装置の計数値を平準化し、基準無線装置R1およびR2の中間地点からのずれの方向と距離を求めるものである。
【0040】
重み付けの結果、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、関数値が−1であるので、基準無線装置R1からD/4の位置、移動体無線装置bは、関数値が0であるので、基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、関数値1であるので、基準無線装置R2からD/4の位置、移動体無線装置dは、関数値1であるので、基準無線装置R2からD/4の位置(移動体無線装置c近傍)にほぼ直線上に配置されていると認識する。
【0041】
ここで、実際の配置を示す図5と、検出した配置を示す図7を比較する。移動体無線装置dを含み、各移動体無線装置の配置は、近似的に同一であり、図6と比較すると検出精度が格段に向上している。
【0042】
(実施例4)
図8は、本発明の実施例を示す図で、図6に示した本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係に他の重み付けを行った結果を示す。重み付けとは、計数値h1およびh2に、特定の関数を適用して、前記仮想配置を再度行うことと定義する。
【0043】
重み付け関数として、「計数値h1と計数値h2のいずれか少ない値、同値の場合は計数値h1を選択する」を採用する。この関数は、各移動体無線装置のより近傍にある基準無線装置の計数値の方が、信頼性が高いものと仮定して適用するものである。
【0044】
重み付けの結果、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、h1を採用して基準無線装置R1からD/4の位置、同様に移動体無線装置bは、計数値h1=2、h2=2であるので、h1を採用して基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、計数値h1=3、h2=1であるので、h2を採用して、基準無線装置R2からD/4の位置、移動体無線装置dは、計数値h1=4、h2=2であるので、h2を採用して基準無線装置R2からD/4の位置(移動体無線装置c近傍)にほぼ直線上に配置されていると認識する。
【0045】
ここで、実際の配置を示す図5と、検出した配置を示す図8を比較する。移動体無線装置dを含み、各移動体無線装置の配置は、近似的に同一である。図6と比較すると検出精度が格段に向上している。
【0046】
(実施例5)
図9は、本発明の実施例を示す図で、基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4は、あらかじめ位置が明確化されており、基準無線装置R1と基準無線装置R2は直線距離D1、基準無線装置R3と基準無線装置R4は直線距離D2だけ離れて配置されている。また、これらの基準無線装置間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置c、移動体無線装置dがある。
【0047】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h1は1、移動体無線装置bの計数値h1は2、移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4、移動体無線装置dの計数値h1は2である。
【0048】
同様に、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4の各々を基準として、各移動体通信装置の計数値h2、h3、h4を求める。各基準無線装置を基準とした場合の各計数値は、図9に示したとおりである。各基準無線装置は、他の基準無線装置からは、移動体無線装置と見なすことができるので、それぞれの基準無線装置からの計数値を有する。
【0049】
図10は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。基準無線装置R1、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をD1、基準無線装置R3と基準無線装置R4を直線で結び、その直線距離をD2とする。続いて、距離D1およびD2それぞれの計数値h1とh2、h3とh4の最大値で等分(この場合がいずれも4)し、各基準無線装置の位置を基点(計数値=0)および終点(計数値=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値に応じて、距離D1およびD2上の等分割点上に2次元的に仮想配置する。
【0050】
すなわち、基準無線装置R1とR2を結ぶ直線をX軸、基準無線装置R3とR4を結ぶ直線をY軸とした時に、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、基準無線装置R1から(D1)/4の位置で、かつ計数値h3=2、h4=2であるので、基準無線装置R3から(D2)/2の位置となるように、前記X−Y座標上に仮想配置する。
【0051】
従って、本発明の無線システムは、図10に示すように、各移動体無線装置が配置されていると認識する。
【0052】
ここで、実際の配置を示す図9と、検出した配置を示す図10を比較する。各移動体無線装置の配置は、近似的に同一であり、各移動体無線装置が2次元的に配置されている場合でも、高い精度で位置検出する。
【0053】
(実施例6)
図11は、本発明の実施例を示す図で、基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4は、あらかじめ位置が明確化されており、基準無線装置R1と基準無線装置R2は直線距離D1、基準無線装置R3と基準無線装置R4は直線距離D2だけ離れて配置されている。また、これらの基準無線装置間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置c、移動体無線装置dがある。なお、移動体無線装置aと移動体無線装置dは、相対的な位置関係またはその他の条件により、直接的には通信不能である。
【0054】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h1は1、移動体無線装置bの計数値h1は2、移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4、移動体無線装置dの計数値h1は4である。
【0055】
同様に、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4の各々を基準として、各移動体通信装置の計数値h2、h3、h4を求める。各基準無線装置を基準とした場合の各計数値は、図11に示したとおりである。各基準無線装置は、他の基準無線装置からは、移動体無線装置と見なすことができるので、それぞれの基準無線装置からの計数値を有する。
【0056】
