説明

無線受信装置

【課題】 水平偏波および垂直偏波の選択的な受信と、円偏波による不要信号の排除を可能にし、かつ、広範囲での適用を可能にする無線受信装置を提供する。
【解決手段】 水平偏波の電波を受信する第1のアンテナ10と、垂直偏波の電波を受信すると共に、λ/4だけ電波の到来方向に対して位置の異なる第2のアンテナ20と、第1、第2のポートが第1、第2のアンテナ10、20にそれぞれ接続されていると共に第3、第4のポートが合成された高周波信号を出力するラットレース回路31と、第1〜第4の接点がラットレース回路31の第1〜第4のポートにそれぞれ接続され、各接点の一つを選択して次段に接続する選択スイッチ回路33とを備え、第1、第2のポートから第1、第2の接点をそれぞれ見たインピーダンスが無限大となる長さの伝送路で、第1、第2のポートが接続され、第3、第4のポートから第3、第4の接点をそれぞれ見たインピーダンスがゼロとなる長さの伝送路で、第3、第4のポートが接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電波を用いて無線通信を行う無線受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メガヘルツ帯の電波を用いた無線通信は、各種の分野で用いられている。例えば電力会社では、一般の需要家に対する配電設備の状態を巡視し、また不調となった配電設備の修理を迅速に行って、需要家に対して電気を安定して供給する。このために、営業所は営業区域内を巡回するための自動車を所持し、営業所と自動車との間で連絡や指令などのために、電波による通信が行われている。営業所は移動する自動車と通信するので、広範囲での通信を確保するために、基地局が高い建物や山などに設置されている。営業所と自動車とは、基地局を介在して通信を行う。このために、営業所と基地局との間は、通常、有線で接続されるが、基地局が山の中などにある場合、ケーブルの敷設が困難なときに、60MHz帯の電波である水平偏波や垂直偏波を用いた固定回線で、営業所と基地局とが結ばれている。
【0003】
ところで、60MHzの電波は、通常は電離層を突き抜けるので、電離層による反射波が固定回線に影響を与えることはない。しかし、季節的な要因でスポラディックE層と呼ばれる電離度の高い電離層が出現する場合がある。スポラディックE層が発生すると、60MHz帯の水平偏波や垂直偏波がスポラディックE層で反射する。スポラディックE層で反射した水平偏波や垂直偏波には円偏波成分が出現する。さらに、通常は受信することのない遠方の同一の周波数を利用する電波が異常伝搬して営業所などで受信される場合がある。この場合には、混信が発生し、電波で送られる信号が音声である場合には、音声を聞き取ることが困難になるときがある。
【0004】
こうした事態に対応するために、円偏波と水平偏波および垂直偏波とによる送受信を共用化する装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−237002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、先に述べた装置には各種の回路が必要である。円偏波と水平偏波および垂直偏波とによる送受信を共用化するために、偏波合成回路が装置に付加され、この回路はハイブリッド合成器と移相器とで構成されている。この装置によれば、水平偏波および垂直偏波とを受信したときには、偏波合成回路がこれらの偏波を円偏波に一度変換している。つまり、円偏波の送受信をする装置に対して、偏波合成回路を付加することによって、共用化が行われている。この結果、従来の装置は円偏波の送受信をする装置をベースにしているので、共有化できる装置が限られてしまう。
【0006】
また、アンテナの大型化により指向性を向上させ、スポラディックE層からの反射波を軽減させることも可能である。しかし、この場合には、アンテナを大型にするので、台風や積雪などの自然条件に対して不利となる。
【0007】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、水平偏波および垂直偏波の選択的な受信と、円偏波による不要信号の排除を可能にし、かつ、広範囲での適用を可能にする無線受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、水平偏波の電波を受信して高周波信号を出力する第1のアンテナと、垂直偏波の電波を受信して高周波信号を出力すると共に、電波の4分の1波長だけ電波の到来方向に対して第1のアンテナと位置の異なる第2のアンテナと、第1および第2のポートが第1および第2のアンテナにそれぞれ接続されていると共に第3および第4のポートが、合成された高周波信号を出力し、第1と第3のポート、第1と第4のポートおよび第2と第3のポートの間に、4分の1波長の電気的な長さの伝送路が接続されていると共に第2と第4のポートの間に、4分の3波長の電気的な長さの伝送路が接続されているラットレース回路と、第1〜第4の接点がラットレース回路の第1〜第4のポートにそれぞれ接続され、各接点の一つを選択して次段に接続するスイッチ回路と、を備え、第1および第2のポートから第1および第2の接点をそれぞれ見たインピーダンスが無限大となる長さの伝送路で、第1および第2のポートが接続され、第3および第4のポートから第3および第4の接点をそれぞれ見たインピーダンスがゼロとなる長さの伝送路で、第3および第4のポートが接続されている、ことを特徴とする無線受信装置である。
【0009】
