無線通信システムおよび無線通信システムにおける呼処理情報の通知方法
【課題】セッション情報管理ノードと移動局のトンネル確立が失敗した場合に、基地局が失敗を認識でき、基地局しくは移動局主導でトンネル確立を再試行できるようにする。
【解決手段】複数の移動局と、複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、基地局は複数のセッション情報管理装置と接続され、移動局とセッション情報管理装置間のメッセージが基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおいて、移動局が基地局から移動局に送信されたトンネル作成要求メッセージに基づく処理の結果を含むトンネル作成結果応答メッセージを作成し基地局に通知する。
【解決手段】複数の移動局と、複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、基地局は複数のセッション情報管理装置と接続され、移動局とセッション情報管理装置間のメッセージが基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおいて、移動局が基地局から移動局に送信されたトンネル作成要求メッセージに基づく処理の結果を含むトンネル作成結果応答メッセージを作成し基地局に通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムおよび無線通信システムにおける呼処理情報の通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有線の世界において、インターネット・アクセスのブロードバンド化が進んでいるのに伴い、移動体通信の世界においても急速にブロードバンド化が進んでいる。次世代無線通信システムの仕様を作成する標準化プロジェクトである3GPP2(3rd Generation Partnership Project 2)では、次世代の高速通信規格であるウルトラ・モバイル・ブロードバンド(Ultra Mobile Broadband:UMB)システムの標準化が進められ、標準規格UMB-IOS(A.S0020)、Ultra Mobile Broadband Air-Interface Spec(C.S0084-v2.0)が発行されている。
【0003】
UMBのシステムにおいては、呼処理情報の管理と呼処理シグナリングの終端を行うセッション情報管理ノードという構成が存在する。UMBにおいては、セッション情報管理ノードと基地局との間のシグナリング通信は、バックホール回線への負荷を低減する為に削減するという思想で設計されている。そのため、基地局は移動局とは無線パケットの送受信機能を有するが、移動局とセッション情報管理ノードとの間で送受信されるパケットは基地局をトンネリングするようになっている。(非特許文献1)
一般に無線通信システムでは、移動局の移動に伴い、移動局が接続する基地局が変化し、ハンドオーバーが発生する。このとき、基地局にシグナリングプロトコル処理を実装するシステムでは、接続する基地局の変化に伴い、移動局と基地局の間にシグナリングが発生し、基地局とその上位ノードとの間にもシグナリングが発生する。
【0004】
UMBのシステムにおいては、基地局はセッション管理に係る処理を行わず、セッション管理ノードへのトンネリングパケットの中継を行うことで、基地局にシグナリングプロトコル処理の実装を避け、ハンドオーバー時のシグナリング通信を低減している。
このようなシステム構成の場合、呼接続時に、まず移動局と基地局との間で無線回線が接続される。無線回線が接続されると、続いて基地局は移動局に対してトンネル作成要求を送信する。このトンネル作成要求にはトンネル確立先のセッション情報管理ノードの情報が含まれており、移動局はこの要求を受けて基地局から指定されたセッション情報管理ノードに対し、トンネルを確立するためのトンネル確立要求を送信する。
【0005】
基地局から指定されたセッション情報管理ノードに対し、トンネルを確立するためのトンネル確立要求を送信した結果、そのセッション情報管理ノードと移動局の間にシグナリングトンネルが確立できればよいが、セッション情報管理ノードがトンネル確立要求を受信したものの何らかの要因でトンネル確立を受け入れることが出来ない場合がある。トンネル確立拒否メッセージは基地局をトンネリングし無線パケットとして移動局に送信されるため、トンネル確立失敗を知るのは移動局のみで、基地局はトンネル確立失敗の事実をを知るすべがない。従って、移動局は、トンネル確立のためのそれ以上の動作を行うことができず、シグナリングトンネルが確立されないままとなってしまう。
【0006】
無線通信システムにおける発明ではないが、所定の通信プロトコルをトンネリングするトンネリング装置に外部ネットワークにおけるアドレスを動的に取得する機能を持たせ、取得したアドレスを用いてセッションの確立およびトンネリングを行う技術が特許文献1に開示されている。
【0007】
【非特許文献1】Ultra Mobile Broadband Air-Interface Spec C.S0084-v2.0 (C.S0084-003-Section5 Radio Link Layer Basic Route Protocol、C.S0084-004-Section3 Application Layer Inter-Route Tunneling Protocol、C.S0084-008 Route Control Plane)
【特許文献1】特開2007-104440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
UMBシステムにおいて、基地局は移動局との間に無線回線を接続し、無線パケットを送受信するが、セッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立に関するメッセージは、基地局を経由するものの基地局はそれをトンネリングするのみである。つまり、トンネル確立に関するメッセージは、移動局からセッション情報管理ノードへ、セッション情報管理ノードから移動局へと双方向にトンネリングするものであった。
【0009】
シグナリングトンネルの終端となる装置ではない基地局からトンネル作成要求が発行される構成のため、基地局は、トンネル作成要求の発行元であるにもかかわらず自身が発行したトンネル作成要求の結果を知る手段がない。セッション情報管理ノードおよび移動局からも、基地局に対してシグナリングトンネル確立の失敗を通知する手段がなく、セッション情報管理ノードと移動局との間のシグナリングトンネル確立が再試行できなかった。
【0010】
このような背景の元、シグナリングトンネル確立に失敗した際に、基地局もしくは移動局主導でシグナリングトンネル確立を再試行する手段が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明においては、複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、移動局と前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、基地局は確立するトンネルの終端とならない装置であり、移動局および前記セッション情報管理装置がトンネルの終端となる装置であり、移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおいて、移動局が基地局から移動局に送信されたトンネル作成要求メッセージに基づく処理の結果を含むトンネル作成結果応答メッセージを作成し、移動局から基地局に通知するようにした。
【発明の効果】
【0012】
セッション情報管理ノードと移動局のシグナリングトンネル確立が失敗した場合に、基地局がシグナリングトンネル確立が失敗したことを認識でき、基地局もしくは移動局主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができ、移動局とセッション情報管理ノードとの間で確実にシグナリングトンネルの確立が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態を複数の実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0014】
まず始めに、UMBシステムのシステム構成と、UMBシステムにおけるセッション情報の管理について図1ないし図4、図10および図11を用いて説明する。
【0015】
まず、図1を用いてUMBシステムのシステム構成を説明する。
図1において、101はセッション情報管理ノード(Session Reference Network Controller:以下、SRNC)であり、呼処理情報の管理と呼処理シグナリングの終端を行う。本実施例では、SRNCはひとつのアクセスゲートウェイに複数接続されている。そしてSRNCには複数の基地局(evolved Base Station:以下eBS)が重複して接続される。アクセスゲートウェイ、SRNC、eBSは無線アクセスネットワーク104(Radio Access Network:以下RAN)を構成している。eBSは、移動局(Access Terminal:以下AT)103と無線パケットの送受信機能を有し、ATとSRNCの間で送受信されるパケットをトンネリングする。
【0016】
次に、移動局とセッション情報管理ノード間の通信について説明する。
図10は、移動局とセッション情報管理ノード間で行われる通信の概念図である。SRNC101は、無線送受信機能を持たないため、AT103と直接無線通信を行うことが出来ない。そのため、eBS102を介して通信を行う。この通信は、トンネリングプロトコルを用いて、あたかもAT103とSRNC101が直接通信しているかのように動作し、eBS102はAT103とSRNC103の間で行われる通信の内容を知ることがない。
【0017】
AT103がSRNC101に送信するパケットを作成する際には、まずAT103とSRNC101の間のトンネルを通過する信号であることを示すヘッダを付加したペイロードを作成する。そして作成したペイロードをeBS102に送信するパケットのペイロード部分に格納し、eBS102に無線送信する。パケットを受信したeBS102は、ペイロードからヘッダ部分を参照してトンネルを通過する信号であることを認識し、SRNC103へと送信する。
