無線通信システム
【課題】無線通信システムにおいて、ビット同期信号の誤検出の頻度と、受信不能時間とを低減し、通信信頼性を向上させる。
【解決手段】無線通信システムは、無線信号を受信するスイッチと、リモコン装置とを備える。スイッチは、パルス長判定部と、ビット同期処理を行うビット同期部とを有する。パルス長判定部は、エッジを検出しない状態が第1規定時間以上の間続いたか否かを判定し、ビット同期処理は、パルス長判定部によってエッジを検出しない状態が第1規定時間以上の間続いたと判定された後に処理を開始する。図に示すように、リモコン装置は、第1規定時間T1以上の間、「0」の信号を連続して送信した後、ビット同期信号Pを送信する。スイッチ2が、このビットパターンを受信すると、パルス長判定部が第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたと判定し、その後、ビット同期部がビット同期処理を開始する。
【解決手段】無線通信システムは、無線信号を受信するスイッチと、リモコン装置とを備える。スイッチは、パルス長判定部と、ビット同期処理を行うビット同期部とを有する。パルス長判定部は、エッジを検出しない状態が第1規定時間以上の間続いたか否かを判定し、ビット同期処理は、パルス長判定部によってエッジを検出しない状態が第1規定時間以上の間続いたと判定された後に処理を開始する。図に示すように、リモコン装置は、第1規定時間T1以上の間、「0」の信号を連続して送信した後、ビット同期信号Pを送信する。スイッチ2が、このビットパターンを受信すると、パルス長判定部が第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたと判定し、その後、ビット同期部がビット同期処理を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビット同期信号の誤検出の発生を低減する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、FSK(Frequency Shift Keying)方式を用いた無線通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の方式による通信においては、本来送受信したいデータ信号の前に必ず、その信号の目印となるプリアンプルパターンと呼ばれる規定のビット同期信号が付与されている。無線受信装置は、このビット同期信号を検出する処理、すなわち、ビット同期処理を開始して、ビット同期信号を検出した後に本来送受信したいデータ信号の受信処理を行う。
【0003】
図14に示すように、上記従来の無線通信システムの無線受信装置100は、無線送信装置から送信される無線信号を受信するアンテナ121と、受信した信号を増幅するLNA(Low Noise Amplifier)122と、RFフィルタ123と、ミキサ124とを備える。また、無線受信装置100は、局部発振部125と、IFフィルタ126と、IFアンプ127と、復調部128と、中心電圧検出部129と、弁別部130と、処理部120とを備える。アンテナ121により受信された無線信号は、装置100内の各部122〜130によって混合、復調、及び弁別された後、ディジタル出力信号として処理部120に出力される。図15に示すように、処理部120は、ビット同期処理を行うビット同期部120aと、データ受信部120bとを有する。ビット同期部120aは、無線送信装置から信号を受信していない状態、つまり無信号状態のときにビット同期処理を行い、ビット同期信号を待ち受けている。
【0004】
ところで、無線受信装置100では、無信号受信状態のときに、復調部128に入力される信号として外来ノイズや無線受信装置内部の熱雑音等が支配的となり、復調部128から出力される信号がランダムなパターンとなることがある。これにより、ビット同期部120aに入力されるランダムパターンの信号が、偶然に、ビット同期信号と一致してしまうと、ビット同期部120aがビット同期信号を誤検出してしまい、本来の信号ではないノイズ等に対して受信処理を行うため、無線受信装置100が一定時間の間、受信不能状態に陥ることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−290218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ビット同期信号の誤検出の頻度を低減すると共に、受信不能時間を低減し、通信信頼性を向上させることが可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、無線受信装置と、該無線受信装置に無線信号を送信する無線送信装置とを備える無線通信システムであって、前記無線送信装置は、第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信した後に、ビット同期信号を送信し、前記無線受信装置は、前記無線送信装置から送信される無線信号を受信する受信部と、局部発振信号を生成する局部発振部と、前記受信部によって受信された前記無線信号と、前記局部発振部によって生成された前記局部発振信号とを混合して中間周波数信号を生成する混合部と、前記混合部によって生成された前記中間周波数信号をアナログ出力信号に復調する復調部と、前記復調部によって復調された前記アナログ出力信号と、該アナログ出力信号の直流成分とを比較することによりディジタル出力信号を弁別して出力する弁別部と、前記弁別部によって出力された前記ディジタル出力信号からビット同期信号を検出するためのビット同期処理を行う処理部とを備え、前記処理部は、前記ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が前記第1規定時間以上続いた後に、前記ビット同期処理を開始するものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、前記処理部は、前記第1規定時間を自然数で除した時間と略同時間を計測するタイマ処理部と、前記ディジタル出力信号からエッジを検出した旨を示すエッジ検出フラグをオンにするエッジ割込み処理部と、前記エッジ検出フラグがオフのときにエッジの未検出回数を示すエッジ未検出カウンタの値をインクリメントし、前記エッジ検出フラグがオンのときには該エッジ未検出カウンタの値をゼロにリセットすると共に、該エッジ検出フラグをオフにするタイマ割込み処理部とを有し、前記エッジ割込み処理部は、前記エッジ検出フラグがオンのときには、前記ディジタル出力信号からエッジを検出する処理を実行せず、前記タイマ割込み処理部は、前記タイマ処理によって計測された時間毎に処理を実行し、前記処理部は、前記エッジ未検出カウンタの値が前記第1規定時間を除した自然数と同等になった後に、前記ビット同期処理を開始するものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の無線通信システムにおいて、前記処理部は、前記ディジタル出力信号の極性を検出する極性検出部をさらに有し、前記タイマ割込み処理部は、前記エッジ検出フラグがオフのときに、前記極性検出部による前記ディジタル出力信号の検出結果が所定の極性である場合、前記エッジ未検出カウンタの値をインクリメントし、前記エッジ検出フラグがオフのときに、前記極性検出部による前記ディジタル出力信号の検出結果が所定の極性でない場合に、前記エッジ未検出カウンタの値をリセットし、前記エッジ検出フラグがオンのときに、該エッジ未検出カウンタの値をリセットすると共に、該エッジ検出フラグをオフにするものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記処理部は、前記ディジタル出力信号から立ち上がりエッジ又は立下りエッジのうちのいずれか一方のエッジのみを検出するものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記処理部は、前記ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が前記第1規定時間以上経過した後に、さらに、前記弁別部から出力された該ディジタル出力信号を安定させるための第2規定時間が経過した後に、前記ビット同期処理を開始するものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記無線送信装置は、前記無線受信装置の前記復調部によって復調された前記アナログ出力信号の直流成分を一定値に収束させるための無線信号を送信した後に、前記第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信するものである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記無線受信装置は、ユーザによって操作され、各種動作指示を行うための操作部と、負荷への給電経路を開閉するスイッチング手段と、前記処理部に入力された信号に応じた動作指示、及びユーザによる前記操作部の操作に応じた動作指示に基づいて、前記スイッチング手段を開閉させる制御を行うスイッチ制御部とをさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、無線送信装置は、第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信した後に、ビット同期信号を送信し、無線受信装置の処理部は、ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が第1規定時間以上続いた後に、ビット同期処理を開始する。