無線タグの位置検出システム、操作端末、及び無線タグ通信装置
【課題】複数の無線タグ通信装置による通信結果を用いて、無線タグの位置を精度よく詳細に求める。
【解決手段】無線タグの位置検出システム1は、互いにネットワーク接続可能に配置され、リーダアンテナ5からの通信領域20内に位置する無線タグTに対しそれぞれ情報送受信可能な複数のリーダ2A,2Bと、これら複数のリーダ2A,2Bを操作可能な操作端末3とを有し、各リーダ2A,2Bは、通信領域20が他のリーダ2A,2Bと互いに一部重なるように配置されており、操作端末3は、無線タグTからリプライ信号を受信できた各リーダ2A,2Bからの通信結果に基づき、少なくとも2つのリーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を合成して検出対象の無線タグTの位置を算出する。
【解決手段】無線タグの位置検出システム1は、互いにネットワーク接続可能に配置され、リーダアンテナ5からの通信領域20内に位置する無線タグTに対しそれぞれ情報送受信可能な複数のリーダ2A,2Bと、これら複数のリーダ2A,2Bを操作可能な操作端末3とを有し、各リーダ2A,2Bは、通信領域20が他のリーダ2A,2Bと互いに一部重なるように配置されており、操作端末3は、無線タグTからリプライ信号を受信できた各リーダ2A,2Bからの通信結果に基づき、少なくとも2つのリーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を合成して検出対象の無線タグTの位置を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグとの無線通信に応じて、その無線タグの位置を検出する無線タグ位置検出システム、操作端末、及び無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を記憶する無線タグに対し非接触(コイルを用いる電磁結合方式、電磁誘導方式、あるいは電波方式等)で情報の送受信を行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。
【0003】
このような無線タグの位置を検出する無線タグの位置検出システムとして、例えば特許文献1記載のものが知られている。
【0004】
この従来技術は、特定の領域内に複数の無線タグが散在配置されている。また、その特定の領域内に、無線タグと通信可能な複数の無線タグ通信装置が配置され、各無線タグ通信装置はサーバに接続されている。各無線タグ通信装置は、自己の通信範囲内において無線タグと通信できた場合には、自己の位置情報とともにその無線タグの識別情報を随時サーバへと出力する。サーバ側では、その無線タグ通信装置の位置情報と(通信可能であった)無線タグの識別情報とを関連づけてデータベース化し、随時更新する。そして、特定の無線タグの位置検出要求がサーバに入力されると、サーバは、その要求された無線タグの識別情報をキーとして最新のデータベースを検索し、対応する無線タグ通信装置(すなわち当該無線タグに最も近い無線タグ通信装置)の位置情報を出力するようになっている。
【特許文献1】特開2006−67086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、1つの無線タグと1つの無線タグ通信装置の通信領域とを対応づけることを前提としており、位置検出を行いたい無線タグに対し通信可能であった無線タグ通信装置の位置情報をもって当該無線タグの位置検出情報としている。しかしながら、通信領域はある所定の大きさをもつものであるため、1つの無線タグ通信装置の位置情報だけでは、当該無線タグ通信装置の通信領域のうち詳細にはどの部分に無線タグが存在するのかは分からない。すなわち、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができなかった。
【0006】
本発明の目的は、複数の無線タグ通信装置による通信結果を用いて、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができる無線タグの位置検出システム、及び、これに用いられる操作端末並びに無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、互いにネットワーク接続可能に配置され、アンテナからの通信領域内に位置する無線タグに対しそれぞれ情報送受信可能な複数の無線タグ通信装置と、前記複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末とを有する無線タグの位置検出システムであって、各無線タグ通信装置は、前記通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるように配置されており、前記操作端末は、前記無線タグから情報を取得できた各無線タグ通信装置からの通信結果に基づき、少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信領域情報を合成して前記無線タグの位置を算出する位置算出手段を備えることを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末が備えられる。各無線タグ通信装置は、通信領域(=送信パワーやアンテナ指向性でその時々で変わった場合には、無線タグと送受信できたときの通信領域)の一部が他と重なりあうように配置されている。このため、その重なり合っている部分に無線タグが存在している場合には、両方の無線タグ通信装置のアンテナから通信可能となる。
【0009】
本願第1発明では、このことを利用し、操作端末より、各無線タグ通信装置を操作して、無線タグと通信を行わせる(なお、この場合の操作とは、いわゆる能動的な操作のみならず、広い意味での働きかけ作動、例えば、ネットワークを介し単に通信結果を収集して取得する、等の場合を含む)。そして、少なくとも2つの無線タグ通信装置で無線タグから情報取得できた場合には、位置算出手段で、それら無線タグ通信装置の通信領域情報(=上記したように、無線タグと送受信できたときの通信領域を示す情報)を合成する(通信領域どうしの重なり合う部分を求め抽出して取得する。論理演算でいう「AND」に相当するもの)ことにより、当該無線タグが存在している位置を算出することができる。
【0010】
このとき、2つ以上の通信領域情報を合成して絞り込むことで、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができる。またこの場合、端末から無線タグ通信装置を操作するだけで無線タグの位置を検出することができるので、多数の無線タグ通信装置を一元管理するサーバ等を設ける必要がない。
【0011】
第2発明は、上記第1発明において、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグとの通信時における前記アンテナからの通信領域情報を前記操作端末へ送信する通信領域送信手段を有し、前記操作端末の前記位置算出手段は、前記無線タグから情報を取得できた前記無線タグ通信装置の前記通信領域送信手段からの前記通信領域情報を合成し、前記無線タグの位置を算出することを特徴とする。
【0012】
これにより、操作端末側で各無線タグ通信装置の通信領域を予め把握していない場合や、アンテナからの送信出力が可変であったり指向性が可変である等で、各無線タグ通信装置の通信領域が変動しうる場合であっても、無線タグとの通信時の各無線タグ通信装置の通信領域を操作端末で確実に把握できる。この結果、その通信領域情報を合成して無線タグの位置を算出することができる。
【0013】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記操作端末は、通信対象の前記無線タグから無線通信を介し情報取得を図るように前記無線タグ通信装置へ通信指示信号を出力する通信指示手段を有し、前記無線タグ通信装置は、前記通信指示手段からの前記通信指示信号に基づき、前記アンテナを介した無線通信により前記通信対象の前記無線タグからの情報取得を図る情報取得手段と、前記情報取得手段による情報取得の可否を表す通信結果信号を前記操作端末へ送信する通信結果送信手段とを有し、前記操作端末の前記位置算出手段は、少なくとも2つの前記無線タグ通信装置からの前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出することを特徴とする。
【0014】
操作端末の通信指示手段からの通信指示信号により各無線タグ通信装置を操作し、情報取得手段で無線タグと通信を行わせ、通信結果送信手段で通信結果信号を送信させる。そして、少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信結果信号が情報取得成功であった場合には、位置算出手段で、その通信結果信号に基づき、情報取得に成功した無線タグ通信装置の通信領域情報を合成することで、当該無線タグが存在している位置を算出することができる。
【0015】
第4発明は、上記第3発明において、前記無線タグ通信装置は、当該無線タグ通信装置の位置情報を記憶保持する位置情報記憶手段と、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記位置情報記憶手段に記憶保持した前記位置情報を前記操作端末へ送信する位置情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0016】
これにより、操作端末側で各無線タグ通信装置の位置を予め把握していない場合や、各無線タグ通信装置の位置が(配置換え等によって)変動しうる場合であっても、無線タグとの通信時の各無線タグ通信装置の位置を操作端末で確実に把握できる。この結果、その位置を基準として通信領域情報を合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0017】
第5発明は、上記第3発明において、前記無線タグ通信装置は、当該無線タグ通信装置の識別情報を記憶保持する識別情報記憶手段と、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記識別情報記憶手段に記憶保持した前記識別情報を前記操作端末へ送信する識別情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0018】
無線タグ通信装置の識別情報とこれに対応する配置位置が予め関連づけられている場合には、(各無線タグ通信装置から位置情報を直接取得しなくても)操作端末が識別情報送信手段からの識別情報を取得することで、各無線タグ通信装置の位置を把握することができる。この結果、その位置を基準として通信領域情報を合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0019】
第6発明は、上記第4又は第5発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、少なくとも2つの前記無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を所定の順番にて順次出力可能に構成され、前記操作端末の前記位置算出手段は、前記順次出力された通信指示信号に対応して前記少なくとの2つの無線タグ通信装置からそれぞれ送信される前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出することを特徴とする。
【0020】
少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信領域が重なり合っている部分に無線タグが存在すれば、位置算出手段を用いてそれら通信領域情報を合成することで、その無線タグの位置を詳細に算出することができる。本願第6発明においては、各無線タグ通信装置に対し通信指示信号を所定の順番にて順次出力可能とする。これにより、無線タグ通信装置を順次切り替えながら通信領域を発生させていくとき、無線タグと通信可能であった通信領域が2個目以上になった段階で、それらの通信領域情報を位置算出手段で合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0021】
第7発明は、上記第6発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち、前記操作端末に相対的に近い無線タグ通信装置を、前記操作端末から相対的に遠い無線タグ通信装置よりも早い順番となるようにしつつ、前記通信指示信号を順次出力することを特徴とする。
【0022】
これにより、各無線タグ通信装置を順次切り替えて通信領域を発生させていくとき、操作端末の近くから遠くへという順で発生させることができる。これにより、操作端末の近くにある場合には比較的早い時期に無線タグを検出することができるので、無線タグ探索の迅速化・効率化を図ることができる。
【0023】
第8発明は、上記第7発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力することを特徴とする。
【0024】
これにより、操作端末に最も近い無線タグ通信装置で通信領域をまず最初に発生させることができるので、操作端末のすぐ近くに無線タグがあった場合に確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。
【0025】
第9発明は、上記第8発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に成功した場合は、その次に前記操作端末に近い無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を出力することを特徴とする。
【0026】
最初に操作端末に最も近い無線タグ通信装置で情報を取得できたときには、操作端末のすぐ近くに無線タグがある可能性が高い。そこで、その無線タグ通信装置の次に操作端末に近い無線タグ通信装置で通信領域を発生させる。これにより、当該次の無線タグ通信装置でも情報を取得できた場合には、直ちにそれら2つの無線タグ通信装置の通信領域情報を合成して、無線タグの位置を特定することができる。この結果、確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。
【0027】
第10発明は、上記第6乃至第9発明のいずれかにおいて、前記無線タグ通信装置は、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記所定の順番に沿い次の順番となる無線タグ通信装置の前記位置情報又は前記識別情報を、前記操作端末へ送信する次装置情報送信手段を有することを特徴とする。
【0028】
これにより、無線タグを迅速に検出するために次はどの無線タグ通信装置で通信領域を発生させればよいかについて(各無線タグ通信装置のうち操作端末の近いものから遠いものへ、あるいは、ある無線タグ通信装置からそれに隣接する無線タグ通信装置へ等)、所定の規則性に沿った情報を操作端末側へ与えることができる。この結果、操作端末が自動的にその規則性に沿って無線タグ通信装置を切り替えて作動させたり、あるいはその規則性に沿って次に作動させるべき無線タグ通信装置の候補を操作端末で表示して操作者に報知することができる。
【0029】
第11発明は、上記第4乃至第10発明のいずれかにおいて、前記操作端末の前記通信指示手段は、少なくとも2つの前記無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉出力可能に構成され、前記操作端末の前記位置算出手段は、前記一斉出力された通信指示信号に対応して前記少なくとも2つの無線タグ通信装置からそれぞれ送信される前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出することを特徴とする。
【0030】
少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信領域が重なり合っている部分に無線タグが存在すれば、位置算出手段を用いてそれら通信領域情報を合成することで、その無線タグの位置を詳細に算出することができる。本願第11発明においては、少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し通信指示信号を一斉に出力可能とする。これにより、それら無線タグ通信装置に対して一斉に無線タグとの情報送受信を図らせ、無線タグと通信可能であった無線タグ通信装置が2個以上あれば、それらの通信領域情報を位置算出手段で合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0031】
第12発明は、上記第11発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力することを特徴とする。
【0032】
これにより、上記のような複数の無線タグ通信装置の一斉動作に先立ち、まず、操作端末に最も近い無線タグ通信装置で通信領域をまず最初に発生させることができる。したがって、操作端末のすぐ近くに無線タグがあった場合に確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。また、最初の通信で無線タグと通信できた場合には(操作端末の近くに無線タグがある可能性が高いことから)上記一斉動作を無駄に行うのを止めることも可能となる。
【0033】
第13発明は、上記第12発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に失敗した場合に、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉に出力することを特徴とする。
【0034】
また、最初の通信で無線タグと通信できなかった場合は、操作端末の近くに無線タグがない(言い換えれば無線タグが操作端末から遠く離れている)可能性が高い。そこで本願第13発明においては、複数の無線タグ通信装置に対して一斉に無線タグとの情報送受信を図らせることで、迅速に無線タグの探索を行うことができる。
【0035】
上記目的を達成するために、第14発明は、互いにネットワーク接続可能に配置され、アンテナからの通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるようにそれぞれ配置され、前記通信領域内に位置する無線タグに対しそれぞれ情報送受信可能な複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末であって、通信対象の前記無線タグから無線通信を介し情報取得を図るように前記無線タグ通信装置へ通信指示信号を出力する通信指示手段と、前記無線タグから情報を取得できた各無線タグ通信装置の通信領域情報を合成し、前記無線タグの位置を算出する位置算出手段とを有することを特徴とする。
【0036】
操作端末の通信指示手段からの通信指示信号により各無線タグ通信装置を操作し、無線タグからの情報取得を図らせる。そして、少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信結果が情報取得成功であった場合には、位置算出手段でその情報取得に成功した無線タグ通信装置の通信領域情報を合成することで、当該無線タグが存在している位置を算出することができる。
【0037】
このとき、2つの通信領域情報を合成して絞り込むことで、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができる。またこの場合、端末から無線タグ通信装置を操作するだけで無線タグの位置を検出することができるので、多数の無線タグ通信装置を一元管理するサーバ等を設ける必要がない。
【0038】
第15発明は、上記第14発明において、前記通信指示手段は、少なくとも2つの前記無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力し、前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に成功した場合は、その次に前記操作端末に近い無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を出力することを特徴とする。
【0039】
