説明

無線基地局、状態監視方法および無線通信システム

【課題】無線通信システムにおいて、無線基地局が動かされていない状態でも、自装置にいたずらによる被害が発生していることや、自装置が盗まれそうな状態にあることを検知するための技術を提供する。
【解決手段】無線通信システムは、無線基地局と監視サーバを有する。無線基地局は、GPS衛星から受信した電波に含まれる時刻情報に基づいて、無線信号を送信するタイミングを制御するためのGPSクロックを生成する。無線基地局は、GPS衛星からの電波を受信できないとき、GPS衛星からの電波の異常を示す電波異常情報を監視サーバに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムで用いられる無線基地局およびその状態監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線技術を用いた無線通信の普及が急速に増加している。無線通信を実現するにあたり、高速通信回線の敷設が困難な地域では、いわゆるラストワンマイルの接続手段としてWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の技術が用いられる。
【0003】
一般に、WiMAXの技術を用いたシステムでは、通信事業者の基地局サイトに無線基地局が設置され、その無線基地局が、携帯電話と基幹ネットワークとの間の通信を仲介する。基地局サイトに設置される無線基地局は、屋外に設置されることが多く、不法侵入者によって盗まれる危険性やいたずらされる危険性がある。無線基地局に盗難やいたずらによる被害が発生した結果、その無線基地局を介した通信が行われなくなると、通信事業者は、通信サービスを安定して提供できなくなる。通信サービスを安定して提供できない期間が長くなると、通信事業者の損害は拡大する。この場合、エンドユーザからの信頼が失われるおそれもある。
【0004】
従って、無線基地局に盗難やいたずらによる被害が発生した結果、その無線基地局を介した通信が行われなくなった場合、通信事業者は、早期に通信サービスを安定して提供できる状態に戻す必要があり、そのためには、盗難やいたずらの発生を早期に発見することが重要となる。
【0005】
無線基地局に対する盗難やいたずらの発生を検知するための技術ではないが、車両に対する盗難の発生を検知するための技術が特許文献1に開示されている。
【0006】
特許文献1に開示された盗難監視システムは、車両に搭載して用いられる盗難防止装置および盗難監視センタから構成されている。
【0007】
盗難防止装置は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信し、GPS衛星から受信した電波に含まれる時刻情報に基づいて車両の位置情報を算出する。そして、盗難防止装置は、車両の駐車時と始動時に車両の位置情報を盗難監視センタに送信する。盗難監視センタは、盗難監視中の車両について、盗難防止装置から受信した車両の位置情報に基づいて盗難があったか否かを判別する。これにより、盗難監視システムでは、車両の盗難の発生を検知できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−54600号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1に開示された技術では、監視対象の位置情報に基づいて盗難があったか否かを判別するため、監視対象が移動していない状態では、監視対象にいたずらによる被害が発生していることや、監視対象が盗まれそうな状態にあることを検知できなかった。
【0010】
本発明の目的は、無線通信システムにおいて、無線基地局が動かされていない状態でも、その無線基地局にいたずらによる被害が発生していることや、その無線基地局が盗まれそうな状態にあることを検知するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の無線基地局は、有線ネットワーク及び第1の無線ネットワークと接続され、該第1の無線ネットワークを介して携帯端末と無線通信が可能な無線基地局であって、
GPS衛星から電波を受信する電波受信手段と、
前記電波受信手段が前記GPS衛星からの電波を受信できないとき、該GPS衛星からの電波の異常を示す電波異常情報を前記有線ネットワークを介して前記監視サーバに通知する通知手段と、を有する。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、第1の無線ネットワークを介して携帯端末と無線通信が可能な複数の無線基地局を備える無線通信システムであって、
有線ネットワークを介して前記複数の無線基地局と通信可能な監視サーバをさらに備え、
前記無線基地局は、
GPS衛星から電波を受信する電波受信手段と、