そのため、従来と異なり、無信号状態のときに、外来ノイズ等に起因したビット同期信号に類似した信号を受信したとしても、それをビット同期信号として誤検出する頻度を低減することができるので、受信不能となる時間を低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、タイマ割込み処理部はタイマ処理部によって計測された時間毎に処理を実行し、処理部は、エッジ未検出カウンタの値が第1規定時間(T1とする)を除した自然数(Nとする)と同等になった後に、ビット同期処理を開始する。すなわち、処理部を構成するCPUは、T1/N時間に1回しか処理を行わないため、第1規定時間が経過するか否かを判断する処理の頻度を低減させることができ、CPUの負担を軽減することができると共に、無線受信装置の消費電力を低減することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、タイマ割込み処理部は、極性検出部によるディジタル出力信号の検出結果が所定の極性であるか否かによって、エッジ未検出カウンタのインクリメントやリセットを行う。そのため、極性検出部は、ディジタル出力信号の一方の極性のみを検出すれば良いので、両方の極性を検出する場合と比較して、極性の検出処理が簡易になると共に、極性の誤検出の発生を低減することができるので、ビット同期信号を誤検出する頻度をさらに低減することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、ディジタル出力信号から立ち上がりエッジ又は立下りエッジのうちのいずれか一方のエッジのみを検出するので、両方のエッジを検出する場合と比較して、エッジの検出方向の切替え処理を省略することができる。そのため、処理部の処理の負荷を低減することができると共に、無線受信装置の消費電力を低減することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、弁別部から出力されたディジタル出力信号を安定させるための第2規定時間がさらに経過した後に、ビット同期処理を開始するので、弁別部から出力されたディジタル出力信号のDuty比が安定した状態でビット同期処理を行うことができる。そのため、検出すべきビット同期信号の検出を失敗する確率を低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、無線送信装置は、アナログ出力信号の直流成分を一定値に収束させるための無線信号を送信した後に、第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信する。そのため、無線受信装置は、ノイズ等によって偶然に一定以上のパルス長が受信される可能性を低減させることができるので、自装置の受信状態にかかわらず、確実に第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号を受信することができる。従って、無線通信システムは、ビット同期信号を誤検出する頻度をさらに低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの一例を示す図。
【図2】上記無線通信システムのスイッチの構成を示すブロック図。
【図3】上記スイッチの無線受信回路の構成を示すブロック図。
【図4】上記スイッチの処理部及びメモリの構成を示すブロック図。
【図5】上記無線通信システムのビット同期信号を説明する説明図。
【図6】上記スイッチによって受信されるビットパターンの一例を示す説明図。
【図7】上記スイッチによって受信される無信号状態時のビットパターンの一例を示す説明図。
【図8】上記スイッチの変形例における処理部とメモリの構成を示すブロック図。
【図9】(a)〜(f)は、ディジタル信号、エッジ割込み処理の実行タイミング、エッジ検出フラグ、タイマ割込み処理の実行タイミング、エッジ未検出カウンタ値、及び経過時間を示すタイミングチャート。
【図10】上記スイッチの別の変形例における処理部とメモリの構成を示すブロック図。
【図11】上記スイッチのさらに別の変形例における処理部とメモリの構成を示すブロック図。
【図12】上記スイッチにおける第2規定時間を説明する説明図。
【図13】上記無線通信システムのリモコン装置から送信される信号波形を説明する説明図。
【図14】従来の無線通信システムの無線受信装置の構成を示すブロック図。
【図15】上記無線受信装置の処理部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る無線通信システムについて、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、無線通信システム1の概略構成を示し、図2は、スイッチ(無線受信装置)2の概略構成を示す。図3は、スイッチ2の無線信号受信部2aの構成を示すブロック図である。図4は、処理部21及びメモリ22の構成を示すブロック図である。
【0022】
無線通信システム1は、無線信号を受信可能なスイッチ2と、このスイッチ2に対して無線信号を送信するリモコン装置(無線送信装置)3と、照明装置(負荷)4と、例えば商用交流電源である電源5等から構成されている。スイッチ2は、照明装置4及び電源5への給電経路である電線を介して直列接続され、リモコン装置3から送信された無線信号等に応じて照明装置4を点灯又は消灯させることができる。
【0023】
スイッチ2は、リモコン装置3から送信された無線信号を受信する無線信号受信部2aと、照明装置4への給電経路を開閉するスイッチ素子(スイッチング手段)2bと、スイッチ制御部2cと、ユーザによって操作され、動作指示を行うためのスイッチ入力部(操作部)2dとを備える。スイッチ制御部2cは、リモコン装置3から送信された無線信号に応じた動作指示、及びユーザによるスイッチ入力部2dの操作に応じた動作指示に基づいて、スイッチ素子2bを開閉させる制御を行う。
【0024】
リモコン装置3は、規定時間(以下、第1規定時間T1という)以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信した後に、ビット同期信号(図5参照)Pを送信するものである。また、リモコン装置3は、ビット同期信号Pを送信した後、本来送信したいデータ信号を送信する。第1規定時間T1は、スイッチ2のメモリ22に記憶されている第1規定時間情報22a内の時間と同じ時間である。
【0025】
スイッチ2の無線信号受信部2aは、図3に示すように、リモコン装置3から送信される無線信号を受信するアンテナ(受信部)121と、受信した信号を増幅するLNA(Low Noise Amplifier)122と、所定の周波数成分を通過させるRF(Radio frequency)フィルタ123とを備える。また、無線信号受信部2aは、ミキサ(混合部)124と、局部発振信号を生成する局部発振部125と、所定の周波数成分を通過させるIF(intermediate frequency)フィルタ126と、IF(intermediate frequency)アンプ127とをさらに備える。また、無線信号受信部2aは、中間周波数信号を復調する復調部128と、中心電圧検出部129と、ディジタル出力信号を弁別する弁別部130と、ビット同期処理等を行う処理部21と、メモリ22とをさらに備える。
【0026】
処理部21は、図4に示すように、パルス長判定部21aと、ビット同期部21bと、データ受信部21cとを有する。パルス長判定部21aは、ディジタル出力信号からエッジを検出しないパルスが規定の長さ以上であるか否かの判定、すなわち、エッジを検出しない状態が第1規定時間T1以上の間続いたか否かを判定する。
【0027】
ビット同期部21bは、ディジタル出力信号からビット同期信号Pを検出するためのビット同期処理を行う。ビット同期処理は、パルス長判定部21aによって第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたと判定された後に検出された最初のエッジをトリガとして開始される。また、ビット同期部21bは、ビット同期処理を開始した後、規定時間(以下、ビット同期処理待ち時間という)が経過してもビット同期信号Pを検出できない場合、ビット同期処理を終了する。
【0028】
データ受信部21cは、ビット同期部21bによってディジタル出力信号からビット同期信号Pが検出されたときに、ビット同期信号Pに続くディジタル出力信号からデータを受信する処理を行う。メモリ22には、第1規定時間T1と同じ時間が格納される第1規定時間情報22aと、ビット同期処理待ち時間が格納されるビット同期処理待ち時間情報22bとが記憶される。
【0029】
リモコン装置3から送信され、アンテナ121によって受信された無線信号は、LNA122によって増幅された後、RFフィルタ123によってフィルタリングされてミキサ124に出力される。ミキサ124は、RFフィルタ123から出力された無線信号と、局部発振部125によって生成された局部発振信号とを混合して、この無線信号を中間周波数に変換して中間周波数信号を生成する。
【0030】
ミキサ124によって生成された中間周波数信号は、IFフィルタ126によってフィルタリングされると共に、IFアンプによって増幅された後、復調部128に入力される。復調部128は、入力された中間周波数信号をアナログ出力信号に復調し、復調したアナログ出力信号を、中心電圧検出部129及び弁別部130に出力する。
【0031】
中心電圧検出部129は、アナログ出力信号の直流成分を検出して、弁別部130に出力する。弁別部130は、復調部128によって復調されたアナログ出力信号と、中心電圧検出部129から出力されたアナログ出力信号の直流成分とを比較することによりディジタル出力信号に変換して処理部21に出力する。