これにより、操作端末に最も近い無線タグ通信装置で通信領域をまず最初に発生させることができる。そして、この最も近い無線タグ通信装置で情報を取得できたときには、操作端末のすぐ近くに無線タグがある可能性が高い。そこで、その無線タグ通信装置の次に操作端末に近い無線タグ通信装置で通信領域を発生させる。これにより、当該次の無線タグ通信装置でも情報を取得できた場合には、直ちにそれら2つの無線タグ通信装置の通信領域情報を合成して、無線タグの位置を特定することができる。この結果、確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。
【0040】
第16発明は、上記第15発明において、前記通信指示手段は、前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に失敗した場合に、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉に出力することを特徴とする。
【0041】
最初の通信で無線タグと通信できなかった場合は、操作端末の近くに無線タグがない(言い換えれば無線タグが操作端末から遠く離れている)可能性が高い。そこで、複数の無線タグ通信装置に対して一斉に無線タグとの情報送受信を図らせることで、迅速に無線タグの探索を行うことができる。
【0042】
上記目的を達成するために、第17の発明は、アンテナからの通信領域内に位置する無線タグに対し情報送受信可能に構成され、前記通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるように配置され、前記他の無線タグ通信装置とネットワーク接続可能に配置された無線タグ通信装置であって、操作端末からの前記通信指示信号に基づき、前記アンテナを介した無線通信により前記通信対象の前記無線タグからの情報取得を図る情報取得手段と、前記情報取得手段による情報取得の可否を表す通信結果信号を前記操作端末へ送信する通信結果送信手段とを有することを特徴とする。
【0043】
本願第17発明においては、操作端末の通信指示信号により情報取得手段が無線タグと通信を行い、その通信結果に対応して通信結果送信手段が通信結果信号を操作端末へ送信する。これにより、このような構成の少なくとも2つの無線タグ通信装置からの通信結果信号が情報取得成功であった場合には、操作端末側で、その情報取得に成功した無線タグ通信装置の通信領域情報を合成することで、当該無線タグが存在している位置を算出することが可能となる。
【0044】
このとき、2つの通信領域情報を合成して絞り込むことで、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができる。またこの場合、端末から無線タグ通信装置を操作するだけで無線タグの位置を検出することができるので、多数の無線タグ通信装置を一元管理するサーバ等を設ける必要がない。
【0045】
第18発明は、上記第17発明において、当該無線タグ通信装置の位置情報を記憶保持する位置情報記憶手段と、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記位置情報記憶手段に記憶保持した前記位置情報を前記操作端末へ送信する位置情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0046】
これにより、操作端末側で無線タグ通信装置の位置を予め把握していない場合や、無線タグ通信装置の位置が(配置換え等によって)変動しうる場合であっても、無線タグとの通信時の無線タグ通信装置の位置を操作端末で確実に把握できる。この結果、その位置を基準として各無線タグ通信装置の通信領域情報を合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0047】
第19発明は、上記第17発明において、当該無線タグ通信装置の識別情報を記憶保持する識別情報記憶手段と、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記識別情報記憶手段に記憶保持した前記識別情報を前記操作端末へ送信する識別情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0048】
無線タグ通信装置の識別情報とこれに対応する配置位置が予め関連づけられている場合には、(無線タグ通信装置から位置情報を直接取得しなくても)操作端末が識別情報送信手段からの識別情報を取得することで、無線タグ通信装置の位置を把握することができる。この結果、その位置を基準として各無線タグ通信装置の通信領域情報を合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0049】
第20発明は、上記第18又は第19発明において、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、予め定められた所定の順番に沿い次の順番となる無線タグ通信装置の前記位置情報又は前記識別情報を、前記操作端末へ送信する次装置情報送信手段を有することを特徴とする。
【0050】
これにより、無線タグを迅速に検出するために次はどの無線タグ通信装置で通信領域を発生させればよいかについて(操作端末に近い無線タグ通信装置のから操作端末より遠い無線タグ通信装置へ、あるいは、ある無線タグ通信装置からそれに隣接する無線タグ通信装置へ等)、所定の規則性に沿った情報を操作端末側へ与えることができる。この結果、操作端末が自動的にその規則性に沿って無線タグ通信装置を切り替えて作動させたり、あるいはその規則性に沿って次に作動させるべき無線タグ通信装置の候補を操作端末で表示して操作者に報知することができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、複数の無線タグ通信装置による通信結果を用いて、無線タグの位置を精度良く求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の無線タグの位置検出システムを、例えば事務室における書類の探索に適用した場合の例である。
【0053】
図1は、本実施形態の無線タグの位置検出システム1が設けられる事務室100を概念的に表す説明図である。図1において、一つの閉じた空間で形成されている事務室100内に12個の作業机101が3行(行:横の並び)4列(列:縦の並び)の整列した配置で設置されている。各作業机101は、特に図示しない書棚や引き出しを備えており、それぞれが複数の書類102を保管できたり机上に載置できるようになっている。それら書類102には、それぞれ管理用の無線タグTが貼付されている。
【0054】
そして、各作業机101には、操作端末3と、それに近接した配置で接続する端末リーダ(無線タグ通信装置)2Aとが備えられている。また事務室100の所定の壁には(操作端末3のような対応する操作端末のない)複数の独立リーダ(無線タグ通信装置)2Bが設置されている。図示する例では、各端末リーダ2Aがそれぞれの作業机101上の同じ位置に配置されている。また独立リーダ2Bは、図中の左右側の壁にそれぞれ3つずつ、図中の下側の壁に4つ設けられて、それぞれ端末リーダ2Aの行列配置に対応した整列配置で設置されている。
【0055】
全ての端末リーダ2A及び独立リーダ2Bは、後述するように同じ構成のリーダアンテナ5を有しており、それぞれリーダアンテナ5を基点として形成される有限の通信領域の範囲内で無線タグTと無線通信が可能となっている(詳しくは後述する)。そして全ての操作端末3と全ての独立リーダ2Bは、通信ネットワークNWを介して情報を送受可能に接続されている。
【0056】
この無線タグ位置検出システム1では、操作者(一つの作業机に着席して操作端末を使用する者)は、自身が使用している操作端末に対し、必要としている書類102に貼付されている無線タグTの識別情報(以下タグIDという)を入力するとともに、その必要書類102の現在位置の探索処理を開始するよう指示する。これにより、各操作端末3と各独立リーダ2Bが互いに情報を送受し合って、当該タグIDに対応する無線タグTの現在位置(必要書類の現在位置)を推定し、当該操作端末3の表示部に表示する。なお、本実施形態における操作端末での「操作」とは、上記のようないわゆる能動的な操作に限られない。すなわち、広い意味での働きかけ作動、例えば、電源ONとともに操作端末3が通信ネットワークNWを介し単に通信結果を収集して取得する等であってもよい。
【0057】
図2は、本実施形態の無線タグの位置検出システム1の概略を表すシステム構成図である。
【0058】
図2において、上述したようにこの無線タグの位置検出システム1は、それぞれ端末リーダ2Aを接続した複数の操作端末3と、複数の独立リーダ2Bとを通信ネットワークNWで接続して備えている(なお、端末リーダ2Aについても、操作端末3と同様、直接通信ネットワークNWに接続するようにしてもよい)。なお、図中では図示の煩雑を避けるために、操作端末3とそれに接続する端末リーダ2A、及び独立リーダ2Bをそれぞれ一つのみ示している。
【0059】
操作端末3は、一般に利用されている汎用パーソナルコンピュータで構成されるものである。すなわち、操作端末3は、例えば、CPU6と、ハードディスク装置やフラッシュメモリからなり各種情報を記憶する不揮発記憶装置7と、例えばRAMやROM等からなるメモリ8と、使用者からの指示や情報が入力される操作部9と、各種情報やメッセージを表示する表示部10と、端末リーダ2Aに対して制御信号及び情報信号の授受の制御を行うインターフェース11と、上記通信ネットワークNWを介して他の操作端末3や独立リーダ2Bとの制御信号及び情報信号の授受の制御を行うネットワーク通信制御部12とを備えている。CPU6は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって操作端末3全体の各種制御を行うものである。
【0060】
端末リーダ2Aは、本体制御部15と、リーダアンテナ(アンテナ)5とを有している。本体制御部15は、CPU16と、上記と同様のメモリ8、インターフェース11、及びリーダアンテナ5を介し無線タグTとの無線通信の制御を行うRF通信制御部17とを備えている。
【0061】
独立リーダ2Bは、上記端末リーダ2Aとほぼ同じ構成であり、インターフェース11の代わりにネットワーク通信制御部12を備えている。なお、上記のように端末リーダ2Aも直接通信ネットワークNWに接続する場合には、この独立リーダ2Bと同様、ネットワーク通信制御部12が備えられる。
【0062】
なお、本実施形態では、通信ネットワークNWにケーブル等を使用した有線ネットワークを想定しているが、これに限らず、例えば上記RF通信制御部17と周波数帯及び送受信方式の異なる無線ネットワークを用いてもよい。そして各操作端末3と各リーダ2A,2Bとは、互いの識別情報(例えば、ネットワークの中で規定されるネットワークアドレス、TCP/IPプロトコルに準拠したIPアドレス、それぞれを識別するための端末ID・リーダID等)により相互に通信相手を特定(認識)した上で通信を行えるようになっている。この識別情報は、操作端末3では、上記メモリ7又は不揮発性記憶装置7に記憶されており、リーダ2A,2Bでは、例えば上記メモリ8(又は上記操作端末3の不揮発性記憶装置7と同様の不揮発性記憶装置でもよい)に記憶されている(識別情報記憶手段)。
【0063】
無線タグTは、タグ側アンテナ151とIC回路部150とを備える無線タグ回路素子Toを有している。無線タグTは、この無線タグ回路素子Toを、特に図示しない基材などに設けて上記書類202に例えば貼り付け、添付、同梱等により設けられるものである(無線タグ回路素子Toについては後に詳述する)。
【0064】
図3は、上記端末リーダ2A及び独立リーダ2Bのそれぞれにおいて共通するCPU16、RF通信制御部17、及びリーダアンテナ5の構成を表す機能ブロック図である。
【0065】
図3において、CPU16は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのタグID読み取りコマンド(詳しくは後述する)を生成するものである。
【0066】
RF通信制御部17は、上記リーダアンテナ5を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(タグIDを含む情報)へアクセスするものである。そして、このRF通信制御部17は、リーダアンテナ5を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、リーダアンテナ5により受信された無線タグ回路素子Toからの応答波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0067】
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(この例では読み取り)ための質問波を生成するブロックである。すなわち、送信部212は、基準周波数を発生する水晶振動子215Aと、この水晶振動子215Aにより発生した周波数を元に、所定周波数の搬送波をCPU16の制御により発生させるPLL(Phase Locked Loop)215B及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記CPU16から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU16からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例ではCPU16からの「TX_PWR」信号によって増幅率が決定される増幅)する可変送信アンプ217とを備えている。上記発生される搬送波は、例えばUHF帯、マイクロ波帯、あるいは短波帯の周波数を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しリーダアンテナ5に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は上記のように変調した信号(変調波)に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0068】
受信部213は、リーダアンテナ5で受信されて送受分離器214を介して入力された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記リーダアンテナユニット3で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU16に入力されて処理される。
【0069】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU16に入力されるようになっている。このようにして、各リーダ2A,2Bでは、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの応答波の復調が行われる。
【0070】
このとき、上記各リーダ2A,2Bは、その通信領域内に存在する複数の無線タグTの無線タグ回路素子Toに対してタグIDを応答信号として発信させるよう要求するタグID読み取りコマンドを送信する。このタグID読み取りコマンドは、(この例では)複数の無線タグ回路素子Toの中から特定のタグIDに対応する無線タグ回路素子Toが存在しているか否かを確認するための指令であり、確認しようとする無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)が含まれている。RF通信制御部17からリーダアンテナ5を介しこのタグID読み取りコマンドが送信されると、それに含まれているタグIDに対応する無線タグ回路素子Toだけが応答信号として同じタグIDを返信して応答する。このように、指定するタグIDを含むタグID読み取りコマンドが各リーダ2A,2Bから送信され、その後に同じタグIDでの応答信号を受信できた場合には、当該リーダ2A,2Bのそれぞれの通信領域内に当該タグIDに対応する無線タグ回路素子Toの存在が検出されたことになる。
【0071】
図4は、上記無線タグTに備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0072】
図4は、上記無線タグTに備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図4において、無線タグ回路素子Toは、上述したように各リーダ2A,2Bのリーダアンテナ5と非接触で信号の送受信を行う上記タグ側アンテナ151と、このタグ側アンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0073】
IC回路部150は、タグ側アンテナ151により受信された質問波(上記タグID読み取りコマンドを含む信号)を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグ側アンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグ側アンテナ151に接続された変復調部156と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介し上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
【0074】
変復調部156は、タグ側アンテナ151により受信された上記無線タグ情報通信装置1のリーダアンテナ3からの通信信号の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグ側アンテナ151より応答波(タグIDを含む信号)として送信する。
【0075】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0076】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部156により上記タグ側アンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0077】
ここで、本実施形態の無線タグの位置検出システム1の最も大きな特徴は、各リーダ2A,2Bがそれぞれ他のリーダ2A,2Bと互いに通信領域(=送信パワーやアンテナ指向性によりその時々で変わった場合には、無線タグTと送受信できたときの通信領域)が一部重なるように配置されており、検出対象の無線タグTのタグIDを検出できた少なくとも2つのリーダ2A,2Bのそれぞれの通信領域を合成して当該無線タグTの位置を算出することにある。以下、その詳細を順次説明する。
【0078】
まず、各リーダ2A,2Bの通信領域の配置関係について説明する。図5は、各リーダ2A,2Bとその通信領域の配置関係の一例を表す図である。なお、この図5は、上記図1で示した事務室100及び作業机101と各リーダ2A,2Bの配置位置を対応づけるものである。図では、作業机101、各リーダ2A,2Bの設置位置を示す丸記号、及び、各リーダ2A,2Bの通信領域のみを図示している。また、煩雑を避けるために、一部のリーダ2A,2Bの通信領域は図示を省略している。
【0079】
各リーダ2A,2Bの通信領域20(図中の破線で示す範囲)は、そのリーダアンテナ5を基点として広がる有限領域であり、その指向性や出力電力(いわゆる空中線電力)によって決まる形状や大きさ(通信距離)で形成される。図5で示す例においては、各リーダ2A,2Bのリーダアンテナ5はダイポール型アンテナ(特に図示せず)で構成されており、いずれも水平姿勢で長手方向が図中の左右方向と平行となるよう配置されている。また、各リーダ2A,2Bはいずれも同じ出力電力で無線通信を行う。このため、各リーダ2A,2Bの通信領域20は、図示する平面図で見て各リーダ2A,2Bを中心にそれぞれ図中の上下方向に2つの楕円形で挟む形状で同じ大きさに形成されている。そして、各操作端末3は、各リーダ2A,2Bに対応するこれら通信領域20の配置、形状、大きさについての情報(通信領域情報)を(例えば各リーダ2A,2Bの識別情報と対応させて)不揮発性記憶装置7等に予め記憶している。
【0080】
そして各リーダ2A,2Bは、それぞれの通信領域20の大きさに比べて互いに短い間隔で配置されているため、配置位置が近接しているリーダ2A,2Bどうしでは通信領域20が部分的に重複する配置関係となっている。例えば、図中の黒丸「●」で示した位置の端末リーダ2Aの通信領域20に対して、その端末リーダ2Aの周囲を囲む7つのリーダ2A,2B(図中二重丸「◎」で示す)の通信領域20がいずれも十分に広い領域で重なっていることがわかる。
【0081】
ところで、本実施形態では、事務室100内における各リーダ2A,2Bの配置座標が予め座標として設定されている。図6は、事務室100における各リーダ2A,2Bの配置位置の座標設定の一例を表す図である。
【0082】
