説明

無線通信システム、通信装置、プログラムおよび集積回路

【課題】誤り訂正符号にターボ符号を用い、変復調のパラメータや通信方式、伝搬路等に応じて、通信の信頼性向上を可能とする無線通信システム、通信装置、プログラム及び集積回路を提供する。
【解決手段】本発明の無線通信システムは、第1の通信装置が第2の通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、第1の通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の誤り訂正符号を挿入し、誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、送信信号を生成する無線通信システムであって、第1の通信装置から受信した信号の伝搬特性により、第2の通信装置が設定する通信パラメータと、通信パラメータに対して設定された、第2の通信装置におけるターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較し、比較結果によりコンポーネントエンコーダの拘束長を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、通信装置、プログラムおよび集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信システムにおいて、限られた資源である無線周波数の効率的な利用方法について研究が盛んに行われている。無線通信では、受信機の熱雑音や周波数選択性フェージングなどにより伝送した情報に誤りが生じ、周波数利用効率を低下させる一因となる。受信機における熱雑音による誤りを訂正する誤り訂正手法としては、非組織型畳み込み(NSC:Non−Systematic Convolutional)符号や再帰的組織型畳み込み(RSC:Recursive Systematic Convolutional)符号等の畳み込み符号、LDPC(Low Density Parity Check)符号、RSC符号を並列連接したターボ符号(非特許文献1参照)などがある。特にターボ符号を用いる場合、送信機の符号化部においては、コンポーネントエンコーダ(RSC符号器)であるRSC符号を生成する符号化器を、インターリーバを介して並列に連接し、ターボ符号化を行う。一方、受信機の復号部においては、繰り返し復号処理を行うターボ復号を行うことでシャノン限界に近い特性を達成できる。ここで、ターボ符号とは、符号器に複数のRSC符号器を有し、符号化を行う情報ビットに対してインターリーバを適用することでそれぞれのRSC符号器で独立に符号化を行う符号方式とする。
【0003】
周波数選択性フェージングを補償する手法としては、一般に周波数領域等化処理の手法が用いられている。例えば、最小平均二乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)規範に基づく手法などである。
さらに、ターボ符号で用いられる繰り返し復号の手法を等化器と復号部に適用したターボ等化技術(非特許文献2参照)による受信特性の改善も検討されている。一般にシングルキャリア伝送において、インパルス応答による送信信号の畳み込みと、誤り訂正符号化による情報ビットの拘束とをそれぞれ内符号、外符号とみなして繰り返しを行うことでシンボル間干渉(ISI:Inter Symbol Interference)の影響を可能な限り除去することができる。また、ターボ等化に用いる誤り訂正符号として、良好な受信特性を得ることができるターボ符号を用いることが検討されている(特許文献1参照)。ここで、ターボ等化とは、ターボ原理に基づくMAP(Maximum A Posteriori)検出器と復号器の繰り返し処理により外部情報を交換することで信号検出をする手法である。シングルキャリアのMAP検出器は、復号器からフィードバックされるISIやユーザ間干渉、セル間干渉、アンテナ間干渉などのレプリカをキャンセルするソフトキャンセラ、周波数領域等化のことである。マルチキャリアにも適用可能であり、その場合のMAP検出器では符号間干渉、キャリア間干渉などのレプリカをキャンセルするソフトキャンセラとなる。
【0004】
一方、周波数利用効率を向上させる伝送技術として、多アンテナ技術のMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送がある。
また、受信機の受信アンテナが送信アンテナよりも少ない場合、この状態において適用可能な周波数拡散された信号であるスペクトルを、一部重複した周波数範囲に割り当てられることを許容し、繰り返し等化技術であるターボ等化により受信機で信号検出する技術がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−147759号公報
【特許文献2】国際公開第2009/022709号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】C.Berrou,A.Glavieux,and P.Thitimajshima,"Near Shannon limit error-correcting coding and decoding:turbo-codes",in Proc.ICC'93,Geneva,Switzerland,May 1993,pp.1064-1070
【非特許文献2】C.Douillard,M.Jezequel,C.Berrou,A.Picart,P.Didier,A.Glavieux,"Iterative Correction of Intersymbol Interference: Turbo-Equalization",European Trans. Telecommunications and Related Technologies, vol.6, no.5, pp.507-511, Sept-Oct 1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、干渉が高い通信環境下において、ターボ等化のような繰り返し処理等化に用いる誤り訂正符号をターボ符号とした場合に、繰り返し処理の収束性が悪く、信号検出の誤り率特性が大幅に劣化する問題があった。
【0008】
本発明は、誤り訂正符号としてターボ符号を用いる通信システムにおいて、より通信の信頼性を高くすることでのできる無線通信システム、通信装置、プログラムおよび集積回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の無線通信システムは、第1の通信装置が第2の通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記第1の通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムであって、前記第2の通信装置が、ターボ等化による信号の受信処理を行う場合、前記複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長で構成するターボ符号部を用いることを特徴とする。
【0010】
本発明の無線通信システムは、前記第2の通信装置が前記第1の通信装置から受信した信号の伝搬特性により設定する通信パラメータと、当該通信パラメータに対して設定されたターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較し、比較結果により前記複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長で構成するターボ符号部を用いることを特徴とする。
【0011】
本発明の無線通信システムは、前記ターボ符号部を構成する複数のコンポーネントエンコーダのいずれか1つの拘束長を変更することを特徴とする。
【0012】
本発明の無線通信システムは、前記複数のコンポーネントエンコーダがそれぞれ異なる拘束長に設定されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の無線通信システムは、前記通信パラメータのいずれかがターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値に該当する場合、前記ターボ符号部内のいずれか1つのコンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする。
【0014】
本発明の無線通信システムは、当該無線通信システムの前記第2の通信装置が、複数の前記第1の通信装置へ重複した帯域の割当を許容し、受信した前記送信信号をターボ等化における繰り返し処理により復号の処理を行う場合、前記第2の通信装置が、複数の第1の通信装置毎へ割り当てる周波数の帯域、符号化率及び変調シンボルの変調多値数と、前記第2の通信装置が用いる受信アンテナの本数とからなる制御情報を決定し、前記第2の通信装置が前記制御情報と複数の第1の通信装置に重複して割り当てた帯域の重複率からなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部を前記第1の通信装置に通知し、前記第1の通信装置が通知された通信パラメータと、ターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長で構成するターボ符号部を用いて符号化することを特徴とする
【0015】
本発明の無線通信システムは、当該無線通信システムの前記第2の通信装置が、前記第1の通信装置の有する複数の送信アンテナ毎に割り当てる帯域を決定し、前記複数の送信アンテナへ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、
前記第2の通信装置が、複数の前記送信アンテナ毎へ割り当てる周波数の帯域、符号化率及び変調シンボルの変調多値数からなる制御情報を決定し、前記第2の通信装置が前記制御情報と、複数の送信アンテナに重複して割り当てた帯域の重複率と、受信アンテナの本数からなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部を前記第1の通信装置に通知し、前記第1の通信装置が通知された通信パラメータと、ターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長で構成するターボ符号部を用いて符号化することを特徴とする。
【0016】
本発明の無線通信システムは、当該無線通信システムの前記第2の通信装置が複数の前記第1の通信装置へ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、前記第2の通信装置が複数の前記第1の通信装置毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、前記第2の通信装置が前記制御情報と複数の第1の通信装置に重複して割り当てた帯域の重複率と、前記第2の通信装置が用いる受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記第1の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記第1の通信装置に通知し、前記第1の通信装置が、前記ターボ符号部におけるコンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする。
【0017】
本発明の無線通信システムは、当該無線通信システムの第2の通信装置は第1の通信装置の有する複数の送信アンテナ毎に割り当てる帯域を決定し、前記複数の送信アンテナへ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、前記第2の通信装置が複数の送信アンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、前記制御情報と複数の送信アンテナに重複して割り当てた帯域の重複率と、受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記第1の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記第1の通信装置に通知し、前記第1の通信装置が、前記ターボ符号部におけるコンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする。
【0018】
本発明の無線通信システムは、当該無線通信システムの前記第1の通信装置が、複数の送信アンテナを用いて前記第2の通信装置に空間多重した信号を伝送し、前記第2の通信装置が複数の受信アンテナを用いて空間多重された信号の分離とターボ等化による受信処理とを行う場合、前記第2の通信装置は複数の送信アンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、前記制御情報と複数のアンテナ毎の伝搬路推定から算出したアンテナ間の相関値、受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記第1の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記第1の通信装置に通知し、前記第1の通信装置が、前記拘束長の情報により、前記ターボ符号部におけるコンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする。
【0019】
本発明の無線通信システムは、当該無線通信システムの前記第1の通信装置が、複数の送信アンテナを用いて前記第2の通信装置に空間多重した信号を伝送し、第2の通信装置が複数の受信アンテナを用いて空間多重された信号の分離とターボ等化による受信処理を行う場合、前記第2の通信装置が複数のアンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数、複数のアンテナ毎の伝搬路推定から算出したアンテナ相関値、受信アンテナ本数からなる制御情報を決定し、当該制御情報を前記第1の通信装置に送信し、前記第1の通信装置が、前記制御情報のパラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、ターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、前記ターボ符号部における複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長を用いることを特徴とする。