前記電波受信手段が前記GPS衛星からの電波を受信できないとき、該GPS衛星からの電波の異常を示す電波異常情報を前記有線ネットワークを介して前記監視サーバに通知する通知手段と、を有し、
前記監視サーバは、前記通知手段から前記電波異常情報を受信すると、該電波異常情報を表示する。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明の状態監視方法は、有線ネットワーク及び第1の無線ネットワークと接続され、該第1の無線ネットワークを介して携帯端末と無線通信が可能な無線基地局の状態監視方法であって、
電波受信手段が、GPS衛星から電波を受信し、
通知手段が、前記電波受信手段が前記GPS衛星からの電波を受信できないとき、該GPS衛星からの電波の異常を示す電波異常情報を前記有線ネットワークを介して前記監視サーバに通知する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無線通信システムにおいて、無線基地局が動かされていない状態でも、その無線基地局にいたずらによる被害が発生していることや、その無線基地局が盗まれそうな状態にあることを検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の無線基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の監視サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示した無線基地局1が自装置の状態を監視するときの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は本実施形態の無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の無線通信システムは、無線基地局1、無線基地局2、監視サーバ3およびGPS衛星4を有する。
【0019】
無線基地局1、2は、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などのような、不図示の携帯端末と直接通信する基地局である。無線基地局1、2は、通信事業者の基地局サイトに設置される。無線基地局1、2は、有線ネットワークであるIPネットワーク5や、無線ネットワーク(以降、第1の無線ネットワークと称する)との通信機能を有する。無線基地局1、2は、第1の無線ネットワークを介して携帯端末と通信する。また、無線基地局1、2は、第1の無線ネットワークを介して互いに通信する。
【0020】
WiMAXでは、無線基地局間の電波干渉を防ぐため、各無線基地局が無線信号を送信するタイミングが規定されている。無線基地局1、2は、規定されたタイミングで無線信号を送信するため、GPS衛星4から電波を受信し、受信した電波に含まれる時刻情報に基づいてGPSクロックを生成する。GPSクロックは、無線通信システム内の全ての無線基地局で同じタイミングで発振する1Hzのクロック信号である。無線基地局1、2は、生成したGPSクロックに基づくタイミングで無線信号を送信する。
【0021】
また、無線基地局1、2は、IPネットワーク5を介して監視サーバ3と通信する。
【0022】
いたずら等による被害が発生している場合、無線基地局1、2は、IPネットワーク5や、第1の無線ネットワークを介して通信できない可能性が高い。そのため、本実施形態の無線基地局1、2は、2G(2nd Generation)ネットワーク、3G(3rd Generation)ネットワーク、無線LAN(Local Area Network)等の、第1の無線ネットワークとは別の無線ネットワーク(以降、第2の無線ネットワークと称する)を介して監視サーバ3と通信する機能を有する。
【0023】
監視サーバ3は、無線基地局の状態を監視するためのサーバである。監視サーバ3は、IPネットワーク5を介して無線基地局1、2と通信する機能を有する。また、監視サーバ3は、第2の無線ネットワークを介して無線基地局1、2と通信する機能を有する。
【0024】
監視サーバ3は、通信事業者の監視センタに設置される。通信事業者の運用担当者、保守担当者は、監視サーバ3を用いて、無線基地局の状態を閲覧できる。
【0025】
GPS衛星4は、GPSで用いられる衛星である。GPS衛星4は、無線基地局1、2がGPSクロックを生成するために用いられる、時刻情報を含む電波を発信する。
【0026】
図2は本実施形態の無線基地局の構成を示すブロック図である。
【0027】
無線基地局1は、以下に記載する各種の機能を実現する、例えば論理回路等から構成されるLSI(Large Scale Integration)、あるいはCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等を備えた半導体集積回路によって実現される。無線基地局1に、CPUやDSPを備えている場合、CPUやDSPは、不図示の記録媒体に記録されたプログラムにしたがって処理を実行することで、以下に記載する機能を実現する。