図6において、本実施形態では、各リーダ2A,2Bの配置位置に対してそれらを特定するための位置番号(なお、これを前述のリーダIDとしてもよい)が設定される。この例では、位置番号は全てのリーダ2A,2B(22個)についての通し番号(P1〜P22)で設定され、配置座標は事務室100内100に設定されたX−Y座標系に基づいて設定されている。
【0083】
このX−Y座標系の基本単位は、実尺の寸法(mmやcm)を用いてもよいしまたは計算上便宜的に設定された仮想的な単位でもよい。図示する例では図中の左上の角の点を0点としてX方向が図中の横方向に対応し、Y方向が図中の上下方向に対応している。そして各リーダ2A,2B(各位置番号P1〜P22)の配置位置は、このX−Y座標系に基づいた配置座標で表される。例えば、位置番号P1の独立リーダ2Bの配置位置は(PX1、PY1)で表すことができる。
【0084】
本実施形態では、後述するように、各リーダ2A,2Bによる対象無線タグTの位置検出を、所定の順番に沿って実行する。この例では、各操作端末3からみて近い順番に順次リーダ2A,2Bによる検出を行う。そのため、操作端末3には、リーダ2A,2Bが当該操作端末3に近い順のリスト(近接順リーダリスト)として記録されている。
【0085】
図7は、各操作端末3に備えられた、リーダ2A,2Bについての各種情報を記憶する近接順リーダリストの一例を概念的に表す図である。この近接順リーダリストは、各操作端末3の上記不揮発性記憶装置7に記録保持されている。図示の例は、上記図6に示す配置位置P6の端末リーダ2Aに直接接続している操作端末3に記憶されているものである。
【0086】
この図7に示すように、この近接順リーダリストは、各リーダ2A,2Bの位置番号と、その配置座標を表すX座標及びY座標と、各リーダ2A,2Bの識別情報(前述したネットワークアドレス、IPアドレス、リーダID等)の各項目が、1から22までの連番で表される参照番号に対応づけられた相関情報の形で記憶されている。なお、この参照番号は、当該近接順リーダリストを記憶している操作端末3に直接接続している端末リーダ2A(以下適宜、自リーダ2Aという;この例では配置位置P6の端末リーダ2A)を一番最初の「1」に割り当て、次いで当該操作端末3を基点として相対的に近い順に配置されているリーダ2A,2Bの順に割り当てられている番号であり、事務室100内に設置されている22個全てのリーダ2A,2Bに割り当てられている。
【0087】
なお、参照番号が「1」である最初のリーダは、当該操作端末3がインターフェース11を介して接続している端末リーダ2Aであるため、識別情報の項目内容は省略されている(省略せず記載してもよい)。また、例えば配置位置P5の端末リーダ2A(図示する例の参照番号4に対応)のように、端末用リーダ2Aにおいて識別情報としてIPアドレスやネットワークアドレスを使用する場合には、対応する操作端末3のIPアドレスやネットワークアドレスを当該端末用リーダ2Aの識別情報として記憶するようにしてもよい。
【0088】
図8は、各操作端末3のCPU6によって実行される制御手順を表すフローチャートである。なお、各操作端末3はどれもこの同じフローの制御手順を行う。また、後述する処理要求信号、処理許可信号、処理拒否信号、及び開始報告信号は、それぞれ通信ネットワークNWを介し最終的に各操作端末3と各リーダ2A,2Bとの間で送受される(以下、同様)。
【0089】
図8において、例えば、電源の投入後このフローが開始される(START位置)。まず、ステップS5において、操作部9での入力操作を介し、操作者から必要書類202に貼付されている無線タグTの位置検出を要求する操作がなされたか否かを判定する。ここでの入力操作は、位置検出する対象の無線タグTのタグIDも含めた入力操作となる。なお、特に図示しないが、各書類202の書類名等とそれぞれに貼付されている無線タグTのタグIDとを対応づけた相関情報を、(例えば不揮発性記憶装置7や別途ネットワーク接続されたサーバに)テーブルあるいはデータベースの形で記憶しておいてもよい。この場合、操作者は、必要とする書類202の書類名等を入力する。これに基づき、上記テーブルやデータベースから対応するタグIDが取得される。
【0090】
操作者による入力操作がされた場合、判定が満たされ、ステップS100のタグ位置検出処理(詳細は後述)を行ってからステップS15へ移る。一方、入力操作がなされていない場合、判定が満たされず、そのままステップS15へ移る。
【0091】
ステップS15では、(操作部9の入力操作を介し)操作者から現行の処理を終了する操作が行われたか否かを判定する。終了操作が行われていない場合、判定が満たされず、ステップS5へ戻り同様の手順を繰り返す。一方、終了操作が行われている場合、判定が満たされ、このフローを終了する。
【0092】
図9は、上記図8中のステップS100において実行されるタグ位置検出処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【0093】
この図9において、まずステップS105において、上記近接順リーダリストの参照番号に対応する変数nの値を1に初期化し、次のステップS110へ移る。
【0094】
ステップS110では、近接順リーダリストにおいて参照番号順のn番目のリーダ2A,2B、つまり自リーダ2A(1番目)を含め操作端末3からn番目に近いリーダ2A,2Bに対応する識別情報を近接順リーダリストから取得する。
【0095】
次にステップS115へ移り、上記ステップS110で取得した識別情報に対応するリーダ2A,2Bに対してタグ検出要求信号(通信指示信号)を送信する(通信指示手段)。なお、このタグ検出要求信号には上記図8のフローにおけるステップS5で入力されたタグID(必要書類202に貼付されている無線タグTのタグID)も含まれている。
【0096】
次にステップS120へ移り、上記ステップS115でタグ検出要求信号を送信したリーダ2A,2Bからその返信信号としてのタグ検出結果信号を受信し(後述の図10のステップS215、ステップS220参照)、それに含まれる検出結果を記憶する。なお、このタグ検出結果信号には、それぞれのリーダ2A,2Bの上記識別情報及び後述の付加的情報も併せて含まれている(後述)。
【0097】
次にステップS125へ移り、上記ステップS120で記憶した検出結果に基づいて、それまでに検出対象の無線タグTを検出できたとする内容のタグ検出結果信号を2つ受信したか否かを判定する。検出できたとするタグ検出結果信号を2つ受信している場合、判定は満たされ、つまりこの時点で検出対象の無線タグTの位置が推定可能であるとみなされ、ステップS130へ移る。
【0098】
ステップS130では、検出対象の無線タグTを検出できたとする2つのタグ検出結果信号のそれぞれの検出結果を合成(後述の図11で詳述する)して当該検出対象の無線タグTの現在位置を推定し(位置算出手段)、その推定結果を表示部10に表示(後述の図12参照)してこのフローを終了する。
【0099】
また一方、上記ステップS125の判定において、検出対象の無線タグTを検出できたとするタグ検出結果信号をまだ2つ受信していない場合、判定は満たされず、ステップS135へ移り、自リーダ2Aを含む全てのリーダ2A,2B(この例では22個)からタグ検出結果信号を受信したか否かを判定する。まだ全てのリーダ2A,2Bから受信していない場合、判定が満たされず、ステップS140で変数nの値を1増加した後にステップS110へ戻り同様の手順を繰り返す。
【0100】
一方、全てのリーダ2A,2Bからタグ検出結果信号を受信している場合、判定が満たされ、すなわち全てのリーダ2A,2Bで無線タグTの検出を行ったものの検出対象の無線タグTの位置を推定するのに必要な2つの検出結果を得ることができなかったものとみなされ、ステップS141に移る。
【0101】
ステップS141では、上記ステップS120で記憶した検出結果に基づいて、それまでに検出対象の無線タグTを検出できたとする内容のタグ検出結果信号を1つ受信したか否かを判定する。検出できたとするタグ検出結果信号を1つも受信できなかった場合、ステップS141の判定が満たされず、ステップS145に移る。ステップS145で表示部10に位置検出を失敗した旨の表示を行った後、このフローを終了する。
【0102】
一方、ステップS141において、検出できたとするタグ検出結果信号を1つ受信できた場合、判定が満たされ、ステップS143へ移る。ステップS143では、各リーダ2A,2Bからの上記タグ検出結果信号の検出結果と、そのタグ検出結果信号中に含まれる付加的情報(例えば、各リーダの通信指向性や出力電力値等)を用いて、検出対象の無線タグTの概略の現在位置を大ざっぱに推定し、その結果を表示部10に表示して、このフローを終了する。
【0103】
図10は、各リーダ2A,2Bにおいて実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0104】
この図10において、まずステップS200で、通信ネットワークNWを介して(又はインターフェース11,11を介して)操作端末3からタグ検出要求信号を受信したか否かを判定する。このタグ検出要求信号は、これを受信したリーダ2A,2Bの通信領域20内において、(そのタグ検出要求信号に含まれる)タグIDに対応する無線タグTの検出と、その検出結果の返信とを要求する制御信号である。タグ検出要求信号を受信していない場合、判定が満たされず、受信するまでループして待機する。タグ検出要求信号が受信された場合、判定が満たされ、ステップS205へ移る。
【0105】
ステップS205では、RF通信制御部17の送信部212に制御信号を出力してリーダアンテナ5からタグID読み取りコマンドを送信する。これにより、リーダ2Aのリーダアンテナ5を基点として形成されている通信領域20内に存在する全ての無線タグTに対し、上記図8のフローにおけるステップS10で通信ネットワークNWを介して受信したタグ検出要求信号に含まれているタグID(検出対象の無線タグTのタグID)を含むタグID読み取りコマンドを送信する(情報取得手段)。このようにして、当該リーダ2A,2Bの通信領域20内に検出対象の無線タグTが存在している場合には、そのタグIDを含むリプライ信号(返信信号)がリーダアンテナ5を介して受信され、存在しない場合には何も受信しない。
【0106】
次にステップS210へ移り、リプライ信号を受信したか否かを判定し、リプライ信号を受信している場合には、判定が満たされ、次のステップS215へ移る。ステップS215では、タグ検出要求信号の送信元である操作端末3に対し、無線タグTの検出に成功した旨の検出結果と当該リーダ2A,2Bの上記識別情報とを含むタグ検出結果信号(通信結果信号)を、通信ネットワークNW(又はインターフェース11,11)を介して送信し(通信結果送信手段、識別情報送信手段)、このフローを終了する。
【0107】
また一方、上記ステップS210の判定において、リプライ信号を受信していない場合、判定は満たされず、ステップS220へ移る。ステップS220では、タグ検出要求信号の送信元の操作端末3に対し、検出対象の無線タグTを検出できなかった旨の検出結果と当該リーダ2A,2Bの上記識別情報とを含むタグ検出結果信号(通信結果信号)を、通信ネットワークNW(又はインターフェース11,11)を介して送信し(通信結果送信手段、識別情報送信手段)、このフローを終了する。
【0108】
図11は、タグ検出結果信号の検出結果を合成して検出対象の無線タグTの現在位置を推定する概念の一例を模式的に表す図であり、この例における上記図1、図5、図6に対応して示す図である。
【0109】
この図11において、この例では配置位置P6の端末リーダ2Aに接続する操作端末3でタグ位置検出処理を行った場合を示している。この場合、自リーダ2A(配置位置P6の端末リーダ2A;図中の黒丸)で検出対象の無線タグTが検出され、配置位置P3と配置位置P7の独立リーダ2Bでは検出されず、配置位置P5の端末リーダ2Aで検出されて終了した場合を示している(検出するリーダ2A,2Bの順番は図7の近接順リーダリストを参照)。この場合、検出対象の無線タグTの現在位置(図中「×」で示す位置)は、自リーダ2Aの通信領域20と、配置位置P5の端末リーダ2Aの通信領域20が重複している領域である(詳細には、さらにそのうち配置位置P3の独立リーダ2Bの通信領域20と配置位置P7の独立リーダ2Bの通信領域20とを除いた範囲内である)と推定される。すなわち、本実施形態でいう「合成」とは、通信領域どうしの重なり合う部分を求め抽出して取得することであり、論理演算でいう「AND」に相当するものである。前述したように、この例では、各操作端末3は予め各リーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を記憶しているため、これによって上記の推定が行われる。
【0110】
上記した図9のフローのステップS130の手順では、以上のような検出結果の合成(検出可否別による通信領域20の重複等)により検出対象の無線タグTが存在する可能性のある範囲を推定算出する。そして、その推定された範囲を、例えば図12(上記図1、図5、図6、図11に対応)に示すように概略的に楕円形形状の領域として表示部10に表示する。
【0111】
なお、検出結果の合成及びその後の表示の手法としては上記以外の手法を用いてもよい。例えば検出対象の無線タグTを検出できた2つのリーダ2A,2Bの配置位置(P5及びP6)を結ぶ線分の中点を検出対象無線タグTの推定存在位置として表示したり、さらにその中点から所定の範囲を円形又は楕円形により無線タグTの推定存在範囲として表示してもよい。さらに、3つ以上のリーダ2A,2Bでの検出結果を用いる場合には、各配置位置を結んで形成される多角形の重心などを検出対象無線タグTの推定存在位置として表示してもよい。また、通信領域同士の境では通信できる確率が50%となるため、上記のような複数の検出結果の合成において、複数回通信トライした結果の交信確率を考慮した演算を行い、この演算も併せて加味するようにしてもよい。
【0112】
以上説明したように、本実施形態においては、各リーダ2A,2Bは、通信領域20の一部が他と重なりあうように配置されており、その重なり合っている部分に無線タグTが存在している場合に、両方のリーダ2A,2Bのリーダアンテナ5から通信可能となる。本実施形態では、このことを利用し、操作端末3より、各リーダ2A,2Bを操作して無線タグTと通信を行わせる。そして、少なくとも2つのリーダ2A,2Bで無線タグTから情報取得できた場合には、それらリーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を合成する(本実施形態の例では幾何的に通信領域20どうしの重なり合う部分を求める。上記図9のステップS130参照)ことにより、当該無線タグTが存在している位置を算出することができる(図12参照)。このとき、2つの通信領域20に関する情報を合成して絞り込んでいるので、(単に、通信できた1つのリーダの通信領域20のみから求めるよりも)無線タグTの位置を精度よく詳細に求めることができる。また、上述のように、操作端末3からリーダ2A,2Bを操作するだけで無線タグTの位置を検出することができ、多数のリーダ2A,2Bを一元管理するサーバ等を設ける必要がないという効果もある。なお、少なくとも1つのリーダ2A,2Bが、このようなサーバの機能を兼ね備えており、ネットワークを介し多数のリーダ2A,2Bにおける通信結果を取得して演算を行うようにしても良い。
【0113】
また、この実施形態では特に、操作端末3は各リーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を各操作端末3の不揮発性記憶装置7などに記憶しており、各リーダ2A,2Bはその識別情報を記憶保持している。これにより、操作端末3が各リーダ2A,2Bから識別情報を取得することで(図9のステップS120)、(各リーダ2A,2Bから位置情報を直接取得しなくても)各リーダ2A,2Bの位置を把握することができる。この結果、その把握した位置を基準として通信領域20に関する情報を合成し、無線タグTの位置を求めることができる。
【0114】
また、この実施形態では特に、近接順リーダリストに沿って、操作者が使用している操作端末3に相対的に近いリーダ2A,2Bから順に、タグ検出要求信号を順次出力する(図7参照)。これにより、各リーダ2A,2Bを順次切り替えて通信領域20を発生させていくとき、操作端末3の近くから遠くへという順で発生させることができる。一般的に、操作者が必要とする書類202は、操作者自身が最近までその近辺で保管していた可能性が高い。上記のように近くから遠くへと順に探索してくことで、操作者が使用している操作端末3の近くにある場合には比較的早い時期に無線タグTを検出することができ、この結果、無線タグ探索の迅速化・効率化を図ることができる。
【0115】
具体的には、以下の通りである。すなわち、操作者が使用している操作端末3に最も近いリーダ(自リーダ2A)で通信領域20をまず最初に優先して発生させることで、操作端末3のすぐ近くに無線タグTがあった場合に確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。特に、最初に操作端末3に最も近い自リーダ2Aでリプライ信号を受信できたときには、操作端末3のすぐ近くに検出対象の無線タグTがある可能性が高い。そこで、その自リーダ2Aの次に操作端末3に近いリーダ2A,2Bで通信領域20を発生させる。これにより、当該次のリーダ2A,2Bでもリプライ信号を受信できた場合には、直ちにそれら2つのリーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を合成して、検出対象の無線タグTの位置を特定することができる。この結果、確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。
【0116】
なお、上記実施形態は各リーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を各操作端末3の不揮発性記憶装置7などに記憶させていたが、これに限られない。すなわち、例えば各リーダ2A,2Bに不揮発性記憶装置などを設けてこれに当該リーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を記憶させ、上記図10のフローにおけるステップS215、及びステップS220の手順で送信するタグ検出結果信号にそのリーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を含めて操作端末3に送信するようにすればよい(通信領域送信手段)。このようにすれば、(前述と異なり)操作端末3側で各リーダ2A,2Bの通信領域20を予め把握していない場合や、リーダアンテナ5からの送信出力が可変であったり指向性が可変である等で、各リーダ2A,2Bの通信領域20が変動しうる場合であっても、無線タグTとの通信時の各リーダ2A,2Bの通信領域20を操作端末3で確実に把握できる。この結果、その通信領域20に関する情報を合成して無線タグTの位置を算出することができる。
【0117】
また、このように各リーダ2A,2B側から通信領域情報を得て合成を行う場合に、前述のように各リーダ2A,2Bからタグ検出結果と併せて識別情報を端末3へ送るのではなく、タグ検出結果と併せて各リーダ2A,2Bの位置情報を端末3へ送るようにしてもよい(=位置情報送信手段。この位置情報は識別情報と同様にメモリ18等の位置情報記憶手段に格納保持しておく)。この位置情報としては、例えば、図6において前述したような、座標系におけるリーダ2A,2Bの配置座標を使用することができる。そしてこの場合、それら複数のリーダ2A,2Bの配置座標を元に、前述したように、無線タグTを検出できた2つのリーダ2A,2Bの配置位置を結ぶ線分の中点を検出対象無線タグTの推定存在位置として座標軸上に表示したり、さらにその中点からある定められた径の範囲を無線タグTの推定存在範囲として座標軸上に表示してもよい。3つ以上のリーダ2A,2Bでの検出結果を用いる場合についても同様である。
【0118】
なお、本発明は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)タグ検出要求信号を送信するリーダの順番をリーダから取得する場合
上記実施形態では、操作端末3からタグ検出要求信号を送信するリーダ2A,2Bの順番を、操作端末3の不揮発性記憶装置7などで記憶した近接順リーダリストの記載順に従っていたが、本発明はこれに限られない。すなわち、例えばタグ検出結果信号を受信したリーダ2A,2Bから次にタグ検出要求信号を送信するリーダ2A,2Bを指定する(上記識別情報を含む)リンク情報を取得するようにしてもよい。
【0119】