【0020】
本発明の無線通信システムは、前記符号化率が高い場合に前記符号化部のコンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする。
【0021】
本発明の通信装置は、通信装置が他の通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記第1の通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムで用いる通信装置であって、前記ターボ符号部内の複数のコンポーネントエンコーダの各々が異なる拘束長を使用することを特徴とする。
【0022】
本発明の通信装置は、前記通信パラメータのいずれかがターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値に該当する場合、前記ターボ符号部内のいずれか1つのコンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする。
【0023】
本発明の通信装置は、当該無線通信システムの前記他の通信装置が、複数の前記通信装置へ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、前記ターボ符号部内の複数のコンポーネントエンコーダの各々が異なる拘束長を有していることを特徴とする。
【0024】
本発明の通信装置は、当該無線通信システムの前記他の通信装置が、前記通信装置の有する複数の送信アンテナ毎に割り当てる帯域を決定し、前記複数の送信アンテナへ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、前記ターボ符号部内の複数のコンポーネントエンコーダの各々が異なる拘束長を有していることを特徴とする。
【0025】
本発明の通信装置は、前記他の通信装置から受信した信号の伝搬特性により、前記他の通信装置が設定する通信パラメータと、当該通信パラメータに対して設定された、前記通信装置におけるターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較し、比較結果により前記コンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする。
【0026】
本発明の通信装置は、前記ターボ符号部内の2つのコンポーネントエンコーダの各々の拘束長を、いずれか一方を3とし、他方を4とすることを特徴とする。
【0027】
本発明の通信装置は、前記他の通信装置より帯域の割当情報、変調方式、符号化率、帯域の重複率、アンテナ間の相関値、受信アンテナの本数からなる通信パラメータのすべて、もしくは一部を通知され、通知された通信パラメータの情報を基に、ターボ符号部におけるコンポーネントエンコーダの拘束長を決定し、ターボ符号化を行うことを特徴とする。
【0028】
本発明の通信装置は、前記他の通信装置が通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムで用いる通信装置であって、前記通信装置が、複数の送信アンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、前記制御情報と複数のアンテナ毎の伝搬路推定から算出したアンテナ間の相関値、受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記他の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記他の通信装置に通知することを特徴とする。
【0029】
本発明のプログラムは、上記無線通信システムの第1の通信装置を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記第2の通信装置より通知される帯域の割当情報、変調方式、符号化率、帯域の重複率、アンテナ間の相関値、受信アンテナ本数からなる通信パラメータのすべてもしくは一部の情報を基に、ターボ符号部内のコンポーネントエンコーダ毎に拘束長を決定し、ターボ符号化を行うことを特徴とするコンピュータ実行可能なプログラムである。
【0030】
本発明のプログラムは、上記無線通信システムの第2の通信装置を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記第1の通信装置への帯域の割当情報、変調方式、符号化率からなる制御情報と、前記制御情報に帯域の重複率と、アンテナ間の相関値と、前記第2の通信装置の受信アンテナ本数とを、通信パラメータとし、前記第2の通信装置がターボ符号部内のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定する情報として、前記第1の通信装置に対して送信部に送信させることを特徴とするコンピュータ実行可能なプログラムである。
【0031】
本発明のプログラムは、上記無線通信システムの第2の通信装置を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記第1の通信装置へ帯域の割当情報、変調方式、符号化率からなる制御情報と、前記制御情報に前記装置間の帯域の重複率と、アンテナ間の相関値と、前記第2の通信装置の受信アンテナ本数とを、通信パラメータとし、この通信パラメータにより、前記第1の通信装置におけるターボ符号部内のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を求め、求めた拘束長を前記第1の通信装置に対して送信部に送信させることを特徴とするコンピュータ実行可能なプログラムである。
【0032】
本発明の集積回路は、通信装置が他の通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記第1の通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムで用いる通信装置の集積回路であって、前記ターボ符号部内の複数のコンポーネントエンコーダの各々が異なる拘束長を使用することを特徴とする。
【0033】
本発明の集積回路は、他の通信装置が通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムで用いる通信装置の集積回路であって、前記通信装置が、複数の送信アンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、前記制御情報と複数のアンテナ毎の伝搬路推定から算出したアンテナ間の相関値、受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記他の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記他の通信装置に通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、誤り訂正符号としてターボ符号を用いる通信システムにおいて、コンポーネントエンコーダにおける符号化の拘束長を、符号化率、変調方式、帯域の割当情報、他の送信装置との帯域割当の重複率などにより変更することで、通信の信頼性を高くすることができ、従来に比較して周波数利用効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】端末装置UE2及びUE3が基地局装置eNBに対してデータ送信を行う際、送信に用いる帯域の離散的な割当の一例を示す図である。
【図3】本実施形態における端末装置UE2及びUE3の構成例を示すブロック図である。
【図4】ターボ符号部101及び111の構成例を示すブロック図である。
【図5】符号化部201及び204の構成例を示すブロック図である。
【図6】本実施形態における基地局装置eNBにおける受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】符号化方法決定部107(117)による拘束長の設定処理の動作例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態の無線通信システムの構成によるフレーム誤り率と平均受信信号エネルギ対雑音電力スペクトル密度比との対応を示すグラフである。
【図9】本実施形態の受信装置をマルチキャリアを用いた通信に対応させた場合の構成例を示すブロック図である。
【図10】この発明の第2の実施形態による端末装置UE1の構成例を示すブロック図である。
【図11】アンテナT1及びT2に対する離散的な周波数帯域の割当を示す図である。
【図12】アンテナT1及びT2に対する連続的な周波数帯域の割当を示す図である。
【図13】この発明の第2の実施形態による基地局装置eNBの受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図14】符号化方法決定部708による拘束長の設定処理の動作例を示すフローチャートである。
【図15】第3の実施形態におけるアンテナ毎に帯域を割り当てる一例を示す図である。
【図16】この発明の第3の実施形態による基地局装置eNBの受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図17】この発明の第4の実施形態における符号化方法決定部107、117(及び708)が行う拘束長の制御処理の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による無線通信システムの概念図である。
この図1において、基地局装置eNBは、複数の端末装置UE1、UE2、UE3と下り回線及び上り回線を用いて相互に無線通信を行っている。基地局装置eNB、複数の端末装置UE1、UE2、UE3それぞれは送受信機の機能を有する装置である。しかし、以下の各実施形態における説明においては、端末装置UE1,UE2,UE3のそれぞれが上り回線を通してデータ信号を基地局装置eNBに送信する場合について説明する。このため、データ信号の送信側と受信側との意味で、端末装置を送信装置と称し、基地局装置eNBを受信装置と称する。したがって、ここで言う送信装置および受信装置は、前者が端末装置の送信部を指称し、後者が基地局装置の受信部を指称する場合を包含するが、それに限定されない。
ここで、端末装置UE1は、2本の送信アンテナを用いる空間多重した同一周波数を用いたMIMO(Multiple Input Multiple Output;多入力/多出力)伝送を行っている。一方、端末装置UE2及びUE3は、1本の送信アンテナによるデータ送信を行っている。ただし、各端末装置がデータ送信に用いるアンテナの本数は、伝搬路状況から送信に用いるアンテナ数や帯域の割り当てを基地局装置eNBが決定し、各々の端末装置に対して通知する。
【0037】
図1の無線通信システムでは、端末装置UE2及びUE3に対し、基地局装置eNBが離散的な帯域の割当が可能である。図2は、端末装置UE2と端末装置UE3への離散的な帯域の割当の一例について示している。図2において、横軸は周波数を示す。斜め右下がり線でハッチングを施した山形図形及び縦横の格子線でハッチングした山形図形は、ユーザ端末UE2に割り当てたサブキャリアを示し、縦線でハッチングを施した山形図形及び縦横の格子線でハッチングした山形図形は、ユーザ端末UE3に割り当てたサブキャリアを示す。したがって、縦横の格子線でハッチングした山形図形は、ユーザ端末UE2及びUE3の双方に割り当てたサブキャリアを示す。また、図2の上部には、縦軸を伝搬路利得として、ユーザ端末UE2及びUE3の伝搬路の伝搬路利得曲線をも示す。この図2において、各端末装置UE2及びUE3への割り当ては、サブキャリア単位として説明するが、サブキャリアの整数倍を割当の帯域幅の最小単位としても良い。例えば、12サブキャリアをリソースブロックとして、リソースブロック単位での割り当てを行っても良い。この図2の例では、2ユーザに対してFDM(Frequency Division Multiplexing;周波数分割多重)の割当ではなく、基地局装置eNBが端末装置UE2及びUE3各々の伝搬路利得の高いサブキャリアを割り当てるため、一部のサブキャリアが重複した割当となっている。
【0038】
<第1の実施形態>
次に、図1における無線通信システムにおいて、基地局装置eNBと、端末装置UE2及びUE3とを用いた、シングルキャリアによるデータ送信を例に、第1の実施形態の無線通信システムを説明する。
第1の実施形態における送信装置構成について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態における端末装置UE2及びUE3の構成例を示すブロック図である。本実施形態では、端末装置UE2及びUE3の送信装置構成として説明する。端末装置UE2は、ターボ符号部101、変調部102、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)部103、マッピング部104、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform; 逆高速フーリエ変換)部105、参照信号多重部106、符号化方法決定部107及び制御情報受信部108を有している。端末装置UE3は、端末装置UE2と同様の構成である。
【0039】
この図3において、端末装置UE2は、基地局装置eNBの受信装置より通知された制御情報を、制御情報受信部108より受信する。ここで、制御情報受信部108が受信する制御情報は、符号化率、変調方式、帯域の割当情報、他の送信装置との帯域割当の重複率などを含むものとする。制御情報受信部108は、この制御情報に含まれる符号化率や変調方式及び帯域の重複率などの情報を符号化方法決定部107に対して出力する。また、制御情報受信部108は、制御情報に含まれる変調方式を変調部102に対し出力する。また、制御情報受信部108は、帯域割当情報をマッピング部104へ出力する。
