説明

無線検針装置

【課題】無線を介した自動検針において、動作エラーが生じた場合のそのタイミング、発生場所、不良内容等の発生状況を確認可能として、問題点の早期解決と設置工事の効率化を図る無線検針装置を提供する。
【解決手段】センター側装置に電話回線等の情報網を介して接続された端末網制御装置と当該端末網制御装置に有線接続された無線親機とを兼ねた端末網制御装置兼無線親機60には一個以上の無線子機が無線通信可能であり、当該無線子機にはメータやセキュリティ機器等の端末機器が有線接続されている。端末網制御装置兼無線親機60又は無線子機はそれらの動作状況を検出したデータを直列フォーマットにデータ変換するUART回路部48を備えており、変換後の検出データがUART回路部48を通じて外部機器に送信されて分析される。また、UART回路部48を通じて制御信号を入力することで無線検針装置の動作エラーを再現可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線を利用してセンター側装置と接続され、センター側装置との間でノーリンギング通信を行う端末網制御装置兼無線親機(以下、「兼用親機」と略称する)と、LPガス、都市ガス、水道、電気等のメータと接続されている無線子機とを備え、自動検針することを目的とする無線検針装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の端末網制御装置が適用されたノーリンギング通信システムについて、本出願人は先に特許出願をしている(特願2005−009986)。ノーリンギング通信システムは、例えば図11に示すように、センター側装置ではホスト装置1とセンター側網制御装置2とが電話回線13を介して接続されており、需要家に設置された端末側装置では、端末網制御装置6にLPガスメータ7、都市ガスメータ8、水道メータ9、電力メータ10、セキュリティ機器11、接点機器55等の端末機器と、宅内電話機12とが接続されて構成されている。センター側網制御装置2と端末網制御装置6とは、センター側交換局3とノーリンギングトランク5を備えた端末側交換局4とを間に介在させて、電話回線13を通じて電話回線網として接続されている。
【0003】
このような構成において、センター側装置と端末側装置との間でノーリンギング通信によるデータ伝送が行われ、ホスト装置1からのLPガスメータ7等の自動検針や、端末発呼によるセキュリティ機器11からの異常(例えばガス漏れ)等の通知が行われている。
【0004】
ノーリンギング通信中においては、ノーリンギングトランク5によって宅内電話機12のオフフック検知を行うことにより、端末網制御装置6は宅内電話機12を電話回線13から切り離すことなく通信を行うことが可能である。一方、端末発呼の場合は、通常、宅内電話機12を電話回線13から切り離し、宅内電話機12のベルの共鳴りを防止していると同時に、宅内電話機12のオフフック検知を実施している。
【0005】
これら端末側装置は需要家、例えば一般家庭に設置されるものであるので、各家庭に端末側装置の設置工事を行う必要がある。この場合、例えば設置場所がマンション、集合住宅等の場合に、端末網制御装置6とメータ7等の端末機器間に配線を行う場合に、壁に穴をあける等の必要が生じる。
【0006】
配線の代わりに無線電波でデータを送受信する方法を採用すれば、端末網制御装置とメータ間の配線工事については必要がなくなる。図5は端末網制御装置側の無線親機60と端末機器側の無線子機14との間で無線通信が適用されるシステム構成図であるが、図5中、無線通信が適用される従来のシステム構成として、無線親機60の1台に対して、単数の無線子機14、又は複数の無線子機(1)14、無線子機(2)15…及び無線子機(N)16(以下、両方の場合を総称して「無線子機14」と表記する)を接続させたものがある。無線親機60及び無線子機14は、工場出荷後、初期の設定動作において、お互いの暗証番号を確認することにより無線通信が可能になる。無線通信においては、設置場所の条件、周囲の電磁気的な環境によって無線送受信の機能が大きく変動する。
【0007】