【0018】
次に、移動局とセッション情報管理ノードとの間でパケットを送受信するためのプロトコルスタックと、移動局からセッション情報管理ノードにデータを送信する際に、移動局、基地局、セッション情報管理ノードのそれぞれにおいて生成されるパケットの構造を示す。
図11は、移動局とセッション情報管理ノードとの間でパケットを送受信するためのプロトコルスタックと、移動局、基地局、セッション情報管理ノードのそれぞれで生成されるパケットの構造を示す図である。
図の上半分は、AT103とSRNC101の間でパケットを送受信するためのプロトコルスタックを示す。また、下半分は、AT103からSRNC101にデータを送信する際に、実際にAT103、eBS102、SRNC101でそれぞれ生成されるパケット構造を示す。
【0019】
無線ヘッダ(1101)は無線通信部分のヘッダである。トンネルヘッダ(1102)はトンネルの番号を識別する情報を含むヘッダであり、通信種別1(1103)と通信種別2(1104)は通信の種別などを含むヘッダである。実ペイロード(1105)は、AT103からSRNC101へと送信する実ペイロード部分を示している。また、経由表示(1106)はeBS102がトンネルの経由点であり、更に送信する宛先(この場合は、SRNC101)が存在することを示すヘッダである。
【0020】
AT103は、SRNC101へと送信する実ペイロード(1105)に通信種別1(1103)、通信種別2(1104)のヘッダを付加し、AT103とSRNC101の間のトンネルであることを示すトンネルヘッダ(1102)を付加する。ここまでに作成した部分を1107とする。
【0021】
ここで、AT103はSRNC101と直接の無線・有線の通信路を持っていないため、これをeBS102経由で送信する。そのため、経由表示(1106)を付加する。1107をeBS102宛のペイロードとし、経由点であるeBS102へと送信するためのヘッダ(1108, 1109, 1110)を1107作成時と同様に付加する。更にAT103とeBS102は無線通信を行うため無線ヘッダ(1101)を付加し、AT103からeBS102へと送信するパケット1111が完成する。パケット1111を受信したeBS102は、eBS102宛の情報を示している無線ヘッダ(1101)、トンネルヘッダ(1110)、通信種別2(1109)、通信種別1(1108)を順次処理し、経由表示(1106)に到達する。経由表示(1106)を確認したeBS102は、ペイロード部分の宛先がSRNC101であることを認識する。eBS102は、1107に有線通信ヘッダ(1112)を付加し、eBS102からSRNC101へと送信するパケット1113が完成する。1113を受信したSRNC101は、有線通信ヘッダ(1112)を処理し、トンネルヘッダ(1102)を確認する。トンネルヘッダ(1102)は、AT103とSRNC101の間のトンネルであることを示しているため、以降の部分通信種別2(1104)、通信種別1(1103)を順次処理し、実ペイロード(1105)に到達する。
【0022】
次に、トンネリングプロトコルについて説明する。
図2に、トンネリングプロトコルの例を示す。
図2に示しているのは、移動局とセッション情報管理ノードとの間で送受信されるパケットを基地局がトンネリングするためのトンネリングプロトコルであり、エラー発生時のパケットのヘッダ構造を示している。
【0023】
ヘッダの先頭にはヘッダフォーマット種別を示すフィールド(201)がある。このフィールドには、エラー発生時にはエラー発生を示すヘッダフォーマットを示す値が設定される。また、エラーコードを示すフィールド(202)がある。このフィールドには、各種のエラーコードが設定される。また、トンネルの識別子を示すフィールド(203)、CRCエラー発生時にそれを明確に示す為のCRCエラー表示用フィールド(204)が存在する。
【0024】
次に、呼接続時の動作について説明する。まず、セッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立が成功した場合について説明する。
図3は、UMBシステムにおけるセッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネルの確立が成功した場合のシーケンスを説明する図である。
図3には図示していないが、呼接続時には、まずAT103 とeBS102との間で無線通信路が接続される。無線通信路の確立後、eBS102は、次の処理として、AT103とセッション情報管理ノードのシグナリング処理を開始するために、トンネル作成要求をAT103に送信する(301)。このトンネル作成要求には、SRNC101の識別子が含まれている。ATは受信したトンネル作成要求に含まれる識別子に基づいたSRNCにトンネル確立要求を発行する(302)。このトンネル確立要求はeBS102によって無線パケットとして受信され、SRNC101に送信される。トンネル確立要求を受信したSRNC101は、トンネル確立成功メッセージをATに送信する(303)。このトンネル確立成功メッセージはeBS102を介して無線パケットとしてATに送信される。ATとシグナリングトンネルが確立されたSRNC101は、移動局識別子をATに割り当て、作成したトンネルを用いてATに送信する(304)。受信したATは識別子受取の完了をSRNCに通知する(305)。識別子割り当ての完了したSRNCは、ATとの間のシグナリングトンネル確立が完了したことをeBSに通知する(306)。
【0025】
一方、セッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立が失敗した場合について図4を用いて説明する。
図4は、UMBシステムにおけるセッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立失敗シーケンスを示す図である。
前述のシグナリングトンネルの確立が成功した場合のシーケンスと同様に、図示していないが、まずAT103 とeBS102との間で無線通信路が確立された後、eBS102はAT103とセッション情報管理ノードのシグナリング処理を開始するために、SRNC101の識別子を含むトンネル作成要求をAT103に送信する(301)。これを受けたAT103はトンネル確立要求をSRNC101に発行する(302)。しかしトンネル確立要求を受信したSRNC101が、何らかの要因でトンネル確立を受け入れることが出来ず、トンネル確立拒否メッセージをATに送信する(402)。このトンネル確立拒否メッセージはeBSを介して無線パケットとしてATに送信される。SRNCとシグナリングトンネルが確立できなかったATは、自らはシグナリングトンネルを再接続するためのアクションを起こす術はなく、またトンネル作成要求の発行元であるeBSも、トンネル確立が拒否されたことを知る術がないため、シグナリングトンネルは確立されないままとなる。
【0026】
そこで、本願発明の実施例1においては、SRNCとATの間のシグナリングトンネル確立時に、トンネル作成要求メッセージを受けたATおよびRANが以下に説明するように動作するようにした。
複数のSRNCが存在するRANについて、あるATがあるSRNCとのシグナリングトンネル確立に失敗した後、別のSRNCとシグナリングトンネル確立を行う場合を考える。トンネル作成要求メッセージは、標準規格C.S0084-008-v2.0に準拠したフォーマットで作成する。
【0027】
まず。基地局について説明する。
図5は、本実施例で基地局が行う機能を実現するために必要な制御構造を示す図である。
eBSは、eBSで行う呼制御を管理するeBS呼制御部(501)、ATとの無線通信を管理する無線通信制御部(502)、RAN内の通信を管理するRAN通信制御部(503)、トンネリングプロトコルに基づいてトンネリングパケットの処理を行うトンネリング処理部(504)を持つ。また、RAN内に存在するSRNCの識別子を保持するSRNCテーブル(505)を持つ。eBS呼制御部(501)、無線通信制御部(502)、RAN通信制御部(503)、トンネリング処理部(504)はそれぞれ相互に情報を通知する為のインタフェースを持つ。SRNCテーブルのエントリであるSRNCの識別子は、RANの情報として予め登録しておく。SRNCテーブルはeBS呼制御部から参照される。
【0028】
次に、トンネリングパケットヘッダのエラーコードを説明する。
図8は、トンネリングパケットヘッダのエラーコードを説明する図である。
図8のエラーコードには、標準規格に基づくトンネリングパケットヘッダのエラーコードと、本実施例での追加するエラーコードがある。
UMBシステムにおいては、無線送受信機能を持たないSRNC101は、AT103と直接無線通信を行うことが出来ないため、eBS102を介してAT103と通信を行うことを前述した。また、SRNC101は、トンネリングプロトコルを用いて、あたかもAT103とSRNC101が直接通信しているかのように動作することについても前述した。このようなシステム構成においては、eBS102はAT103とSRNC103の間で行われる通信の内容を知る必要性は考慮されていない。そのため標準規格C.S0084-004-v2.0-Section3に基づくトンネリングパケットヘッダのエラーコードには、SRNCからATへエラーを通知するためのコードと、eBSからATにエラーを通知するためのコードしか存在しなかった。
【0029】
本願発明においては、通常はATとSRNCとの間のデータの送受信をトンネリングを行っているeBSが、シグナリングトンネル確立失敗時には、それを認識しできるようにし、eBS主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができるようにするために、まずはエラーコード(802)を導入する。このエラーコードはSRNCからeBSに情報を通知する意味合いを持ち、標準規格には存在しない概念のエラーコードである。
【0030】
次に、シグナリングトンネル確立失敗時に、eBSそれを認識し、eBS主導でシグナリングトンネル確立を再試行するためのシーケンスについて説明する。
図9は、シグナリングトンネル確立の再試行のシーケンスを説明する図である。
【0031】