図13は、本変形例の操作端末3において実行されるタグ位置検出処理の制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態における図9に相当する図である。
【0120】
この図13のフローでは、図9のフローのステップS105に代えて新たにステップS115AとステップS120Aとが設けられている。また、ステップS110、ステップS115、ステップS120に代えて、これらにそれぞれ対応するステップS110A、ステップS115B、ステップS120Bが設けられている点が異なる。
【0121】
図13において、まず、上記ステップS115に相当するステップS115Aにおいて、自リーダ2Aに対し、上記ステップS115と同様にタグ検出要求信号(通信指示信号)を送信する(通信指示手段)。このタグ検出要求信号には前述と同様タグID(必要書類202に貼付されている無線タグTのタグID)が含まれる。
【0122】
その後、上記ステップS120に相当するステップS120Aに移り、上記ステップS115Aでタグ検出要求信号を送信した自リーダ2Aからその返信信号としてのタグ検出結果信号を受信し(前述のステップS215、ステップS220参照)、それに含まれる検出結果を記憶する。このタグ検出結果信号には、自リーダ2Aの上記識別情報も併せて含まれる。また、本変形例の特徴として、次にタグ検出要求信号を送信すべきリーダ2A,2Bを指定するリンク情報もこのタグ検出結果信号に含まれる。なお、このリンク情報は、本変形例の各リーダ2A,2Bが備えている不揮発性記憶装置などに予め記憶されている情報であり、通常の場合、隣接して配置された他のリーダ2A,2Bを指定する内容となっている。
【0123】
そして、上記ステップS110に対応するステップS110Aへ移り、その時点で取得している最新のリンク情報より、次の順番のリーダ2A,2Bに対応する識別情報を取得する。
【0124】
その後、ステップS115Bに移り、上記ステップS115Aと同様、ステップS110Aで識別情報を取得したリーダ2A,2Bに対し、上記同様にタグ検出要求信号(通信指示信号)を送信する(通信指示手段)。このタグ検出要求信号には前述と同様タグIDが含まれる。
【0125】
そして、ステップS120Bにおいて、上記ステップS120Aと同様、上記ステップS115Bでタグ検出要求信号を送信したリーダ2A,2Bからその返信信号としてのタグ検出結果信号を受信し(前述のステップS215、ステップS220参照)、それに含まれる検出結果を記憶する。上記同様、このタグ検出結果信号には、リーダ2A,2Bの上記識別情報と、さらに次にタグ検出要求信号を送信すべきリーダ2A,2Bを指定するリンク情報とが含まれている。
【0126】
以降、ステップS125、ステップS130、ステップS135、ステップS141、ステップS143、ステップS145については図9と同様であるので説明を省略する(但し、ステップS135の判定が満たされなかった場合には、直接前述のステップS110Aに戻る)。
【0127】
なお、本変形例におけるリーダ2A,2Bで実行する制御手順は、図10に示したものとほぼ同様である。但し、ステップS215とステップS220でそれぞれタグ検出結果信号を送信する際、当該リーダ2A,2Bが記憶しているリンク情報をもタグ検出結果信号に含めて送信する(=次装置情報送信手段)。
【0128】
以上のように構成した本変形例においては、無線タグTを迅速に検出するために次はどのリーダ2A,2Bで通信領域20を発生させればよいかについて(各リーダのうち操作端末3の近いものから遠いものへ、あるいは、あるリーダ2A,2Bからそれに隣接するリーダ2A,2Bへ等)、所定の規則性に沿った情報を操作端末3側へ与えることができる。この結果、操作端末3が自動的にその規則性に沿ってリーダ2A,2Bを切り替えて作動させたり、あるいはその規則性に沿って次に作動させるべきリーダ2A,2Bの候補を操作端末3で表示して操作者に報知することができる。
(2)全てのリーダに対して一斉にタグ検出要求信号を送信する場合
上記実施形態では、検出対象の無線タグTを検出できたタグ検出結果信号を、所定数(上記実施形態の例では2つ)受信した際にタグ検出要求信号の送信を停止していたが、本発明はこれに限られない。例えば、初めから全てのリーダ2A,2Bに対して一斉にタグ検出要求信号を送信するようにしてもよい。
【0129】
図14は、本変形例において実行されるタグ位置検出処理の制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態における図9、上記(1)の変形例における図13にそれぞれ相当する図である。
【0130】
図14において、まず、上記ステップS115やステップS115Aに対応するステップS115Cにおいて、自リーダ2Aを含む全てのリーダ2A,2Bに対し(いわゆるブロードキャスト通信)、前述と同様、タグ検出要求信号(通信指示信号)を送信する(通信指示手段)。このタグ検出要求信号には前述と同様タグID(必要書類202に貼付されている無線タグTのタグID)が含まれる。
【0131】
次に、上記ステップS120やステップS120Aに対応するステップS120Cへ移り、上記ステップS115Cでタグ検出要求信号を送信したリーダ2A,2Bからその返信信号としてのタグ検出結果信号を受信し、それに含まれる検出結果を記憶する。このタグ検出結果信号には、各リーダ2A,2Bの上記識別情報も併せて含まれる。
【0132】
次にステップS123へ移り、上記タグ検出結果信号が自リーダ2Aを含む全てのリーダ2A,2Bから受信されたか否かを判定する。まだ他にタグ検出結果信号を受信していないリーダ2A,2Bがある場合、判定が満たされず、ステップS120Cへ戻って受信を繰り返す。一方、全てのリーダ2A,2Bからタグ検出結果信号を受信した場合、判定が満たされ、次のステップS125Cへ移る。
【0133】
ステップS125Cでは、上記ステップS120Cで記憶した全てのリーダ2A,2Bからの検出結果に基づいて、検出対象の無線タグTを検出できたとする内容のタグ検出結果信号を2つ以上受信したか否かを判定する。検出できたとするタグ検出結果信号を2つ以上受信している場合、判定は満たされ、つまり検出対象の無線タグTの位置が推定可能であるとみなされ、ステップS130へ移る。一方、検出できたとするタグ検出結果信号の数が2つ未満である場合、判定は満たされず、つまり検出対象の無線タグTの位置を推定できないとみなされ、ステップS141へ移る。以降は、図9や図13と同様であるため、説明を省略する。
【0134】
以上のように構成した本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。すなわち、全リーダ2A,2Bに対しタグ検出要求信号を一斉に出力して全リーダ2A,2Bに対して一斉に無線タグTとの情報送受信を図らせ、無線タグTと通信可能であったリーダ2A,2Bが2個以上あれば、それらの通信領域20に関する情報を合成し、検出対象の無線タグTの位置を算出することができる。
【0135】
なお、上記ではステップS115Cで全リーダ2A,2Bにおいて一斉に無線タグTへの通信(情報読み取り)を行わせたが、これに限られない。すなわち、先に操作端末3に対応した自リーダ2Aのみについて情報読み取りを試み、その後、自リーダ2A以外の全リーダ2A,2Bについて一斉に無線タグTへの通信(情報読み取り)を行わせるようにしてもよい。このように、複数のリーダ2A,2Bの一斉動作に先立ち、まず、操作端末3に最も近いリーダ2A,2B,2Bで通信領域20をまず最初に発生させることで、操作端末3のすぐ近くに検出対象の無線タグTがあった場合に確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。また、最初の通信で無線タグTと通信できた場合には(操作端末3の近くに無線タグTがある可能性が高いことから)上記一斉動作を無駄に行うのを止めることも可能となる。
【0136】
さらに、操作端末3に最も近い自リーダ2Aが検出対象の無線タグTからのリプライ信号の受信に失敗した場合にだけ、自リーダ2A以外の他の全てのリーダ2A,2Bに対してタグ検出要求信号を一斉に出力するようにしてもよい。つまり、最初の自リーダ2Aによる通信で検出対象の無線タグTと通信できなかった場合は、操作者が使用している操作端末3の近くに検出対象の無線タグTがない(言い換えれば検出対象の無線タグTが当該操作端末3から遠く離れている)可能性が高い。そこで自リーダ2A以外の他の全てのリーダ2A,2Bに対して一斉に無線タグTとの情報送受信を図らせることで、迅速に無線タグTの探索を行うことができる。
【0137】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0138】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の実施形態の無線タグの位置検出システムを事務室における書類の探索に適用した場合の一例を表す図である。
【図2】無線タグの位置検出システムの概略を表すシステム構成図である。
【図3】各リーダにおけるCPU、RF通信制御部、及びリーダアンテナの詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図4】無線タグに備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図5】各リーダとその通信領域の配置関係の一例を表す図である。
【図6】事務室における各リーダの配置位置の座標設定の一例を表す図である。
【図7】各操作端末が記憶する近接順リーダリストの一例を概念的に表す図である。
【図8】各操作端末のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図9】図8中のステップS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図10】各リーダにおいて実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図11】タグ検出結果信号の検出結果を合成して検出対象の無線タグの現在位置を推定する概念の一例を模式的に表す図である。
【図12】検出対象の無線タグの現在位置の推定結果を表示部に表示した一例を表す図である。
【図13】リンク情報をリーダから取得する変形例において実行されるタグ位置検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【図14】全てのリーダに対して一斉にタグ検出要求信号を送信する変形例において実行されるタグ位置検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0140】
1 無線タグの位置検出システム
2A 端末リーダ(無線タグ通信装置)
2B 独立リーダ(無線タグ通信装置)
3 操作端末
5 リーダアンテナ(アンテナ)
7 不揮発性記憶装置
8 メモリ
9 操作部
10 表示部
12 ネットワーク制御部
15 本体制御部
20 通信領域
NW 通信ネットワーク(ネットワーク)
T 無線タグ
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグとの無線通信に応じて、その無線タグの位置を検出する無線タグ位置検出システム、操作端末、及び無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を記憶する無線タグに対し非接触(コイルを用いる電磁結合方式、電磁誘導方式、あるいは電波方式等)で情報の送受信を行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。
【0003】
このような無線タグの位置を検出する無線タグの位置検出システムとして、例えば特許文献1記載のものが知られている。
【0004】
この従来技術は、特定の領域内に複数の無線タグが散在配置されている。また、その特定の領域内に、無線タグと通信可能な複数の無線タグ通信装置が配置され、各無線タグ通信装置はサーバに接続されている。各無線タグ通信装置は、自己の通信範囲内において無線タグと通信できた場合には、自己の位置情報とともにその無線タグの識別情報を随時サーバへと出力する。サーバ側では、その無線タグ通信装置の位置情報と(通信可能であった)無線タグの識別情報とを関連づけてデータベース化し、随時更新する。そして、特定の無線タグの位置検出要求がサーバに入力されると、サーバは、その要求された無線タグの識別情報をキーとして最新のデータベースを検索し、対応する無線タグ通信装置(すなわち当該無線タグに最も近い無線タグ通信装置)の位置情報を出力するようになっている。
【特許文献1】特開2006−67086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、1つの無線タグと1つの無線タグ通信装置の通信領域とを対応づけることを前提としており、位置検出を行いたい無線タグに対し通信可能であった無線タグ通信装置の位置情報をもって当該無線タグの位置検出情報としている。しかしながら、通信領域はある所定の大きさをもつものであるため、1つの無線タグ通信装置の位置情報だけでは、当該無線タグ通信装置の通信領域のうち詳細にはどの部分に無線タグが存在するのかは分からない。すなわち、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができなかった。
【0006】
本発明の目的は、複数の無線タグ通信装置による通信結果を用いて、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができる無線タグの位置検出システム、及び、これに用いられる操作端末並びに無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、互いにネットワーク接続可能に配置され、アンテナからの通信領域内に位置する無線タグに対しそれぞれ情報送受信可能な複数の無線タグ通信装置と、前記複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末とを有する無線タグの位置検出システムであって、各無線タグ通信装置は、前記通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるように配置されており、前記操作端末は、前記無線タグから情報を取得できた各無線タグ通信装置からの通信結果に基づき、少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信領域情報を合成して前記無線タグの位置を算出する位置算出手段を備えることを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末が備えられる。各無線タグ通信装置は、通信領域(=送信パワーやアンテナ指向性でその時々で変わった場合には、無線タグと送受信できたときの通信領域)の一部が他と重なりあうように配置されている。このため、その重なり合っている部分に無線タグが存在している場合には、両方の無線タグ通信装置のアンテナから通信可能となる。
【0009】
本願第1発明では、このことを利用し、操作端末より、各無線タグ通信装置を操作して、無線タグと通信を行わせる(なお、この場合の操作とは、いわゆる能動的な操作のみならず、広い意味での働きかけ作動、例えば、ネットワークを介し単に通信結果を収集して取得する、等の場合を含む)。そして、少なくとも2つの無線タグ通信装置で無線タグから情報取得できた場合には、位置算出手段で、それら無線タグ通信装置の通信領域情報(=上記したように、無線タグと送受信できたときの通信領域を示す情報)を合成する(通信領域どうしの重なり合う部分を求め抽出して取得する。論理演算でいう「AND」に相当するもの)ことにより、当該無線タグが存在している位置を算出することができる。
【0010】
このとき、2つ以上の通信領域情報を合成して絞り込むことで、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができる。またこの場合、端末から無線タグ通信装置を操作するだけで無線タグの位置を検出することができるので、多数の無線タグ通信装置を一元管理するサーバ等を設ける必要がない。
【0011】
第2発明は、上記第1発明において、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグとの通信時における前記アンテナからの通信領域情報を前記操作端末へ送信する通信領域送信手段を有し、前記操作端末の前記位置算出手段は、前記無線タグから情報を取得できた前記無線タグ通信装置の前記通信領域送信手段からの前記通信領域情報を合成し、前記無線タグの位置を算出することを特徴とする。
【0012】
これにより、操作端末側で各無線タグ通信装置の通信領域を予め把握していない場合や、アンテナからの送信出力が可変であったり指向性が可変である等で、各無線タグ通信装置の通信領域が変動しうる場合であっても、無線タグとの通信時の各無線タグ通信装置の通信領域を操作端末で確実に把握できる。この結果、その通信領域情報を合成して無線タグの位置を算出することができる。
【0013】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記操作端末は、通信対象の前記無線タグから無線通信を介し情報取得を図るように前記無線タグ通信装置へ通信指示信号を出力する通信指示手段を有し、前記無線タグ通信装置は、前記通信指示手段からの前記通信指示信号に基づき、前記アンテナを介した無線通信により前記通信対象の前記無線タグからの情報取得を図る情報取得手段と、前記情報取得手段による情報取得の可否を表す通信結果信号を前記操作端末へ送信する通信結果送信手段とを有し、前記操作端末の前記位置算出手段は、少なくとも2つの前記無線タグ通信装置からの前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出することを特徴とする。
【0014】
操作端末の通信指示手段からの通信指示信号により各無線タグ通信装置を操作し、情報取得手段で無線タグと通信を行わせ、通信結果送信手段で通信結果信号を送信させる。そして、少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信結果信号が情報取得成功であった場合には、位置算出手段で、その通信結果信号に基づき、情報取得に成功した無線タグ通信装置の通信領域情報を合成することで、当該無線タグが存在している位置を算出することができる。
【0015】
第4発明は、上記第3発明において、前記無線タグ通信装置は、当該無線タグ通信装置の位置情報を記憶保持する位置情報記憶手段と、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記位置情報記憶手段に記憶保持した前記位置情報を前記操作端末へ送信する位置情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0016】
これにより、操作端末側で各無線タグ通信装置の位置を予め把握していない場合や、各無線タグ通信装置の位置が(配置換え等によって)変動しうる場合であっても、無線タグとの通信時の各無線タグ通信装置の位置を操作端末で確実に把握できる。この結果、その位置を基準として通信領域情報を合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0017】
第5発明は、上記第3発明において、前記無線タグ通信装置は、当該無線タグ通信装置の識別情報を記憶保持する識別情報記憶手段と、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記識別情報記憶手段に記憶保持した前記識別情報を前記操作端末へ送信する識別情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0018】
無線タグ通信装置の識別情報とこれに対応する配置位置が予め関連づけられている場合には、(各無線タグ通信装置から位置情報を直接取得しなくても)操作端末が識別情報送信手段からの識別情報を取得することで、各無線タグ通信装置の位置を把握することができる。この結果、その位置を基準として通信領域情報を合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0019】
