説明

無線基地局、基地局システムおよび無線通信方法

【課題】複数の無線基地局が確実に時刻を一致させた上で、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスを実行することができるような無線基地局、基地局システムおよび無線通信方法を提供する。
【解決手段】全基地局制御部12は、他の無線基地局からGPS信号が受信可能な状態であるかを表す情報を受信し、自装置および他の無線基地局をマスター装置とするか、スレーブ装置にするかを決定する。ToD情報生成部18は、自装置がマスター装置の場合に、GPS信号からToD情報を生成する。データ通信部10は、自装置がマスター装置の場合にToD情報をスレーブ装置へ送信し、自装置がスレーブ装置のマスター装置からToD情報を受信する。MBS管理部14は、自装置がマスター装置の場合に、ToD情報に従って、MBSのサービスフローのデータを無線端末へを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局、基地局システムおよび無線通信方法に関し、特に、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスを実行する無線基地局、基地局システムおよび無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WiMAX通信システムにおいて、マルチキャスト/ブロードキャストサービスが規格化されている。このサービスでは、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータが、複数の基地局から端末に対して同時に送信される。
【0003】
複数の基地局から同時にデータを送信するためには、複数の基地局で時刻が一致していなければならない。そのため、たとえば、特許文献1のシステムでは、特定の基地局が、他の基地局へ、GPS(Global Positioning System)受信機を用いて得られたToD(Time of Day)情報を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−099291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、特定の基地局のGPS受信機がGPS信号を受信できなくなった場合には、複数の基地局で時刻を一致させることができなくなる。
【0006】
それゆえに、本発明の目的は、複数の通信装置が確実に時刻を一致させた上で、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスを実行することができるような無線基地局、基地局システムおよび無線通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の無線基地局は、基準時刻を表わす信号を受信する受信部と、他の無線基地局から、基準時刻を表わす信号が受信可能な状態であるかを表す情報を受信し、自局および他の無線基地局のうち、基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある無線基地局をマスター基地局に決定し、マスター基地局以外の無線基地局をスレーブ基地局に決定し、決定した内容を他の無線基地局に通知する制御部と、自局がマスター基地局の場合に、受信した基準時刻を表わす信号からToD情報を生成するToD情報生成部と、自局がマスター基地局の場合に、生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信し、自局がスレーブ基地局の場合、他の無線基地局からToD情報を受信するToD情報通信部と、自局がマスター基地局の場合に、生成したToD情報に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するサービス管理部とを備える。
【0008】
好ましくは、制御部は、さらに、他の無線基地局のIDを受信し、基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある無線基地局が複数個ある場合に、基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある複数の無線基地局のうち、IDに基づいて、1つの無線基地局をマスター基地局に決定し、マスター基地局以外の無線基地局をスレーブ基地局に決定する。
【0009】
本発明の無線基地局は、基準時刻を表わす信号を受信する受信部と、特定の無線基地局へ、自局が基準時刻を表わす信号を受信可能な状態であるかを表す情報を送信し、特定の無線基地局から、自局がマスター基地局に決定されたか、またはスレーブ基地局に決定されたかの通知を受信する制御部と、自局がマスター基地局の場合に、受信した基準時刻を表わす信号からToD情報を生成するToD情報生成部と、自局がマスター基地局の場合に、生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信し、自局がスレーブ基地局の場合、他の無線基地局からToD情報を受信するToD情報通信部と、自局がマスター基地局の場合に、生成したToD情報に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するサービス管理部とを備える。
【0010】
好ましくは、制御部は、特定の無線基地局へ、自局のIDを送信する。
