無線基地局監視制御システム及び無線基地局の監視制御方法
【課題】無線基地局の監視制御システムにおいて、無線基地局の状態及びクライアントを使用するユーザの作業に応じて、監視制御メッセージの送信を効率的に制御する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、複数の無線基地局81〜83を監視制御する無線基地局監視制御システムである。このシステムは、複数の監視制御クライアント33〜37と監視制御サーバシステム13を備える。監視制御サーバシステムは、無線基地局のそれぞれの状態種別を表す情報を含む無線基地局情報51と、監視制御クライアントのそれぞれのオペレータ種別を表す情報を含むクライアント情報51を備える。送信先判定部84は、無線基地局情報における状態種別を表す情報及びクライアント情報におけるオペレータ種別を表す情報を参照して、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う。
【解決手段】本発明の一実施形態は、複数の無線基地局81〜83を監視制御する無線基地局監視制御システムである。このシステムは、複数の監視制御クライアント33〜37と監視制御サーバシステム13を備える。監視制御サーバシステムは、無線基地局のそれぞれの状態種別を表す情報を含む無線基地局情報51と、監視制御クライアントのそれぞれのオペレータ種別を表す情報を含むクライアント情報51を備える。送信先判定部84は、無線基地局情報における状態種別を表す情報及びクライアント情報におけるオペレータ種別を表す情報を参照して、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局監視制御システム及び無線基地局の監視制御方法に関し、特に、無線基地局を監視制御するシステムにおける監視制御メッセージの通信に関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局を監視及び制御するシステムは、典型的に、図14に示す様に、移動端末11と通信を行う無線基地局12並びに無線基地局12を監視制御する監視制御サーバ装置17及び監視制御クライアント装置14を備えている。
【0003】
無線通信システムは、数千〜数万局の無線基地局12を含み、監視制御サーバ装置17は、これらすべての無線基地局12を収容する。複数台の監視制御クライアント装置14は、監視制御サーバ装置17と接続し、監視制御サーバ装置17が収容している全ての無線基地局12を監視制御する。オペレータ15は、監視制御クライアント装置14を使用して無線基地局12を監視制御する。
【0004】
無線基地局12に障害が発生した場合、無線基地局12からのアラームは、監視制御サーバ装置17に通知される。監視制御サーバ装置17は、通知されたアラームを全ての監視制御クライアント装置14に向けて送信する。各監視制御クライアント装置14に通知されたアラームは、その画面上でアラーム内容の表示や警報音の発出により、オペレータ15に通知される。オペレータ15が入力した制御命令は、監視制御クライアント装置14から、監視制御サーバ装置17を介して対象の無線基地局12に送信される。
【0005】
なお、特許文献1は、データネットワークにおいてネットワークの運用者の指示により、予め計画されたネットワーク内の工事、試験、保守、停電などのイベントがキーボードやディスプレイを介して登録され、イベントの開始時刻から終了時刻までの間にイベントによる要因で発生する障害発生などの通報信号に対し、イベント実施中の旨の情報を付加することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−327876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線基地局12を含む通信システムにおいては、エリア拡大のための無線基地局12の増設や無線基地局12の周波数増設等の工事作業が、日々実施されている。このためフィールドには、運用を開始している無線基地局、増設工事中の無線基地局、運用開始後に増設工事を行っている無線基地局など、さまざまな状態の無線基地局が混在している。
【0008】
工事中の無線基地局の状態確認や運用中の無線基地局の監視は、無線基地局を監視する監視制御クライアント装置14を用いて行われている。監視制御クライアント装置14を操作するのはオペレータ15であるが、オペレータ15の業務によって、監視制御クライアント装置14を使用する目的が様々である。
【0009】
例えば、障害監視を行うオペレータ15は、運用中の無線基地局12の監視及び制御を行うために監視制御クライアント装置14を使用する。無線基地局12の工事作業を行うオペレータ15は、工事中の無線基地局12の監視及び制御を行うために監視制御クライアント装置14を使用する。
【0010】
このように、通信システムにおいては、様々な状態の無線基地局12が存在すると共に、異なる作業を行うオペレータ15が存在している。従って、オペレータ15が監視制御の対象とする無線基地局12は、そのオペレータ15の作業及び無線基地局12の状態に依存している。オペレータ15は、それぞれ、監視制御クライアント装置14を使用して無線基地局12の監視制御を行うため、監視制御クライアント装置14において、監視制御対象の個々の無線基地局12を選択する手法が考えられる。
【0011】
例えば、監視制御クライアント装置14はフィルタを備え、そのフィルタは許可設定されている無線基地局との間においてのみ通信を行う。具体的には、監視制御クライアント装置14は、許可設定されている無線基地局12からのアラームのみをオペレータに通知する、若しくは、許可設定されている無線基地局12への監視制御指令のみを受け付ける。
【0012】
しかし、この構成においては、オペレータ(又は他のユーザ)は、それぞれの無線基地局12の状態を確認し、各監視制御クライアント装置14においてフィルタの設定を行うことが必要となる。フィルタ設定は、オペレータ(又は他のユーザ)にとって大きな作業負担となる。
【0013】
例えば、オペレータの一人である障害監視者は、システムが大きな問題なく運用できていることを監視する業務を行う。障害監視者の制御監視対象は、運用中の無線基地局である。そのため、各障害監視者は、工事作業が1日あたり数局から数十局行われているようなシステムにおいては、日々、最大数十局に及ぶ工事作業中の無線基地局を把握し、それら無線基地局に対してのフィルタ設定作業を行うこととなる。そのフィルタ設定作業は多くの時間を要し、障害監視者の各々の作業負担が大きく増加する。
【0014】
また、複数人の障害監視者が監視作業を行い、その複数人が使用する監視制御クライアント装置14が不定である場合、日々の工事作業のたびに、障害監視者の使用する監視制御クライアント装置14を把握して、その監視制御クライアント装置14に対してのフィルタ設定作業を行うこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、複数の無線基地局を監視制御する、無線基地局監視制御システムであって、オペレータにより使用される複数の監視制御クライアントと、前記複数の無線基地局と前記複数の監視制御クライアントとの間において、監視制御メッセージの通信を行う監視制御サーバシステムを備える。前記監視制御サーバシステムは、前記複数の無線基地局のそれぞれの状態種別を表す情報を含む無線基地局情報と、前記複数の監視制御クライアントのそれぞれのオペレータ種別を表す情報を含むクライアント情報と、前記無線基地局情報における前記状態種別を表す情報及び前記クライアント情報における前記オペレータ種別を表す情報に基づいて、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う、判定部とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、無線基地局の監視制御システムにおいて、無線基地局の状態及びクライアントを使用するユーザの作業に応じて、監視制御メッセージの送信を効率的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態において、無線基地局の監視制御システムの構成及び監視制御クライアント装置毎の監視制御目的の違いの概要を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態において、監視制御サーバシステムの構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態において、監視制御サーバシステムにクライアント情報を登録する処理を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態において、クライアント情報の構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態において、監視制御サーバシステムに無線基地局情報を登録する処理を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施形態において、無線基地局情報の構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態において、リセット指示による無線基地局の制御を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施形態において、クライアントから無線基地局に対する監視制御メッセージの送信制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態において、運用局からのアラームを処理する例を模式的に示す図である。
【図10】本発明の実施形態において、クライアント情報の構成例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態において、無線基地局情報の構成例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態において、工事局からのアラームを処理する例を模式的に示す図である。
【図13】本発明の実施形態において、監視制御サーバシステムおけるアラーム転送制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】従来の技術において、移動体通信システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明を実施するための形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0019】
本実施形態の無線基地局監視制御システムは、クライアント・サーバ構成を備える。オペレータ(ユーザ)は、監視制御クライアント装置(以下においてクライアント)を使用して、無線基地局の監視制御を行う。監視制御サーバシステムは、クライアント及び無線基地局と通信を行う。監視制御サーバシステムは、クライアント及び無線基地局との間において、監視制御メッセージの通信を制御する。監視制御メッセージは監視のためのメッセージ又は制御のためのメッセージである。
【0020】
本実施形態の監視制御サーバシステムは、無線基地局の状態種別を表す情報とクライアントのオペレータ(ユーザ)種別を表す情報とを参照して、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う。監視制御サーバシステムは、禁止された送信先に監視制御メッセージを送信することなく、許可された送信先に監視制御メッセージを送信する。
【0021】
監視制御サーバシステムが、無線基地局の状態種別とクライアントのオペレータ種別とにより、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行うことで、オペレータの作業を支援する処理を効果的かつ効率的に行うことができる。
【0022】
以下において、本実施形態の無線基地局監視制御システムを、より具体的な構成例を参照して説明する。図1は、本実施形態における無線基地局の監視制御システムの構成を模式的に示す図である。本実施形態の無線基地局監視制御システムはクライアント・サーバ構成を有しており、複数のクライアントと監視制御サーバシステム13とを備えている。
【0023】
監視制御サーバシステム13と複数のクライアントとはネットワーク(不図示)を介して通信を行う。同様に、監視制御サーバシステム13と複数の無線基地局は、ネットワーク(不図示)を介して通信を行う。図1においては、例示的に、3つのクライアントα、クライアントβ、クライアントγが、それぞれ、参照符号33、35、37で示されている。
【0024】
工事中の無線基地局の状態確認や運用中の無線基地局の監視は、無線基地局を監視するクライアントを用いて行われる。クライアントを操作するのはオペレータであるが、オペレータの業務によって、クライアントを使用する目的が様々である。図1の構成例において、オペレータは、その使用目的によって障害監視者32、工事作業者34、工事管理者36に分類される。クライアントの種別は、それを使用するオペレータ(使用目的又は作業内容)の種別により決まる。
【0025】
障害監視者32がクライアントα33を使用し、工事作業者34がクライアントβ35を使用し、そして工事管理者36がクライアントγ37を使用する。図1は、複数の障害監視者、複数の工事作業者、そして一人の工事管理者を例示しているが、これらオペレータの種別毎の人数は、無線基地局監視制御システムの状況により変化する。
【0026】
無線基地局監視制御システムは複数の無線基地局を監視制御する。以下に説明する構成例において、無線基地局は、運用状態の基地局(運用局)71と工事状態の基地局(工事局)72とに分類される。運用局71は運用(通常の動作)を開始している無線基地局であり、工事局72は増設作業や周波数増設作業などの工事作業を行っている無線基地局である。
【0027】
障害監視者32は、システムが大きな問題なく運用できていることを監視する業務を行っている。典型的に、複数人の障害監視者32が作業を行い、運用局71からアラームが発生したことを認知すると、システムを正常に運用させるために、アラームに対する復旧作業を行う。このため、障害監視者32が使用するクライアントは複数台存在し、運用局71を起因として発生したアラームを漏れなく監視するという目的を持つ。
【0028】
工事作業者34は、上述のように、基地局の新規増設作業や周波数増設作業等の工事作業を行う。工事作業者34は、工事局72の状態(工事局を起因とするアラーム)のみを確認するという目的を持つ。工事管理者36は、工事の開始や終了、および運用開始が予定通りに行われているかを監視する業務を行っている。また、工事作業に伴い運用局71に影響がないことを監視するため、運用局71を起因として発生したアラームを監視するという目的を持つ。
【0029】
工事局72は、その工事作業に伴い、無線基地局のリセットや回線断などのアラームを発信する。アラームは監視制御メッセージの1つであり、その指定送信先(監視制御サーバシステムによる送信許否判定前の指定送信先)は、全てのクライアントである。基地局増設や周波数増設のための工事作業は、1日あたり数局から数十局の単位で行われる。そのため、監視制御サーバシステム13が、全てのクライアントにアラームを通知すると、各クライアントが受信する工事に起因するアラーム数は、数百件に及ぶ。
【0030】
しかし、工事局72で発生した数百件のアラームは、工事作業に伴うアラームであり、システム運用上は問題がない。システムの障害監視を行う障害監視者32は、工事局72からのアラームを受信する必要がないばかりか、そのようなアラームは、障害監視者32の障害監視を邪魔するものとなる。
【0031】
その一方で、運用局71にて障害が発生しアラームが送信された場合には、そのアラームはシステム運用上の問題を示し、工事局72とは関係がない。工事作業を行う工事作業者34は、運用局71からのアラームを受信する必要がないばかりか、そのようなアラームは、工事作業者34の工事作業を邪魔するものとなる。
【0032】