第6発明は、上記第4又は第5発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、少なくとも2つの前記無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を所定の順番にて順次出力可能に構成され、前記操作端末の前記位置算出手段は、前記順次出力された通信指示信号に対応して前記少なくとの2つの無線タグ通信装置からそれぞれ送信される前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出することを特徴とする。
【0020】
少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信領域が重なり合っている部分に無線タグが存在すれば、位置算出手段を用いてそれら通信領域情報を合成することで、その無線タグの位置を詳細に算出することができる。本願第6発明においては、各無線タグ通信装置に対し通信指示信号を所定の順番にて順次出力可能とする。これにより、無線タグ通信装置を順次切り替えながら通信領域を発生させていくとき、無線タグと通信可能であった通信領域が2個目以上になった段階で、それらの通信領域情報を位置算出手段で合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0021】
第7発明は、上記第6発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち、前記操作端末に相対的に近い無線タグ通信装置を、前記操作端末から相対的に遠い無線タグ通信装置よりも早い順番となるようにしつつ、前記通信指示信号を順次出力することを特徴とする。
【0022】
これにより、各無線タグ通信装置を順次切り替えて通信領域を発生させていくとき、操作端末の近くから遠くへという順で発生させることができる。これにより、操作端末の近くにある場合には比較的早い時期に無線タグを検出することができるので、無線タグ探索の迅速化・効率化を図ることができる。
【0023】
第8発明は、上記第7発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力することを特徴とする。
【0024】
これにより、操作端末に最も近い無線タグ通信装置で通信領域をまず最初に発生させることができるので、操作端末のすぐ近くに無線タグがあった場合に確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。
【0025】
第9発明は、上記第8発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に成功した場合は、その次に前記操作端末に近い無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を出力することを特徴とする。
【0026】
最初に操作端末に最も近い無線タグ通信装置で情報を取得できたときには、操作端末のすぐ近くに無線タグがある可能性が高い。そこで、その無線タグ通信装置の次に操作端末に近い無線タグ通信装置で通信領域を発生させる。これにより、当該次の無線タグ通信装置でも情報を取得できた場合には、直ちにそれら2つの無線タグ通信装置の通信領域情報を合成して、無線タグの位置を特定することができる。この結果、確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。
【0027】
第10発明は、上記第6乃至第9発明のいずれかにおいて、前記無線タグ通信装置は、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記所定の順番に沿い次の順番となる無線タグ通信装置の前記位置情報又は前記識別情報を、前記操作端末へ送信する次装置情報送信手段を有することを特徴とする。
【0028】
これにより、無線タグを迅速に検出するために次はどの無線タグ通信装置で通信領域を発生させればよいかについて(各無線タグ通信装置のうち操作端末の近いものから遠いものへ、あるいは、ある無線タグ通信装置からそれに隣接する無線タグ通信装置へ等)、所定の規則性に沿った情報を操作端末側へ与えることができる。この結果、操作端末が自動的にその規則性に沿って無線タグ通信装置を切り替えて作動させたり、あるいはその規則性に沿って次に作動させるべき無線タグ通信装置の候補を操作端末で表示して操作者に報知することができる。
【0029】
第11発明は、上記第4乃至第10発明のいずれかにおいて、前記操作端末の前記通信指示手段は、少なくとも2つの前記無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉出力可能に構成され、前記操作端末の前記位置算出手段は、前記一斉出力された通信指示信号に対応して前記少なくとも2つの無線タグ通信装置からそれぞれ送信される前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出することを特徴とする。
【0030】
少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信領域が重なり合っている部分に無線タグが存在すれば、位置算出手段を用いてそれら通信領域情報を合成することで、その無線タグの位置を詳細に算出することができる。本願第11発明においては、少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し通信指示信号を一斉に出力可能とする。これにより、それら無線タグ通信装置に対して一斉に無線タグとの情報送受信を図らせ、無線タグと通信可能であった無線タグ通信装置が2個以上あれば、それらの通信領域情報を位置算出手段で合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0031】
第12発明は、上記第11発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力することを特徴とする。
【0032】
これにより、上記のような複数の無線タグ通信装置の一斉動作に先立ち、まず、操作端末に最も近い無線タグ通信装置で通信領域をまず最初に発生させることができる。したがって、操作端末のすぐ近くに無線タグがあった場合に確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。また、最初の通信で無線タグと通信できた場合には(操作端末の近くに無線タグがある可能性が高いことから)上記一斉動作を無駄に行うのを止めることも可能となる。
【0033】
第13発明は、上記第12発明において、前記操作端末の前記通信指示手段は、前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に失敗した場合に、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉に出力することを特徴とする。
【0034】
また、最初の通信で無線タグと通信できなかった場合は、操作端末の近くに無線タグがない(言い換えれば無線タグが操作端末から遠く離れている)可能性が高い。そこで本願第13発明においては、複数の無線タグ通信装置に対して一斉に無線タグとの情報送受信を図らせることで、迅速に無線タグの探索を行うことができる。
【0035】
上記目的を達成するために、第14発明は、互いにネットワーク接続可能に配置され、アンテナからの通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるようにそれぞれ配置され、前記通信領域内に位置する無線タグに対しそれぞれ情報送受信可能な複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末であって、通信対象の前記無線タグから無線通信を介し情報取得を図るように前記無線タグ通信装置へ通信指示信号を出力する通信指示手段と、前記無線タグから情報を取得できた各無線タグ通信装置の通信領域情報を合成し、前記無線タグの位置を算出する位置算出手段とを有することを特徴とする。
【0036】
操作端末の通信指示手段からの通信指示信号により各無線タグ通信装置を操作し、無線タグからの情報取得を図らせる。そして、少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信結果が情報取得成功であった場合には、位置算出手段でその情報取得に成功した無線タグ通信装置の通信領域情報を合成することで、当該無線タグが存在している位置を算出することができる。
【0037】
このとき、2つの通信領域情報を合成して絞り込むことで、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができる。またこの場合、端末から無線タグ通信装置を操作するだけで無線タグの位置を検出することができるので、多数の無線タグ通信装置を一元管理するサーバ等を設ける必要がない。
【0038】
第15発明は、上記第14発明において、前記通信指示手段は、少なくとも2つの前記無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力し、前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に成功した場合は、その次に前記操作端末に近い無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を出力することを特徴とする。
【0039】
これにより、操作端末に最も近い無線タグ通信装置で通信領域をまず最初に発生させることができる。そして、この最も近い無線タグ通信装置で情報を取得できたときには、操作端末のすぐ近くに無線タグがある可能性が高い。そこで、その無線タグ通信装置の次に操作端末に近い無線タグ通信装置で通信領域を発生させる。これにより、当該次の無線タグ通信装置でも情報を取得できた場合には、直ちにそれら2つの無線タグ通信装置の通信領域情報を合成して、無線タグの位置を特定することができる。この結果、確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。
【0040】
第16発明は、上記第15発明において、前記通信指示手段は、前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に失敗した場合に、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉に出力することを特徴とする。
【0041】
最初の通信で無線タグと通信できなかった場合は、操作端末の近くに無線タグがない(言い換えれば無線タグが操作端末から遠く離れている)可能性が高い。そこで、複数の無線タグ通信装置に対して一斉に無線タグとの情報送受信を図らせることで、迅速に無線タグの探索を行うことができる。
【0042】
上記目的を達成するために、第17の発明は、アンテナからの通信領域内に位置する無線タグに対し情報送受信可能に構成され、前記通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるように配置され、前記他の無線タグ通信装置とネットワーク接続可能に配置された無線タグ通信装置であって、操作端末からの前記通信指示信号に基づき、前記アンテナを介した無線通信により前記通信対象の前記無線タグからの情報取得を図る情報取得手段と、前記情報取得手段による情報取得の可否を表す通信結果信号を前記操作端末へ送信する通信結果送信手段とを有することを特徴とする。
【0043】
本願第17発明においては、操作端末の通信指示信号により情報取得手段が無線タグと通信を行い、その通信結果に対応して通信結果送信手段が通信結果信号を操作端末へ送信する。これにより、このような構成の少なくとも2つの無線タグ通信装置からの通信結果信号が情報取得成功であった場合には、操作端末側で、その情報取得に成功した無線タグ通信装置の通信領域情報を合成することで、当該無線タグが存在している位置を算出することが可能となる。
【0044】
このとき、2つの通信領域情報を合成して絞り込むことで、無線タグの位置を高精度に詳細に求めることができる。またこの場合、端末から無線タグ通信装置を操作するだけで無線タグの位置を検出することができるので、多数の無線タグ通信装置を一元管理するサーバ等を設ける必要がない。
【0045】
第18発明は、上記第17発明において、当該無線タグ通信装置の位置情報を記憶保持する位置情報記憶手段と、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記位置情報記憶手段に記憶保持した前記位置情報を前記操作端末へ送信する位置情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0046】
これにより、操作端末側で無線タグ通信装置の位置を予め把握していない場合や、無線タグ通信装置の位置が(配置換え等によって)変動しうる場合であっても、無線タグとの通信時の無線タグ通信装置の位置を操作端末で確実に把握できる。この結果、その位置を基準として各無線タグ通信装置の通信領域情報を合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0047】
第19発明は、上記第17発明において、当該無線タグ通信装置の識別情報を記憶保持する識別情報記憶手段と、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記識別情報記憶手段に記憶保持した前記識別情報を前記操作端末へ送信する識別情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0048】
無線タグ通信装置の識別情報とこれに対応する配置位置が予め関連づけられている場合には、(無線タグ通信装置から位置情報を直接取得しなくても)操作端末が識別情報送信手段からの識別情報を取得することで、無線タグ通信装置の位置を把握することができる。この結果、その位置を基準として各無線タグ通信装置の通信領域情報を合成し、無線タグの位置を算出することができる。
【0049】
第20発明は、上記第18又は第19発明において、前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、予め定められた所定の順番に沿い次の順番となる無線タグ通信装置の前記位置情報又は前記識別情報を、前記操作端末へ送信する次装置情報送信手段を有することを特徴とする。
【0050】
これにより、無線タグを迅速に検出するために次はどの無線タグ通信装置で通信領域を発生させればよいかについて(操作端末に近い無線タグ通信装置のから操作端末より遠い無線タグ通信装置へ、あるいは、ある無線タグ通信装置からそれに隣接する無線タグ通信装置へ等)、所定の規則性に沿った情報を操作端末側へ与えることができる。この結果、操作端末が自動的にその規則性に沿って無線タグ通信装置を切り替えて作動させたり、あるいはその規則性に沿って次に作動させるべき無線タグ通信装置の候補を操作端末で表示して操作者に報知することができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、複数の無線タグ通信装置による通信結果を用いて、無線タグの位置を精度良く求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の無線タグの位置検出システムを、例えば事務室における書類の探索に適用した場合の例である。
【0053】
図1は、本実施形態の無線タグの位置検出システム1が設けられる事務室100を概念的に表す説明図である。図1において、一つの閉じた空間で形成されている事務室100内に12個の作業机101が3行(行:横の並び)4列(列:縦の並び)の整列した配置で設置されている。各作業机101は、特に図示しない書棚や引き出しを備えており、それぞれが複数の書類102を保管できたり机上に載置できるようになっている。それら書類102には、それぞれ管理用の無線タグTが貼付されている。
【0054】
そして、各作業机101には、操作端末3と、それに近接した配置で接続する端末リーダ(無線タグ通信装置)2Aとが備えられている。また事務室100の所定の壁には(操作端末3のような対応する操作端末のない)複数の独立リーダ(無線タグ通信装置)2Bが設置されている。図示する例では、各端末リーダ2Aがそれぞれの作業机101上の同じ位置に配置されている。また独立リーダ2Bは、図中の左右側の壁にそれぞれ3つずつ、図中の下側の壁に4つ設けられて、それぞれ端末リーダ2Aの行列配置に対応した整列配置で設置されている。
【0055】
全ての端末リーダ2A及び独立リーダ2Bは、後述するように同じ構成のリーダアンテナ5を有しており、それぞれリーダアンテナ5を基点として形成される有限の通信領域の範囲内で無線タグTと無線通信が可能となっている(詳しくは後述する)。そして全ての操作端末3と全ての独立リーダ2Bは、通信ネットワークNWを介して情報を送受可能に接続されている。
【0056】
この無線タグ位置検出システム1では、操作者(一つの作業机に着席して操作端末を使用する者)は、自身が使用している操作端末に対し、必要としている書類102に貼付されている無線タグTの識別情報(以下タグIDという)を入力するとともに、その必要書類102の現在位置の探索処理を開始するよう指示する。これにより、各操作端末3と各独立リーダ2Bが互いに情報を送受し合って、当該タグIDに対応する無線タグTの現在位置(必要書類の現在位置)を推定し、当該操作端末3の表示部に表示する。なお、本実施形態における操作端末での「操作」とは、上記のようないわゆる能動的な操作に限られない。すなわち、広い意味での働きかけ作動、例えば、電源ONとともに操作端末3が通信ネットワークNWを介し単に通信結果を収集して取得する等であってもよい。
【0057】
図2は、本実施形態の無線タグの位置検出システム1の概略を表すシステム構成図である。
【0058】
図2において、上述したようにこの無線タグの位置検出システム1は、それぞれ端末リーダ2Aを接続した複数の操作端末3と、複数の独立リーダ2Bとを通信ネットワークNWで接続して備えている(なお、端末リーダ2Aについても、操作端末3と同様、直接通信ネットワークNWに接続するようにしてもよい)。なお、図中では図示の煩雑を避けるために、操作端末3とそれに接続する端末リーダ2A、及び独立リーダ2Bをそれぞれ一つのみ示している。
【0059】
操作端末3は、一般に利用されている汎用パーソナルコンピュータで構成されるものである。すなわち、操作端末3は、例えば、CPU6と、ハードディスク装置やフラッシュメモリからなり各種情報を記憶する不揮発記憶装置7と、例えばRAMやROM等からなるメモリ8と、使用者からの指示や情報が入力される操作部9と、各種情報やメッセージを表示する表示部10と、端末リーダ2Aに対して制御信号及び情報信号の授受の制御を行うインターフェース11と、上記通信ネットワークNWを介して他の操作端末3や独立リーダ2Bとの制御信号及び情報信号の授受の制御を行うネットワーク通信制御部12とを備えている。CPU6は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって操作端末3全体の各種制御を行うものである。
【0060】
端末リーダ2Aは、本体制御部15と、リーダアンテナ(アンテナ)5とを有している。本体制御部15は、CPU16と、上記と同様のメモリ8、インターフェース11、及びリーダアンテナ5を介し無線タグTとの無線通信の制御を行うRF通信制御部17とを備えている。
【0061】
独立リーダ2Bは、上記端末リーダ2Aとほぼ同じ構成であり、インターフェース11の代わりにネットワーク通信制御部12を備えている。なお、上記のように端末リーダ2Aも直接通信ネットワークNWに接続する場合には、この独立リーダ2Bと同様、ネットワーク通信制御部12が備えられる。
【0062】
なお、本実施形態では、通信ネットワークNWにケーブル等を使用した有線ネットワークを想定しているが、これに限らず、例えば上記RF通信制御部17と周波数帯及び送受信方式の異なる無線ネットワークを用いてもよい。そして各操作端末3と各リーダ2A,2Bとは、互いの識別情報(例えば、ネットワークの中で規定されるネットワークアドレス、TCP/IPプロトコルに準拠したIPアドレス、それぞれを識別するための端末ID・リーダID等)により相互に通信相手を特定(認識)した上で通信を行えるようになっている。この識別情報は、操作端末3では、上記メモリ7又は不揮発性記憶装置7に記憶されており、リーダ2A,2Bでは、例えば上記メモリ8(又は上記操作端末3の不揮発性記憶装置7と同様の不揮発性記憶装置でもよい)に記憶されている(識別情報記憶手段)。
【0063】
無線タグTは、タグ側アンテナ151とIC回路部150とを備える無線タグ回路素子Toを有している。無線タグTは、この無線タグ回路素子Toを、特に図示しない基材などに設けて上記書類202に例えば貼り付け、添付、同梱等により設けられるものである(無線タグ回路素子Toについては後に詳述する)。