図12は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。基準無線装置R1、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をD1、基準無線装置R3と基準無線装置R4を直線で結び、その直線距離をD2とする。続いて、距離D1およびD2それぞれの計数値h1とh2、h3とh4の最大値で等分(この場合がいずれも4)し、各基準無線装置の位置を基点(計数値=0)および終点(計数値=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値に応じて、距離D1およびD2上の等分割点上に2次元的に仮想配置する。
【0057】
すなわち、基準無線装置R1とR2を結ぶ直線をX軸、基準無線装置R3とR4を結ぶ直線をY軸とした時に、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、基準無線装置R1から(D1)/4の位置で、かつ計数値h3=4、h4=1であるので、基準無線装置R4から(D2)/4または基準無線装置R4から0の位置となるように、前記X−Y座標上に仮想配置する。同様に、移動体無線装置b、移動体無線装置c、移動体無線装置dについても、前記X−Y座標上に仮想配置する。
【0058】
その結果、本発明の無線システムは、図12に示すように、各移動体無線装置が配置されていると認識し、移動体無線装置aおよび移動体無線装置dの配置は特定できない。
【0059】
ここで、実際の配置を示す図11と、検出した配置を示す図12を比較する。情報量が不足している移動体無線装置aと移動体無線装置dは、想定される2つの配置のうちの一方は実際の配置と若干のずれを生じている。
【0060】
図13は、本発明の実施例を示す図で、図12に示した本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係に重み付けを行った結果を示す。重み付けとは、計数値h1およびh2に、特定の関数を適用して、前記仮想配置を再度行うことと定義する。
【0061】
重み付け関数として、「計数値h1と計数値h2のいずれか少ない値、同値の場合は計数値h1を選択する」および「計数値h3と計数値h4のいずれか少ない値、同値の場合は計数値h3を選択する」を採用する。この関数は、各移動体無線装置のより近傍にある基準無線装置の計数値の方が、信頼性が高いものと仮定して適用するものである。
【0062】
重み付けの結果、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、h1を採用し、h3=4、h4=1であるのでh4を採用して基準無線装置R1から(D1)/4の位置、基準無線装置R4から(D2)/4の位置、同様に移動体無線装置dは、計数値h1=4、h2=2であるので、h2を採用し、h3=1、h4=3であるのでh3を採用して基準無線装置2から(D1)/2、基準無線装置R3から(D2)/4の位置の位置に配置されていると認識する。
【0063】
ここで、実際の配置を示す図11と、検出した配置を示す図13を比較する。移動体無線装置aおよび移動体無線装置dを含み、各移動体無線装置の配置は、近似的に同一である。図12と比較すると検出精度が格段に向上している。
【0064】
(実施例7)
図14は、本発明の実施例を示す図で、図11に示した本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係に他の重み付けを行った結果を示す。重み付けとは、計数値h1およびh2に、特定の関数を適用して、前記仮想配置を再度行うことと定義する。
【0065】
重み付け関数として、「(計数値h1−計数値h2)/2」および「(計数値h3−計数値h4)/2」を採用する。この関数は、異なる基準無線装置から得た各移動体無線装置の計数値を平準化し、基準無線装置間の中間地点からのずれの方向と距離を求めるものである。
【0066】
重み付けの結果、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3、h3=4、h4=1であるので、基準無線装置R1から(D1)/4の位置、基準無線装置R4から(D2)/8の位置、同様に、移動体無線装置dは、計数値h1=4、h2=2、h3=1、h4=3であるので、基準無線装置R2から(D1)/4、基準装置R3から(D2)/4の位置に配置されていると認識する。また、移動体無線装置b、移動体無線装置cについても、同様の重み付け行い、仮想配置する。
【0067】
ここで、実際の配置を示す図11と、検出した配置を示す図14を比較する。移動体無線装置aおよび移動体無線装置dの配置は、若干の誤差を含むものの、図12と比較すると検出精度が格段に向上している。
【0068】
なお、上記各実施例において、基準無線装置はあらかじめ定められた位置にあるものとしたが、移動不可能との意ではなく、必要に応じて移動させて適宜測定に用いても良い。従って、少なくとも2台の基準無線装置があれば、上記すべての実施例を実施することができる。また、基準無線装置および移動体無線装置は互換性があるものとするのも良い。その場合は、基準無線装置として不可欠な機能をあらかじめすべての無線装置に設けておき必要に応じて機能を選択できるようにするのが好ましい。
【0069】
また、重み付けとして、異なる基準無線装置から得た各移動体無線装置の計数値を平準化し、基準無線装置間の中間地点からのずれの方向と距離を求める例、および各移動体無線装置のより近傍にある基準無線装置の計数値の方が、信頼性が高いものと仮定する例をあげて詳細説明したが、これ以外であっても本発明の範囲である。シミュレーションや一般的な経験則から得られた関数や係数を用いて、誤差発生確率を減少させる重み付け関数を採用するのがより好ましい。
【0070】
上記構成にすることにより、位置検出アルゴリズムが簡易であるので経済的な装置を構成することが可能となる。また多くの無線装置が配置されエリアが拡大されたとしてもそれぞれマルチホップ方式で経由するので基準無線装置を増やす必要が無く、容易にかつ経済的なシステムを構成することができる。
【0071】
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の無線システムを用いることにより、一般商品等の流通管理、販売管理、在庫管理、利用状況管理に代表される多様な管理システムを簡便かつ低価格で構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施例を示す図。
【図2】本発明の実施例を示す図。
【図3】本発明の実施例を示す図。
【図4】本発明の実施例を示す図。
【図5】本発明の実施例を示す図。
【図6】本発明の実施例を示す図。
【図7】本発明の実施例を示す図。
【図8】本発明の実施例を示す図。
【図9】本発明の実施例を示す図。
【図10】本発明の実施例を示す図。
【図11】本発明の実施例を示す図。
【図12】本発明の実施例を示す図。
【図13】本発明の実施例を示す図。
【図14】本発明の実施例を示す図。
【図15】従来の無線システムを示す図。
【符号の説明】
【0074】
a,b,c,d 移動体無線装置
R1,R2,R3,R4,R11,R12,R13 基準無線装置
D,D1,D2 距離
h1,h2,h3,h4 計数値(ホップ数)