【0028】
図2に示すように、本実施形態の無線基地局1は、無線通信部11、有線通信部12、通信制御部13、電波受信部14、演算処理部15、通知部16、クロック生成部17及び内部バッテリ18を有する。
【0029】
無線基地局1は、同軸ケーブル19を介してGPSアンテナ18と接続される。なお、本実施形態の無線基地局1及びGPSアンテナ18は、共に屋外に設置されるものとする。
【0030】
電波受信部14は、同軸ケーブル19を介してGPSアンテナ18と接続される。電波受信部14は、GPSアンテナ18及び同軸ケーブル19を介して、GPS衛星4から電波を受信し、受信した電波に含まれる時刻情報を演算処理部15に送信する。
【0031】
演算処理部15は、電波受信部14から受信した時刻情報に基づいて、自装置の位置を示す位置情報と、自装置における正確な現在時刻を示す現在時刻情報を算出する。演算処理部15は、位置情報を通知部16に送信し、現在時刻情報をクロック生成部17に送信する。
【0032】
クロック生成部17は、演算処理部15から受信した現在時刻情報に基づいてGPSクロックを生成し、無線通信部11に出力する。
【0033】
ところで、演算処理部15が現在時刻情報を算出するためには、3次元の位置情報と1次元の現在時刻情報とが不明であるため、4つのGPS衛星から同時に送信された時刻情報が必要となる。
【0034】
4つのGPS衛星から安定して電波を受信するために、GPSアンテナ18は、設置条件として、自身が設置される水平角度が所定の範囲内であり、かつ、所定の仰角範囲に遮蔽物がないことを必要とする。
【0035】
GPSアンテナ18の設置される水平角度が所定の角度以上になった場合、あるいは、GPSアンテナ18に対して所定の仰角範囲に遮蔽物が存在した場合、GPSアンテナ18は、4つのGPS衛星から安定して電波を受信できなくなる。このとき、電波受信部14は、4つのGPS衛星から同時に送信された時刻情報を演算処理部15に送信できず、演算処理部15は、位置情報と現在時刻情報を算出できない。これにより、クロック生成部17は、GPSクロックを生成できなくなる。つまり、クロック生成部17がGPSクロックを生成できない場合、侵入者によって、GPSアンテナ18が触られている可能性や、動かされている可能性が高い。
【0036】
そこで、本実施形態では、クロック生成部17がGPSクロックを生成できない場合、その無線基地局1にいたずらによる被害が発生している、あるいは、無線基地局1が盗まれそうな状態にあるものと判定する。
【0037】
クロック生成部17は、GPSクロックを生成できない場合、GPSクロックの異常を示すクロック異常情報を通知部16に送信する。
【0038】
通知部16は、第2の無線ネットワークを介して監視サーバ3と通信する機能を有する。通知部16は、クロック生成部17からクロック異常情報を受信すると、電波受信部14がGPS衛星からの電波を受信できていないと判定し、GPS衛星からの電波の異常を示す電波異常情報を監視サーバ3に通知する。
【0039】
盗難が発生した場合、無線基地局1の現在位置がわかると、盗難した犯人の検挙や盗難された無線基地局1の回収が容易になる。そこで、通知部16は、電波異常情報と共に、演算処理部15から最も新しく受信した位置情報を監視サーバ3に通知する。
【0040】
IPネットワーク5を介して監視サーバ3と通信できる場合、通知部16は、電波異常情報と位置情報を通信制御部13に送信する。
【0041】
一方、IPネットワーク5を介して監視サーバ3と通信できない場合、通知部16は、第2の無線ネットワークを介して電波異常情報と位置情報を監視サーバ3に通知する。
【0042】
無線基地局1の電源ケーブルが侵入者によって抜かれたとき、無線基地局1への電源供給が停止すると、無線基地局1は、監視サーバ3へ電波異常情報と位置情報を通知できなくなる。そこで、本実施形態の無線基地局1は、自装置へ電源を供給する内部バッテリ18を備える。なお、電源ケーブルが抜かれた場合の無線基地局1の消費電力を抑えるため、電波受信部14、演算処理部15、通知部16及びクロック生成部17へのみ、内部バッテリ18からの電源を供給することにしてもよい。これにより、電源ケーブルが抜かれた後も、無線基地局1は、監視サーバ3へ電波異常情報と位置情報を通知できる。
【0043】
無線通信部11は、第1の無線ネットワークを介して自装置以外の無線基地局や携帯端末と通信する機能を有する。無線通信部11は、第1の無線ネットワークから受信したデータを通信制御部13に送信し、通信制御部13から受信したデータを第1の無線ネットワークに送信する。
