説明

無線通信ネットワークシステム、無線端末、無線通信方法、無線通信プログラム

【課題】送信動作中における空間のチャンネルの占有時間を低減しつつ、送受信時の低消費電力化を図るとともに、非同期的に通信状態に移行する無線通信ネットワークシステム、無線端末、無線通信方法、無線通信プログラムを提供する。
【解決手段】無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、前記無線端末のいずれかと直接または他の1以上の無線端末を介することにより他の全ての無線端末とパケット化されたデータにより通信をする無線通信ネットワークシステムの無線端末の消費電力を低減するために、受信待ち時間に休止時間を設けるようにして消費電力を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機器が無線通信によってデータの送受を行う無線通信ネットワークの技術に係り、特に、間欠無線通信におけるシステム内の無線端末の低消費電力化に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信ネットワークシステムにおける低消費電力化が求められている。そこで、消費電力の抑える方法として、無線端末の動作時間のデューティ比を小さくする方法などが提案されている。ところが、送信側と受信側の無線端末の双方が動作を停止している時に、送信側と受信側との間で通信可能とするためには、送信側と受信側とを同時に動作状態に移行させる必要がある。しかし、動作を停止している送信側と受信側の無線端末を同時に動作状態に移行させるためには、受信側では自分宛の情報の送信を開始する送信側無線端末を検出する必要がある。このような送信側無線端末を検出する方法として、各無線端末が間欠的に受信状態に移行する方法と、ビーコンを送信する方法とがある。
【0003】
また、一般的に無線通信ネットワークシステム内に設けられる無線端末には電源としてバッテリーなどが搭載されているため、無線端末の消費電力を抑えることが重要である。
例えば、無線通信ネットワークシステムに代表されるマルチホップ無線ネットワークの場合、データ通信時の消費電力は受信待ち受け時の消費電力に比べて大きい。しかし、時間的に見ると受信待ち受け時間は、無線通信時間の大部分を占めるため、無線通信ネットワークシステムの全体の消費電力は受信待ち受け時の消費電力に大きく影響される。
【0004】
そこで、無線通信ネットワークシステムにおける低消費電力化について特許文献1〜4が提案されている。
特許文献1には、各通信機が間欠的に受信状態に移行する方法が開示されている。この方法では、発呼局および着呼局から構成される無線通信システムにおいて、受信待ちの状態にある着呼局は、一定周期で間欠的に受信部を動作状態とし、受信待ちの着呼局を呼び出して通信を始めようとする発呼局は、着呼局の呼出し番号を送出する前に、一定周期より長い期間、受信部起動信号を送出し、着呼局の受信部は、一定周期で動作状態となるために、この周期より長い起動信号を確実に捕獲して受信部を常時動作状態とし、発呼局からの呼出し番号により、特定の相手局の受信部を識別して通信可能状態とすることができる。
【0005】
特許文献2には、送信機は受信機を特定するコードと受信機の動作を制御する一対のデータ列を繰り返し送信し、受信機は送信休止区間長の間隔で間欠受信することにより、応答性の確保と受信機の低消費電力化を図る方法が開示されている。
【0006】
特許文献3には、計測を行うセンサを備え、動作状態と休止状態を繰り返す間欠動作の無線端末装置と基地局との間で行なう通信方法であって、基地局において無線端末装置に与えるコマンド或いはデータ等の基地局情報を保存し、無線端末装置を休止状態から動作状態に切り替えてからセンサからの情報を基地局に送信し、センサ情報を送信するために動作状態にある無線端末装置に、基地局において保存されている基地局情報を応答信号に結合して送信し、基地局情報及びセンサ情報の送信が終了してから無線端末装置を休止状態に戻す方法が開示されている。
【0007】
特許文献4には、各通信局が自局並びに周辺局のアクティブとなる時間を自律分散的に
管理し、さらに自己の近隣に存在する通信装置の動作モードからアクティブとなっている時間を判断し、通信局が周期的に送信するビーコン信号によって、その時点での動作モードを通知するとともに、周辺局がアクティブになっている時間を管理し、隣接局宛にデータを送信する場合、当該隣接局がアクティブになっているタイミングを、自局からの送信がアクティブになるように設定する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1、2に開示された方法では、自分宛の情報の送信を開始する送信機を受信機が確実に検出できるようにするため、送信機は比較的長い期間に渡って電波を発信し続けることから、空間のチャンネルが比較的長い期間に渡って占有され、他の通信の障害になるという問題がある。
【0009】
また、特許文献3に開示された方法では、受信側となる基地局では、センサからの情報を無線端末装置から受信できるようにするために常に受信状態となって待機する必要があり、受信側での低消費電力化が考慮されていないという問題がある。
【0010】
また、特許文献4に開示された方法では、周辺にある通信装置の動作タイミングを自己のタイマによって管理する必要があるため、周辺にある通信装置の動作が精密に同期化されている必要がある。このため、初期状態で同期を捕捉するための捕捉処理、定期的に同期を補正するための補正処理、同期が外れた時に同期を再捕捉するための再捕捉処理などが必要となり、消費電力の増大を招くという問題がある。
【特許文献1】特開2003−087180号公報
【特許文献2】特開平10−271571号公報
【特許文献3】特開2006−033674号公報
【特許文献4】特開2005−101756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであり、送信動作中における空間のチャンネルの占有時間を低減しつつ、送受信時の低消費電力化を図るとともに、非同期的に通信状態に移行する無線通信ネットワークシステム、無線端末、無線通信方法、無線通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無線通信システムは、無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、前記無線端末のいずれかと直接または他の1以上の無線端末を介することにより他の全ての無線端末とパケット化されたデータにより通信をする無線通信ネットワークシステムであって、前記無線端末は、前記無線端末間で通信をするための無線送信部と無線受信部と、
前記無線端末を識別するID通知信号を送信する送信状態の後に、前記ID通知信号を受信した他の無線端末から前記ID通知信号を送信した前記無線端末へ前記データを送信する送信信号の受信状態に移行させ、前記受信状態の後に前記無線端末をスリープ期間に移行させる処理を間欠的に行い、
前記無線端末間で通信が必要になった場合に生成される送信事象を検出し、前記スリープ期間であれば、他の無線端末から送信される前記ID通知信号を受信するために受信待ち状態に移行させ、受信した前記ID通知信号が前記送信事象発生時に検出した無線端末と認識した場合に、前記送信信号を送信する送信状態に移行させる制御部と、
前記受信待ち状態の時間を計測し、予め設定した最大待ち時間を前記受信待ち状態の計測時間になるまで計測する最大待ち時間計測部と、
前記最大待ち時間計測部が前記最大待ち時間になると、予め設定した休止時間を計測する休止時間計測部と、
を備え、前記休止時間経過した場合は再度前記受信待状態に移行させる構成である。
【0013】
好ましくは、前記休止時間毎にリトライ回数をカウントしてリトライ値を記録するリトライカウント部と、前記リトライ値と予め設定したスリープ処理移行値とを比較し、前記リトライ値が前記スリープ処理移行値より大きければ前記スリープ期間に移行するリトライ判定部を具備してもよい。
【0014】
上記構成にすることにより、送信事象が発生した際に目的の無線端末からID通知信号を受けるために受信待ち状態において、伝送する電波の環境が変動し、長時間の時間相関の強いエラーにより複数のID通知信号が受信できなかった場合、送信事象が発生した無線端末の受信待ち状態に休止時間を設けることにより消費電力を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、送信動作中における空間のチャンネルの占有時間を低減しつつ、送受信時の低消費電力化を図るとともに、非同期的に通信状態に移行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細を説明する。