無線通信の確立されたAT701とeBS702について、eBS702はSRNC703、SRNC704とRAN内通信が可能な状態であり、eBS702の保持するSRNCテーブルのエントリにはSRNC703、SRNC704の識別子が登録されている。このとき、eBS702のeBS呼制御部はSRNC703の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線通信制御部(710)を経てAT701に送信する(901)。
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子に基づき、SRNC701へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(902)。このメッセージは、eBS702の無線通信制御部(710)によって受信され、トンネリング処理部(712)によるトンネリングパケットヘッダ確認の結果、RAN通信制御部(713)によってSRNC703に送信される。
【0032】
トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC703は、内部で各種の判定の結果トンネル確立不可と判断した場合、トンネリングプロトコルヘッダの情報要素に、送信されるメッセージの一部情報を追加するトンネル確立拒否メッセージをAT701に送信する(903)。このメッセージは、eBSのRAN通信制御部(713)によって受信され、トンネリング処理部によるトンネリングパケットヘッダ確認の結果、無線通信制御部(710)によってAT701に送信される。本実施例では、eBS702のトンネリング処理部(712)に、トンネリングプロトコルヘッダの情報要素202を確認する機能を持たせる。そして、eBS702のトンネリング処理部(712)は、トンネル確立拒否メッセージ(903)のトンネリングプロトコルヘッダの情報要素202を確認し、その値がシグナリングトンネル確立失敗を示すエラーコード”0101”の場合には、eBS呼制御部(711)にAT701とSRNC703の間のシグナリングトンネル確立が失敗したことを通知する。通知を受けたeBS呼制御部(711)は、SRNCテーブルのエントリからSRNC703以外の識別子であるSRNC704を選択し、SRNC704の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線通信制御部(710)を経てAT701に送信する(905)。
【0033】
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子に基づき、SRNC704へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(906)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC704に送信される。トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC704は、内部で各種の判定の結果、トンネル確立応答メッセージをAT701に送信する(907)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。トンネル確立応答を受信したAT701は、SRNC704との間にシグナリングトンネルの確立が完了する。
【0034】
以上説明した実施例によれば、セッション情報管理ノードと移動局のシグナリングトンネル確立が失敗した場合に、基地局がシグナリングトンネル確立の失敗を認識でき、基地局主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができる。
本実施例は、トンネリングパケットヘッダ部分を使用することで、ペイロードが暗号化されている場合など、トンネルの中継ノードで実際のペイロード部分のプロトコル解釈が不可能な場合であっても、実現可能な実施例である。
【実施例2】
【0035】
次に第2の実施例について説明する。
本実施例においてはSRNCとATの間のシグナリングトンネルの確立を、AT主導で再試行する場合について説明する。以下、第2の実施例におけるトンネル作成要求メッセージフォーマットと、そのメッセージを受けたATおよびRANの各構成の動作を説明する。
【0036】
本実施例では、複数のSRNCが存在するRANにおいて、あるATがあるSRNCとのシグナリングトンネル確立に失敗した後、ATは続けて別のSRNCとシグナリングトンネル確立を行う。本実施例においても、eBSは実施例1で説明したものと同様の制御構造を持つものである。
本実施例では、トンネル作成要求メッセージが特徴的な構成を有する。
【0037】
図6に、本実施例におけるトンネル作成要求メッセージフォーマットの構成(一部抜粋)を示す。
トンネル作成要求メッセージは、そのメッセージに含まれる情報要素として、トンネル作成先ノード識別子エントリ数(601)とエントリ数に基づく数のトンネル作成先ノード識別子(602)を持つ。
【0038】
次に、このトンネル作成要求メッセージを用いた本実施例の動作シーケンスを説明する。
図7は、本実施例における各構成の動作シーケンスを説明する図である。
図7において、AT701とeBS702間の無線通信が確立され、eBS702はSRNC703、SRNC704とRAN内通信が可能な状態である。eBS702の保持するSRNCテーブルのエントリにはSRNC703、SRNC704の識別子が登録されている。このとき、eBS702のeBS呼制御部はSRNC703、SRNC704の両方の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線制御部を経てAT701に送信する(705)。ここでは2つのSRNCの識別子を含む例を説明したが、SRNCの識別子の数は、2以上でもよい。また、複数のSRNCの識別子を通知する場合、優先順位をつけて通知してもよい。
【0039】
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子からSRNC703を選択し、SRNC703へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(706)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC703に送信される。
【0040】
トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC703は、内部で各種の判定の結果トンネル確立不可と判断し、トンネル確立拒否メッセージをAT701に送信する(707)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。
【0041】
本実施例においては、AT701はeBS702から、SRNC703、SRNC704の両方の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを受信している。そこでトンネリング確立拒否メッセージを受信したAT701は、先のトンネル作成要求メッセージ(705)に含まれていた識別子のうちSRNC704の識別子を選択し、SRNC704へシグナリングトンネル確立要求メッセージ(708)を送信する。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC704に送信される。
【0042】
トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC704は、内部で各種の判定の結果、トンネル確立応答メッセージをAT701に送信する(709)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。トンネル確立応答を受信したAT701は、SRNC704との間にシグナリングトンネルの確立が完了する。
【0043】
以上説明した実施例によれば、セッション情報管理ノードと移動局のシグナリングトンネル確立が失敗した場合に、移動局主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができる。
【実施例3】
【0044】
次に第3の実施例について説明する。
第3の実施例では、複数のSRNCが存在するRANにおいて、あるATがあるSRNCとのシグナリングトンネル確立に失敗すると、ATはeBSにシグナリングトンネル確立が失敗したことを通知し、この通知を受けてeBSが別のSRNCとのシグナリングトンネル作成要求を送信し、ATは別のSRNCとシグナリングトンネル確立を行う。
本実施例においても、eBSは実施例1で説明したものと同様の制御構造を持つ。
【0045】
本実施例においてはSRNCとATの間のシグナリングトンネルを確立する際、シグナリングトンネルのトンネル終端であるATが、シグナリングトンネルの確立失敗を認識した際、eBSへトンネル作成失敗を通知する。これによりeBSは、自身が送信したトンネリング作成要求によりSRNCとシグナリングトンネルを確立しようとしたATが、シグナリングトンネルの確立に失敗したことを知ることができる。そこで、eBS主導でATとSRNC間のシグナリングトンネル確立を再試行をする。このトンネル作成失敗通知は、トンネルの終端ではないeBSに、トンネルの終端であるATから通知するメッセージで、標準規格には存在しない概念のメッセージである。以下、トンネル作成失敗通知メッセージフォーマットと、そのメッセージを受けたRANの各構成の動作を説明する。
【0046】
図12に、本実施例におけるトンネル作成失敗通知メッセージフォーマットを示す。
トンネル作成失敗通知メッセージは、メッセージ自体を識別するためのメッセージIDを示すフィールドを持つ。図12では例として8bit幅としている。トンネル作成失敗通知メッセージのIDは、標準規格に存在する他のメッセージと重複しないID、例えば0x0fなどを本メッセージ用のIDとして定義して用いる。また、そのメッセージに含まれる情報要素として、トンネル作成失敗ノード識別子(1201)を持つ。図12では、例として64bit幅としている。ATはトンネル作成要求メッセージで指定されたノード識別子を保持しておき、メッセージ作成時には保持していたノード識別子をトンネル作成失敗ノード識別子(1201)として設定する。その際、トンネル確立失敗メッセージのトンネリングパケットヘッダに含まれるトンネル識別子と、トンネル作成失敗ノード識別子の対応を照合してもよい。