この他、上述のように、障害監視者32は、システムを正常に運用させるために、運用局71に起因するアラームの復旧作業を行う。障害監視者32は、運用局71にコマンド(制御指令)を送信することで、運用局71を制御する。コマンドは監視制御メッセージの1つである。一方、工事作業者34は、工事局72に対してコマンドを送信することで、工事作業において工事局72を制御する。クライアントから無線基地局の制御において、オペレータが誤って、目的の無線基地局とは異なる無線基地局にコマンドを送信することがある。
【0033】
本実施形態の制御監視サーバシステム13は、無線基地局の状態種別とクライアントのユーザ種別を表す情報をデータ記憶装置(のそれぞれの記憶領域)に格納し、その情報を参照して監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う。
【0034】
具体的には、運用状態の運用局71に起因するアラームの障害監視者32及び工事管理者36のクライアントへの送信(を許可)し、工事作業者34のクライアントへの送信を禁止する。工事状態の工事局72に起因するアラームの工事作業者34及び工事管理者36のクライアントへの送信(を許可)し、障害監視者32のクライアントへの送信を禁止する。障害監視者32、工事作業者34及び工事管理者36は、それぞれオペレータ種別である。
【0035】
制御監視サーバシステム13は、クライアントからのコマンドの送信先についても、無線基地局とクライアントの種別を表す情報を参照して決定する。コマンドは、指定送信先の無線基地局を特定する情報を含む。制御監視サーバシステム13は、クライアントからコマンドを受信すると、そのコマンドの送信元である(コマンドの起因である)クライアントのオペレータ種別が障害監視者32である場合、指定送信先が運用局71である場合のみ、コマンドの転送(送信)を許可し、そうでない場合には転送を禁止する。
【0036】
クライアントのオペレータ種別が工事作業者34である場合、制御監視サーバシステム13は、指定送信先が工事局72である場合のみコマンドの転送を許可する。クライアントのオペレータ種別が工事管理者36である場合、制御監視サーバシステム13は、指定送信先が運用局71及び工事局72のいずれであっても、コマンドの転送を許可する。制御監視サーバシステム13は、コマンド転送を禁止する場合、エラー通知を送信元クライアントに行う。
【0037】
このように、クライアントのオペレータ種別と無線基地局の状態種別に応じて監視制御メッセージの送信を制御することで、無線基地局の状態及びオペレータ(クライアント)の作業目的に応じて、監視制御メッセージの送信を制御することができる。クライアントと無線基地局の種別により監視制御メッセージの送信を制御するので、無線基地局又はクライアント単位での設定に比較して、情報登録処理の負担を大きく低減することができる。又、監視制御サーバシステム13が登録情報に従って監視制御メッセージの送信制御を行うので、各クライアントが送信制御を行う構成と比較して、情報登録処理の負担を大きく低減することができる。
【0038】
上述のように、監視制御サーバシステム13は、無線基地局とクライアントの登録情報を参照して監視制御メッセージの送信を制御する。まず、監視制御サーバシステム13の構成を、図2を参照して説明する。図2は、監視制御サーバシステム13の構成を模式的に示す図である。図2は、一つの計算機で構成された監視制御サーバシステム13を示している。監視制御サーバシステム13は複数の計算機及びストレージ装置を含むことができる。
【0039】
図2の例において、監視制御サーバシステム13は、ネットワークインタフェース131、プロセッサであるCPU132、主記憶装置134、二次記憶装置135を備える。これら装置は、バス133を介して接続している。監視制御サーバシステム13は、ネットワークインタフェース131を介してネットワークと接続しており、システム内の他の装置との間で通信を行う。CPU132は、主記憶装置134に格納されているプログラムを実行することによって監視制御サーバシステム13の所定の機能を実現する。
【0040】
図2は、監視制御サーバシステム13の機能を実現するプログラム及び登録情報を示している。具体的には、監視制御サーバシステム13は、対クライアント送受信部38、対基地局送受信部54、そして送信先判定部84を含む。これらはプログラムである。
【0041】
本例は、監視制御サーバシステム13の機能を3つのプログラムにより示すが、プログラムの数は、いくつでもよい。任意の2つのプログラムの機能を1つのプログラムが実行してもよく、1つのプログラムの機能を複数のプログラムが実行してもよい。あるプログラムの一部の処理を、他のプログラムが実行してもよい。
【0042】
CPU132は、これらプログラムに従って動作することで、これら機能部として動作することができる。従って、プログラムの行う処理は、CPU132及びそのCPU132を含む監視制御サーバシステム13の処理である。図2は、説明の便宜上、主記憶装置134内にプログラムを示しているが、監視制御サーバシステム13の処理において必要とされるデータ(プログラムを含む)は、典型的に、二次記憶装置135から主記憶装置134に格納される。これらプログラム(に従うCPU132)の動作は後述する。本例において、監視制御サーバシステム13のプロセッサは1つのCPU132で構成されているが、プロセッサは複数のCPUを含むことができる。
【0043】
図2に示すように、監視制御サーバシステム13は、クライアント情報31及び無線基地局情報51を備える。情報の詳細は後述する。本実施形態において、データ記憶領域に格納される情報はデータ構造に依存せず、どのようなデータ構造で表現されていてもよい。例えば、テーブル、リスト若しくはデータベースから適切に選択したデータ構造体が、必要な情報を格納することができる。
【0044】
図2は、便宜上、上記情報を二次記憶装置135内に示すが、典型的には、CPU132は、主記憶装置134にロードされたこれらテーブルのデータを取得する。監視制御サーバシステム13において、上記プログラム及び情報は、主記憶装置134及び二次記憶装置135において、対応する記憶領域内に格納される。
【0045】
二次記憶装置135は、監視制御サーバシステム13の所定の機能を実現するために必要な上記プログラム及び情報を格納する不揮発性記憶装置である。二次記憶装置135は、典型的にはハードディスク装置である。監視制御サーバシステム13は、フラッシュメモリなどの半導体記憶媒体を使用してもよいし、ネットワークを介して接続された記憶装置を使用してもよい。主記憶装置134、二次記憶装置135及びこれらのセットは記憶装置であり、さらに他の要素を含むことができる。
【0046】
監視制御を行う端末であるクライアントα33、クライアントβ35及びクライアントγ37は、それぞれ計算機である。そのため、図2を参照して説明した監視制御サーバシステム13と同様のハードウェア構成とすることができる。そのため、これらクライアントの構成の詳細内説明は省略する。クライアントは、図2を参照して説明した各ハードウェア構成要素に加え、入力装置及び表示装置を備えている。入力装置は、典型的には、ポインタ及びキーボードを含む。
【0047】
監視制御サーバシステム13において動作するプログラムによる機能の少なくとも一部は、専用ハードウェアにより実装してもよい。監視制御サーバシステム13及びクライアント33〜37は、プログラムに従って動作する典型的な計算機の他、専用のハードウェ回路を備える装置として構成してもよい。
【0048】
次に、監視制御サーバシステム13におけるクライアント情報の登録を、図3及び図4を参照して説明する。図3に示すように、クライアントα33、クライアントβ35及びクライアントγ37は、それぞれ、自身に関する情報を監視制御サーバシステム13に送信し、監視制御サーバシステム13は、受信した情報をクライアント情報31に登録する。
【0049】
図4は、クライアント情報31の一例を示している。図4の例において、クライアント情報31はテーブル構成を有し、そのテーブルは、「ユーザ名」、「ユーザ種別」、「クライアント識別子」、クライアントの「IPアドレス」のカラムを有している。各レコードが、一つのクライアントの情報である。
【0050】
「ユーザ名」のフィールドは、クライアントを現在使用しているオペレータのユーザ名を格納する。「ユーザ種別」のフィールドは、クライアントを現在使用しているオペレータの種別を表す情報を格納する。本例においては、障害監視者、工事作業者、工事管理者のいずれかを格納する。「クライアント識別子」のフィールドは、対象のクライアントを識別する情報を格納する。「IPアドレス」のフィールドは、対象のクライアントのIPアドレスを格納する。「ユーザ名」は、オペレータを特定できる情報であれば他の情報でもよい。これらの情報の一部の情報については、設計上不要であれば登録しなくともよい。
【0051】
「ユーザ種別」は、クライアントを使用するオペレータの種別を一意に特定することができる情報であれば、どのような情報を格納してもよい。本例のように、オペレータの種別を直接に示す情報の他、監視制御メッセージの送信制御においてクライアントを使用するオペレータを識別することができるのであれば、直接又は間接にクライアント種別を示す情報を格納することができる。
【0052】
各オペレータは、使用するクライアントにおいて、クライアント情報31に登録する情報を入力する。例えば、障害監視者(ユーザ名:user1)32がクライアントα33を使用するとき、障害監視者32は、クライアントα33にてユーザ名:user1とユーザ種別:障害監視者とを入力する。もちろん、他のユーザがこれらの情報を入力してもよい。
【0053】
図3に示すように、クライアントα33は、その入出力装置から入力された情報を、監視制御サーバシステム13に送信する。対クライアント送受信部38はクライアントα33からの情報を受信し、クライアント情報31にそれを格納する。このとき、対クライアント送受信部38は、クライアントα33の識別子及びIPアドレスも格納する。IPアドレスはクライアントα33から送信されるフレームに格納されている。クライアント識別子は、対クライアント送受信部38により任意に設定される。
【0054】
同様に、工事作業者(ユーザ名:user2)34がクライアントβ35を使用するとき、工事作業者34は、クライアントβ35にてユーザ名:user2とユーザ種別:工事作業者とを入力する。工事管理者(ユーザ名:user3)36がクライアントγ37を使用するとき、工事管理者36は、クライアントγ37にて、ユーザ名:user3とユーザ種別:工事管理者とを入力する。
【0055】
クライアントβ35及びクライアントγ37は、それぞれ入力された情報を監視制御サーバシステム13に送信する。対クライアント送受信部38は、クライアントβ35及びクライアントγ37から送信された情報を受信し、それをクライアント情報31に格納する。このとき、対クライアント送受信部38は、クライアントβ35及びクライアントγ37の識別子及びIPアドレスも格納する。
【0056】
オペレータがクライアントの使用を終了すると、オペレータはそれを示す情報をクライアントに入力する。クライアントは、オペレータによる使用終了を示すメッセージを、監視制御サーバシステム13に送信する。対クライアント送受信部38は、クライアントから受信したメッセージに従って、そのクライアントの登録情報を削除する。
【0057】
次に、無線基地局情報51の登録を、図5及び図6を参照して説明する。図5は、無線基地局情報51の構成例を示している。本例において、無線基地局情報51はテーブル構成を備え、そのテーブルは、「無線基地局識別子」、「IPアドレス」、「状態種別」そして「接続する対向局」のカラムを有している。各レコードが、1つの無線基地局の情報を格納している。これらの情報の一部の情報(例えば、接続する対向局)については、設計上不要であれば登録しなくともよい。
【0058】
「無線基地局識別子」のフィールドは、無線基地局を識別する情報を格納する。「IPアドレス」のフィールドは、対応する無線基地局のIPアドレスを格納する。「状態種別」のフィールドは、対応する無線基地局の状態種別を格納する。本構成においては、運用又は工事のいずれかである。
【0059】
「状態種別」のフィールドは、無線基地局の状態の種別を一意に特定することができる情報であれば、どのような情報を格納してもよい。状態の種別を直接に示す情報の他、監視制御メッセージの送信制御において無線基地局の状態を識別することができるのであれば、直接又は間接に状態の種別を示す情報を格納することができる。
【0060】
「接続する対向局」のフィールドは、対応する無線基地局が通信を行う他の無線基地局を特定する情報を格納する。無線基地局は、移動端末の移動に伴い、隣接する無線基地局とハンドオフ処理を行う。「接続する対向局」は、この処理を行う無線基地局であり、2つの無線基地局の間にリンクが確立される。
【0061】
本実施形態のシステムは、「接続する対向局」として、無線基地局とは異なる装置を含むことができる。例えば、システムは、複数の無線基地局を束ねるルータ装置を備え、そのルータ装置は無線基地局と接続すると共に、無線基地局間の通信データを転送する。ルータ装置と接続する無線基地局との間においてリンクが確立される。監視制御サーバシステム13は、ルータを監視対象として定義、登録し(登録情報を備え)、無線基地局と同様に監視することができる。ルータ装置には複数の種別が設定されていなくともよい。
【0062】
図5の例においては、無線基地局A52及び無線基地局B53は、それぞれ、他方の無線基地局を「接続する対向局」として有している。無線基地局がリンクを確立する他の無線基地局の数はその無線基地局の状況に依存し、典型的には2以上の無線基地局と通信を行う。
【0063】
監視制御サーバシステム13は、クライアントからの要求に従って、無線基地局情報51への情報登録を行う。監視制御サーバシステム13はクライアントから無線基地局の情報を受信し、その情報を無線基地局情報51に格納する。オペレータは、無線基地局の情報をクライアントに入力し、クライアントはその入力情報を監視制御サーバシステム13に送信する。
【0064】
例えば、無線基地局52を新規設置し、その無線基地局52を監視制御サーバシステム13(無線基地局情報51)に登録する場合、工事作業者34は、クライアントβ35上にて、無線基地局52の識別子及びIPアドレスを入力する。このとき、無線基地局52の状態の種別は工事状態として入力する。また、入力する無線基地局52が既登録局53と通信を行う場合は、接続する対向局として無線基地局53を入力する。
【0065】
クライアントβ35にて入力された無線基地局52の情報は、クライアントβ35により監視制御サーバシステム13に送信される。対クライアント送受信部38は、クライアントβ35から受信した無線基地局52の情報を、無線基地局情報51に格納する。
【0066】
また、監視制御サーバシステム13に保持される無線基地局情報51は、クライアントからの指示により更新される。例えば、無線基地局の調整作業終了後、その無線基地局は、工事状態から運用状態へと移行する。工事管理者36は、クライアントγ37上にて、無線基地局の状態が工事状態から運用状態に変更することを入力する。
【0067】
クライアントγ37にて入力された無線基地局の状態情報は、クライアントγ37により監視制御サーバシステム13に送信される。対クライアント送受信部38は、クライアントγ37から受信した情報に従って、無線基地局情報51に保持する無線基地局の状態を工事状態から運用状態に変更する。
【0068】
このほか、例えば、システム運用状態の無線基地局に増設作業等の工事作業を実施する場合、工事管理者36は、クライアントγ37上にて、その無線基地局の状態情報が運用状態から工事状態に変更することを入力する。クライアントγ37にて入力された無線基地局の状態情報は、クライアントγ37により監視制御サーバシステム13に送信される。対クライアント送受信部38は、クライアントγ37から受信した情報に従って、無線基地局情報51に保持する無線基地局の状態を運用状態から工事状態に変更する。