【0032】
処理部21は、パルス長判定部21aによって、このディジタル出力信号から第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しないと判定されたとき、ビット同期部21bを用いて、ビット同期信号Pを検出し、この信号が検出された場合、データ受信部21cを用いて、データの受信処理を行う。
【0033】
次に、スイッチ2によって受信されるディジタル信号のビットパターンと、この信号に対するスイッチ2の動作について、図5乃至図7を参照して説明する。図5は、ビット同期信号Pを示し、図6及び図7は、弁別部130から出力されるディジタル出力信号のビットパターンの一例を示す。図6のビットパターンは、スイッチがリモコン装置3から送信された無線信号を受信したときに、弁別部130から出力されるものである。図7のビットパターンは、リモコン装置3が送信する希望波を、スイッチ2が受信しない状態であるときに、スイッチ2が外来ノイズ等を受信したときに、弁別部130から出力されるものであり、ビット同期信号Pと同一の信号P´が含まれているものとする。
【0034】
図6に示すように、リモコン装置3は、第1規定時間T1以上の間、データ値が「0」である信号を連続して送信した後、ビット同期信号Pを送信する。すなわち、リモコン装置3は、第1規定時間T1以上の間、エッジの無い同一符号の信号を連続して送信した後、ビット同期信号Pを送信する。
【0035】
図6に示すビットパターンが処理部21に入力されると、パルス長判定部21aが第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたと判定し、その後、ビット同期部21bがビット同期処理を開始する。そして、ビット同期部21bによってビット同期信号Pが検出されると、データ受信部21cがデータの受信処理を行う。なお、リモコン装置3が、第1規定時間T1以上の間、データ値が「1」である信号を送信することによってエッジの無い同一符号の信号を連続して送信してもよい。
【0036】
一方、図7に示すビットパターンが処理部21に入力されたとき、パルス長判定部21aが第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたと判定しないので、ビット同期部21bがビット同期処理を開始しない。従って、ビット同期部21bは、信号P´をビット同期信号Pとして誤検出することがない。
【0037】
上述したように、無線通信システム1によれば、従来と異なり、無信号状態のときに、外来ノイズ等に起因したビット同期信号Pに類似した信号P´を受信したとしても、それをビット同期信号として誤検出する頻度を低減することができるので、受信不能となる時間を低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0038】
次に、スイッチ2の変形例について、図8を参照して説明する。図8は、本変形例におけるスイッチ2の処理部21及びメモリ22の内部構成を示すブロック図である。スイッチ2の処理部21は、タイマ部21dと、エッジ割込み処理部21eと、タイマ割込み処理部21fとをさらに有する。そして、メモリ22は、ディジタル出力信号からエッジを検出した旨を示すエッジ検出フラグFを格納するエッジ検出フラグ情報22cと、エッジの未検出回数を示すエッジ未検出カウンタ22dとをさらに記憶すること以外は、図2乃至図4に示したスイッチ2と同様の構成である。
【0039】
タイマ部21dは、第1規定時間T1を自然数(N)で除した時間と略等しい時間を計測する。エッジ割込み処理部21eは、弁別部130から出力されるディジタル出力信号からエッジを検出したとき、エッジ検出フラグFをオンにする。また、エッジ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオンの場合には、ディジタル出力信号のエッジの有無に係らず処理を行わない。
【0040】
タイマ割込み処理部21fは、エッジ検出フラグFがオフのときにエッジ未検出カウンタ22dの値をインクリメントし、エッジ検出フラグFがオンのときにはエッジ未検出カウンタ22dの値をゼロにリセットすると共に、エッジ検出フラグFをオフにする処理を行う。タイマ割込み処理部21eは、タイマ部21dによって計測された時間毎に処理を行う。
【0041】
次に、エッジ割込み処理部21e及びタイマ割込み処理部21fの動作と、ビット同期処理の開始タイミングについて、図9を参照して説明する。図9(a)は、リモコン装置3から送信された信号に基づくディジタル信号を示し、図9(b)は、エッジ割込み部21eによる処理の発生タイミングを示し、図9(c)は、エッジ検出フラグFの状態を示す。図9(d)は、タイマ割込み処理部21fの処理タイミングを示し、図9(e)は、エッジ未検出カウンタ22dの値を示し、図9(f)は、経過時間0〜Tgを示す。
【0042】
ここでは、エッジ検出フラグFは、「1」のときにオンであるものとし、「0」のときにオフであるものとする。経過時間0〜Tgのそれぞれの間隔は第1規定時間T1をNで除した時間であるものとし、この時に、タイマ割込み処理部21eが処理を行うものとする。
【0043】
まず、エッジ割込み処理部21eが、ディジタル信号のエッジE1を検出すると、エッジ検出フラグFをオン(「1」)に、その後、時間Taの時に、タイマ割込み処理部21eが処理を行う。この時、タイマ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオンであるため、このフラグFをオフ(「0」)にすると共に、エッジ未検出カウンタ22dの値をリセットして、「0」にする。
【0044】
そして、時間Tbの時に、タイマ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値をインクリメントして、「1」にする。その後、エッジ割込み処理部21eが、ディジタル信号のエッジE2を検出すると、エッジ検出フラグFをオン(「1」)にする。そして、その後、ディジタル信号のエッジE3を受信した時、エッジ検出フラグFがオンであるため、エッジ割込み処理部21eは、エッジ検出処理を行わない。
【0045】
そして、時間Tcの時に、タイマ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオンであるため、このフラグFをオフにすると共に、エッジ未検出カウンタ22dの値をリセットして、「0」にする。その後、時間Tdの時に、タイマ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値を「1」にし、さらに、時間Teの時にもエッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値を「2」にする。
【0046】
そして、その後、タイマ割込み処理部21eは、時間Tfの時に、エッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値を「N−1」にし、さらに、時間Tgの時にも、エッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値を「N」にする。このように、時間Tgの時に、エッジ未検出カウンタ22dの値が「N」となり、第1規定時間T1を除した自然数Nと同じ値になる。パルス長判定部21aによってエッジを検出しない状態が第1規定時間T1以上経過したと判定され、ビット同期部21bによるビット同期処理が開始される。
【0047】
上述したように、本変形例のスイッチ2を備える無線通信システム1によれば、処理部21を構成するCPUによるパルス長判定部21aの処理、すなわち、第1規定時間T1が経過するか否かを判定する処理を、T1/N時間に1回しか行わないため、この処理の頻度を低減させることができ、CPUの負担を軽減することができると共に、スイッチ2の消費電力を低減することができる。
【0048】
次に、スイッチ2の別の変形例について、図10を参照して説明する。図10は、本変形例におけるスイッチ2の処理部21及びメモリ22の内部構成を示すブロック図である。このスイッチ2は、処理部21が、極性検出部21gをさらに有すること以外は、図2、図3、及び図8に示したスイッチ2と同様の構成である。
【0049】
極性検出部21gは、ディジタル信号の所定の極性のみの検出を行う。具体的には、ディジタル信号の極性の一方のみ、すなわち「1」か「0」のいずれかのみを検出するものである。所定の極性とは、リモコン装置3がビット同期信号Pを送信する前に、第1規定時間T1以上の間、エッジのない同一符号の信号を連続して送信する際の符号の極性と同一の極性である。
【0050】
タイマ割込み処理部21fは、エッジ検出フラグFがオフのときに、極性検出部21gが所定の極性を検出した場合、エッジ未検出カウンタ22dの値をインクリメントする。また、タイマ割込み処理部21fは、エッジ検出フラグFがオフのときに、極性検出部21gが所定の極性を検出しなかった場合、エッジ未検出カウンタ22dの値をリセットする。また、タイマ割込み処理部21fは、エッジ検出フラグFがオンのときに、エッジ未検出カウンタ22dの値をリセットすると共に、エッジ検出フラグFをオフにする。
【0051】