(実施例1)
(通信ネットワーク)
図1は無線通信ネットワークを構成する複数の無線端末の通信経路を示す概略図である。そして、無線端末A〜Jはパケットにより無線通信を行う。また、図1に示す無線端末間を接続する実線および矢印実線は、送受信可能な無線端末間の方向を示している。
【0017】
また、各無線端末は、送信するパケットが着信先の無線端末に到達するまでになされる通信回数と、その通信回数を最小通信回数として到達する着信先の無線端末との関係を示す構成情報を有している。
【0018】
無線端末Aの構成情報について説明する。無線端末Aの構成情報は、1回の通信によりパケットを転送可能な無線端末にはB、C、Dがある。また、中継無線端末による通信も含めてパケットを転送するためには少なくとも2回の通信を要する無線端末にはE、Fがある。同様に、少なくとも3回の通信を要する無線端末にはG、H、Iが、少なくとも4回の通信を要する無線端末はJがある。
【0019】
無線端末B〜Jも上記無線端末Aと同じような構成情報を有している。
(構成情報のデータ構造)
図2は図1に示した無線端末A、B、E、Gの構成情報のデータ構造を示す図である。
【0020】
無線端末Aが管理する無線端末B、C、Dの構成情報から着信先の無線端末Jを探し出す場合について説明する。
無線端末Jは、図2に構成情報のより無線端末B、C、Dからいずれも通信回数3の場所に位置していることがわかる。無線端末B、C、Dのいずれへ転送しても通信回数は同一であるので、無線端末Aはパケットの転送先を任意で選択する。ここではBを選択したものとする。
【0021】
無線端末Bは自らの管理する無線端末A、C、Eの構成情報より着信先の無線端末Jを探し出す。無線端末Jは、無線端末Aからは通信回数4の場所、無線端末Cからは通信回数3の場所、そして、無線端末Eからは通信回数2の場所に位置していることがわかる。
【0022】
従って、無線端末Jを着信先とするパケットは無線端末Eに転送するのが最もネットワ
ークの利用効率が良いとの判断により、無線端末Bはこのパケットを無線端末Eに転送する。
【0023】
同様に、無線端末Eは自らの管理する無線端末B、C、F、Gの構成情報より着信先の無線端末Jを探し出す。無線端末Jは、無線端末Bからは通信回数3の場所、無線端末Cからは通信回数3の場所、無線端末Fからは通信回数2の場所、そして、無線端末Gからは通信回数1の場所に位置しているので、無線端末Eは無線端末Jを着信先とするパケットを無線端末Gに転送する。
【0024】
無線端末Gは無線端末Jを着信先とするパケットを受信すると、自らの管理する構成情報から、無線端末Jは直接通信可能な無線端末であることを認識し、このパケットを直接無線端末Jへ送信する。
【0025】
以上述べた手順により、無線端末Aから発信した通信パケットは無線端末Jへ着信する。
なお、システム内に新たな通信路が設定されたときや、今まで有効であった通信路が無効になった場合には、各無線端末がそれぞれ管理しているこれらの構成情報を更新する。
【0026】
また、このようにパケットを何段も中継する場合、その途中で障害物等の原因で引き起こされる通信障害により一時的に通信路が途絶し、パケットが着信先まで転送されない場合がある。このような場合に対処するために、各直接通信路の間でパケットの転送が正常に行なわれたときに、パケットを受信した方の無線端末は、パケットを送信した無線端末に対してパケットを受信した旨の返答を返信する。
【0027】
(無線端末の構成)
図3は、図1、図2に示した無線端末A〜Jの各無線端末の構成を示すブロック図である。なお、図3に示した受信端末11a(ID通知信号を送信する無線端末を受信端末と呼ぶ)と送信端末11b(ID通知信号を受信待ちする無線端末を送信端末と呼ぶ)は上記無線端末A〜Jを示すものである。また、図3〜図7に示す構成図および動作タイミングを示すタイムチャートは説明を簡単にするために、無線端末を送信側と受信側を分けているが、実際の無線端末は受信端末(動作状態制御部31a)と送信端末(動作状態制御部31b)の機能を備えている。
【0028】
(受信端末の構成)
受信端末11aは、制御部12a、無線送信部13a、無線受信部14a、送受信切替部15a、アンテナ16a、電池17a、インターフェース18a、スイッチ19a、スイッチ20aから構成される。また、受信端末11aはメモリに構成情報を有している。
【0029】
制御部12aは、動作状態制御部31a、データ送信制御部35a、ID通知信号判定部36aから構成され、データの送受信の制御を行う。また、制御部12aは、CPUなどの情報処理装置を用いることができる。
【0030】
動作状態制御部31aには、第1送信状態制御部32a、第1受信状態制御部33a、間欠動作制御部34aから構成されている。
無線送信部13aはデータを変調して無線により目的の無線端末に送信する。
【0031】
無線受信部14aは無線端末より送信された信号を受信して復調する。
送受信切替部15aは制御部12aからの制御信号(不図示)により送受信の切り替え制御が行われる。例えば、間欠動作制御部34aにより切り替えを制御する。
【0032】
アンテナ16aは無線端末との無線通信を行うために変調したデータを送信するとともに、無線端末から送られる信号を受信する。
電池17aは無線送信部13a、無線受信部14aおよび制御部12aの電力を供給する。また、電力を供給するものであれば限定しない。
【0033】
インターフェース18aは上位装置とデータのやり取りを行う。なお、インターフェース18aを介してデータのやり取りを行う上位装置としては、例えば、情報処理装置、スイッチやセンサ、表示器などがある。
【0034】
スイッチ19aは第1送信状態制御部32aに制御され無線送信部13aの電源をオン/オフする。
スイッチ20aは第1送信状態制御部33aに制御され無線受信部14aの電源をオン/オフする。
【0035】
データ送信制御部35aは、ID通知信号判定部3aと上位装置に接続され、これら各部から転送された制御信号とデータ内容に基づいて送信データの送信制御を行う。
ID通知信号判定部36aは、受信したデータ内容に基づいて無線端末の識別を行う。
【0036】
次に、動作状態制御部31aについて説明する。
第1送信状態制御部32aは、データ送信制御部35a、間欠動作制御部34aと接続され、データ送信制御部35a、間欠動作制御部34aから送信されたデータに基づいてスイッチ19aの制御を行う。
【0037】
第1受信状態制御部33aは、データ送信制御部35a、間欠動作制御部34aと接続され、データ送信制御部35a、間欠動作制御部34aから送信されたデータに基づいてスイッチ20aの制御を行う。
【0038】
間欠動作制御部34aはタイマの計測した時間値に基づいて、第1送信状態制御部32aと第1受信状態制御部33aを制御し、無線送信部13aまたは無線受信部14aを間欠的に動作状態に移行させる。
【0039】
また、制御部12aは、制御部12a自体の消費電力を最低に維持するためスリープ状態となり、制御部12aに設けられたタイマの計測した時間値に基づいて、一定時間後に動作状態に移行することができる。
【0040】
(送信端末の構成)
送信端末11bは、制御部12b、無線送信部13b、無線受信部14b、送受信切替部15b、アンテナ16b、電池17b、インターフェース18b、スイッチ19b、スイッチ20bから構成される。また、送信端末11bはメモリに構成情報を有している。
【0041】
制御部12bは、動作状態制御部31b、データ送信制御部35b、ID通知信号判定部36bから構成され、データの送受信の制御を行う。また、制御部12bは、CPUなどの情報処理装置を用いることができる。
【0042】
動作状態制御部31bには、第2送信状態制御部32b、第2受信状態制御部33b、間欠動作制御部34bから構成されている。
無線送信部13bはデータを変調して無線により目的の無線端末に送信する。
【0043】
無線受信部14bは無線端末より送信された信号を受信して復調する。
送受信切替部15bは制御部12bからの制御信号(不図示)により送受信の切り替え
制御が行われる。例えば、間欠動作制御部34bにより切り替えを制御する。
【0044】
アンテナ16aは無線端末との無線通信を行うために変調したデータを送信するとともに、他の無線端末から送られる信号を受信する。
電池17bは無線送信部13b、無線受信部14bおよび制御部12bの電力を供給する。また、電力を供給するものであれば限定しない。
【0045】
インターフェース18bは上位装置とデータのやり取りを行う。なお、インターフェース18aを介してデータのやり取りを行う上位装置としては、例えば、情報処理装置、スイッチやセンサ、表示器などがある。
