説明

無線通信システム、基地局装置、無線通信システムの認証認可方法

【課題】基地局装置を利用可能な無線通信端末をサーバに対してユーザ自らが簡単にユーザ登録することが可能な無線通信システム、基地局装置、無線通信システムの認証方法を提供する。
【解決手段】無線通信端末100は、フェムトセル基地局装置200からQRコード(登録商標)を介してセッション認証情報を取得し、無線通信端末100に固有の端末識別番号をセッション認証情報と共にフェムトセル基地局装置200へと送信する。フェムトセル基地局装置200は、無線通信端末100から送信されたセッション認証情報と、自ら生成したセッション認証情報とが一致するか否かを確認し、一致すれば、フェムトセル基地局装置200に固有の基地局装置識別番号を端末識別番号と共にAAAサーバ300へ送信する。AAAサーバ300は、フェムトセル基地局装置200から送信された端末識別番号と基地局装置識別番号とを関連づけて登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話システム等の無線通信システム、基地局装置、無線通信システムの認証認可方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話サービス等の無線通信システムでは、電話番号、端末識別番号やユーザ情報等のデータベースは、AAA(Authentication、Authorization、Accounting)サーバによって管理されている。基地局と無線通信する際の端末認証及びユーザ認証は、AAAサーバによって行われる。AAAサーバへの電話番号、端末識別番号やユーザ情報等の登録は、ユーザが携帯電話端末を購入する時に、基地局やサーバを管理する携帯電話サービス事業者のオペレータが実施する。
【0003】
従来の基地局が半径数百m〜十数kmの通話エリアを持つのに対して、近年、半径十m程度の通話エリアしか持たないフェムトセルと呼ばれる超小型基地局が開発されている。従来の大規模な基地局がマクロセルと呼ばれるのに対して、ナノセル、ピコセルと呼ばれる小型基地局が従来から使われている。フェムトセルは、これら小型基地局よりもさらに通話エリアが狭く、マクロセル等からの電波が届きにくい個人の家屋内等での利用に適した基地局装置である。
【0004】
フェムトセルの基地局装置は、例えばユーザの家屋内での利用を想定して携帯電話サービス事業者によりユーザに提供される機器である。したがって、携帯電話サービス事業者がフェムトセルを提供したユーザとは関係の無い携帯電話利用者が無許可でフェムトセルの電波を利用することは望ましくない。そこで、個々のフェムトセルについて利用可能なユーザを限定する必要がある。
【0005】
個々のフェムトセルについて利用可能なユーザを限定するためには、フェムトセルの基地局装置とユーザの携帯電話端末とを紐付けて、AAAサーバに登録を行う必要がある。従来、この登録は、携帯電話サービス事業者がユーザにフェムトセルの基地局装置を提供するとき等に携帯電話サービス事業者のオペレータが手作業で行う必要があった。このオペレータが手作業で行う登録作業は、オペレータの作業負担が大きいだけでなく、フェムトセルを利用しているユーザにとっても不便な場合が多かった。すなわち、新たに携帯電話端末を購入した家族や、来訪者等にフェムトセルを利用させようとしても、その利用を即時に開始することができず、携帯電話サービス事業者に登録を依頼する必要があった。
【0006】
一方、無線LAN接続やVoIPに必要な構成情報を、QRコード(登録商標)を用いて自動又は半自動で設定する方法が、特許文献1、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−157814号公報
【特許文献2】特開2006−157815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1及び特許文献2に開示されている手法は、携帯電話端末に対して無線LANアクセスポイントを利用できる環境を設定するだけである。よって、これをフェムトセルへの携帯電話端末の登録に応用したとしても、携帯電話サービスに用いることができなかった。携帯電話サービスでは、AAAサーバを用いた認証、認可、課金を行うことにより、マクロセルやフェムトセル、その他の多数の基地局を統括的に制御して大規模な通信インフラ上での個々の携帯電話端末の通信を可能としている。したがって、単にフェムトセルに対してのみ携帯電話端末の登録を行ったとしても、他の基地局との関係を考慮した通信制御を行うことができなかった。
【0009】
本発明の課題は、基地局装置を利用可能な無線通信端末をサーバに対してユーザ自らが簡単にユーザ登録することが可能な無線通信システム、基地局装置、無線通信システムの認証認可方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