図12は、従来の無線親機、子機間で、ガスメータの検針を行う通信シーケンスである。従来品は、通信動作時の状況表示信号が外部に送出されていないので、動作確認については、無線信号を無線受信機で受診し、その通信電文を音声として耳で確認するのみであった。また、電話回線の通信においても、電話回線の信号をオシロスコープで確認するか、音声アンプで音として確認するのみであった。なお、図12において、通信動作時の状況表示はされないが、状況表示の関連としては、ID信号の不一致(無線ポートIDが適切でない値)、検針要求電文不一致(決められた電文以外の電文)、ポート選択不一致(ポート選択電文が適切でない)、検針データ応答なし(断線などで応答ない)、検針データ値不一致(数字以外の値などが検針データに入っている)などが対象となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、設置工事において、設置場所によっては実際に使用する周波数が他からのノイズに起因して無線が送受信できなくなることがあり、この場合、どのような理由でどこのタイミングで動作不良となるのか判断ができないことがある。また、設置工事後、通信がエラーを起こす場合には、問題が無線通信部分、電話回線、センター側のいずれの部分で生じているのか区別がつき難く、また、そのエラーが、1度きりの現象であるのか、或いは何回も生じているのかという点を含めて、エラー発生の本質が掴み難いという問題がある。
【0009】
そこで、無線を介した自動検針においては、無線での送信及び受信、電話回線の送信、受信で動作不良となっても、設置工事の効率化、問題点の解決、検針情報の確認、接点情報の確認を専用の治具を用いて無線側か電話回線側かを確認実施することを可能にし、配線、機能確認の短縮化にも寄与する点で解決すべき課題がある。
【0010】
この発明の目的は、無線を介した自動検針において、動作エラーが生じた場合の、そのタイミング、無線側か電話回線側か等の発生場所、不良内容等の発生状況を確認可能として、問題点の早期解決と設置工事の効率化を図ることができる無線検針装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明による無線検針装置は、センター側装置に電話回線、携帯電話、PHS等の情報網を介して接続された端末網制御装置と当該端末網制御装置に有線接続された無線親機とを兼ねる端末網制御装置兼無線親機、前記端末網制御装置兼無線親機と無線通信可能な一個以上の無線子機、及び当該無線子機に有線接続されたメータやセキュリティ機器等の端末機器によって構成された無線検針装置において、前記端末網制御装置兼無線親機及び前記無線子機は、それらの動作状況を検出したデータを直列フォーマットにデータ変換するとともに、確認用に接続された外部機器に変換後の検出データを送信可能なUART回路部を備えていることを特徴としている。
【0012】
この無線検針装置によれば、端末網制御装置を兼ねる無線親機及び無線子機において、無線検針装置が動作エラーと判断したデータはUART回路部から、確認用に接続された外部機器に送信され、外部機器において発生状況が分析可能となる。表示装置を備える場合には、動作エラーを不具合電文として表示させることができる。設置工事における通常の設置状態での通信で不具合の内容のみを確認するとともに、電話回線側の通信状況も確認される。更に、外部機器から問題を生じさせる制御電文を無線検針装置に送信することにより、エラー発生状況を再現させて、問題解決の効率アップに貢献することができる。また、一時的な問題か、長期的な問題かをモニターすることも可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による無線検針装置は、現場設置時において、実際の運用時の問題点解決において、また、長期間の現場検証において不具合内容を分析できるというメリットがあり、問題点解決に効果的である。また、センター側の連携を取らなくても、電話回線の確認がすむというメリットもある。無線検針が不具合な場合、確認用に接続された外部機器から制御信号を送信することによって複数回に渡ってエラー動作を再現することができるので、エラー動作の内容のみならず、エラー動作が生じるタイミング、及び有線部分か無線部分かのエラー発生場所について通信動作の確認が簡単にできて、問題点をより早く絞り込むことができ、ひいては、設置工事の効率化、問題点の解決、検針情報の確認ができ、配線、機能確認の短縮化にも寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による無線検針装置の実施の形態を図1乃至図9を参照して詳細に説明する。本発明による無線検針装置におけるシステム構成は、「従来の技術」の欄で説明した図11における端末網制御装置と兼用の無線親機(以下、この兼用された無線親機を単に「無線親機」と称する)60及び無線子機14が適用されたシステム構成図と基本的に同様であるので、同等の構成要素には同じ符号を付すことにより、再度詳細な説明を省略する。
【0015】