上述したように、本変形例のスイッチ2を備える無線通信システム1によれば、スイッチ2の極性検出部21gによってディジタル出力信号の一方の極性のみを検出する。従って、両方の極性を検出する場合と比較して、極性の検出処理が簡易になると共に、極性の誤検出の発生を低減することができ、ビット同期信号を誤検出する頻度をさらに低減することができる。また、処理部21の処理の負荷を低減することができるので、スイッチ2の消費電力を低減することができる。なお、処理部21は、ディジタル出力信号のエッジのうち、立ち上がりエッジ又は立下りエッジのうちのいずれか一方のエッジのみを検出するものであってもよい。その場合、両方のエッジを検出する場合と比較して、エッジの検出方向の切替え処理を省略することができるため、処理部21のエッジ検出処理を単純化することができ、極性の誤検出の発生を低減することができるので、ビット同期信号を誤検出する頻度をさらに低減することができる。
【0052】
次に、スイッチ2のさらに別の変形例について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、本変形例におけるスイッチ2の処理部21及びメモリ22の内部構成を示すブロック図である。このスイッチ2は、メモリ22が、第2規定時間T2が格納される第2規定時間情報22eをさらに記憶すること以外は、図2、図3、及び図8に示したスイッチ2と同様の構成である。
【0053】
第2規定時間T2は、弁別部130から出力されたディジタル出力信号を安定させるための時間である。ビット同期部21bは、ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が第1規定時間T1以上経過した後に、第2規定時間T2がさらに経過した後に、最初に検出したエッジをトリガとしてビット同期処理を開始する。
【0054】
図12は、復調部128から出力されるアナログ出力信号W1と、中心電圧検出部129から出力されるアナログ出力信号の直流成分W2と、ディジタル出力信号W3とを示す。時間T2aの時に、第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたものとすると、その後、時間T2aから第2規定時間T2が経過するまでの間は、ディジタル出力信号W3のDuty比が安定していない。そのため、ビット同期部21bは、時間T2bの時に、ビット同期処理を開始する。
【0055】
第2規定時間T2は、ビット同期部21bが確実にビット同期信号Pを検出するのために許容できるディジタル出力信号W3のDuty比のずれと、中心電圧検出部129の応答速度とに依存して決定される時間である。例えば、第2規定時間T2は、アナログ出力信号の直流成分W2の電圧が約67%となるまでの時間である。
【0056】
上述したように、本変形例のスイッチ2を備える無線通信システム1によれば、スイッチ2の弁別部130から出力されたディジタル出力信号を安定させるための第2規定時間T2がさらに経過した後に、ビット同期部21bがビット同期処理を開始する。そのため、弁別部130から出力されたディジタル出力信号のDuty比が安定した状態でビット同期処理を行うことができるので、検出すべきビット同期信号Pの検出を失敗する確率を低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0057】
次に、リモコン装置3から出力される信号波形について、図13を参照して説明する。図13は、スイッチ2の復調部128から出力されるアナログ出力信号W11と、中心電圧検出部W2から出力されるアナログ出力信号の直流成分W12と、ディジタル出力信号W13とを示す。時間T3aから時間T3bまでの間に、リモコン装置3からエッジの無い同一符号の信号が連続して送信され、第1規定時間T1以上が経過しているものとする。
【0058】
無信号状態において、復調部128に入力される信号は外来ノイズやスイッチ2内部の熱雑音等が支配的となるため、アナログ出力信号W11及びアナログ出力信号の直流成分W12の電圧値は不定となる。そこで、図13に示すように、リモコン装置3は、時間T3aより前に、アナログ出力信号の直流成分W12を一定値に収束させるための信号、すなわちハイレベルの信号を送信する。このとき、アナログ出力信号の直流成分W12は、W12aに示すように高電圧の状態に収束する。そして、その後、リモコン装置3は、第1規定時間T1以上の間、エッジの無い同一符号の信号を送信する。
【0059】
上述したように、リモコン装置3によれば、時間T3aから時間T3bまでの間にアナログ出力信号の直流成分W12がアナログ出力信号W11に収束してしまい、時間T3aから時間T3bまでの間にディジタル出力信号W13にエッジが発生する可能性を低減させることができる。そのため、スイッチ2のパルス長判定部21aによる誤判定を防ぐことができる。また、スイッチ2は、無信号状態におけるアナログ出力信号W11及びアナログ出力信号の直流成分W12の電圧値にかかわらず、確実に第1規定時間T1以上の間、リモコン装置3から送信されたエッジの無い同一符号であるか否かを判定することができる。従って、無線通信システム1は、検出すべきビット同期信号Pの検出を失敗する確率をさらに低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、スイッチは、リモコン装置から送信された信号に応じて動作をオン・オフする空調システムや給湯システム、又はリモコン装置から送信された信号を受信して通報動作を行う防犯システムなど、他の用途に用いられる無線通信システムに適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 無線通信システム
2 スイッチ(無線受信装置)
3 リモコン装置(無線送信装置)
4 照明装置(負荷)
2b スイッチ素子(スイッチング手段)
2c スイッチ制御部
2d スイッチ入力部(操作部)
21d タイマ部
21e エッジ割込み処理部
21f タイマ割込み処理部
21g 極性検出部
22d エッジ未検出カウンタ
121 アンテナ(受信部)
124 ミキサ(混合部)
125 局部発振部
128 復調部
130 弁別部
P ビット同期信号
T1 第1規定時間
T2 第2規定時間
F エッジ検出フラグ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビット同期信号の誤検出の発生を低減する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、FSK(Frequency Shift Keying)方式を用いた無線通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の方式による通信においては、本来送受信したいデータ信号の前に必ず、その信号の目印となるプリアンプルパターンと呼ばれる規定のビット同期信号が付与されている。無線受信装置は、このビット同期信号を検出する処理、すなわち、ビット同期処理を開始して、ビット同期信号を検出した後に本来送受信したいデータ信号の受信処理を行う。
【0003】
図14に示すように、上記従来の無線通信システムの無線受信装置100は、無線送信装置から送信される無線信号を受信するアンテナ121と、受信した信号を増幅するLNA(Low Noise Amplifier)122と、RFフィルタ123と、ミキサ124とを備える。また、無線受信装置100は、局部発振部125と、IFフィルタ126と、IFアンプ127と、復調部128と、中心電圧検出部129と、弁別部130と、処理部120とを備える。アンテナ121により受信された無線信号は、装置100内の各部122〜130によって混合、復調、及び弁別された後、ディジタル出力信号として処理部120に出力される。図15に示すように、処理部120は、ビット同期処理を行うビット同期部120aと、データ受信部120bとを有する。ビット同期部120aは、無線送信装置から信号を受信していない状態、つまり無信号状態のときにビット同期処理を行い、ビット同期信号を待ち受けている。
【0004】
ところで、無線受信装置100では、無信号受信状態のときに、復調部128に入力される信号として外来ノイズや無線受信装置内部の熱雑音等が支配的となり、復調部128から出力される信号がランダムなパターンとなることがある。これにより、ビット同期部120aに入力されるランダムパターンの信号が、偶然に、ビット同期信号と一致してしまうと、ビット同期部120aがビット同期信号を誤検出してしまい、本来の信号ではないノイズ等に対して受信処理を行うため、無線受信装置100が一定時間の間、受信不能状態に陥ることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−290218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ビット同期信号の誤検出の頻度を低減すると共に、受信不能時間を低減し、通信信頼性を向上させることが可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、無線受信装置と、該無線受信装置に無線信号を送信する無線送信装置とを備える無線通信システムであって、前記無線送信装置は、第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信した後に、ビット同期信号を送信し、前記無線受信装置は、前記無線送信装置から送信される無線信号を受信する受信部と、局部発振信号を生成する局部発振部と、前記受信部によって受信された前記無線信号と、前記局部発振部によって生成された前記局部発振信号とを混合して中間周波数信号を生成する混合部と、前記混合部によって生成された前記中間周波数信号をアナログ出力信号に復調する復調部と、前記復調部によって復調された前記アナログ出力信号と、該アナログ出力信号の直流成分とを比較することによりディジタル出力信号を弁別して出力する弁別部と、前記弁別部によって出力された前記ディジタル出力信号からビット同期信号を検出するためのビット同期処理を行う処理部とを備え、前記処理部は、前記ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が前記第1規定時間以上続いた後に、前記ビット同期処理を開始するものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、前記処理部は、前記第1規定時間を自然数で除した時間と略同時間を計測するタイマ処理部と、前記ディジタル出力信号からエッジを検出した旨を示すエッジ検出フラグをオンにするエッジ割込み処理部と、前記エッジ検出フラグがオフのときにエッジの未検出回数を示すエッジ未検出カウンタの値をインクリメントし、前記エッジ検出フラグがオンのときには該エッジ未検出カウンタの値をゼロにリセットすると共に、該エッジ検出フラグをオフにするタイマ割込み処理部とを有し、前記エッジ割込み処理部は、前記エッジ検出フラグがオンのときには、前記ディジタル出力信号からエッジを検出する処理を実行せず、前記タイマ割込み処理部は、前記タイマ処理によって計測された時間毎に処理を実行し、前記処理部は、前記エッジ未検出カウンタの値が前記第1規定時間を除した自然数と同等になった後に、前記ビット同期処理を開始するものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の無線通信システムにおいて、前記処理部は、前記ディジタル出力信号の極性を検出する極性検出部をさらに有し、前記タイマ割込み処理部は、前記エッジ検出フラグがオフのときに、前記極性検出部による前記ディジタル出力信号の検出結果が所定の極性である場合、前記エッジ未検出カウンタの値をインクリメントし、前記エッジ検出フラグがオフのときに、前記極性検出部による前記ディジタル出力信号の検出結果が所定の極性でない場合に、前記エッジ未検出カウンタの値をリセットし、前記エッジ検出フラグがオンのときに、該エッジ未検出カウンタの値をリセットすると共に、該エッジ検出フラグをオフにするものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記処理部は、前記ディジタル出力信号から立ち上がりエッジ又は立下りエッジのうちのいずれか一方のエッジのみを検出するものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記処理部は、前記ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が前記第1規定時間以上経過した後に、さらに、前記弁別部から出力された該ディジタル出力信号を安定させるための第2規定時間が経過した後に、前記ビット同期処理を開始するものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記無線送信装置は、前記無線受信装置の前記復調部によって復調された前記アナログ出力信号の直流成分を一定値に収束させるための無線信号を送信した後に、前記第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信するものである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の無線通信システムにおいて、前記無線受信装置は、ユーザによって操作され、各種動作指示を行うための操作部と、負荷への給電経路を開閉するスイッチング手段と、前記処理部に入力された信号に応じた動作指示、及びユーザによる前記操作部の操作に応じた動作指示に基づいて、前記スイッチング手段を開閉させる制御を行うスイッチ制御部とをさらに備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、無線送信装置は、第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信した後に、ビット同期信号を送信し、無線受信装置の処理部は、ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が第1規定時間以上続いた後に、ビット同期処理を開始する。そのため、従来と異なり、無信号状態のときに、外来ノイズ等に起因したビット同期信号に類似した信号を受信したとしても、それをビット同期信号として誤検出する頻度を低減することができるので、受信不能となる時間を低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、タイマ割込み処理部はタイマ処理部によって計測された時間毎に処理を実行し、処理部は、エッジ未検出カウンタの値が第1規定時間(T1とする)を除した自然数(Nとする)と同等になった後に、ビット同期処理を開始する。すなわち、処理部を構成するCPUは、T1/N時間に1回しか処理を行わないため、第1規定時間が経過するか否かを判断する処理の頻度を低減させることができ、CPUの負担を軽減することができると共に、無線受信装置の消費電力を低減することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、タイマ割込み処理部は、極性検出部によるディジタル出力信号の検出結果が所定の極性であるか否かによって、エッジ未検出カウンタのインクリメントやリセットを行う。そのため、極性検出部は、ディジタル出力信号の一方の極性のみを検出すれば良いので、両方の極性を検出する場合と比較して、極性の検出処理が簡易になると共に、極性の誤検出の発生を低減することができるので、ビット同期信号を誤検出する頻度をさらに低減することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、ディジタル出力信号から立ち上がりエッジ又は立下りエッジのうちのいずれか一方のエッジのみを検出するので、両方のエッジを検出する場合と比較して、エッジの検出方向の切替え処理を省略することができる。そのため、処理部の処理の負荷を低減することができると共に、無線受信装置の消費電力を低減することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、弁別部から出力されたディジタル出力信号を安定させるための第2規定時間がさらに経過した後に、ビット同期処理を開始するので、弁別部から出力されたディジタル出力信号のDuty比が安定した状態でビット同期処理を行うことができる。そのため、検出すべきビット同期信号の検出を失敗する確率を低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、無線送信装置は、アナログ出力信号の直流成分を一定値に収束させるための無線信号を送信した後に、第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信する。そのため、無線受信装置は、ノイズ等によって偶然に一定以上のパルス長が受信される可能性を低減させることができるので、自装置の受信状態にかかわらず、確実に第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号を受信することができる。従って、無線通信システムは、ビット同期信号を誤検出する頻度をさらに低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの一例を示す図。
【図2】上記無線通信システムのスイッチの構成を示すブロック図。
【図3】上記スイッチの無線受信回路の構成を示すブロック図。
【図4】上記スイッチの処理部及びメモリの構成を示すブロック図。
【図5】上記無線通信システムのビット同期信号を説明する説明図。
【図6】上記スイッチによって受信されるビットパターンの一例を示す説明図。
【図7】上記スイッチによって受信される無信号状態時のビットパターンの一例を示す説明図。
【図8】上記スイッチの変形例における処理部とメモリの構成を示すブロック図。
【図9】(a)〜(f)は、ディジタル信号、エッジ割込み処理の実行タイミング、エッジ検出フラグ、タイマ割込み処理の実行タイミング、エッジ未検出カウンタ値、及び経過時間を示すタイミングチャート。
【図10】上記スイッチの別の変形例における処理部とメモリの構成を示すブロック図。
【図11】上記スイッチのさらに別の変形例における処理部とメモリの構成を示すブロック図。
【図12】上記スイッチにおける第2規定時間を説明する説明図。
【図13】上記無線通信システムのリモコン装置から送信される信号波形を説明する説明図。
【図14】従来の無線通信システムの無線受信装置の構成を示すブロック図。
【図15】上記無線受信装置の処理部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る無線通信システムについて、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、無線通信システム1の概略構成を示し、図2は、スイッチ(無線受信装置)2の概略構成を示す。図3は、スイッチ2の無線信号受信部2aの構成を示すブロック図である。図4は、処理部21及びメモリ22の構成を示すブロック図である。
【0022】
無線通信システム1は、無線信号を受信可能なスイッチ2と、このスイッチ2に対して無線信号を送信するリモコン装置(無線送信装置)3と、照明装置(負荷)4と、例えば商用交流電源である電源5等から構成されている。スイッチ2は、照明装置4及び電源5への給電経路である電線を介して直列接続され、リモコン装置3から送信された無線信号等に応じて照明装置4を点灯又は消灯させることができる。
【0023】