符号化方法決定部107では、通知される符号化率に基づいて、予め設定されている複数のパンクチャパターンからいずれかを選択して、使用するパンクチャパターンの決定を行うとともに、符号化率、変調方式及び重複率に基づいて、符号化の拘束長に関する情報を決定し、決定されたパンクチャパターン及び符号化の拘束長に関する情報をターボ符号部101に出力する。符号化方法決定部107は、符号化率とパンクチャパターンとを対応付けて記憶している。ここで、拘束長とは、RSC符号器にて生成される畳み込み符号において畳み込まれるビットの数を示している。
【0040】
ターボ符号部101は、符号化方法決定部107より入力された符号化に関する情報によりデータビットを符号化し、符号化ビットを変調部102へ出力する。
変調部102は、入力される符号化ビットを、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying;四相位相偏移変調)、16QAM(16-ary Quadrature Amplitude Modulation;16直交振幅変調)などの変調のうち、制御情報受信部108から受けた変調方式による変調を施して変調シンボルとした後、この変調シンボルをFFT部103に対して出力する。
ここで、1変調シンボルを構成するビット数を変調多値数とし、例えばQPSKでは2ビットから1シンボルから構成され、16QAMでは4ビットから構成される。
FFT部103は、変調部102から入力される変調シンボルを、時間領域から周波数領域のデータ信号に変換し、変換されたデータ信号をマッピング部104へ出力する。
【0041】
マッピング部104は、制御情報受信部108から入力される帯域割当情報を基に、周波数領域のデータ信号を、対応する帯域に割り当てる処理を行い、割り当てたデータ信号をIFFT部105へ出力する。
IFFT部105は、周波数領域のデータ信号を、時間領域の送信信号に変換し、この変換した送信信号を参照信号多重部106に対して出力する。
参照信号多重部106は、時間領域において送信信号に対して参照信号(符号パターンが既知であるパイロット信号)を多重する処理を行う。
【0042】
図3では省略しているが、送信信号は、CP(Cyclic Prefix;サイクリックプレフィックス)を挿入された後に、D/A(Digital/Analog;ディジタル/アナログ)変換でアナログの信号に変換され、次いで無線周波数にアップコンバートされる。アップコンバートされた信号は、PA(Power Amplifier;電力増幅器)により送信電力に増幅された後に送信アンテナから送信される。以下、生成した送信信号の送信処理は同様の処理とし、省略する。
また、端末装置UE3も端末装置UE2と同様の信号処理により、送信信号を生成してアップコンバートし、電力増幅器PAにより送信電力に増幅した後に送信アンテナから送信する。
本実施形態では、参照信号多重部106が時間領域において参照信号を多重したが、マッピング部104が周波数領域で参照信号を送信信号に対して多重する構成としても良い。この場合、参照信号多重部106は必要なくなる。
【0043】
次に、図4を用いてターボ符号部101の構成を説明する。ターボ符号部101及び111が同様の構成のため、図4はターボ符号部101の構成例を代表として説明する。ターボ符号部101は、符号化部201、パンクチャ部202、並び替え部203、符号化部204及び符号化ビット出力部205を有している。
ターボ符号部101には、パンクチャパターンと拘束長に関する情報とが、符号化方法決定部107から入力される。ここで、拘束長の情報は、符号化方法決定部107が、符号化率や重複率、変調方式の情報を基に、ターボ符号部101内の符号化部201と符号化部204とに対し、それぞれ求めた拘束長の情報とする。
【0044】
符号化部201は、データビット(情報ビット)に対して通知された拘束長のRSC(Recursive Systematic Convolutional;再帰系統的畳み込み)符号化を施し、データビットそのものであるシステマティックビットと、RSC符号化により得られたパリティビットとを出力する。ここで、符号化部201は、システマティックビットを符号ビット出力部205へ、また、パリティビットをパンクチャ部202へ出力する。
【0045】
並び替え部203は、入力されるデータビットのビット順序を代えて、データビットの並べ替え(インターリーブ)を行い、並べ替えたデータビットを符号化部204に出力する。
符号化部204は、並び替え部203から入力される、並べ替えられたデータビットに対して、符号化方法決定部107より通知された拘束長によりRSC符号化を行う。
ここで、並び替え部203の並び替えのパターンは、ターボ符号部101と、基地局装置eNBにおける復号部とで予め同一のパターンが保持されている。このため、符号化部204は、システマティックビットを送信する必要がない。したがって、符号化部204はパリティビットのみを生成し、パンクチャ部202へ出力する。上述した符号化部201及び204の各々は、情報ビットであるシステマティックビットに対して付加する異なるパリティビットを誤り訂正符号として生成する。
【0046】
パンクチャ部202は、符号化部201と符号化部204とから出力されるパリティビットを、符号化方法決定部107から通知されたパンクチャパターンと拘束長に関する情報とによりパンクチャリングする。
パンクチャパターンは、端末装置UE2のターボ符号部101と、基地局装置eNBにおける復号部とで同じものが予め設定されている。
符号ビット出力部205は、符号化部201から入力されるシステマティックビットと、パンクチャ部202から入力されるパンクチャリングされたパリティビットとを連結する。
ターボ符号部101は、システマティックビットと、パンクチャ部202から出力されるパリティビットとが連結されたビット列を、符号ビットとして出力する。
【0047】
次に、図5は、符号化部201及び符号化部204の構成例を示す図である。拘束長4のRSC符号化を行う符号化部201(204)の一例として図5(a)の構成とし、拘束長3のRSC符号化を行う符号部の一例として図5(b)の構成とする。ここで、入力ビットと遅延回路に保持されているビットを用いてパリティビットを生成することから、拘束長は遅延回路の数に1を加えた値となる。
図5(a)の符号化部は、遅延回路204−11、204−12、204−13と、加算器204−21、204−22、304−23、204−24とから構成されている。
図5(b)の符号化部は、遅延回路204−31、204−32と、加算器204−41、204−42、304−43とから構成されている。
符号化部201及び符号化部204の各々は、符号化方法決定部107から入力される拘束長に対応して、時系列に入力されるデータビットの畳み込む数を拘束長のビット数となるよう、遅延回路と加算器との接続を制御する。例えば、符号化部201における拘束長が4から3に変更する場合、図5(a)から図5(b)の遅延回路及び加算器の接続が変更される。ここで、符号化部201及び符号化部204の拘束長は最初から異なる数で設定していても良い。
【0048】
次に、図6を用いて本実施形態における基地局装置eNBの説明を行う。図6は、本実施形態における基地局装置eNBであり、受信アンテナを1本とした構成例を示す図である。
この図においては、基地局装置eNBは、参照信号分離部301、FFT部302、デマッピング部303、ソフトキャンセラ部304、等化部305、IFFT部306、復調部307、復号部308、レプリカ生成部309、FFT部310、IUI抽出部311、伝搬路推定部312、ソフトキャンセラ部324、等化部325、IFFT部326、復調部327、復号部328、レプリカ生成部329、FFT部330、IUI抽出部331を有している。
【0049】
参照信号分離部301は、複数の送信装置(端末装置)から、本実施形態においては端末装置UE2及びUE3からの受信信号を受信アンテナTB1により同時に受信し、符号化データと参照信号との分離を行う。
このとき、参照信号分離部301は、受信した受信信号をベースバンド信号にダウンコンバートし、A/D変換を行うことでディジタル信号に変換する。
また、参照信号分離部301は、ディジタル信号からサイクリックプレフィックスCPを除去した後、各送信装置の参照信号を分離し、この分離した参照信号を伝搬路推定部312に対して出力し、参照信号が分離されたデータ信号を、FET部302に対して出力する。
【0050】
そして、伝搬路推定部312は、入力される各送信装置の参照信号から、複数の送信装置の各々の伝搬路特性を推定し、デマッピング部303及び等化部305へ出力する。
また、伝搬路推定部312は、推定した伝搬路特性により、送信装置毎に対して、帯域割当(帯域の割当情報)、符号化率、変調方式などを設定する。このとき、伝搬路推定部312は、帯域割当を設定する際、各送信装置の伝搬路特性に基づいて、重複した割当も許容するため、他の送信装置との割当帯域の重複率を含めて帯域割当を設定する。ここで、重複率とは、複数の送信装置に対し、割り当てた帯域で同一周波数に複数の送信装置が割り当てられている割合をしめす。例えば、送信装置数が2であり、それぞれ10サブキャリアの割当を行い、5サブキャリアが重複している場合には重複率が0.5となる。
そして、伝搬路推定部312は、設定した帯域の割当情報、符号化率、変調方式及び重複率からなる制御情報を、フィードバックするための信号に変換し、図示しない変調部、無線部及び送信アンテナを介して各送信装置(端末装置UE2、UE3)に対して送信する。ここで、伝搬路推定部312には、伝搬路特性に対応して、実験などにより所定の誤り率が得られるように求めた制御情報が予め設定されており、入力される伝搬路特性に対応して記憶されている制御情報を出力する。また、伝搬路推定部312は、上記制御情報により拘束長及びパンクチャパターンを求め、この求めた拘束長及びパンクチャパターンを復号部328へ出力する。
【0051】
FFT部302は、データ信号を、時間領域の信号から周波数領域の信号へ変換し、変換された周波数信号をデマッピング部303へ出力する。
デマッピング部303は、内部に記憶されている送信装置に対して前に送信した際のマッピング情報である帯域の割当情報により、周波数信号を各送信装置からの信号に分離、すなわち端末装置UE2からの信号Aと、端末装置UE3からの信号Bとに分離する。
そして、デマッピング部303は、周波数信号を分離した各装置からの信号を異なる検出経路に出力する。本実施形態において、デマッピング部303は、周波数信号を分離した信号Aをソフトキャンセラ部304へ、また信号Bをソフトキャンセラ部324へ出力する。ここで、この段階においては、単にマッピング情報を用いて周波数信号を分離するのみであるため、送信時に重複していた一部の割当帯域の周波数信号に関しては互いに干渉として残っている。
【0052】
ソフトキャンセラ部304は、後述する復号部308からのフィードバック情報であるISIに関する情報と、IUI抽出部331より他の送信装置が重複して帯域へ信号を割り当てたことによるユーザ間干渉(IUI:Inter User Interference)の情報とにより、分離された信号A(特定の送信装置の信号)に対し、ソフトキャンセル処理として、受信信号からISIとIUIのソフトレプリカを減算することで、ISI及びIUIをキャンセルする処理を行う。本実施例では、ISIとIUIを同時に減算してキャンセルしたが、ISIとIUIとのソフトレプリカをそれぞれ個々に減算してキャンセルする処理を行っても良い。
また、ソフトキャンセラ部304は、ソフトキャンセルした信号Aを、等化部305に対して出力する。
ただし、ソフトキャンセラ部304は、第1回目は、フィードバック情報がなく、また、IUI抽出部331より他の送信装置が重複して帯域へ信号を割り当てたことによるユーザ間干渉の情報が入力されないため、ISIとIUIをキャンセルする処理を行わない。
【0053】
等化部305は、ソフトキャンセラ部304から入力される信号Aに対し、伝搬路推定部312で推定された伝搬路特性により、MMSE重みを乗算する等の無線伝搬路のひずみを補償する等化処理を行い、等化処理した信号AをIFFT部306へ出力する。
IFFT部306は、等化部305から入力される等化処理された信号Aを、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換し、変換結果として処理信号A1を復調部307に対して出力する。
復調部307は、前回送信装置に送信した変調方法に対応させて、IFFT部306から入力される処理信号A1に対し、変調シンボルの復調処理を行い、復調された復調信号A2を復号部308へ出力する。
【0054】
復号部308は、復調部307から入力される復調信号A2に対し、送信装置に制御情報として通知した符号化率などの制御情報による復号処理を行い、復号結果を信号ビットA3としてレプリカ生成部309に対して出力する。
レプリカ生成部309は、前回送信装置に送信した変調方法に対応させて、再度、復号ビットを変調シンボルに変換し、レプリカ信号RAとしてFFT部310に対して出力する。
【0055】
FFT部310は、レプリカ生成部309から入力されるレプリカRA信号を、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換し、変換結果をフィードバック情報として、ソフトキャンセラ部304及びIUI抽出部311に対して出力する。
ソフトキャンセラ部304は、FFT部310から入力されるフィードバック情報により、自身の信号AにおけるISI干渉のキャンセル処理を行う。
【0056】
IUI抽出部311は、FFT部310から入力されるフィードバック情報からIUI干渉レプリカRA2を生成して、このIUI干渉レプリカRA2をソフトキャンセラ部324へ出力する。この干渉レプリカRA2は、ソフトキャンセラ部324において、他の通信装置、すなわち端末装置UE3から送信された信号Bから、信号AによるIUI干渉の除去に用いられる。
【0057】
また、ソフトキャンセラ部324、等化部325、IFFT部326、復調部327、復号部328、レプリカ生成部329、FFT部330及びIUI抽出部331においても上述した処理と同様の処理が行われる。
すなわち、ソフトキャンセラ部324は、後述する復号部328からのフィードバック情報と、IUI抽出部311より他の送信装置が重複して帯域へ信号を割り当てたことによるユーザ間干渉の情報とにより、分離された信号B(特定の送信装置の信号)に対し、ソフトキャンセル処理によりISIとIUIをキャンセルする処理を行う。