【0064】
図3は、上記端末リーダ2A及び独立リーダ2Bのそれぞれにおいて共通するCPU16、RF通信制御部17、及びリーダアンテナ5の構成を表す機能ブロック図である。
【0065】
図3において、CPU16は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのタグID読み取りコマンド(詳しくは後述する)を生成するものである。
【0066】
RF通信制御部17は、上記リーダアンテナ5を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(タグIDを含む情報)へアクセスするものである。そして、このRF通信制御部17は、リーダアンテナ5を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、リーダアンテナ5により受信された無線タグ回路素子Toからの応答波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0067】
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(この例では読み取り)ための質問波を生成するブロックである。すなわち、送信部212は、基準周波数を発生する水晶振動子215Aと、この水晶振動子215Aにより発生した周波数を元に、所定周波数の搬送波をCPU16の制御により発生させるPLL(Phase Locked Loop)215B及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記CPU16から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU16からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例ではCPU16からの「TX_PWR」信号によって増幅率が決定される増幅)する可変送信アンプ217とを備えている。上記発生される搬送波は、例えばUHF帯、マイクロ波帯、あるいは短波帯の周波数を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しリーダアンテナ5に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は上記のように変調した信号(変調波)に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0068】
受信部213は、リーダアンテナ5で受信されて送受分離器214を介して入力された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記リーダアンテナユニット3で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU16に入力されて処理される。
【0069】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU16に入力されるようになっている。このようにして、各リーダ2A,2Bでは、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの応答波の復調が行われる。
【0070】
このとき、上記各リーダ2A,2Bは、その通信領域内に存在する複数の無線タグTの無線タグ回路素子Toに対してタグIDを応答信号として発信させるよう要求するタグID読み取りコマンドを送信する。このタグID読み取りコマンドは、(この例では)複数の無線タグ回路素子Toの中から特定のタグIDに対応する無線タグ回路素子Toが存在しているか否かを確認するための指令であり、確認しようとする無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)が含まれている。RF通信制御部17からリーダアンテナ5を介しこのタグID読み取りコマンドが送信されると、それに含まれているタグIDに対応する無線タグ回路素子Toだけが応答信号として同じタグIDを返信して応答する。このように、指定するタグIDを含むタグID読み取りコマンドが各リーダ2A,2Bから送信され、その後に同じタグIDでの応答信号を受信できた場合には、当該リーダ2A,2Bのそれぞれの通信領域内に当該タグIDに対応する無線タグ回路素子Toの存在が検出されたことになる。
【0071】
図4は、上記無線タグTに備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0072】
図4は、上記無線タグTに備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図4において、無線タグ回路素子Toは、上述したように各リーダ2A,2Bのリーダアンテナ5と非接触で信号の送受信を行う上記タグ側アンテナ151と、このタグ側アンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0073】
IC回路部150は、タグ側アンテナ151により受信された質問波(上記タグID読み取りコマンドを含む信号)を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグ側アンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグ側アンテナ151に接続された変復調部156と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介し上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
【0074】
変復調部156は、タグ側アンテナ151により受信された上記無線タグ情報通信装置1のリーダアンテナ3からの通信信号の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグ側アンテナ151より応答波(タグIDを含む信号)として送信する。
【0075】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0076】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部156により上記タグ側アンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0077】
ここで、本実施形態の無線タグの位置検出システム1の最も大きな特徴は、各リーダ2A,2Bがそれぞれ他のリーダ2A,2Bと互いに通信領域(=送信パワーやアンテナ指向性によりその時々で変わった場合には、無線タグTと送受信できたときの通信領域)が一部重なるように配置されており、検出対象の無線タグTのタグIDを検出できた少なくとも2つのリーダ2A,2Bのそれぞれの通信領域を合成して当該無線タグTの位置を算出することにある。以下、その詳細を順次説明する。
【0078】
まず、各リーダ2A,2Bの通信領域の配置関係について説明する。図5は、各リーダ2A,2Bとその通信領域の配置関係の一例を表す図である。なお、この図5は、上記図1で示した事務室100及び作業机101と各リーダ2A,2Bの配置位置を対応づけるものである。図では、作業机101、各リーダ2A,2Bの設置位置を示す丸記号、及び、各リーダ2A,2Bの通信領域のみを図示している。また、煩雑を避けるために、一部のリーダ2A,2Bの通信領域は図示を省略している。
【0079】
各リーダ2A,2Bの通信領域20(図中の破線で示す範囲)は、そのリーダアンテナ5を基点として広がる有限領域であり、その指向性や出力電力(いわゆる空中線電力)によって決まる形状や大きさ(通信距離)で形成される。図5で示す例においては、各リーダ2A,2Bのリーダアンテナ5はダイポール型アンテナ(特に図示せず)で構成されており、いずれも水平姿勢で長手方向が図中の左右方向と平行となるよう配置されている。また、各リーダ2A,2Bはいずれも同じ出力電力で無線通信を行う。このため、各リーダ2A,2Bの通信領域20は、図示する平面図で見て各リーダ2A,2Bを中心にそれぞれ図中の上下方向に2つの楕円形で挟む形状で同じ大きさに形成されている。そして、各操作端末3は、各リーダ2A,2Bに対応するこれら通信領域20の配置、形状、大きさについての情報(通信領域情報)を(例えば各リーダ2A,2Bの識別情報と対応させて)不揮発性記憶装置7等に予め記憶している。
【0080】
そして各リーダ2A,2Bは、それぞれの通信領域20の大きさに比べて互いに短い間隔で配置されているため、配置位置が近接しているリーダ2A,2Bどうしでは通信領域20が部分的に重複する配置関係となっている。例えば、図中の黒丸「●」で示した位置の端末リーダ2Aの通信領域20に対して、その端末リーダ2Aの周囲を囲む7つのリーダ2A,2B(図中二重丸「◎」で示す)の通信領域20がいずれも十分に広い領域で重なっていることがわかる。
【0081】
ところで、本実施形態では、事務室100内における各リーダ2A,2Bの配置座標が予め座標として設定されている。図6は、事務室100における各リーダ2A,2Bの配置位置の座標設定の一例を表す図である。
【0082】
図6において、本実施形態では、各リーダ2A,2Bの配置位置に対してそれらを特定するための位置番号(なお、これを前述のリーダIDとしてもよい)が設定される。この例では、位置番号は全てのリーダ2A,2B(22個)についての通し番号(P1〜P22)で設定され、配置座標は事務室100内100に設定されたX−Y座標系に基づいて設定されている。
【0083】
このX−Y座標系の基本単位は、実尺の寸法(mmやcm)を用いてもよいしまたは計算上便宜的に設定された仮想的な単位でもよい。図示する例では図中の左上の角の点を0点としてX方向が図中の横方向に対応し、Y方向が図中の上下方向に対応している。そして各リーダ2A,2B(各位置番号P1〜P22)の配置位置は、このX−Y座標系に基づいた配置座標で表される。例えば、位置番号P1の独立リーダ2Bの配置位置は(PX1、PY1)で表すことができる。
【0084】
本実施形態では、後述するように、各リーダ2A,2Bによる対象無線タグTの位置検出を、所定の順番に沿って実行する。この例では、各操作端末3からみて近い順番に順次リーダ2A,2Bによる検出を行う。そのため、操作端末3には、リーダ2A,2Bが当該操作端末3に近い順のリスト(近接順リーダリスト)として記録されている。
【0085】
図7は、各操作端末3に備えられた、リーダ2A,2Bについての各種情報を記憶する近接順リーダリストの一例を概念的に表す図である。この近接順リーダリストは、各操作端末3の上記不揮発性記憶装置7に記録保持されている。図示の例は、上記図6に示す配置位置P6の端末リーダ2Aに直接接続している操作端末3に記憶されているものである。
【0086】
この図7に示すように、この近接順リーダリストは、各リーダ2A,2Bの位置番号と、その配置座標を表すX座標及びY座標と、各リーダ2A,2Bの識別情報(前述したネットワークアドレス、IPアドレス、リーダID等)の各項目が、1から22までの連番で表される参照番号に対応づけられた相関情報の形で記憶されている。なお、この参照番号は、当該近接順リーダリストを記憶している操作端末3に直接接続している端末リーダ2A(以下適宜、自リーダ2Aという;この例では配置位置P6の端末リーダ2A)を一番最初の「1」に割り当て、次いで当該操作端末3を基点として相対的に近い順に配置されているリーダ2A,2Bの順に割り当てられている番号であり、事務室100内に設置されている22個全てのリーダ2A,2Bに割り当てられている。
【0087】
なお、参照番号が「1」である最初のリーダは、当該操作端末3がインターフェース11を介して接続している端末リーダ2Aであるため、識別情報の項目内容は省略されている(省略せず記載してもよい)。また、例えば配置位置P5の端末リーダ2A(図示する例の参照番号4に対応)のように、端末用リーダ2Aにおいて識別情報としてIPアドレスやネットワークアドレスを使用する場合には、対応する操作端末3のIPアドレスやネットワークアドレスを当該端末用リーダ2Aの識別情報として記憶するようにしてもよい。
【0088】
図8は、各操作端末3のCPU6によって実行される制御手順を表すフローチャートである。なお、各操作端末3はどれもこの同じフローの制御手順を行う。また、後述する処理要求信号、処理許可信号、処理拒否信号、及び開始報告信号は、それぞれ通信ネットワークNWを介し最終的に各操作端末3と各リーダ2A,2Bとの間で送受される(以下、同様)。
【0089】
図8において、例えば、電源の投入後このフローが開始される(START位置)。まず、ステップS5において、操作部9での入力操作を介し、操作者から必要書類202に貼付されている無線タグTの位置検出を要求する操作がなされたか否かを判定する。ここでの入力操作は、位置検出する対象の無線タグTのタグIDも含めた入力操作となる。なお、特に図示しないが、各書類202の書類名等とそれぞれに貼付されている無線タグTのタグIDとを対応づけた相関情報を、(例えば不揮発性記憶装置7や別途ネットワーク接続されたサーバに)テーブルあるいはデータベースの形で記憶しておいてもよい。この場合、操作者は、必要とする書類202の書類名等を入力する。これに基づき、上記テーブルやデータベースから対応するタグIDが取得される。
【0090】
操作者による入力操作がされた場合、判定が満たされ、ステップS100のタグ位置検出処理(詳細は後述)を行ってからステップS15へ移る。一方、入力操作がなされていない場合、判定が満たされず、そのままステップS15へ移る。
【0091】
ステップS15では、(操作部9の入力操作を介し)操作者から現行の処理を終了する操作が行われたか否かを判定する。終了操作が行われていない場合、判定が満たされず、ステップS5へ戻り同様の手順を繰り返す。一方、終了操作が行われている場合、判定が満たされ、このフローを終了する。
【0092】
図9は、上記図8中のステップS100において実行されるタグ位置検出処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【0093】
この図9において、まずステップS105において、上記近接順リーダリストの参照番号に対応する変数nの値を1に初期化し、次のステップS110へ移る。
【0094】
ステップS110では、近接順リーダリストにおいて参照番号順のn番目のリーダ2A,2B、つまり自リーダ2A(1番目)を含め操作端末3からn番目に近いリーダ2A,2Bに対応する識別情報を近接順リーダリストから取得する。
【0095】
次にステップS115へ移り、上記ステップS110で取得した識別情報に対応するリーダ2A,2Bに対してタグ検出要求信号(通信指示信号)を送信する(通信指示手段)。なお、このタグ検出要求信号には上記図8のフローにおけるステップS5で入力されたタグID(必要書類202に貼付されている無線タグTのタグID)も含まれている。
【0096】
次にステップS120へ移り、上記ステップS115でタグ検出要求信号を送信したリーダ2A,2Bからその返信信号としてのタグ検出結果信号を受信し(後述の図10のステップS215、ステップS220参照)、それに含まれる検出結果を記憶する。なお、このタグ検出結果信号には、それぞれのリーダ2A,2Bの上記識別情報及び後述の付加的情報も併せて含まれている(後述)。
【0097】
次にステップS125へ移り、上記ステップS120で記憶した検出結果に基づいて、それまでに検出対象の無線タグTを検出できたとする内容のタグ検出結果信号を2つ受信したか否かを判定する。検出できたとするタグ検出結果信号を2つ受信している場合、判定は満たされ、つまりこの時点で検出対象の無線タグTの位置が推定可能であるとみなされ、ステップS130へ移る。
【0098】
ステップS130では、検出対象の無線タグTを検出できたとする2つのタグ検出結果信号のそれぞれの検出結果を合成(後述の図11で詳述する)して当該検出対象の無線タグTの現在位置を推定し(位置算出手段)、その推定結果を表示部10に表示(後述の図12参照)してこのフローを終了する。
【0099】
また一方、上記ステップS125の判定において、検出対象の無線タグTを検出できたとするタグ検出結果信号をまだ2つ受信していない場合、判定は満たされず、ステップS135へ移り、自リーダ2Aを含む全てのリーダ2A,2B(この例では22個)からタグ検出結果信号を受信したか否かを判定する。まだ全てのリーダ2A,2Bから受信していない場合、判定が満たされず、ステップS140で変数nの値を1増加した後にステップS110へ戻り同様の手順を繰り返す。
【0100】
一方、全てのリーダ2A,2Bからタグ検出結果信号を受信している場合、判定が満たされ、すなわち全てのリーダ2A,2Bで無線タグTの検出を行ったものの検出対象の無線タグTの位置を推定するのに必要な2つの検出結果を得ることができなかったものとみなされ、ステップS141に移る。
【0101】
ステップS141では、上記ステップS120で記憶した検出結果に基づいて、それまでに検出対象の無線タグTを検出できたとする内容のタグ検出結果信号を1つ受信したか否かを判定する。検出できたとするタグ検出結果信号を1つも受信できなかった場合、ステップS141の判定が満たされず、ステップS145に移る。ステップS145で表示部10に位置検出を失敗した旨の表示を行った後、このフローを終了する。
【0102】
一方、ステップS141において、検出できたとするタグ検出結果信号を1つ受信できた場合、判定が満たされ、ステップS143へ移る。ステップS143では、各リーダ2A,2Bからの上記タグ検出結果信号の検出結果と、そのタグ検出結果信号中に含まれる付加的情報(例えば、各リーダの通信指向性や出力電力値等)を用いて、検出対象の無線タグTの概略の現在位置を大ざっぱに推定し、その結果を表示部10に表示して、このフローを終了する。
【0103】
図10は、各リーダ2A,2Bにおいて実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0104】
この図10において、まずステップS200で、通信ネットワークNWを介して(又はインターフェース11,11を介して)操作端末3からタグ検出要求信号を受信したか否かを判定する。このタグ検出要求信号は、これを受信したリーダ2A,2Bの通信領域20内において、(そのタグ検出要求信号に含まれる)タグIDに対応する無線タグTの検出と、その検出結果の返信とを要求する制御信号である。タグ検出要求信号を受信していない場合、判定が満たされず、受信するまでループして待機する。タグ検出要求信号が受信された場合、判定が満たされ、ステップS205へ移る。
【0105】
ステップS205では、RF通信制御部17の送信部212に制御信号を出力してリーダアンテナ5からタグID読み取りコマンドを送信する。これにより、リーダ2Aのリーダアンテナ5を基点として形成されている通信領域20内に存在する全ての無線タグTに対し、上記図8のフローにおけるステップS10で通信ネットワークNWを介して受信したタグ検出要求信号に含まれているタグID(検出対象の無線タグTのタグID)を含むタグID読み取りコマンドを送信する(情報取得手段)。このようにして、当該リーダ2A,2Bの通信領域20内に検出対象の無線タグTが存在している場合には、そのタグIDを含むリプライ信号(返信信号)がリーダアンテナ5を介して受信され、存在しない場合には何も受信しない。
【0106】
次にステップS210へ移り、リプライ信号を受信したか否かを判定し、リプライ信号を受信している場合には、判定が満たされ、次のステップS215へ移る。ステップS215では、タグ検出要求信号の送信元である操作端末3に対し、無線タグTの検出に成功した旨の検出結果と当該リーダ2A,2Bの上記識別情報とを含むタグ検出結果信号(通信結果信号)を、通信ネットワークNW(又はインターフェース11,11)を介して送信し(通信結果送信手段、識別情報送信手段)、このフローを終了する。
【0107】
また一方、上記ステップS210の判定において、リプライ信号を受信していない場合、判定は満たされず、ステップS220へ移る。ステップS220では、タグ検出要求信号の送信元の操作端末3に対し、検出対象の無線タグTを検出できなかった旨の検出結果と当該リーダ2A,2Bの上記識別情報とを含むタグ検出結果信号(通信結果信号)を、通信ネットワークNW(又はインターフェース11,11)を介して送信し(通信結果送信手段、識別情報送信手段)、このフローを終了する。