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムにおいて、各無線装置の位置を決定することが可能な無線システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体等の物体の追跡、探索を行う方法としては、GPS(Global Positioning System)や携帯端末を用いた無線通信技術が普及している。
【0003】
図15は、従来の無線システムを示す図である。移動体位置検出の基準となる基準無線装置R11、R12、R13から送信された電波は移動体無線装置aで受信し、該信号を送信元である各基準無線装置R11、R12、R13に各々返信する。各基準無線装置R11、R12、R13では同一電波の送信と受信の時差を用いて、各基準無線装置R11、R12、R13から移動体無線装置aまでの距離を推測し、三角測量法により移動体無線装置aの位置を検出する。このような無線システムおよび位置検出方法は、例えば特許文献1に示されている。
【0004】
上述の無線システムは、電波の送信と受信の時差を検出して基準無線装置から位置検出対象の移動体無線装置までの距離を割り出すために、正確に時差を測定する必要があるが、そのために基準無線装置のCPUをはじめとする機器構成が複雑化する。
【0005】
さらに、移動体無線装置は、三角測量法を用いて位置検出するが故に、少なくとも2台の基準無線装置の直接的な通信範囲内に存在していないと、位置検出不能となるため、広範囲での使用に対しては、基準無線装置の通信距離を伸ばすか、もしくは、多数の基準無線装置を使用範囲内に配さなければならない。従って、使用可能範囲が限定されると共にシステム全体も高価格となるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−152799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、広い範囲での使用が可能で、かつ低価格の無線システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線システムは、アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムであって、位置計測の基準となる基準無線装置と、複数の移動体無線装置がアドホック通信手段で基準無線装置に到達するまでに経由する無線装置数の計測結果を利用して、各移動体無線装置の位置を決定する。
【0009】
本発明によれば、アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムであって、位置計測の基準となる複数の基準無線装置と、1以上の移動体無線装置からなり、前記基準無線装置と通信を行うために経由する前記移動体無線装置数を計数し、前記各基準無線装置における前記計数値を用いて前記各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0010】
本発明によれば、前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記第1の基準無線装置における前記計数値に応じて、前記第1の等分割点の組上に前記移動体無線装置を仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0011】
本発明によれば、前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との差を2等分した値に応じて、前記第1の等分割点の組上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0012】
本発明によれば、前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との、少ない方の値に応じて、前記第1の等分割点の組上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0013】
本発明によれば、第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記第1及び第2の基準無線装置間の距離を、第1の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、第3の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記第3及び第4の基準無線装置間の距離を、第3の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記第1および第3の基準無線装置における前記計数値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0014】
本発明によれば、第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの前記基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第1および第2の基準無線装置間の距離を、第1および第2の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との差を2等分した第1の値と、第3の基準無線装置および第4の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第3および第4の基準無線装置間の距離を、第3および第4の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第3の基準無線装置の計数値と第4の基準無線装置の計数値との差を2等分した第2の値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0015】
本発明によれば、第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第1および第2の基準無線装置間の距離を、第1および第2の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における第1の前記基準無線装置の計数値と第2の前記基準無線装置の計数値との少ない方を選択した第1の値と、第3の基準無線装置および第4の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第3および第4の基準無線装置間の距離を、第3および第4の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第3の基準無線装置の計数値と第4の基準無線装置の計数値の少ない方を選択した第2の値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【0016】