【0044】
無線通信部11は、クロック生成部17から出力されたGPSクロックに基づいて、無線信号の送信タイミングを規定する送信クロックを生成し、生成した送信クロックのタイミングに従って無線信号を送信する。
【0045】
有線通信部12は、IPネットワーク5を介して外部の機器と通信する機能を有する。有線通信部12は、IPネットワーク5から受信したデータを通信制御部13に送信し、通信制御部13から受信したデータをIPネットワーク5に送信する。
【0046】
通信制御部13は、有線通信部12と無線通信部11の間のデータ通信を制御する。通信制御部13は、有線通信部12あるいは無線通信部11から受信したデータを解析し、そのデータの宛先情報に応じて、そのデータを有線通信部12あるいは無線通信部11に転送する。
【0047】
また、通信制御部13は、通知部16から電波異常情報と位置情報を受信すると、電波異常情報と位置情報を含む送信データを生成し、有線通信部12を介して監視サーバ3に送信する。
【0048】
図3は本実施形態の監視サーバの構成を示すブロック図である。
【0049】
監視サーバ3は、以下に記載する各種の機能を実現する、例えば論理回路等から構成されるLSI、あるいはCPUやDSP等を備えた半導体集積回路によって実現される。監視サーバ3に、CPUやDSPを備えている場合、CPUやDSPは、不図示の記録媒体に記録されたプログラムにしたがって処理を実行することで、以下に記載する機能を実現する。
【0050】
図3に示すように、本実施形態の監視サーバ3は、送信部31、受信部32、格納部33及び表示部34を有する。
【0051】
格納部33には、予め、運用担当者、保守担当者、警備員等の、電子メールやショートメッセージサービス上のアドレスを示すアドレス情報が登録される。
【0052】
受信部32は、IPネットワーク5または第2の無線ネットワークを介して、無線基地局1、2から電波異常情報と位置情報を受信し、受信した電波異常情報と位置情報を送信部31と表示部34へ転送する。
【0053】
表示部34は、受信部32から受信した電波異常情報と位置情報を表示する。監視サーバ3を用いて無線通信システムを監視している運用担当者、保守担当者は、表示部34に表示された情報により、無線基地局1にいたずら等による被害が発生していることを認識できる。
【0054】
送信部31は、受信部32から受信した電波異常情報と位置情報を、予めアドレス情報が登録された運用担当者、保守担当者、警備員等に、電子メールやショートメッセージサービスを用いて通知する。電子メールやショートメッセージサービスにより、無線基地局1にいたずら等による被害が発生していることを認識した運用担当者、保守担当者、警備員等は、現場に移動して、その被害に対する適切な対応を取ることができる。
【0055】
次に図1に示した無線基地局1が自装置の状態を監視するときの処理手順について説明する。
【0056】
図4は図1に示した無線基地局1が自装置の状態を監視するときの処理手順を示すフローチャートである。
【0057】
クロック生成部17は、まず、演算処理部15から現在時刻情報を受信したか否かを判別する(ステップS1)。
【0058】
既に演算処理部15から現在時刻情報を受信している場合、クロック生成部17は、受信した現在時刻情報に基づいてGPSクロックを生成し、無線通信部11に出力する(ステップS2)。
【0059】
一方、まだ演算処理部15から現在時刻情報を受信していない場合、クロック生成部17は、前回、現在時刻情報を受信してから所定時間経過したか否かを判別する(ステップS3)。
【0060】
前回、現在時刻情報を受信してから所定時間経過していない場合、クロック生成部17は、ステップS1の処理に移行し、再度、演算処理部15から現在時刻情報を受信したか否かを判別する。
【0061】
一方、前回、現在時刻情報を受信してから所定時間経過した場合、クロック生成部17は、クロック異常情報を通知部16に送信する(ステップS4)。
【0062】
クロック生成部17からクロック異常情報を受信すると、通知部16は、電波受信部14がGPS衛星からの電波を受信できていないと判定し、電波異常情報と、演算処理部15から最も新しく受信した位置情報を監視サーバ3に通知する(ステップS5)。
【0063】
監視サーバ3は、無線基地局1から電波異常情報と位置情報を受信すると、受信した電波異常情報と位置情報を表示する。そして、監視サーバ3は、電波異常情報と位置情報を、予めアドレス情報が登録された運用担当者、保守担当者、警備員等に、電子メールやショートメッセージサービスを用いて通知する。
【0064】