【0011】
(1)本発明は、無線通信端末と、前記無線通信端末と無線通信する基地局装置と、前記基地局装置と有線又は無線により接続されており前記無線通信端末の認証を行うサーバと、を備えた無線通信システムであって、前記基地局装置は、認証情報を目視可能な状態で提示又は当該基地局装置に近接した位置にある前記無線通信端末に対して送出して開示する認証情報開示手段を備え、前記無線通信端末は、前記認証情報を取得する認証情報取得手段と、当該無線通信端末に固有の端末識別番号を前記認証情報取得手段が取得した前記認証情報と共に前記基地局装置へと送信する送信手段とを備え、前記基地局装置は、前記無線通信端末から送信された前記認証情報が当該基地局装置の前記認証情報開示手段が開示する認証情報と一致するか否かを確認する認証情報確認手段と、前記認証情報が一致する場合に当該基地局装置に固有の基地局装置識別番号を前記端末識別番号と共に前記サーバへ送信する送信手段とをさらに備え、前記サーバは、前記基地局装置から送信された端末識別番号と前記基地局装置識別番号とを関連づけて登録する登録手段を備えることを特徴とする無線通信システムを提案している。
【0012】
この発明によれば、基地局装置の認証情報開示手段は、認証情報を目視可能な状態で提示又は当該基地局装置に近接した位置にある無線通信端末に対して送出して開示する。無線通信端末の認証情報取得手段は、認証情報を取得する。無線通信端末の送信手段は、無線通信端末に固有の端末識別番号を認証情報取得手段が取得した認証情報と共に基地局装置へと送信する。基地局装置の認証情報確認手段は、無線通信端末から送信された認証情報が当該基地局装置の認証情報開示手段が開示する認証情報と一致するか否かを確認する。基地局装置の送信手段は、認証情報が一致する場合に当該基地局装置に固有の基地局装置識別番号を端末識別番号と共にサーバへ送信する。サーバの登録手段は、基地局装置から送信された端末識別番号と基地局装置識別番号とを関連づけて登録する。したがって、基地局装置を利用可能な無線通信端末をサーバに対して登録する手続きをユーザ自ら行うことができ、無線通信サービスを提供する事業者側で行う手続きを簡素化できると共に、ユーザの使い勝手を向上できる。
【0013】
(2)本発明は、(1)の無線通信システムにおいて、前記基地局装置の前記認証情報開示手段は、開示する前記認証情報を変化させて開示することを特徴とする無線通信システムを提案している。
【0014】
この発明によれば、基地局装置の認証情報開示手段は、開示する認証情報を変化させて開示する。したがって、より安全性の高いシステムとすることができる。
【0015】
(3)本発明は、(1)又は(2)の無線通信システムにおいて、前記基地局装置の前記認証情報開示手段は、前記認証情報を目視可能な2値パターンのコードとして提示することを特徴とする無線通信システムを提案している。
【0016】
この発明によれば、基地局装置の認証情報開示手段は、認証情報を目視可能な2値パターンのコードとして提示する。したがって、ユーザ名やパスワード等の設定を手作業で行うことなく登録を行うことができるので、登録作業が簡単になると共に誤登録を防止できる。
【0017】
(4)本発明は、(3)に記載の無線通信システムにおいて、前記2値パターンのコードは、2次元コードであることを特徴とする無線通信システムを提案している。
【0018】
この発明によれば、2値パターンのコードは、2次元コードである。したがって、より多くの情報を伝えることができる。
【0019】
(5)本発明は、(1)又は(2)に記載の無線通信システムにおいて、前記基地局装置の前記認証情報開示手段は、短距離無線通信により前記認証情報を当該基地局装置に近接した位置にある前記無線通信端末に対して送出することを特徴とする無線通信システムを提案している。
【0020】
この発明によれば、基地局装置の前記認証情報開示手段は、短距離無線通信により前記認証情報を当該基地局装置に近接した位置にある前記無線通信端末に対して送出する。したがって、ユーザ名やパスワード等の設定を手作業で行うことなく登録を行うことができるので、登録作業が簡単になると共に誤登録を防止できる。
【0021】
(6)本発明は、(1)から(5)までのいずれか1項に記載の無線通信システムにおいて、基地局装置は、フェムトセル基地局装置であることを特徴とする無線通信システムを提案している。
【0022】
この発明によれば、基地局装置は、フェムトセル基地局装置である。フェムトセル基地局装置は、個人で利用することが想定されるので、本発明を有効に活用できる。
【0023】