また、ソフトキャンセラ部324は、ソフトキャンセルした信号Bを、等化部325に対して出力する。
ただし、ソフトキャンセラ部324は、第1回目はフィードバック情報がなく、また、IUI抽出部311より他の送信装置が重複して帯域へ信号を割り当てたことによるユーザ間干渉の情報が入力されないため、ISIとIUIをキャンセルする処理を行わない。
【0058】
等化部325は、ソフトキャンセラ部324から入力される信号Bに対し、伝搬路推定部312で推定された伝搬路特性により、MMSE重みを乗算する等の無線伝搬路のひずみを補償する等化処理を行い、等化処理した信号BをIFFT部326へ出力する。
IFFT部326は、等化部325から入力される等化処理された信号Bを、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換し、変換結果として処理信号B1を復調部327に対して出力する。
復調部327は、前回送信装置に送信した変調方法に対応させて、IFFT部326から入力される処理信号B1に対し、変調シンボルの復調処理を行い、復調された復調信号B2を復号部328へ出力する。
【0059】
復号部328は、復調部327から入力される復調信号B2に対し、送信装置に制御情報として通知した符号化率と、伝搬路推定部312が制御情報から求めた拘束長及びパンクチャパターンの情報による復号処理を行い、復号結果を信号ビットB3としてレプリカ生成部329に対して出力する。
レプリカ生成部329は、前回送信装置に送信した変調方法に対応させて、再度、復号ビットを変調シンボルに変換し、レプリカ信号RBとしてFFT部330に対して出力する。
【0060】
FFT部330は、レプリカ生成部329から入力されるレプリカRB信号を、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換し、変換結果をフィードバック情報として、ソフトキャンセラ部304及びIUI抽出部311に対して出力する。
ソフトキャンセラ部324は、FFT部330から入力されるフィードバック情報により、自身の信号BにおけるISI干渉のキャンセル処理を行う。
【0061】
IUI抽出部331は、FFT部330から入力されるフィードバック情報からIUI干渉レプリカRB2を生成して、このIUI干渉レプリカRB2をソフトキャンセラ部304へ出力する。この干渉レプリカRB2は、ソフトキャンセラ部304において、他の通信装置、すなわち端末装置UE2から送信された信号Aから、信号BによるIUI干渉の除去に用いられる。
【0062】
上述したソフトキャンセラ部304からIUI抽出部311による系統での端末装置UE2からの送信信号の復号処理と、ソフトキャンセラ部304からIUI抽出部311による系統での、端末装置UE2と異なる送信装置である端末装置UE3からの送信信号との復号処理が繰り返して行われる。
この送信装置毎の送信信号の復号処理は、任意の回数または所定の回数繰り返して行われ、最後に、復号部308、328の各々の後段に設けられた図示しない判定部により、復号ビットに対して硬判定等を行うことにより、送信装置毎の復号データを得ることになる。
【0063】
次に、本実施形態の符号化方法決定部107及び117における受信装置が送信装置から入力される制御情報により拘束長を決定する処理を詳細に説明する。
本実施形態においては、帯域の重複率の増加や変調方式の多値化によるターボ等化における繰り返し処理の収束性の変化に応じて、符号化方法決定部107及び117の各々が、ターボ符号部101及び111内部のコンポーネントエンコーダ(RSC符号器)である符号化部201と符号化部204の拘束長をそれぞれ決定する。
【0064】
このとき、符号化部201と符号化部204の拘束長を両方とも短くすると、上述した各復号処理を行う系統におけるターボ等化における繰り返し処理の収束性が良くなるが、一方で受信した信号に対する誤り訂正能力が劣化することになる。
逆に、両方の符号化部の拘束長を長くすると、受信した信号に対する誤り訂正能力が向上して高くなるが、ターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪くなる。
そのため、帯域の重複率、変調多値数、符号化率によりターボ等化における繰り返し処理の収束性を考慮してコンポーネントエンコーダである符号化部201及び符号化部204の拘束長を決めることが好ましい。ここで、変調多値数は、多値変調方式における1シンボルで送信するビット数、変調方式のとして受信機から入力される。また、ターボ符号部101及び111内の2つのコンポーネントエンコーダ(符号化部201及び符号化部204)が異なる拘束長を用いる、もしくはいずれか片方のみの拘束長を変更することで、誤り訂正能力の劣化を抑えつつ、ターボ等化における繰り返し処理の収束性が良い符号方法を決定することが望ましい。
【0065】
ここで、本実施形態における符号化方法決定部107の符号化率の決定方法の一例について、図7を用いて説明する。図7は、符号化方法決定部107の符号化率の決定方法の動作例を示すフローチャートである。
ステップS1:
制御情報受信部108は、受信装置である基地局装置eNBより通知された制御情報を受信し、受信した制御情報を符号化方法決定部107に対して出力する。受信装置より通知された制御情報には、符号化率、変調多値数、他の送信装置との帯域割当の重複率が含まれているが、ここで、符号化率をC、変調多値数をM、他の送信装置との帯域割当の重複率をRとする。
【0066】
ステップS2:
符号化方法決定部107は、受信した制御情報に含まれる符号化率Rが収束性の悪くなる高い符号化率の閾値のrより高い値であるかの判定を行う。
ここで、符号化方法決定部107は、符号化率Cと符号化率の閾値rとの関係がC>rの場合、処理をステップS3へ進め、一方、符号化率Cと符号化率の閾値rとの関係がC≦rの場合、処理をステップS6へ進める。
【0067】
ステップS3:
符号化方法決定部107は、ステップS2において符号化率が高いと判断した場合、通知された変調多値数Mが収束性の悪くなる多値数mより大きい値か否かの判定を行う。なお、QPSKの変調多値数は2であり、16QAMの変調多値数は4である。
ここで、符号化方法決定部107は、変調多値数Mと多値数mとの関係がM>mの場合、処理をステップS4へ進め、一方、変調多値数Mと多値数mとの関係がM≦mの場合、処理をステップS5へ進める。
【0068】
ステップS4:
符号化方法決定部107は、符号化部201または符号化部204のいずれか一方の拘束長を短くする。これにより、ターボ復号処理の収束性が改善されることになる。
符号化方法決定部107は、例えば符号化部204における拘束長を拘束長4から拘束長3へと1つ下げ、この求めた拘束長を符号化部204へ出力する。
そして、符号化部204は、符号化方法決定部107から入力される拘束長に対応して、コンポーネントエンコーダとしての拘束長を変更するよう内部の論理演算回路の構成を変更する。拘束長の変更において、例えば、符号化部204は、図5(a)から図5(b)に示すように、遅延回路及び加算器の接続の構成を変更する。または、図5(a)と図5(b)とに示すRSC符号器を符号化部内に有し、すなわち符号化部が異なる拘束長のRSC符号器を複数有し、符号化部が符号化方法決定部107からの拘束長により、誤り訂正符号の生成に使用するRSC符号器を変更する。ここで、いずれの符号部の拘束長を変化させるか、また拘束長の長さをどの程度変化させるかは、符号化方法決定部107内部に予め設定されている。
例えば、変調多値数Mと多値数mとの差分、符号化率Cと閾値rとの差分、重複率Rと閾値rとの差分等の組合せになどにより、変更する拘束長の長さ(1つ、あるいは2つ以上の複数)を設定するテーブルを有し、ステップS4において、組合せに対応した拘束長をこのテーブルから読み出し、読み出した拘束長により調整するように構成しても良い。
また、例えば、ステップS2において「NO」で、ステップS5において「YES」の場合に拘束長を1つ下げ、ステップS2において「YES」で、ステップS3において「YES」の場合に拘束長を2つ下げるなどのように比較対象の組合せにより、拘束長を変更する数を設定して、その組合せにより拘束長を選択するように構成しても良い。
【0069】
ステップS5:
符号化方法決定部107は、受信装置から通知された帯域の重複率Rが収束性の悪くなる閾値のrより高い重複率が否かの判定を行う。
ここで、符号化方法決定部107は、重複率Rと閾値rとの関係がR>rの場合、処理をステップS4へ進め、一方、重複率Rと閾値rとの関係がR≦rの場合、処理をステップS6へ進める。
【0070】
ステップS6:
符号化方法決定部107は、符号化率Cがr以下の符号化率であれば、拘束長を変えることによる収束性の改善は必要がないため、符号化方法決定部107は、2つのコンポーネントエンコーダである符号化部201及び204の拘束長を変化させず、同一の拘束長(例えば、拘束長4)を用いるよう設定する。
【0071】
上述したように、本実施形態によれば、帯域の重複率、変調多値数及び符号化率により逐次、コンポーネントエンコーダの拘束長を変更するため、例えば、同一の拘束長であった場合にいずれかを変更して差異を与えるため、従来では収束性が悪くなる閾値を超えた符号化率、また収束性の悪くなる閾値を超えた重複率を使用することができ、様々な変調方式通信方式における誤り率特性を改善することができる。
また、ターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値としての閾値r、m、rを用いた拘束長の決定は受信機でも必要であるため、予め3つのパラメータは送信装置、受信装置で同一の値が決められ、それぞれに記憶されているものとする。本実施形態では、拘束長を変更する例について説明したが、複数のコンポーネントエンコーダが同一の拘束長のターボ符号部と異なる拘束長のターボ符号部を持っており、図7の条件により誤り訂正に用いるターボ符号部を決定しても良い。
【0072】
図8は、送信装置である端末装置数を2個(端末装置UE2、UE3)とし、受信装置は周波数の帯域の一部の重複を許容して割り当て、送信装置の符号化は符号化率3/4とした場合のFER(Frame Error Rate;フレーム誤り率)と、E/N(1情報ビットあたりの平均受信信号エネルギ対雑音電力スペクトル密度比)とのシミュレーション結果の関係を示す図である。また、受信装置におけるターボ等化における繰り返し回数を8回、ターボ復号の繰り返し回数を8回としている。
この図8において、拘束長(K、K)は、ターボ符号部101内の2つのコンポーネントエンコーダである符号化部201及び204の各々を、それぞれ拘束長Kと拘束長Kにした場合を示しており、拘束長(3、3)は拘束長3のコンポーネントエンコーダを並列連接したターボ符号化を行った場合の特性を示している。
【0073】
図8より、ターボ符号部101内の符号化部201及び204の拘束長3とするもしくは拘束長4としている場合、本実施形態のように干渉が多い場合に拘束長3と拘束長4との異なる拘束長のコンポーネントエンコーダを並列に設け、それぞれにて生成された符号を連結して形成するターボ符号を適用することで、雑音比が高くてもFERが低くなることから通信の特性が改善することが判る。例えば、E/Nが6dBのとき、2つのコンポーネントエンコーダの拘束長が(3,3)である場合はフレーム誤り率が0.166であり、拘束長が(4,4)である場合はレーム誤り率が0.052であるのに対して、拘束長が(4,3)である場合はフレーム誤り率が0.013であって、フレーム誤り率が格段に改善されている。
また、ターボ符号部111もターボ符号部101と同様の構成となる。
【0074】
また、本実施形態においては、IUIとISIによる干渉を考慮してターボ符号部101内のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を変えたが、本実施形態に記載していない干渉であったとしてもターボ等化のような繰り返し処理により干渉を抑圧する場合には適用可能である。
また、送信装置をUE2及びUE3、受信装置を基地局装置eNBとするアップリンクとして説明したが、送信装置が複数の基地局装置eNBであり、受信装置をUEとするダウンリンクにおいても適用可能である。その場合には、送信装置が帯域割当や変調方式、重複率なども決定することができ、送信装置から受信装置へデータ送信に用いた制御情報に加え、誤り訂正符号に用いたコンポーネントエンコーダの拘束長を通知することで、実現できる。
また、送信装置の数を端末装置UE2及びUE3の2個として説明したが、送信装置の数が3個以上の場合においても、受信装置が図6におけるソフトキャンセラ304から復号部308を送信装置と同数だけ処理することで適用可能である。例えば、端末装置が3個の場合、ソフトキャンセラ部304では、復号部308からフィードバックされるソフトレプリカのみが、キャンセルするISIの情報となり、他の2つの復号器の各々からフィードバックされるソフトレプリカはIUI情報となり、それぞれシンボル間の干渉及びユーザ間の干渉に対するキャンセル処理に用いられる。
【0075】
また、伝送方式をシングルキャリアとし、受信処理にターボ等化を適用した例で説明をしたが、マルチキャリアにおいても干渉キャンセラと復号部の繰り返し処理を受信装置で行う場合には適用可能である。
例えば、図3に示す送信装置において、変調部102が変調した変調シンボルに対するFFT部103による時間領域から周波数領域への変換処理を行わない。すなわち、変調部102は、変調した変調シンボルをマッピング部104へ出力する。
そして、マッピング部104は、変調シンボルを帯域割当情報により各周波数にマッピングし、割り当てたデータ信号をIFFT部105へ出力する。
以降の処理は、すでに説明した送信信号の処理と同様のため省略する。
【0076】
次に、伝送方式をマルチキャリアとした場合の基地局eNBの受信装置は、図9に示す構成となる。図9の受信装置が図6の受信装置と異なる点は、等化部305、325及びIFFT部306、326が無くなり、新たに信号検出部351及び352が付加されことである。
信号検出部351及び352の各々は、伝搬路推定部312から入力される伝搬路特性の推定値に基づいて、デマッピング部303から入力されるデマッピングされた信号の位相検波を行い、それぞれソフトキャンセラ部304、325へ出力する。他の処理はすでに説明した動作と同様あるため、説明を省略する。