請求項1の発明では、第1および第2のアンテナが用いられている。そして、第2のアンテナは、電波の4分の1波長だけ、電波の到来方向に対して、第1のアンテナと位置の異なるように配置されている。また、請求項1の発明では、ラットレース回路を形成する伝送路の、次の特性を利用している。伝送路のケーブル長がλ/4である場合に、一端が開放されているときに、他端から伝送路を見たインピーダンスがゼロになる。逆に、一端が短絡されているときに、他端から伝送路を見たインピーダンスが無限大になる。
【0010】
こうした状態のときに、スイッチ回路により第1の接点が選択されると、第1のポートからラットレース回路を見たインピーダンスはすべて無限大になり、第1のポートには、第1のアンテナだけが接続されている状態となる。これにより、スイッチ回路は、第1のアンテナからの高周波信号を出力する。このとき出力される高周波信号は、第1のアンテナが受信した水平偏波によるものである。同じように、スイッチ回路により第2の接点が選択されると、ラットレース回路の第2のポートには第2のアンテナだけが接続されている状態となる。これにより、スイッチ回路は第2のアンテナからの高周波信号を出力する。このとき出力される高周波信号は、第2のアンテナが受信した垂直偏波によるものである。
【0011】
スイッチ回路により第3の接点が選択されると、ラットレース回路の特性により、第1および第2つアンテナからの高周波信号が同相のときに、合成された高周波信号を第3のポートが出力する。このとき出力される高周波信号は、右旋円偏波および左旋円偏波の中の一つによるものである。同じように、スイッチ回路により第4の接点が選択されると、2つのアンテナからの高周波信号が逆相のときに、合成された高周波信号を第4のポートが出力する。このとき出力される高周波信号は、右旋円偏波および左旋円偏波の中の、残りの円偏波によるものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の無線受信装置において、スイッチ回路の第1〜第4の接点が開放され、ラットレース回路の第1および第2のポートとスイッチ回路の第1および第2の接点とが2分の1波長の電気的な長さの伝送路あるいは2分の1波長の整数倍の電気的な長さの伝送路でそれぞれ接続され、ラットレース回路の第3および第4のポートとスイッチ回路の第3および第4の接点とが4分の1波長の電気的な長さの伝送路あるいは4分の1波長の奇数倍の電気的な長さの伝送路でそれぞれ接続されている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の無線受信装置において、スイッチ回路の第1〜第4の接点が短絡され、ラットレース回路の第1および第2のポートとスイッチ回路の第1および第2の接点とが4分の1波長の電気的な長さの伝送路あるいは4分の1波長の奇数倍の電気的な長さの伝送路でそれぞれ接続され、ラットレース回路の第3および第4のポートとスイッチ回路の第3および第4の接点とが2分の1波長の電気的な長さの伝送路あるいは2分の1波長の整数倍の電気的な長さの伝送路でそれぞれ接続されている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線受信装置において、第1のアンテナと第2のアンテナとは、棒状のアンテナ素子が配列されて形成され、アンテナ素子の配列面が互いに直交するように配置されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線受信装置において、ラットレース回路の各伝送路と、ラットレース回路とスイッチ回路とを接続する各伝送路とが同軸構造の給電線で形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、スイッチ回路により第1または第2の接点が選択されると、スイッチ回路は第1または第2のアンテナからの高周波信号を出力する。しかも、第1のアンテナは水平偏波を受信し、第2のアンテナは垂直偏波を受信するので、通常用いられる電波を受信することを可能にする。スイッチ回路により第3の接点が選択されると、第1および第2のアンテナからの高周波信号が同相のときに、第3のポートが高周波信号を出力する。これにより、一方の円偏波による同相の高周波信号を合成した信号が出力される。また、スイッチ回路により第4の接点が選択されると、第1および第2のアンテナからの高周波信号が逆相のときに、第4のポートが高周波信号を出力する。これにより、残りの円偏波による逆相の高周波信号を合成した信号が出力される。この結果、通常利用される平面波と、スポラディックE層などで発生する円偏波とを受信することを可能にする。つまり、請求項1の発明により、混信の原因であった円偏波も積極的に受信することを可能にし、逆に、混信を引き起こしている円偏波を積極的に排除することを可能とする。
【0017】
請求項2および請求項3の発明によれば、2種類の伝送路を用いて、ラットレース回路とスイッチ回路とを接続するので、ラットレース回路とスイッチ回路との接続構造を簡単にすることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、第1のアンテナと第2のアンテナとは、棒状のアンテナ素子が配列されて形成されているので、例えば八木・宇田アンテナのような、一般的なアンテナを第1および第2のアンテナとして利用可能である。かつ、第1のアンテナの配列面と第2のアンテナの配列面を直交するように配置するので、第1のアンテナと第2のアンテナとの設置も容易である。
【0019】