【0047】
また、トンネル作成失敗通知メッセージに付随するペイロード部分に、トンネリングパケットヘッダに含まれるエラーコード(202)の情報を含めてもよい(1202)。その場合には、ATは受信するトンネル確立拒否メッセージのトンネリングパケットヘッダ部分からエラーコードを抽出し、該ペイロードに適用することが可能である。図12では例として4bit幅としている。
【0048】
次に、第3のトンネル作成失敗通知メッセージを用いた本実施例の動作シーケンスを説明する。
図13は、本実施例における各構成の動作シーケンスを説明する図である。
図13において、AT701とeBS702間の無線通信が確立され、eBS702はSRNC703、SRNC704とRAN内通信が可能な状態である。eBS702の保持するSRNCテーブルのエントリにはSRNC703、SRNC704の識別子が登録されている。このとき、eBS702のeBS呼制御部はSRNC703の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線通信制御部(710)を経てAT701に送信する(1301)。
【0049】
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子に基づき、SRNC703へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(1302)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC703に送信される。
トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC703は、内部で各種の判定の結果トンネル確立不可と判断し、トンネル確立拒否メッセージをAT701に送信する(1303)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。
【0050】
トンネル確立拒否メッセージを受信したAT701は、トンネル確立要求メッセージを送信する元となった、トンネル作成要求メッセージ(1301)の送信元であるeBS702に、トンネル作成が失敗したことを通知するために、トンネル作成失敗通知メッセージを送信する(1304)。トンネル作成失敗通知メッセージは、eBS702の無線通信制御部(710)を経てeBS呼制御部(711)に受信される。
通知を受けたeBS呼制御部(711)は、SRNCテーブルのエントリからSRNC703以外の識別子であるSRNC704を選択し、SRNC704の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線通信制御部(710)を経てAT701に送信する(1305)。
【0051】
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子に基づき、SRNC704へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(1306)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC704に送信される。トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC704は、内部で各種の判定の結果、トンネル確立応答メッセージをAT701に送信する(1307)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。トンネル確立応答を受信したAT701は、SRNC704との間にシグナリングトンネルの確立が完了する。
【0052】
以上説明した実施例によれば、セッション情報管理ノードと移動局のシグナリングトンネル確立が失敗した場合に、基地局がシグナリングトンネル確立の失敗を認識でき、基地局主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】システム構成を説明する図である。
【図2】エラー発生時のトンネリングプロトコルのパケットのヘッダ構造を説明する図である。
【図3】UMBシステムにおけるセッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立成功時のシーケンスを説明する図である。
【図4】UMBシステムにおけるセッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立失敗時のシーケンスを示す図である。
【図5】本発明の一実施例における基地局が行う機能を実現するために必要な制御構造を示す図である。
【図6】本発明の一実施例におけるトンネル作成要求メッセージフォーマットの構成(一部抜粋)を示す図である。
【図7】本発明の一実施例における各構成の動作シーケンスを説明する図である。
【図8】本発明の一実施零本実施例のトンネリングパケットヘッダのエラーコードを説明する図である。
【図9】本発明の一実施例におけるシグナリングトンネル確立を再試行のシーケンスを説明する図である。
【図10】移動局とセッション情報管理ノード間で行われる通信の概念を説明する図である。
【図11】パケットを送受信するためのプロトコルスタックと、各構成において生成されるパケットの構造を示す図である。
【図12】本発明の一実施例におけるトンネル作成失敗通知メッセージフォーマットを示す図である。
【図13】本発明の一実施例における各構成の動作シーケンスを説明する図である。
【符号の説明】
【0054】
101 セッション情報管理ノード
102 基地局
103 移動局
104 無線アクセスネットワーク
501 eBS呼制御部
502 無線通信制御部
503 RAN通信制御部
504 トンネリング処理部
505 SNRCテーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムおよび無線通信システムにおける呼処理情報の通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有線の世界において、インターネット・アクセスのブロードバンド化が進んでいるのに伴い、移動体通信の世界においても急速にブロードバンド化が進んでいる。次世代無線通信システムの仕様を作成する標準化プロジェクトである3GPP2(3rd Generation Partnership Project 2)では、次世代の高速通信規格であるウルトラ・モバイル・ブロードバンド(Ultra Mobile Broadband:UMB)システムの標準化が進められ、標準規格UMB-IOS(A.S0020)、Ultra Mobile Broadband Air-Interface Spec(C.S0084-v2.0)が発行されている。
【0003】
UMBのシステムにおいては、呼処理情報の管理と呼処理シグナリングの終端を行うセッション情報管理ノードという構成が存在する。UMBにおいては、セッション情報管理ノードと基地局との間のシグナリング通信は、バックホール回線への負荷を低減する為に削減するという思想で設計されている。そのため、基地局は移動局とは無線パケットの送受信機能を有するが、移動局とセッション情報管理ノードとの間で送受信されるパケットは基地局をトンネリングするようになっている。(非特許文献1)
一般に無線通信システムでは、移動局の移動に伴い、移動局が接続する基地局が変化し、ハンドオーバーが発生する。このとき、基地局にシグナリングプロトコル処理を実装するシステムでは、接続する基地局の変化に伴い、移動局と基地局の間にシグナリングが発生し、基地局とその上位ノードとの間にもシグナリングが発生する。
【0004】
UMBのシステムにおいては、基地局はセッション管理に係る処理を行わず、セッション管理ノードへのトンネリングパケットの中継を行うことで、基地局にシグナリングプロトコル処理の実装を避け、ハンドオーバー時のシグナリング通信を低減している。
このようなシステム構成の場合、呼接続時に、まず移動局と基地局との間で無線回線が接続される。無線回線が接続されると、続いて基地局は移動局に対してトンネル作成要求を送信する。このトンネル作成要求にはトンネル確立先のセッション情報管理ノードの情報が含まれており、移動局はこの要求を受けて基地局から指定されたセッション情報管理ノードに対し、トンネルを確立するためのトンネル確立要求を送信する。
【0005】
基地局から指定されたセッション情報管理ノードに対し、トンネルを確立するためのトンネル確立要求を送信した結果、そのセッション情報管理ノードと移動局の間にシグナリングトンネルが確立できればよいが、セッション情報管理ノードがトンネル確立要求を受信したものの何らかの要因でトンネル確立を受け入れることが出来ない場合がある。トンネル確立拒否メッセージは基地局をトンネリングし無線パケットとして移動局に送信されるため、トンネル確立失敗を知るのは移動局のみで、基地局はトンネル確立失敗の事実をを知るすべがない。従って、移動局は、トンネル確立のためのそれ以上の動作を行うことができず、シグナリングトンネルが確立されないままとなってしまう。
【0006】
無線通信システムにおける発明ではないが、所定の通信プロトコルをトンネリングするトンネリング装置に外部ネットワークにおけるアドレスを動的に取得する機能を持たせ、取得したアドレスを用いてセッションの確立およびトンネリングを行う技術が特許文献1に開示されている。
【0007】
【非特許文献1】Ultra Mobile Broadband Air-Interface Spec C.S0084-v2.0 (C.S0084-003-Section5 Radio Link Layer Basic Route Protocol、C.S0084-004-Section3 Application Layer Inter-Route Tunneling Protocol、C.S0084-008 Route Control Plane)
【特許文献1】特開2007-104440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
