説明

無線受信機

【課題】広い周波数領域の受信周波数を周波数調整用ダイアルの操作によって着信信号を捕捉するような無線受信機の操作において、ダイアルを高速に回転させて着信信号を探す場合と、ダイアルを低速回転して微小に周波数を調整する場合に、受信フィルタの通過帯域を自動的に所望の通過帯域に設定する。
【解決手段】受信周波数調整手段と、通過帯域幅を制御可能なフィルタ手段と、受信周波数調整手段の操作による単位時間当たりの周波数調整量に基づいて、所要の通過帯域周波数及び/又は通過帯域幅のフィルタを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線受信機に関し、詳細には受信周波数を調整する際に、受信帯域幅を自動的に制御する機能を備えた無線受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、アマチュア無線用受信機では、長波帯(LF)、短波帯(HF)、超短波帯(VHF)、極超短波帯(UHF)等々、多数の周波数帯域に切替え、広い周波数領域にわたって受信が可能である。このような無線受信機では、受信周波数を切替えるために比較的大型の円形状周波数調整用ダイアルを備え、そのダイアルを回転させることにより、受信周波数を増減させながら通信相手を求めてコール中の無線信号を探す操作を行うことが多い。
近年、周波数調整用ダイアルとしては、従来の多接点の機械式ロータリースイッチに代わりロータリーエンコーダが使用されている。ロータリーエンコーダは、左右の回転方向に応じて異なるパルス信号を発生するセンサを備え、そのパルス信号を、CPUを含むデジタル回路に供給することによってソフトウエア的に回転量を検出し、回転量に対応して受信周波数を変更するものである。
【0003】
ところで、アマチュア無線に限ったことではないが、周波数調整用ダイアルを操作して受信周波数を変更しながら着信信号を探す際に、ダイアルの回転速度を微妙に加減しながら、着信信号の有無を判断することが多い。即ち、操作者は、近隣の周波数に着信信号が存在しない場合、比較的高速でダイアルを回転させて受信周波数を高速に変化させるが、近隣周波数に着信らしき信号を感知すると、比較的ゆっくりダイアルを回転させて、着信信号を受信機の帯域制限フィルタ(一般的には中間周波フィルタ)の通過帯域と一致させる。
このような操作において、高速にダイアルを回転させる場合には、無線受信機の帯域制限フィルタ(以下、中間周波フィルタの場合を例示する)の通過帯域幅は広い方が好ましいが、一旦、目的とする着信信号を捕捉した後は、送信側に許容された周波数帯域と一致する程度に狭い方がノイズ低減上好ましいことは周知のとおりである。
そこで従来から、このような事情に対応するために、必要に応じて無線受信機の帯域制限フィルタ、即ち、中間周波フィルタの通過帯域幅を切替える機能を備えた無線受信機が提案されている。従来、無線受信機の中間周波フィルタの通過帯域を切替える手段としては、広帯域フィルタと狭帯域フィルタと、それらを切替えるスイッチとを備え、周波数を素早く変更する際は、広帯域フィルタに切替えるが、着信信号周波数が捕捉できたときは狭帯域フィルタに切替えるものが一般的であった。
【0004】
なお、自動的に中間周波フィルタの通過帯域幅を切替える方法として、例えば、特許文献1に図6に示すものが開示されている。図6に示す中間周波通過帯域自動切替装置は、アンテナ101、高周波増幅器102を介して受信した信号を分配器(ハイブリッド)103により二分岐し、一方を第一の混合器104a、切替スイッチ114a、並列に接続した通過帯域周波数が異なる中間周波フィルタ106a乃至106d、第二の切替スイッチ114b、を介して第一の中間周波増幅器107aに導き、その出力を第一の検波器108aを経て低周波増幅器109に供給するように構成する。また、上記二分岐した受信高周波信号の他方は、第二の混合器104b、第五の中間周波フィルタ106‘、第二の中間周波増幅器107b、第二の検波器108bを経て、検波信号を低周波増幅器109に供給するように構成されている。更に、第二の検波器108bの出力の一部は、音声帯域300Hz以下の周波数を通過する低域フィルタ110と、2700Hz以上の音声信号を通過する高域フィルタ111にも供給され、夫々の出力信号レベルを比較器112a、112bにおいて閾値と比較し、フィルタ切替コントロール回路113に供給するとともに、このフィルタ切替コントロール回路の出力によって、上記四つの中間周波フィルタ106a乃至106dの何れかを選択する為の切替スイッチ114a、114bを制御する。また、受信周波数調整ダイアル115には操作する人がダイアルに手を触れたことを検出する接触センサ手段が備えられ、センサ出力がCPU116に供給されると、操作判定回路117から操作信号が上記フィルタ切替コンロトール回路113に供給されるように構成されている。