【0077】
また、本実施形態の符号化方法決定部107においては、符号化率、変調方式(変調多値数)、他の送信装置との帯域割当の重複率などの項目からなる通信パラメータを基に、ぞれぞれの項目に対応するターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値との図7に示す比較処理により、コンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定している。上述した構成と異なり、この拘束長を受信装置側の伝搬路推定部312で各送信装置のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を、推定した各送信装置との間の 伝搬路から設定される符号化率と変調方式、帯域の重複率等により決定し、決定した拘束長を制御情報として送信装置に通知しても良い。また、制御情報として、受信装置の受信アンテナの本数を含め、後述する第2の実施形態と同様に拘束長を決定するように構成しても良い。
また、受信装置が帯域の重複率を送信装置に通知せずに、送信装置の符号化方法決定部107が符号化率と変調方式のどちらか一方、もしくは両方の項目と、それぞれの項目に対応するターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較し、この比較結果から拘束長を決定するように、符号化方法決定部107を構成しても良い。
【0078】
また、別のコンポーネントエンコーダの拘束長の決定方法として、受信装置が帯域の重複率のみを送信装置に送信し、送信装置が帯域の重複率と、ターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較し、この比較結果からコンポーネントエンコーダの拘束長を決定するように、符号化方法決定部107を構成しても良い。
さらに、拘束長の決定は、収束性を改善するために1つのコンポーネントエンコーダだけ拘束長を短くするという例で本実施形態の構成を説明したが、ターボ符号部101(または111)内の2つのコンポーネントエンコーダが同一の拘束長を用いる場合に短い拘束長、例えば3である場合には、本実施形態とは逆に、1つのコンポーネントエンコーダだけ拘束長を長くするようにし、2つのコンポーネントエンコーダで異なる拘束長を用いるように構成しても良い。
【0079】
上述したように、本実施形態を適用することにより、ターボ等化のような繰り返し処理を用いる受信装置において、高い符号化率や帯域の割当の重複率が高い場合、あるいは変調多値数が一定の値以上などのターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪くなる環境であっても、ターボ符号部内のコンポーネントエンコーダを異なる拘束長で構成することで収束性を改善することができ、周波数利用効率を向上させることができる。
また、本実施形態を適用することにより、符号化の拘束長を、また符号化率からパンクチャパターンを決定し、ターボ符号を生成するため、様々な変調方式や通信方式、伝搬路特性に対しても、干渉が多い環境下においても誤り率特性を改善することが可能となる。
【0080】
<第2の実施形態>
第2の実施形態においては、送信装置を多アンテナによるMIMO伝送を行うユーザ端末UE1(図1参照)とし、受信装置を基地局装置eNBとし、受信装置がターボ等化のような繰り返し処理を用いる場合に、高い符号化率や多値変調、アンテナ間の相関値が高いなどのターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪い環境でターボ符号部内のコンポーネントエンコーダを異なる拘束長で構成することで収束性を改善する構成例について、図10を用いて説明する。
【0081】
図10は第2の実施形態における送信装置である端末装置UE1の構成例を示す図である。端末装置UE1は、ターボ符号部701、S/P(serial/parallel;シリアル/パラレル)部702、変調部703、FFT部704、マッピング部705、IFFT部706、参照信号多重部707、符号化方法決定部708、制御情報受信部709、変調部713、FFT部714、マッピング部715、IFFT部716及び参照信号多重部707を有している。
【0082】
送信装置である端末装置UE1において、制御情報受信部709は、基地局装置eNBから送信される制御情報を受信する。この制御情報受信部709が受信する制御情報には、符号化率、変調方式、帯域の割当情報、アンテナ間の相関値に関する情報などを含むものとする。制御情報受信部709は、この制御情報に含まれる符号化率や変調方式及び帯域の重複率などの情報を符号化方法決定部107に対して出力する。また、制御情報受信部709は、制御情報に含まれる変調方式を変調部703及び713に対して出力する。また、制御情報受信部709は、帯域割当情報をマッピング部705及び716に対して出力する。
【0083】
符号化方法決定部708は、制御情報として通知された符号化率や変調方式、アンテナ間の相関値に関する情報を基に、図3に示す符号化方法決定部107(及び117)と同様に、パンクチャパターン及びターボ符号部701内のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、決定されたパンクチャパターン及び拘束長をターボ符号部701に対して出力する。本実施形態において、符号化方法決定部708は、図4と同様の構成をしているため、この説明を省略する。
ターボ符号部701は、符号化方法決定部708で決定された符号化方法で符号化、すなわち、図3に示すターボ符号部101と同様に、パンクチャパターン及び拘束長によりデータビットを符号化し、符号化された符号化ビットをS/P部702に対して出力する。
【0084】
S/P部702は、ターボ符号部701から入力される符号化ビットを、入力される順番に並列2ビットにS/P変換し、並列2ビットの一方のビットを変調部703へ、また他方のビットを変調部713へ、送信ビットとして出力する。この並列2ビットの各々は、アンテナ毎、すなわちアンテナT1及びアンテナT2から送信される送信ビットとなる。
変調部703及び713の各々は、制御情報受信部709から入力される変調方式の情報に対応した変調方式により、変調シンボルを生成する。また、変調部703は生成した変調シンボルをFFT部704へ出力し、また、変調部713は生成した変調シンボルをFFT部714へ出力する。
【0085】
FFT部704は、変調部703から入力される変調シンボルを、時間領域から周波数領域のデータ信号に変換し、変換されたデータ信号をマッピング部705へ出力する。
同様に、FFT部714は、変調部713から入力される変調シンボルを、時間領域から周波数領域のデータ信号に変換し、変換されたデータ信号をマッピング部715へ出力する。
マッピング部705は、制御情報受信部709から入力される帯域割当情報を基に、周波数領域のデータ信号を、対応する帯域に割り当てる処理を行い、割り当てたデータ信号をIFFT部706へ出力する。
マッピング部715は、制御情報受信部709から入力される帯域割当情報を基に、周波数領域のデータ信号を、対応する帯域に割り当てる処理を行い、割り当てたデータ信号をIFFT部716に対して出力する。
【0086】
IFFT部706は、周波数領域のデータ信号を、時間領域の送信信号に変換し、この変換した送信信号を参照信号多重部707に対して出力する。
IFFT部716は、周波数領域のデータ信号を、時間領域の送信信号に変換し、この変換した送信信号を参照信号多重部717に対して出力する。
参照信号多重部707は、時間領域において送信信号に対して参照信号(符号パターンが既知であるパイロット信号)を多重する処理を行い、アンテナT1に対する送信信号として出力する。
参照信号多重部717は、時間領域において送信信号に対して参照信号を多重する処理を行い、アンテナT2に対する送信信号として出力する。
【0087】
図10では省略しているが、参照信号多重部717からの送信信号はCPを挿入され、D/A変換でアナログの信号に変換された後に無線周波数にアップコンバートされる。アップコンバートされた信号は、PAにより送信電力に増幅された後に送信アンテナから送信される。
ここで、図10に示す送信装置は、MIMO送信を行うため、複数の送信アンテナ(アンテナT1、アンテナT2)が同一時刻、同一周波数を使用するため、図11に示すような離散的な帯域割当もしくは、図12の例の連続的な帯域割当が行われる。図11は、アンテナT1とアンテナT2への離散的な帯域の割当の一例について示している。図12は、アンテナT1とアンテナT2への連続的な帯域の割当の一例について示している。
【0088】
次に、図13を参照して本実施形態における基地局装置eNBの説明を行う。図13は、本実施形態における受信装置の一例を示す図である。
本実施形態においては、図1に示すように、受信アンテナを2本持っている受信装置(基地局装置eNB)として説明するが、受信アンテナを3本以上持っていても良い。
この図13において、基地局装置eNBは、参照信号分離部801、FFT部802、デマッピング部803、ソフトキャンセラ部804、MIMO分離部805、IFFT部806、復調部807、P/S部808、復号部809、S/P部810、レプリカ生成部811、FFT部812、参照信号分離部821、FFT部822、デマッピング部823、ソフトキャンセラ部824、IFFT部826、復調部827、レプリカ生成部831、FFT部832を有している。
【0089】
参照信号分離部801は、送信装置(端末装置UE1)からの受信信号をアンテナTB1により受信し、符号化データと参照信号との分離を行う。
また、参照信号分離部821は、送信装置(端末装置UE1)からの受信信号をアンテナTB2により受信し、符号化データと参照信号との分離を行う。
ここで、受信アンテナTB1及び受信アンテナTB2の各々は、端末装置UE1からの受信信号を同時に受信する。
また、参照信号分離部801は、受信した受信信号をベースバンド信号にダウンコンバートし、A/D変換を行うことでディジタル信号に変換し、このディジタル信号をFFT部802に対して出力する。
同様に、参照信号分離部821は、受信した受信信号をベースバンド信号にダウンコンバートし、A/D変換を行うことでディジタル信号に変換し、このディジタル信号をFFT部822に対して出力する。
また、参照信号分離部801及び821の各々は、サイクリックプレフィックスを除去し、参照信号をディジタル信号から分離し、この分離した参照信号を伝搬路推定部813に対して出力する。
【0090】
伝搬路推定部813は、入力される各送信装置の参照信号から、複数の送信装置の各々の伝搬路特性を推定し、MIMO分離部805、デマッピング部803及び823へ出力する。
また、伝搬路推定部813は、推定した伝搬路特性により、送信装置毎に対して、帯域割当(帯域の割当情報)、符号化率、変調方式などを設定し、アンテナ間の相関値を算出する。
そして、伝搬路推定部813は、設定した帯域の割当情報、符号化率、変調方式及びアンテナ間の相関値からなる制御情報を、フィードバックするための信号に変換し、図示しない変調部、無線部及び送信アンテナを介して送信装置(端末装置UE1)に対して送信する。
【0091】
FFT802及び822の各々は、図6のFFT部302と同様に時間領域の信号を周波数領域の信号に変換し、それぞれ変換結果の信号をデマッピング部803、823へ出力する。
デマッピング部803及び823は、図6のデマッピング部303と同様に、伝搬路推定部813より入力され、内部に記憶している前回送信装置へ送信したマッピング情報により、各送信装置からの信号に分離し、それぞれ分離した信号をソフトキャンセラ部804、824へ出力する。
【0092】
ソフトキャンセラ部804及び824の各々は、それぞれ図6のソフトキャンセラ部304及び324と同様の処理を行い、ISIとIUIとをキャンセルした信号を、MIMO分離部805に対して出力する。
MIMO分離部805は、伝搬路推定部813から入力される、アンテナTB1、TB2各々で受信した参照信号より推定された伝搬路情報を基に、空間多重されている信号を分離する。
そして、MIMO分離部805は、例えば、分離したアンテナTB1の信号をIFFT部806へ出力し、アンテナTB2の信号をIFFT部826へ出力する。
【0093】
IFFT部806は、MIMO分離部805から入力されるアンテナTB1の信号、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換し、変換結果として処理信号B1を復調部807に対して出力する。
同様に、IFFT部826は、MIMO分離部805から入力されるアンテナTB2の信号を、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換し、変換結果として処理信号B2を復調部827に対して出力する。
【0094】
復調部807は、前回送信装置に送信した変調方法に対応させて、IFFT部806から入力される処理信号B1に対し、変調シンボルの復調処理を行い、復調された復調信号B2をP/S部808へ出力する。
復調部827は、前回送信装置に送信した変調方法に対応させて、IFFT部826から入力される処理信号B2に対し、変調シンボルの復調処理を行い、復調された復調信号B2をP/S部808へ出力する。
【0095】
P/S部808は、復調部307から入力される復調信号B1と、復調部827から入力される復調信号B2とを、図10のS/P部702にてS/P変換した際の順番にてP/S変換し、復号部809に対して出力する。
復号部809は、P/S部808から入力されるP/S変換した信号に対し、送信装置に制御情報として通知した拘束長や符号化率の情報による復号処理を行い、復号結果をS/P部810に対して出力する。
【0096】
S/P部810は、図10のS/P部702と同様のS/P変換を行い、処理信号B1に対応する信号ビット列をレプリカ生成部811へ出力し、処理信号B2に対応する信号ビット列をレプリカ生成部831に対して出力する。
レプリカ生成部811は、図6のレプリカ生成部309と同様に、処理信号B1に対応する信号ビット列からレプリカ信号RB1を生成し、生成したレプリカ信号RB1をFFT部812に対して出力する。