好ましくは、無線基地局は、さらに、自局がマスター基地局の場合に、受信した基準時刻を表わす信号から一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する同期信号生成部と、自局がマスター基地局の場合に、同期信号を他の無線基地局に送信し、自局がスレーブ基地局の場合に、同期信号を他の無線基地局から受信する同期信号通信部とを備え、サービス管理部は、自局がマスター基地局の場合に、生成したToD情報と同期信号に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、受信したToD情報と同期信号に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信する。
【0011】
本発明の無線基地局は、基準時刻を表わす信号を受信する受信部と、時刻信号を出力する内部時計と、自局のIDと他の無線基地局のIDに従って、自局がマスター基地局であるかスレーブ基地局であるかを決定する決定部を備え、自局がマスター基地局の場合に、基準時刻を表わす信号を受信できるときには、基準時刻を表わす信号からToD情報を生成し、基準時刻を表わす信号が受信できないときには、内部時計の時刻信号に基づいてToD情報を生成するToD情報生成部と、自局がマスター基地局の場合に、生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信し、自局がスレーブ基地局の場合、他の無線基地局からToD情報を受信するToD情報通信部と、自局がマスター基地局の場合に、生成したToD情報に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するサービス管理部とを備える。
【0012】
好ましくは、無線基地局は、さらに、自局がマスター基地局の場合に、基準時刻を表わす信号を受信できるときには受信した基準時刻を表わす信号から一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成し、基準時刻を表わす信号が受信できないときには、内部時計の時刻信号に基づいて、一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する同期信号生成部と、自局がマスター基地局の場合に、同期信号を他の無線基地局に送信し、自局がスレーブ基地局の場合に、同期信号を他の無線基地局から受信する同期信号通信部とを備え、サービス管理部は、自局がマスター基地局の場合に、生成したToD情報と同期信号に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、受信したToD情報と同期信号に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信する。
【0013】
本発明は、複数の無線基地局が接続された基地局システムであって、各無線基地局は、
基準時刻を表わす信号を受信する受信部と、自局がマスター基地局の場合に、受信した基準時刻を表わす信号からToD情報を生成するToD情報生成部と、自局がマスター基地局の場合に、生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信し、自局がスレーブ基地局の場合、他の無線基地局からToD情報を受信するToD情報通信部と、自局がマスター基地局の場合に、生成したToD情報に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するサービス管理部とを備え、特定の無線基地局は、他の無線基地局から、基準時刻を表わす信号が受信可能な状態であるかを表す情報を受信し、自局および他の無線基地局のうち、基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある無線基地局をマスター基地局に決定し、マスター基地局以外の無線基地局をスレーブ基地局に決定し、決定した内容を他の無線基地局へ通知する制御部を備え、特定の無線基地局以外の無線基地局は、特定の無線基地局へ、自局が基準時刻を表わす信号を受信可能な状態であるかを表す情報を送信し、特定の無線基地局から、自局がマスター基地局に決定されたか、またはスレーブ基地局に決定されたかの通知を受信する制御部と備える。
【0014】
本発明は、基準時刻を表わす信号を受信する受信部を備えた複数の無線基地局が接続された基地局システムにおける無線通信方法であって、特定の無線基地局以外の無線基地局が、特定の無線基地局へ、自局が基準時刻を表わす信号が受信可能な状態であるかを表す情報を送信するステップと、特定の無線基地局が、他の無線基地局から、基準時刻を表わす信号が受信可能な状態であるかを表す情報を受信するステップと、特定の無線基地局が、自局および他の無線基地局のうち、基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある無線基地局をマスター基地局に決定し、マスター基地局以外の無線基地局をスレーブ基地局に決定するステップと、特定の無線基地局が、他の無線基地局にマスター基地局に決定されたか、またはスレーブ基地局に決定されたかの通知を送信するステップと、特定の無線基地局以外の無線基地局が、通知を受信するステップと、マスター基地局が、受信した基準時刻を表わす信号からToD情報を生成するステップと、マスター基地局が、生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信するステップと、スレーブ基地局が、他の無線基地局からToD情報を受信するステップと、マスター基地局が、生成したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するステップと、スレーブ基地局が、受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するステップとを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の無線基地局がより確実に時刻を一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の無線基地局システムの構成を表わす図である。