【0046】
スイッチ19bは第2送信状態制御部32bに制御され無線送信部13bの電源をオン/オフする。
スイッチ20bは第2受信状態制御部33bに制御され無線受信部14bの電源をオン/オフする。
【0047】
データ送信制御部35bは、ID通知信号判定部3bと上位装置に接続され、これら各部から転送された制御信号とデータ内容に基づいて送信データの送信制御を行う。
ID通知信号判定部36bは、受信したデータ内容に基づいて無線端末の識別を行う。
【0048】
次に、動作状態制御部31bについて説明する。
第2送信状態制御部32bは、データ送信制御部35b、間欠動作制御部34bと接続され、データ送信制御部35b、間欠動作制御部34bから送信されたデータに基づいてスイッチ19bの制御を行う。
【0049】
第2受信状態制御部33bは、データ送信制御部35b、間欠動作制御部34bと接続され、データ送信制御部35b、間欠動作制御部34bから送信されたデータに基づいてスイッチ20bの制御を行う。
【0050】
間欠動作制御部34bは、無線送信部13bまたは無線受信部14bを間欠的に動作状態に移行させる。つまり、動作状態制御部31bは、制御部12b自体の消費電力を最低に維持するためスリープ状態となり、制御部12bに設けられたタイマの計測した時間値に基づいて、送信事象が発生すると受信待ち状態に移行し、その後、送信状態に移行する。
【0051】
(動作説明)
図4A、図4Bは、図3の無線通信ネットワークの間欠送受信動作を示すタイミング図である。図4Aに受信端末11a、図4Bに送信端末11bの動作状態を示し、図4A、Bには横軸に時間軸を示す。
【0052】
図4Aの受信端末11aは、期間TTと期間TRに示す間動作状態となる。期間TTは送信状態T11を実行可能な期間である。期間TRは受信状態R11を実行可能な期間である。
【0053】
送信状態T11は、受信端末11aが動作状態にあることを送信端末11bに知らせるために信号を送信できる状態である。送受信切替部15aが送信側に切り替えられ、スイッチ19aがオンになり無線送信部13aに電力が供給され、データ送信制御部35bからID通知信号が送信できる状態になる。このときスイッチ19aはオフにする。
【0054】
受信状態R11は、受信端末11aが送信端末11bから送信される信号を受信できる
状態である。送受信切替部15aが受信側に切り替えられ、スイッチ19aがオンになり無線受信部14aに電力が供給され、送信端末11bから送信される信号を受信できる状態になる。このときスイッチ20aはオフにする。
【0055】
図4Aに示すタイムチャートでは、受信端末11aが動作状態にあることを送信端末11bに知らせるための送信状態T11に引き続いて、送信端末11bから送信されたデータを受信するための受信状態R11に移行させる。
【0056】
その後、動作状態制御部31aは、期間TTの送信状態T11とそれに続く期間TRの受信状態R11を、スリープ期間TSだけ空けながら間欠的に繰り返す制御を行う。
なお、動作期間はスリープ期間TSに対して十分に短くすることができ、受信端末11aの消費電力は以下の(1)式を満たす。
【0057】

(TT×PT+TR×PR)≪PR×(TT+TR+TS) ・・・(1)

ここで、PTは送信時に無線送信部13aおよび制御部12aにて消費される電力である。PRは受信時に無線受信部14aおよび制御部12aにて消費される電力である。
【0058】
(1)式により、無線受信部14aを常時受信状態とした場合に比べて期間(TT+TR+TS)に消費される電力を削減することができる。
次に、図4Bの受信端末11bは、送信事象J11の発生を契機として、受信端末11aが動作状態にあることを通知する信号を受信するために、送信端末11bは受信待ち状態R12に移行させる。送受信切替部15bが受信側に切り替えられ、スイッチ20bがオンになり無線受信部14bに電力が供給され、受信端末11aから送信される信号を受信できる状態になる。このときスイッチ19bはオフにする。
【0059】
送信状態T12は、送信端末11bが受信端末11aに信号を送信できる状態である。送受信切替部15bが送信側に切り替えられ、スイッチ19bがオンになり無線送信部13bに電力が供給され、データ送信制御部35bからデータなどの信号が送信できる状態になる。このときスイッチ20bはオフにする。
【0060】
なお、送信事象J11は、送信端末11bが、上位装置からの送信指令、送信端末11b内部で発生した電池電圧情報、他の無線端末から中継送信されるデータなどを受信した場合に生成される。
【0061】
送信端末11bは、送信事象J11が発生すると、どの受信端末11a(図1の複数の無線端末)にデータを送信したらよいかを判断する。
第2送信状態制御部32bは、図4Bに示す受信待ち状態R12において受信端末11aが送信相手であることを示すデータを送信端末11bが受信した場合、動作状態にある受信端末11aにデータを送信するために送信状態T12に移行させる。
【0062】
また、送信端末11bは、送信事象J11が発生すると、一定時間TWだけ受信待ち状態R12になる。一定時間TWは受信可能な全ての受信端末11aの送信状態T11を確認できるようにするために、(2)(3)式を満たすように設定することができる。
【0063】

TW>TT+(TT+TR+TS) ・・・(2)

ただし、通信エラーなどにより受信端末11aの送信状態T11を確認できない場合も
考慮して、N(Nは2以上の整数)回だけ受信端末11aの送信状態T11を確認できるように、以下の式を満たすように一定時間TWを設定することができる。
【0064】

TW>TT+N×(TT+TR+TS) ・・・(3)

(動作説明)
図5Aと図5Bは、無線通信ネットワークの間欠通信方法を示すフローチャートである。図5Cは、無線通信ネットワークの間欠通信方法の一例を示すタイミング図である。
【0065】
図5Aと図5Cにより受信端末11a側の動作を説明する。
ステップS51では、受信端末11a側により図5Cに示す動作期間(TT+TR)において制御部12aは動作状態に移行し、制御部12aは送信期間TTにおいて、スイッチ19aをオンして電力を無線送信部13aに供給することにより、無線送信部13aを送信状態T11に移行させる。送信状態T11である期間TTのときにID通知信号P11を送信端末11bに送信する。ID通知信号は無線端末を固有のコードであり、無線端末を識別するためのデータである。
【0066】
ステップS52では、制御部12aは送信期間TTに続く受信期間TRおいて、スイッチ20aをオンして電力を無線受信部14aに供給することにより、無線受信部14aを受信状態R11に移行させる。送信端末11bから送信される送信信号P12を待ち受ける。送信信号は目的とする無線端末に転送するデータを有している。
【0067】
ステップS53では、制御部12aは、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11の後にスイッチ19a、スイッチ20aをオフし、無線送信部13aおよび無線受信部14aの電源を切断することにより、スリープ期間TSに移行させるとともに、制御部12aは自らスリープ状態となる。
【0068】
このように、制御部12aは、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11をスリープ期間TSだけ間隔を空けながら間欠的に繰り返す(ステップS51〜S53を繰り返す)。
【0069】
図5Bと図5Cにより送信端末11b側の動作を説明する。
送信端末11b側では、送信事象J11が発生するまで制御部12bにより、スイッチ19b、20bをオフすることにより、無線送信部13bおよび無線受信部14bの電源を切断するとともに、制御部12bはスリープ状態に移行する。
【0070】
ステップS54では、送信事象J11が発生すると、制御部12bはスイッチ20bをオンして無線受信部14bに電力供給し、無線受信部14bを一定時間TWだけ受信待ち状態R12に移行させる。
【0071】
ステップS55では目的の無線端末からID通知信号(間欠送信信号)を受信したかを判定する。つまり、受信待ち状態R12となっている送信端末11bによってID通知信号P11が受信されると、送信端末11bは、ID通知信号P11に含まれる受信端末11aの識別コードに基づいて、その受信端末11aが送信相手であるかどうかを判断する。ステップS51で受信端末11a側において無線送信部13aが送信状態T11に移行され、無線送信部13aはアンテナ16aを介してID通知信号P11を送信し、受信待ち状態R12となっている送信端末11bによりID通知信号P11が受信されとステップS57に移行する。受信できないときはステップS56に移行する。上記判定はID通知信号判定部36bにより判定する。