(7)本発明は、無線通信端末と無線通信する基地局装置であって、前記無線通信端末の認証を行うサーバと有線又は無線により接続されており、認証情報を目視可能な状態で提示又は当該基地局装置に近接した位置にある前記無線通信端末に対して送出して開示する認証情報開示手段と、前記無線通信端末から送信された前記認証情報が当該基地局装置の前記認証情報開示手段が開示する認証情報と一致するか否かを確認する認証情報確認手段と、前記認証情報が一致する場合に当該基地局装置に固有の基地局装置識別番号を前記無線通信端末から送信された前記無線通信端末に固有の端末識別番号と共に前記サーバへ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする基地局装置を提案している。
【0024】
この発明によれば、認証情報開示手段は、認証情報を目視可能な状態で提示又は当該基地局装置に近接した位置にある無線通信端末に対して送出して開示する。認証情報確認手段は、無線通信端末から送信された認証情報が当該基地局装置の認証情報開示手段が開示する認証情報と一致するか否かを確認する。送信手段は、認証情報が一致する場合に当該基地局装置に固有の基地局装置識別番号を無線通信端末から送信された無線通信端末に固有の端末識別番号と共にサーバへ送信する。したがって、基地局装置を利用可能な無線通信端末をサーバに対して登録する手続きをユーザ自ら行うことができ、無線通信サービスを提供する事業者側で行う手続きを簡素化できると共に、ユーザの使い勝手を向上できる。
【0025】
(8)本発明は、無線通信端末と、前記無線通信端末と無線通信する基地局装置と、前記基地局装置と有線又は無線により接続されており前記無線通信端末の認証を行うサーバと、を備えた無線通信システムの認証方法であって、前記基地局装置は、認証情報を目視可能な状態で提示又は当該基地局装置に近接した位置にある前記無線通信端末に対して送出して開示する認証情報開示ステップを行い、前記無線通信端末は、前記認証情報を取得する認証情報取得ステップと、当該無線通信端末に固有の端末識別番号を前記認証情報取得ステップが取得した前記認証情報と共に前記基地局装置へと送信する送信ステップとを行い、前記基地局装置は、前記無線通信端末から送信された前記認証情報が当該基地局装置の前記認証情報開示ステップが開示する認証情報と一致するか否かを確認する認証情報確認ステップと、前記認証情報が一致する場合に当該基地局装置に固有の基地局装置識別番号を前記端末識別番号と共に前記サーバへ送信する送信ステップとをさらに行い、前記サーバは、前記基地局装置から送信された端末識別番号と前記基地局装置識別番号とを関連づけて登録する登録ステップを備えることを特徴とする無線通信システムの認証方法を提案している。
【0026】
この発明によれば、基地局装置の認証情報開示ステップは、認証情報を目視可能な状態で提示又は当該基地局装置に近接した位置にある無線通信端末に対して送出して開示する。無線通信端末の認証情報取得ステップは、認証情報を取得する。無線通信端末の送信ステップは、当該無線通信端末に固有の端末識別番号を認証情報取得ステップが取得した認証情報と共に基地局装置へと送信する。基地局装置の認証情報確認ステップは、無線通信端末から送信された認証情報が当該基地局装置の認証情報開示ステップが開示する認証情報と一致するか否かを確認する。基地局装置の送信ステップは、認証情報が一致する場合に当該基地局装置に固有の基地局装置識別番号を端末識別番号と共にサーバへ送信する。サーバの登録ステップは、基地局装置から送信された端末識別番号と基地局装置識別番号とを関連づけて登録する。したがって、基地局装置を利用可能な無線通信端末をサーバに対して登録する手続きをユーザ自ら行うことができ、無線通信サービスを提供する事業者側で行う手続きを簡素化できると共に、ユーザの使い勝手を向上できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基地局装置を利用可能な無線通信端末をサーバに対して登録する手続きをユーザ自ら行うことができ、無線通信サービスを提供する事業者側で行う手続きを簡素化できると共に、ユーザの使い勝手を向上できる。
【0028】
また、ユーザ名やパスワード等の設定を手作業で行うことなく登録を行うことができるので、登録作業が簡単になると共に誤登録を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による無線通信システムの実施形態を示す図である。
【図2】無線通信端末100の装置構成を示す図である。
【図3】フェムトセル基地局装置200の装置構成を示す図である。
【図4】AAAサーバ300の装置構成を示す図である。
【図5】無線通信端末100を登録する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、本発明による無線通信システムの実施形態を示す図である。