なお、本実施形態では、無線基地局1が、GPSクロックを生成できないとき、GPS衛星からの電波を受信できていないと判定して監視サーバ3に電波異常情報を送信する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の例として、無線基地局1は、GPS衛星からの電波の受信状況を監視し、GPS衛星からの電波を受信できないとき、監視サーバ3に電波異常情報を送信することにしてもよい。
【0065】
その場合、電波受信部14は、GPS衛星からの電波の受信状況を監視し、所定時間、GPS衛星からの電波を受信できなかったとき、電波異常情報を通知部16に送信する。通知部16は、電波受信部14から電波異常情報を受信すると、電波異常情報と位置情報を監視サーバ3に通知する。
【0066】
また、本実施形態では、WiMAXの技術を用いた無線通信システムにおいて無線基地局に対するいたずら等による被害の発生を検知する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。GPS衛星から電波を受信する無線基地局であれば、本発明を適用できる。例えば、GPS衛星から受信した電波に含まれる時刻情報に基づくタイミングで無線信号が送信される、CDMA(Code Division Multiple Access)の方式を用いた無線通信システムにおいても、本発明を適用できる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、無線基地局は、GPS衛星からの電波を受信できないとき、GPS衛星からの電波の異常を示す電波異常情報を監視サーバに通知する。したがって、侵入者によって、GPSアンテナが触られた場合、GPSアンテナが動かされた場合、あるいは、GPSアンテナと接続するための同軸ケーブルが切断された場合、無線基地局は、電波異常情報を監視サーバに通知する。これにより、無線通信システムにおいて、無線基地局が動かされていない状態でも、その無線基地局にいたずらによる被害が発生していることや、その無線基地局が盗まれそうな状態にあることを検知できる。
【0068】
また、本実施形態の監視サーバは、無線基地局から受信した電波異常情報を表示する。これにより、監視サーバを用いて無線通信システムを監視している運用担当者、保守担当者等は、早期に、無線基地局にいたずら等による被害が発生していることを認識でき、その被害に対する適切な対応を取ることができる。
【0069】
また、本実施形態の監視サーバは、無線基地局から受信した電波異常情報を、予め登録されたアドレス情報に示されるアドレスに送信する。監視サーバに、予めアドレス情報を登録しておくことにより、運用担当者、保守担当者、警備員等は、監視センタにいなくても、無線基地局にいたずら等による被害が発生していることを認識できる。これにより、運用担当者、保守担当者、警備員等は、早期に現場に移動して、その被害に対する適切な対応を取ることができる。
【0070】
また、本実施形態の無線基地局は、GPSクロックを生成できないとき、GPS衛星からの電波を受信できていないと判定し、電波異常情報を監視サーバに通知する。WiMAXの技術を用いた無線基地局では、無線信号を適切なタイミングで送信するために、常時、GPSクロックを生成している。そのため、無線基地局は、新たな処理を追加することなく、GPS衛星からの電波を受信できているか否かを判定できる。
【0071】
また、本実施形態の無線基地局と監視サーバは、第2の無線ネットワークとの通信機能を有する。無線基地局は、有線ネットワークを介して監視サーバと通信できない場合、第2の無線ネットワークを介して電波異常情報を監視サーバに通知する。これにより、無線基地局は、有線ネットワークを介して通信できないような状態になっても、監視サーバに電波異常情報を通知できる。
【0072】
また、本実施形態の無線基地局は、監視サーバに電波異常情報を通知するとき、電波異常情報と共に位置情報を通知する。これにより、無線基地局が盗難された場合、通信事業者は、盗難された無線基地局の現在位置を把握できるので、盗難した犯人の検挙や盗難された無線基地局の回収が容易になる。
【符号の説明】
【0073】
1、2 無線基地局
3 監視サーバ
4 GPS衛星
5 IPネットワーク
11 無線通信部
12 有線通信部
13 通信制御部
14 電波受信部
15 演算処理部
16 通知部
17 内部バッテリ
18 GPSアンテナ
19 同軸ケーブル
31 送信部
32 受信部
33 格納部
34 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有線ネットワーク及び第1の無線ネットワークと接続され、該第1の無線ネットワークを介して携帯端末と無線通信が可能な無線基地局であって、
GPS衛星から電波を受信する電波受信手段と、
前記電波受信手段が前記GPS衛星からの電波を受信できないとき、該GPS衛星からの電波の異常を示す電波異常情報を前記有線ネットワークを介して監視サーバに通知する通知手段と、