【0072】
なお、ID通知信号P11には無線端末の識別をするための固有のコードを設定されている。本例では、受信端末11aを示す識別コードが設定されている。
ステップS56では、メモリなどに記録された(2)式を満たす受信待ち状態R12の最大待ち時間TWの間にID通知信号P11が受信されたかを判定する。TW時間の範囲内であればステップS55に移行する。TW時間外(タイムアウト)であればステップS58に移行する。
【0073】
ステップS57では、受信端末11aが送信相手であると確認された場合には、送信端末11bは送信状態T12に移行し、送信信号P12を受信端末11aに送信する。
ステップS58ではスリープ処理へ移行する。つまり、制御部12bが次の送信事象までスリープ状態になる。
【0074】
上記のようにすることにより、ID通知信号P11が受信待ち状態R12と非同期で受信端末11aから送信された場合においても、受信可能な場所に存在する全ての送信端末11bにID通知信号P11を受信することができ、受信端末11aの動作状態を送信端末11bに確実に知らせることができる。
【0075】
ここで、受信端末11a側では、送信状態T11においてID通知信号P11を送信すると、その直後に受信状態R11に移行することができるので、送信端末11bが送信状態T1にいる時には、受信端末11aは受信状態R11にいることができ、受信端末11aと送信端末11bとの間で同期をとることなく、受信端末11aは送信端末11bから送信された送信信号P12を受信することができる。
【0076】
また、送信端末11bに送信事象J11が発生した際に受信端末11aからID通知信号P11を受けるための受信待ち状態R12移行した場合、伝送する電波の環境が変動し、長時間の時間相間の強いエラーによりID通知信号P11が受信できなかった場合、送信事象J11が発生した送信端末11bは受信待ち状態R12をTW時間以上継続させる。つまり、受信待ち状態R12の期間にID通知信号P11が受信できないときは、ID通知信号P11を受信するまで受信待ち状態R12を延長させる。その後、ID通知信号P11を受信すると送信状態T12に移行して送信信号P12を送信する。
【0077】
なお、延長した受信待ち状態R12の期間にID通知信号P11が受信できないときのために、延長した受信待ち状態R12には予めタイムアウト時間TOを設定しておき、タイムアウト時間TO以上になったときは延長した受信待ち状態R12を中止して次の動作に移行する。
【0078】
このようにすることにより、送信端末11bから送信されたデータを受信端末11aが受信する直前に、受信端末11aが動作状態にあることを送信端末11bに知らせることが可能となるとともに、送信端末11b側では受信端末11a側にデータを送信する前に受信待ち状態R12で待機することが可能になる。
【0079】
また、受信端末11aが間欠的に動作状態を繰り返している場合においても、受信端末11aと送信端末11bとで動作タイミングを同期化させることなく、受信端末11aが動作状態にある時にデータを受信することが可能となるとともに、送信端末11bが受信端末11aを捕捉するために、送信端末11bが長時間送信状態T12を継続させる必要がなくなることから、送受信時の低消費電力化を図りつつ、送信動作中における空間のチャンネルの占有時間を低減することができる。
【0080】
なお、ID通知信号P11に含まれる受信端末11aに固有なコードに基づいて、その
受信端末11aが送信相手であると送信端末11b側で確認された場合には、送信端末11bではその直後に受信待ち状態R12を中止するようにしてもよい。
【0081】
また、受信端末11aが今回のデータの送信相手であるかどうかを送信端末11b側で確実に確認することを可能としつつ、送信端末11bが受信待ち状態R12となっている時間を短くすることができ、送信端末11bの低消費電力化を図ることが可能となる。
【0082】
(実施例2)
実施例1で説明した制御部12aと制御部12bに、受信端末11aにデータが送信されたかどうかを送信端末11bが確認する機能を追加する。
【0083】
図6は、実施例2に係る無線通信ネットワークの間欠通信方法のその他の例を示すタイミング図である。
図6において、受信端末11a側では、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11がスリープ期間TSだけ間隔を空けながら間欠的に繰り返されている。送信端末11b側では、送信事象J11が発生すると、一定時間TWだけ受信待ち状態R12に移行する。
【0084】
受信端末11a側において送信状態T11に移行すると、ID通知信号P11を送信する(ステップS51)。受信待ち状態R12となっている送信端末11bにてID通知信号P11が受信される(ステップS54)。そして、受信待ち状態R12となっている送信端末11bによりID通知信号P11が受信されると、送信端末11bは、ID通知信号P11に含まれる受信端末11aに固有なコードに基づいて、その受信端末11aが送信相手であるかどうかを判断する(ステップS55)。
【0085】
その受信端末11aが送信相手であると確認された場合には、送信端末11bは送信状態T12に移行し、送信信号P12を受信端末11aに送信する(ステップS57)。
さらに、実施例2の受信端末11aは、期間TRにおいて受信状態R11で受信した送信信号P12が、送信端末11bから送信された信号であることを、受信した信号を無線受信部14aにより復調し、復調したデータに基づいて判定する。つまり、図5に示したステップS52により受信した信号が送信端末11bから送信された信号であるかを判定するステップを設ける。この判定はID通知信号判定部35aにより行う(送信信号P12の判定ステップ)。
【0086】
また、受信端末11aは、送信端末11bから送信された送信信号P12を受信すると、送信状態T13に移行し、送信信号P12に対する応答信号P15を受信端末11aに送信する(応答信号P15送信ステップ)。
【0087】
ここで、送信状態T13は、受信端末11aが送信端末11bに信号を送信できる状態である。送受信切替部15aが送信側に切り替えられ、スイッチ19aがオンになり無線送信部13aに電力が供給され、データ送信制御部35aからデータなどの信号が送信できる状態になる。このときスイッチ20aはオフにする。
【0088】
応答信号P15を送信するとスリープ処理に移行する。このスリープ処理はステップS53と同じである。
次に、実施例2の送信端末11bは、ステップS57において期間TWの送信状態T12で送信信号P12を送信すると、受信状態R13に移行する。
【0089】
ここで、受信状態R13は、送信端末11bが受信端末11aからの応答信号P15を受信できる状態である。送受信切替部15bが受信側に切り替えられ、スイッチ20bが
オンになり無線送信部14bに電力が供給される。このときスイッチ20bはオフにする(応答信号P15受信ステップ)。
【0090】
応答信号P15を送信端末11bが受信し応答信号であることを確認すると、受信待ち状態R13を中止してスリープ処理に移行する(応答信号P15判定処理)。ここで、スリープ処理はステップS58と同じである。
【0091】
なお、TW時間内に応答信号P15が受信できない場合は応答信号がないことを記録しておいてもよい。
このように、受信端末11aにデータが送信されたかどうかを送信端末11bで確実に確認することを可能としつつ、送信端末11bが受信待ち状態R12となっている時間を短くすることができ、データ通信の信頼性を担保しつつ、送信端末11bの低消費電力化を図ることが可能となる。
【0092】
(実施例3)
図7は、実施例3に係る無線通信ネットワークの間欠通信方法のさらにその他の例を示すタイミング図である。
【0093】
図7において、送信端末11bは、複数の受信端末11a、11cと通信を行うものとする。なお、受信端末11cは、図3の受信端末11aと同様の構成をとることができる。
【0094】
受信端末11a、11c側では、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11がスリープ期間TSだけ間隔を空けながら間欠的に繰り返されている(ステップS51〜S53)。
【0095】
送信端末11b側では、受信端末11aに対する送信事象J11が発生すると、一定時間TWだけ受信待ち状態R12に移行する。