【図2】第1の実施形態の無線通信システムにおける、無線基地局Aと無線基地局Bの構成を表わす図である。
【図3】第1の実施形態の無線基地局Aと、無線基地局Bの動作手順を表わすフローチャートである。
【図4】第1の実施形態のマスター基地局およびスレーブ基地局の動作手順を表わすフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の無線通信システムにおける、無線基地局Aと無線基地局Bの構成を表わす図である。
【図6】第2の実施形態の無線基地局Aおよび無線基地局Bの動作手順を表わすフローチャートである。
【図7】第2の実施形態のマスター基地局およびスレーブ基地局の動作手順を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
(無線基地局システムの構成)
図1は、本発明の実施形態の無線基地局システムの構成を表わす図である。
【0018】
図1を参照して、この無線基地局システムは、複数の無線基地局2_1〜2_Nがイーサーネットケーブル3で接続される。複数の無線基地局2_1〜2_Nは、無線端末に対して、マルチキャスト/ブロードキャストサービスを提供する。そのために、1つの無線基地局から他の無線基地局に同期パルスとToD情報が送信される。各無線基地局は、IDによって識別される。
【0019】
(無線基地局の構成)
図2は、第2の実施形態の無線通信システムにおける、無線基地局Aと無線基地局Bの構成を表わす図である。
【0020】
図2を参照して、無線基地局Aおよび無線基地局Bは、図1に示す無線基地局2_1〜2_Nのうちのいずれかの無線基地局である。無線基地局Bは、図2では1つのみを代表して示している。無線基地局Aは、自局または無線基地局Bのうちのいずれがマスター基地局となるのかを決定し、残りの基地局をスレーブ基地局に決定する。
【0021】
無線基地局Aは、GPSアンテナ92と、GPS受信機4と、同期信号生成部6と、同期信号通信部8と、ToD情報生成部18と、データ通信部10と、全基地局制御部12と、アンテナ15,16と、MBS(Multicast and Broadcast Service)管理部14とを備える。
【0022】
GPS受信機4は、GPSアンテナ92から基準時刻を表わす信号としてGPS信号を受信する。GPS信号には、ToD情報(時刻情報:Time of Day)(たとえば2010年2月15日13時49分56秒)と、1pps(Pulse Per Second)の信号の両方が含まれる。ToDで示される時刻の正確なタイミングが1ppsの信号により示される。
【0023】
同期信号生成部6は、GPS受信機4から出力されるGPS信号に基づいて、一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する。
【0024】
同期信号通信部8は、無線基地局Bの同期信号通信部28と4対8芯のイーサーネットケーブルの特定の1対を介して接続する。同期信号通信部8は、1対の芯線を通じて、無線基地局Bへ同期信号を送信し、または無線基地局Bから同期信号を受信する。
【0025】
データ通信部10は、無線基地局Bのデータ通信部30と4対8芯のイーサーネットケーブルの他の特定の2対を介して接続する。データ通信部10は、2対の芯線を通じて、無線基地局BへToD情報を送信し、または無線基地局BからToD情報を受信する。また、データ通信部10は、2対の芯線を通じて、無線基地局Bへ制御情報を送信し、かつ無線基地局Bから制御情報を受信する。
【0026】
ToD情報生成部18は、GPS受信機4から出力されるGPS信号に基づいて、時刻を表わすToD情報を生成する。
【0027】
全基地局制御部12は、全基地局制御部12は、データ通信部10を通じて無線基地局Bからの自局情報を受信する。この自局情報は、自局(無線基地局B)のIDと、自局(無線基地局B)のGPS受信機24がGPS信号を受信可能な状態か否かを表す状態情報からなる。全基地局制御部12は、自局の状態(自局のGPS受信機4がGPS信号を受信可能な状態にあるかどうか)および無線基地局Bから受信した自局情報にしたがって、自局および無線基地局Bのうち、GPS信号が受信可能な状態にある無線基地局を特定する。全基地局制御部12は、特定した無線基地局が1つの場合には、その特定した無線基地局をマスター基地局に決定し、特定した無線基地局が複数ある場合には、IDが最も小さい無線基地局をマスター基地局に決定する。さらに、全基地局制御部12は、マスター基地局以外の他のすべての無線基地局をスレーブ基地局に決定する。全基地地局制御部10は、無線基地局Bに対して、その無線基地局がマスター基地局、またはスレーブ基地局のいずれに決定されたのかを表わす制御情報をデータ通信部10を通じて送信する。
【0028】
MBS管理部14は、自局がマスター基地局の場合には、自局で生成したToD情報と同期信号に基づいて、自局がスレーブ基地局の場合には、マスター基地局(無線基地局B)から送信されたきたToD情報と同期信号に基づいて、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信する。
【0029】
無線基地局Bは、GPSアンテナ22と、GPS受信機24と、同期信号生成部26と、同期信号通信部28と、データ通信部30と、自局制御部32と、アンテナ35,36と、MBS管理部34とを備える。
【0030】
GPS受信機24は、GPSアンテナ22からGPS信号を受信する。