本発明によれば、前記無線システムにおいて、前記計数値に特定の重み付け関数を適用して、前記移動体無線装置を再仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システムが得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、広い範囲での使用が可能で、かつ使用範囲の変更も容易な、低価格の無線システムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の無線システムは、アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムであって、1以上の移動体無線装置と、これらの移動体無線装置の位置を特定するための位置計測の基準となる少なくとも2台の基準無線装置で構成される。前記複数の移動体無線装置は、アドホック的に接続されて通信を行う。基準無線装置は移動せず、その位置関係や配置間隔は明確化されている。
【0019】
任意の移動体無線装置は、任意の基準無線装置から送信された電波を、直接もしくは、該基準無線装置と該移動体無線装置の間に存在するその他の移動体無線装置を1台もしくは複数経由して受信し、電波を返信する。該基準無線装置は、該無線装置と通信するために経由した無線装置の数を計数記録し、複数の基準無線装置における経由した無線装置の計数値をもとに各移動体無線装置の位置を決定する。なお、基準無線装置であっても、必要に応じて移動体無線装置と同等とみなしてもよい。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例を示す図で、基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2は、あらかじめ位置が明確化されており、直線距離Dだけ離れて配置されている。また、基準無線装置R1と基準無線装置R2の間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置cがある。
【0022】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するためには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、基準無線装置R1は移動体無線装置aと直接通信するので、移動体無線装置aまでの移動体無線装置経由数(ホップ数)すなわち計数値h1は1となる。移動体無線装置bは、基準無線装置R1から移動体無線装置aを経由して通信するので、計数値h1は2となる。同様に移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4となる。
【0023】
図2は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。前述の通り、基準無線装置R1と基準無線装置R2の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をDとする。続いて、距離Dを計数値h1の最大値4で等分し、基準無線装置R1の位置を基点(h1=0)として、基準無線装置R2の位置を終点(h1=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値h1に応じて、距離D上の等分割点上に仮想配置する。
【0024】
従って、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1であるので、基準無線装置R1からD/4の位置、同様に移動体無線装置bは、計数値h1=2であるので、基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、計数値h1=3であるので、基準無線装置R2からD/4の位置に直線上に配置されていると認識する。
【0025】
ここで、実際の配置を示す図1と、検出した配置を示す図2を比較する。各移動体無線装置間の離間距離に誤差はあるものの、近似的には、同一である。なお、実際の配置が、図1のようにほぼ直線上に配されている場合は、理論上、基準無線装置R2を基準として、同様の測定を行っても、検出結果に大差が生じることはない。従って、図1のような直線配置の場合は、基準無線装置R1もしくは基準無線装置R2のいずれか一方を基準とした計数値を用いて移動体無線装置の位置を検出することができる。なお、検出精度向上のために、双方の計数値を用いて移動体無線装置の位置を検出するのも好ましいが、無線システムの簡略化、低価格化には、いずれか一方のみの計数値を用いて位置検出するのが、より好ましい。
【0026】
(実施例2)
図3は、本発明の実施例を示す図で、実施例1(図1)の配置に、移動体無線装置dが追加された場合の基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2は、あらかじめ位置が明確化されており、直線距離Dだけ離れて配置されている。また、基準無線装置R1と基準無線装置R2の間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置cがあり、移動体無線装置cの近傍に移動体無線装置dがある。
【0027】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h1は1となる。移動体無線装置bの計数値h1は2、移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4となる。移動体無線装置dは、移動体無線装置bの近傍に位置しているものの、この場合は、移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置cを経由して基準無線装置R1と通信するので、計数値h1は4となる。
【0028】
図4は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をDとする。続いて、距離Dを計数値h1の最大値4で等分し、基準無線装置R1の位置を基点(h1=0)として、基準無線装置R2の位置を終点(h1=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値h1に応じて、距離D上の等分割点上に仮想配置する。
【0029】
従って、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1であるので、基準無線装置R1からD/4の位置、同様に移動体無線装置bは、計数値h1=2であるので、基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、計数値h1=3であるので、基準無線装置R2からD/4の位置、移動体無線装置dは、計数値h1=4であるので、基準無線装置R2近傍にほぼ直線上に配置されていると認識する。
【0030】
ここで、実際の配置を示す図3と、検出した配置を示す図4を比較する。移動体無線装置dを除き、全体としては、近似的に同一である。なお、移動体無線装置dの計数値h1は、移動体無線装置aのみ経由すれば2、移動体通信装置aおよびbを経由すれば3となり、正確に測定することは困難であるが、高検出精度が要求されずかつ無線システムの簡略化、低価格化を優先する場合は、充分に実用可能である。
【0031】
(実施例3)
図5は、本発明の実施例を示す図で、基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2は、あらかじめ位置が明確化されており、直線距離Dだけ離れて配置されている。また、基準無線装置R1と基準無線装置R2の間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置cがあり、移動体無線装置cの近傍に移動体無線装置dがある。