【0069】
図5に示すように、監視制御サーバシステム13は、無線基地局情報51にその情報保持する無線基地局との間で、監視制御のメッセージ通信の送受信を行う。例えば、監視制御サーバシステム13の対基地局送受信部54は、無線基地局情報51を参照して、収容する無線基地局52、53のアドレスを取得し、無線基地局52、53の死活監視を行う。いずれかの無線基地局において障害を検出すると、対基地局送受信部54は、それを示すアラームを生成する。監視制御サーバシステム13は、そのアラームを所定のクライアントに送信するが、その処理は後述する。
【0070】
監視制御サーバシステム13が収容する無線基地局のそれぞれは、監視制御サーバシステム13と接続するいずれかのクライアントにより監視制御される。本例においては、障害監視のクライアントα33は、運用中の全ての無線基地局を監視制御し、工事作業のクライアントβ35は、工事中の全ての無線基地局を監視制御し、工事管理のクライアントγ37は、監視制御サーバシステム13が収容している全て無線基地局を監視制御する。各オペレータは自分のクライアントにおいて特定の無線基地局を特定する情報を設定して、監視する無線基地局を選択してもよい。
【0071】
監視制御サーバシステム13に収容されている全ての無線基地局は、無線基地局情報51に登録されている。クライアントは、監視制御サーバシステム13から無線基地局情報51に格納されている無線基地局の情報を取得し、その情報を参照して対象の無線基地局の監視制御を行う。
【0072】
クライアントは、無線基地局を制御するため、対象の無線基地局にコマンドを送信する。クライアントは、監視制御サーバシステム13から各無線基地局を特定する情報(例えば、IPアドレス又は識別子)を取得し、対象の無線基地局を特定してコマンドを監視制御サーバシステム13に送信する。監視制御サーバシステム13は、所定の規則に従って、受信したコマンドを対象の無線基地局に転送する。
【0073】
クライアントによる無線基地局の制御の例を、図7を参照して説明する。図7は、工事作業者34が無線基地局52のリセット操作を行う例を示している。工事作業者34は、例えば、無線基地局52を新規設置した後に、無線基地局52が正常に動作することを確認する調整作業において、リセット操作を行う。
【0074】
上述のように、監視制御サーバシステム13は、クライアントのオペレータ種別及び無線基地局の状態種別に従って、監視制御メッセージの送信先についての決定を行う。その一つとして、監視制御サーバシステム13は、クライアントから無線基地局の制御のための監視制御メッセージを受信すると、送信元のクライアントのオペレータ種別(ユーザ種別)が、監視制御メッセージが指定する送信先の無線基地局の状態種別に対して、監視制御メッセージを送信することが許可されている種別である場合にのみ、監視制御メッセージを転送(送信)する。
【0075】
クライアントの種別が無線基地局の種別に対して監視制御メッセージの送信を禁止されている種別である場合、監視制御サーバシステム13は、監視制御メッセージの無線基地局への転送(送信)を拒否し、エラーをクライアントに通知する。
【0076】
本構成においては、障害監視者と運用局とが送信先として関連付けられ、工事作業者と工事局とが送信先として関連付けられ、工事管理者と運用局及び工事局とが送信先として関連付けられている。障害監視者から運用局への監視制御メッセージは許可され、工事局への監視制御メッセージは禁止される。工事作業者から運用局への監視制御メッセージは拒否され、工事局への監視制御メッセージは許可される。工事管理者からの監視制御メッセージは、無線基地局の状態種別を問わず許可される。
【0077】
このように、クライアント(オペレータ)の種別に応じて、監視制御メッセージを送信することが許可される無線基地局を特定することで、ヒューマン・エラーによる無線基地局の誤った制御の発生を低減することができる。
【0078】
図7に示すリセット指示の例において、工事作業者34がクライアントβ35において無線基地局52のリセット操作を行うと、クライアントβ35は、監視制御サーバシステム13に無線基地局52のリセット指示を行う。具体的には、クライアントβ35は、無線基地局52を特定する情報とリセット指示を示す監視制御メッセージを、監視制御サーバシステム13に送信する。
【0079】
対クライアント送受信部38は、クライアントβ35からリセット指示(監視制御メッセージ)を受信すると、それを送信先判定部84に転送する。送信先判定部84は、クライアント情報31のユーザ種別のフィールドを参照して、リセット指示を送信したクライアントβ35のオペレータ種別を特定する。本例においては、その種別は工事作業者である。送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照し、リセット指示の対象である無線基地局52の状態種別を特定する。本例においては、その種別は工事である。
【0080】
本構成において、工事作業者のクライアントは、工事状態の無線基地局に対する監視制御メッセージを送信することができる。従って、送信先判定部84は、クライアントβ35から無線基地局52へのリセット指示を、対基地局送受信部54に転送する。
【0081】
リセット指示が無線基地局52のIPアドレスを指定している場合、対基地局送受信部54は、無線基地局52のIPアドレスを無線基地局情報51から取得して、そのアドレスにリセット指示の監視制御メッセージを送信する。クライアントβ35からのメッセージが無線基地局52のIPアドレスを含む場合、アドレス取得のために無線基地局情報51を参照する必要はない。
【0082】
監視制御サーバシステム13による、クライアントから無線基地局への監視制御メッセージの上記転送処理の流れを、図8のフローチャートを参照して説明する。対クライアント送受信部38は、クライアントから、特定の無線基地局を指定する監視制御メッセージを受信する(S81)。
【0083】
送信先判定部84は、受信した監視制御メッセージ(における必要な情報)を対クライアント送受信部38から取得する。送信先判定部84は、クライアント情報31を参照して、送信元クライアントのオペレータ種別を特定する(S82)。さらに、送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照して、メッセージ送信先の無線基地局の状態種別を特定する(S83)。
【0084】
送信先判定部84は、特定したクライアントの種別と無線基地局の種別とが送信相手として関連付けられているか否かを判定する(S84)。これらが関連付けられている場合(S84におけるYes)、つまり、送信元クライアントのオペレータ種別が、指定送信先無線基地局の状態種別に対して監視制御メッセージの送信を許可されている種別である場合、送信先判定部84は、監視制御メッセージ(の必要な情報)を対基地局送受信部54に渡す(送信許可)。対基地局送受信部54は、必要により無線基地局情報51を参照して送信先IPアドレスを特定し、無線基地局に監視制御メッセージを送信する(S85)。
【0085】
これらが関連付けられていない場合(S84におけるNo)、つまり、送信元クライアントのオペレータ種別が、送信先無線基地局の状態種別に対して監視制御メッセージの転送(送信)を禁止されている種別である場合、送信先判定部84は、その監視制御メッセージの送信先は存在しないと判定し、監視制御メッセージの転送を拒否する(S85)。送信先判定部84は、その旨を対クライアント送受信部38に通知する。転送拒否の通知を受けた対クライアント送受信部38は、それを示すエラーをクライアントに通知する(S86)。
【0086】
以上のように、監視制御サーバシステム13は、クライアントから無線基地局に対する監視制御メッセージの送信の許否を、送信元クライアントのオペレータ種別と指定送信先無線基地局の状態種別に応じて決定を行う。これにより、オペレータのミスにより、目的と異なる無線基地局を誤って制御する可能性を小さくすることができる。
【0087】
上記例において、クライアントの種別と無線基地局の種別の関連付けは、送信先判定部84において予め設定されている。これと異なり、監視制御サーバシステム13は、クライアントの種別と無線基地局の種別との関連付けを示す関連付け情報を備え、クライアントからの要求に従ってその情報の登録及び更新を行ってもよい。
【0088】
次に、無線基地局を起因とするアラームが発生した場合の処理を、図9〜図13を用いて説明する。アラームは、監視制御メッセージの1つである。無線基地局において予め設定された特定の事象(障害として設定された事象)が発生すると、その無線基地局を起因とするアラームが、所定のクライアントに送信される。監視制御サーバシステム13は、クライアント情報31におけるユーザ種別と無線基地局情報51における状態種別を参照して、アラームの送信先についての決定を行う。
【0089】
典型的には、障害が発生した無線基地局がアラームを生成し、それを監視制御サーバシステム13に送信する。この場合、アラームの送信無線基地局と起因となる無線基地局が一致する。この他、図6を参照して説明したように、監視制御サーバシステム13は無線基地局の監視を行い、いずれかの無線基地局で障害を検知すると、その無線基地局を起因とするアラームを生成する。
【0090】
また、接続する対向局を有する無線基地局は、その接続先の無線基地局(とのリンク)の障害を検知すると、接続先無線基地局を起因とするアラームを監視制御サーバシステム13に送信する。例えば、無線基地局間で死活監視を行っている場合は、一方の無線基地局がダウンすると、他方の無線基地局から、上記一方の無線基地局の死活監視が失敗したことを示すアラームが監視制御サーバシステム13に通知される。
【0091】
監視制御サーバシステム13は、好ましい構成において、アラームの起因である無線基地局及びアラーム送信元の無線基地局の状態種別を特定し、その特定した状態種別に従ってクライアントの各種別への送信許否を判定し、送信するクライアントの種別を選択する。
【0092】
このように、アラーム送信元の無線基地局及びアラーム起因の無線基地局の登録されている状態種別に応じて送信先クライアントの登録ユーザ種別を特定することで、各オペレータがその監視制御作業を適切かつ効率的に行うことができる。また、監視制御サーバシステム13が、その登録情報に応じてアラームの送信制御を行うので、無線基地局又はクライアント単位での設定に比較して、その送信制御のための設定作業を大きく削減することができる。
【0093】
以下において、図9〜図11を参照して、運用局から送信されたアラームの転送処理の例を説明する。図9に示すシステム構成例において、オペレータとして、障害監視者(user1)32、工事作業者(user2)34、工事管理者(user3)36が存在し、それぞれ、クライアントα33、クライアントβ35、クライアントγ37を使用している。これらの使用状態の情報は、図10に示すように、監視制御サーバシステム13のクライアント情報31が保持している。
【0094】
また、無線基地局として無線基地局D81、無線基地局E82、無線基地局F83がある。無線基地局E82と無線基地局F83の間にはリンクが確立されており、互いに接続状態にある。無線基地局D81、無線基地局F83の状態は運用状態、無線基地局E82の状態は工事状態である。これらの無線基地局81〜83の情報は、図11に示すように、監視制御サーバシステム13の無線基地局情報51に保持されている。
【0095】
図9において、運用局である無線基地局D81において障害が発生すると、それを検知した無線基地局D81は、アラームを監視制御サーバシステム13に送信する。対基地局送受信部54は、無線基地局D81からのアラームを受信し、それを送信先判定部84に転送する。
【0096】
送信先判定部84は、アラームを参照して、アラームの送信元及びアラームの起因が無線基地局D81であることを特定する。アラームは、典型的には、アラームの種別、アラームの起因となった無線基地局を示す情報及びアラームの送信元を示す情報を含む。アラームの種別は、例えば、リセットや障害の種別(無線基地局における特定カードの故障、対向局とのリンクエラーなど)を示す。本例においては、アラームは送信先を指定する情報を含まないが、その指定送信先は、全てのクライアントであると、送信先判定部84に予め設定されている。
【0097】
送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照して、アラームの送信元及びアラーム起因の無線基地局の状態種別を特定する。図11に示すように、無線基地局D81の状態種別は、「運用」である。送信先判定部84においては、アラーム送信元の無線基地局の状態種別とその送信先として許可(禁止)されるクライアントのユーザ種別(オペレータ種別)との関連付けが、予め設定されている。さらに、アラーム起因の無線基地局の状態種別とその送信先として許可(禁止)されるクライアントのユーザ種別(オペレータ種別)との関連付けが、予め設定されている。
【0098】
本構成においては、送信元無線基地局と対応ユーザ種別との関連付けは、クライアントから無線基地局への監視制御メッセージと同様である。つまり、障害監視者と運用局とが関連付けられ、工事作業者と工事局とが関連付けられ、そして工事管理者と運用局及び工事局とが関連付けられている。無線基地局D81は運用局であるので、送信先判定部84は、クライアント情報31を参照し、障害監視者及び工事管理者のクライアントへの送信を許可及び工事作業者のクライアントへの送信を禁止と判定する。
【0099】
本構成において、アラーム起因の無線基地局と対応ユーザ種別との関連付けについては、工事局を起因とするアラームの転送は、障害監視者に対して禁止される。つまり、工事作業者と工事管理者に対して許可されている。一方、運用局を起因とするアラームの転送は、全てのユーザ種別に許可されている。従って、本構成は、無線基地局D81からのそれ自身を起因とするアラームを転送するクライアントとして、その登録ユーザ種別が障害監視者及び工事管理者であるクライアントを選択する。
【0100】
本例において、送信先判定部84はクライアント情報31を参照し、障害監視者32のクライアントα33と工事管理者36のクライアントγ37を特定する。送信先判定部84は、これらクライアントα33、クライアントγ37を示す情報と、無線基地局D81からのアラームを対クライアント送受信部38に渡す。
【0101】
対クライアント送受信部38は、指定されたクライアントα33とクライアントγ37に、無線基地局D81からのアラームを転送する。アラームの通知を受けたクライアントα33とクライアントγ37は、発生アラーム情報を画面上に表示する及び/又は警報音を発出することにより、障害監視者32および工事管理者36にそれぞれ通知する。
【0102】
無線基地局F83において発生した障害により、無線基地局F83がアラームを監視制御サーバシステム13にアラームを送信する場合、監視制御サーバシステム13は、上記無線基地局D81からのアラームに対する処理と同様の処理を行う。
【0103】
次に、無線基地局E82を起因とするアラームを、無線基地局F83が通信する例を説明する。アラーム送信元の無線基地局F83は運用局であるが、アラームの起因が工事局である無線基地局E82である。従って、アラーム送信先として、障害監視者は禁止され工事管理者は許可される。本例において、送信先判定部84は、アラームの許可転送先として工事管理者36のクライアントγ37を選択する。他の工程は、無線基地局E82からのアラーム通知の転送と同様である。
【0104】
このように、監視制御サーバシステム13は、アラームの送信元となる無線基地局及びアラームの起因となる無線基地局の状態種別に関連づけられているオペレータ種別のクライアントに、無線基地局からのアラームを転送する。監視制御サーバシステム13は、クライアントへ送信するアラームや監視制御サーバシステム13内の構成要素間で転送するアラームにおいて、取得したアラームが含む情報から一部を削除しても、そこに他の情報を追加してもよい。
【0105】