同様に、レプリカ生成部831は、図6のレプリカ生成部309と同様に、処理信号B2に対応する信号ビット列からレプリカ信号RB2を生成し、生成したレプリカ信号RB2をFFT部832に対して出力する。
【0097】
FFT部812は、図6のFFT部330と同様に、レプリカ生成部811から入力されるレプリカRB1信号を、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換し、変換結果をフィードバック情報として、ソフトキャンセラ部824に対して出力する。
ソフトキャンセラ部804は、FFT部812から入力されるフィードバック情報により、自身の信号B1におけるISI干渉のキャンセル処理を行う。
FFT部832は、レプリカ生成部831から入力されるレプリカ信号RB2を、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換し、変換結果をフィードバック情報として、ソフトキャンセラ部824に対して出力する。
ソフトキャンセラ部824は、FFT部832から入力されるフィードバック情報により、自身の信号B2におけるISI干渉のキャンセル処理を行う。
後の復号処理は、図3における対応する各部の処理と同様のため、説明を省略する。
【0098】
次に、本実施形態の符号化方法決定部708における、送信装置から入力される制御情報により拘束長を決定する処理を詳細に説明する。本実施形態においては、受信装置がISIを除去する目的で復号部809の出力をソフトキャンセラ部804及び824にフィードバックするターボ等化処理を行っている。
このため、高い符号化率やアンテナ間の相関値が高く残留アンテナ間干渉(IAI:Inter Antenna Interference)が多い場合、変調多値数が一定の値以上などのターボ復号部を用いたターボ等化における繰り返し処理の収束性の変化に応じて、ターボ符号部内部のコンポーネントエンコーダである符号化部201と符号化部204の拘束長を符号化方法決定部708で決定する。
【0099】
ここで、符号化方法決定部708は、アンテナ間の相関値、変調多値数、符号化率によるターボ等化における繰り返し処理の収束性の変化に応じて、コンポーネントエンコーダである符号化部201と符号化部204の拘束長を決める方法の一例を図14を用いて説明する。図14は、アンテナ間の相関値、変調多値数、符号化率により拘束長を求めるフローチャートである。
ステップS11:
制御情報受信部709は、基地局装置eNBより通知された制御情報を受信し、受信した制御情報を符号化方法決定部708へ出力する。受信装置から通知された制御情報において、符号化率をC、変調多値数をM、アンテナ間の相関値をAとする。
【0100】
ステップS12:
符号化方法決定部708は、受信した制御情報に含まれる符号化率Rが、収束性の悪くなる高い符号化率である閾値rより高い値であるか否か(C>rであるか否か)を判定する。
このとき、符号化方法決定部708は、符号化率Cが閾値rを超える(C>r)場合、処理をステップS13へ進め、一方、符号化率Cが閾値r以下(C≦r)の場合、拘束長を変えることによる収束性の改善は必要がないと判定されるため、処理をステップS16へ進める。
【0101】
ステップS13:
符号化方法決定部708は、通知された変調多値数Mが収束性の悪くなる多値数mより大きい値か否か(M>mであるか否か)を判定する。
このとき、符号化方法決定部708は、変調多値数Mが多値数mを超える(M>m)の場合、収束性が悪いと判定されるため、処理をステップS14へ進め、一方、変調多値数Mが多値数m以下(M≦m)の場合、処理をステップS15へ進める。
【0102】
ステップS14:
符号化方法決定部708は、符号化部201または符号化部204のいずれか一方の拘束長を下げる。これにより、ターボ復号処理の収束性が改善されることになる。
符号化方法決定部708は、例えば、符号化部204における拘束長を拘束長4から拘束長3へと1つ下げ、この求めた拘束長を符号化部204へ出力する。そして、符号化部204は、符号化方法決定部107から入力される拘束長に対応して、コンポーネントエンコーダとしての拘束長を変更するよう内部の論理演算回路の構成を変更する。拘束長の変更において、例えば、符号化部204は、図5(a)から図5(b)に示すように、遅延回路及び加算器の接続の構成を変更する。または、図5(a)と図5(b)とに示すRSC符号器を符号化部内に有し、すなわち符号化部が異なる拘束長のRSC符号器を複数有し、符号化部が符号化方法決定部107からの拘束長により、誤り訂正符号の生成に使用するRSC符号器を変更する。ここで、いずれの符号部の拘束長を変化させるか、また拘束長をどの程度変化させるかは、符号化方法決定部708内部に予め設定されている。
【0103】
ステップS15:
符号化方法決定部708は、受信装置より通知されたアンテナ間の相関値Aが収束性の悪くなる閾値aより高い相関値か否か(A>aであるか否か)を判定する。
このとき、符号化方法決定部708は、アンテナ間の相関値Aが閾値aを超える(A>a)の場合、収束性が悪いと判定されるため、処理をステップS14へ進め、一方、アンテナ間の相関値Aが閾値a以下(A≦a)の場合、拘束長を変えることによる収束性の改善は必要がないと判定されるため、処理をステップS16へ進める。
【0104】
ステップS16:
符号化方法決定部708は、拘束長を変えることによる収束性の改善は必要がないため、符号化部201及び符号化部204の2つのコンポーネントエンコーダが同一の拘束長を使用する。例えば、符号化方法決定部708は、符号化部201及び符号化部204の各々の拘束長を4と設定し、拘束長の制御の処理を終了する。
また、図14に示すフローチャートにより用いる閾値r、m、aを用いた拘束長の決定は受信機でも必要であるため、予め3つのパラメータは送信装置、受信装置の双方において同一の値が決められているものとする。
【0105】
本実施形態では、IAIとISIによる干渉を考慮してターボ符号部701内のコンポーネントエンコーダであるターボ符号化部201及び204毎の拘束長を変えたが、本実施例に記載していない干渉であったとしてもターボ等化のような繰り返し処理により干渉を抑圧する場合には適用可能である。
また、送信装置をUE1、受信装置を基地局装置eNBとするアップリンクとして説明したが、送信装置が複数の受信装置を有する場合、ダウンリンクにも適用可能である。
また、送信装置の送信アンテナ数を2本として説明したが、3本以上の場合においても同様に適用可能である。
伝送方式をシングルキャリアとし、受信処理にターボ等化を適用した例で説明をしたが、第1の実施形態と同様に、マルチキャリアにおいても干渉キャンセラと復号部の繰り返し処理を受信装置で行う場合には適用可能である。
【0106】
本実施形態の符号化方法決定部708では、アンテナ間の相関値、符号化率、変調方式(変調多値数)などの項目からなる通信パラメータを基に、それぞれの項目に対応するターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値と比較する図14に示す処理により、コンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定している。この拘束長を受信装置側で各送信装置のコンポーネントエンコーダ毎に決定し、制御情報として通知しても良い。
また、受信装置がアンテナ間の相関値を送信装置に通知せず、送信装置が符号化率と変調方式のどちらか一方、もしくは両方の項目と、それぞれの項目に対応するターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値との比較を行い、この比較結果から拘束長を決定するように、符号化方法決定部708を構成しても良い。
【0107】
また、別のコンポーネントエンコーダの拘束長の決定方法として、アンテナ間の相関値のみから決定するように、符号化方法決定部708を構成しても良い。
さらに、拘束長の決定は、収束性を改善するために1つのコンポーネントエンコーダだけ拘束長を短くするという例で本実施形態を説明したが、2つのコンポーネントエンコーダが同一の拘束長を用いる場合に、短い拘束長、例えば3である場合には、1つのコンポーネントエンコーダだけ拘束長を長くし、2つのコンポーネントエンコーダで異なる拘束長を用いるように符号化方法決定部708を構成しても良い。
【0108】
上述したように、本実施形態を適用することにより、ターボ等化のような繰り返し処理を用いる受信機が高い符号化率やアンテナ間の相関値が高い場合、変調多値数が一定の値以上などのターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪くなる環境において、ターボ符号部内のコンポーネントエンコーダを異なる拘束長で構成することで収束性を改善することができ、周波数利用効率の向上ができる。
【0109】
<第3の実施形態>
第3実施形態においては、送信装置が多アンテナによる送信とし、アンテナ毎に伝搬路利得の高いサブキャリアを割り当て、一部のサブキャリアのみ重複する場合において、受信装置がターボ等化のような繰り返し処理を用いる場合に、高い符号化率や多値変調、アンテナ間で使用する帯域の重複率が高いなどのターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪い環境でターボ符号部内のコンポーネントエンコーダを異なる拘束長で構成することで収束性を改善する構成例について、図16を用いて説明する。図16は、本実施形態による基地局eNBの受信装置の構成例を示す図である。
【0110】
図15は、本実施形態のアンテナ毎に帯域を割り当てる一例を示す。第2の実施形態では各アンテナに対し同一の帯域を割り当てていたが、本実施形態ではアンテナ毎に対して異なる帯域の割当が可能である。
この場合の送信装置(端末装置)の構成は、図10と同様であり、受信装置は図16に示すように、図6のIUI抽出部311とIUI抽出部331を、それぞれIAI(inter antenna interference;他アンテナからの干渉)の除去に用いるIAI干渉レプリカを生成するIAI抽出部401とIAI抽出部431となる以外は同様となる。
【0111】
ここで、IAI抽出部411は、FFT部310から入力されるフィードバック情報からIAI干渉レプリカを生成して、このIAI干渉レプリカをソフトキャンセラ部324へ出力する。同様に、IAI抽出部431は、FFT部330から入力されるフィードバック情報からIAI干渉レプリカを生成して、このIAI干渉レプリカをソフトキャンセラ部304へ出力する。
また、符号化方法決定部107でのターボ符号部内のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定する方法は、第1の実施形態と同様に図7のフローチャートにより決定する。
【0112】
本実施形態においては、IAIとISIによる干渉を考慮してターボ符号部内のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を変えたが、本実施形態に記載していない干渉であったとしてもターボ等化のような繰り返し処理により干渉を抑圧する場合には適用可能である。
また、送信装置をUE1、受信装置を基地局装置eNBとするアップリンクとして説明したが、ダウンリンクにも適用可能である。
また、アンテナの数を2として説明したが、3以上の場合においても同様に適用可能である。
また、伝送方式をシングルキャリアとし、受信処理にターボ等化を適用した例で説明をしたが、第1の実施形態と同様に、マルチキャリアにおいても干渉キャンセラと復号部の繰り返し処理を受信装置で行う場合には適用可能である。
【0113】
また、本実施形態の符号化方法決定部107においては、第1の実施形態と同様に、符号化率、変調方式(変調多値数)、他の送信装置との帯域割当の重複率などの項目からなる通信パラメータを基に、それぞれの項目に対応したターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値との比較を行う図7に示す処理により、コンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定している。この拘束長を受信装置側で各送信装置のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、制御情報として送信装置に通知しても良い。
また、受信装置が帯域の重複率を送信装置に通知せず、送信装置が符号化率と変調方式のどちらか一方、もしくは両方の項目と、それぞれの項目に対応するターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値との比較を行い、この比較結果から拘束長を決定するように、符号化方法決定部107を構成しても良い。
【0114】
また、別のコンポーネントエンコーダの拘束長の決定方法として、帯域の重複率のみから決定するように、符号化方法決定部107を構成しても良い。
さらに、拘束長の決定は、収束性を改善するために1つのコンポーネントエンコーダだけ拘束長を短くするという例で本実施形態の構成を説明したが、2つのコンポーネントエンコーダが同一の拘束長を用いる場合に短い拘束長、例えば3である場合には、本実施形態とは逆に、1つのコンポーネントエンコーダだけ拘束長を長くするようにし、2つのコンポーネントエンコーダで異なる拘束長を用いるように構成しても良い。
【0115】
上述したように、本実施形態を適用することにより、ターボ等化のような繰り返し処理を用いる受信装置において、高い符号化率や帯域の割当の重複率が高い場合、あるいは変調多値数が一定の値以上などのターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪くなる環境であっても、ターボ符号部内のコンポーネントエンコーダを異なる拘束長で構成することで収束性を改善することができ、周波数利用効率を向上させることができる。
【0116】
<第4の実施形態>
第4の本実施形態においては、第1の実施形態から第3の実施形態のいずれかの送信装置及び受信装置からなる無線通信システムにおいて、受信装置がターボ等化のような繰り返し処理を用いる場合に、受信装置の受信アンテナ本数が少なく、ターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪い環境でターボ符号部内のコンポーネントエンコーダを異なる拘束長で構成することで収束性を改善する例について説明する。