同期信号生成部26は、GPS受信機24から出力されるGPS信号に基づいて、一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する。
【0031】
同期信号通信部28は、無線基地局Bの同期信号通信部8と4対8芯のイーサーネットケーブルの特定の1対を介して接続する。同期信号通信部28は、1対の芯線を通じて、無線基地局Aへ同期信号を送信し、または無線基地局Aから同期信号を受信する。
【0032】
データ通信部30は、無線基地局Bのデータ通信部10と4対8芯のイーサーネットケーブルの他の特定の2対を介して接続する。データ通信部30は、2対の芯線を通じて、無線基地局AへToD情報を送信し、または無線基地局AからToD情報を受信する。また、データ通信部30は、2対の芯線を通じて、無線基地局Aへ制御情報を送信し、かつ無線基地局Aから制御情報を受信する。
【0033】
ToD情報生成部38は、GPS受信機24から得られたGPS信号に基づいて、時刻を表わすToD情報を生成する。
【0034】
自局制御部32は、自局のIDと、自局のGPS受信機24がGPS信号を受信可能な状態か否かを表す状態情報からなる自局情報をデータ通信部30を通じて送信するとともに、データ通信部30を通じて無線基地局Aから自局がマスター基地局、またはスレーブ基地局のいずれに決定されたのかを表わす制御情報を受信する。
【0035】
MBS管理部34は、自局がマスター基地局の場合には、自局で生成したToD情報と同期信号に基づいて、自局がスレーブ基地局の場合には、マスター基地局(無線基地局A)から送信されてきたToD情報(秒単位)と同期信号(数マイクロ秒のオーダー)で定められるタイミングに基づいて、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信する。
【0036】
(動作)
図3は、第1の実施形態の無線基地局Aと、無線基地局Bの動作手順を表わすフローチャートである。
【0037】
図3を参照して、無線基地局Bの自局制御部32は、自局のIDと、自局のGPS受信機24がGPS信号を受信可能な状態か否かを表す状態情報からなる自局情報をデータ通信部30を通じて送信する(ステップS100)。
【0038】
無線基地局Aの全基地局制御部12は、データ通信部10を通じて無線基地局Bからの自局情報を受信する(ステップS101)。
【0039】
無線基地局Aの全基地局制御部12は、自局の状態および無線基地局Bから受信した自局情報にしたがって、自局および無線基地局Bのうち、GPS信号が受信可能な状態にある無線基地局を特定する。全基地局制御部12は、特定した無線基地局が1つの場合には、その特定した無線基地局をマスター基地局に決定し、特定した無線基地局が複数ある場合には、IDが最も小さい無線基地局をマスター基地局に決定する。さらに、全基地局制御部12は、マスター基地局以外の他のすべての無線基地局をスレーブ基地局に決定する(ステップS102)。
【0040】
無線基地局Aの全基地地局制御部10は、無線基地局Bに対して、その無線基地局がマスター基地局、またはスレーブ基地局のいずれに決定されたのかを表わす制御情報をデータ通信部10を通じて送信する(ステップS103)。
【0041】
無線基地局Bの自局制御部32は、データ通信部30を通じて無線基地局Aから自局がマスター基地局、またはスレーブ基地局のいずれに決定されたのかを表わす制御情報を受信する(ステップS104)。
【0042】
(動作)
図4は、第1の実施形態のマスター基地局およびスレーブ基地局の動作手順を表わすフローチャートである。
【0043】
マスター基地局の同期信号生成部6(または26)は、GPS受信機4(または24)から得られるGPS信号から一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する(ステップS201)。
【0044】
次に、マスター基地局の同期信号通信部8(または28)は、生成した同期信号をスレーブ基地局へ送信する(ステップS202)。
【0045】
次に、スレーブ基地局の同期信号通信部28(または8)は、スレーブ基地局から同期信号を受信する(ステップS203)。
【0046】
次に、マスター基地局のToD情報生成部18(または38)は、GPS受信機4(または24)から得られるGPS信号からToD情報を生成する(ステップS204)。
【0047】
次に、マスター基地局のデータ通信部10(または30)は、ToD情報をスレーブ基地局へ送信する(ステップS205)。
【0048】
次に、スレーブ基地局のデータ通信部30(または10)は、マスター基地局からToD情報を受信する(ステップS206)。
【0049】
マスター基地局およびスレーブ基地局のMBS管理部14および34は、ToD情報と同期信号で定められるタイミングに基づいて、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信する(ステップS207,S208)。
【0050】
以上のように、本実施の形態によれば、複数の無線基地局のうちの1つの基地局のGPS受信機で受信したGPS信号に従って、複数の無線基地局間で確実に時刻を一致させるので、複数の無線基地局で送信するマルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータの送信タイミングを一致させることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、全基地局制御部12は、GPS信号を受信可能な無線基地局が複数ある場合には、IDが最も小さい無線基地局をマスター基地局に決定したが、これに限定するものではない。
【0052】