UMBシステムにおいて、基地局は移動局との間に無線回線を接続し、無線パケットを送受信するが、セッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立に関するメッセージは、基地局を経由するものの基地局はそれをトンネリングするのみである。つまり、トンネル確立に関するメッセージは、移動局からセッション情報管理ノードへ、セッション情報管理ノードから移動局へと双方向にトンネリングするものであった。
【0009】
シグナリングトンネルの終端となる装置ではない基地局からトンネル作成要求が発行される構成のため、基地局は、トンネル作成要求の発行元であるにもかかわらず自身が発行したトンネル作成要求の結果を知る手段がない。セッション情報管理ノードおよび移動局からも、基地局に対してシグナリングトンネル確立の失敗を通知する手段がなく、セッション情報管理ノードと移動局との間のシグナリングトンネル確立が再試行できなかった。
【0010】
このような背景の元、シグナリングトンネル確立に失敗した際に、基地局もしくは移動局主導でシグナリングトンネル確立を再試行する手段が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明においては、複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、移動局と前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、基地局は確立するトンネルの終端とならない装置であり、移動局および前記セッション情報管理装置がトンネルの終端となる装置であり、移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおいて、移動局が基地局から移動局に送信されたトンネル作成要求メッセージに基づく処理の結果を含むトンネル作成結果応答メッセージを作成し、移動局から基地局に通知するようにした。
【発明の効果】
【0012】
セッション情報管理ノードと移動局のシグナリングトンネル確立が失敗した場合に、基地局がシグナリングトンネル確立が失敗したことを認識でき、基地局もしくは移動局主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができ、移動局とセッション情報管理ノードとの間で確実にシグナリングトンネルの確立が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態を複数の実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0014】
まず始めに、UMBシステムのシステム構成と、UMBシステムにおけるセッション情報の管理について図1ないし図4、図10および図11を用いて説明する。
【0015】
まず、図1を用いてUMBシステムのシステム構成を説明する。
図1において、101はセッション情報管理ノード(Session Reference Network Controller:以下、SRNC)であり、呼処理情報の管理と呼処理シグナリングの終端を行う。本実施例では、SRNCはひとつのアクセスゲートウェイに複数接続されている。そしてSRNCには複数の基地局(evolved Base Station:以下eBS)が重複して接続される。アクセスゲートウェイ、SRNC、eBSは無線アクセスネットワーク104(Radio Access Network:以下RAN)を構成している。eBSは、移動局(Access Terminal:以下AT)103と無線パケットの送受信機能を有し、ATとSRNCの間で送受信されるパケットをトンネリングする。
【0016】
次に、移動局とセッション情報管理ノード間の通信について説明する。
図10は、移動局とセッション情報管理ノード間で行われる通信の概念図である。SRNC101は、無線送受信機能を持たないため、AT103と直接無線通信を行うことが出来ない。そのため、eBS102を介して通信を行う。この通信は、トンネリングプロトコルを用いて、あたかもAT103とSRNC101が直接通信しているかのように動作し、eBS102はAT103とSRNC103の間で行われる通信の内容を知ることがない。
【0017】
AT103がSRNC101に送信するパケットを作成する際には、まずAT103とSRNC101の間のトンネルを通過する信号であることを示すヘッダを付加したペイロードを作成する。そして作成したペイロードをeBS102に送信するパケットのペイロード部分に格納し、eBS102に無線送信する。パケットを受信したeBS102は、ペイロードからヘッダ部分を参照してトンネルを通過する信号であることを認識し、SRNC103へと送信する。
【0018】
次に、移動局とセッション情報管理ノードとの間でパケットを送受信するためのプロトコルスタックと、移動局からセッション情報管理ノードにデータを送信する際に、移動局、基地局、セッション情報管理ノードのそれぞれにおいて生成されるパケットの構造を示す。
図11は、移動局とセッション情報管理ノードとの間でパケットを送受信するためのプロトコルスタックと、移動局、基地局、セッション情報管理ノードのそれぞれで生成されるパケットの構造を示す図である。
図の上半分は、AT103とSRNC101の間でパケットを送受信するためのプロトコルスタックを示す。また、下半分は、AT103からSRNC101にデータを送信する際に、実際にAT103、eBS102、SRNC101でそれぞれ生成されるパケット構造を示す。
【0019】
無線ヘッダ(1101)は無線通信部分のヘッダである。トンネルヘッダ(1102)はトンネルの番号を識別する情報を含むヘッダであり、通信種別1(1103)と通信種別2(1104)は通信の種別などを含むヘッダである。実ペイロード(1105)は、AT103からSRNC101へと送信する実ペイロード部分を示している。また、経由表示(1106)はeBS102がトンネルの経由点であり、更に送信する宛先(この場合は、SRNC101)が存在することを示すヘッダである。
【0020】
AT103は、SRNC101へと送信する実ペイロード(1105)に通信種別1(1103)、通信種別2(1104)のヘッダを付加し、AT103とSRNC101の間のトンネルであることを示すトンネルヘッダ(1102)を付加する。ここまでに作成した部分を1107とする。
【0021】
ここで、AT103はSRNC101と直接の無線・有線の通信路を持っていないため、これをeBS102経由で送信する。そのため、経由表示(1106)を付加する。1107をeBS102宛のペイロードとし、経由点であるeBS102へと送信するためのヘッダ(1108, 1109, 1110)を1107作成時と同様に付加する。更にAT103とeBS102は無線通信を行うため無線ヘッダ(1101)を付加し、AT103からeBS102へと送信するパケット1111が完成する。パケット1111を受信したeBS102は、eBS102宛の情報を示している無線ヘッダ(1101)、トンネルヘッダ(1110)、通信種別2(1109)、通信種別1(1108)を順次処理し、経由表示(1106)に到達する。経由表示(1106)を確認したeBS102は、ペイロード部分の宛先がSRNC101であることを認識する。eBS102は、1107に有線通信ヘッダ(1112)を付加し、eBS102からSRNC101へと送信するパケット1113が完成する。1113を受信したSRNC101は、有線通信ヘッダ(1112)を処理し、トンネルヘッダ(1102)を確認する。トンネルヘッダ(1102)は、AT103とSRNC101の間のトンネルであることを示しているため、以降の部分通信種別2(1104)、通信種別1(1103)を順次処理し、実ペイロード(1105)に到達する。
【0022】
次に、トンネリングプロトコルについて説明する。
図2に、トンネリングプロトコルの例を示す。
図2に示しているのは、移動局とセッション情報管理ノードとの間で送受信されるパケットを基地局がトンネリングするためのトンネリングプロトコルであり、エラー発生時のパケットのヘッダ構造を示している。
【0023】
ヘッダの先頭にはヘッダフォーマット種別を示すフィールド(201)がある。このフィールドには、エラー発生時にはエラー発生を示すヘッダフォーマットを示す値が設定される。また、エラーコードを示すフィールド(202)がある。このフィールドには、各種のエラーコードが設定される。また、トンネルの識別子を示すフィールド(203)、CRCエラー発生時にそれを明確に示す為のCRCエラー表示用フィールド(204)が存在する。
【0024】
次に、呼接続時の動作について説明する。まず、セッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立が成功した場合について説明する。
図3は、UMBシステムにおけるセッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネルの確立が成功した場合のシーケンスを説明する図である。
図3には図示していないが、呼接続時には、まずAT103 とeBS102との間で無線通信路が接続される。無線通信路の確立後、eBS102は、次の処理として、AT103とセッション情報管理ノードのシグナリング処理を開始するために、トンネル作成要求をAT103に送信する(301)。このトンネル作成要求には、SRNC101の識別子が含まれている。ATは受信したトンネル作成要求に含まれる識別子に基づいたSRNCにトンネル確立要求を発行する(302)。このトンネル確立要求はeBS102によって無線パケットとして受信され、SRNC101に送信される。トンネル確立要求を受信したSRNC101は、トンネル確立成功メッセージをATに送信する(303)。このトンネル確立成功メッセージはeBS102を介して無線パケットとしてATに送信される。ATとシグナリングトンネルが確立されたSRNC101は、移動局識別子をATに割り当て、作成したトンネルを用いてATに送信する(304)。受信したATは識別子受取の完了をSRNCに通知する(305)。識別子割り当ての完了したSRNCは、ATとの間のシグナリングトンネル確立が完了したことをeBSに通知する(306)。
【0025】
一方、セッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立が失敗した場合について図4を用いて説明する。