受信端末11a側において送信状態T11に移行すると、ID通知信号P11が送信され、受信待ち状態R12となっている送信端末11bにてID通知信号P11が受信される(ステップS51)。そして、受信待ち状態R12となっている送信端末11bにてID通知信号P11が受信されると(ステップS54)、送信端末11bは、ID通知信号P11に含まれる受信端末11aの固有なコードに基づいて、その受信端末11aが送信相手であるかどうかを判断する(ステップS55)。
【0096】
そして、その受信端末11aが送信相手であると確認された場合には、送信端末11bは送信状態T12に移行し、送信信号P12を受信端末11aに送信する(ステップS57)。
【0097】
受信端末11aは、ID通知信号P11を送信すると、受信状態R11に移行する(ステップS52)。送信端末11bから送信された送信信号P12を受信することができる。
【0098】
実施例3ではステップS54〜S58を実行するとともに、送信端末11bにおいて受信待ち状態R12の間に受信端末11cに対する送信事象J12が発生した場合、送信端末11bは受信端末11aに送信信号P12を送信した後も、受信待ち状態R12を継続させる(受信待ち状態R12の継続ステップ)。
【0099】
間欠動作制御部34bは、送信事象J12が発生すると送信信号P12を送信した後(T12の状態を完了後)、受信端末11aが送信端末11bから送信される信号を受信で
きる状態にする。送受信切替部15aが受信側に切り替えられ、スイッチ19aがオンになり無線受信部14aに電力が供給され、送信端末11bから送信されるID通知信号P13を受信できる受信状態R12になる。このときスイッチ20aはオフにする。
【0100】
受信端末11c側が送信状態T11に移行すると、ID通知信号P13(ステップS51)が送信される。
受信待ち状態R12となっている送信端末11bにてID通知信号P13が受信される(ステップS55)。
【0101】
受信待ち状態R12となっている送信端末11bにてID通知信号P13が受信されると、送信端末11bは、ID通知信号P13に含まれる受信端末11cに固有なコードに基づいて、その受信端末11cが送信相手であるかどうかを判断する(ステップS55)。
【0102】
その受信端末11cが送信相手であると確認された場合には、送信端末11bは送信状態T13に移行し、送信信号P14を受信端末11cに送信する(ステップS57)。
その後、送信端末11bは送信状態T13を中止してスリープ処理に移行する(ステップS58)。
【0103】
このようにすることにより、複数の受信端末11a、11cを対象とした送信事象J11、J12が連続して発生した場合においても、それらの複数の受信端末11a、11cについての送信処理を継続して行うことができ、受信端末11a、11cが間欠的に動作状態を繰り返している場合においても、複数の受信端末11a、11cを対象としたデータ通信を効率よく行うことができる。
【0104】
(実施例4)
図8は、実施例4に係る無線通信ネットワークを構成する無線端末の構成を示すブロック図である。
【0105】
無線端末111a(111b)は上記説明した実施例1〜3で説明した受信端末11aと送信端末11bの機能を備えた構成である。
無線端末111a(111b)は、制御部112a(112b)、無線送信部113a(113b)、無線受信部114a(114b)、送受信切替部115a(115b)、アンテナ116a(116b)、電池117a(117b)、インターフェース118a(118b)、スイッチ119a(119b)、スイッチ120a(120b)から構成される。また、受信端末111a(111b)はメモリに構成情報を有している。
【0106】
制御部112a(112b)は、動作状態制御部131a(131b)、データ送信制御部137a(137b)、ID通知信号判定部138a(138b)から構成され、データの送受信の制御を行う。また、制御部112a(112b)は、CPUなどの情報処理装置を用いることができる。
【0107】
動作状態制御部131a(131b)には、第1送信状態制御部132a(132b)第2送信状態制御部133a(133b)第1受信状態制御部134a(134b)、第2受信状態制御部135a(135b)、間欠動作制御部136a(136b)から構成されている。
【0108】
無線送信部113a(113b)はデータを変調して無線により目的の無線端末に送信する。
無線受信部114a(114b)は無線端末より送信された信号を受信して復調する。
【0109】
送受信切替部115a(115b)は制御部12aからの制御信号(不図示)により送受信の切り替え制御が行われる。例えば、間欠動作制御部136a(136b)により切り替えを制御する。
【0110】
アンテナ116a(116b)は無線端末との無線通信を行うために変調したデータを送信するとともに、無線端末から送られる信号を受信する。
電池117a(117b)は無線送信部113a(113b)、無線受信部114a(114b)、および制御部112a(112b)に電力を供給する。
【0111】
インターフェース118a(118b)は上位装置とデータのやり取りを行う。なお、インターフェース118a(118b)を介してデータのやり取りを行う上位装置としては、例えば、情報処理装置、スイッチやセンサ、表示器などがある。
【0112】
スイッチ119a(119b)は第1送信状態制御部132a(132b)、第2送信状態制御部133a(133b)に制御され無線送信部113a(113b)の電源をオン/オフする。
【0113】
スイッチ120a(120b)は第1受信状態制御部134a(134b)、第2受信状態制御部135a(135b)に制御され無線受信部114a(114b)の電源をオン/オフする。
【0114】
データ送信制御部137a(137b)は、ID通知信号判定部138a(138b)と上位装置に接続され、これら各部から転送された制御信号とデータ内容に基づいて送信データの送信制御を行う。
【0115】
ID通知信号判定部138a(138b)は、受信したデータ内容に基づいて無線端末の識別を行う。ID通知信号判定部138a(138b)は、図3で説明したID通知信号判定部36a、36bの機能を備え、実施例1〜3で説明した機能を設けることができる。
【0116】
次に、動作状態制御部131a(131b)について説明する。
第1送信状態制御部132a(132b)および第2送信状態制御部133a(133b)は、データ送信制御部137a(137b)、間欠動作制御部136a(136b)と接続され、データ送信制御部137a(137b)、間欠動作制御部136a(136b)から送信されたデータに基づいてスイッチ119a(119b)の制御を行う。
【0117】
第1受信状態制御部134a(134b)および第2受信状態制御部135a(135b)は、データ送信制御部137a(137b)、間欠動作制御部136a(136b)と接続され、データ送信制御部137a(137b)、間欠動作制御部136a(136b)から送信されたデータに基づいてスイッチ119a(119b)の制御を行う。
【0118】
間欠動作制御部136a(136b)は、タイマの計測した時間値に基づいて、第1送信状態制御部132a(132b)第2送信状態制御部133a(133b)と第1受信状態制御部134a(134b)、第2受信状態制御部135a(135b)を制御し、無線送信部113a(113b)または無線受信部114a(114b)を間欠的に動作状態に移行させる。間欠動作制御部136a(136b)は、図3で説明した間欠制御部34a、34bの機能を備え、実施例1〜3で説明した機能を設けることができる。
【0119】
また、制御部112a(112b)は、制御部112a(112b)自体の消費電力を
最低に維持するためスリープ状態となり、制御部112a(112b)に設けられたタイマの計測した時間値に基づいて、一定時間後に動作状態に移行することができる。
【0120】
(動作説明)
図9は、図8の無線通信ネットワークの間欠通信方法を示すタイミング図である。
図9において、無線端末111bは、複数の無線端末111a、111cと通信を行うものとする。なお、無線端末111cは、図8の無線端末111a、111bと同様の構成をとることができる。また、図5A、図5Bに示したフローチャートのように各無線端末はステップS51〜S58の処理を行う。なお、実施例2、3に示したステップを組み合わせてもよい。
【0121】
実施例4では、無線端末111a〜111cでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11がスリープ状態を挟みながら間欠的に繰り返されている。また、無線端末111aは、無線端末111bに対する送信事象J11が発生すると、一定時間だけ受信待ち状態R12に移行する。
【0122】