たとえば、全基地局制御部12は、GPS信号を受信可能な無線基地局が複数ある場合に、GPS信号のRSSI(受信信号強度)が一番高い基地局(つまり、GPS信号の受信環境が最もよい基地局)をマスター基地局に決定してもよい。さらに、全基地局制御部12は、そのような基地局が複数ある場合に、IDが最も小さい無線基地局をマスター基地局に決定することとしてもよい。
【0053】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態の無線通信システムにおける、無線基地局Aと無線基地局Bの構成を表わす図である。
【0054】
図2を参照して、無線基地局Aおよび無線基地局Bは、図1に示す無線基地局2_1〜2_Nのうちの2つの無線基地局を代表して示したものである。図1に示す無線基地局2_1〜2_Nのうちのいずれか1つがマスター基地局であり、残りがスレーブ基地局であるとする。各無線基地局は、自局がマスター基地局となるのか、またはスレーブ基地局となるのかを決定する。
【0055】
図5の構成が、図2の構成と相違する点は、以下である。
図5の無線基地局Aおよび無線基地局Bは、それぞれ内部時計41および内部時計51を含む。
【0056】
内部時計41および内部時計51は、時刻を表わす時刻信号を出力する。
無線基地局Aの同期信号生成部96は、GPS受信機4から出力されるGPS信号、または内部時計41から出力される時刻信号(ミリ秒オーダーの信号と、年月日および時刻を表わす信号を含む)に基づいて、一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する。
【0057】
無線基地局AのToD情報生成部95は、GPS受信機4から出力されるGPS信号、または内部時計41から得られる時刻を表わす信号に基づいて、ToD情報を生成する。
【0058】
無線基地局Bの同期信号生成部86は、GPS受信機24から出力されるGPS信号、または内部時計51から出力される時刻信号に基づいて、一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する。
【0059】
無線基地局BのToD情報生成部85は、GPS受信機4から出力されるGPS信号、または内部時計51から得られる時刻を表わす信号に基づいて、ToD情報を生成する。
【0060】
無線基地局Aの自局制御部42および無線基地局Bの自局制御部52は、自局のIDが他のすべての無線基地局のIDよりも小さい場合には、自局をマスター基地局に決定する。
【0061】
(動作)
図6は、第2の実施形態の無線基地局Aおよび無線基地局Bの動作手順を表わすフローチャートである。
【0062】
図6を参照して、無線基地局Aおよび無線基地局Bの自局制御部42,52は、自局のIDが他のすべての無線基地局のIDよりも小さい場合には(ステップS301でYES)、自局をマスター基地局に決定する(ステップS302)。
【0063】
一方、無線基地局Aおよび無線基地局Bの自局制御部42,52は、自局のIDが他のすべての無線基地局のIDよりも小さくない場合には(ステップS302でYES)、自局をスレーブ基地局に決定する(ステップS303)。
【0064】
図7は、第2の実施形態のマスター基地局およびスレーブ基地局の動作手順を表わすフローチャートである。
【0065】
GPS受信機4(または24)からGPS信号が受信可能である場合には(ステップS401でYES)、マスター基地局の同期信号生成部96(または86)は、GPS信号から一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する(ステップS402)。さらに、マスター基地局のToD情報生成部95(または85)は、GPS受信機4(または24)から得られるGPS信号からToD情報を生成する(ステップS403)。
【0066】
一方、GPS受信機4(または24)からGPS信号が受信不可能である場合には(ステップS401でNO)、マスター基地局の同期信号生成部96(または86)は、、内部時計から出力される時刻信号から一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する(ステップS404)。さらに、マスター基地局のToD情報生成部95(または85)は、内部時計から出力される時刻信号からToD情報を生成する(ステップS405)。
【0067】
次に、マスター基地局の同期信号通信部8(または28)は、生成した同期信号をスレーブ基地局へ送信する(ステップS406)。
【0068】
次に、スレーブ基地局の同期信号通信部28(または8)は、スレーブ基地局から同期信号を受信する(ステップS407)。
【0069】
次に、マスター基地局のデータ通信部10(または30)は、ToD情報をスレーブ基地局へ送信する(ステップS408)。
【0070】
次に、スレーブ基地局のデータ通信部30(または10)は、マスター基地局からToD情報を受信する(ステップS409)。
【0071】
マスター基地局およびスレーブ基地局のMBS管理部14および34は、ToD情報と同期信号で定められるタイミングに基づいて、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信する(ステップS410,S411)。
【0072】
以上のように、本実施の形態によれば、複数の無線基地局のうちの1つの基地局のGPS受信機で受信したGPS信号または内部時計に従って、複数の無線基地局間で確実に時刻を一致させるので、複数の無線基地局で送信するマルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータの送信タイミングを一致させることができる。
【0073】
(変形例)