請求項5の発明によれば、ラットレース回路の各伝送路と、ラットレース回路とスイッチ回路とを接続する各伝送路とを同軸構造の給電線で形成するので、簡単に、かつ、安価にラットレース回路と、ラットレース回路とスイッチ回路とを接続する接続構造とを作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0021】
(実施の形態1)
この実施の形態では、営業所が巡回用の自動車と交信するために、山などの高所に設置された基地局を利用する場合を例として説明する。かつ、交信される信号が音声である場合を例としている。この実施の形態による無線受信装置を図1に示す。図1の無線受信装置は、図2に示すように、営業所に設置されている無線通信装置1に用いられている。営業所では、例えば担当者が自動車2の巡回者と無線で交信する。このとき、営業所が自動車2との広範囲な通信を確保するために、基地局3が高い建物や山地Mなどに設置される。営業所の無線通信装置1と自動車2とは、基地局3を介在して通信を行う。通常、営業所の無線通信装置1と基地局3とは有線で接続されるが、基地局1に対してケーブルの敷設が困難なときには、60MHz帯の電波の水平偏波や垂直偏波を利用した固定回線で、営業所と基地局とが結ばれている。なお、自動車2と基地局3とはデジタル通信で信号を送受信するので、ノイズ電波による影響を受け難い。
【0022】
ところで、季節的な要因でスポラディックE層200と呼ばれる電離層が出現する場合がある。この場合には、例えば基地局3が出力した電波W1が、営業所の無線通信装置1に直接到来すると共に、通常は受信することのない遠方からの電波W2がスポラディックE層200で反射し、円偏波W3あるいは楕円偏波となって営業所の無線通信装置1に到来することがある。この場合、従来では混信の原因となっていた。
【0023】
こうした電波を受信する無線通信装置1の無線受信装置は、先の図1に示すように、第1のアンテナ10および第2のアンテナ20と、受信部30とを備えている。
【0024】
第1のアンテナ10および第2のアンテナ20は、アンテナ素子11〜15、21〜25を5個配列した八木・宇田アンテナであるが、素子数などが異なるアンテナが利用可能である。第1のアンテナ10および第2のアンテナ20は、基地局3から電波を受信すると、高周波信号を受信部30に送る。第1のアンテナ10と第2のアンテナ20とは、互いに距離S1だけ離れてポール100に固定され、かつ、第2のアンテナ20が地表面側に、第1のアンテナ10が第2のアンテナ20より上側に配列されている。
【0025】
また、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20とは、アンテナ素子11〜15の配列面とアンテナ素子21〜25の配列面とが直交するように、ポール100に設置されている。この実施の形態では、アンテナ素子11〜15の配列面が地表面に対して平行になるように、第1のアンテナ10が設置され、アンテナ素子21〜25の配列面が地表面に対して直交するように、第2のアンテナ20が設置されている。さらに、第1のアンテナ10の先端と第2のアンテナ20の先端との間隔S2がλ/4となるように、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20とがポール100に設置されている。なお、λは、営業所と基地局との間の固定回線で使用される固定回線の搬送波の波長である。この実施の形態では、第1のアンテナ10の先端に比べて、第2のアンテナ20の先端がλ/4だけ前方に、つまり、電波の到来方向に突き出している。
【0026】
このように、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20とを配置することにより、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20が水平偏波および垂直偏波と、円偏波とを受信する。つまり、電波の電界が地表面に対して水平な水平偏波は、アンテナ素子11〜15の配列面が地表面に対して平行である第1のアンテナ10で受信される。電波の電界が地表面に対して垂直な垂直偏波は、アンテナ素子21〜25の配列面が地表面に対して直交する第2のアンテナ20で受信される。また、電波の電界が右回りに回転する右旋円偏波と、電波の電界が左回りに回転する左旋円偏波とは、互いの先端の間隔S2がλ/4だけ離れて設置されている第1のアンテナ10および第2のアンテナ20で受信される。図3に示すように、円偏波Eは、λ/4の位相差つまり90度の位相差を持つ水平偏波E1と垂直偏波E2の合成によって生成されるので、互いの先端の間隔S2がλ/4だけ離れて設置されている第1のアンテナ10および第2のアンテナ20での受信が可能になる。図3では、電界の強さEhが水平偏波E1のプラス方向を表し、電界の強さEvが垂直偏波E2のプラス方向を表している。
【0027】
この実施の形態では、電波の到来方向に向かって、第1のアンテナ10に比べて第2のアンテナ20が前方の位置にある。この状態のときに、図4に示すように、第1のアンテナ10がポイントA1(小丸印)で右旋円偏波を受信する。このときには、右旋円偏波の成分である水平偏波E1のレベル変化が、プラスからマイナスに切り替わるところである。第1のアンテナ10と第2のアンテナ20との位置の差がλ/4であり、水平偏波E1と垂直偏波E2との位相差もλ/4であるので、第1のアンテナ10がポイントA1(小丸印)で右旋円偏波を受信するときには、第2のアンテナ20がポイントA2(小丸印)で右旋円偏波を受信する。このときには、右旋円偏波の成分である垂直偏波E2のレベル変化が、プラスからマイナスに切り替わるところである。つまり、この実施の形態による第1のアンテナ10および第2のアンテナ20で右旋円偏波を受信すると、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20とは同相の高周波信号を出力する。