図6は、本発明による無線検針装置に用いられる無線親機60のブロック図である。無線子機との間で行われる無線送受信については、無線制御回路部20が電波の送信、受信、誤り制御等の処理を行い、無線モジュール部19が電波の増幅、変調、復調、キャリアセンス等を行い、電波法に準拠した電波の送受信を制御して、アンテナ18から無線子機14〜16に送受信する。RSSI(Received Signal Strength Indicator;受信信号強度表示信号)回路部47は、無線受信時に直流電圧を出力して無線強度を確認する部分である。これらはすべて、マイクロコンピュータ部21における入力データ又は出力データとなる。表示回路部40は、無線親機60の状態を表すためにLED39を点灯させる。LED39は、電源ランプ、遮断ランプ及び縁組ランプから成っている。縁組回路部46は、無線子機14〜16との親子認識のための回路部である。無線親機60の縁組スイッチと各無線子機の縁組スイッチを同時に押すことにより、縁組回路部46の作動に基づいて、無線親機60と無線子機とは無線信号にて互いを認識し、それ以降、無線が送受信可能となる。
【0016】
これらの各部に対して、電源部の構成として、通常は、ACアダプタ部38から、電源回路部36を通じて各部に電源が供給される。停電、若しくはACアダプタ38のコンセント抜け等の場合については、停電検知回路37からの信号により、電池35の電源スイッチ34がONして、DC/DC電源回路部33を通じて各部に電源が供給される。電源オフ部44は、ACアダプタ部38から各部に電源供給されているときは、電池35の電流を流さないようにするためのものである。電池電圧検知部45は、適度な負荷状態において、電池35の電圧が適正か、否かの判断を行う。なお、無線親機60の基礎データ内容(デフォルト値又は設定値)は、記憶部41のEEPROMに記憶されるので、停電で動作終了しても、内容は維持されている。
【0017】
交換機側の電話回線は、回線用モジュラージャック22に接続される。耐雷性能を上げるために、耐雷回路部23が電話回線側に設けてある。オフフック検知部24は、宅内電話機12(図5)又は自分自身のオフフック検知のためのブロックである。オフフック検知部24の回路により、宅内電話機12と通信が衝突することがなく、また自分自身のオフフック動作の確認が可能である。
【0018】
宅内電話機12は宅内用モジュラージャック26に接続されている。無線親機60は、一般ユーザーが宅内電話機12を使用していないことをオフフック検知部24によって確認してから、センター側に電話をかけてセンターと通信を行う。もし、無線親機60がセンターと通信中に一般ユーザーが宅内電話機12を使用すると、宅内電話機話中検知部27が働いて通信を切断し、一般ユーザーが宅内電話機12を使用できるようにする。一般ユーザーによる宅内電話機12の使用が終了したことをオフフック検知部24が検知すると、無線親機60は、再度、センターと通信を再開する。
【0019】
極反検知部25は、電話回線の緩リバース(電話回線の電圧変化が電話機のベルを鳴らさないように電圧の変化を時間的に少なくすること)を検知して、NRS検知回路部30と動作して、自分自身がホスト装置1により選択されたのか否かを判断するところである。NRS検知回路部は、ノーリンギング受信信号検知回路部のことであり、電話回線のインピーダンスを限定された範囲に維持し、同時に交換局からの信号を受信する。また、極反検知部25は電話回線のリンガー信号も検出し、信号の一部はプレリンガー信号検知回路部28にも供給され、Lモード通信の宅内電話機12にも対応が可能である。ループ回路部29は、端末発呼時にオフフックするための回路であり、ダイアルパルスの為の回路でもある。
【0020】
半ループ回路部31は、ノーリンギング通信時のインピーダンスを保持するための部分である。モデム回路部32は、DTMF信号でプッシュホンダイアル信号の発生を行い、また端末通信時、ノーリンギング通信時にFM通信を行うモデムの部分である。セキュリティインターフェイス部42は、無線親機60の外部との機器のインターフェイス部である。ここには、JIS7ビット形式の機器が接続される。
【0021】
無線親機60の保守発呼回路部54の機能は、ホスト装置1に対して、登録された無線子機と定期的に通信を行う機能であり、過去に正常応答を経験したが、新たな通信時に無応答となった場合、発呼する機能を有する。RSSI回路部47は、無線強度に応じた直流電圧を出力する。タイマー部53は、無線親機60の時刻情報を得るところである。並列フォーマットのデータを直列フォーマットにデータ変換するUART(ユニバーサル非同期型レシーバートランスミッター)回路部48は、外部機器との非同期通信のモデム用インターフェース(所謂RS232C)の一部である。リセット回路部43は、設定値をデフォルトに戻すマイクロコンピュータ(以下、特にことわる以外、「マイコン」と略す)のリセットである。