次に、工事局から送信されたアラームの転送について、図12を参照して説明する。図12に示すシステム構成の例は図9の構成例と同じである。工事局は、無線基地局E82のみである。最初に、無線基地局E82を起因とするアラームの転送について説明する。
【0106】
工事局である無線基地局E82において障害が発生すると、それを検知した無線基地局E82は、アラームを監視制御サーバシステム13に送信する。対基地局送受信部54は、無線基地局E82からのアラームを受信し、それを送信先判定部84に転送する。
【0107】
送信先判定部84は、アラームを参照して、アラームの送信元及びアラームの起因が無線基地局E82であることを特定する。上述のように、工事局を送信元とするアラームは、工事作業者及び工事管理者への転送が許可され、障害監視者への転送が禁止されている。工事局を起因とするアラームについても同様である。送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照して、無線基地局E82の状態種別を工事状態と特定する。送信先判定部84は、アラームを転送許可するクライアントとして、そのユーザ種別が工事作業者及び工事管理者であるクライアントを選択する。
【0108】
本例において、送信先判定部84はクライアント情報31における各クライアントユーザ種別を参照し、送信許可する工事作業者34のクライアントβ35と工事管理者36のクライアントγ37を特定する。送信先判定部84は、これらクライアントβ35、クライアントγ37を示す情報と、無線基地局E82からのアラームを対クライアント送受信部38に渡す。
【0109】
対クライアント送受信部38は、指定されたクライアントβ35とクライアントγ37に、無線基地局E82からのアラームを転送する。アラームの通知を受けたクライアントβ35とクライアントγ37は、発生アラーム情報を画面上に表示する及び/又は警報音を発出することにより、工事作業者34および工事管理者36にそれぞれ通知する。
【0110】
次に、無線基地局E82が、無線基地局F83とのリンクにおいて障害を検知した場合の処理を説明する。無線基地局E82の状態種別は工事状態であるが、無線基地局F83の状態種別は運用状態である。無線基地局E82が、無線基地局F83とのリンクにおいて検知する障害は、運用局である無線基地局F83を起因とするものである。そこで、監視制御サーバシステム13は、そのアラームを、工事作業者34及び工事管理者36のクライアントβ35、クライアントγ37に転送する。
【0111】
具体的に説明する。無線基地局E82は、無線基地局F83とのリンクで障害が発生していることを示すアラームを生成し、監視制御サーバシステム13に送信する。対基地局送受信部54は、無線基地局E82からのそのアラームを受信し、それを送信先判定部84に転送する。
【0112】
送信先判定部84は、アラームを参照して、アラームの送信元が無線基地局E82であることを特定する。さらに、アラームの起因が無線基地局F83であることを特定する。上述のように、工事局を送信元とするアラームは、工事作業者及び工事管理者への転送が許可され、障害監視者への転送が禁止されている。そして、運用局を起因とするアラームの転送は、全てのユーザ種別に許可されている。
【0113】
送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照して、無線基地局F83の状態種別が、運用状態であることを特定する。送信先判定部84は、クライアント情報31に登録されている各クライアントについて転送の許否判定を行い、アラームを転送するクライアントとして、そのユーザ種別が工事作業者34及び工事管理者36であるクライアントβ35及びクライアントγ37を選択する。この後の工程は、他の場合と同様である。
【0114】
このように、アラームの送信元の無線基地局の状態種別及びそのアラームの起因となる無線基地局の種別に従って転送先クライアントの種別を決定することで、オペレータにとって不用な転送を遮断すると共に必要なアラームを適切に転送することできる。特に、障害監視者の監視作業が、工事局を起因とするアラームにより妨げられることを避けることができる。なお、設計によっては、アラームの起因である無線基地局の種別又はアラームの送信元の無線基地局の状態種別の一方のみに従ってアラーム転送先を決定してもよい。もしくは、工事局からのアラームと運用局からのアラームとに異なる転送先決定方法を適用してもよい。
【0115】
次に、図13のフローチャートを参照して、上記図9から図12を参照して説明したアラーム転送処理における、送信先判定部84の処理の流れを説明する。無線基地局は、障害発生に応答して、アラームを監視制御サーバシステム13に通知する。対基地局送受信部54は、受信したアラームを、送信先判定部84に転送する。送信先判定部84は、対基地局送受信部54から無線基地局からのアラーム通知を受信すると、アラームフィルタリング処理を開始する。
【0116】
送信先判定部84は、受信したアラームから、その送信元の無線基地局とアラームの起因となった無線基地局とを特定する(S121)。さらに、送信先判定部84は、無線基地局情報51から、アラーム送信元の無線基地局の状態情報とアラームの起因となった無線基地局の状態情報を取得する(S122)。次に、送信先判定部84は、クライアント情報31から、特定した状態情報に対応する(転送許可されている)ユーザ種別の監視制御クライアント装置の情報を、送信先クライアントの情報として取得する(S123)。
【0117】
送信先判定部84は、受信したアラームと送信先クライアントの情報を対クライアント送受信部38に転送し(S125)、処理を終了する。対クライアント送受信部38は、送信先判定部84から転送された受信アラームと送信先クライアントの情報とから、送信先クライアントに受信アラームを通知する。
【0118】
無線基地局を起因とするアラームは、上述のように、無線基地局の他、監視制御サーバシステム13(対基地局送受信部54)が生成する。監視制御サーバシステム13が生成したアラームの送信は、アラームの送信元無線基地局とアラーム起因の無線基地局とが同一である場合の処理と同様である。
【0119】
このように、無線基地局の状態種別と監視制御サーバシステム13に登録されているクライアントの種別とに従って、アラームの転送先を選択することで、各オペレータによるクライアントの使用目的に応じたアラームのみを、オペレータに通知することができる。
【0120】
上記構成例において、各オペレータは、クライアントの使用目的に応じたユーザ種別を監視制御サーバシステム13に設定する。無線基地局の状態(工事状態・運用状態)を監視制御サーバシステム13が保持し、障害監視者32以外のオペレータである工事管理者36又は工事作業者34が、工事の開始・終了に合わせて、監視制御サーバシステム13に対して、対象局の状態(工事状態・運用状態)を設定する。
【0121】
監視制御サーバシステム13は、工事局からのアラーム及び工事に波及して発生するアラームを工事作業者34及び工事管理者36にのみ通知し、障害監視者32へは通知しない。このように、クライアントは、オペレータの使用目的に応じたアラームのみを表示する。
【0122】
工事作業が1日あたり数局から数十局行われているような無線通信システムにおいて、システムが大きな問題なく運用できていることを監視する障害監視者32が、工事局を把握した設定作業を全く行うことなく、障害監視者32が使用するクライアントα33に運用局のみのアラームを表示することができる。
【0123】
このように、障害監視者32への転送アラームの選択において、監視制御サーバシステム13は、工事状況を把握しているオペレータ(工事作業者34又は工事管理者36)による無線基地局の登録情報を利用できるので、障害監視者32がその設定作業を行うことが不要となり、障害監視者32の作業負担が軽減される。
【0124】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
【0125】
上述のように、監視制御サーバシステムは、クライアントから無線基地局への監視制御メッセージ(クライアントに起因する監視制御メッセージ)と無線基地局を起因とする監視制御メッセージ(アラーム)の双方の送信制御を、クライアント情報と無線基地局情報を参照して行うことが好ましいが、それらの一方についてのみ、クライアントの種別及び無線基地局の種別に応じた送信制御を行ってもよい。特に、アラームの送信先の選択(フィルタリング)を、クライアント情報と無線基地局情報を参照して行うことが好ましい。
【0126】
無線基地局への監視制御メッセージの送信制御とクライアントへの監視制御メッセージの送信制御が、異なる規則に従っていてもよい。例えば、クライアントへの監視制御メッセージの送信制御は、図9〜図13を参照して説明した上記規則に従い、無線基地局への監視制御メッセージの制御は、工事作業者のクライアントの監視制御メッセージのみを工事局に転送し、障害監視者のクライアントの監視制御メッセージのみを運用局に転送する。
【0127】
上記構成において、無線基地局、監視制御サーバシステムそしてクライアントが監視制御メッセージの送信主体であるが、本発明は、どのような監視制御メッセージの送信主体を備えるシステムにも適用することができる。例えば、上記3種別の主体のうちの一部のみが監視制御メッセージを送信するシステムに本発明を適用することができる。
【0128】
上記構成は、3種別のオペレータ(クライアント)と、2種別の無線基地局を備えている。これら種別の数は、システム設計に従って適切な値が選択される。クライアントの種別数及び無線基地局の種別数は、オペレータと作業効率と制御のシンプリシティとの点から、上記2種別が好ましい。しかし、本発明は、いずれのクライアントの種別数及び無線基地局の種別数を備えるシステムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
11 移動端末、12 無線基地局、13 監視制御サーバシステム、14 監視制御クライアント装置、15 オペレータ(ユーザ)、17 監視制御サーバ装置、31 クライアント情報、32 障害監視者、33 監視制御クライアント装置α、34 工事作業者、35 監視制御クライアント装置β、36 工事管理者、37 監視制御クライアント装置γ、38 対クライアント送受信部、51 無線基地局情報、52 無線基地局A
53 無線基地局B、54 対基地局送受信部、71 運用局、72 工事局、81 無線基地局D、82 無線基地局E、83 無線基地局F、84 送信先判定部、131 ネットワークインタフェース、132 CPU、133 バス、134 主記憶装置、135 二次記憶装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局監視制御システム及び無線基地局の監視制御方法に関し、特に、無線基地局を監視制御するシステムにおける監視制御メッセージの通信に関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局を監視及び制御するシステムは、典型的に、図14に示す様に、移動端末11と通信を行う無線基地局12並びに無線基地局12を監視制御する監視制御サーバ装置17及び監視制御クライアント装置14を備えている。
【0003】
無線通信システムは、数千〜数万局の無線基地局12を含み、監視制御サーバ装置17は、これらすべての無線基地局12を収容する。複数台の監視制御クライアント装置14は、監視制御サーバ装置17と接続し、監視制御サーバ装置17が収容している全ての無線基地局12を監視制御する。オペレータ15は、監視制御クライアント装置14を使用して無線基地局12を監視制御する。
【0004】
無線基地局12に障害が発生した場合、無線基地局12からのアラームは、監視制御サーバ装置17に通知される。監視制御サーバ装置17は、通知されたアラームを全ての監視制御クライアント装置14に向けて送信する。各監視制御クライアント装置14に通知されたアラームは、その画面上でアラーム内容の表示や警報音の発出により、オペレータ15に通知される。オペレータ15が入力した制御命令は、監視制御クライアント装置14から、監視制御サーバ装置17を介して対象の無線基地局12に送信される。
【0005】
なお、特許文献1は、データネットワークにおいてネットワークの運用者の指示により、予め計画されたネットワーク内の工事、試験、保守、停電などのイベントがキーボードやディスプレイを介して登録され、イベントの開始時刻から終了時刻までの間にイベントによる要因で発生する障害発生などの通報信号に対し、イベント実施中の旨の情報を付加することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−327876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線基地局12を含む通信システムにおいては、エリア拡大のための無線基地局12の増設や無線基地局12の周波数増設等の工事作業が、日々実施されている。このためフィールドには、運用を開始している無線基地局、増設工事中の無線基地局、運用開始後に増設工事を行っている無線基地局など、さまざまな状態の無線基地局が混在している。
【0008】
工事中の無線基地局の状態確認や運用中の無線基地局の監視は、無線基地局を監視する監視制御クライアント装置14を用いて行われている。監視制御クライアント装置14を操作するのはオペレータ15であるが、オペレータ15の業務によって、監視制御クライアント装置14を使用する目的が様々である。
【0009】
例えば、障害監視を行うオペレータ15は、運用中の無線基地局12の監視及び制御を行うために監視制御クライアント装置14を使用する。無線基地局12の工事作業を行うオペレータ15は、工事中の無線基地局12の監視及び制御を行うために監視制御クライアント装置14を使用する。
【0010】
このように、通信システムにおいては、様々な状態の無線基地局12が存在すると共に、異なる作業を行うオペレータ15が存在している。従って、オペレータ15が監視制御の対象とする無線基地局12は、そのオペレータ15の作業及び無線基地局12の状態に依存している。オペレータ15は、それぞれ、監視制御クライアント装置14を使用して無線基地局12の監視制御を行うため、監視制御クライアント装置14において、監視制御対象の個々の無線基地局12を選択する手法が考えられる。
【0011】
例えば、監視制御クライアント装置14はフィルタを備え、そのフィルタは許可設定されている無線基地局との間においてのみ通信を行う。具体的には、監視制御クライアント装置14は、許可設定されている無線基地局12からのアラームのみをオペレータに通知する、若しくは、許可設定されている無線基地局12への監視制御指令のみを受け付ける。
【0012】
しかし、この構成においては、オペレータ(又は他のユーザ)は、それぞれの無線基地局12の状態を確認し、各監視制御クライアント装置14においてフィルタの設定を行うことが必要となる。フィルタ設定は、オペレータ(又は他のユーザ)にとって大きな作業負担となる。
【0013】
例えば、オペレータの一人である障害監視者は、システムが大きな問題なく運用できていることを監視する業務を行う。障害監視者の制御監視対象は、運用中の無線基地局である。そのため、各障害監視者は、工事作業が1日あたり数局から数十局行われているようなシステムにおいては、日々、最大数十局に及ぶ工事作業中の無線基地局を把握し、それら無線基地局に対してのフィルタ設定作業を行うこととなる。そのフィルタ設定作業は多くの時間を要し、障害監視者の各々の作業負担が大きく増加する。
【0014】