【0028】
また、到来波が左旋円偏波の場合には次のようになる。図5に示すように、第1のアンテナ10がポイントA3(小丸印)で左旋円偏波を受信する。このときには、左旋円偏波の成分である水平偏波E1のレベル変化が、マイナスからプラスに切り替わるところである。第1のアンテナ10と第2のアンテナ20との差がλ/4であり、水平偏波E1と垂直偏波E2との位相差もλ/4であるので、第1のアンテナ10がポイントA3(小丸印)で左旋円偏波を受信するときには、第2のアンテナ20がポイントA4(小丸印)で左旋円偏波を受信する。このときには、左旋円偏波の成分である垂直偏波E2のレベル変化が、プラスからマイナスに切り替わるところである。つまり、この実施の形態による第1のアンテナ10および第2のアンテナ20で左旋円偏波を受信すると、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20とは逆相の高周波信号を出力する。
【0029】
こうした第1のアンテナ10と第2のアンテナ20とは、同軸構造の給電線でラットレース回路31に接続されている。第1のアンテナ10および第2のアンテナ20を接続する同軸構造の給電線は同じ長さであれば任意である。
【0030】
受信部30は、第1のアンテナ10および第2のアンテナ20から高周波信号を受け取ると、高周波信号から音声信号を再生して出力する。受信部30は、図6に示すように、ラットレース回路31、接続部32、選択スイッチ回路33および受信機34を備えている。
【0031】
受信部30のラットレース回路31は、同軸構造の給電線などの伝送路を用いて形成された回路である。この実施の形態では、図7に示すラットレース回路31を用いる。このラットレース回路31は、4つのポートP1〜P4を持っている。ポートP1、P2は入力端子であり、ポートP3、P4は出力端子である。ポートP1は、第1のアンテナ10と、接続部32を介在して選択スイッチ回路33の接点33Bとに接続され、ポートP2は、第2のアンテナ20と、接続部32を介在して選択スイッチ回路33の接点33Bとに接続されている。また、ポートP3は、接続部32を介在して選択スイッチ回路33の接点33Bに接続され、ポートP4は、接続部32を介在して選択スイッチ回路33の接点33Bに接続されている。なお、選択スイッチ回路33の接点33B〜33Bについては、後述する。
【0032】
ラットレース回路31のポートP1とポートP3との間にλ/4の電気的な長さの同軸構造の給電線31Aが接続され、ポートP1とポートP4との間にλ/4の電気的な長さの同軸構造の給電線31Bが接続されている。また、ポートP2とポートP3との間にλ/4の電気的な長さの同軸構造の給電線31Cが接続され、ポートP2とポートP4との間に3λ/4の電気的な長さの同軸構造の給電線31Dが接続されている。各同軸構造の給電線31A〜31Dは、高周波信号が流れる伝送路である。
【0033】
ラットレース回路31は次のように動作する。図7で時計回りを矢印Aの方向とし、反時計回りを矢印Bの方向とすると、ポートP1に入力された高周波信号は、
時計回り…λ/4(同軸構造の給電線31A)
反時計回り…λ/4(同軸構造の給電線31B)、3λ/4(同軸構造の給電線31D)、λ/4(同軸構造の給電線31C)
の両経路を経てポートP3に到達する。このとき、時計回りの信号はλ/4だけ遅延し、反時計回りの信号は5λ/4つまりλ/4だけ遅延する。この結果、ポートP1に入力された高周波信号により、ポートP3からはλ/4だけ遅延した高周波信号が出力される。
【0034】
また、ポートP2に入力された高周波信号は、
時計回り…3λ/4(同軸構造の給電線31D)、λ/4(同軸構造の給電線31B)、λ/4(同軸構造の給電線31A)
反時計回り…λ/4(同軸構造の給電線31C)
の両経路を経てポートP3に到達する。このとき、時計回りの信号は5λ/4つまりλ/4だけ遅延し、反時計回りの信号はλ/4だけ遅延する。この結果、ポートP2に入力された高周波信号により、ポートP3からはλ/4だけ遅延した高周波信号が出力される。
【0035】
したがって、ポートP3では、ポートP1に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号と、ポートP2に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号とが合成される。
【0036】
一方、ポートP1に入力された高周波信号は、
時計回り…λ/4(同軸構造の給電線31A)、λ/4(同軸構造の給電線31C)、3λ/4(同軸構造の給電線31D)
反時計回り…λ/4(同軸構造の給電線31B)
の両経路を経てポートP4に到達する。このとき、時計回りの信号は5λ/4つまりλ/4だけ遅延し、反時計回りの信号はλ/4だけ遅延する。この結果、ポートP1に入力された高周波信号により、ポートP4からはλ/4だけ遅延した高周波信号が出力される。
【0037】
また、ポートP2に入力された高周波信号は、
時計回り…3λ/4(同軸構造の給電線31D)
反時計回り…λ/4(同軸構造の給電線31C)、λ/4(同軸構造の給電線31A)、λ/4(同軸構造の給電線31B)