【0005】
この回路の動作については特許文献1に詳説されているので、更なる説明は省略するが、第二の検波器108bのルートで復調された音声信号中に低域又は/及び高域ノイズが含まれているとき、その存在を低域フィルタ110、高域フィルタ111を介して検出し、その検出結果に基づいて、上記四つの通過帯域周波数が異なる中間周波フィルタ106a乃至106dのうちから、混入するノイズ信号が排斥されることになる通過帯域をもったフィルタが選択されるようになっている。そして、このフィルタの選択制御は、操作者が受信周波数調整ダイアルに触れると解除され、一番帯域が広いフィルタが選択されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−286529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のように手動によってフィルタの通過帯域幅を切替えるものでは、効率的な操作ができない虞があった。即ち、神経を集中してスピーカからの受信音を聞きながら周波数調整ダイアルを回転させつつ、必要に応じて都度フィルタ切替スイッチをオン・オフする操作は、スムーズなダイアル操作を妨げることになる。
また、特許文献1記載のフィルタ切替方法では、使用者が周波数調整ダイアルに触れているか否かによって、フィルタの切替状態を制御していたので、その方法を使用して、上述したような受信周波数調整ダイアル操作に関する不具合を解決しようとしても使い勝手に問題があった。即ち、特許文献1記載の方法では、目的とする周波数を捕捉した状態において、そのときのノイズが排除されるフィルタを自動的に選択することは可能であるが、操作者がダイアルに触れるとフィルタの選択が解除されるので、受信周波数調整ダイアルを操作しながら所望のフィルタを選択し、又は、通過帯域幅を設定する目的に使用することは困難であった。
本発明は、上述したような従来の受信周波数調整ダイアルの操作に関する不具合を解消するとともに、迅速に目的とする着信信号を捕捉することが可能な、使い勝手に優れたフィルタ切替回路を備えた無線受信機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、目的を達成するために請求項1に記載の無線受信機では、受信周波数を変更する受信周波数調整手段と、通過帯域周波数(及び/又は通過帯域幅)を制御可能なフィルタ手段と、上記フィルタ手段を制御するフィルタ制御手段とを備えた無線受信機において、上記フィルタ手段は、通過帯域周波数(及び/又は通過帯域幅)が異なる複数のフィルタから所望のフィルタを選択し、又は、通過帯域周波数(及び/又は通過帯域幅)を変更可能なフィルタであり、上記フィルタ制御手段は、上記受信周波数調整手段の操作による単位時間当たりの周波数調整量を検出する周波数変化量検出手段と、検出した周波数変化量に基づいて決定した通過帯域周波数(及び/又は通過帯域幅)に該当する所望フィルタを選択し、又は、帯域可変フィルタの通過帯域周波数(及び/又は通過帯域幅)を設定するように構成したことを特徴とする。
請求項2に記載の無線受信機では、受信周波数を変更する受信周波数調整手段と、通過帯域周波数(及び/又は通過帯域幅)を制御可能なフィルタ手段と、上記フィルタ手段を制御するフィルタ制御手段とを備えた無線受信機において、上記フィルタ手段は、通過帯域周波数(及び/又は通過帯域幅)が異なる複数のフィルタから所望のフィルタを選択し、又は、通過帯域周波数(及び/又は通過帯域幅)を変更可能なフィルタであり、且つ、通過帯域の中心周波数の低域側又は高域側の一方が他方より広いものを含んでおり、上記フィルタ制御手段は、受信周波数調整手段の操作による周波数調整が周波数の増減方向を検出する周波数変化方向検出手段と、周波数変化周波数が増加する方向に変更される場合には、通過帯域の中心周波数の高域側が広いものを選択し、また、周波数が減少する方向に変更される場合には、通過帯域の中心周波数の低域側が広いものを選択するように構成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の無線受信機において、上記フィルタ手段がDSPを含み、デジタル処理によって通過帯域周波数(及び/又は通過帯域幅)が制御されるものであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の無線受信機において、上記フィルタ手段が中間周波数帯域のフィルタ、又は、音声信号に復調後の音声帯域のフィルタであることを特徴とする。