また、複数人の障害監視者が監視作業を行い、その複数人が使用する監視制御クライアント装置14が不定である場合、日々の工事作業のたびに、障害監視者の使用する監視制御クライアント装置14を把握して、その監視制御クライアント装置14に対してのフィルタ設定作業を行うこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、複数の無線基地局を監視制御する、無線基地局監視制御システムであって、オペレータにより使用される複数の監視制御クライアントと、前記複数の無線基地局と前記複数の監視制御クライアントとの間において、監視制御メッセージの通信を行う監視制御サーバシステムを備える。前記監視制御サーバシステムは、前記複数の無線基地局のそれぞれの状態種別を表す情報を含む無線基地局情報と、前記複数の監視制御クライアントのそれぞれのオペレータ種別を表す情報を含むクライアント情報と、前記無線基地局情報における前記状態種別を表す情報及び前記クライアント情報における前記オペレータ種別を表す情報に基づいて、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う、判定部とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、無線基地局の監視制御システムにおいて、無線基地局の状態及びクライアントを使用するユーザの作業に応じて、監視制御メッセージの送信を効率的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態において、無線基地局の監視制御システムの構成及び監視制御クライアント装置毎の監視制御目的の違いの概要を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態において、監視制御サーバシステムの構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態において、監視制御サーバシステムにクライアント情報を登録する処理を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態において、クライアント情報の構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態において、監視制御サーバシステムに無線基地局情報を登録する処理を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施形態において、無線基地局情報の構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態において、リセット指示による無線基地局の制御を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施形態において、クライアントから無線基地局に対する監視制御メッセージの送信制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態において、運用局からのアラームを処理する例を模式的に示す図である。
【図10】本発明の実施形態において、クライアント情報の構成例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態において、無線基地局情報の構成例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態において、工事局からのアラームを処理する例を模式的に示す図である。
【図13】本発明の実施形態において、監視制御サーバシステムおけるアラーム転送制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】従来の技術において、移動体通信システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明を実施するための形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0019】
本実施形態の無線基地局監視制御システムは、クライアント・サーバ構成を備える。オペレータ(ユーザ)は、監視制御クライアント装置(以下においてクライアント)を使用して、無線基地局の監視制御を行う。監視制御サーバシステムは、クライアント及び無線基地局と通信を行う。監視制御サーバシステムは、クライアント及び無線基地局との間において、監視制御メッセージの通信を制御する。監視制御メッセージは監視のためのメッセージ又は制御のためのメッセージである。
【0020】
本実施形態の監視制御サーバシステムは、無線基地局の状態種別を表す情報とクライアントのオペレータ(ユーザ)種別を表す情報とを参照して、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う。監視制御サーバシステムは、禁止された送信先に監視制御メッセージを送信することなく、許可された送信先に監視制御メッセージを送信する。
【0021】
監視制御サーバシステムが、無線基地局の状態種別とクライアントのオペレータ種別とにより、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行うことで、オペレータの作業を支援する処理を効果的かつ効率的に行うことができる。
【0022】
以下において、本実施形態の無線基地局監視制御システムを、より具体的な構成例を参照して説明する。図1は、本実施形態における無線基地局の監視制御システムの構成を模式的に示す図である。本実施形態の無線基地局監視制御システムはクライアント・サーバ構成を有しており、複数のクライアントと監視制御サーバシステム13とを備えている。
【0023】
監視制御サーバシステム13と複数のクライアントとはネットワーク(不図示)を介して通信を行う。同様に、監視制御サーバシステム13と複数の無線基地局は、ネットワーク(不図示)を介して通信を行う。図1においては、例示的に、3つのクライアントα、クライアントβ、クライアントγが、それぞれ、参照符号33、35、37で示されている。
【0024】
工事中の無線基地局の状態確認や運用中の無線基地局の監視は、無線基地局を監視するクライアントを用いて行われる。クライアントを操作するのはオペレータであるが、オペレータの業務によって、クライアントを使用する目的が様々である。図1の構成例において、オペレータは、その使用目的によって障害監視者32、工事作業者34、工事管理者36に分類される。クライアントの種別は、それを使用するオペレータ(使用目的又は作業内容)の種別により決まる。
【0025】
障害監視者32がクライアントα33を使用し、工事作業者34がクライアントβ35を使用し、そして工事管理者36がクライアントγ37を使用する。図1は、複数の障害監視者、複数の工事作業者、そして一人の工事管理者を例示しているが、これらオペレータの種別毎の人数は、無線基地局監視制御システムの状況により変化する。
【0026】
無線基地局監視制御システムは複数の無線基地局を監視制御する。以下に説明する構成例において、無線基地局は、運用状態の基地局(運用局)71と工事状態の基地局(工事局)72とに分類される。運用局71は運用(通常の動作)を開始している無線基地局であり、工事局72は増設作業や周波数増設作業などの工事作業を行っている無線基地局である。
【0027】
障害監視者32は、システムが大きな問題なく運用できていることを監視する業務を行っている。典型的に、複数人の障害監視者32が作業を行い、運用局71からアラームが発生したことを認知すると、システムを正常に運用させるために、アラームに対する復旧作業を行う。このため、障害監視者32が使用するクライアントは複数台存在し、運用局71を起因として発生したアラームを漏れなく監視するという目的を持つ。
【0028】
工事作業者34は、上述のように、基地局の新規増設作業や周波数増設作業等の工事作業を行う。工事作業者34は、工事局72の状態(工事局を起因とするアラーム)のみを確認するという目的を持つ。工事管理者36は、工事の開始や終了、および運用開始が予定通りに行われているかを監視する業務を行っている。また、工事作業に伴い運用局71に影響がないことを監視するため、運用局71を起因として発生したアラームを監視するという目的を持つ。
【0029】
工事局72は、その工事作業に伴い、無線基地局のリセットや回線断などのアラームを発信する。アラームは監視制御メッセージの1つであり、その指定送信先(監視制御サーバシステムによる送信許否判定前の指定送信先)は、全てのクライアントである。基地局増設や周波数増設のための工事作業は、1日あたり数局から数十局の単位で行われる。そのため、監視制御サーバシステム13が、全てのクライアントにアラームを通知すると、各クライアントが受信する工事に起因するアラーム数は、数百件に及ぶ。
【0030】
しかし、工事局72で発生した数百件のアラームは、工事作業に伴うアラームであり、システム運用上は問題がない。システムの障害監視を行う障害監視者32は、工事局72からのアラームを受信する必要がないばかりか、そのようなアラームは、障害監視者32の障害監視を邪魔するものとなる。
【0031】
その一方で、運用局71にて障害が発生しアラームが送信された場合には、そのアラームはシステム運用上の問題を示し、工事局72とは関係がない。工事作業を行う工事作業者34は、運用局71からのアラームを受信する必要がないばかりか、そのようなアラームは、工事作業者34の工事作業を邪魔するものとなる。
【0032】
この他、上述のように、障害監視者32は、システムを正常に運用させるために、運用局71に起因するアラームの復旧作業を行う。障害監視者32は、運用局71にコマンド(制御指令)を送信することで、運用局71を制御する。コマンドは監視制御メッセージの1つである。一方、工事作業者34は、工事局72に対してコマンドを送信することで、工事作業において工事局72を制御する。クライアントから無線基地局の制御において、オペレータが誤って、目的の無線基地局とは異なる無線基地局にコマンドを送信することがある。
【0033】
本実施形態の制御監視サーバシステム13は、無線基地局の状態種別とクライアントのユーザ種別を表す情報をデータ記憶装置(のそれぞれの記憶領域)に格納し、その情報を参照して監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う。
【0034】
具体的には、運用状態の運用局71に起因するアラームの障害監視者32及び工事管理者36のクライアントへの送信(を許可)し、工事作業者34のクライアントへの送信を禁止する。工事状態の工事局72に起因するアラームの工事作業者34及び工事管理者36のクライアントへの送信(を許可)し、障害監視者32のクライアントへの送信を禁止する。障害監視者32、工事作業者34及び工事管理者36は、それぞれオペレータ種別である。
【0035】
制御監視サーバシステム13は、クライアントからのコマンドの送信先についても、無線基地局とクライアントの種別を表す情報を参照して決定する。コマンドは、指定送信先の無線基地局を特定する情報を含む。制御監視サーバシステム13は、クライアントからコマンドを受信すると、そのコマンドの送信元である(コマンドの起因である)クライアントのオペレータ種別が障害監視者32である場合、指定送信先が運用局71である場合のみ、コマンドの転送(送信)を許可し、そうでない場合には転送を禁止する。
【0036】
クライアントのオペレータ種別が工事作業者34である場合、制御監視サーバシステム13は、指定送信先が工事局72である場合のみコマンドの転送を許可する。クライアントのオペレータ種別が工事管理者36である場合、制御監視サーバシステム13は、指定送信先が運用局71及び工事局72のいずれであっても、コマンドの転送を許可する。制御監視サーバシステム13は、コマンド転送を禁止する場合、エラー通知を送信元クライアントに行う。
【0037】
このように、クライアントのオペレータ種別と無線基地局の状態種別に応じて監視制御メッセージの送信を制御することで、無線基地局の状態及びオペレータ(クライアント)の作業目的に応じて、監視制御メッセージの送信を制御することができる。クライアントと無線基地局の種別により監視制御メッセージの送信を制御するので、無線基地局又はクライアント単位での設定に比較して、情報登録処理の負担を大きく低減することができる。又、監視制御サーバシステム13が登録情報に従って監視制御メッセージの送信制御を行うので、各クライアントが送信制御を行う構成と比較して、情報登録処理の負担を大きく低減することができる。
【0038】
上述のように、監視制御サーバシステム13は、無線基地局とクライアントの登録情報を参照して監視制御メッセージの送信を制御する。まず、監視制御サーバシステム13の構成を、図2を参照して説明する。図2は、監視制御サーバシステム13の構成を模式的に示す図である。図2は、一つの計算機で構成された監視制御サーバシステム13を示している。監視制御サーバシステム13は複数の計算機及びストレージ装置を含むことができる。
【0039】
図2の例において、監視制御サーバシステム13は、ネットワークインタフェース131、プロセッサであるCPU132、主記憶装置134、二次記憶装置135を備える。これら装置は、バス133を介して接続している。監視制御サーバシステム13は、ネットワークインタフェース131を介してネットワークと接続しており、システム内の他の装置との間で通信を行う。CPU132は、主記憶装置134に格納されているプログラムを実行することによって監視制御サーバシステム13の所定の機能を実現する。
【0040】
図2は、監視制御サーバシステム13の機能を実現するプログラム及び登録情報を示している。具体的には、監視制御サーバシステム13は、対クライアント送受信部38、対基地局送受信部54、そして送信先判定部84を含む。これらはプログラムである。
【0041】
本例は、監視制御サーバシステム13の機能を3つのプログラムにより示すが、プログラムの数は、いくつでもよい。任意の2つのプログラムの機能を1つのプログラムが実行してもよく、1つのプログラムの機能を複数のプログラムが実行してもよい。あるプログラムの一部の処理を、他のプログラムが実行してもよい。
【0042】
CPU132は、これらプログラムに従って動作することで、これら機能部として動作することができる。従って、プログラムの行う処理は、CPU132及びそのCPU132を含む監視制御サーバシステム13の処理である。図2は、説明の便宜上、主記憶装置134内にプログラムを示しているが、監視制御サーバシステム13の処理において必要とされるデータ(プログラムを含む)は、典型的に、二次記憶装置135から主記憶装置134に格納される。これらプログラム(に従うCPU132)の動作は後述する。本例において、監視制御サーバシステム13のプロセッサは1つのCPU132で構成されているが、プロセッサは複数のCPUを含むことができる。
【0043】
図2に示すように、監視制御サーバシステム13は、クライアント情報31及び無線基地局情報51を備える。情報の詳細は後述する。本実施形態において、データ記憶領域に格納される情報はデータ構造に依存せず、どのようなデータ構造で表現されていてもよい。例えば、テーブル、リスト若しくはデータベースから適切に選択したデータ構造体が、必要な情報を格納することができる。
【0044】
図2は、便宜上、上記情報を二次記憶装置135内に示すが、典型的には、CPU132は、主記憶装置134にロードされたこれらテーブルのデータを取得する。監視制御サーバシステム13において、上記プログラム及び情報は、主記憶装置134及び二次記憶装置135において、対応する記憶領域内に格納される。
【0045】
二次記憶装置135は、監視制御サーバシステム13の所定の機能を実現するために必要な上記プログラム及び情報を格納する不揮発性記憶装置である。二次記憶装置135は、典型的にはハードディスク装置である。監視制御サーバシステム13は、フラッシュメモリなどの半導体記憶媒体を使用してもよいし、ネットワークを介して接続された記憶装置を使用してもよい。主記憶装置134、二次記憶装置135及びこれらのセットは記憶装置であり、さらに他の要素を含むことができる。
【0046】
監視制御を行う端末であるクライアントα33、クライアントβ35及びクライアントγ37は、それぞれ計算機である。そのため、図2を参照して説明した監視制御サーバシステム13と同様のハードウェア構成とすることができる。そのため、これらクライアントの構成の詳細内説明は省略する。クライアントは、図2を参照して説明した各ハードウェア構成要素に加え、入力装置及び表示装置を備えている。入力装置は、典型的には、ポインタ及びキーボードを含む。