【0022】
図7は、本発明による、図5に示す無線子機14のブロック図である。無線親機60と重複する部分は説明を省略する。メータ・接点インターフェイス部49は、5ビットメータ、又は接点機器55の接続部である。本発明と従来の技術との違いは、UART回路部48において、外部機器との非同期通信のモデム用インターフェース(いわゆるRS232C)の一部が追加され、電文送出の際にフィルター(不具合電文の抽出)を設けたことである。このマイコン側でのフィルターによって、エラーでない正常な電文は送出されず、エラーと指示される電文のみが送出される。正常な電文とエラーの電文との両方が送られると、受信側(表示側)では正常か否かの判断が再度必要となりエラー電文の抽出に時間がかかる。そこで、マイコン側で正常な電文は送出しないことにすることで、表示側でのエラー電文の抽出時間が節約され、また不具合電文の解析を早期に行うことができて効率的になる。
【0023】
図1は、本発明による無線検針装置に用いられるUART回路部48の詳細図である。マイクロコンピュータ部21の通信用マイコンポートから、バッファ用IC(IC100)を経由して、保護用の抵抗とダイオードが挿入されて、7ピンのコネクタに信号が接続されている。この7ピンのコネクタは、図2に示す無線親機60の背面側に設置されていて(「UART」の表示のあるコネクタ参照)、極性付で誤挿入のない7ピンコネクタオスである。同じように、図3に示す無線子機の蓋を開けた内部に、同じコネクタが配置されている(「UART」の表示のあるコネクタ参照)。このコネクタの電圧レベルは、TTL(トランジスタ・トランジスタロジック)レベルで出力されている。これは、TTLレベルで動作する専用の送受信機を接続した場合に、動作確認が可能である。「TTLレベル」は、マイコンがローレベル、或いはハイレベルと認識できる電圧の範囲のことである。RS232Cの入力レベルはこれよりも大きすぎて、マイコンが破損する可能性がある。マイコンの出力レベルはRS232Cのレベルに比べて、+側は低すぎて−側は高すぎるという実情がある。
【0024】
汎用的な、RS232Cのレベルについては、図1の(2)に示すようなインターフェイスの回路、及びDsub9ピンオスのコネクタを接続することにより、確認用として接続される外部機器であるパソコン80とのインターフェイスが構築できる。UART回路部48における非同期通信のモデム用インターフェース(いわゆるRS232C)の追加とは、このインターフェイス部分を指す。この専用のコネクタを追加することで、無線親機・子機共に消費電力を極小に設定した動作モードの待機中を除いて、通常の通信動作中はパソコン80等の外部機器に信号を送受信することができる。
【0025】
本無線検針装置において、無線親機と子機の動作状況を把握するための手段として用いられている、不具合信号のみの抽出のための構成を記す。図8のシーケンス図に示すように、無線親機及び子機は、各マイクロコンピュータ部において、受信信号に対して良否の判断を行い、通常の問題ない電文であればそのまま通過させる。不具合の電文は、UART回路部48(図1、図6、図7参照)からパソコン80等の外部機器に送出される。「問題ない電文」の例としては、交換機から親機に送信される電文の場合、無線ポートID+検針値要求においIDが親機に登録されていたIDと合致した場合は、問題ない電文となる。また、「不具合の電文」の例としては、交換機から親機に送信される電文の場合、無線ポートID+検針値要求においIDが親機に登録されていたIDと合致しないときには、ID不一致で不具合となる電文がある。不具合な電文としては、この外に、上述した状況表示の関連として挙げた事項を伴う電文が対象となる。即ち、ID不一致の電文、検針要求以外の電文であって定義されていない電文、ポート選択が間違っていて不一致な電文、検針データ応答のない電文、検針データ値が間違っている電文等の、定義されている電文と、それ以外にも、数字データにもかかわらず文字データ等が含まれている電文、無線送信したが、応答がない場合に無線送信ができない(他の無線で妨害)場合や、更には、終了電文がいつまでも送られてこないタイムアウトの場合などがある。マイコンが送受信動作時において、上述した電文送出の際のマイコン側で行われるフィルターが適用されて正常かエラーかを判断するので、外部機器に送出については、エラーでない正常な電文については送出せずに、エラーと指示される電文のみが送出される。エラーである電文はマイクロコンピュータ部においてフラグが立てられるが、このフラグは外部からは確認できないので、エラーのフラグ情報を外部に送信し、外部機器において状況判断がなされる。