スイッチ2は、リモコン装置3から送信された無線信号を受信する無線信号受信部2aと、照明装置4への給電経路を開閉するスイッチ素子(スイッチング手段)2bと、スイッチ制御部2cと、ユーザによって操作され、動作指示を行うためのスイッチ入力部(操作部)2dとを備える。スイッチ制御部2cは、リモコン装置3から送信された無線信号に応じた動作指示、及びユーザによるスイッチ入力部2dの操作に応じた動作指示に基づいて、スイッチ素子2bを開閉させる制御を行う。
【0024】
リモコン装置3は、規定時間(以下、第1規定時間T1という)以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信した後に、ビット同期信号(図5参照)Pを送信するものである。また、リモコン装置3は、ビット同期信号Pを送信した後、本来送信したいデータ信号を送信する。第1規定時間T1は、スイッチ2のメモリ22に記憶されている第1規定時間情報22a内の時間と同じ時間である。
【0025】
スイッチ2の無線信号受信部2aは、図3に示すように、リモコン装置3から送信される無線信号を受信するアンテナ(受信部)121と、受信した信号を増幅するLNA(Low Noise Amplifier)122と、所定の周波数成分を通過させるRF(Radio frequency)フィルタ123とを備える。また、無線信号受信部2aは、ミキサ(混合部)124と、局部発振信号を生成する局部発振部125と、所定の周波数成分を通過させるIF(intermediate frequency)フィルタ126と、IF(intermediate frequency)アンプ127とをさらに備える。また、無線信号受信部2aは、中間周波数信号を復調する復調部128と、中心電圧検出部129と、ディジタル出力信号を弁別する弁別部130と、ビット同期処理等を行う処理部21と、メモリ22とをさらに備える。
【0026】
処理部21は、図4に示すように、パルス長判定部21aと、ビット同期部21bと、データ受信部21cとを有する。パルス長判定部21aは、ディジタル出力信号からエッジを検出しないパルスが規定の長さ以上であるか否かの判定、すなわち、エッジを検出しない状態が第1規定時間T1以上の間続いたか否かを判定する。
【0027】
ビット同期部21bは、ディジタル出力信号からビット同期信号Pを検出するためのビット同期処理を行う。ビット同期処理は、パルス長判定部21aによって第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたと判定された後に検出された最初のエッジをトリガとして開始される。また、ビット同期部21bは、ビット同期処理を開始した後、規定時間(以下、ビット同期処理待ち時間という)が経過してもビット同期信号Pを検出できない場合、ビット同期処理を終了する。
【0028】
データ受信部21cは、ビット同期部21bによってディジタル出力信号からビット同期信号Pが検出されたときに、ビット同期信号Pに続くディジタル出力信号からデータを受信する処理を行う。メモリ22には、第1規定時間T1と同じ時間が格納される第1規定時間情報22aと、ビット同期処理待ち時間が格納されるビット同期処理待ち時間情報22bとが記憶される。
【0029】
リモコン装置3から送信され、アンテナ121によって受信された無線信号は、LNA122によって増幅された後、RFフィルタ123によってフィルタリングされてミキサ124に出力される。ミキサ124は、RFフィルタ123から出力された無線信号と、局部発振部125によって生成された局部発振信号とを混合して、この無線信号を中間周波数に変換して中間周波数信号を生成する。
【0030】
ミキサ124によって生成された中間周波数信号は、IFフィルタ126によってフィルタリングされると共に、IFアンプによって増幅された後、復調部128に入力される。復調部128は、入力された中間周波数信号をアナログ出力信号に復調し、復調したアナログ出力信号を、中心電圧検出部129及び弁別部130に出力する。
【0031】
中心電圧検出部129は、アナログ出力信号の直流成分を検出して、弁別部130に出力する。弁別部130は、復調部128によって復調されたアナログ出力信号と、中心電圧検出部129から出力されたアナログ出力信号の直流成分とを比較することによりディジタル出力信号に変換して処理部21に出力する。
【0032】
処理部21は、パルス長判定部21aによって、このディジタル出力信号から第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しないと判定されたとき、ビット同期部21bを用いて、ビット同期信号Pを検出し、この信号が検出された場合、データ受信部21cを用いて、データの受信処理を行う。
【0033】
次に、スイッチ2によって受信されるディジタル信号のビットパターンと、この信号に対するスイッチ2の動作について、図5乃至図7を参照して説明する。図5は、ビット同期信号Pを示し、図6及び図7は、弁別部130から出力されるディジタル出力信号のビットパターンの一例を示す。図6のビットパターンは、スイッチがリモコン装置3から送信された無線信号を受信したときに、弁別部130から出力されるものである。図7のビットパターンは、リモコン装置3が送信する希望波を、スイッチ2が受信しない状態であるときに、スイッチ2が外来ノイズ等を受信したときに、弁別部130から出力されるものであり、ビット同期信号Pと同一の信号P´が含まれているものとする。
【0034】
図6に示すように、リモコン装置3は、第1規定時間T1以上の間、データ値が「0」である信号を連続して送信した後、ビット同期信号Pを送信する。すなわち、リモコン装置3は、第1規定時間T1以上の間、エッジの無い同一符号の信号を連続して送信した後、ビット同期信号Pを送信する。
【0035】
図6に示すビットパターンが処理部21に入力されると、パルス長判定部21aが第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたと判定し、その後、ビット同期部21bがビット同期処理を開始する。そして、ビット同期部21bによってビット同期信号Pが検出されると、データ受信部21cがデータの受信処理を行う。なお、リモコン装置3が、第1規定時間T1以上の間、データ値が「1」である信号を送信することによってエッジの無い同一符号の信号を連続して送信してもよい。
【0036】
一方、図7に示すビットパターンが処理部21に入力されたとき、パルス長判定部21aが第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたと判定しないので、ビット同期部21bがビット同期処理を開始しない。従って、ビット同期部21bは、信号P´をビット同期信号Pとして誤検出することがない。
【0037】
上述したように、無線通信システム1によれば、従来と異なり、無信号状態のときに、外来ノイズ等に起因したビット同期信号Pに類似した信号P´を受信したとしても、それをビット同期信号として誤検出する頻度を低減することができるので、受信不能となる時間を低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0038】
次に、スイッチ2の変形例について、図8を参照して説明する。図8は、本変形例におけるスイッチ2の処理部21及びメモリ22の内部構成を示すブロック図である。スイッチ2の処理部21は、タイマ部21dと、エッジ割込み処理部21eと、タイマ割込み処理部21fとをさらに有する。そして、メモリ22は、ディジタル出力信号からエッジを検出した旨を示すエッジ検出フラグFを格納するエッジ検出フラグ情報22cと、エッジの未検出回数を示すエッジ未検出カウンタ22dとをさらに記憶すること以外は、図2乃至図4に示したスイッチ2と同様の構成である。
【0039】
タイマ部21dは、第1規定時間T1を自然数(N)で除した時間と略等しい時間を計測する。エッジ割込み処理部21eは、弁別部130から出力されるディジタル出力信号からエッジを検出したとき、エッジ検出フラグFをオンにする。また、エッジ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオンの場合には、ディジタル出力信号のエッジの有無に係らず処理を行わない。
【0040】
タイマ割込み処理部21fは、エッジ検出フラグFがオフのときにエッジ未検出カウンタ22dの値をインクリメントし、エッジ検出フラグFがオンのときにはエッジ未検出カウンタ22dの値をゼロにリセットすると共に、エッジ検出フラグFをオフにする処理を行う。タイマ割込み処理部21eは、タイマ部21dによって計測された時間毎に処理を行う。
【0041】
次に、エッジ割込み処理部21e及びタイマ割込み処理部21fの動作と、ビット同期処理の開始タイミングについて、図9を参照して説明する。図9(a)は、リモコン装置3から送信された信号に基づくディジタル信号を示し、図9(b)は、エッジ割込み部21eによる処理の発生タイミングを示し、図9(c)は、エッジ検出フラグFの状態を示す。図9(d)は、タイマ割込み処理部21fの処理タイミングを示し、図9(e)は、エッジ未検出カウンタ22dの値を示し、図9(f)は、経過時間0〜Tgを示す。
【0042】
ここでは、エッジ検出フラグFは、「1」のときにオンであるものとし、「0」のときにオフであるものとする。経過時間0〜Tgのそれぞれの間隔は第1規定時間T1をNで除した時間であるものとし、この時に、タイマ割込み処理部21eが処理を行うものとする。
【0043】
まず、エッジ割込み処理部21eが、ディジタル信号のエッジE1を検出すると、エッジ検出フラグFをオン(「1」)に、その後、時間Taの時に、タイマ割込み処理部21eが処理を行う。この時、タイマ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオンであるため、このフラグFをオフ(「0」)にすると共に、エッジ未検出カウンタ22dの値をリセットして、「0」にする。