(1)本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。たとえば、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスのためには、ToD情報のみを伝送するものとしてもよい。
【0074】
(2) 本発明の実施形態では、GPS受信機が基準時刻を表わす信号としてGPS信号を受信するものとしたが、これに限定するものではない。たとえば、受信部が、タイムサーバなどの特定の装置により配信される基準時刻を表わす信号(これには、GPS信号と同様に、ToD情報と1ppsの信号の両方が含まれる。)を受信することとしてもよい。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
2_1〜2_N 無線基地局、3 イーサーネットケーブル、4,24 GPS受信機、6,26,86,96 同期信号生成部、8,28 同期信号通信部、10,30 データ通信部、12 全基地局制御部、14,34 MBS管理部、15,16,35,36 アンテナ、18,38,85,95 ToD情報生成部、22,92 GPSアンテナ、32,42,52 自局制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準時刻を表わす信号を受信する受信部と、
他の無線基地局から、前記基準時刻を表わす信号が受信可能な状態であるかを表す情報を受信し、自局および前記他の無線基地局のうち、前記基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある無線基地局をマスター基地局に決定し、前記マスター基地局以外の無線基地局をスレーブ基地局に決定し、決定した内容を前記他の無線基地局に通知する制御部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記受信した基準時刻を表わす信号からToD情報を生成するToD情報生成部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信し、自局がスレーブ基地局の場合、他の無線基地局からToD情報を受信するToD情報通信部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記生成したToD情報に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、前記受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するサービス管理部とを備えた、無線基地局。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、前記他の無線基地局のIDを受信し、前記基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある無線基地局が複数個ある場合に、前記基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある複数の無線基地局のうち、前記IDに基づいて、1つの無線基地局をマスター基地局に決定し、前記マスター基地局以外の無線基地局をスレーブ基地局に決定する、請求項1記載の無線基地局。
【請求項3】
基準時刻を表わす信号を受信する受信部と、
特定の無線基地局へ、自局が前記基準時刻を表わす信号を受信可能な状態であるかを表す情報を送信し、前記特定の無線基地局から、自局がマスター基地局に決定されたか、またはスレーブ基地局に決定されたかの通知を受信する制御部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記受信した基準時刻を表わす信号からToD情報を生成するToD情報生成部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信し、自局がスレーブ基地局の場合、他の無線基地局からToD情報を受信するToD情報通信部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記生成したToD情報に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、前記受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するサービス管理部とを備えた、無線基地局。
【請求項4】
前記制御部は、前記特定の無線基地局へ、自局のIDを送信する、請求項3記載の無線基地局。
【請求項5】
前記無線基地局は、さらに、
自局がマスター基地局の場合に、前記受信した基準時刻を表わす信号から一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する同期信号生成部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記同期信号を他の無線基地局に送信し、自局がスレーブ基地局の場合に、前記同期信号を他の無線基地局から受信する同期信号通信部とを備え、
前記サービス管理部は、自局がマスター基地局の場合に、前記生成したToD情報と同期信号に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、前記受信したToD情報と同期信号に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線基地局。
【請求項6】
基準時刻を表わす信号を受信する受信部と、
時刻信号を出力する内部時計と、
自局のIDと他の無線基地局のIDに従って、自局がマスター基地局であるかスレーブ基地局であるかを決定する決定部を備え、