【0026】
全ての電文については、図9に示すように、数字とアルファベットの組み合わせによる複数桁の処理番号が定義されている。通常の受信電文は、処理種別、ポート番号、その他のデータ、NCU管理情報、NCU状態、NCUタイマー値、誤り訂正等で構成(図示せず)されている。この電文内容から、規定外(定義以外)の電文については、発生時刻と、電文処理種別、不具合内容をコード化して記憶部41(記憶素子EEPROM)に記憶しておく。
【0027】
パソコン80から無線親機に対してセンターと同じ電文を送信することによって、パソコン80は、センターの代わりになって無線親機を動作させて、子機及びメータ等の動作を確認することができる。例えば、無線親機に誤った無線ポートのIDを送信すると、規定外電文であるので、無線親機は図8に示されるようにID不一致のコードをパソコン80に送信する。メータに対する検針要求電文が誤っていると、規定外電文であるので、検針値要求電文エラーがパソコン80に送信される。マイコンのデフォルトは不具合内容の電文送出のみであるが、制御電文を外部機器からマイコンに送信することで、全ての受信電文を外部機器に送信することもできる。上記の動作確認の一例を詳細に説明すると、図8に示されているように、親機が電話回線から受信する電文に「無線ポートID+検針値要求」があるが、例えば、「ID不一致のコードを送信」について、親機に定義されたIDが12345678901234である場合に、センター(交換機経由)からの電文内容のIDが12345678901212と送られてきたときは、下2桁がID不一致となる。このとき、親機はID不一致を認識して、このエラーをパソコンに送信する。また、センターから、無線ポートIDが送られてきて、検針値要求電文がA1234であった場合、A1234以外の電文を親機が受信した場合は、受信電文規定外のエラーとしての「検針値要求電文エラーを送信」であると認識して、このエラーを送信する。
【0028】
外部機器としてノート型のパソコン80等を接続することにより、通信中はこれらのデータが、記憶されると共に、UART回路48の出力形態である直列送受信データとして外部機器に送信される。図10には、これらの無線親機、子機のそれぞれの場合に、各不具合内容2件が表示例として示されている。無線親機、子機からは、テキストデータの羅列出力であるので、パソコン80で、解釈しやすいように翻訳して表示される。図示のように、無線での通信時刻、処理種別及び不具合内容を項目別に表示することにより、何が問題で通信のどこがおかしいのか、作業者にとって一目瞭然となる。
【0029】
本無線検針装置において、パソコン80等からの制御信号により通信エラーの再現動作について説明する。有線電話部(図6に示す、回線用モジュラージャック22から、宅内容モジュラージャック26までの部分)は無線とは関係なく電話機に関する有線系の回路部であるが、この有線電話部の通信部分の確認としては、直列送受信データとして、例えば、定時検針時間を設定することによって、設定された時間で検針情報をセンターに通信させることができる。センターとの通信時に何かの不具合が発生するとUART回路部48にて出力されるので、これを監視することでエラーを確認することができる。通信時において、直列送受信データは不具合内容(即ち、エラーが発生した時間、発生内容コード、各種フラグの内容)のみであるので、正常なデータと混同することがなく、不具合内容を極めて早期に発見することができる。
【0030】
設置場所の全てにおいて連続波で確認する、即ち、親機から連続して無線を送信して、子機側でその無線を受信して、RSSIの値を確認することは時間的に労を多とする。一見して無線が到達することが判明すれば、デジタルデータの採用でデータの検出、整理が簡易になるので、連続波で確認する手間を省くことができる。本発明は、このような場合に特に有効である。オシロスコープや音声モニターでの確認は、市場名データ内容と、そうでないデータ内容が混在することになり、1ビット単位での間違いなどは、検出困難である。不具合内容が検出されると、パソコン80等で、その内容に起因すると思われる制御電文を直列送受信データとしてマイコンに送信することにより、複数回にわたって通信状況を確認することができる。即ち、マイコンはRSSIの値をサンプリングして処理するので、おのずと平均化された値を出力する。実際の無線の測定には突発的に外部からノイズが入ってくる場合があり、アナログ機器であるとデータが凸凹になりやすいので、デジタルで平均化した方が安定した値となる。
【0031】