【0044】
そして、時間Tbの時に、タイマ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値をインクリメントして、「1」にする。その後、エッジ割込み処理部21eが、ディジタル信号のエッジE2を検出すると、エッジ検出フラグFをオン(「1」)にする。そして、その後、ディジタル信号のエッジE3を受信した時、エッジ検出フラグFがオンであるため、エッジ割込み処理部21eは、エッジ検出処理を行わない。
【0045】
そして、時間Tcの時に、タイマ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオンであるため、このフラグFをオフにすると共に、エッジ未検出カウンタ22dの値をリセットして、「0」にする。その後、時間Tdの時に、タイマ割込み処理部21eは、エッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値を「1」にし、さらに、時間Teの時にもエッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値を「2」にする。
【0046】
そして、その後、タイマ割込み処理部21eは、時間Tfの時に、エッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値を「N−1」にし、さらに、時間Tgの時にも、エッジ検出フラグFがオフであるため、エッジ未検出カウンタ22dの値を「N」にする。このように、時間Tgの時に、エッジ未検出カウンタ22dの値が「N」となり、第1規定時間T1を除した自然数Nと同じ値になる。パルス長判定部21aによってエッジを検出しない状態が第1規定時間T1以上経過したと判定され、ビット同期部21bによるビット同期処理が開始される。
【0047】
上述したように、本変形例のスイッチ2を備える無線通信システム1によれば、処理部21を構成するCPUによるパルス長判定部21aの処理、すなわち、第1規定時間T1が経過するか否かを判定する処理を、T1/N時間に1回しか行わないため、この処理の頻度を低減させることができ、CPUの負担を軽減することができると共に、スイッチ2の消費電力を低減することができる。
【0048】
次に、スイッチ2の別の変形例について、図10を参照して説明する。図10は、本変形例におけるスイッチ2の処理部21及びメモリ22の内部構成を示すブロック図である。このスイッチ2は、処理部21が、極性検出部21gをさらに有すること以外は、図2、図3、及び図8に示したスイッチ2と同様の構成である。
【0049】
極性検出部21gは、ディジタル信号の所定の極性のみの検出を行う。具体的には、ディジタル信号の極性の一方のみ、すなわち「1」か「0」のいずれかのみを検出するものである。所定の極性とは、リモコン装置3がビット同期信号Pを送信する前に、第1規定時間T1以上の間、エッジのない同一符号の信号を連続して送信する際の符号の極性と同一の極性である。
【0050】
タイマ割込み処理部21fは、エッジ検出フラグFがオフのときに、極性検出部21gが所定の極性を検出した場合、エッジ未検出カウンタ22dの値をインクリメントする。また、タイマ割込み処理部21fは、エッジ検出フラグFがオフのときに、極性検出部21gが所定の極性を検出しなかった場合、エッジ未検出カウンタ22dの値をリセットする。また、タイマ割込み処理部21fは、エッジ検出フラグFがオンのときに、エッジ未検出カウンタ22dの値をリセットすると共に、エッジ検出フラグFをオフにする。
【0051】
上述したように、本変形例のスイッチ2を備える無線通信システム1によれば、スイッチ2の極性検出部21gによってディジタル出力信号の一方の極性のみを検出する。従って、両方の極性を検出する場合と比較して、極性の検出処理が簡易になると共に、極性の誤検出の発生を低減することができ、ビット同期信号を誤検出する頻度をさらに低減することができる。また、処理部21の処理の負荷を低減することができるので、スイッチ2の消費電力を低減することができる。なお、処理部21は、ディジタル出力信号のエッジのうち、立ち上がりエッジ又は立下りエッジのうちのいずれか一方のエッジのみを検出するものであってもよい。その場合、両方のエッジを検出する場合と比較して、エッジの検出方向の切替え処理を省略することができるため、処理部21のエッジ検出処理を単純化することができ、極性の誤検出の発生を低減することができるので、ビット同期信号を誤検出する頻度をさらに低減することができる。
【0052】
次に、スイッチ2のさらに別の変形例について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、本変形例におけるスイッチ2の処理部21及びメモリ22の内部構成を示すブロック図である。このスイッチ2は、メモリ22が、第2規定時間T2が格納される第2規定時間情報22eをさらに記憶すること以外は、図2、図3、及び図8に示したスイッチ2と同様の構成である。
【0053】
第2規定時間T2は、弁別部130から出力されたディジタル出力信号を安定させるための時間である。ビット同期部21bは、ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が第1規定時間T1以上経過した後に、第2規定時間T2がさらに経過した後に、最初に検出したエッジをトリガとしてビット同期処理を開始する。
【0054】
図12は、復調部128から出力されるアナログ出力信号W1と、中心電圧検出部129から出力されるアナログ出力信号の直流成分W2と、ディジタル出力信号W3とを示す。時間T2aの時に、第1規定時間T1以上の間、エッジを検出しない状態が続いたものとすると、その後、時間T2aから第2規定時間T2が経過するまでの間は、ディジタル出力信号W3のDuty比が安定していない。そのため、ビット同期部21bは、時間T2bの時に、ビット同期処理を開始する。
【0055】
第2規定時間T2は、ビット同期部21bが確実にビット同期信号Pを検出するのために許容できるディジタル出力信号W3のDuty比のずれと、中心電圧検出部129の応答速度とに依存して決定される時間である。例えば、第2規定時間T2は、アナログ出力信号の直流成分W2の電圧が約67%となるまでの時間である。
【0056】
上述したように、本変形例のスイッチ2を備える無線通信システム1によれば、スイッチ2の弁別部130から出力されたディジタル出力信号を安定させるための第2規定時間T2がさらに経過した後に、ビット同期部21bがビット同期処理を開始する。そのため、弁別部130から出力されたディジタル出力信号のDuty比が安定した状態でビット同期処理を行うことができるので、検出すべきビット同期信号Pの検出を失敗する確率を低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0057】
次に、リモコン装置3から出力される信号波形について、図13を参照して説明する。図13は、スイッチ2の復調部128から出力されるアナログ出力信号W11と、中心電圧検出部W2から出力されるアナログ出力信号の直流成分W12と、ディジタル出力信号W13とを示す。時間T3aから時間T3bまでの間に、リモコン装置3からエッジの無い同一符号の信号が連続して送信され、第1規定時間T1以上が経過しているものとする。
【0058】
無信号状態において、復調部128に入力される信号は外来ノイズやスイッチ2内部の熱雑音等が支配的となるため、アナログ出力信号W11及びアナログ出力信号の直流成分W12の電圧値は不定となる。そこで、図13に示すように、リモコン装置3は、時間T3aより前に、アナログ出力信号の直流成分W12を一定値に収束させるための信号、すなわちハイレベルの信号を送信する。このとき、アナログ出力信号の直流成分W12は、W12aに示すように高電圧の状態に収束する。そして、その後、リモコン装置3は、第1規定時間T1以上の間、エッジの無い同一符号の信号を送信する。
【0059】
上述したように、リモコン装置3によれば、時間T3aから時間T3bまでの間にアナログ出力信号の直流成分W12がアナログ出力信号W11に収束してしまい、時間T3aから時間T3bまでの間にディジタル出力信号W13にエッジが発生する可能性を低減させることができる。そのため、スイッチ2のパルス長判定部21aによる誤判定を防ぐことができる。また、スイッチ2は、無信号状態におけるアナログ出力信号W11及びアナログ出力信号の直流成分W12の電圧値にかかわらず、確実に第1規定時間T1以上の間、リモコン装置3から送信されたエッジの無い同一符号であるか否かを判定することができる。従って、無線通信システム1は、検出すべきビット同期信号Pの検出を失敗する確率をさらに低減することができると共に、通信信頼性を向上させることができる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、スイッチは、リモコン装置から送信された信号に応じて動作をオン・オフする空調システムや給湯システム、又はリモコン装置から送信された信号を受信して通報動作を行う防犯システムなど、他の用途に用いられる無線通信システムに適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 無線通信システム
2 スイッチ(無線受信装置)
3 リモコン装置(無線送信装置)
4 照明装置(負荷)
2b スイッチ素子(スイッチング手段)
2c スイッチ制御部
2d スイッチ入力部(操作部)
21d タイマ部
21e エッジ割込み処理部
21f タイマ割込み処理部
21g 極性検出部
22d エッジ未検出カウンタ