自局がマスター基地局の場合に、前記基準時刻を表わす信号を受信できるときには、前記基準時刻を表わす信号からToD情報を生成し、前記基準時刻を表わす信号が受信できないときには、前記内部時計の時刻信号に基づいてToD情報を生成するToD情報生成部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信し、自局がスレーブ基地局の場合、他の無線基地局からToD情報を受信するToD情報通信部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記生成したToD情報に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、前記受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するサービス管理部とを備えた、無線基地局。
【請求項7】
前記無線基地局は、さらに、
自局がマスター基地局の場合に、前記基準時刻を表わす信号を受信できるときには前記受信した基準時刻を表わす信号から一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成し、前記基準時刻を表わす信号が受信できないときには、前記内部時計の時刻信号に基づいて、一定の周期の同期パルスを含む同期信号を生成する同期信号生成部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記同期信号を他の無線基地局に送信し、自局がスレーブ基地局の場合に、前記同期信号を他の無線基地局から受信する同期信号通信部とを備え、
前記サービス管理部は、自局がマスター基地局の場合に、前記生成したToD情報と同期信号に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、前記受信したToD情報と同期信号に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信する、請求項6記載の無線基地局。
【請求項8】
複数の無線基地局が接続された基地局システムであって、
各無線基地局は、
基準時刻を表わす信号を受信する受信部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記受信した基準時刻を表わす信号からToD情報を生成するToD情報生成部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信し、自局がスレーブ基地局の場合、他の無線基地局からToD情報を受信するToD情報通信部と、
自局がマスター基地局の場合に、前記生成したToD情報に従って、自局がスレーブ基地局の場合に、前記受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するサービス管理部とを備え、
特定の無線基地局は、
他の無線基地局から、前記基準時刻を表わす信号が受信可能な状態であるかを表す情報を受信し、自局および前記他の無線基地局のうち、前記基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある無線基地局をマスター基地局に決定し、前記マスター基地局以外の無線基地局をスレーブ基地局に決定し、決定した内容を他の無線基地局へ通知する制御部を備え、
前記特定の無線基地局以外の無線基地局は、
前記特定の無線基地局へ、自局が前記基準時刻を表わす信号を受信可能な状態であるかを表す情報を送信し、前記特定の無線基地局から、自局がマスター基地局に決定されたか、またはスレーブ基地局に決定されたかの通知を受信する制御部と備えた、基地局システム。
【請求項9】
基準時刻を表わす信号を受信する受信部を備えた複数の無線基地局が接続された基地局システムにおける無線通信方法であって、
特定の無線基地局以外の無線基地局が、前記特定の無線基地局へ、自局が前記基準時刻を表わす信号が受信可能な状態であるかを表す情報を送信するステップと、
前記特定の無線基地局が、他の無線基地局から、前記基準時刻を表わす信号が受信可能な状態であるかを表す情報を受信するステップと、
前記特定の無線基地局が、自局および前記他の無線基地局のうち、前記基準時刻を表わす信号が受信可能な状態にある無線基地局をマスター基地局に決定し、前記マスター基地局以外の無線基地局をスレーブ基地局に決定するステップと、
前記特定の無線基地局が、他の無線基地局にマスター基地局に決定されたか、またはスレーブ基地局に決定されたかの通知を送信するステップと、
前記特定の無線基地局以外の無線基地局が、前記通知を受信するステップと、
前記マスター基地局が、前記受信した基準時刻を表わす信号からToD情報を生成するステップと、
前記マスター基地局が、前記生成されたToD情報を他の無線基地局へ送信するステップと、
前記スレーブ基地局が、他の無線基地局からToD情報を受信するステップと、
前記マスター基地局が、前記生成したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するステップと、
前記スレーブ基地局が、前記受信したToD情報に従って、マルチキャストおよびブロードキャストのサービスフローのデータを無線端末へ送信するステップとを備えた、無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−176594(P2011−176594A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38860(P2010−38860)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】