なお、送信状態T11、T12、受信状態R11、R12、送信事象J11については実施例1〜3に説明があるためここでは省略する。
無線端末111bでは送信状態T11に移行すると、ID通知信号P11が送信される(ステップS51)。
【0123】
受信待ち状態R12となっている無線端末111aにてID通知信号P11が受信される(ステップS54)。
受信待ち状態R12となっている無線端末111aにてID通知信号P11が受信されると、無線端末111aは、ID通知信号P11に含まれる無線端末111bに固有なコードに基づいて、その無線端末111bが送信相手であるかどうかを判断する(ステップS55)。
【0124】
無線端末111bが送信相手であると確認された場合には、無線端末111aは送信状態T12に移行し、送信信号P12を無線端末111bに送信する(ステップS57)。
無線端末111bは、ID通知信号P11を送信すると、受信状態R11に移行し、無線端末111aから送信された送信信号P12を受信する(ステップS52)。
【0125】
無線端末111bは、無線端末111cに対する送信事象J11が発生すると受信待ち状態R12に移行し(ステップS54)、送信状態T11とそれに続く受信状態R11の動作時間になると受信待ち状態R12に割り込み送受信を行い、再び受信待ち状態R12に移行する(受信待ち割り込みステップ)。
【0126】
間欠動作制御部136bは、無線端末111bでは受信待ち状態R12であっても一定周期で発生するT11とR11で実行する処理を優先するために、第1送信状態制御部132bと第1受信状態制御部134bによりスイッチ119b、120bを制御して受信待ち状態R12を一時的に中断する。受信状態R11において送信信号P12を受信すると、受信をトリガとして再び受信待ち状態R12に移行する。
【0127】
このとき、無線端末111cでは送信状態T11に移行すると、ID通知信号P13が送信され(ステップS51)、受信待ち状態R12となっている無線端末111bにてID通知信号P13が受信される(ステップS54)。
【0128】
受信待ち状態R12となっている無線端末111bにてID通知信号P13が受信されると、無線端末111bは、ID通知信号P13に含まれる無線端末111cに固有なコ
ードに基づいて、その無線端末111cが送信相手であるかどうかを判断する(ステップS55)。
【0129】
その無線端末111cが送信相手であると確認された場合には、無線端末111bは送信状態T12に移行し、送信信号P14を無線端末111cに送信する(ステップS57)。
【0130】
無線端末111cは、ID通知信号P13を送信すると、受信状態R11に移行し、無線端末111bから送信された送信信号P14を受信する(ステップS52)。
また、無線端末11bに送信事象J11、J12が発生した際に無線端末111a、11cからID通知信号P11、P13を受けるための受信待ち状態R12移行した場合、伝送する電波の環境が変動し、長時間の時間相間の強いエラーによりID通知信号P11、P13が受信できなかった場合、送信事象J11またはJ13が発生した無線端末111bは受信待ち状態R12をTW時間以上継続させる。つまり、受信待ち状態R12の期間にID通知信号P11、P13が受信できないときは、ID通知信号P11、P13を受信するまで受信待ち状態R12を延長させる。その後、ID通知信号P11、P13を受信すると送信状態T12に移行して送信信号P12を送信する。
【0131】
なお、延長した受信待ち状態R12の期間にID通知信号P11が受信できないときのために、延長した受信待ち状態R12には予めタイムアウト時間TOを設定しておき、タイムアウト時間TO以上になったときは延長した受信待ち状態R12を中止して次の動作に移行する。
【0132】
このように、受信待ち状態R12中に送信状態T11とそれに続く受信状態R11を同一の無線端末111a〜111cで間欠的に繰り返すことができ、双方向通信における空間のチャンネルの占有時間を低減しつつ、送受信時の低消費電力化を図るとともに、非同期的に通信状態に移行することが可能となる。
【0133】
(実施例5)
図10は、実施例5に係る無線通信ネットワークの間欠通信方法のさらにその他の例を示すタイミング図である。
【0134】
無線端末111a、111bでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11がスリープ状態を挟みながら間欠的に繰り返されている。また、無線端末111bは、無線端末111aに対する送信事象J11が発生すると、送信状態T11とそれに続く受信状態R11を間に割り込ませながら、一定時間だけ受信待ち状態R12に移行する。
【0135】
無線端末111a、111bでは、送信状態T11に移行すると、ID通知信号P11、P13がそれぞれ送信される(ステップS51)。
ここで、無線端末111a、111bが送信状態T11に同時に移行した場合、ID通知信号P11、P13の送信タイミングが一致し、受信待ち状態R12となっている無線端末111bがID通知信号P13を受信できなくなる(ステップS55)。
【0136】
無線端末111a、111bにおいて送信状態T11に移行するタイミングが一定である場合、ID通知信号P11、P13の送信タイミングが一旦一致すると、次回以降のID通知信号P11、P13の送信タイミングも一致する可能性が高くなる。
【0137】
そこで、無線端末111a、111bでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11になる周期を毎回変化させるようにする。
例えば、無線端末111aでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11になる周
期をTW+αR+TT、無線端末111bでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11になる周期をTW+αB+TTとする(周期変更ステップ)。
【0138】
αR、αBは、各無線端末111a、111bがその都度計算するID通知信号P11、P13の送信タイミングに固有の値である。例えば、αR、αBは、各無線端末111a、111bの識別コードと時間経過に関する情報を基準に算出されたランダムな値に設定する。上記のような演算を行う演算部を制御部112a(112b)に設ける。
【0139】
そして、無線端末111a、111bでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11になる周期を毎回変化させることで、ID通知信号P11、P13の送信タイミングが一致した後、無線端末111bが送信状態T11に再度移行する前に、無線端末111aでは送信状態T11に再度移行することができる。
【0140】
無線端末111aが送信状態T11に再度移行すると、ID通知信号P13が送信され(ステップS51)、受信待ち状態R12となっている無線端末111bにてID通知信号P13が受信される(ステップS54)。
【0141】
受信待ち状態R12となっている無線端末111bにてID通知信号P13が受信されると、無線端末111bは、ID通知信号P13に含まれる無線端末111aに固有なコードに基づいて、その無線端末111aが送信相手であるかどうかを判断する(ステップS55)。
【0142】
その無線端末111aが送信相手であると確認された場合には、無線端末111bは送信状態T12に移行し、送信信号P14を無線端末111aに送信する(ステップS57)。
【0143】
一方、無線端末111aは、ID通知信号P13を送信すると、受信状態R11に移行し、無線端末111bから送信された送信信号P14を受信する(ステップS52)。
これにより、無線端末111a、111b間で周期的に双方向通信を行う場合においても、定周期送信の動作タイミングの衝突を回避することが可能となり、双方向通信における空間のチャンネルの占有時間を低減しつつ、送受信時の低消費電力化を図るとともに、非同期的に通信状態に移行することが可能となる。
【0144】
(本発明の状態遷移)
図11は実施例1〜5で説明した無線通信ネットワークの動作方法を示す状態遷移図である。
【0145】
ステートK11は、図8の無線端末111a、111bは定期的にスリープ状態に入る。なお、スリープ状態では、無線送信部113a、113bおよび無線受信部114a、114bの電源をオフするとともに、制御部112a、112b自体も低電力で動作し、再起動に必要なタイマなどのみが動作している状態である。
【0146】