【0108】
図11は、タグ検出結果信号の検出結果を合成して検出対象の無線タグTの現在位置を推定する概念の一例を模式的に表す図であり、この例における上記図1、図5、図6に対応して示す図である。
【0109】
この図11において、この例では配置位置P6の端末リーダ2Aに接続する操作端末3でタグ位置検出処理を行った場合を示している。この場合、自リーダ2A(配置位置P6の端末リーダ2A;図中の黒丸)で検出対象の無線タグTが検出され、配置位置P3と配置位置P7の独立リーダ2Bでは検出されず、配置位置P5の端末リーダ2Aで検出されて終了した場合を示している(検出するリーダ2A,2Bの順番は図7の近接順リーダリストを参照)。この場合、検出対象の無線タグTの現在位置(図中「×」で示す位置)は、自リーダ2Aの通信領域20と、配置位置P5の端末リーダ2Aの通信領域20が重複している領域である(詳細には、さらにそのうち配置位置P3の独立リーダ2Bの通信領域20と配置位置P7の独立リーダ2Bの通信領域20とを除いた範囲内である)と推定される。すなわち、本実施形態でいう「合成」とは、通信領域どうしの重なり合う部分を求め抽出して取得することであり、論理演算でいう「AND」に相当するものである。前述したように、この例では、各操作端末3は予め各リーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を記憶しているため、これによって上記の推定が行われる。
【0110】
上記した図9のフローのステップS130の手順では、以上のような検出結果の合成(検出可否別による通信領域20の重複等)により検出対象の無線タグTが存在する可能性のある範囲を推定算出する。そして、その推定された範囲を、例えば図12(上記図1、図5、図6、図11に対応)に示すように概略的に楕円形形状の領域として表示部10に表示する。
【0111】
なお、検出結果の合成及びその後の表示の手法としては上記以外の手法を用いてもよい。例えば検出対象の無線タグTを検出できた2つのリーダ2A,2Bの配置位置(P5及びP6)を結ぶ線分の中点を検出対象無線タグTの推定存在位置として表示したり、さらにその中点から所定の範囲を円形又は楕円形により無線タグTの推定存在範囲として表示してもよい。さらに、3つ以上のリーダ2A,2Bでの検出結果を用いる場合には、各配置位置を結んで形成される多角形の重心などを検出対象無線タグTの推定存在位置として表示してもよい。また、通信領域同士の境では通信できる確率が50%となるため、上記のような複数の検出結果の合成において、複数回通信トライした結果の交信確率を考慮した演算を行い、この演算も併せて加味するようにしてもよい。
【0112】
以上説明したように、本実施形態においては、各リーダ2A,2Bは、通信領域20の一部が他と重なりあうように配置されており、その重なり合っている部分に無線タグTが存在している場合に、両方のリーダ2A,2Bのリーダアンテナ5から通信可能となる。本実施形態では、このことを利用し、操作端末3より、各リーダ2A,2Bを操作して無線タグTと通信を行わせる。そして、少なくとも2つのリーダ2A,2Bで無線タグTから情報取得できた場合には、それらリーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を合成する(本実施形態の例では幾何的に通信領域20どうしの重なり合う部分を求める。上記図9のステップS130参照)ことにより、当該無線タグTが存在している位置を算出することができる(図12参照)。このとき、2つの通信領域20に関する情報を合成して絞り込んでいるので、(単に、通信できた1つのリーダの通信領域20のみから求めるよりも)無線タグTの位置を精度よく詳細に求めることができる。また、上述のように、操作端末3からリーダ2A,2Bを操作するだけで無線タグTの位置を検出することができ、多数のリーダ2A,2Bを一元管理するサーバ等を設ける必要がないという効果もある。なお、少なくとも1つのリーダ2A,2Bが、このようなサーバの機能を兼ね備えており、ネットワークを介し多数のリーダ2A,2Bにおける通信結果を取得して演算を行うようにしても良い。
【0113】
また、この実施形態では特に、操作端末3は各リーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を各操作端末3の不揮発性記憶装置7などに記憶しており、各リーダ2A,2Bはその識別情報を記憶保持している。これにより、操作端末3が各リーダ2A,2Bから識別情報を取得することで(図9のステップS120)、(各リーダ2A,2Bから位置情報を直接取得しなくても)各リーダ2A,2Bの位置を把握することができる。この結果、その把握した位置を基準として通信領域20に関する情報を合成し、無線タグTの位置を求めることができる。
【0114】
また、この実施形態では特に、近接順リーダリストに沿って、操作者が使用している操作端末3に相対的に近いリーダ2A,2Bから順に、タグ検出要求信号を順次出力する(図7参照)。これにより、各リーダ2A,2Bを順次切り替えて通信領域20を発生させていくとき、操作端末3の近くから遠くへという順で発生させることができる。一般的に、操作者が必要とする書類202は、操作者自身が最近までその近辺で保管していた可能性が高い。上記のように近くから遠くへと順に探索してくことで、操作者が使用している操作端末3の近くにある場合には比較的早い時期に無線タグTを検出することができ、この結果、無線タグ探索の迅速化・効率化を図ることができる。
【0115】
具体的には、以下の通りである。すなわち、操作者が使用している操作端末3に最も近いリーダ(自リーダ2A)で通信領域20をまず最初に優先して発生させることで、操作端末3のすぐ近くに無線タグTがあった場合に確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。特に、最初に操作端末3に最も近い自リーダ2Aでリプライ信号を受信できたときには、操作端末3のすぐ近くに検出対象の無線タグTがある可能性が高い。そこで、その自リーダ2Aの次に操作端末3に近いリーダ2A,2Bで通信領域20を発生させる。これにより、当該次のリーダ2A,2Bでもリプライ信号を受信できた場合には、直ちにそれら2つのリーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を合成して、検出対象の無線タグTの位置を特定することができる。この結果、確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。
【0116】
なお、上記実施形態は各リーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を各操作端末3の不揮発性記憶装置7などに記憶させていたが、これに限られない。すなわち、例えば各リーダ2A,2Bに不揮発性記憶装置などを設けてこれに当該リーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を記憶させ、上記図10のフローにおけるステップS215、及びステップS220の手順で送信するタグ検出結果信号にそのリーダ2A,2Bの通信領域20に関する情報を含めて操作端末3に送信するようにすればよい(通信領域送信手段)。このようにすれば、(前述と異なり)操作端末3側で各リーダ2A,2Bの通信領域20を予め把握していない場合や、リーダアンテナ5からの送信出力が可変であったり指向性が可変である等で、各リーダ2A,2Bの通信領域20が変動しうる場合であっても、無線タグTとの通信時の各リーダ2A,2Bの通信領域20を操作端末3で確実に把握できる。この結果、その通信領域20に関する情報を合成して無線タグTの位置を算出することができる。
【0117】
また、このように各リーダ2A,2B側から通信領域情報を得て合成を行う場合に、前述のように各リーダ2A,2Bからタグ検出結果と併せて識別情報を端末3へ送るのではなく、タグ検出結果と併せて各リーダ2A,2Bの位置情報を端末3へ送るようにしてもよい(=位置情報送信手段。この位置情報は識別情報と同様にメモリ18等の位置情報記憶手段に格納保持しておく)。この位置情報としては、例えば、図6において前述したような、座標系におけるリーダ2A,2Bの配置座標を使用することができる。そしてこの場合、それら複数のリーダ2A,2Bの配置座標を元に、前述したように、無線タグTを検出できた2つのリーダ2A,2Bの配置位置を結ぶ線分の中点を検出対象無線タグTの推定存在位置として座標軸上に表示したり、さらにその中点からある定められた径の範囲を無線タグTの推定存在範囲として座標軸上に表示してもよい。3つ以上のリーダ2A,2Bでの検出結果を用いる場合についても同様である。
【0118】
なお、本発明は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)タグ検出要求信号を送信するリーダの順番をリーダから取得する場合
上記実施形態では、操作端末3からタグ検出要求信号を送信するリーダ2A,2Bの順番を、操作端末3の不揮発性記憶装置7などで記憶した近接順リーダリストの記載順に従っていたが、本発明はこれに限られない。すなわち、例えばタグ検出結果信号を受信したリーダ2A,2Bから次にタグ検出要求信号を送信するリーダ2A,2Bを指定する(上記識別情報を含む)リンク情報を取得するようにしてもよい。
【0119】
図13は、本変形例の操作端末3において実行されるタグ位置検出処理の制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態における図9に相当する図である。
【0120】
この図13のフローでは、図9のフローのステップS105に代えて新たにステップS115AとステップS120Aとが設けられている。また、ステップS110、ステップS115、ステップS120に代えて、これらにそれぞれ対応するステップS110A、ステップS115B、ステップS120Bが設けられている点が異なる。
【0121】
図13において、まず、上記ステップS115に相当するステップS115Aにおいて、自リーダ2Aに対し、上記ステップS115と同様にタグ検出要求信号(通信指示信号)を送信する(通信指示手段)。このタグ検出要求信号には前述と同様タグID(必要書類202に貼付されている無線タグTのタグID)が含まれる。
【0122】
その後、上記ステップS120に相当するステップS120Aに移り、上記ステップS115Aでタグ検出要求信号を送信した自リーダ2Aからその返信信号としてのタグ検出結果信号を受信し(前述のステップS215、ステップS220参照)、それに含まれる検出結果を記憶する。このタグ検出結果信号には、自リーダ2Aの上記識別情報も併せて含まれる。また、本変形例の特徴として、次にタグ検出要求信号を送信すべきリーダ2A,2Bを指定するリンク情報もこのタグ検出結果信号に含まれる。なお、このリンク情報は、本変形例の各リーダ2A,2Bが備えている不揮発性記憶装置などに予め記憶されている情報であり、通常の場合、隣接して配置された他のリーダ2A,2Bを指定する内容となっている。
【0123】
そして、上記ステップS110に対応するステップS110Aへ移り、その時点で取得している最新のリンク情報より、次の順番のリーダ2A,2Bに対応する識別情報を取得する。
【0124】
その後、ステップS115Bに移り、上記ステップS115Aと同様、ステップS110Aで識別情報を取得したリーダ2A,2Bに対し、上記同様にタグ検出要求信号(通信指示信号)を送信する(通信指示手段)。このタグ検出要求信号には前述と同様タグIDが含まれる。
【0125】
そして、ステップS120Bにおいて、上記ステップS120Aと同様、上記ステップS115Bでタグ検出要求信号を送信したリーダ2A,2Bからその返信信号としてのタグ検出結果信号を受信し(前述のステップS215、ステップS220参照)、それに含まれる検出結果を記憶する。上記同様、このタグ検出結果信号には、リーダ2A,2Bの上記識別情報と、さらに次にタグ検出要求信号を送信すべきリーダ2A,2Bを指定するリンク情報とが含まれている。
【0126】
以降、ステップS125、ステップS130、ステップS135、ステップS141、ステップS143、ステップS145については図9と同様であるので説明を省略する(但し、ステップS135の判定が満たされなかった場合には、直接前述のステップS110Aに戻る)。
【0127】
なお、本変形例におけるリーダ2A,2Bで実行する制御手順は、図10に示したものとほぼ同様である。但し、ステップS215とステップS220でそれぞれタグ検出結果信号を送信する際、当該リーダ2A,2Bが記憶しているリンク情報をもタグ検出結果信号に含めて送信する(=次装置情報送信手段)。
【0128】
以上のように構成した本変形例においては、無線タグTを迅速に検出するために次はどのリーダ2A,2Bで通信領域20を発生させればよいかについて(各リーダのうち操作端末3の近いものから遠いものへ、あるいは、あるリーダ2A,2Bからそれに隣接するリーダ2A,2Bへ等)、所定の規則性に沿った情報を操作端末3側へ与えることができる。この結果、操作端末3が自動的にその規則性に沿ってリーダ2A,2Bを切り替えて作動させたり、あるいはその規則性に沿って次に作動させるべきリーダ2A,2Bの候補を操作端末3で表示して操作者に報知することができる。
(2)全てのリーダに対して一斉にタグ検出要求信号を送信する場合
上記実施形態では、検出対象の無線タグTを検出できたタグ検出結果信号を、所定数(上記実施形態の例では2つ)受信した際にタグ検出要求信号の送信を停止していたが、本発明はこれに限られない。例えば、初めから全てのリーダ2A,2Bに対して一斉にタグ検出要求信号を送信するようにしてもよい。
【0129】
図14は、本変形例において実行されるタグ位置検出処理の制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態における図9、上記(1)の変形例における図13にそれぞれ相当する図である。
【0130】
図14において、まず、上記ステップS115やステップS115Aに対応するステップS115Cにおいて、自リーダ2Aを含む全てのリーダ2A,2Bに対し(いわゆるブロードキャスト通信)、前述と同様、タグ検出要求信号(通信指示信号)を送信する(通信指示手段)。このタグ検出要求信号には前述と同様タグID(必要書類202に貼付されている無線タグTのタグID)が含まれる。
【0131】
次に、上記ステップS120やステップS120Aに対応するステップS120Cへ移り、上記ステップS115Cでタグ検出要求信号を送信したリーダ2A,2Bからその返信信号としてのタグ検出結果信号を受信し、それに含まれる検出結果を記憶する。このタグ検出結果信号には、各リーダ2A,2Bの上記識別情報も併せて含まれる。
【0132】
次にステップS123へ移り、上記タグ検出結果信号が自リーダ2Aを含む全てのリーダ2A,2Bから受信されたか否かを判定する。まだ他にタグ検出結果信号を受信していないリーダ2A,2Bがある場合、判定が満たされず、ステップS120Cへ戻って受信を繰り返す。一方、全てのリーダ2A,2Bからタグ検出結果信号を受信した場合、判定が満たされ、次のステップS125Cへ移る。
【0133】
ステップS125Cでは、上記ステップS120Cで記憶した全てのリーダ2A,2Bからの検出結果に基づいて、検出対象の無線タグTを検出できたとする内容のタグ検出結果信号を2つ以上受信したか否かを判定する。検出できたとするタグ検出結果信号を2つ以上受信している場合、判定は満たされ、つまり検出対象の無線タグTの位置が推定可能であるとみなされ、ステップS130へ移る。一方、検出できたとするタグ検出結果信号の数が2つ未満である場合、判定は満たされず、つまり検出対象の無線タグTの位置を推定できないとみなされ、ステップS141へ移る。以降は、図9や図13と同様であるため、説明を省略する。
【0134】
以上のように構成した本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。すなわち、全リーダ2A,2Bに対しタグ検出要求信号を一斉に出力して全リーダ2A,2Bに対して一斉に無線タグTとの情報送受信を図らせ、無線タグTと通信可能であったリーダ2A,2Bが2個以上あれば、それらの通信領域20に関する情報を合成し、検出対象の無線タグTの位置を算出することができる。
【0135】
なお、上記ではステップS115Cで全リーダ2A,2Bにおいて一斉に無線タグTへの通信(情報読み取り)を行わせたが、これに限られない。すなわち、先に操作端末3に対応した自リーダ2Aのみについて情報読み取りを試み、その後、自リーダ2A以外の全リーダ2A,2Bについて一斉に無線タグTへの通信(情報読み取り)を行わせるようにしてもよい。このように、複数のリーダ2A,2Bの一斉動作に先立ち、まず、操作端末3に最も近いリーダ2A,2B,2Bで通信領域20をまず最初に発生させることで、操作端末3のすぐ近くに検出対象の無線タグTがあった場合に確実に無線タグ探索の迅速化を図ることができる。また、最初の通信で無線タグTと通信できた場合には(操作端末3の近くに無線タグTがある可能性が高いことから)上記一斉動作を無駄に行うのを止めることも可能となる。
【0136】
さらに、操作端末3に最も近い自リーダ2Aが検出対象の無線タグTからのリプライ信号の受信に失敗した場合にだけ、自リーダ2A以外の他の全てのリーダ2A,2Bに対してタグ検出要求信号を一斉に出力するようにしてもよい。つまり、最初の自リーダ2Aによる通信で検出対象の無線タグTと通信できなかった場合は、操作者が使用している操作端末3の近くに検出対象の無線タグTがない(言い換えれば検出対象の無線タグTが当該操作端末3から遠く離れている)可能性が高い。そこで自リーダ2A以外の他の全てのリーダ2A,2Bに対して一斉に無線タグTとの情報送受信を図らせることで、迅速に無線タグTの探索を行うことができる。
【0137】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0138】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の実施形態の無線タグの位置検出システムを事務室における書類の探索に適用した場合の一例を表す図である。
【図2】無線タグの位置検出システムの概略を表すシステム構成図である。
【図3】各リーダにおけるCPU、RF通信制御部、及びリーダアンテナの詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図4】無線タグに備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図5】各リーダとその通信領域の配置関係の一例を表す図である。
【図6】事務室における各リーダの配置位置の座標設定の一例を表す図である。
【図7】各操作端末が記憶する近接順リーダリストの一例を概念的に表す図である。
【図8】各操作端末のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図9】図8中のステップS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図10】各リーダにおいて実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図11】タグ検出結果信号の検出結果を合成して検出対象の無線タグの現在位置を推定する概念の一例を模式的に表す図である。
【図12】検出対象の無線タグの現在位置の推定結果を表示部に表示した一例を表す図である。
【図13】リンク情報をリーダから取得する変形例において実行されるタグ位置検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【図14】全てのリーダに対して一斉にタグ検出要求信号を送信する変形例において実行されるタグ位置検出処理の制御手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0140】
1 無線タグの位置検出システム
2A 端末リーダ(無線タグ通信装置)
2B 独立リーダ(無線タグ通信装置)
3 操作端末
5 リーダアンテナ(アンテナ)
7 不揮発性記憶装置
8 メモリ
9 操作部
10 表示部
12 ネットワーク制御部
15 本体制御部
20 通信領域
NW 通信ネットワーク(ネットワーク)
T 無線タグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにネットワーク接続可能に配置され、アンテナからの通信領域内に位置する無線タグに対しそれぞれ情報送受信可能な複数の無線タグ通信装置と、