図4は、UMBシステムにおけるセッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立失敗シーケンスを示す図である。
前述のシグナリングトンネルの確立が成功した場合のシーケンスと同様に、図示していないが、まずAT103 とeBS102との間で無線通信路が確立された後、eBS102はAT103とセッション情報管理ノードのシグナリング処理を開始するために、SRNC101の識別子を含むトンネル作成要求をAT103に送信する(301)。これを受けたAT103はトンネル確立要求をSRNC101に発行する(302)。しかしトンネル確立要求を受信したSRNC101が、何らかの要因でトンネル確立を受け入れることが出来ず、トンネル確立拒否メッセージをATに送信する(402)。このトンネル確立拒否メッセージはeBSを介して無線パケットとしてATに送信される。SRNCとシグナリングトンネルが確立できなかったATは、自らはシグナリングトンネルを再接続するためのアクションを起こす術はなく、またトンネル作成要求の発行元であるeBSも、トンネル確立が拒否されたことを知る術がないため、シグナリングトンネルは確立されないままとなる。
【0026】
そこで、本願発明の実施例1においては、SRNCとATの間のシグナリングトンネル確立時に、トンネル作成要求メッセージを受けたATおよびRANが以下に説明するように動作するようにした。
複数のSRNCが存在するRANについて、あるATがあるSRNCとのシグナリングトンネル確立に失敗した後、別のSRNCとシグナリングトンネル確立を行う場合を考える。トンネル作成要求メッセージは、標準規格C.S0084-008-v2.0に準拠したフォーマットで作成する。
【0027】
まず。基地局について説明する。
図5は、本実施例で基地局が行う機能を実現するために必要な制御構造を示す図である。
eBSは、eBSで行う呼制御を管理するeBS呼制御部(501)、ATとの無線通信を管理する無線通信制御部(502)、RAN内の通信を管理するRAN通信制御部(503)、トンネリングプロトコルに基づいてトンネリングパケットの処理を行うトンネリング処理部(504)を持つ。また、RAN内に存在するSRNCの識別子を保持するSRNCテーブル(505)を持つ。eBS呼制御部(501)、無線通信制御部(502)、RAN通信制御部(503)、トンネリング処理部(504)はそれぞれ相互に情報を通知する為のインタフェースを持つ。SRNCテーブルのエントリであるSRNCの識別子は、RANの情報として予め登録しておく。SRNCテーブルはeBS呼制御部から参照される。
【0028】
次に、トンネリングパケットヘッダのエラーコードを説明する。
図8は、トンネリングパケットヘッダのエラーコードを説明する図である。
図8のエラーコードには、標準規格に基づくトンネリングパケットヘッダのエラーコードと、本実施例での追加するエラーコードがある。
UMBシステムにおいては、無線送受信機能を持たないSRNC101は、AT103と直接無線通信を行うことが出来ないため、eBS102を介してAT103と通信を行うことを前述した。また、SRNC101は、トンネリングプロトコルを用いて、あたかもAT103とSRNC101が直接通信しているかのように動作することについても前述した。このようなシステム構成においては、eBS102はAT103とSRNC103の間で行われる通信の内容を知る必要性は考慮されていない。そのため標準規格C.S0084-004-v2.0-Section3に基づくトンネリングパケットヘッダのエラーコードには、SRNCからATへエラーを通知するためのコードと、eBSからATにエラーを通知するためのコードしか存在しなかった。
【0029】
本願発明においては、通常はATとSRNCとの間のデータの送受信をトンネリングを行っているeBSが、シグナリングトンネル確立失敗時には、それを認識しできるようにし、eBS主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができるようにするために、まずはエラーコード(802)を導入する。このエラーコードはSRNCからeBSに情報を通知する意味合いを持ち、標準規格には存在しない概念のエラーコードである。
【0030】
次に、シグナリングトンネル確立失敗時に、eBSそれを認識し、eBS主導でシグナリングトンネル確立を再試行するためのシーケンスについて説明する。
図9は、シグナリングトンネル確立の再試行のシーケンスを説明する図である。
【0031】
無線通信の確立されたAT701とeBS702について、eBS702はSRNC703、SRNC704とRAN内通信が可能な状態であり、eBS702の保持するSRNCテーブルのエントリにはSRNC703、SRNC704の識別子が登録されている。このとき、eBS702のeBS呼制御部はSRNC703の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線通信制御部(710)を経てAT701に送信する(901)。
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子に基づき、SRNC701へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(902)。このメッセージは、eBS702の無線通信制御部(710)によって受信され、トンネリング処理部(712)によるトンネリングパケットヘッダ確認の結果、RAN通信制御部(713)によってSRNC703に送信される。
【0032】
トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC703は、内部で各種の判定の結果トンネル確立不可と判断した場合、トンネリングプロトコルヘッダの情報要素に、送信されるメッセージの一部情報を追加するトンネル確立拒否メッセージをAT701に送信する(903)。このメッセージは、eBSのRAN通信制御部(713)によって受信され、トンネリング処理部によるトンネリングパケットヘッダ確認の結果、無線通信制御部(710)によってAT701に送信される。本実施例では、eBS702のトンネリング処理部(712)に、トンネリングプロトコルヘッダの情報要素202を確認する機能を持たせる。そして、eBS702のトンネリング処理部(712)は、トンネル確立拒否メッセージ(903)のトンネリングプロトコルヘッダの情報要素202を確認し、その値がシグナリングトンネル確立失敗を示すエラーコード”0101”の場合には、eBS呼制御部(711)にAT701とSRNC703の間のシグナリングトンネル確立が失敗したことを通知する。通知を受けたeBS呼制御部(711)は、SRNCテーブルのエントリからSRNC703以外の識別子であるSRNC704を選択し、SRNC704の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線通信制御部(710)を経てAT701に送信する(905)。
【0033】
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子に基づき、SRNC704へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(906)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC704に送信される。トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC704は、内部で各種の判定の結果、トンネル確立応答メッセージをAT701に送信する(907)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。トンネル確立応答を受信したAT701は、SRNC704との間にシグナリングトンネルの確立が完了する。
【0034】
以上説明した実施例によれば、セッション情報管理ノードと移動局のシグナリングトンネル確立が失敗した場合に、基地局がシグナリングトンネル確立の失敗を認識でき、基地局主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができる。
本実施例は、トンネリングパケットヘッダ部分を使用することで、ペイロードが暗号化されている場合など、トンネルの中継ノードで実際のペイロード部分のプロトコル解釈が不可能な場合であっても、実現可能な実施例である。
【実施例2】
【0035】
次に第2の実施例について説明する。
本実施例においてはSRNCとATの間のシグナリングトンネルの確立を、AT主導で再試行する場合について説明する。以下、第2の実施例におけるトンネル作成要求メッセージフォーマットと、そのメッセージを受けたATおよびRANの各構成の動作を説明する。
【0036】
本実施例では、複数のSRNCが存在するRANにおいて、あるATがあるSRNCとのシグナリングトンネル確立に失敗した後、ATは続けて別のSRNCとシグナリングトンネル確立を行う。本実施例においても、eBSは実施例1で説明したものと同様の制御構造を持つものである。
本実施例では、トンネル作成要求メッセージが特徴的な構成を有する。
【0037】
図6に、本実施例におけるトンネル作成要求メッセージフォーマットの構成(一部抜粋)を示す。
トンネル作成要求メッセージは、そのメッセージに含まれる情報要素として、トンネル作成先ノード識別子エントリ数(601)とエントリ数に基づく数のトンネル作成先ノード識別子(602)を持つ。
【0038】
次に、このトンネル作成要求メッセージを用いた本実施例の動作シーケンスを説明する。
図7は、本実施例における各構成の動作シーケンスを説明する図である。
図7において、AT701とeBS702間の無線通信が確立され、eBS702はSRNC703、SRNC704とRAN内通信が可能な状態である。eBS702の保持するSRNCテーブルのエントリにはSRNC703、SRNC704の識別子が登録されている。このとき、eBS702のeBS呼制御部はSRNC703、SRNC704の両方の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線制御部を経てAT701に送信する(705)。ここでは2つのSRNCの識別子を含む例を説明したが、SRNCの識別子の数は、2以上でもよい。また、複数のSRNCの識別子を通知する場合、優先順位をつけて通知してもよい。