【0032】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h1は1となる。移動体無線装置bの計数値h1は2、移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4となる。移動体無線装置dは、移動体無線装置bの近傍に位置しているものの、この場合の計数値h1は4である。
【0033】
続いて、基準無線装置R2を基準として、同様に各移動体通信装置の計数値h2を求める。基準無線装置R2を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h2は3、移動体無線装置bの計数値h2は2、移動体無線装置cの計数値h2は1、基準無線装置R1は、基準無線装置R2からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R1の計数値h2は4となる。移動体無線装置dのこの場合の計数値h2は2である。
【0034】
図6は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。基準無線装置R1と基準無線装置R2の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をDとする。続いて、距離Dを計数値h1およびh2の最大値4で等分し、基準無線装置R1の位置を基点(h1=0)として、基準無線装置R2の位置を終点(h1=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値h1に応じて、距離D上の等分割点上に仮想配置する。
【0035】
次に、基準無線装置R2の位置を基点(h2=0)として、基準無線装置R1の位置を終点(h2=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値h2に応じて、距離D上の等分割点上に仮想配置する。
【0036】
従って、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、基準無線装置R1からD/4の位置、同様に移動体無線装置bは、計数値h1=2、h2=2であるので、基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、計数値h1=3、h2=1であるので、基準無線装置R2からD/4の位置にほぼ直線上に配置されていると認識する。移動体無線装置dは、計数値h1=4、h2=2であるので、移動体無線装置b近傍もしくは基準無線装置R2近傍のいずれかに配置されていると認識するか、または特定不能と認識する。誤差を容認して認識するか、特定不能と認識するかは無線システムにおける設計事項である。
【0037】
ここで、実際の配置を示す図5と、検出した配置を示す図6を比較する。移動体無線装置dを除き、計数値h1を元にした各移動体無線装置の配置と計数値h2を元にした各移動体無線装置の配置は、近似的に同一である。移動体無線装置dの位置は前述の通り、特定できない。
【0038】
図7は、本発明の実施例を示す図で、図6に示した本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係に重み付けを行った結果を示す。重み付けとは、計数値h1およびh2に、特定の関数を適用して、前記仮想配置を再度行うことと定義する。
【0039】
重み付け関数として、「(計数値h1−計数値h2)/2」を採用する。この関数は、異なる基準無線装置から得た各移動体無線装置の計数値を平準化し、基準無線装置R1およびR2の中間地点からのずれの方向と距離を求めるものである。
【0040】
重み付けの結果、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、関数値が−1であるので、基準無線装置R1からD/4の位置、移動体無線装置bは、関数値が0であるので、基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、関数値1であるので、基準無線装置R2からD/4の位置、移動体無線装置dは、関数値1であるので、基準無線装置R2からD/4の位置(移動体無線装置c近傍)にほぼ直線上に配置されていると認識する。
【0041】
ここで、実際の配置を示す図5と、検出した配置を示す図7を比較する。移動体無線装置dを含み、各移動体無線装置の配置は、近似的に同一であり、図6と比較すると検出精度が格段に向上している。
【0042】
(実施例4)
図8は、本発明の実施例を示す図で、図6に示した本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係に他の重み付けを行った結果を示す。重み付けとは、計数値h1およびh2に、特定の関数を適用して、前記仮想配置を再度行うことと定義する。
【0043】
重み付け関数として、「計数値h1と計数値h2のいずれか少ない値、同値の場合は計数値h1を選択する」を採用する。この関数は、各移動体無線装置のより近傍にある基準無線装置の計数値の方が、信頼性が高いものと仮定して適用するものである。
【0044】
重み付けの結果、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、h1を採用して基準無線装置R1からD/4の位置、同様に移動体無線装置bは、計数値h1=2、h2=2であるので、h1を採用して基準無線装置R1からD/2の位置、移動体無線装置cは、計数値h1=3、h2=1であるので、h2を採用して、基準無線装置R2からD/4の位置、移動体無線装置dは、計数値h1=4、h2=2であるので、h2を採用して基準無線装置R2からD/4の位置(移動体無線装置c近傍)にほぼ直線上に配置されていると認識する。
【0045】
ここで、実際の配置を示す図5と、検出した配置を示す図8を比較する。移動体無線装置dを含み、各移動体無線装置の配置は、近似的に同一である。図6と比較すると検出精度が格段に向上している。
【0046】
(実施例5)
図9は、本発明の実施例を示す図で、基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4は、あらかじめ位置が明確化されており、基準無線装置R1と基準無線装置R2は直線距離D1、基準無線装置R3と基準無線装置R4は直線距離D2だけ離れて配置されている。また、これらの基準無線装置間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置c、移動体無線装置dがある。
【0047】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h1は1、移動体無線装置bの計数値h1は2、移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4、移動体無線装置dの計数値h1は2である。
【0048】