無線端末111aまたは無線端末111bがスリープ状態にある時に、制御部112a、112bに設けられたタイマが一定時間を計測する。一定時間とは間欠時間であり、期間TT(送信状態T11)と期間TR(受信状態R11)と期間TSの合計時間である。タイマが送信状態T11(期間TT)に移行する時間になるとステートK12(送信状態T11)に遷移する(TS UP)。
【0147】
また、送信事象が発生するとステートK16に遷移する。
ステートK12では、送信状態T11においてID通知信号を送信する(送信処理)。
送信処理が終了するとステータスK13に遷移する。
【0148】
ステートK13では、送信状態T11に続く受信状態R11に遷移し、受信待ちとなる。そして、受信状態R11において受信待ち時間を過ぎると(TR UP)、スリープ状態であるステートK11に戻る。また、受信状態R11において送信信号の受信が行われるとステートK14に遷移する。
【0149】
ステートK14では受信処理を行い、受信したデータが無効な場合はスリープ状態であるステートK11に戻る。受信状態R11において受信した送信信号が自分宛の情報(データ)である場合にはステートK15に遷移する。
【0150】
ステートK15では、その自分宛の情報のデータ処理した後、スリープ状態(ステートK11)に戻る。
ステートK16では、送信事象が発生すると送信先無線端末の候補を選択する。
【0151】
ステートK17は受信待ち状態R12であり、タイマが送信状態T11(期間TT)に移行する時間になるとステートK18(送信状態T11)に遷移する(TS UP)。
また、送信事象が発生するごとに、送信先無線端末の候補を選択するためにステートK16に遷移する。
【0152】
また、受信待ち状態R12においてID通知信号を受信するとステートK19に遷移する。
ステータスK18は送信状態T11でありID通知信号の送信を行う。送信処理が終了すると、受信待ちステータスK17(状態R12)に戻る。
【0153】
ステータスK19では、ID通知信号または送信信号の受信が行われると、受信したデータが無効な場合はステータスK17(受信待ち状態R12)に戻る。
受信した送信信号のデータが自分宛の情報であると判定された場合にはステータスK20に遷移する。また、ID通知信号を受信した場合にはステートK21に遷移する。
【0154】
ステータスK20では、自分宛の情報のデータを処理した後、ステータスK17(受信待ち状態R12)に戻る。
ステータスK21では、受信処理において受信されたデータが無線端末の動作状態を知らせるためのものである場合、そのデータに含まれる無線端末固有のコードに基づいて無線端末が送信相手であるかどうかを判断する。その無線端末が送信相手でないと確認された場合には、受信待ち状態R12(ステータスK17)に戻る。一方、その無線端末が送信相手であると確認された場合にはステータスK22(送信状態T12)に移行する。
【0155】
ステータスK22では送信状態T12において送信信号の送信を行う。送信事象に対応する送信信号(送信情報)が残っている場合に受信待ち状態R12(ステータスK17)に戻り、全ての送信処理が終了した場合には、スリープ状態(ステータスK11)に戻る。
【0156】
(実施例6)
実施例1〜5において、送信事象が発生した際に目的の無線端末からID通知信号を受けるために受信待ち状態R12において、伝送する電波の環境が変動し、長時間の時間相間の強いエラーにより複数のID通知信号が受信できなかった場合、送信事象が発生した無線端末はタイムアウトになるまで受信動作を継続するため、消費電力が大きくなる。
【0157】
図12に時間相関が強いエラーが発生した場合のタイミング図を示す。実際には無線通
信ネットワークには複数の無線端末が存在するが、図12では無線端末111aと無線端末111bの無線通信について示している。
【0158】
無線端末111b側に送信事象J11が発生し、受信待ち状態R12に移行して無線端末111aからID通知信号が送信されるのを待つ。
ところが、図12に示すように一定時間TW1(受信待ち状態R12)の期間にID通知信号が受信できない。そのため、一定時間TW1を延長し、さらにTW2〜TW4に示す期間受信待ちをする。
【0159】
図12ではTW4の期間にID通知信号が受信できたため、無線端末111bは送信状態T12に移行して送信信号P12を無線端末111aに送信する。
なお、図12ではタイムアウト時間TO前に受信ができているがタイムアウトしてしまうことも考えられる。タイムアウト時間TOは例えばTWの整数倍nが予め設定することが望ましい。
【0160】
(構成)
図15に示すように無線端末の制御部に、最大待ち時間計測部139、休止時間計測部1310、リトライカウント部1311、リトライ判定部1312を設け、図8に示した間欠動作制御部136(図8に示す136a、136b)を制御して間欠時間を変更する。
【0161】
最大待ち時間計測部139は、受信待ち状態の時間を計測し、予め設定した最大待ち時間を受信待ち状態の計測時間になるまで計測する。
休止時間計測部1310は、最大待ち時間計測部139が最大待ち時間まで計測すると、予め設定した休止時間になるまで計測を開始する。
【0162】
そして、休止時間経過した場合は間欠動作制御部136を制御して再度前記受信待状態に移行させる。
リトライカウント部1311は、休止時間毎にカウントしてリトライ値を記録すると、リトライ値と予め設定したスリープ処理移行値とを比較し、リトライ値がスリープ処理移行値より大きければスリープ期間に移行する。
【0163】
(動作説明)
図13は上記のような場合に、送信事象が発生した無線端末側の受信待ち状態R12の延長時間を制御し、その無線端末の消費電力を抑える無線通信ネットワークの間欠通信を示すフローチャートである。
【0164】
また、図14は、実施例6の無線通信ネットワークの間欠通信の一例を示すタイミング図である。
図14により無線端末111a側の動作を説明する。
【0165】
図14に示すように、無線端末111a側により図14に示す動作期間において制御部112aは動作状態T11に移行し、制御部112aは送信期間TTにおいて、スイッチ119aをオンして電力を無線送信部113aに供給することにより、無線送信部113aを送信状態T11に移行させる。送信状態T11である期間TTのときにID通知信号P11を無線端末111bに送信する。
【0166】
さらに、制御部112aは送信期間TTに続く受信期間TRおいて、スイッチ120aをオンして電力を無線受信部114aに供給することにより、無線受信部114aを受信状態R11に移行させる。無線端末111bから送信される送信信号P12を待ち受ける

【0167】
また、制御部112aは、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11の後にスイッチ119a、スイッチ120aをオフし、無線送信部113aおよび無線受信部114aの電源を切断することにより、スリープ期間TSに移行させるとともに、制御部112aは自らスリープ状態となる。
【0168】
このように、制御部112aは、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11をスリープ期間TSだけ間隔を空けながら間欠的に繰り返す。
図13と図14により無線端末111b側の動作を説明する。
【0169】
無線端末111b側では、送信事象J11が発生するまで制御部112bにより、スイッチ119b、120bをオフすることにより、無線送信部113bおよび無線受信部114bの電源を切断するとともに、制御部112bはスリープ状態に移行する。
【0170】
ステップS131では、送信事象J11が発生すると、制御部112bはスイッチ120bをオンして無線受信部114bに電力供給し、無線受信部114bを一定時間TW1だけ受信待ち状態R12に移行させる。
【0171】
ステップS132では目的の無線端末からID通知信号を受信したかを判定する。つまり、受信待ち状態R12となっている無線端末111bによってID通知信号P11が受信されると、無線端末111bは、ID通知信号P11に含まれる無線端末111aの識別コードに基づいて、その無線端末111aが送信相手であるかどうかを判断する。
【0172】
無線端末111bによりID通知信号P11が受信されとステップS133に移行する。受信できないときはステップS134に移行する。上記判定はID通知信号判定部138bにより判定する。
【0173】
ステップS133では、無線端末111aが送信相手であると確認された場合には、無線端末111bは送信状態T12に移行し、送信信号P12を無線端末111aに送信する。
【0174】
ステップS134では、メモリなどに記録された受信待ち状態R12の最大待ち時間t1の間にID通知信号P11が受信されたかを判定する。最大待ち時間t1にID通知信号P11が受信されたときはステップS132に移行する。最大待ち時間t1にID通知信号P11が受信されずタイムアウトしたときはステップS135に移行する。