【0117】
本実施形態においては、基地局装置eNBが、符号化率、変調多値数、帯域の割当情報(あるいはアンテナ間の相関値)などの情報に、受信装置におけるアンテナ本数を加えて制御情報として、送信装置である端末装置UE2及びUE3(あるいはUE1)に通知する。符号化方法決定部107及び符号化方法決定部708における拘束長の制御の処理は同様であるため、符号化方法決定部107を例にとり説明する。
図17は本実施形態における符号化方法決定部107(及び708)が行う拘束長の制御処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS21:
制御情報受信部108は、基地局装置eNBの受信装置より通知された制御情報を受信し、受信した制御情報を符号化方法決定部107へ出力する。受信装置から通知された制御情報において、符号化率をC、変調多値数をM、アンテナの本数をARX NUMとする。
【0118】
ステップS12:
符号化方法決定部107は、受信した制御情報に含まれる符号化率Rが、収束性の悪くなる高い符号化率である閾値rより高い値であるか否か(C>rであるか否か)を判定する。
このとき、符号化方法決定部107は、符号化率Cが閾値rを超える(C>r)場合、処理をステップS23へ進め、一方、符号化率Cが閾値r以下(C≦r)の場合、拘束長を変えることによる収束性の改善は必要がないと判定されるため、処理をステップS26へ進める。
【0119】
ステップS23:
符号化方法決定部107は、通知された変調多値数Mが収束性の悪くなる多値数mより大きい値か否か(M>mであるか否か)を判定する。
このとき、符号化方法決定部107は、変調多値数Mが多値数mを超える(M>m)の場合、収束性が悪いと判定されるため、処理をステップS24へ進め、一方、変調多値数Mが多値数m以下(M≦m)の場合、処理をステップS25へ進める。
【0120】
ステップS24:
符号化方法決定部107は、符号化部201または符号化部204のいずれか一方の拘束長を下げる。これにより、ターボ復号処理の収束性が改善されることになる。
符号化方法決定部107は、例えば、符号化部4における拘束長を拘束長4から拘束長3へと1つ下げ、この求めた拘束長を符号化部204へ出力する。そして、符号化部204は、符号化方法決定部107から入力される拘束長に対応して、コンポーネントエンコーダとしての拘束長を変更するよう内部の論理演算回路の構成を変更する。拘束長の変更において、例えば、符号化部204は、図5(a)から図5(b)に示すように、遅延回路及び加算器の接続の構成を変更する。または、図5(a)と図5(b)とに示すRSC符号器を符号化部内に有し、すなわち符号化部が異なる拘束長のRSC符号器を複数有し、符号化部が符号化方法決定部107からの拘束長により、誤り訂正符号の生成に使用するRSC符号器を変更する。ここで、いずれの符号部の拘束長を変化させるか、また拘束長をどの程度変化させるかは、符号化方法決定部107内部に予め設定されている。
【0121】
ステップS25:
符号化方法決定部107は、受信装置より通知された受信アンテナ本数ARX_NUMが収束性の悪くなると判断する閾値の受信アンテナ本数ARX_MINより少ないか異なるかを(ARX_NUM<ARX_MINであるか否か)判定する。
このとき、符号化方法決定部107は、受信アンテナ本数ARX_NUMが閾値ARX_MINより小さい(ARX_NUM<ARX_MIN)の場合、収束性が悪いと判定されるため、処理をステップS24へ進め、一方、受信アンテナ本数ARX_NUMが閾値ARX_MIN以上(ARX_NUM≧ARX_MIN)の場合、拘束長を変えることによる収束性の改善は必要がないと判定されるため、処理をステップS26へ進める。
【0122】
ステップS26:
符号化方法決定部107は、拘束長を変えることによる収束性の改善は必要がないため、符号化部201及び符号化部204の2つのコンポーネントエンコーダが同一の拘束長を使用する。例えば、符号化方法決定部107は、符号化部201及び符号化部204の各々の拘束長を4と設定し、拘束長の制御の処理を終了する。
また、図17に示すフローチャートにより用いる閾値r、m、ARX_MINを用いた拘束長の決定は受信機でも必要であるため、予め3つのパラメータは送信装置、受信装置の双方において同一の値が決められているものとする。本実施形態は、第1の実施形態と同様に、ダウンリンク、アップリンクのいずれにも適用可能である。
本実施形態においては、ターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪い環境として受信アンテナ本数が少ない場合について説明したが、CP長を超える遅延波が到来する場合やセル間干渉が多い場合、周波数選択性が強い場合、アップリンクにおいてセル内の複数の送信装置の送信タイミングに大きくずれがある場合など、周波数オフセットが大きい場合などの干渉が強い通信環境下ではターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪くなることから、いずれの場合にも適用可能である。
【0123】
本実施形態を適用することにより、受信アンテナ本数が少なく、ターボ等化における繰り返し処理の収束性が悪くなる環境において、ターボ符号部内のコンポーネントエンコーダを異なる拘束長で構成することで収束性を改善することができ、周波数利用効率の向上ができる。
また、本実施形態の符号化方法決定部107においては、第1の実施形態と同様に、符号化率、変調方式(変調多値数)、受信装置の受信アンテナの本数などを基に、図17に示す処理によりコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定している。この拘束長を受信装置側で各送信装置のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、制御情報として送信装置に通知しても良い。
【0124】
また、受信アンテナ本数を送信装置に通知せずに符号化率と変調方式のどちらかの通信パラメータの項目のいずれか一方、もしくは両方の情報から、それぞれの対応する項目のターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値との比較を行い、悪化させる結果と判定された場合、拘束長を長くする決定をするように、符号化方法決定部107を構成しても良い。
また、別のコンポーネントエンコーダの拘束長の決定方法として、受信アンテナ本数のみから決定するように、符号化方法決定部107を構成しても良い。
【0125】
<第5の実施形態>
第5の実施形態においては、第1の実施形態から第4の実施形態のいずれかの送信装置、受信装置からなる無線通信システムにおいて、受信装置がターボ等化のような繰り返し処理を用いる場合に、復号処理の演算量を考慮し、短い拘束長のターボ符号を誤り訂正として適用し、干渉が多くターボ等化における繰り返し処理が正しく収束できない環境で長い拘束長のターボ符号を誤り訂正として適用し、収束性を改善する例について説明する。以下、第1の実施形態を例に説明する。
【0126】
すなわち、本実施形態の送信装置では、符号化方法決定部107が受信装置における復号処理の演算量を考慮して以下の処理により拘束長を決定する。
伝搬路推定部312は、伝搬路特性を推定して伝搬路特性の推定値を得て、この推定値から符号化率、変調方式(変調多値数)、重複率、帯域の割り当て情報を設定し、これらを制御情報として送信装置(端末装置UE)へ送信する。
そして、符号化方法決定部107は、符号化率、変調方式(変調多値数)、重複率の各のいずれもが、予めそれぞれに対して設定されている干渉の少ないターボ等化における繰り返し処理が正しく収束し易い環境下であることを示す閾値より高いか否かの判定を行う。
【0127】
符号化方法決定部107は、符号化率、変調方式(変調多値数)、重複率のいずれもが、それぞれの閾値に比較して低い場合、ターボ符号部101内のコンポーネントエンコーダすべてを、予め設定されている短い拘束長、例えば拘束長3として誤り訂正符号化を行う。
一方、符号化方法決定部107は、 符号化方法決定部107は、符号化率、変調方式(変調多値数)、帯域の割り当て情報のいずれかが、それぞれの閾値以上である場合、ターボ符号部101内の符号化部201及び符号化部204のいずれか一方の拘束長を増加、例えば拘束長3から拘束長4とする。
【0128】
すなわち、本実施形態においては、複数の送信装置もしくはアンテナへ重複して帯域を割り当てる場合の重複率が高い場合やMIMO伝送ではアンテナ間の相関値が高いなど干渉が多くなる場合、もしくは十分な受信電力が得られない受信アンテナ本数が少ない場合などでは、ターボ等化における繰り返し処理が正しく収束できない状態であるスタックが発生し易い環境となり、送信装置ではターボ等化における繰り返し処理の収束性を考慮し、正しく収束し易くするために、短い拘束長のターボ符号から長い拘束長のターボ符号を誤り訂正として用いる。
また、変調多値数が多い場合や符号化率が高い場合でも同様に長い拘束長のターボ符号を用いても良い。ここで、拘束長の決定は、受信装置が帯域の重複率やアンテナ間の相関値、受信アンテナ本数を通知し、送信装置の符号化決定部で決定しても良く、受信装置で決定してターボ符号部内のコンポーネントエンコーダの拘束長を送信装置に通知しても良い。本実施例で説明した干渉以外でも同様に干渉が多くなる環境下で拘束長を変えても良い。
【0129】
本実施形態を適用することにより、ターボ等化のような繰り返し処理を用いる受信機の収束性と復号処理の演算量を考慮し、ターボ符号部101、111(708)内にある複数のコンポーネントエンコーダの拘束長が短い場合に収束性の悪くなる干渉量の多い環境下では1つのコンポーネントエンコーダの拘束長を長くすることで、低演算量の大幅な増加を抑制しつつ、収束性を改善することができ、周波数利用効率を向上させることができる。
【0130】
本発明に関わる送信装置および受信装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。
【0131】
また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。
【0132】
また、上述した実施形態における送信装置および受信装置の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。送信装置および受信装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0133】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
101,701…ターボ符号部
102,703,713…変調部
103,302,310,330…FFT部
104,705,715…マッピング部
105,306,326,706,716,806,826…IFFT部
106,707,717…参照信号多重部
107,708…符号化方法決定部
108,709…制御情報受信部
201,204…符号化部
202…パンクチャ部
203…並び替え部
205…符号ビット出力部
204−11,204−12,204−13…遅延回路
204−21,204−22,204−23,204−24…加算器
204−31,204−32…遅延回路
204−41,204−42,204−43…加算器
301,801,821…参照信号分離部
704,714,802,812,822,832…FFT部
303,803,823…デマッピング部
304,324,804,824…ソフトキャンセラ部
305,325…等化部
307,327,807,827…復調部
308,328,809…復号部
309,329,811,831…レプリカ生成部
311,331…IUI抽出部
312,813…伝搬路推定部
351,352…信号検出部
401,431…IAI抽出部
702,810…S/P部
805…MIMO分離部
808…P/S部
UE1,UE2,UE3…端末装置
eNB…基地局装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信装置が第2の通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記第1の通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムであって、
前記第2の通信装置が、ターボ等化による信号の受信処理を行う場合、前記複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長で構成するターボ符号部を用いることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第2の通信装置が前記第1の通信装置から受信した信号の伝搬特性により設定する通信パラメータと、当該通信パラメータに対して設定されたターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較し、比較結果により前記複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長で構成するターボ符号部を用いることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の無線通信システムであって、
前記ターボ符号部を構成する複数のコンポーネントエンコーダのいずれか1つの拘束長を変更することを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の無線通信システムであって、
前記複数のコンポーネントエンコーダがそれぞれ異なる拘束長に設定されていることを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
前記通信パラメータのいずれかがターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値に該当する場合、前記ターボ符号部内のいずれか1つのコンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