本実施形態の無線通信システムは、無線通信端末100、フェムトセル基地局装置200、AAAサーバ300を備えている。
【0032】
図2は、無線通信端末100の装置構成を示す図である。
無線通信端末100は、カメラ部101、メモリ部102、演算部103、制御部104、無線通信部105等を備えた携帯電話機である。
【0033】
カメラ部101は、撮影レンズと、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子とを備え、被写体像を撮影する撮影装置である。カメラ部101が撮影により取得したデータは、演算部103へ送られる。
【0034】
メモリ部102は、無線通信端末100に関する各種情報を格納する記憶部である。メモリ部102には、無線通信端末100に固有の端末識別番号、及び、電話番号等が記憶されている。なお、図2では、メモリ部102が無線通信端末100内に固定されている形態で示しているが、固有情報を記憶する部分をSIMカード(Subscriber Identity Module Card)に形成してもよい。
【0035】
演算部103は、無線通信端末100内での各種演算を実行する。本実施形態では、カメラ部101により撮影されたデータを受け取り、画像データの形態としたり、後述するQRコード(登録商標)を復号したりして、制御部104へ送る。カメラ部101及び演算部103は、QRコード(登録商標)を介して認証情報を取得する認証情報取得手段を形成している。
【0036】
制御部104は、無線通信端末100の動作を統括して制御するマイコンである。制御部104は、メモリ部102、演算部103、無線通信部105に接続されている。
【0037】
無線通信部105は、制御部104からの指示に応じて、不図示のマクロセル基地局装置と無線通信を行う。また、制御部104からの指示に応じて、後述のフェムトセル基地局装置200と無線通信を行う。本実施形態では、無線通信部105は、無線通信端末100に固有の端末識別番号をフェムトセル基地局装置200から取得したセッション認証情報と共にフェムトセル基地局装置200へと送信する送信手段として機能する。
【0038】
図3は、フェムトセル基地局装置200の装置構成を示す図である。
フェムトセル基地局装置200は、小型で出力が小さく、ナノセル、ピコセルと呼ばれる従来から使われている小型基地局よりもさらに通話エリア(無線電波エリア)が狭く、マクロセル等からの電波が届きにくい個人家屋(図1の家屋400)内等での利用に適した超小型無線基地局装置である。本実施形態のフェムトセル基地局装置200は、半径十m程度の通話エリアを持ち、例えばユーザの家屋内での利用を想定して携帯電話サービス事業者によりユーザに提供される基地局装置である。フェムトセル基地局装置200は、後述する登録を行うことにより、その登録されたユーザのみが利用できる。
【0039】
フェムトセル基地局装置200は、表示部201、演算部202、有線通信部203、制御部204、無線通信部205、メモリ部206等を備えている。
【0040】
表示部201は、各種情報を表示する表示装置であり、液晶表示装置等により構成されている。本実施形態の表示部201は、演算部202が生成したQRコード(登録商標)を表示することにより、認証情報を目視可能な状態で提示する。
【0041】
演算部202は、制御部204からの指示に応じて、無線通信端末100の登録時に必要なセッション認証情報を含むQRコード(登録商標)を生成し、生成したQRコード(登録商標)を表示部201に送る。
これら表示部201と演算部202とにより、認証情報を目視可能な状態で提示して開示する認証情報開示手段が構成されている。
【0042】
有線通信部203には、フェムトセル基地局装置200とAAAサーバ300との間を接続するアクセス回線が接続されており、AAAサーバ300との間で有線通信を行う。このアクセス回線は、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、FTTH(Fiber To The Home)、CATV(Community Antenna TeleVision)等、インターネットに接続するアクセス回線である場合や、専用線等、当該装置のために帯域を占有可能なアクセス回線等である。本実施形態の有線通信部203は、フェムトセル基地局装置200に固有の基地局装置識別番号を端末識別番号と共にAAAサーバ300へ送信する送信手段としての機能も有している。
【0043】
制御部204は、フェムトセル基地局装置200の動作を統括して制御するマイコンである。制御部204は、演算部202、有線通信部203、無線通信部205、メモリ部206に接続されている。本実施形態の制御部204は、無線通信端末100から送信されたセッション認証情報が、フェムトセル基地局装置200自らが生成して表示部201に表示して開示したセッション認証情報と一致するか否かを確認する認証情報確認手段としての機能も有している。