同様に、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4の各々を基準として、各移動体通信装置の計数値h2、h3、h4を求める。各基準無線装置を基準とした場合の各計数値は、図9に示したとおりである。各基準無線装置は、他の基準無線装置からは、移動体無線装置と見なすことができるので、それぞれの基準無線装置からの計数値を有する。
【0049】
図10は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。基準無線装置R1、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をD1、基準無線装置R3と基準無線装置R4を直線で結び、その直線距離をD2とする。続いて、距離D1およびD2それぞれの計数値h1とh2、h3とh4の最大値で等分(この場合がいずれも4)し、各基準無線装置の位置を基点(計数値=0)および終点(計数値=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値に応じて、距離D1およびD2上の等分割点上に2次元的に仮想配置する。
【0050】
すなわち、基準無線装置R1とR2を結ぶ直線をX軸、基準無線装置R3とR4を結ぶ直線をY軸とした時に、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、基準無線装置R1から(D1)/4の位置で、かつ計数値h3=2、h4=2であるので、基準無線装置R3から(D2)/2の位置となるように、前記X−Y座標上に仮想配置する。
【0051】
従って、本発明の無線システムは、図10に示すように、各移動体無線装置が配置されていると認識する。
【0052】
ここで、実際の配置を示す図9と、検出した配置を示す図10を比較する。各移動体無線装置の配置は、近似的に同一であり、各移動体無線装置が2次元的に配置されている場合でも、高い精度で位置検出する。
【0053】
(実施例6)
図11は、本発明の実施例を示す図で、基準無線装置と移動体無線装置の実際の位置関係を示す。基準無線装置R1、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4は、あらかじめ位置が明確化されており、基準無線装置R1と基準無線装置R2は直線距離D1、基準無線装置R3と基準無線装置R4は直線距離D2だけ離れて配置されている。また、これらの基準無線装置間には移動体無線装置a、移動体無線装置b、移動体無線装置c、移動体無線装置dがある。なお、移動体無線装置aと移動体無線装置dは、相対的な位置関係またはその他の条件により、直接的には通信不能である。
【0054】
これらの無線装置(基準無線装置および移動体無線装置)は各々が独自にネットワークを構成するアドホック通信が可能で、所定の無線装置間で通信するには近くの無線装置を経由して所望の無線装置までたどり着くマルチホップ方式をとっている。基準無線装置R1を基準とした場合、移動体無線装置aの計数値h1は1、移動体無線装置bの計数値h1は2、移動体無線装置cの計数値h1は3、基準無線装置R2は、基準無線装置R1からは、移動体無線装置と見なすことができるので、基準無線装置R2の計数値h1は4、移動体無線装置dの計数値h1は4である。
【0055】
同様に、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4の各々を基準として、各移動体通信装置の計数値h2、h3、h4を求める。各基準無線装置を基準とした場合の各計数値は、図11に示したとおりである。各基準無線装置は、他の基準無線装置からは、移動体無線装置と見なすことができるので、それぞれの基準無線装置からの計数値を有する。
【0056】
図12は、本発明の実施例を示す図で、本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係を示す。基準無線装置R1、基準無線装置R2、基準無線装置R3、基準無線装置R4の絶対位置は既知である。基準無線装置R1と基準無線装置R2を直線で結び、その直線距離をD1、基準無線装置R3と基準無線装置R4を直線で結び、その直線距離をD2とする。続いて、距離D1およびD2それぞれの計数値h1とh2、h3とh4の最大値で等分(この場合がいずれも4)し、各基準無線装置の位置を基点(計数値=0)および終点(計数値=4)とする数直線を想定し、各移動体無線装置の計数値に応じて、距離D1およびD2上の等分割点上に2次元的に仮想配置する。
【0057】
すなわち、基準無線装置R1とR2を結ぶ直線をX軸、基準無線装置R3とR4を結ぶ直線をY軸とした時に、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、基準無線装置R1から(D1)/4の位置で、かつ計数値h3=4、h4=1であるので、基準無線装置R4から(D2)/4または基準無線装置R4から0の位置となるように、前記X−Y座標上に仮想配置する。同様に、移動体無線装置b、移動体無線装置c、移動体無線装置dについても、前記X−Y座標上に仮想配置する。
【0058】
その結果、本発明の無線システムは、図12に示すように、各移動体無線装置が配置されていると認識し、移動体無線装置aおよび移動体無線装置dの配置は特定できない。
【0059】
ここで、実際の配置を示す図11と、検出した配置を示す図12を比較する。情報量が不足している移動体無線装置aと移動体無線装置dは、想定される2つの配置のうちの一方は実際の配置と若干のずれを生じている。
【0060】
図13は、本発明の実施例を示す図で、図12に示した本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係に重み付けを行った結果を示す。重み付けとは、計数値h1およびh2に、特定の関数を適用して、前記仮想配置を再度行うことと定義する。
【0061】
重み付け関数として、「計数値h1と計数値h2のいずれか少ない値、同値の場合は計数値h1を選択する」および「計数値h3と計数値h4のいずれか少ない値、同値の場合は計数値h3を選択する」を採用する。この関数は、各移動体無線装置のより近傍にある基準無線装置の計数値の方が、信頼性が高いものと仮定して適用するものである。
【0062】
重み付けの結果、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3であるので、h1を採用し、h3=4、h4=1であるのでh4を採用して基準無線装置R1から(D1)/4の位置、基準無線装置R4から(D2)/4の位置、同様に移動体無線装置dは、計数値h1=4、h2=2であるので、h2を採用し、h3=1、h4=3であるのでh3を採用して基準無線装置2から(D1)/2、基準無線装置R3から(D2)/4の位置の位置に配置されていると認識する。
【0063】
ここで、実際の配置を示す図11と、検出した配置を示す図13を比較する。移動体無線装置aおよび移動体無線装置dを含み、各移動体無線装置の配置は、近似的に同一である。図12と比較すると検出精度が格段に向上している。
【0064】
(実施例7)
図14は、本発明の実施例を示す図で、図11に示した本発明による無線システムが検出した基準無線装置と移動体無線装置の位置関係に他の重み付けを行った結果を示す。重み付けとは、計数値h1およびh2に、特定の関数を適用して、前記仮想配置を再度行うことと定義する。