当該無線通信システムの前記第2の通信装置が、複数の前記第1の通信装置へ重複した帯域の割当を許容し、受信した前記送信信号をターボ等化における繰り返し処理により復号の処理を行う場合
前記第2の通信装置が、複数の第1の通信装置毎へ割り当てる周波数の帯域、符号化率及び変調シンボルの変調多値数と、前記第2の通信装置が用いる受信アンテナの本数とからなる制御情報を決定し、
前記第2の通信装置が前記制御情報と複数の第1の通信装置に重複して割り当てた帯域の重複率からなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部を前記第1の通信装置に通知し、
前記第1の通信装置が通知された通信パラメータと、ターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長で構成するターボ符号部を用いて符号化する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
当該無線通信システムの前記第2の通信装置が、前記第1の通信装置の有する複数の送信アンテナ毎に割り当てる帯域を決定し、前記複数の送信アンテナへ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、
前記第2の通信装置が、複数の前記送信アンテナ毎へ割り当てる周波数の帯域、符号化率及び変調シンボルの変調多値数からなる制御情報を決定し、
前記第2の通信装置が前記制御情報と、複数の送信アンテナに重複して割り当てた帯域の重複率と、受信アンテナの本数からなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部を前記第1の通信装置に通知し、
前記第1の通信装置が通知された通信パラメータと、ターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長で構成するターボ符号部を用いて符号化する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
当該無線通信システムの前記第2の通信装置が複数の前記第1の通信装置へ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、
前記第2の通信装置が複数の前記第1の通信装置毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、
前記第2の通信装置が前記制御情報と複数の第1の通信装置に重複して割り当てた帯域の重複率と、前記第2の通信装置が用いる受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記第1の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記第1の通信装置に通知し、
前記第1の通信装置が、前記ターボ符号部におけるコンポーネントエンコーダの拘束長を変える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
当該無線通信システムの第2の通信装置は第1の通信装置の有する複数の送信アンテナ毎に割り当てる帯域を決定し、前記複数の送信アンテナへ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、
前記第2の通信装置が複数の送信アンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、
前記制御情報と複数の送信アンテナに重複して割り当てた帯域の重複率と、受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記第1の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記第1の通信装置に通知し、
前記第1の通信装置が、前記ターボ符号部におけるコンポーネントエンコーダの拘束長を変える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
当該無線通信システムの前記第1の通信装置が、複数の送信アンテナを用いて前記第2の通信装置に空間多重した信号を伝送し、前記第2の通信装置が複数の受信アンテナを用いて空間多重された信号の分離とターボ等化による受信処理とを行う場合、
前記第2の通信装置は複数の送信アンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、
前記制御情報と複数のアンテナ毎の伝搬路推定から算出したアンテナ間の相関値、受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記第1の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記第1の通信装置に通知し、
前記第1の通信装置が、前記拘束長の情報により、前記ターボ符号部におけるコンポーネントエンコーダの拘束長を変える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
当該無線通信システムの前記第1の通信装置が、複数の送信アンテナを用いて前記第2の通信装置に空間多重した信号を伝送し、第2の通信装置が複数の受信アンテナを用いて空間多重された信号の分離とターボ等化による受信処理を行う場合、
前記第2の通信装置が複数のアンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数、複数のアンテナ毎の伝搬路推定から算出したアンテナ相関値、受信アンテナ本数からなる制御情報を決定し、当該制御情報を前記第1の通信装置に送信し、
前記第1の通信装置が、前記制御情報のパラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、ターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、前記ターボ符号部における複数のコンポーネントエンコーダが異なる拘束長を用いる
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
請求項6から請求項11のいずれか一項に記載の無線通信システムであって、
前記符号化率が高い場合に前記符号化部のコンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする無線通信システム
【請求項13】
通信装置が他の通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記第1の通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムで用いる通信装置であって、
前記ターボ符号部内の複数のコンポーネントエンコーダの各々が異なる拘束長を使用することを特徴とする通信装置。
【請求項14】
請求項13に記載の通信装置であって、
前記通信パラメータのいずれかがターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値に該当する場合、前記ターボ符号部内のいずれか1つのコンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする通信装置。
【請求項15】
請求項13に記載の通信装置であって、
当該無線通信システムの前記他の通信装置が、複数の前記通信装置へ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、
前記ターボ符号部内の複数のコンポーネントエンコーダの各々が異なる拘束長を有していることを特徴とする通信装置。
【請求項16】
請求項13に記載の通信装置であって、
当該無線通信システムの前記他の通信装置が、前記通信装置の有する複数の送信アンテナ毎に割り当てる帯域を決定し、前記複数の送信アンテナへ重複した帯域の割当を許容し、ターボ等化処理による受信処理を行う場合、
前記ターボ符号部内の複数のコンポーネントエンコーダの各々が異なる拘束長を有していることを特徴とする通信装置。
【請求項17】
請求項13に記載の通信装置であって、
前記他の通信装置から受信した信号の伝搬特性により、前記他の通信装置が設定する通信パラメータと、当該通信パラメータに対して設定された、前記通信装置におけるターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較し、比較結果により前記コンポーネントエンコーダの拘束長を変えることを特徴とする通信装置。
【請求項18】
請求項13から請求項17のいずれか一項に記載の通信装置であって、
前記ターボ符号部内の2つのコンポーネントエンコーダの各々の拘束長を、いずれか一方を3とし、他方を4とすることを特徴とする通信装置。
【請求項19】
請求項6、請求項7及び請求項11のいずれか一項記載の無線通信システムにおける通信装置であって、
前記他の通信装置より帯域の割当情報、変調方式、符号化率、帯域の重複率、アンテナ間の相関値、受信アンテナの本数からなる通信パラメータのすべて、もしくは一部を通知され、通知された通信パラメータの情報を基に、ターボ符号部におけるコンポーネントエンコーダの拘束長を決定し、ターボ符号化を行うことを特徴とする通信装置。
【請求項20】
前記他の通信装置が通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムで用いる通信装置であって、
前記通信装置が、
複数の送信アンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、
前記制御情報と複数のアンテナ毎の伝搬路推定から算出したアンテナ間の相関値、受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化における繰り返し処理の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記他の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記他の通信装置に通知する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項21】
請求項1に記載の無線通信システムの第1の通信装置を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第2の通信装置より通知される帯域の割当情報、変調方式、符号化率、帯域の重複率、アンテナ間の相関値、受信アンテナ本数からなる通信パラメータのすべてもしくは一部の情報を基に、ターボ符号部内のコンポーネントエンコーダ毎に拘束長を決定し、ターボ符号化を行う
ことを特徴とするコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項22】
請求項1に記載の無線通信システムの第2の通信装置を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第1の通信装置への帯域の割当情報、変調方式、符号化率からなる制御情報と、前記制御情報に帯域の重複率と、アンテナ間の相関値と、前記第2の通信装置の受信アンテナ本数とを、通信パラメータとし、前記第2の通信装置がターボ符号部内のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定する情報として、前記第1の通信装置に対して送信部に送信させる
ことを特徴とするコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項23】
請求項1に記載の無線通信システムの第2の通信装置を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第1の通信装置へ帯域の割当情報、変調方式、符号化率からなる制御情報と、前記制御情報に前記装置間の帯域の重複率と、アンテナ間の相関値と、前記第2の通信装置の受信アンテナ本数とを、通信パラメータとし、この通信パラメータにより、前記第1の通信装置におけるターボ符号部内のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を求め、求めた拘束長を前記第1の通信装置に対して送信部に送信させる
ことを特徴とするコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項24】
通信装置が他の通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記第1の通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムで用いる通信装置の集積回路であって、
前記ターボ符号部内の複数のコンポーネントエンコーダの各々が異なる拘束長を使用することを特徴とする集積回路。
【請求項25】
他の通信装置が通信装置に対して情報ビットを送信信号として送信する際、前記通信装置が誤り訂正符号を生成する複数のコンポーネントエンコーダを有するターボ符号部により、情報ビットに複数の前記誤り訂正符号を挿入し、当該誤り訂正符号が挿入された情報ビットを符号化して、前記送信信号を生成する無線通信システムで用いる通信装置の集積回路であって、
前記通信装置が、
複数の送信アンテナ毎へ割り当てる帯域と符号化率、変調多値数からなる制御情報を決定し、
前記制御情報と複数のアンテナ毎の伝搬路推定から算出したアンテナ間の相関値、受信アンテナの本数とからなる前記通信パラメータのすべてもしくは一部と、対応する当該通信パラメータとターボ等化の収束性を悪化させる条件値とを比較することにより、前記他の通信装置におけるターボ符号部のコンポーネントエンコーダ毎の拘束長を決定し、当該拘束長の情報を前記他の通信装置に通知する
ことを特徴とする集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−172186(P2011−172186A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36479(P2010−36479)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】