【0039】
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子からSRNC703を選択し、SRNC703へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(706)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC703に送信される。
【0040】
トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC703は、内部で各種の判定の結果トンネル確立不可と判断し、トンネル確立拒否メッセージをAT701に送信する(707)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。
【0041】
本実施例においては、AT701はeBS702から、SRNC703、SRNC704の両方の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを受信している。そこでトンネリング確立拒否メッセージを受信したAT701は、先のトンネル作成要求メッセージ(705)に含まれていた識別子のうちSRNC704の識別子を選択し、SRNC704へシグナリングトンネル確立要求メッセージ(708)を送信する。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC704に送信される。
【0042】
トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC704は、内部で各種の判定の結果、トンネル確立応答メッセージをAT701に送信する(709)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。トンネル確立応答を受信したAT701は、SRNC704との間にシグナリングトンネルの確立が完了する。
【0043】
以上説明した実施例によれば、セッション情報管理ノードと移動局のシグナリングトンネル確立が失敗した場合に、移動局主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができる。
【実施例3】
【0044】
次に第3の実施例について説明する。
第3の実施例では、複数のSRNCが存在するRANにおいて、あるATがあるSRNCとのシグナリングトンネル確立に失敗すると、ATはeBSにシグナリングトンネル確立が失敗したことを通知し、この通知を受けてeBSが別のSRNCとのシグナリングトンネル作成要求を送信し、ATは別のSRNCとシグナリングトンネル確立を行う。
本実施例においても、eBSは実施例1で説明したものと同様の制御構造を持つ。
【0045】
本実施例においてはSRNCとATの間のシグナリングトンネルを確立する際、シグナリングトンネルのトンネル終端であるATが、シグナリングトンネルの確立失敗を認識した際、eBSへトンネル作成失敗を通知する。これによりeBSは、自身が送信したトンネリング作成要求によりSRNCとシグナリングトンネルを確立しようとしたATが、シグナリングトンネルの確立に失敗したことを知ることができる。そこで、eBS主導でATとSRNC間のシグナリングトンネル確立を再試行をする。このトンネル作成失敗通知は、トンネルの終端ではないeBSに、トンネルの終端であるATから通知するメッセージで、標準規格には存在しない概念のメッセージである。以下、トンネル作成失敗通知メッセージフォーマットと、そのメッセージを受けたRANの各構成の動作を説明する。
【0046】
図12に、本実施例におけるトンネル作成失敗通知メッセージフォーマットを示す。
トンネル作成失敗通知メッセージは、メッセージ自体を識別するためのメッセージIDを示すフィールドを持つ。図12では例として8bit幅としている。トンネル作成失敗通知メッセージのIDは、標準規格に存在する他のメッセージと重複しないID、例えば0x0fなどを本メッセージ用のIDとして定義して用いる。また、そのメッセージに含まれる情報要素として、トンネル作成失敗ノード識別子(1201)を持つ。図12では、例として64bit幅としている。ATはトンネル作成要求メッセージで指定されたノード識別子を保持しておき、メッセージ作成時には保持していたノード識別子をトンネル作成失敗ノード識別子(1201)として設定する。その際、トンネル確立失敗メッセージのトンネリングパケットヘッダに含まれるトンネル識別子と、トンネル作成失敗ノード識別子の対応を照合してもよい。
【0047】
また、トンネル作成失敗通知メッセージに付随するペイロード部分に、トンネリングパケットヘッダに含まれるエラーコード(202)の情報を含めてもよい(1202)。その場合には、ATは受信するトンネル確立拒否メッセージのトンネリングパケットヘッダ部分からエラーコードを抽出し、該ペイロードに適用することが可能である。図12では例として4bit幅としている。
【0048】
次に、第3のトンネル作成失敗通知メッセージを用いた本実施例の動作シーケンスを説明する。
図13は、本実施例における各構成の動作シーケンスを説明する図である。
図13において、AT701とeBS702間の無線通信が確立され、eBS702はSRNC703、SRNC704とRAN内通信が可能な状態である。eBS702の保持するSRNCテーブルのエントリにはSRNC703、SRNC704の識別子が登録されている。このとき、eBS702のeBS呼制御部はSRNC703の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線通信制御部(710)を経てAT701に送信する(1301)。
【0049】
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子に基づき、SRNC703へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(1302)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC703に送信される。
トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC703は、内部で各種の判定の結果トンネル確立不可と判断し、トンネル確立拒否メッセージをAT701に送信する(1303)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。
【0050】
トンネル確立拒否メッセージを受信したAT701は、トンネル確立要求メッセージを送信する元となった、トンネル作成要求メッセージ(1301)の送信元であるeBS702に、トンネル作成が失敗したことを通知するために、トンネル作成失敗通知メッセージを送信する(1304)。トンネル作成失敗通知メッセージは、eBS702の無線通信制御部(710)を経てeBS呼制御部(711)に受信される。
通知を受けたeBS呼制御部(711)は、SRNCテーブルのエントリからSRNC703以外の識別子であるSRNC704を選択し、SRNC704の識別子を含むトンネル作成要求メッセージを作成し、無線通信制御部(710)を経てAT701に送信する(1305)。
【0051】
メッセージを受けたAT701は、トンネル作成要求メッセージに含まれる識別子に基づき、SRNC704へシグナリングトンネル確立要求メッセージを送信する(1306)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てSRNC704に送信される。トンネル確立要求メッセージを受信したSRNC704は、内部で各種の判定の結果、トンネル確立応答メッセージをAT701に送信する(1307)。このメッセージは、前述と同様の処理を経てAT701に送信される。トンネル確立応答を受信したAT701は、SRNC704との間にシグナリングトンネルの確立が完了する。
【0052】
以上説明した実施例によれば、セッション情報管理ノードと移動局のシグナリングトンネル確立が失敗した場合に、基地局がシグナリングトンネル確立の失敗を認識でき、基地局主導でシグナリングトンネル確立を再試行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】システム構成を説明する図である。
【図2】エラー発生時のトンネリングプロトコルのパケットのヘッダ構造を説明する図である。
【図3】UMBシステムにおけるセッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立成功時のシーケンスを説明する図である。
【図4】UMBシステムにおけるセッション情報管理ノードと移動局の間のシグナリングトンネル確立失敗時のシーケンスを示す図である。
【図5】本発明の一実施例における基地局が行う機能を実現するために必要な制御構造を示す図である。
【図6】本発明の一実施例におけるトンネル作成要求メッセージフォーマットの構成(一部抜粋)を示す図である。
【図7】本発明の一実施例における各構成の動作シーケンスを説明する図である。
【図8】本発明の一実施零本実施例のトンネリングパケットヘッダのエラーコードを説明する図である。
【図9】本発明の一実施例におけるシグナリングトンネル確立を再試行のシーケンスを説明する図である。
【図10】移動局とセッション情報管理ノード間で行われる通信の概念を説明する図である。
【図11】パケットを送受信するためのプロトコルスタックと、各構成において生成されるパケットの構造を示す図である。
【図12】本発明の一実施例におけるトンネル作成失敗通知メッセージフォーマットを示す図である。
【図13】本発明の一実施例における各構成の動作シーケンスを説明する図である。
【符号の説明】
【0054】
101 セッション情報管理ノード
102 基地局
103 移動局
104 無線アクセスネットワーク
501 eBS呼制御部
502 無線通信制御部
503 RAN通信制御部
504 トンネリング処理部