なお、本発明において通過帯域周波数と云うとき、通過帯域周波数及び通過帯域幅の両方の場合と、又は、どちらか一方のみの場合を含むものとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上説明したように、受信周波数を変更する受信周波数調整手段と、通過帯域周波数又は通過帯域幅、あるいはその両方を制御可能なフィルタ手段と、フィルタ手段を制御するフィルタ制御手段とを備え、受信周波数調整手段の操作による単位時間当たりの周波数調整量、即ち、周波数の変化速度を検出するとともに、その検出した周波数変化量に基づいて通過帯域周波数又は通過帯域幅、もしくはその両方を制御するように構成したので、操作者が任意に受信周波数調整ダイアルを回転させれば、適した周波数帯域のフィルタが自動的に選択され、迅速な受信操作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る無線受信機の一例を示すブロック図。
【図2】本発明の一例におけるフィルタ帯域制御例を示すメモリデータの一例を示す図。
【図3】本発明におけるフィルタの通過帯域の例を示す図であり(a)は狭帯域フィルタの帯域図、(b)は低域側に広い帯域を有するフィルタの帯域図、(c)は高域側に広い帯域を有するフィルタの帯域図。
【図4】本発明の変形実施例を示すブロック図。
【図5】本発明の他の例を示すブロック図。
【図6】従来のフィルタ変更手段を備えた無線通信機のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の無線受信機の一実施例を示すブロック図である。この例に示す無線受信機は、アンテナ(ANT)からの信号を入力する高周波増幅部1と、高周波信号を中間周波数に変換する周波数変換部2と、局部発振器3とを備えた無線受信機に本発明を適用する例を示したものである。周波数変換部2の出力は、通過帯域幅が異なる三つの周波数帯域フィルタ(以下、IFフィルタ)4乃至6に、夫々の入出力端部に配したスイッチング・ダイオードD1乃至D6を介して供給される。これら三つの中から選択されたIFフィルタを通過した信号は、検波部7において音声信号に変換後、音声増幅部8を経てスピーカ9に供給される。更に、この例では、受信周波数調整及び上記スイッチング・ダイオードD1乃至D6を制御する信号を発生するためにマイクロコンピュータ(マイコン)CPU10を備え、上記局部発振器3を制御するとともに、受信周波数調整手段としての受信周波数入力手段11とフィルタ選択手段12とを備えている。
また、上記CPU10は、メモリ回路に所要のプログラムと情報を記憶しており、図示したように少なくとも受信周波数設定処理、周波数変化速度判定処理、帯域制限フィルタであるIFフィルタの帯域周波数及び/又は帯域周波数幅の設定処理を行うIFフィルタ設定処理を行うことができる。
【0013】
以下に、アマチュア無線用無線受信機を想定して、具体的な操作と処理について説明する。この例では、受信周波数入力手段としては、LFやUHF等の希望する周波数帯域設定スイッチの他、従来例において説明したようなダイアルを回転して周波数を増減するロータリーエンコーダを含んでいる。また、フィルタ選択手段は、操作者の意志で特定の帯域周波数又は帯域周波数幅、あるいは、その両方の特性をもったIFフィルタを選択設定するためのスイッチであるが、以下の本発明の説明では使用しない。
先ず、操作者が受信を希望する帯域を選択スイッチにより設定し、必要に応じてAM変調、FM変調を設定し、またSSBの場合には上/下測帯波変調の設定等を行う。これらの情報はCPU10に供給され、所望の設定がなされる。これらの設定が終了し、受信周波数調整用ダイアル(以下、単にダイアルと云う)を回転さるとロータリーエンコーダからパルス信号がCPU10に供給され、その回転方向に応じて、実際の受信周波数が変化する。受信周波数の変更は周知のように、CPU10から局部発振器3に供給される周波数制御信号が変更されることによって行われる。
【0014】