次に、本無線検針装置において、外部機器による電圧レベル変換について説明する。無線親機と無線子機における電流の消費を押さえるため、或いは回路の簡素化と価格の上昇を抑制のために、図1の(1)及び(2)に示されるような構成が採用される。RS232Cのインターフェイス条件を変更し、なおかつ、RS232Cの通信機能を維持することができる。図1(2)の部分は、制御信号として常時必要としない部分である。この部分は、問題発生時、初期設定時、或いは取り替え時等において必要となる部分であり、無線親機、無線子機にとって常時必要としない回路部品であるが、分離した上で構成を変更することによって製品のコストダウンに繋がり、量産する場合には大きなウェートを占めることになる。
【0032】
無線親機と無線子機に接続するノート型のパソコン80等の外部機器は、図1(1)の信号RS232Cのレベルでなくて、いわゆるTTLレベルである。特殊なパソコンであれば、TTLレベルでもRS232Cの通信動作が可能(接続することで動作確認可能)である場合もあるが、汎用性を持たせるために、TTLレベルからRS232Cレベルへの変換機能を図1の(2)の部分で持たせている。即ち、RTSからマイコン入力レベルを上回るレベルが入ってきても、Q200にてそのレベルは吸収されて、トランジスタのコレクタ出力はマイコンの入力レベルに合致したレベルを入力する。また、RS232Cドライバーは、通常待機状態(低消費電力での動作)にあるため、信号が入力されるまでに動作しない。そのため、別途トランジスタQ200による接続検知回路で外部信号が接続されたことを検知して、確実な動作を行なわせている。
【0033】
次に、本無線検針装置において、電圧レベル変換に関して、レベル変換部におけるノイズの影響について説明する。図1においてその最右端に示す外部機器であるパソコン80との接続に用いる接続コネクタの接続配線(ストレートケーブル)70は、ノイズの影響が無視できる十分な長さ、例えば約1.5m程度以上である。通常、ノート型のパソコン用に液晶画面表示があると、ここから無線ノイズが僅かではあるが放出されている。受信感度が高い無線親機と無線子機であるので、このノイズが無線親機・子機間の無線通信に影響が出る。配線経路と長さを考慮しておくと、パソコンのノイズを軽減することができ、値段の高いシールド線を使わずにすむメリットがある。また、誤挿入防止として、7極の極性付コネクタを用いている。
【0034】
更に、本無線検針装置において、長期間のモニターについて説明する。図4に示すように、別途、この応用としてはRS232Cのレベルが確保できるので、この先にRS232CとUSBとのインターフェイス回路(汎用的なRS232C/USB変換回路及び電源回路)を追加することにより、一層汎用的な制御が実施可能となる。このインターフェイス回路に長期間の信号モニター機能としてUSBメモリー90を接続することにより、送受信信号の内容を長期間にわたって把握することができる。しかも、通信エラーが発生した場合には、メモリーに保存されたエラー信号の内容を解析することにより、電文エラーの発生が無線送受信側か、電話回線(有線)側か、それともセンター側であったのかの切り分けをすることができ、問題点解決を行うことができる。
【0035】
図4において、SW200は接続検知用スイッチである。この場合には、常時、接続検知が入力されているので、無線の雑音入力も検知可能とする。即ち、無線入力がなされても、正規のIDが読み取れない場合には、ID不一致としてカウントする。近傍にノイズが常時あれば、ノイズカウンタの役目もすることになるので、無線親機と子機とについて設置場所(電波法に基づき、ノイズのないところに設置する必要がある)として適当であるか否かの判断を行うことができる。また、通信内容の分析で、どのような通信不具合が多く発生しているかがわかるので、この内容に沿って通信時間の設定等を改善することによって、より信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による無線検針装置のUART(RS232C)回路部とパソコンとのインターフェイスを示す図である。
【図2】本発明の無線親機の外観で、UART回路部を示す図である。
【図3】本発明の無線子機の外観で、UART回路部を示す図である。
【図4】本発明による無線検針装置のUART(RS232C)回路部とUSBメモリーとのインターフェイスを示す図である。
【図5】本発明による無線検針装置のシステム図である。
【図6】本発明による無線検針装置の端末網制御装置兼、無線親機のブロック図である。
【図7】本発明による無線子機のブロック図である。
【図8】本発明による5ビット系ポート(プロパンガス用メータ)に対する通信例を示す図である。
【図9】電文の処理番号例を示す図である。
【図10】不具合電文の表示例を示す図である。