の両経路を経てポートP4に到達する。このとき、時計回りの信号は3λ/4だけ遅延し、反時計回りの信号は3λ/4だけ遅延する。この結果、ポートP2に入力された高周波信号により、ポートP4からは3λ/4だけ遅延した高周波信号が出力される。
【0038】
したがって、ポートP4では、ポートP1に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号と、ポートP2に対する入力で生じた、3λ/4だけ遅延した高周波信号とが合成される。
【0039】
こうした動作をするラットレース回路31は、2つの特性を持つ。まず、最初の特性について説明する。この特性は、ラットレース回路31のポートP1とポートP2とに同相の高周波信号を入力すると、ポートP3から合成された高周波信号を出力し、ポートP4から高周波信号を出力しない、というものである。つまり、ポートP3では、ポートP1に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号と、ポートP2に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号とが加え合わされる。これにより、ポートP3からは、加え合わされて合成された高周波信号が出力される。こうした特性を同相出力特性とする。
【0040】
さらに、ポートP4では、ポートP1に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号と、ポートP2に対する入力で生じた、3λ/4だけ遅延した高周波信号とが合成される。これにより、2つの高周波信号が互いに打ち消し合う。つまり、同相出力特性では、ポートP4から高周波信号が出力されない。
【0041】
次に、ラットレース回路31の二番目の特性について説明する。この特性は、ラットレース回路31のポートP1とポートP2とに逆相の高周波信号を入力すると、ポートP4から合成された高周波信号を出力し、ポートP3から高周波信号を出力しない、というものである。つまり、ポートP4では、ポートP1に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号と、ポートP2に対する入力で生じた、3λ/4だけ遅延した高周波信号とが合成される。このとき、ポートP1に加えられる高周波信号は、ポートP2に加えられる高周波信号と位相が180度異なるので、λ/2だけ位相が異なることになる。この結果、ポートP4からは、ポートP1に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号と、ポートP1に加えられる高周波信号に比べて、3λ/4だけ遅延し、かつ、λ/2だけ位相の異なる高周波信号とが加え合わされる。これにより、ポートP4からは、加え合わされた高周波信号が出力される。こうした特性を逆相出力特性とする。
【0042】
さらに、ポートP3では、ポートP1に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号と、ポートP2に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号とが合成される。この結果、ポートP3からは、ポートP1に対する入力で生じた、λ/4だけ遅延した高周波信号と、ポートP1に加えられる高周波信号に比べて、λ/4だけ遅延し、かつ、λ/2だけ位相の異なる高周波信号とが合成される。これにより、ポートP3では、逆相の高周波信号が打ち消し合う。つまり、逆相出力特性では、ポートP3からは、高周波信号が出力されない。
【0043】
受信部30の選択スイッチ回路33は、ラットレース回路31のポートP1〜P4のいずれかを、接続部32を経て次段の受信機34に接続する。選択スイッチ回路33は、無線受信装置を使用する担当者によって可動される接点33Aと、固定され、かつ、開放されている接点33B〜33Bを備えている。接点33Aは受信機34に接続され、接点33B〜33Bはラットレース回路31のポートP1〜P4に、接続部32を介在してそれぞれ接続されている。つまり、選択スイッチ回路33は、受信機34を接点33B〜33Bの中の一つに順に接続する。このとき、接点33Aに接続されていない接点、つまり、受信機34に接続されていない接点は開放状態になる。
【0044】
こうした選択スイッチ回路33は、接点33B〜33Bに対応して、例えば4接点を持つロータリスイッチにより構成される。そして、ロータリスイッチの4接点にラットレース回路31のポートP1〜P4が接続され、ロータリスイッチの回転軸が操作される。この他にも、選択スイッチ回路33として、リレーを組み合わせた回路など、各種のものがある。
【0045】
受信部30の接続部32は、ラットレース回路31と選択スイッチ回路33との間に設けられている。接続部32は、接続ケーブル32A〜32Dによって形成されている。接続ケーブル32A、32Bは、ケーブル長がλ/2であり、ラットレース回路31のポートP1、P2を選択スイッチ回路33の接点33B、33Bにそれぞれ接続する。接続ケーブル32C、32Dは、ケーブル長がλ/4であり、ラットレース回路31のポートP3、P4を選択スイッチ回路33の接点33B、33Bにそれぞれ接続する。
【0046】
こうした選択スイッチ回路33に使用されている同軸構造の給電線には、次の特性がある。同軸構造の給電線のケーブル長が電気的にλ/4である場合に、一端が開放されているときに、他端から同軸構造の給電線を見たインピーダンスがゼロになる。逆に、一端が短絡されているときに、他端から同軸構造の給電線を見たインピーダンスが無限大になる。なお、ラットレース回路31の同軸構造の給電線31A〜31Dも同様である。