【0047】
監視制御サーバシステム13において動作するプログラムによる機能の少なくとも一部は、専用ハードウェアにより実装してもよい。監視制御サーバシステム13及びクライアント33〜37は、プログラムに従って動作する典型的な計算機の他、専用のハードウェ回路を備える装置として構成してもよい。
【0048】
次に、監視制御サーバシステム13におけるクライアント情報の登録を、図3及び図4を参照して説明する。図3に示すように、クライアントα33、クライアントβ35及びクライアントγ37は、それぞれ、自身に関する情報を監視制御サーバシステム13に送信し、監視制御サーバシステム13は、受信した情報をクライアント情報31に登録する。
【0049】
図4は、クライアント情報31の一例を示している。図4の例において、クライアント情報31はテーブル構成を有し、そのテーブルは、「ユーザ名」、「ユーザ種別」、「クライアント識別子」、クライアントの「IPアドレス」のカラムを有している。各レコードが、一つのクライアントの情報である。
【0050】
「ユーザ名」のフィールドは、クライアントを現在使用しているオペレータのユーザ名を格納する。「ユーザ種別」のフィールドは、クライアントを現在使用しているオペレータの種別を表す情報を格納する。本例においては、障害監視者、工事作業者、工事管理者のいずれかを格納する。「クライアント識別子」のフィールドは、対象のクライアントを識別する情報を格納する。「IPアドレス」のフィールドは、対象のクライアントのIPアドレスを格納する。「ユーザ名」は、オペレータを特定できる情報であれば他の情報でもよい。これらの情報の一部の情報については、設計上不要であれば登録しなくともよい。
【0051】
「ユーザ種別」は、クライアントを使用するオペレータの種別を一意に特定することができる情報であれば、どのような情報を格納してもよい。本例のように、オペレータの種別を直接に示す情報の他、監視制御メッセージの送信制御においてクライアントを使用するオペレータを識別することができるのであれば、直接又は間接にクライアント種別を示す情報を格納することができる。
【0052】
各オペレータは、使用するクライアントにおいて、クライアント情報31に登録する情報を入力する。例えば、障害監視者(ユーザ名:user1)32がクライアントα33を使用するとき、障害監視者32は、クライアントα33にてユーザ名:user1とユーザ種別:障害監視者とを入力する。もちろん、他のユーザがこれらの情報を入力してもよい。
【0053】
図3に示すように、クライアントα33は、その入出力装置から入力された情報を、監視制御サーバシステム13に送信する。対クライアント送受信部38はクライアントα33からの情報を受信し、クライアント情報31にそれを格納する。このとき、対クライアント送受信部38は、クライアントα33の識別子及びIPアドレスも格納する。IPアドレスはクライアントα33から送信されるフレームに格納されている。クライアント識別子は、対クライアント送受信部38により任意に設定される。
【0054】
同様に、工事作業者(ユーザ名:user2)34がクライアントβ35を使用するとき、工事作業者34は、クライアントβ35にてユーザ名:user2とユーザ種別:工事作業者とを入力する。工事管理者(ユーザ名:user3)36がクライアントγ37を使用するとき、工事管理者36は、クライアントγ37にて、ユーザ名:user3とユーザ種別:工事管理者とを入力する。
【0055】
クライアントβ35及びクライアントγ37は、それぞれ入力された情報を監視制御サーバシステム13に送信する。対クライアント送受信部38は、クライアントβ35及びクライアントγ37から送信された情報を受信し、それをクライアント情報31に格納する。このとき、対クライアント送受信部38は、クライアントβ35及びクライアントγ37の識別子及びIPアドレスも格納する。
【0056】
オペレータがクライアントの使用を終了すると、オペレータはそれを示す情報をクライアントに入力する。クライアントは、オペレータによる使用終了を示すメッセージを、監視制御サーバシステム13に送信する。対クライアント送受信部38は、クライアントから受信したメッセージに従って、そのクライアントの登録情報を削除する。
【0057】
次に、無線基地局情報51の登録を、図5及び図6を参照して説明する。図5は、無線基地局情報51の構成例を示している。本例において、無線基地局情報51はテーブル構成を備え、そのテーブルは、「無線基地局識別子」、「IPアドレス」、「状態種別」そして「接続する対向局」のカラムを有している。各レコードが、1つの無線基地局の情報を格納している。これらの情報の一部の情報(例えば、接続する対向局)については、設計上不要であれば登録しなくともよい。
【0058】
「無線基地局識別子」のフィールドは、無線基地局を識別する情報を格納する。「IPアドレス」のフィールドは、対応する無線基地局のIPアドレスを格納する。「状態種別」のフィールドは、対応する無線基地局の状態種別を格納する。本構成においては、運用又は工事のいずれかである。
【0059】
「状態種別」のフィールドは、無線基地局の状態の種別を一意に特定することができる情報であれば、どのような情報を格納してもよい。状態の種別を直接に示す情報の他、監視制御メッセージの送信制御において無線基地局の状態を識別することができるのであれば、直接又は間接に状態の種別を示す情報を格納することができる。
【0060】
「接続する対向局」のフィールドは、対応する無線基地局が通信を行う他の無線基地局を特定する情報を格納する。無線基地局は、移動端末の移動に伴い、隣接する無線基地局とハンドオフ処理を行う。「接続する対向局」は、この処理を行う無線基地局であり、2つの無線基地局の間にリンクが確立される。
【0061】
本実施形態のシステムは、「接続する対向局」として、無線基地局とは異なる装置を含むことができる。例えば、システムは、複数の無線基地局を束ねるルータ装置を備え、そのルータ装置は無線基地局と接続すると共に、無線基地局間の通信データを転送する。ルータ装置と接続する無線基地局との間においてリンクが確立される。監視制御サーバシステム13は、ルータを監視対象として定義、登録し(登録情報を備え)、無線基地局と同様に監視することができる。ルータ装置には複数の種別が設定されていなくともよい。
【0062】
図5の例においては、無線基地局A52及び無線基地局B53は、それぞれ、他方の無線基地局を「接続する対向局」として有している。無線基地局がリンクを確立する他の無線基地局の数はその無線基地局の状況に依存し、典型的には2以上の無線基地局と通信を行う。
【0063】
監視制御サーバシステム13は、クライアントからの要求に従って、無線基地局情報51への情報登録を行う。監視制御サーバシステム13はクライアントから無線基地局の情報を受信し、その情報を無線基地局情報51に格納する。オペレータは、無線基地局の情報をクライアントに入力し、クライアントはその入力情報を監視制御サーバシステム13に送信する。
【0064】
例えば、無線基地局52を新規設置し、その無線基地局52を監視制御サーバシステム13(無線基地局情報51)に登録する場合、工事作業者34は、クライアントβ35上にて、無線基地局52の識別子及びIPアドレスを入力する。このとき、無線基地局52の状態の種別は工事状態として入力する。また、入力する無線基地局52が既登録局53と通信を行う場合は、接続する対向局として無線基地局53を入力する。
【0065】
クライアントβ35にて入力された無線基地局52の情報は、クライアントβ35により監視制御サーバシステム13に送信される。対クライアント送受信部38は、クライアントβ35から受信した無線基地局52の情報を、無線基地局情報51に格納する。
【0066】
また、監視制御サーバシステム13に保持される無線基地局情報51は、クライアントからの指示により更新される。例えば、無線基地局の調整作業終了後、その無線基地局は、工事状態から運用状態へと移行する。工事管理者36は、クライアントγ37上にて、無線基地局の状態が工事状態から運用状態に変更することを入力する。
【0067】
クライアントγ37にて入力された無線基地局の状態情報は、クライアントγ37により監視制御サーバシステム13に送信される。対クライアント送受信部38は、クライアントγ37から受信した情報に従って、無線基地局情報51に保持する無線基地局の状態を工事状態から運用状態に変更する。
【0068】
このほか、例えば、システム運用状態の無線基地局に増設作業等の工事作業を実施する場合、工事管理者36は、クライアントγ37上にて、その無線基地局の状態情報が運用状態から工事状態に変更することを入力する。クライアントγ37にて入力された無線基地局の状態情報は、クライアントγ37により監視制御サーバシステム13に送信される。対クライアント送受信部38は、クライアントγ37から受信した情報に従って、無線基地局情報51に保持する無線基地局の状態を運用状態から工事状態に変更する。
【0069】
図5に示すように、監視制御サーバシステム13は、無線基地局情報51にその情報保持する無線基地局との間で、監視制御のメッセージ通信の送受信を行う。例えば、監視制御サーバシステム13の対基地局送受信部54は、無線基地局情報51を参照して、収容する無線基地局52、53のアドレスを取得し、無線基地局52、53の死活監視を行う。いずれかの無線基地局において障害を検出すると、対基地局送受信部54は、それを示すアラームを生成する。監視制御サーバシステム13は、そのアラームを所定のクライアントに送信するが、その処理は後述する。
【0070】
監視制御サーバシステム13が収容する無線基地局のそれぞれは、監視制御サーバシステム13と接続するいずれかのクライアントにより監視制御される。本例においては、障害監視のクライアントα33は、運用中の全ての無線基地局を監視制御し、工事作業のクライアントβ35は、工事中の全ての無線基地局を監視制御し、工事管理のクライアントγ37は、監視制御サーバシステム13が収容している全て無線基地局を監視制御する。各オペレータは自分のクライアントにおいて特定の無線基地局を特定する情報を設定して、監視する無線基地局を選択してもよい。
【0071】
監視制御サーバシステム13に収容されている全ての無線基地局は、無線基地局情報51に登録されている。クライアントは、監視制御サーバシステム13から無線基地局情報51に格納されている無線基地局の情報を取得し、その情報を参照して対象の無線基地局の監視制御を行う。
【0072】
クライアントは、無線基地局を制御するため、対象の無線基地局にコマンドを送信する。クライアントは、監視制御サーバシステム13から各無線基地局を特定する情報(例えば、IPアドレス又は識別子)を取得し、対象の無線基地局を特定してコマンドを監視制御サーバシステム13に送信する。監視制御サーバシステム13は、所定の規則に従って、受信したコマンドを対象の無線基地局に転送する。
【0073】
クライアントによる無線基地局の制御の例を、図7を参照して説明する。図7は、工事作業者34が無線基地局52のリセット操作を行う例を示している。工事作業者34は、例えば、無線基地局52を新規設置した後に、無線基地局52が正常に動作することを確認する調整作業において、リセット操作を行う。
【0074】
上述のように、監視制御サーバシステム13は、クライアントのオペレータ種別及び無線基地局の状態種別に従って、監視制御メッセージの送信先についての決定を行う。その一つとして、監視制御サーバシステム13は、クライアントから無線基地局の制御のための監視制御メッセージを受信すると、送信元のクライアントのオペレータ種別(ユーザ種別)が、監視制御メッセージが指定する送信先の無線基地局の状態種別に対して、監視制御メッセージを送信することが許可されている種別である場合にのみ、監視制御メッセージを転送(送信)する。
【0075】
クライアントの種別が無線基地局の種別に対して監視制御メッセージの送信を禁止されている種別である場合、監視制御サーバシステム13は、監視制御メッセージの無線基地局への転送(送信)を拒否し、エラーをクライアントに通知する。
【0076】
本構成においては、障害監視者と運用局とが送信先として関連付けられ、工事作業者と工事局とが送信先として関連付けられ、工事管理者と運用局及び工事局とが送信先として関連付けられている。障害監視者から運用局への監視制御メッセージは許可され、工事局への監視制御メッセージは禁止される。工事作業者から運用局への監視制御メッセージは拒否され、工事局への監視制御メッセージは許可される。工事管理者からの監視制御メッセージは、無線基地局の状態種別を問わず許可される。
【0077】
このように、クライアント(オペレータ)の種別に応じて、監視制御メッセージを送信することが許可される無線基地局を特定することで、ヒューマン・エラーによる無線基地局の誤った制御の発生を低減することができる。
【0078】
図7に示すリセット指示の例において、工事作業者34がクライアントβ35において無線基地局52のリセット操作を行うと、クライアントβ35は、監視制御サーバシステム13に無線基地局52のリセット指示を行う。具体的には、クライアントβ35は、無線基地局52を特定する情報とリセット指示を示す監視制御メッセージを、監視制御サーバシステム13に送信する。
【0079】
対クライアント送受信部38は、クライアントβ35からリセット指示(監視制御メッセージ)を受信すると、それを送信先判定部84に転送する。送信先判定部84は、クライアント情報31のユーザ種別のフィールドを参照して、リセット指示を送信したクライアントβ35のオペレータ種別を特定する。本例においては、その種別は工事作業者である。送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照し、リセット指示の対象である無線基地局52の状態種別を特定する。本例においては、その種別は工事である。
【0080】
本構成において、工事作業者のクライアントは、工事状態の無線基地局に対する監視制御メッセージを送信することができる。従って、送信先判定部84は、クライアントβ35から無線基地局52へのリセット指示を、対基地局送受信部54に転送する。
【0081】
リセット指示が無線基地局52のIPアドレスを指定している場合、対基地局送受信部54は、無線基地局52のIPアドレスを無線基地局情報51から取得して、そのアドレスにリセット指示の監視制御メッセージを送信する。クライアントβ35からのメッセージが無線基地局52のIPアドレスを含む場合、アドレス取得のために無線基地局情報51を参照する必要はない。
【0082】
監視制御サーバシステム13による、クライアントから無線基地局への監視制御メッセージの上記転送処理の流れを、図8のフローチャートを参照して説明する。対クライアント送受信部38は、クライアントから、特定の無線基地局を指定する監視制御メッセージを受信する(S81)。
【0083】
送信先判定部84は、受信した監視制御メッセージ(における必要な情報)を対クライアント送受信部38から取得する。送信先判定部84は、クライアント情報31を参照して、送信元クライアントのオペレータ種別を特定する(S82)。さらに、送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照して、メッセージ送信先の無線基地局の状態種別を特定する(S83)。
【0084】
送信先判定部84は、特定したクライアントの種別と無線基地局の種別とが送信相手として関連付けられているか否かを判定する(S84)。これらが関連付けられている場合(S84におけるYes)、つまり、送信元クライアントのオペレータ種別が、指定送信先無線基地局の状態種別に対して監視制御メッセージの送信を許可されている種別である場合、送信先判定部84は、監視制御メッセージ(の必要な情報)を対基地局送受信部54に渡す(送信許可)。対基地局送受信部54は、必要により無線基地局情報51を参照して送信先IPアドレスを特定し、無線基地局に監視制御メッセージを送信する(S85)。
【0085】