を有する無線基地局。
【請求項2】
請求項1に記載の無線基地局において、
前記GPS衛星からの電波に含まれる時刻情報に基づいて、無線信号を送信するタイミングを制御するためのクロックを生成するクロック生成手段をさらに有し、
前記クロック生成手段が前記クロックを生成できないとき、前記電波受信手段が前記GPS衛星からの電波を受信できていないと判定し、前記電波異常情報を前記有線ネットワークを介して前記監視サーバに通知することを特徴とする無線基地局。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無線基地局において、
前記通知手段は、前記第1の無線ネットワークとは別の、前記監視サーバが接続される第2の無線ネットワークとの通信機能を備え、前記有線ネットワークを介して前記監視サーバと通信できない場合、該第2の無線ネットワークを介して前記電波異常情報を前記監視サーバに通知することを特徴とする無線基地局。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線基地局において、
自装置へ電源を供給する内部バッテリと、
前記GPS衛星からの電波に含まれる時刻情報に基づいて自装置の現在位置を示す位置情報を算出する演算処理手段と、をさらに有し、
前記通知手段は、前記電波異常情報を前記監視サーバに通知するとき、該電波異常情報と共に前記位置情報を前記監視サーバに通知することを特徴とする無線基地局。
【請求項5】
第1の無線ネットワークを介して携帯端末と無線通信が可能な複数の無線基地局を備える無線通信システムであって、
有線ネットワークを介して前記複数の無線基地局と通信可能な監視サーバをさらに備え、
前記無線基地局は、
GPS衛星から電波を受信する電波受信手段と、
前記電波受信手段が前記GPS衛星からの電波を受信できないとき、該GPS衛星からの電波の異常を示す電波異常情報を前記有線ネットワークを介して前記監視サーバに通知する通知手段と、を有する無線通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の無線通信システムにおいて、
前記監視サーバは、前記通知手段から前記電波異常情報を受信すると、該電波異常情報を、予め登録されたアドレス情報に示されるアドレスに送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
有線ネットワーク及び第1の無線ネットワークと接続され、該第1の無線ネットワークを介して携帯端末と無線通信が可能な無線基地局の状態監視方法であって、
電波受信手段が、GPS衛星から電波を受信し、
通知手段が、前記電波受信手段が前記GPS衛星からの電波を受信できないとき、該GPS衛星からの電波の異常を示す電波異常情報を前記有線ネットワークを介して監視サーバに通知する状態監視方法。
【請求項8】
請求項7に記載の状態監視方法において、
クロック生成手段が、前記GPS衛星からの電波に含まれる時刻情報に基づいて、無線信号を送信するタイミングを制御するためのクロックを生成し、
前記通知手段が、前記クロック生成手段が前記クロックを生成できないとき、前記電波受信手段が前記GPS衛星からの電波を受信できていないと判定し、前記電波異常情報を前記有線ネットワークを介して前記監視サーバに通知することを特徴とする状態監視方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の状態監視方法において、
前記通知手段が、前記第1の無線ネットワークとは別の、前記監視サーバが接続される第2の無線ネットワークとの通信機能を備え、前記有線ネットワークを介して前記監視サーバと通信できない場合、該第2の無線ネットワークを介して前記電波異常情報を前記監視サーバに通知することを特徴とする状態監視方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載の状態監視方法において、
前記無線基地局は、自装置へ電源を供給する内部バッテリを有しており、
演算処理手段が、前記GPS衛星からの電波に含まれる時刻情報に基づいて自装置の現在位置を示す位置情報を算出し、
前記通知手段が、前記電波異常情報を前記監視サーバに通知するとき、該電波異常情報と共に前記位置情報を前記監視サーバに通知することを特徴とする状態監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−151589(P2011−151589A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10896(P2010−10896)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】