前記複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末と
を有する無線タグの位置検出システムであって、
各無線タグ通信装置は、
前記通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるように配置されており、
前記操作端末は、
前記無線タグから情報を取得できた各無線タグ通信装置からの通信結果に基づき、少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信領域情報を合成して前記無線タグの位置を算出する位置算出手段を備える
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記無線タグ通信装置は、
前記無線タグとの通信時における前記アンテナからの通信領域情報を前記操作端末へ送信する通信領域送信手段を有し、
前記操作端末の前記位置算出手段は、
前記無線タグから情報を取得できた前記無線タグ通信装置の前記通信領域送信手段からの前記通信領域情報を合成し、前記無線タグの位置を算出する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末は、
通信対象の前記無線タグから無線通信を介し情報取得を図るように前記無線タグ通信装置へ通信指示信号を出力する通信指示手段を有し、
前記無線タグ通信装置は、
前記通信指示手段からの前記通信指示信号に基づき、前記アンテナを介した無線通信により前記通信対象の前記無線タグからの情報取得を図る情報取得手段と、
前記情報取得手段による情報取得の可否を表す通信結果信号を前記操作端末へ送信する通信結果送信手段とを有し、
前記操作端末の前記位置算出手段は、
少なくとも2つの前記無線タグ通信装置からの前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項4】
請求項3記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記無線タグ通信装置は、
当該無線タグ通信装置の位置情報を記憶保持する位置情報記憶手段と、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記位置情報記憶手段に記憶保持した前記位置情報を前記操作端末へ送信する位置情報送信手段とを有する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項5】
請求項3記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記無線タグ通信装置は、
当該無線タグ通信装置の識別情報を記憶保持する識別情報記憶手段と、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記識別情報記憶手段に記憶保持した前記識別情報を前記操作端末へ送信する識別情報送信手段とを有する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
少なくとも2つの前記無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を所定の順番にて順次出力可能に構成され、
前記操作端末の前記位置算出手段は、
前記順次出力された通信指示信号に対応して前記少なくとの2つの無線タグ通信装置からそれぞれ送信される前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項7】
請求項6記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち、前記操作端末に相対的に近い無線タグ通信装置を、前記操作端末から相対的に遠い無線タグ通信装置よりも早い順番となるようにしつつ、前記通信指示信号を順次出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項8】
請求項7記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項9】
請求項8記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に成功した場合は、その次に前記操作端末に近い無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9記載のいずれか1項記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記無線タグ通信装置は、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記所定の順番に沿い次の順番となる無線タグ通信装置の前記位置情報又は前記識別情報を、前記操作端末へ送信する次装置情報送信手段を有する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項11】
請求項4乃至請求項10のいずれか1項記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
少なくとも2つの前記無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉出力可能に構成され、
前記操作端末の前記位置算出手段は、
前記一斉出力された通信指示信号に対応して前記少なくとも2つの無線タグ通信装置からそれぞれ送信される前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項12】
請求項11記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項13】
請求項12記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に失敗した場合に、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉に出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項14】
互いにネットワーク接続可能に配置され、アンテナからの通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるようにそれぞれ配置され、前記通信領域内に位置する無線タグに対しそれぞれ情報送受信可能な複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末であって、
通信対象の前記無線タグから無線通信を介し情報取得を図るように前記無線タグ通信装置へ通信指示信号を出力する通信指示手段と、
前記無線タグから情報を取得できた各無線タグ通信装置の通信領域情報を合成し、前記無線タグの位置を算出する位置算出手段と
を有することを特徴とする操作端末。
【請求項15】
請求項14記載の操作端末において、
前記通信指示手段は、
少なくとも2つの前記無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力し、
前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に成功した場合は、その次に前記操作端末に近い無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を出力する
ことを特徴とする操作端末。
【請求項16】
請求項15記載の操作端末において、
前記通信指示手段は、
前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に失敗した場合に、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉に出力する
ことを特徴とする操作端末。
【請求項17】
アンテナからの通信領域内に位置する無線タグに対し情報送受信可能に構成され、前記通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるように配置され、前記他の無線タグ通信装置とネットワーク接続可能に配置された無線タグ通信装置であって、
操作端末からの前記通信指示信号に基づき、前記アンテナを介した無線通信により前記通信対象の前記無線タグからの情報取得を図る情報取得手段と、
前記情報取得手段による情報取得の可否を表す通信結果信号を前記操作端末へ送信する通信結果送信手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項18】
請求項17記載の無線タグ通信装置において、
当該無線タグ通信装置の位置情報を記憶保持する位置情報記憶手段と、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記位置情報記憶手段に記憶保持した前記位置情報を前記操作端末へ送信する位置情報送信手段とを有する
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項19】
請求項17記載の無線タグ通信装置において、
当該無線タグ通信装置の識別情報を記憶保持する識別情報記憶手段と、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記識別情報記憶手段に記憶保持した前記識別情報を前記操作端末へ送信する識別情報送信手段とを有する
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項20】
請求項18又は請求項19記載の無線タグ通信装置において、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、予め定められた所定の順番に沿い次の順番となる無線タグ通信装置の前記位置情報又は前記識別情報を、前記操作端末へ送信する次装置情報送信手段を有する
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項1】
互いにネットワーク接続可能に配置され、アンテナからの通信領域内に位置する無線タグに対しそれぞれ情報送受信可能な複数の無線タグ通信装置と、
前記複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末と
を有する無線タグの位置検出システムであって、
各無線タグ通信装置は、
前記通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるように配置されており、
前記操作端末は、
前記無線タグから情報を取得できた各無線タグ通信装置からの通信結果に基づき、少なくとも2つの無線タグ通信装置の通信領域情報を合成して前記無線タグの位置を算出する位置算出手段を備える
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記無線タグ通信装置は、
前記無線タグとの通信時における前記アンテナからの通信領域情報を前記操作端末へ送信する通信領域送信手段を有し、
前記操作端末の前記位置算出手段は、
前記無線タグから情報を取得できた前記無線タグ通信装置の前記通信領域送信手段からの前記通信領域情報を合成し、前記無線タグの位置を算出する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末は、
通信対象の前記無線タグから無線通信を介し情報取得を図るように前記無線タグ通信装置へ通信指示信号を出力する通信指示手段を有し、
前記無線タグ通信装置は、
前記通信指示手段からの前記通信指示信号に基づき、前記アンテナを介した無線通信により前記通信対象の前記無線タグからの情報取得を図る情報取得手段と、
前記情報取得手段による情報取得の可否を表す通信結果信号を前記操作端末へ送信する通信結果送信手段とを有し、
前記操作端末の前記位置算出手段は、
少なくとも2つの前記無線タグ通信装置からの前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項4】
請求項3記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記無線タグ通信装置は、
当該無線タグ通信装置の位置情報を記憶保持する位置情報記憶手段と、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記位置情報記憶手段に記憶保持した前記位置情報を前記操作端末へ送信する位置情報送信手段とを有する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項5】
請求項3記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記無線タグ通信装置は、
当該無線タグ通信装置の識別情報を記憶保持する識別情報記憶手段と、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記識別情報記憶手段に記憶保持した前記識別情報を前記操作端末へ送信する識別情報送信手段とを有する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
少なくとも2つの前記無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を所定の順番にて順次出力可能に構成され、
前記操作端末の前記位置算出手段は、
前記順次出力された通信指示信号に対応して前記少なくとの2つの無線タグ通信装置からそれぞれ送信される前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項7】
請求項6記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち、前記操作端末に相対的に近い無線タグ通信装置を、前記操作端末から相対的に遠い無線タグ通信装置よりも早い順番となるようにしつつ、前記通信指示信号を順次出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項8】
請求項7記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項9】
請求項8記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に成功した場合は、その次に前記操作端末に近い無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9記載のいずれか1項記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記無線タグ通信装置は、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記所定の順番に沿い次の順番となる無線タグ通信装置の前記位置情報又は前記識別情報を、前記操作端末へ送信する次装置情報送信手段を有する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項11】
請求項4乃至請求項10のいずれか1項記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
少なくとも2つの前記無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉出力可能に構成され、
前記操作端末の前記位置算出手段は、
前記一斉出力された通信指示信号に対応して前記少なくとも2つの無線タグ通信装置からそれぞれ送信される前記通信結果信号に基づき、前記無線タグの位置を算出する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項12】
請求項11記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記少なくとも2つの無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項13】
請求項12記載の無線タグの位置検出システムにおいて、
前記操作端末の前記通信指示手段は、
前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に失敗した場合に、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉に出力する
ことを特徴とする無線タグの位置検出システム。
【請求項14】
互いにネットワーク接続可能に配置され、アンテナからの通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるようにそれぞれ配置され、前記通信領域内に位置する無線タグに対しそれぞれ情報送受信可能な複数の無線タグ通信装置を操作可能な操作端末であって、
通信対象の前記無線タグから無線通信を介し情報取得を図るように前記無線タグ通信装置へ通信指示信号を出力する通信指示手段と、
前記無線タグから情報を取得できた各無線タグ通信装置の通信領域情報を合成し、前記無線タグの位置を算出する位置算出手段と
を有することを特徴とする操作端末。
【請求項15】
請求項14記載の操作端末において、
前記通信指示手段は、
少なくとも2つの前記無線タグ通信装置のうち前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置に対し、他の無線タグ通信装置より優先して最初に前記通信指示信号を出力し、
前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に成功した場合は、その次に前記操作端末に近い無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を出力する
ことを特徴とする操作端末。
【請求項16】
請求項15記載の操作端末において、
前記通信指示手段は、
前記操作端末に最も近い無線タグ通信装置が、前記情報取得手段による前記無線タグからの情報取得に失敗した場合に、前記少なくとも2つの無線タグ通信装置に対し、前記通信指示信号を一斉に出力する
ことを特徴とする操作端末。
【請求項17】
アンテナからの通信領域内に位置する無線タグに対し情報送受信可能に構成され、前記通信領域が他の無線タグ通信装置と互いに一部重なるように配置され、前記他の無線タグ通信装置とネットワーク接続可能に配置された無線タグ通信装置であって、
操作端末からの前記通信指示信号に基づき、前記アンテナを介した無線通信により前記通信対象の前記無線タグからの情報取得を図る情報取得手段と、
前記情報取得手段による情報取得の可否を表す通信結果信号を前記操作端末へ送信する通信結果送信手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項18】
請求項17記載の無線タグ通信装置において、
当該無線タグ通信装置の位置情報を記憶保持する位置情報記憶手段と、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記位置情報記憶手段に記憶保持した前記位置情報を前記操作端末へ送信する位置情報送信手段とを有する
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項19】
請求項17記載の無線タグ通信装置において、
当該無線タグ通信装置の識別情報を記憶保持する識別情報記憶手段と、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、前記識別情報記憶手段に記憶保持した前記識別情報を前記操作端末へ送信する識別情報送信手段とを有する
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項20】
請求項18又は請求項19記載の無線タグ通信装置において、
前記通信結果送信手段からの前記通信結果信号の送信に関連して、予め定められた所定の順番に沿い次の順番となる無線タグ通信装置の前記位置情報又は前記識別情報を、前記操作端末へ送信する次装置情報送信手段を有する
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−98012(P2009−98012A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270319(P2007−270319)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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