【0065】
重み付け関数として、「(計数値h1−計数値h2)/2」および「(計数値h3−計数値h4)/2」を採用する。この関数は、異なる基準無線装置から得た各移動体無線装置の計数値を平準化し、基準無線装置間の中間地点からのずれの方向と距離を求めるものである。
【0066】
重み付けの結果、本発明の無線システムは、移動体無線装置aは、計数値h1=1、h2=3、h3=4、h4=1であるので、基準無線装置R1から(D1)/4の位置、基準無線装置R4から(D2)/8の位置、同様に、移動体無線装置dは、計数値h1=4、h2=2、h3=1、h4=3であるので、基準無線装置R2から(D1)/4、基準装置R3から(D2)/4の位置に配置されていると認識する。また、移動体無線装置b、移動体無線装置cについても、同様の重み付け行い、仮想配置する。
【0067】
ここで、実際の配置を示す図11と、検出した配置を示す図14を比較する。移動体無線装置aおよび移動体無線装置dの配置は、若干の誤差を含むものの、図12と比較すると検出精度が格段に向上している。
【0068】
なお、上記各実施例において、基準無線装置はあらかじめ定められた位置にあるものとしたが、移動不可能との意ではなく、必要に応じて移動させて適宜測定に用いても良い。従って、少なくとも2台の基準無線装置があれば、上記すべての実施例を実施することができる。また、基準無線装置および移動体無線装置は互換性があるものとするのも良い。その場合は、基準無線装置として不可欠な機能をあらかじめすべての無線装置に設けておき必要に応じて機能を選択できるようにするのが好ましい。
【0069】
また、重み付けとして、異なる基準無線装置から得た各移動体無線装置の計数値を平準化し、基準無線装置間の中間地点からのずれの方向と距離を求める例、および各移動体無線装置のより近傍にある基準無線装置の計数値の方が、信頼性が高いものと仮定する例をあげて詳細説明したが、これ以外であっても本発明の範囲である。シミュレーションや一般的な経験則から得られた関数や係数を用いて、誤差発生確率を減少させる重み付け関数を採用するのがより好ましい。
【0070】
上記構成にすることにより、位置検出アルゴリズムが簡易であるので経済的な装置を構成することが可能となる。また多くの無線装置が配置されエリアが拡大されたとしてもそれぞれマルチホップ方式で経由するので基準無線装置を増やす必要が無く、容易にかつ経済的なシステムを構成することができる。
【0071】
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の無線システムを用いることにより、一般商品等の流通管理、販売管理、在庫管理、利用状況管理に代表される多様な管理システムを簡便かつ低価格で構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施例を示す図。
【図2】本発明の実施例を示す図。
【図3】本発明の実施例を示す図。
【図4】本発明の実施例を示す図。
【図5】本発明の実施例を示す図。
【図6】本発明の実施例を示す図。
【図7】本発明の実施例を示す図。
【図8】本発明の実施例を示す図。
【図9】本発明の実施例を示す図。
【図10】本発明の実施例を示す図。
【図11】本発明の実施例を示す図。
【図12】本発明の実施例を示す図。
【図13】本発明の実施例を示す図。
【図14】本発明の実施例を示す図。
【図15】従来の無線システムを示す図。
【符号の説明】
【0074】
a,b,c,d 移動体無線装置
R1,R2,R3,R4,R11,R12,R13 基準無線装置
D,D1,D2 距離
h1,h2,h3,h4 計数値(ホップ数)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムであって、位置計測の基準となる複数の基準無線装置と、1以上の移動体無線装置からなり、前記基準無線装置と通信を行うために経由する前記移動体無線装置数を計数し、前記各基準無線装置における前記計数値を用いて前記各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システム。
【請求項2】
前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記第1の基準無線装置における前記計数値に応じて、前記第1の等分割点の組上に前記移動体無線装置を仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項3】
前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との差を2等分した値に応じて、前記第1の等分割点の組上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1または2記載の無線システム。
【請求項4】
前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との、少ない方の値に応じて、前記第1の等分割点の組上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1または2記載の無線システム。
【請求項5】
第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記第1及び第2の基準無線装置間の距離を、第1の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、第3の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記第3及び第4の基準無線装置間の距離を、第3の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記第1および第3の基準無線装置における前記計数値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項6】
第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの前記基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第1および第2の基準無線装置間の距離を、第1および第2の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との差を2等分した第1の値と、第3の基準無線装置および第4の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第3および第4の基準無線装置間の距離を、第3および第4の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第3の基準無線装置の計数値と第4の基準無線装置の計数値との差を2等分した第2の値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1または5記載の無線システム。
【請求項7】