この実施例における特徴は、ダイアルを回転して周波数を変更する速度を検出し、その速度に応じて、IFフィルタ4乃至6の何れかを選択する点である。即ち、操作者がダイアル回転数を変更すると、その回転速度に応じてロータリーエンコーダから発生する単位時間当たりのパルス数が変化するので、そのパルス数を計数することによって、周波数の変化速度が判定可能である。例えば、図2に示すように単位時間におけるパルス数がゼロ(0)乃至10パルスの間は、何等かの受信信号を捕捉してモニタ中か、あるいは周波数の微調整を行っている場合が多いので、通常の通過帯域幅をもったIFフィルタ(この例では狭帯域フィルタ6)を選択し、そのフィルタの入出力端部のスイッチング・ダイオード(D5、D6)に図示を省略した回路により、バイアス電流を流すことによって導通状態にする。また、ロータリーエンコーダから発生する単位時間当たりのパルス数が11パルス乃至50パルスにおいては、一段広いフィルタ(5)を、更に速い速度である51パルス/s乃至100パルス/sにおいては二段広いフィルタ(4)を選択するために、夫々のフィルタの入出力端部のダイオード・スイッチ(D1乃至D4)を導通させる。
【0015】
このような制御を行えば、広い周波数領域にわたって高速にダイアルを回転させる場合は広い通過帯域幅をもったフィルタが選択されるので、若干、雑音は増えるが、ある程度離れた周波数における着信信号の存在を速めに感知できることになり、迅速に目的とする信号を捕捉することが可能である。しかも、目的の信号に近づいてダイアルの回転が遅くなると、自動的に通常の通過帯域幅に戻るのでノイズが減少し明瞭度が高くなる。
この例では通過帯域幅が異なる三つのIFフィルタを備えたが、更に多くのフィルタを備え、細かい区切りで切替えを行うこともできる。
【0016】
図3は、本発明の変形例を説明するためのフィルタ帯域図である。図1に示した三つのIFフィルタは、その中心周波数の高低両側に均等に通過帯域幅が増減したものである場合を示したが、例えば、図3に示すようにダイアルの回転方向、つまり周波数を増加する方向に回転しているか、あるいは周波数を減少する方向に回転しているかに応じて、フィルタの中心周波数F0からみて高い周波数側、又は、低い周波数側に帯域を広げるように制御することもできる。即ち、図3(a)に示すフィルタが通常の狭帯域フィルタであるが、ダイアル回転方向が減少方向である場合は、図3(b)に示すように、周波数が低い方向に通過帯域が広がるように、逆に、周波数を増加する方向にダイアルが回転している場合は図3(c)に示すように、フィルタの中心周波数F0からみて高い周波数側に帯域を広げるように制御する。なお、図3(b)、(c)は、中心周波数値は異なるが、通過帯域幅は同一であるから、受信周波数の増減方向に対応して、同一周波数帯域幅のフィルタの周波数を変更したものと云うこともできる。
この例によれば、受信周波数が変更する方向の周波数側においてのみ受信帯域が広がるので、必要最小限の帯域拡大によって目的とする着信信号の存在を感知可能となる。従って通過帯域拡大に伴うノイズの増加を最小限に抑えることができる。なお、この例においても、図1、図2において説明したようにダイアル回転速度に対応して、複数の通過帯域幅のフィルタを切替えることも可能である。
【0017】
図4は、本発明の他の実施例を示すブロック図である。この例に示す無線通信機では、複数のIFフィルタをDSP(Digital Signal Processor)13によって実現している点が特徴的である。一般的に、DSPは周知の通りオーディオ、ビデオ、計測値等の時系列的データの処理専用に構築されたワンチップ・マイクロプロセッセサを云い、従来のアナログ処理では困難な機能をデジタル処理によって高速に実現している。DSPは、装置全体の処理を行うCPUの負担を軽減しつつ特定の処理を受け持って処理することができるので、通信機のデジタル処理にも多用されており、本発明において必要なフィルタリング処理をデジタル化する場合にも適している。なお、その他のブロックは、上記図1の例とほぼ同一であるので説明を省略する。また、図4に示すようにDSP13により、周波数可変機能を持った帯域制限フィルタを実現することは既存の技術によって実施することは可能であるので、詳細な説明は省略するが、DSPによればダイアル回転方向及びその回転速度に対応して、通過帯域幅の増減や切替をプログラムによって自在に制御可能である。
【0018】
図5は、更に本発明の他の実施例を示すブロック図であり、既に説明した例が、通過帯域フィルタがIFフィルタである場合を示したが、この例では、検波復調後の音声帯域に帯域制限フィルタを挿入する例を示したものである。即ち、図5に示す無線受信機において、既に説明したものと同一符号は同様の機能をもったブロックであって、この例に示す無線受信機の特徴は、検波部7の出力を通過帯域が異なる三つのオーディオ・フィルタ15乃至17と夫々の入出力端に挿入したスイッチSW1乃至SW6を介し、選択した所要のフィルタを介して音声増幅部8、スピーカ9に供給するように構成されている。三つの音声帯域フィルタのうち15は、広帯域フィルタ、16は中帯域フィルタ、17は狭帯域フィルタである。