【0047】
ケーブル長が電気的にλ/4である同軸構造の給電線はこうした特性を持つので、選択スイッチ回路33の接点33Bが開放されているとき、λ/2の電気的なケーブル長を持つ接続ケーブル32Aについては、ポートP1から見たインピーダンスが無限大になる。接続ケーブル32Bも同様であり、選択スイッチ回路33の接点33Bが開放されているとき、接続ケーブル32Bについては、ポートP2から見たインピーダンスは無限大になる。なお、接続ケーブル32A、32Bのケーブル長は、電気的にλ/2に限定されず、ポートP1、P2から見たインピーダンスが無限大になるような長さであればよい。
【0048】
一方、選択スイッチ回路33の接点33Bが開放されているとき、電気的にλ/4のケーブル長を持つ接続ケーブル32Cについては、ポートP3から見たインピーダンスはゼロになる。接続ケーブル32Dも同様であり、選択スイッチ回路33の接点33Bが開放されているとき、接続ケーブル32Dについては、ポートP4から見たインピーダンスはゼロになる。なお、接続ケーブル32C、32Dのケーブル長は、電気的にλ/4に限定されず、ポートP3、P4から見たインピーダンスがゼロになるような長さであればよい。
【0049】
受信機34は、選択スイッチ回路33の接点33Aから高周波信号を受け取ると、この高周波信号から、音声を再生する。そして、受信機34は、音声の再生信号を次段の回路、例えば増幅回路などに出力する。
【0050】
次に、この実施の形態による無線受信装置の動作について説明する。営業所の担当者が無線通信装置1を用いて自動車2の巡回者と交信する場合、基地局3を中継して到来する、自動車2からの電波を、営業所の無線通信装置1に設けられている無線受信装置が受信する。
【0051】
営業所の担当者は、無線受信装置の受信部30の選択スイッチ回路33を操作し、例えば接点33Aを接点33Bに接続する。これにより、第1のアンテナ10からの高周波信号は、接続ケーブル32A、接点33B、接点33Aを経て、受信機34に入力される。
【0052】
選択スイッチ回路33が接点33Aを接点33Bに接続すると、図8に示すように、接点33B〜33Bが開放になる。接点33Bが開放になると、ケーブル長が電気的にλ/2の同軸構造の給電線の特性により、ポートP2から見た、ケーブル長が電気的にλ/2の接続ケーブル32Bのインピーダンスは無限大になる。なお、図8では、インピーダンスを見る方向を太い矢印で表し、インピーダンスをImpで表している。ポートP2から見た接続ケーブル32Bのインピーダンスが無限大つまり開放になるので、ポートP3から見た、ケーブル長が電気的にλ/4の同軸構造の給電線31Cのインピーダンスがゼロになる。ポートP3から見た同軸構造の給電線31Cのインピーダンスがゼロつまり短絡になるので、ポートP1から見た、ケーブル長が電気的にλ/4の同軸構造の給電線31Aのインピーダンスが無限大になる。
【0053】
同じようにして、接点33Bが開放になると、ポートP2から見た接続ケーブル32Bのインピーダンスが無限大になるので、ポートP4から見た、ケーブル長が電気的に3λ/4の同軸構造の給電線31Dのインピーダンスがゼロになる。ポートP4から見た同軸構造の給電線31Dのインピーダンスがゼロつまり短絡になるので、ポートP1から見た、ケーブル長が電気的にλ/4の同軸構造の給電線31Aのインピーダンスが無限大になる。
【0054】
このように、ポートP1から見たインピーダンスが無限大つまり開放になるので、選択スイッチ回路33の接点33BからポートP1に至る経路が接続されていない状態になる。同じようにして、選択スイッチ回路33の接点33BからポートP1に至る経路が接続されていない状態になり、選択スイッチ回路33の接点33BからポートP1に至る経路が接続されていない状態になる。つまり、ポートP1には、第1のアンテナ10と接続ケーブル32Aだけが接続されている状態になる。したがって、受信機34には、第1のアンテナ10からの高周波信号だけが入力されることになる。この状態は、第1のアンテナ10による水平偏波を受信するためのものである。
【0055】
営業所の担当者が、無線受信装置の受信部30の選択スイッチ回路33を操作し、選択スイッチ回路33の接点33Aを接点33Bに接続すると、接点33Bに接点33Aを接続した場合と同じように、選択スイッチ回路33の接点33BからポートP2に至る経路が接続されていない状態になる。また、選択スイッチ回路33の接点33BからポートP2に至る経路が接続されていない状態になり、選択スイッチ回路33の接点33BからポートP2に至る経路が接続されていない状態になる。つまり、ポートP2には、第2のアンテナ20と接続ケーブル32Bだけが接続されている状態になる。したがって、受信機34には、第2のアンテナ20からの高周波信号だけが入力されることになる。この状態は、第2のアンテナ20による垂直偏波を受信するためのものである。
【0056】