これらが関連付けられていない場合(S84におけるNo)、つまり、送信元クライアントのオペレータ種別が、送信先無線基地局の状態種別に対して監視制御メッセージの転送(送信)を禁止されている種別である場合、送信先判定部84は、その監視制御メッセージの送信先は存在しないと判定し、監視制御メッセージの転送を拒否する(S85)。送信先判定部84は、その旨を対クライアント送受信部38に通知する。転送拒否の通知を受けた対クライアント送受信部38は、それを示すエラーをクライアントに通知する(S86)。
【0086】
以上のように、監視制御サーバシステム13は、クライアントから無線基地局に対する監視制御メッセージの送信の許否を、送信元クライアントのオペレータ種別と指定送信先無線基地局の状態種別に応じて決定を行う。これにより、オペレータのミスにより、目的と異なる無線基地局を誤って制御する可能性を小さくすることができる。
【0087】
上記例において、クライアントの種別と無線基地局の種別の関連付けは、送信先判定部84において予め設定されている。これと異なり、監視制御サーバシステム13は、クライアントの種別と無線基地局の種別との関連付けを示す関連付け情報を備え、クライアントからの要求に従ってその情報の登録及び更新を行ってもよい。
【0088】
次に、無線基地局を起因とするアラームが発生した場合の処理を、図9〜図13を用いて説明する。アラームは、監視制御メッセージの1つである。無線基地局において予め設定された特定の事象(障害として設定された事象)が発生すると、その無線基地局を起因とするアラームが、所定のクライアントに送信される。監視制御サーバシステム13は、クライアント情報31におけるユーザ種別と無線基地局情報51における状態種別を参照して、アラームの送信先についての決定を行う。
【0089】
典型的には、障害が発生した無線基地局がアラームを生成し、それを監視制御サーバシステム13に送信する。この場合、アラームの送信無線基地局と起因となる無線基地局が一致する。この他、図6を参照して説明したように、監視制御サーバシステム13は無線基地局の監視を行い、いずれかの無線基地局で障害を検知すると、その無線基地局を起因とするアラームを生成する。
【0090】
また、接続する対向局を有する無線基地局は、その接続先の無線基地局(とのリンク)の障害を検知すると、接続先無線基地局を起因とするアラームを監視制御サーバシステム13に送信する。例えば、無線基地局間で死活監視を行っている場合は、一方の無線基地局がダウンすると、他方の無線基地局から、上記一方の無線基地局の死活監視が失敗したことを示すアラームが監視制御サーバシステム13に通知される。
【0091】
監視制御サーバシステム13は、好ましい構成において、アラームの起因である無線基地局及びアラーム送信元の無線基地局の状態種別を特定し、その特定した状態種別に従ってクライアントの各種別への送信許否を判定し、送信するクライアントの種別を選択する。
【0092】
このように、アラーム送信元の無線基地局及びアラーム起因の無線基地局の登録されている状態種別に応じて送信先クライアントの登録ユーザ種別を特定することで、各オペレータがその監視制御作業を適切かつ効率的に行うことができる。また、監視制御サーバシステム13が、その登録情報に応じてアラームの送信制御を行うので、無線基地局又はクライアント単位での設定に比較して、その送信制御のための設定作業を大きく削減することができる。
【0093】
以下において、図9〜図11を参照して、運用局から送信されたアラームの転送処理の例を説明する。図9に示すシステム構成例において、オペレータとして、障害監視者(user1)32、工事作業者(user2)34、工事管理者(user3)36が存在し、それぞれ、クライアントα33、クライアントβ35、クライアントγ37を使用している。これらの使用状態の情報は、図10に示すように、監視制御サーバシステム13のクライアント情報31が保持している。
【0094】
また、無線基地局として無線基地局D81、無線基地局E82、無線基地局F83がある。無線基地局E82と無線基地局F83の間にはリンクが確立されており、互いに接続状態にある。無線基地局D81、無線基地局F83の状態は運用状態、無線基地局E82の状態は工事状態である。これらの無線基地局81〜83の情報は、図11に示すように、監視制御サーバシステム13の無線基地局情報51に保持されている。
【0095】
図9において、運用局である無線基地局D81において障害が発生すると、それを検知した無線基地局D81は、アラームを監視制御サーバシステム13に送信する。対基地局送受信部54は、無線基地局D81からのアラームを受信し、それを送信先判定部84に転送する。
【0096】
送信先判定部84は、アラームを参照して、アラームの送信元及びアラームの起因が無線基地局D81であることを特定する。アラームは、典型的には、アラームの種別、アラームの起因となった無線基地局を示す情報及びアラームの送信元を示す情報を含む。アラームの種別は、例えば、リセットや障害の種別(無線基地局における特定カードの故障、対向局とのリンクエラーなど)を示す。本例においては、アラームは送信先を指定する情報を含まないが、その指定送信先は、全てのクライアントであると、送信先判定部84に予め設定されている。
【0097】
送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照して、アラームの送信元及びアラーム起因の無線基地局の状態種別を特定する。図11に示すように、無線基地局D81の状態種別は、「運用」である。送信先判定部84においては、アラーム送信元の無線基地局の状態種別とその送信先として許可(禁止)されるクライアントのユーザ種別(オペレータ種別)との関連付けが、予め設定されている。さらに、アラーム起因の無線基地局の状態種別とその送信先として許可(禁止)されるクライアントのユーザ種別(オペレータ種別)との関連付けが、予め設定されている。
【0098】
本構成においては、送信元無線基地局と対応ユーザ種別との関連付けは、クライアントから無線基地局への監視制御メッセージと同様である。つまり、障害監視者と運用局とが関連付けられ、工事作業者と工事局とが関連付けられ、そして工事管理者と運用局及び工事局とが関連付けられている。無線基地局D81は運用局であるので、送信先判定部84は、クライアント情報31を参照し、障害監視者及び工事管理者のクライアントへの送信を許可及び工事作業者のクライアントへの送信を禁止と判定する。
【0099】
本構成において、アラーム起因の無線基地局と対応ユーザ種別との関連付けについては、工事局を起因とするアラームの転送は、障害監視者に対して禁止される。つまり、工事作業者と工事管理者に対して許可されている。一方、運用局を起因とするアラームの転送は、全てのユーザ種別に許可されている。従って、本構成は、無線基地局D81からのそれ自身を起因とするアラームを転送するクライアントとして、その登録ユーザ種別が障害監視者及び工事管理者であるクライアントを選択する。
【0100】
本例において、送信先判定部84はクライアント情報31を参照し、障害監視者32のクライアントα33と工事管理者36のクライアントγ37を特定する。送信先判定部84は、これらクライアントα33、クライアントγ37を示す情報と、無線基地局D81からのアラームを対クライアント送受信部38に渡す。
【0101】
対クライアント送受信部38は、指定されたクライアントα33とクライアントγ37に、無線基地局D81からのアラームを転送する。アラームの通知を受けたクライアントα33とクライアントγ37は、発生アラーム情報を画面上に表示する及び/又は警報音を発出することにより、障害監視者32および工事管理者36にそれぞれ通知する。
【0102】
無線基地局F83において発生した障害により、無線基地局F83がアラームを監視制御サーバシステム13にアラームを送信する場合、監視制御サーバシステム13は、上記無線基地局D81からのアラームに対する処理と同様の処理を行う。
【0103】
次に、無線基地局E82を起因とするアラームを、無線基地局F83が通信する例を説明する。アラーム送信元の無線基地局F83は運用局であるが、アラームの起因が工事局である無線基地局E82である。従って、アラーム送信先として、障害監視者は禁止され工事管理者は許可される。本例において、送信先判定部84は、アラームの許可転送先として工事管理者36のクライアントγ37を選択する。他の工程は、無線基地局E82からのアラーム通知の転送と同様である。
【0104】
このように、監視制御サーバシステム13は、アラームの送信元となる無線基地局及びアラームの起因となる無線基地局の状態種別に関連づけられているオペレータ種別のクライアントに、無線基地局からのアラームを転送する。監視制御サーバシステム13は、クライアントへ送信するアラームや監視制御サーバシステム13内の構成要素間で転送するアラームにおいて、取得したアラームが含む情報から一部を削除しても、そこに他の情報を追加してもよい。
【0105】
次に、工事局から送信されたアラームの転送について、図12を参照して説明する。図12に示すシステム構成の例は図9の構成例と同じである。工事局は、無線基地局E82のみである。最初に、無線基地局E82を起因とするアラームの転送について説明する。
【0106】
工事局である無線基地局E82において障害が発生すると、それを検知した無線基地局E82は、アラームを監視制御サーバシステム13に送信する。対基地局送受信部54は、無線基地局E82からのアラームを受信し、それを送信先判定部84に転送する。
【0107】
送信先判定部84は、アラームを参照して、アラームの送信元及びアラームの起因が無線基地局E82であることを特定する。上述のように、工事局を送信元とするアラームは、工事作業者及び工事管理者への転送が許可され、障害監視者への転送が禁止されている。工事局を起因とするアラームについても同様である。送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照して、無線基地局E82の状態種別を工事状態と特定する。送信先判定部84は、アラームを転送許可するクライアントとして、そのユーザ種別が工事作業者及び工事管理者であるクライアントを選択する。
【0108】
本例において、送信先判定部84はクライアント情報31における各クライアントユーザ種別を参照し、送信許可する工事作業者34のクライアントβ35と工事管理者36のクライアントγ37を特定する。送信先判定部84は、これらクライアントβ35、クライアントγ37を示す情報と、無線基地局E82からのアラームを対クライアント送受信部38に渡す。
【0109】
対クライアント送受信部38は、指定されたクライアントβ35とクライアントγ37に、無線基地局E82からのアラームを転送する。アラームの通知を受けたクライアントβ35とクライアントγ37は、発生アラーム情報を画面上に表示する及び/又は警報音を発出することにより、工事作業者34および工事管理者36にそれぞれ通知する。
【0110】
次に、無線基地局E82が、無線基地局F83とのリンクにおいて障害を検知した場合の処理を説明する。無線基地局E82の状態種別は工事状態であるが、無線基地局F83の状態種別は運用状態である。無線基地局E82が、無線基地局F83とのリンクにおいて検知する障害は、運用局である無線基地局F83を起因とするものである。そこで、監視制御サーバシステム13は、そのアラームを、工事作業者34及び工事管理者36のクライアントβ35、クライアントγ37に転送する。
【0111】
具体的に説明する。無線基地局E82は、無線基地局F83とのリンクで障害が発生していることを示すアラームを生成し、監視制御サーバシステム13に送信する。対基地局送受信部54は、無線基地局E82からのそのアラームを受信し、それを送信先判定部84に転送する。
【0112】
送信先判定部84は、アラームを参照して、アラームの送信元が無線基地局E82であることを特定する。さらに、アラームの起因が無線基地局F83であることを特定する。上述のように、工事局を送信元とするアラームは、工事作業者及び工事管理者への転送が許可され、障害監視者への転送が禁止されている。そして、運用局を起因とするアラームの転送は、全てのユーザ種別に許可されている。
【0113】
送信先判定部84は、無線基地局情報51を参照して、無線基地局F83の状態種別が、運用状態であることを特定する。送信先判定部84は、クライアント情報31に登録されている各クライアントについて転送の許否判定を行い、アラームを転送するクライアントとして、そのユーザ種別が工事作業者34及び工事管理者36であるクライアントβ35及びクライアントγ37を選択する。この後の工程は、他の場合と同様である。
【0114】
このように、アラームの送信元の無線基地局の状態種別及びそのアラームの起因となる無線基地局の種別に従って転送先クライアントの種別を決定することで、オペレータにとって不用な転送を遮断すると共に必要なアラームを適切に転送することできる。特に、障害監視者の監視作業が、工事局を起因とするアラームにより妨げられることを避けることができる。なお、設計によっては、アラームの起因である無線基地局の種別又はアラームの送信元の無線基地局の状態種別の一方のみに従ってアラーム転送先を決定してもよい。もしくは、工事局からのアラームと運用局からのアラームとに異なる転送先決定方法を適用してもよい。
【0115】
次に、図13のフローチャートを参照して、上記図9から図12を参照して説明したアラーム転送処理における、送信先判定部84の処理の流れを説明する。無線基地局は、障害発生に応答して、アラームを監視制御サーバシステム13に通知する。対基地局送受信部54は、受信したアラームを、送信先判定部84に転送する。送信先判定部84は、対基地局送受信部54から無線基地局からのアラーム通知を受信すると、アラームフィルタリング処理を開始する。
【0116】
送信先判定部84は、受信したアラームから、その送信元の無線基地局とアラームの起因となった無線基地局とを特定する(S121)。さらに、送信先判定部84は、無線基地局情報51から、アラーム送信元の無線基地局の状態情報とアラームの起因となった無線基地局の状態情報を取得する(S122)。次に、送信先判定部84は、クライアント情報31から、特定した状態情報に対応する(転送許可されている)ユーザ種別の監視制御クライアント装置の情報を、送信先クライアントの情報として取得する(S123)。
【0117】
送信先判定部84は、受信したアラームと送信先クライアントの情報を対クライアント送受信部38に転送し(S125)、処理を終了する。対クライアント送受信部38は、送信先判定部84から転送された受信アラームと送信先クライアントの情報とから、送信先クライアントに受信アラームを通知する。
【0118】
無線基地局を起因とするアラームは、上述のように、無線基地局の他、監視制御サーバシステム13(対基地局送受信部54)が生成する。監視制御サーバシステム13が生成したアラームの送信は、アラームの送信元無線基地局とアラーム起因の無線基地局とが同一である場合の処理と同様である。
【0119】
このように、無線基地局の状態種別と監視制御サーバシステム13に登録されているクライアントの種別とに従って、アラームの転送先を選択することで、各オペレータによるクライアントの使用目的に応じたアラームのみを、オペレータに通知することができる。
【0120】
上記構成例において、各オペレータは、クライアントの使用目的に応じたユーザ種別を監視制御サーバシステム13に設定する。無線基地局の状態(工事状態・運用状態)を監視制御サーバシステム13が保持し、障害監視者32以外のオペレータである工事管理者36又は工事作業者34が、工事の開始・終了に合わせて、監視制御サーバシステム13に対して、対象局の状態(工事状態・運用状態)を設定する。
【0121】
監視制御サーバシステム13は、工事局からのアラーム及び工事に波及して発生するアラームを工事作業者34及び工事管理者36にのみ通知し、障害監視者32へは通知しない。このように、クライアントは、オペレータの使用目的に応じたアラームのみを表示する。
【0122】