505 SNRCテーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、前記基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、前記移動局が前記基地局から送信されたトンネル作成要求に基いて前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、前記移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおいて、
前記移動局は、前記セッション情報管理装置からトンネル確立を拒否するメッセージを受信すると、前記基地局に対しトンネル作成が失敗したことを通知するメッセージを送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記トンネル作成が失敗したことを通知するメッセージには、トンネル作成に失敗したセッション情報管理装置の識別子を含むことを特徴とする前記請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記基地局は、前記トンネル作成失敗通知メッセージを受信すると、該トンネル作成通知メッセージに含まれるトンネル作成に失敗したセッション情報管理装置の識別子を参照し、該トンネル作成に失敗したセッション情報管理装置とは異なるセッション情報管理装置の識別子を含むトンネル作成要求を前記移動局に送信することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、前記基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、前記移動局が前記基地局から送信されたトンネル作成要求に基づいて前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、前記移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおける呼接続情報の通知方法であって、、
前記移動局は、前記セッション情報管理装置からトンネル確立を拒否するメッセージを受信すると、前記基地局に対しトンネル作成が失敗したことを通知するメッセージを送信することを特徴とする無線通信システムにおける呼接続情報の通知方法。
【請求項5】
前記トンネル作成が失敗したことを通知するメッセージには、トンネル作成に失敗したセッション情報管理装置の識別子を含むことを特徴とする前記請求項4に記載の無線通信システムにおける呼接続情報の通知方法。
【請求項6】
前記基地局は、前記トンネル作成失敗通知メッセージを受信すると、該トンネル作成通知メッセージに含まれるトンネル作成に失敗したセッション情報管理装置の識別子を参照し、該トンネル作成に失敗したセッション情報管理装置とは異なるセッション情報管理装置の識別子を含むトンネル作成要求を前記移動局に送信することを特徴とする請求項5に記載の無線通信システムにおける呼接続情報の通知方法。
【請求項7】
複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、前記基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、前記移動局と前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、前記基地局は確立するトンネルの終端とならない装置であり、前記移動局および前記セッション情報管理装置がトンネルの終端となる装置であり、前記移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムであって、
前記移動局が、
前記基地局から前記移動局に送信されたトンネル作成要求メッセージに基づく処理の結果を含むトンネル作成結果応答メッセージを作成し、前記移動局から前記基地局に通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、前記基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、前記移動局と前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、前記基地局は確立するトンネルの終端とならない装置であり、前記移動局および前記セッション情報管理装置がトンネルの終端となる装置であり、前記移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおける呼処理情報の通知方法であって、
前記移動局が、
前記基地局から前記移動局に送信されたトンネル作成要求メッセージに基づく処理の結果を含むトンネル作成結果応答メッセージを作成し、前記移動局から前記基地局に通知することを特徴とする無線通信システムにおける呼処理情報の通知方法。
【請求項1】
複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、前記基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、前記移動局が前記基地局から送信されたトンネル作成要求に基いて前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、前記移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおいて、
前記移動局は、前記セッション情報管理装置からトンネル確立を拒否するメッセージを受信すると、前記基地局に対しトンネル作成が失敗したことを通知するメッセージを送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記トンネル作成が失敗したことを通知するメッセージには、トンネル作成に失敗したセッション情報管理装置の識別子を含むことを特徴とする前記請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記基地局は、前記トンネル作成失敗通知メッセージを受信すると、該トンネル作成通知メッセージに含まれるトンネル作成に失敗したセッション情報管理装置の識別子を参照し、該トンネル作成に失敗したセッション情報管理装置とは異なるセッション情報管理装置の識別子を含むトンネル作成要求を前記移動局に送信することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、前記基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、前記移動局が前記基地局から送信されたトンネル作成要求に基づいて前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、前記移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおける呼接続情報の通知方法であって、、
前記移動局は、前記セッション情報管理装置からトンネル確立を拒否するメッセージを受信すると、前記基地局に対しトンネル作成が失敗したことを通知するメッセージを送信することを特徴とする無線通信システムにおける呼接続情報の通知方法。
【請求項5】
前記トンネル作成が失敗したことを通知するメッセージには、トンネル作成に失敗したセッション情報管理装置の識別子を含むことを特徴とする前記請求項4に記載の無線通信システムにおける呼接続情報の通知方法。
【請求項6】
前記基地局は、前記トンネル作成失敗通知メッセージを受信すると、該トンネル作成通知メッセージに含まれるトンネル作成に失敗したセッション情報管理装置の識別子を参照し、該トンネル作成に失敗したセッション情報管理装置とは異なるセッション情報管理装置の識別子を含むトンネル作成要求を前記移動局に送信することを特徴とする請求項5に記載の無線通信システムにおける呼接続情報の通知方法。
【請求項7】
複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、前記基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、前記移動局と前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、前記基地局は確立するトンネルの終端とならない装置であり、前記移動局および前記セッション情報管理装置がトンネルの終端となる装置であり、前記移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムであって、
前記移動局が、
前記基地局から前記移動局に送信されたトンネル作成要求メッセージに基づく処理の結果を含むトンネル作成結果応答メッセージを作成し、前記移動局から前記基地局に通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
複数の移動局と、それら複数の移動局が無線でパケットの送受信を行う複数の基地局と、複数のセッション情報管理装置を備え、前記基地局のそれぞれは複数のセッション情報管理装置と接続され、前記移動局と前記セッション情報管理装置との間でトンネル確立を行い、前記基地局は確立するトンネルの終端とならない装置であり、前記移動局および前記セッション情報管理装置がトンネルの終端となる装置であり、前記移動局と前記セッション情報管理装置間のメッセージが前記基地局をトンネリングして送受信される無線通信システムにおける呼処理情報の通知方法であって、
前記移動局が、
前記基地局から前記移動局に送信されたトンネル作成要求メッセージに基づく処理の結果を含むトンネル作成結果応答メッセージを作成し、前記移動局から前記基地局に通知することを特徴とする無線通信システムにおける呼処理情報の通知方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−55020(P2011−55020A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85173(P2008−85173)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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