第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第1および第2の基準無線装置間の距離を、第1および第2の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における第1の前記基準無線装置の計数値と第2の前記基準無線装置の計数値との少ない方を選択した第1の値と、第3の基準無線装置および第4の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第3および第4の基準無線装置間の距離を、第3および第4の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第3の基準無線装置の計数値と第4の基準無線装置の計数値の少ない方を選択した第2の値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1または5記載の無線システム。
【請求項8】
前記無線システムにおいて、前記計数値に特定の重み付け関数を適用して、前記移動体無線装置を再仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項5のいずれか記載の無線システム。
【請求項1】
アドホック通信により自律的にネットワークを構成する無線システムであって、位置計測の基準となる複数の基準無線装置と、1以上の移動体無線装置からなり、前記基準無線装置と通信を行うために経由する前記移動体無線装置数を計数し、前記各基準無線装置における前記計数値を用いて前記各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする無線システム。
【請求項2】
前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記第1の基準無線装置における前記計数値に応じて、前記第1の等分割点の組上に前記移動体無線装置を仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項3】
前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との差を2等分した値に応じて、前記第1の等分割点の組上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1または2記載の無線システム。
【請求項4】
前記基準無線装置から選択した第1の基準無線装置と第2の基準無線装置の通信範囲内に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記2つの基準無線装置間の距離を、前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との、少ない方の値に応じて、前記第1の等分割点の組上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1または2記載の無線システム。
【請求項5】
第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記第1及び第2の基準無線装置間の距離を、第1の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、第3の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値を測定した後、前記第3及び第4の基準無線装置間の距離を、第3の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記第1および第3の基準無線装置における前記計数値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項6】
第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの前記基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第1および第2の基準無線装置間の距離を、第1および第2の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第1の基準無線装置の計数値と前記第2の基準無線装置の計数値との差を2等分した第1の値と、第3の基準無線装置および第4の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第3および第4の基準無線装置間の距離を、第3および第4の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第3の基準無線装置の計数値と第4の基準無線装置の計数値との差を2等分した第2の値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1または5記載の無線システム。
【請求項7】
第1の基準無線装置と第2の基準無線装置を結ぶ直線と、第3の基準無線装置と第4の基準無線装置を結ぶ直線が略直交する配置にある前記基準無線装置から選択した4つの基準無線装置の通信範囲に存在する1以上の移動体無線装置の各々について、第1の基準無線装置および第2の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第1および第2の基準無線装置間の距離を、第1および第2の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第1の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における第1の前記基準無線装置の計数値と第2の前記基準無線装置の計数値との少ない方を選択した第1の値と、第3の基準無線装置および第4の基準無線装置において前記移動体無線装置の前記計数値をそれぞれ測定した後、前記第3および第4の基準無線装置間の距離を、第3および第4の基準無線装置における前記計数値の最大値で等分割して直線上に配置してなる第2の等分割点の組を作り、前記各移動体無線装置における前記第3の基準無線装置の計数値と第4の基準無線装置の計数値の少ない方を選択した第2の値に応じて、前記第1の等分割点の組と前記第2の等分割点の組からなる2次元座標上に仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1または5記載の無線システム。
【請求項8】
前記無線システムにおいて、前記計数値に特定の重み付け関数を適用して、前記移動体無線装置を再仮想配置することにより各移動体無線装置の位置を決定することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項5のいずれか記載の無線システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−43636(P2007−43636A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272102(P2005−272102)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】
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