工事作業が1日あたり数局から数十局行われているような無線通信システムにおいて、システムが大きな問題なく運用できていることを監視する障害監視者32が、工事局を把握した設定作業を全く行うことなく、障害監視者32が使用するクライアントα33に運用局のみのアラームを表示することができる。
【0123】
このように、障害監視者32への転送アラームの選択において、監視制御サーバシステム13は、工事状況を把握しているオペレータ(工事作業者34又は工事管理者36)による無線基地局の登録情報を利用できるので、障害監視者32がその設定作業を行うことが不要となり、障害監視者32の作業負担が軽減される。
【0124】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
【0125】
上述のように、監視制御サーバシステムは、クライアントから無線基地局への監視制御メッセージ(クライアントに起因する監視制御メッセージ)と無線基地局を起因とする監視制御メッセージ(アラーム)の双方の送信制御を、クライアント情報と無線基地局情報を参照して行うことが好ましいが、それらの一方についてのみ、クライアントの種別及び無線基地局の種別に応じた送信制御を行ってもよい。特に、アラームの送信先の選択(フィルタリング)を、クライアント情報と無線基地局情報を参照して行うことが好ましい。
【0126】
無線基地局への監視制御メッセージの送信制御とクライアントへの監視制御メッセージの送信制御が、異なる規則に従っていてもよい。例えば、クライアントへの監視制御メッセージの送信制御は、図9〜図13を参照して説明した上記規則に従い、無線基地局への監視制御メッセージの制御は、工事作業者のクライアントの監視制御メッセージのみを工事局に転送し、障害監視者のクライアントの監視制御メッセージのみを運用局に転送する。
【0127】
上記構成において、無線基地局、監視制御サーバシステムそしてクライアントが監視制御メッセージの送信主体であるが、本発明は、どのような監視制御メッセージの送信主体を備えるシステムにも適用することができる。例えば、上記3種別の主体のうちの一部のみが監視制御メッセージを送信するシステムに本発明を適用することができる。
【0128】
上記構成は、3種別のオペレータ(クライアント)と、2種別の無線基地局を備えている。これら種別の数は、システム設計に従って適切な値が選択される。クライアントの種別数及び無線基地局の種別数は、オペレータと作業効率と制御のシンプリシティとの点から、上記2種別が好ましい。しかし、本発明は、いずれのクライアントの種別数及び無線基地局の種別数を備えるシステムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
11 移動端末、12 無線基地局、13 監視制御サーバシステム、14 監視制御クライアント装置、15 オペレータ(ユーザ)、17 監視制御サーバ装置、31 クライアント情報、32 障害監視者、33 監視制御クライアント装置α、34 工事作業者、35 監視制御クライアント装置β、36 工事管理者、37 監視制御クライアント装置γ、38 対クライアント送受信部、51 無線基地局情報、52 無線基地局A
53 無線基地局B、54 対基地局送受信部、71 運用局、72 工事局、81 無線基地局D、82 無線基地局E、83 無線基地局F、84 送信先判定部、131 ネットワークインタフェース、132 CPU、133 バス、134 主記憶装置、135 二次記憶装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線基地局を監視制御する、無線基地局監視制御システムであって、
オペレータにより使用される複数の監視制御クライアントと、
前記複数の無線基地局と前記複数の監視制御クライアントとの間において、監視制御メッセージの通信を行う監視制御サーバシステムと、を備え、
前記監視制御サーバシステムは、
前記複数の無線基地局のそれぞれの状態種別を表す情報を含む無線基地局情報と、
前記複数の監視制御クライアントのそれぞれのオペレータ種別を表す情報を含むクライアント情報と、
前記無線基地局情報における前記状態種別を表す情報及び前記クライアント情報における前記オペレータ種別を表す情報に基づいて、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う、判定部と、
を備える無線基地局監視制御システム。
【請求項2】
前記判定部は、
前記複数の無線基地局における1つの無線基地局から監視制御メッセージであるアラームを取得し、
前記無線基地局情報を参照して、前記1つの無線基地局の状態種別を特定し、
前記特定した状態種別及び前記クライアント情報に含まれるオペレータ種別に基づいて、前記アラームの許可送信先の監視制御クライアントを選択する、
請求項1に記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項3】
前記判定部は、
前記複数の無線基地局における1つの無線基地局から監視制御メッセージであるアラームを取得し、
前記アラームの起因である無線基地局の状態種別を、前記無線基地局情報を参照して特定し、
前記アラームの起因となる前記無線基地局の前記状態種別に基づいて、前記アラームの許可送信先の監視制御クライアントを選択する、
請求項1又は2に記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項4】
前記監視制御サーバシステムは、前記複数の無線基地局と監視制御メッセージの送受信を行う送受信部を備え、
前記送受信部は、前記複数の無線基地局における第1の無線基地局から、その第1の無線基地局が接続する第2の無線基地局に起因する監視制御メッセージであるアラームを受信し、
前記判定部は、前記第1の無線基地局から受信した前記第2の無線基地局に起因するアラームついて前記判定を行う、
請求項1、2又は3に記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項5】
前記無線基地局の状態種別は、通常動作であることを表す第1状態と、工事中であることを表す第2状態とを含み、
前記監視制御クライアントのオペレータ種別は、前記運用状態の無線基地局を監視する種別を含み、
前記判定部は、前記第1の状態の無線基地局から受信した前記第1の状態の無線基地局を起因とするアラームの前記監視する種別の監視制御クライアントへの送信を許可し、前記第1の状態の無線基地局から受信した前記第2の状態の無線基地局を起因とするアラームの前記監視する種別の監視制御クライアントへの送信を禁止する、
請求項1〜4のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項6】
前記監視制御サーバシステムは、前記複数の無線基地局と監視制御メッセージの送受信を行う送受信部を備え、
前記送受信部は、前記複数の無線基地局における第1の無線基地局から、その第1の無線基地局が接続する対向装置に起因する監視制御メッセージであるアラームを受信し、
前記判定部は、前記第1の無線基地局から受信したアラームについて前記判定を行う、
請求項1〜5のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項7】
前記サーバシステムは、前記複数の無線基地局とメッセージの送受信を行う送受信部をさらに備え、
前記送受信部は、前記複数の無線基地局の監視を行い、
前記送受信部は、前記複数の無線基地局におけるいずれかの障害を検知すると、その無線基地局を起因とする監視制御メッセージであるアラームを生成し、
前記判定部は、前記生成されたアラームについて、前記無線基地局の状態種別の前記特定、及び、前記監視制御メッセージの許可送信先の前記選択を行う、
請求項1〜6のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項8】
前記判定部は、
前記複数の監視制御クライアントの1つから、送信先の無線基地局を指定する監視制御メッセージを取得し、
前記1つの監視制御クライアントのオペレータ種別を、前記クライアント情報を参照して特定し、
前記指定された無線基地局の状態種別を、前記無線基地局情報を参照して特定し、
前記指定された無線基地局の状態種別が、前記1つの監視制御クライアントのオペレータ種別の送信先として関連付けられていない場合に、前記指定された無線基地局への前記監視制御メッセージの送信を禁止する、
請求項1〜7のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項9】
前記監視制御サーバシステムは、前記無線基地局情報を更新する情報更新部をさらに備え、
前記情報更新部は、前記複数の監視制御クライアントに含まれる監視制御クライアントからの要求に従って、前記無線基地局情報における状態種別を表す情報を更新する、
請求項1〜8のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項10】
監視制御メッセージを使用して、複数の監視制御クライアントにより複数の無線基地局を監視制御する方法であって、
前記複数の無線基地局のそれぞれの状態種別を表す情報を含む無線基地局情報を、無線基地局情報記憶部に格納し、
前記複数の監視制御クライアントのそれぞれのオペレータ種別を表す情報を含むクライアント情報を、クライアント情報記憶部に格納し、
前記無線基地局情報における前記状態種別を表す情報及び前記クライアント情報における前記オペレータ種別を表す情報に基づいて、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う、方法。
【請求項1】
複数の無線基地局を監視制御する、無線基地局監視制御システムであって、
オペレータにより使用される複数の監視制御クライアントと、
前記複数の無線基地局と前記複数の監視制御クライアントとの間において、監視制御メッセージの通信を行う監視制御サーバシステムと、を備え、
前記監視制御サーバシステムは、
前記複数の無線基地局のそれぞれの状態種別を表す情報を含む無線基地局情報と、
前記複数の監視制御クライアントのそれぞれのオペレータ種別を表す情報を含むクライアント情報と、
前記無線基地局情報における前記状態種別を表す情報及び前記クライアント情報における前記オペレータ種別を表す情報に基づいて、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う、判定部と、
を備える無線基地局監視制御システム。
【請求項2】
前記判定部は、
前記複数の無線基地局における1つの無線基地局から監視制御メッセージであるアラームを取得し、
前記無線基地局情報を参照して、前記1つの無線基地局の状態種別を特定し、
前記特定した状態種別及び前記クライアント情報に含まれるオペレータ種別に基づいて、前記アラームの許可送信先の監視制御クライアントを選択する、
請求項1に記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項3】
前記判定部は、
前記複数の無線基地局における1つの無線基地局から監視制御メッセージであるアラームを取得し、
前記アラームの起因である無線基地局の状態種別を、前記無線基地局情報を参照して特定し、
前記アラームの起因となる前記無線基地局の前記状態種別に基づいて、前記アラームの許可送信先の監視制御クライアントを選択する、
請求項1又は2に記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項4】
前記監視制御サーバシステムは、前記複数の無線基地局と監視制御メッセージの送受信を行う送受信部を備え、
前記送受信部は、前記複数の無線基地局における第1の無線基地局から、その第1の無線基地局が接続する第2の無線基地局に起因する監視制御メッセージであるアラームを受信し、
前記判定部は、前記第1の無線基地局から受信した前記第2の無線基地局に起因するアラームついて前記判定を行う、
請求項1、2又は3に記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項5】
前記無線基地局の状態種別は、通常動作であることを表す第1状態と、工事中であることを表す第2状態とを含み、
前記監視制御クライアントのオペレータ種別は、前記運用状態の無線基地局を監視する種別を含み、
前記判定部は、前記第1の状態の無線基地局から受信した前記第1の状態の無線基地局を起因とするアラームの前記監視する種別の監視制御クライアントへの送信を許可し、前記第1の状態の無線基地局から受信した前記第2の状態の無線基地局を起因とするアラームの前記監視する種別の監視制御クライアントへの送信を禁止する、
請求項1〜4のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項6】
前記監視制御サーバシステムは、前記複数の無線基地局と監視制御メッセージの送受信を行う送受信部を備え、
前記送受信部は、前記複数の無線基地局における第1の無線基地局から、その第1の無線基地局が接続する対向装置に起因する監視制御メッセージであるアラームを受信し、
前記判定部は、前記第1の無線基地局から受信したアラームについて前記判定を行う、
請求項1〜5のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項7】
前記サーバシステムは、前記複数の無線基地局とメッセージの送受信を行う送受信部をさらに備え、
前記送受信部は、前記複数の無線基地局の監視を行い、
前記送受信部は、前記複数の無線基地局におけるいずれかの障害を検知すると、その無線基地局を起因とする監視制御メッセージであるアラームを生成し、
前記判定部は、前記生成されたアラームについて、前記無線基地局の状態種別の前記特定、及び、前記監視制御メッセージの許可送信先の前記選択を行う、
請求項1〜6のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項8】
前記判定部は、
前記複数の監視制御クライアントの1つから、送信先の無線基地局を指定する監視制御メッセージを取得し、
前記1つの監視制御クライアントのオペレータ種別を、前記クライアント情報を参照して特定し、
前記指定された無線基地局の状態種別を、前記無線基地局情報を参照して特定し、
前記指定された無線基地局の状態種別が、前記1つの監視制御クライアントのオペレータ種別の送信先として関連付けられていない場合に、前記指定された無線基地局への前記監視制御メッセージの送信を禁止する、
請求項1〜7のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項9】
前記監視制御サーバシステムは、前記無線基地局情報を更新する情報更新部をさらに備え、
前記情報更新部は、前記複数の監視制御クライアントに含まれる監視制御クライアントからの要求に従って、前記無線基地局情報における状態種別を表す情報を更新する、
請求項1〜8のいずれかに記載の無線基地局監視制御システム。
【請求項10】
監視制御メッセージを使用して、複数の監視制御クライアントにより複数の無線基地局を監視制御する方法であって、
前記複数の無線基地局のそれぞれの状態種別を表す情報を含む無線基地局情報を、無線基地局情報記憶部に格納し、
前記複数の監視制御クライアントのそれぞれのオペレータ種別を表す情報を含むクライアント情報を、クライアント情報記憶部に格納し、
前記無線基地局情報における前記状態種別を表す情報及び前記クライアント情報における前記オペレータ種別を表す情報に基づいて、監視制御メッセージの送信先の許否判定を行う、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−151643(P2012−151643A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8625(P2011−8625)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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