【0044】
無線通信部205は、制御部204からの指示に応じて、無線通信端末100と無線通信を行う。
【0045】
メモリ部206は、フェムトセル基地局装置200に関する各種情報を格納する記憶部である。本実施形態のメモリ部206には、フェムトセル基地局装置200に固有の基地局装置識別番号が記憶されている。
【0046】
図4は、AAAサーバ300の装置構成を示す図である。
AAAサーバ300は、有線通信部301、演算部302、制御部303、メモリ部304等を備えている。AAAサーバ300は、携帯電話サービスに関する認証処理と、認可処理と、課金処理とを行うサーバである。認可処理を行う場合、Web等を利用して、あらかじめアクセス権限に関する情報をAAAサーバ300に登録しておく必要がある。
【0047】
有線通信部301には、フェムトセル基地局装置200とAAAサーバ300との間を接続するアクセス回線が接続されており、フェムトセル基地局装置200との間で有線通信を行う。また、有線通信部301には、不図示の専用回線が接続されており、この専用回線を介して不図示のマクロセル等、他の基地局との有線通信も可能である。
【0048】
演算部302は、認証処理と、認可処理と、課金処理とに関する各種の演算を行う。
【0049】
制御部303は、AAAサーバ300の動作を統括して制御する。制御部303は、有線通信部301、演算部302、メモリ部304に接続されている。
【0050】
メモリ部304は、携帯電話サービスに関する認証処理と、認可処理と、課金処理とに関する各種情報を格納する記憶部である。本実施形態の制御部303とメモリ部304は、フェムトセル基地局装置200から送信された端末識別番号と基地局装置識別番号とを関連づけて登録する登録手段としての機能も有している。
【0051】
次に、本実施形態の無線通信システムにおいて、無線通信端末100をフェムトセル基地局装置200での利用を可能とするための登録動作について説明する。
図5は、無線通信端末100を登録する動作を示すフローチャートである。
【0052】
ステップ(以下、Sとする)10では、フェムトセル基地局装置200が生成したセッション認証情報を無線通信端末100が取得する(認証情報開示ステップ、及び、認証情報取得ステップ)。具体的には、フェムトセル基地局装置200がセッション認証情報を生成すると共に、生成したセッション認証情報を情報として含むQRコード(登録商標)を表示部201に表示する。そして、ユーザが無線通信端末100を操作して、カメラ部101により表示部201に表示されたQRコード(登録商標)を撮影する。その後、無線通信端末100では、撮影されたQRコード(登録商標)を復号してセッション認証情報を取得する。
【0053】
なお、表示部201に表示するQRコード(登録商標)に含まれるセッション認証情報は、表示されてから一定時間(例えば10分間)の間だけ有効なセッション認証情報である。そして、その一定時間の経過後は、新たなセッション認証情報が生成され、それに対応するQRコード(登録商標)が新たに表示される。これにより、安全性の高いシステムとすることができる。
【0054】
ここで、QRコード(登録商標)を利用する理由は、主に以下の2つである。
1つ目の理由は、表示部201に表示されたQRコード(登録商標)を撮影可能な無線通信端末100しか登録を行えないようにするためである。より詳しくは、ユーザの家屋内に設置されたフェムトセル基地局装置200を目視可能な場所、すなわち、ユーザの家屋内に入ることができる人物が所持する無線通信端末100しか登録を行えないようにするためである。これにより、フェムトセル基地局装置200の無線電波が家屋外に漏れていたとしても、第三者が勝手にフェムトセル基地局装置200を利用することを防止できる。
【0055】
2つめの理由は、ユーザ名やパスワード等の手入力をすることなく登録を行える様にするためである。これにより、誤登録を防止できる。なお、QRコード(登録商標)は、認証情報を目視可能な2値パターンの2次元コードとして表したものであるが、1次元のコードであるバーコードを用いてもよい。
【0056】
S20では、無線通信端末100がフェムトセル基地局装置200への接続登録を行うアプリケーションプログラムを起動する。なお、このアプリケーションプログラムは、メモリ部206に予め格納されていてもよいし、マクロセル基地局を介した無線通信により取得するものであってもよい。
【0057】
S30では、無線通信端末100が無線通信部105からセッション認証情報と端末識別番号とをフェムトセル基地局装置200へと送信する(送信ステップ)。
【0058】