121 アンテナ(受信部)
124 ミキサ(混合部)
125 局部発振部
128 復調部
130 弁別部
P ビット同期信号
T1 第1規定時間
T2 第2規定時間
F エッジ検出フラグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線受信装置と、該無線受信装置に無線信号を送信する無線送信装置とを備える無線通信システムであって、
前記無線送信装置は、第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信した後に、ビット同期信号を送信し、
前記無線受信装置は、
前記無線送信装置から送信される無線信号を受信する受信部と、
局部発振信号を生成する局部発振部と、
前記受信部によって受信された前記無線信号と、前記局部発振部によって生成された前記局部発振信号とを混合して中間周波数信号を生成する混合部と、
前記混合部によって生成された前記中間周波数信号をアナログ出力信号に復調する復調部と、
前記復調部によって復調された前記アナログ出力信号と、該アナログ出力信号の直流成分とを比較することによりディジタル出力信号を弁別して出力する弁別部と、
前記弁別部によって出力された前記ディジタル出力信号からビット同期信号を検出するためのビット同期処理を行う処理部とを備え、
前記処理部は、前記ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が前記第1規定時間以上続いた後に、前記ビット同期処理を開始することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記処理部は、
前記第1規定時間を自然数で除した時間と略同時間を計測するタイマ処理部と、
前記ディジタル出力信号からエッジを検出した旨を示すエッジ検出フラグをオンにするエッジ割込み処理部と、
前記エッジ検出フラグがオフのときにエッジの未検出回数を示すエッジ未検出カウンタの値をインクリメントし、前記エッジ検出フラグがオンのときには該エッジ未検出カウンタの値をゼロにリセットすると共に、該エッジ検出フラグをオフにするタイマ割込み処理部とを有し、
前記エッジ割込み処理部は、前記エッジ検出フラグがオンのときには、前記ディジタル出力信号からエッジを検出する処理を実行せず、
前記タイマ割込み処理部は、前記タイマ処理によって計測された時間毎に処理を実行し、
前記処理部は、前記エッジ未検出カウンタの値が前記第1規定時間を除した自然数と同等になった後に、前記ビット同期処理を開始することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記ディジタル出力信号の極性を検出する極性検出部をさらに有し、
前記タイマ割込み処理部は、
前記エッジ検出フラグがオフのときに、前記極性検出部による前記ディジタル出力信号の検出結果が所定の極性である場合、前記エッジ未検出カウンタの値をインクリメントし、
前記エッジ検出フラグがオフのときに、前記極性検出部による前記ディジタル出力信号の検出結果が所定の極性でない場合に、前記エッジ未検出カウンタの値をリセットし、
前記エッジ検出フラグがオンのときに、該エッジ未検出カウンタの値をリセットすると共に、該エッジ検出フラグをオフにすることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記ディジタル出力信号から立ち上がりエッジ又は立下りエッジのうちのいずれか一方のエッジのみを検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記処理部は、前記ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が前記第1規定時間以上経過した後に、さらに、前記弁別部から出力された該ディジタル出力信号を安定させるための第2規定時間が経過した後に、前記ビット同期処理を開始することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記無線送信装置は、前記無線受信装置の前記復調部によって復調された前記アナログ出力信号の直流成分を一定値に収束させるための無線信号を送信した後に、前記第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記無線受信装置は、
ユーザによって操作され、各種動作指示を行うための操作部と、
負荷への給電経路を開閉するスイッチング手段と、
前記処理部に入力された信号に応じた動作指示、及びユーザによる前記操作部の操作に応じた動作指示に基づいて、前記スイッチング手段を開閉させる制御を行うスイッチ制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項1】
無線受信装置と、該無線受信装置に無線信号を送信する無線送信装置とを備える無線通信システムであって、
前記無線送信装置は、第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信した後に、ビット同期信号を送信し、
前記無線受信装置は、
前記無線送信装置から送信される無線信号を受信する受信部と、
局部発振信号を生成する局部発振部と、
前記受信部によって受信された前記無線信号と、前記局部発振部によって生成された前記局部発振信号とを混合して中間周波数信号を生成する混合部と、
前記混合部によって生成された前記中間周波数信号をアナログ出力信号に復調する復調部と、
前記復調部によって復調された前記アナログ出力信号と、該アナログ出力信号の直流成分とを比較することによりディジタル出力信号を弁別して出力する弁別部と、
前記弁別部によって出力された前記ディジタル出力信号からビット同期信号を検出するためのビット同期処理を行う処理部とを備え、
前記処理部は、前記ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が前記第1規定時間以上続いた後に、前記ビット同期処理を開始することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記処理部は、
前記第1規定時間を自然数で除した時間と略同時間を計測するタイマ処理部と、
前記ディジタル出力信号からエッジを検出した旨を示すエッジ検出フラグをオンにするエッジ割込み処理部と、
前記エッジ検出フラグがオフのときにエッジの未検出回数を示すエッジ未検出カウンタの値をインクリメントし、前記エッジ検出フラグがオンのときには該エッジ未検出カウンタの値をゼロにリセットすると共に、該エッジ検出フラグをオフにするタイマ割込み処理部とを有し、
前記エッジ割込み処理部は、前記エッジ検出フラグがオンのときには、前記ディジタル出力信号からエッジを検出する処理を実行せず、
前記タイマ割込み処理部は、前記タイマ処理によって計測された時間毎に処理を実行し、
前記処理部は、前記エッジ未検出カウンタの値が前記第1規定時間を除した自然数と同等になった後に、前記ビット同期処理を開始することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記ディジタル出力信号の極性を検出する極性検出部をさらに有し、
前記タイマ割込み処理部は、
前記エッジ検出フラグがオフのときに、前記極性検出部による前記ディジタル出力信号の検出結果が所定の極性である場合、前記エッジ未検出カウンタの値をインクリメントし、
前記エッジ検出フラグがオフのときに、前記極性検出部による前記ディジタル出力信号の検出結果が所定の極性でない場合に、前記エッジ未検出カウンタの値をリセットし、
前記エッジ検出フラグがオンのときに、該エッジ未検出カウンタの値をリセットすると共に、該エッジ検出フラグをオフにすることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記ディジタル出力信号から立ち上がりエッジ又は立下りエッジのうちのいずれか一方のエッジのみを検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記処理部は、前記ディジタル出力信号からエッジを検出しない状態が前記第1規定時間以上経過した後に、さらに、前記弁別部から出力された該ディジタル出力信号を安定させるための第2規定時間が経過した後に、前記ビット同期処理を開始することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記無線送信装置は、前記無線受信装置の前記復調部によって復調された前記アナログ出力信号の直流成分を一定値に収束させるための無線信号を送信した後に、前記第1規定時間以上の間、エッジの無い同一符号のディジタル出力信号に対応する無線信号を連続して送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記無線受信装置は、
ユーザによって操作され、各種動作指示を行うための操作部と、
負荷への給電経路を開閉するスイッチング手段と、
前記処理部に入力された信号に応じた動作指示、及びユーザによる前記操作部の操作に応じた動作指示に基づいて、前記スイッチング手段を開閉させる制御を行うスイッチ制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−9877(P2011−9877A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149125(P2009−149125)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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