この構成によれば、高周波信号から直接にベースバンド信号に変換するような無線受信機において、上述したような帯域制限フィルタの帯域周波数やその幅を制御することが困難な場合、もしくは処理回路が高価になる場合には、図5に示すように、音声帯域において上述した場合と同様に、周波数帯域や帯域幅を変化するフィルタリング機能を使用することによって、聴感的に上記の各実施例と類似した効果を得ることができる。
【0019】
本発明は上述した実施例に限定する必要はなく種々変形が可能である。例えば、図3に示したフィルタの通過帯域制御例において、受信周波数の増減方向と反対側の通過帯域幅を減少させることも、受信復調出力信号のノイズを減少させる上で有用である。即ち、受信周波数の調整方向につては通過帯域が広がるが、その反対方向については総合的な通過帯域幅が通常(規定上)の通過帯域幅以下にならない範囲で狭くすることも出来る。
また、受信周波数調整手段としては、回転ダイアルに代えて、左右に所定角度の範囲で回動するダイアルやツマミを備え、その回動角度に応じて受信周波数変更速度が変化するものであってもよい。あるいは、上下又は左右にスライド可能なレバーを備え、中心位置からのスライド量に応じて、受信周波数変更速度が変化するものであってもよい。なお、図示した局部発振器3としては、これに限定するものではないが、PLL方式の周波数シンセサイザのループ中に設けた可変分周器の分周比を変更することによって周波数を制御するものが一般的である。
【符号の説明】
【0020】
1 高周波増幅部、2 周波数変換部、3 局部発振器、4乃至6、14 IFフィルタ、7 検波部、8 音声増幅部、9 スピーカ、10 CPU、11 受信周波数入力手段(ダイアル、ロータリーエンコーダ)、12 フィルタ選択入力手段、13 DSP、15乃至17 オーディオ・フィルタ、ANT アンテナ、SW1乃至SW6 切替スイッチ、D1乃至D6 スイッチング・ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信周波数を変更する受信周波数調整手段と、通過帯域周波数を制御可能なフィルタ手段と、前記フィルタ手段を制御するフィルタ制御手段とを備えた無線受信機において、前記フィルタ手段は、通過帯域周波数が異なる複数のフィルタから所望のフィルタを選択し、又は、通過帯域周波数を変更可能なフィルタであり、前記フィルタ制御手段は、前記受信周波数調整手段の操作による単位時間当たりの周波数調整量を検出する周波数変化量検出手段と、検出した周波数変化量に基づいて決定した通過帯域周波数に該当する所望フィルタを選択し、又は、帯域可変フィルタの通過帯域周波数を設定するように構成したことを特徴とする無線受信機。
【請求項2】
受信周波数を変更する受信周波数調整手段と、通過帯域周波数を制御可能なフィルタ手段と、前記フィルタ手段を制御するフィルタ制御手段とを備えた無線受信機において、前記フィルタ手段は、通過帯域周波数が異なる複数のフィルタから所望のフィルタを選択し、又は、通過帯域周波数を変更可能なフィルタであり、且つ、通過帯域の中心周波数の低域側又は高域側の一方が他方より広いものを含んでおり、前記フィルタ制御手段は、前記受信周波数調整手段の操作による周波数調整が周波数の増減方向を検出する周波数変化方向検出手段と、周波数が増加する方向に変更される場合には、通過帯域の中心周波数の高域側が広いものを選択し、また、周波数が減少する方向に変更される場合には、通過帯域の中心周波数の低域側が広いものを選択するように構成されたことを特徴とする無線受信機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無線受信機において、前記フィルタ手段がDSPを含み、デジタル処理によって通過帯域周波数が制御されるものであることを特徴とする無線受信機。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の無線受信機において、前記フィルタ手段が中間周波数帯域のフィルタ、又は、音声信号に復調後の音声帯域のフィルタであることを特徴とする無線受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−226598(P2010−226598A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73593(P2009−73593)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】