S40では、フェムトセル基地局装置200の制御部204が、受信したセッション認証情報と、フェムトセル基地局装置200自らが生成したセッション認証情報とが一致するか否かの確認を行う(認証情報確認ステップ)。受信したセッション認証情報と自ら生成したセッション認証情報とが一致する場合には、次のS50へ進む。一方、これらが一致しない場合には、認証が失敗した旨の表示や無線通信端末100に対する通知等を行う。
【0059】
S50では、フェムトセル基地局装置200に固有の基地局装置識別番号と端末識別番号とを、フェムトセル基地局装置200が無線通信部205からAAAサーバ300へ送信する(送信ステップ)。
【0060】
S60では、フェムトセル基地局装置200と無線通信端末100とを紐付けして、使用可能な組み合わせとして登録する(登録ステップ)。
【0061】
S70では、AAAサーバ300が、無線通信端末100の登録完了をフェムトセル基地局装置200へと通知する。無線通信端末100にアクセス権限を与える場合は、あらかじめAAAサーバ300に登録されているアクセス権限に関する情報から、無線通信端末100のアクセス権限を決定し、それをフェムトセル基地局装置200へと通知する。
【0062】
S80では、フェムトセル基地局装置200が、無線通信端末100の登録完了を無線通信端末100へと通知する。無線通信端末100のアクセス権限に関する情報がAAAサーバ300より通知された場合は、フェムトセル基地局装置200のメモリ部206に当該情報を記憶し、無線通信端末100のアクセス制御に利用する。
【0063】
S90では、登録完了の通知を無線通信端末100が受信して、無線通信端末100の登録が完了する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、フェムトセル基地局装置200を利用可能な無線通信端末100をAAAサーバ300に対して登録する手続きをユーザ自ら行うことができる。これにより、無線通信サービスを提供する事業者側で行う手続きを簡素化できると共に、ユーザの使い勝手を向上できる。例えば、ユーザ宅への来訪者が所有する無線通信端末100を、ユーザ宅に設置されているフェムトセル基地局装置200で利用可能とする手続きがその場で簡単に行える。
そして、上述したように無線通信端末100とフェムトセル基地局装置200との紐付けをAAAサーバ300で行うので、携帯電話サービスとして統括してアクセス制御が実施可能となる。これにより、マクロセル、ナノセル、ピコセル、フェムトセル等多数存在する基地局の中から最適な基地局を選択して利用することができる。
【0065】
また、QRコード(登録商標)を利用することにより、ユーザ名やパスワード等の設定を手作業で行うことなく登録を行うことができる。よって、登録作業が簡単になると共に誤登録を防止できる。
【0066】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0067】
(変形形態)
(1)フェムトセル基地局装置200は、一定時間だけ有効なセッション認証情報を生成する例を挙げて説明した。しかし、これに限らず、フェムトセル基地局装置200に固有のセッション認証情報を予め決めておいてもよい。また、そのような場合には、QRコード(登録商標)を予め印刷したラベルを貼り付けておいたり、セッション認証情報としての文字列を印刷したラベルを貼り付けたりする等してもよい。
【0068】
(2)フェムトセル基地局装置200は、QRコード(登録商標)によりセッション認証情報を開示する例を示した。しかし、これに限らず、例えば、セッション認証情報を表示部201に文字列として表示して、この文字列を無線通信端末100により撮影して文字認識してもよいし、手入力してもよい。
【0069】
(3)フェムトセル基地局装置200は、QRコード(登録商標)によりセッション認証情報を開示する例を示した。しかし、これに限らず、例えば、RFIDに用いられる短距離無線通信や赤外線通信等の短距離に限定した無線通信によってセッション認証情報をフェムトセル基地局装置200に近接した位置にある無線通信端末100に対して送出してもよい。短距離に限定された無線通信であれば、フェムトセル基地局装置200が設置されている家屋の外から第三者が登録を行うことを防止できるからである。
【0070】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0071】
100 無線通信端末
101 カメラ部
102 メモリ部
103 演算部
104 制御部
105 無線通信部
200 フェムトセル基地局装置
201 表示部
202 演算部
203 有線通信部
204 制御部
205 無線通信部
206 メモリ部
300 AAAサーバ
301 有線通信部
302 演算部
303 制御部