営業所の担当者が、無線受信装置の受信部30の選択スイッチ回路33を操作し、選択スイッチ回路33の接点33Aを接点33Bに接続すると、ポートP3から見たインピーダンスがゼロになる。つまり、ポートP3には、接点33B、接点33B、接点33BからポートP3に至る経路がすべて接続されている状態になる。この状態においては、ラットレース回路31の同相出力特性により、第1のアンテナ10からの高周波信号と第2のアンテナ20からの高周波信号が同相のときに、選択スイッチ回路33の接点33Bに対して、ラットレース回路31のポートP3が高周波信号を送る。選択スイッチ回路33は、この高周波信号を受信機34に出力する。つまり、選択スイッチ回路33が接点33Aを接点33Bに接続すると、第1のアンテナ10および第2のアンテナ20で受信された右旋円偏波による高周波信号を合成した信号が、受信機34に出力される。この状態は、右旋円偏波を受信するためのものである。
【0057】
営業所の担当者が、無線受信装置の受信部30の選択スイッチ回路33を操作し、選択スイッチ回路33の接点33Aを接点33Bに接続すると、ポートP4から見たインピーダンスがゼロになる。つまり、ポートP4には、接点33B〜33BからポートP4に至る経路がすべて接続されている状態になる。この状態においては、ラットレース回路31の逆相出力特性により、第1のアンテナ10からの高周波信号と第2のアンテナ20からの高周波信号が逆相のときに、選択スイッチ回路33の接点33Bに対して、ラットレース回路31のポートP4が高周波信号を送る。選択スイッチ回路33は、この高周波信号を受信機34に出力する。つまり、選択スイッチ回路33が接点33Aを接点33Bに接続すると、第1のアンテナ10および第2のアンテナ20で受信された左旋円偏波による高周波信号を合成した信号が、受信機34に出力される。この状態は、左旋円偏波を受信するためのものである。
【0058】
このように、営業所の担当者が、無線受信装置の受信部30の選択スイッチ回路33を操作すると、選択スイッチ回路33は4つの高周波信号を受信機34に順次に送る。受信機34は、高周波信号から音声を再生し、再生信号を次段の増幅器などに出力する。このように、営業所の担当者は、最適な状態の再生信号、つまり、聞き易い音声が得られるように、選択スイッチ回路33を操作すればよい。
【0059】
こうして、この実施の形態によれば、
a.通常の水平偏波を受信する
b.通常の垂直偏波を受信する
c.スポラディックE層による左旋円偏波の不要信号を排除する
d.スポラディックE層による右旋円偏波の不要信号を排除する
という、4通りの受信方式で受信を行い、この中から最適な再生信号を選択して得ることができる。特に、遠方から到来する電波がスポラディックE層の影響により、右旋円偏波または右旋楕円偏波や左旋円偏波または左旋楕円偏波になった場合に、従来は混信の原因となるだけであった。しかし、この実施の形態では、右旋円偏波および左旋円偏波を積極的に排除することができる。
【0060】
また、水平偏波と垂直偏波とを受信する装置であれば、この実施の形態を適用することができるので、広範囲な受信装置に対してこの実施の形態による技術を適用することが可能である。さらに、この実施の形態による無線受信装置を、基地局3に用いてもよい。この場合には、営業所からの指示信号で、基地局3に設置されている無線受信装置の選択スイッチ回路33が切り替わるようにすればよい。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態1では、接続ケーブル32Aおよび接続ケーブル32Bの電気的な長さがλ/2であったが、この実施の形態では、接続ケーブル32Aおよび接続ケーブル32Bの長さをゼロにしている。つまり、ラットレース回路31のポートP1を選択スイッチ回路33の接点33Bに直接接続し、ポートP2を選択スイッチ回路33の接点33Bに直接接続する。
【0062】
この実施の形態により、接続ケーブル32Aと接続ケーブル32Bを省くことができ、接続部32の構成を簡単にすることができる。
【0063】
(実施の形態3)
実施の形態1では、営業所の無線受信装置が60MHz帯の電波を用いた固定回線を利用した場合を例としたが、この実施の形態では、この周波数帯より、さらに高い周波数で通信を行う。この場合には、無線受信装置のラットレース回路31や接続部32で使用されている同軸構造の給電線の代わりに、ラットレース回路31や接続部32を基板に形成する。つまり、波長λがさらに短くなるので、長さがλ/4、λ/2、3λ/4のパターンを伝送路として基板に形成することにより、ラットレース回路31や接続部32が形成される。
【0064】
これにより、60MHz帯よりさらに高い周波数で通信を行う無線受信装置に対してラットレース回路31や接続部32を設置するために、これらを形成した基板(ストリップライン型伝送路)を取り付ければよいので、無線受信装置を大幅に変更することを不要にし、かつ、さらに低いコストで、無線受信装置を作りだすことができる。
【0065】
(実施の形態4)
先に述べた各実施の形態は、選択スイッチ回路33の接点33B〜33Bの中の一つに、受信機34を順に接続する。このとき、接点33Aに接続されていない接点、つまり、受信機34に接続されていない接点は開放されている。これに対して、この実施の形態では、受信機34に接続されていない接点を短絡つまり接地する。
【0066】
通常、ラットレース回路31の同軸構造の給電線31A〜31Dと、接続部32の接続ケーブル32A〜32Dとして用いられている同軸構造の給電線とは、シールドが接地されて用いられる。したがって、受信機34に接続されていない接点を接地すると、この接点は短絡されることになる。
【0067】
こうした接続をする選択スイッチ回路33は、例えば図9に示すように、4回路4接点を持つロータリスイッチ3310を用いて形成される。つまり、ロータリスイッチ3310の各回路3311〜3314を、ラットレース回路31のポートP1〜P4を受信機34に接続または接地するために、それぞれ使用する。