【図11】従来の自動検針用装置のシステム図である。
【図12】従来品の5ビット系ポート(プロパンガス用メータ)に対する通信例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1:ホスト装置 2:センター側網制御装置
3:センター側交換局 4:端末側交換局
5:ノーリンギングトランク 6:端末網制御装置兼、無線親機
7:LPガスメータ 8:都市ガスメータ
9:水道メータ 10:電力メータ
11:セキュリティ機器 12:宅内電話機
13:電話回線 14:無線子機1
15:無線子機2 16:無線子機N
18:アンテナ 19:無線モジュール部
20:無線制御回路部 21:マイクロコンピュータ部
22:回線用モジュラージャック 23:耐雷回路部
24:オフフック検知部 25:極反検知部
26:宅内用モジュラージャック 27:宅内電話機話中検知部
28:プレリンガー検知部 29:ループ回路部
30:NRS検知回路部 31:半ループ回路部
32:モデム回路部 33:DC/DC電源回路部
34:電源スイッチ部 35:電池
36:電源回路部 37:停電検知部
38:ACアダプタ部 39:LED部
40:表示回路部 41:記憶(EEPROM)部
42:セキュリティインターフェイス部 43:リセット回路部
44:電源オフ部 45:電池電圧検知部
46:縁組回路部 47:RSSI回路部
48:UART回路部 49:メータ・接点インターフェイス部
53:タイマー部 54:保守発呼回路部
60:無線親機
70:接続配線(ストレートケーブル)
80:パソコン(外部機器)
90:USBメモリー
SW100:接続検知スイッチ
Q200、R200、R201:接続検知トランジスタ
D100〜D107、D200:保護用ダイオード
RP1、RP2:保護用抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター側装置に電話回線、携帯電話、PHS等の情報網を介して接続された端末網制御装置と当該端末網制御装置に有線接続された無線親機とを兼ねる端末網制御装置兼無線親機、前記端末網制御装置兼無線親機と無線通信可能な一個以上の無線子機、及び当該無線子機に有線接続されたメータやセキュリティ機器等の端末機器によって構成された無線検針装置において、
前記端末網制御装置兼無線親機及び前記無線子機は、それらの動作状況を検出したデータを直列フォーマットにデータ変換するとともに、確認用に接続された外部機器に変換後の検出データを送信可能なUART回路部を備えていることを特徴とする無線検針装置。
【請求項2】
前記UART回路部には前記端末網制御装置兼無線親機又は前記無線子機に不具合が発生した場合の前記動作状況の信号が送信され、前記外部機器は前記UART回路部を通じて受信した前記信号に基づいて前記動作状況を表示装置に表示するとともに、受信した信号をUART回路部に送信することを特徴とする請求項1記載の無線検針装置。
【請求項3】
前記外部機器から前記端末網制御装置兼無線親機、前記無線子機、又は端末機器を制御する制御信号を前記UART回路部に送信して通信エラーを再現し、前記外部機器は、前記UART回路部から送信された前記通信エラーの発生場所、発生タイミング等の動作条件についての信号を受信することにより、前記通信エラーの発生状況を解析可能とすることを特徴とする請求項2記載の無線検針装置。
【請求項4】
前記UART回路部は非同期通信モデム(いわゆるRS232C)のTTLレベルで構成されており、前記非同期通信モデムへの電圧レベル変換は前記外部機器側の構成にて行うことを特徴とする請求項2又は3記載の無線検針装置。
【請求項5】
前記電圧レベル変換を行う変換部への接続は、電源、送信信号、受信信号、制御信号、グランドで構成されており、接続コネクタは極性付き7極ピン構成であり、接続線の長さは前記表示装置からのノイズの影響のない一定の長さに確保されていることを特徴とする請求項4記載の無線検針装置。
【請求項6】
前記UART回路部には、無線環境を確認するため、ログとして送信され且つ長期間にわたる送受信動作データを記憶可能なUSBメモリー等の記憶手段が接続されることを特徴とする請求項1記載の無線検針装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−148045(P2008−148045A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333470(P2006−333470)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】