304 メモリ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末と、
前記無線通信端末と無線通信する基地局装置と、
前記基地局装置と有線又は無線により接続されており前記無線通信端末の認証を行うサーバと、
を備えた無線通信システムであって、
前記基地局装置は、認証情報を目視可能な状態で提示又は当該基地局装置に近接した位置にある前記無線通信端末に対して送出して開示する認証情報開示手段を備え、
前記無線通信端末は、
前記認証情報を取得する認証情報取得手段と、
当該無線通信端末に固有の端末識別番号を前記認証情報取得手段が取得した前記認証情報と共に前記基地局装置へと送信する送信手段と、
を備え、
前記基地局装置は、
前記無線通信端末から送信された前記認証情報が当該基地局装置の前記認証情報開示手段が開示する認証情報と一致するか否かを確認する認証情報確認手段と、
前記認証情報が一致する場合に当該基地局装置に固有の基地局装置識別番号を前記端末識別番号と共に前記サーバへ送信する送信手段と、
をさらに備え、
前記サーバは、前記基地局装置から送信された端末識別番号と前記基地局装置識別番号とを関連づけて登録する登録手段を備えること、
を特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局装置の前記認証情報開示手段は、開示する前記認証情報を変化させて開示すること、
を特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局装置の前記認証情報開示手段は、前記認証情報を目視可能な2値パターンのコードとして提示すること、
を特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の無線通信システムにおいて、
前記2値パターンのコードは、2次元コードであること、
を特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局装置の前記認証情報開示手段は、短距離無線通信により前記認証情報を当該基地局装置に近接した位置にある前記無線通信端末に対して送出すること、
を特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局装置は、フェムトセル基地局装置であること、
を特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
無線通信端末と無線通信する基地局装置であって、
前記無線通信端末の認証を行うサーバと有線又は無線により接続されており、
認証情報を目視可能な状態で提示又は当該基地局装置に近接した位置にある前記無線通信端末に対して送出して開示する認証情報開示手段と、
前記無線通信端末から送信された前記認証情報が当該基地局装置の前記認証情報開示手段が開示する認証情報と一致するか否かを確認する認証情報確認手段と、
前記認証情報が一致する場合に当該基地局装置に固有の基地局装置識別番号を前記無線通信端末から送信された前記無線通信端末に固有の端末識別番号と共に前記サーバへ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
無線通信端末と、
前記無線通信端末と無線通信する基地局装置と、
前記基地局装置と有線又は無線により接続されており前記無線通信端末の認証を行うサーバと、
を備えた無線通信システムの認証方法であって、
前記基地局装置は、認証情報を目視可能な状態で提示又は当該基地局装置に近接した位置にある前記無線通信端末に対して送出して開示する認証情報開示ステップを行い、
前記無線通信端末は、
前記認証情報を取得する認証情報取得ステップと、
当該無線通信端末に固有の端末識別番号を前記認証情報取得ステップが取得した前記認証情報と共に前記基地局装置へと送信する送信ステップと、
を行い、
前記基地局装置は、
前記無線通信端末から送信された前記認証情報が当該基地局装置の前記認証情報開示ステップが開示する認証情報と一致するか否かを確認する認証情報確認ステップと、
前記認証情報が一致する場合に当該基地局装置に固有の基地局装置識別番号を前記端末識別番号と共に前記サーバへ送信する送信ステップと、
をさらに行い、
前記サーバは、前記基地局装置から送信された端末識別番号と前記基地局装置識別番号とを関連づけて登録する登録ステップを備えること、
を特徴とする無線通信システムの認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−206572(P2010−206572A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50209(P2009−50209)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】