【0068】
この場合、接続部32の接続ケーブル32A〜32Dの長さを、実施の形態1とは逆にする。接続ケーブル32A、32Bは、ケーブル長が電気的にλ/4であり、接続ケーブル32C、32Dは、ケーブル長が電気的にλ/2である。こうすることにより、例えば、選択スイッチ回路33の接点33Bが短絡されているとき、電気的にλ/4のケーブル長を持つ接続ケーブル32Aでは、ポートP1から見たインピーダンスが無限大になる。接続ケーブル32Bも同様である。
【0069】
この実施の形態により、受信機34に接続されていない接点が短絡されるので、外部からノイズなどが混入する可能性などを低減することができる。
【0070】
以上、この発明の各実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は各実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、各実施の形態による無線通信システムが電力会社で用いられる場合を例としたが、本発明は、メガヘルツ帯やギガヘルツ帯の電波を用いた無線通信を利用する各分野で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態1による無線受信装置を示す構成図である。
【図2】電波が伝わる様子を説明する図である。
【図3】円偏波の合成の様子を説明する図である。
【図4】右旋円偏波の受信の様子を説明する図である。
【図5】左旋円偏波の受信の様子を説明する図である。
【図6】受信部の構成を示す構成図である。
【図7】ラットレース回路を説明する図である。
【図8】インピーダンスの関係を示す図である。
【図9】実施の形態4の選択スイッチ回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0072】
1 無線通信装置
10 第1のアンテナ
20 第2のアンテナ
30 受信部
31 ラットレース回路
32 接続部
33 選択スイッチ回路(スイッチ回路)
34 受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平偏波の電波を受信して高周波信号を出力する第1のアンテナと、
垂直偏波の電波を受信して高周波信号を出力すると共に、電波の4分の1波長だけ電波の到来方向に対して第1のアンテナと位置の異なる第2のアンテナと、
第1および第2のポートが第1および第2のアンテナにそれぞれ接続されていると共に第3および第4のポートが、合成された高周波信号を出力し、第1と第3のポート、第1と第4のポートおよび第2と第3のポートの間に、4分の1波長の電気的な長さの伝送路が接続されていると共に第2と第4のポートの間に、4分の3波長の電気的な長さの伝送路が接続されているラットレース回路と、
第1〜第4の接点がラットレース回路の第1〜第4のポートにそれぞれ接続され、各接点の一つを選択して次段に接続するスイッチ回路と、
を備え、第1および第2のポートから第1および第2の接点をそれぞれ見たインピーダンスが無限大となる長さの伝送路で、第1および第2のポートが接続され、第3および第4のポートから第3および第4の接点をそれぞれ見たインピーダンスがゼロとなる長さの伝送路で、第3および第4のポートが接続されている、
ことを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
スイッチ回路の第1〜第4の接点が開放され、
ラットレース回路の第1および第2のポートとスイッチ回路の第1および第2の接点とが2分の1波長の電気的な長さの伝送路あるいは2分の1波長の整数倍の電気的な長さの伝送路でそれぞれ接続され、ラットレース回路の第3および第4のポートとスイッチ回路の第3および第4の接点とが4分の1波長の電気的な長さの伝送路あるいは4分の1波長の奇数倍の電気的な長さの伝送路でそれぞれ接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線受信装置。
【請求項3】
スイッチ回路の第1〜第4の接点が短絡され、
ラットレース回路の第1および第2のポートとスイッチ回路の第1および第2の接点とが4分の1波長の電気的な長さの伝送路あるいは4分の1波長の奇数倍の電気的な長さの伝送路でそれぞれ接続され、ラットレース回路の第3および第4のポートとスイッチ回路の第3および第4の接点とが2分の1波長の電気的な長さの伝送路あるいは2分の1波長の整数倍の電気的な長さの伝送路でそれぞれ接続されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線受信装置。
【請求項4】
第1のアンテナと第2のアンテナとは、棒状のアンテナ素子が配列されて形成され、アンテナ素子の配列面が互いに直交するように配置されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項5】
ラットレース回路の各伝送路と、ラットレース回路とスイッチ回路とを接続する各伝送路とが同軸構造の給電線で形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−68173(P2010−68173A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231751(P2008−231751)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】