【0175】
なお、最大待ち時間t1は、(4)式に示すようにタイムアウト時間TOより短くTW時間より長い時間に設定する。最大待ち時間t1は制御部112bに設けられた最大待ち時間計測部139(タイマなど)により計測する。
【0176】

TW<t1<TO ・・・(4)

また、最大待ち時間t1は(5)式に示すようにTW時間をN(Nは2以上の整数)回繰り返すことにより無線端末111aの送信状態T11を確認できるようにするのが望ましい。
【0177】

t1=N×TW ・・・(5)

ステップS135では、メモリなどに記録された休止時間t2の間、受信待ち状態R12を中断する。また、休止時間t2を計測後、受信待ち時間R12に移行する。
t2時間は、制御部112a、112bに設けた休止時間計測部1310(タイマなど)により計測され、休止時間t2を計測するごとに、リトライカウント部1311がリトライ値をカウントアップしてメモリに記録する。このリトライ値はID通知信号が受信できたときにリセットされる。
【0178】
ステップS136では、リトライ判定部1312が、リトライ値と予めメモリに設定した閾値であるスリープ処理移行値とを比較し、リトライ値がスリープ処理移行値より大きくなるとステップS137に移行する。また、スリープ移行処理値以下の場合はステップS131に移行する。
【0179】
ステップS137ではスリープ処理をする。つまり、制御部112bが次の送信事象までスリープ状態になる。
なお、上記フローでは説明しないが送信状態T11と受信状態R11とスリープ期間TSが周期的に発生している。
【0180】
上記のように受信待ち状態R12の時間を短縮することにより、無線端末の消費電力を低減することができる。
なお、実施例1〜6に示した無線端末で行われる制御処理は、その制御処理を遂行させる命令が記述されたプログラムをコンピュータに実行させることにより実現することができる。
【0181】
なお、このプログラムをCD−ROMなどの記憶媒体に記憶しておけば、無線端末に搭載されたコンピュータ(CPU、FPGA、CPLDなどのプログラマブルな演算処理デバイス)に、そのプログラムをインストールすることにより、制御処理を実現することができる。また、このプログラムを通信ネットワークを介して無線端末に搭載されたコンピュータにダウンロードしてもよい。
【0182】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】無線端末Aから無線端末Jへのデータの転送経路を示す図である。
【図2】各無線端末A、B、E、Gがそれぞれ管理する構成情報を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係る通信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4A】図1の通信装置の間欠送受信動作を示すフローチャートを示す図である。(受信端末11a)
【図4B】図1の通信装置の間欠送受信動作を示すフローチャートを示す図である。(送信端末11b)
【図5A】受信端末11aの間欠送受信動作を示すタイミング図である。
【図5B】送信端末11bの間欠送受信動作を示すタイミング図である。
【図5C】本発明の実施例1に係る通信装置の間欠通信方法の一例を示すタイミング図である。
【図6】本発明の実施例2に係る通信装置の間欠通信のタイミング図である。
【図7】本発明の実施例3に係る通信装置の間欠通信のタイミング図である。
【図8】本発明の実施例4に係る無線通信ネットワークを構成する無線端末の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施例4に係る通信装置の間欠通信のタイミング図である。
【図10】本発明の実施例5に係る無線通信ネットワークの間欠通信のタイミング図である。
【図11】本発明に係る通信装置の動作方法を示す状態遷移図である。
【図12】通信装置の間欠送受信動作を示すフローチャートを示す図である。
【図13】本発明の実施例6の通信装置の間欠送受信動作を示すフローチャートを示す図である。
【図14】本発明の実施例6の通信装置の間欠送受信動作を示すタイミング図である。
【図15】本発明の実施例6の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0184】
11a 受信端末
11b 送信端末
12a、12b、112a、112b 制御部
13a、13b、113a、113b 無線送信部
14a、14b、114a、114b 無線受信部
15a、15b、115a、115b 送受信切替部
16a、16b、116a、116b アンテナ
17a、17b、117a、117b 電池
18a、18b、118a、118b インターフェース
19a、19b、119a、119b スイッチ
20a、20b、120a、120b スイッチ
31a、31b、131a、131b 動作状態制御部
32a、132a、132b 第1送信状態制御部
32b、133a、133b 第2送信状態制御部
33a、134a、134b 第1受信状態制御部
33b、135a、135b 第2受信状態制御部
111a、111b 無線端末
136a、136b 間欠動作制御部
137a、137b データ送信御部
138a、138b ID通知信号判定部
139 最大待ち時間計測部
1310 休止時間計測部
1311 リトライカウント部
1312 リトライ判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、前記無線端末のいずれかと直接または他の1以上の無線端末を介することにより他の全ての無線端末とパケット化されたデータにより通信をする無線通信ネットワークシステムであって、
前記無線端末は、
前記無線端末間で通信をするための無線送信部と無線受信部と、
前記無線端末を識別するID通知信号を送信する送信状態の後に、前記ID通知信号を受信した他の無線端末から前記ID通知信号を送信した前記無線端末へ前記データを送信する送信信号の受信状態に移行させ、前記受信状態の後に前記無線端末をスリープ期間に移行させる処理を間欠的に行い、
前記無線端末間で通信が必要になった場合に生成される送信事象を検出し、前記スリープ期間であれば、他の無線端末から送信される前記ID通知信号を受信するために受信待ち状態に移行させ、受信した前記ID通知信号が前記送信事象発生時に検出した無線端末と認識した場合に、前記送信信号を送信する送信状態に移行させる制御部と、
前記受信待ち状態の時間を計測し、予め設定した最大待ち時間を前記受信待ち状態の計測時間になるまで計測する最大待ち時間計測部と、
前記最大待ち時間計測部が前記最大待ち時間になると、予め設定した休止時間を計測する休止時間計測部と、
を備え、前記休止時間経過した場合は再度前記受信待状態に移行させることを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項2】
前記休止時間毎にリトライ回数をカウントしてリトライ値を記録するリトライカウント部と、
前記リトライ値と予め設定したスリープ処理移行値とを比較し、前記リトライ値が前記スリープ処理移行値より大きければ前記スリープ期間に移行するリトライ判定部と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の無線通信ネットワークシステム。
【請求項3】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、前記無線端末のいずれかと直接または他の1以上の無線端末を介することにより他の全ての無線端末とパケット化されたデータにより通信をする無線通信ネットワークシステムの無線端末は、
前記無線端末間で通信をするための無線送信部と無線受信部と、
前記無線端末間で通信をするための無線送信部と無線受信部と、
前記無線端末を識別するID通知信号を送信する送信状態の後に、前記ID通知信号を受信した他の無線端末から前記ID通知信号を送信した前記無線端末へ前記データを送信する送信信号の受信状態に移行させ、前記受信状態の後に前記無線端末をスリープ期間に移行させる処理を間欠的に行い、
前記無線端末間で通信が必要になった場合に生成される送信事象を検出し、前記スリープ期間であれば、他の無線端末から送信される前記ID通知信号を受信するために受信待ち状態に移行させ、受信した前記ID通知信号が前記送信事象発生時に検出した無線端末と認識された場合に、前記送信信号を送信する送信状態に移行させる制御部と、
前記受信待ち状態の時間を計測し、予め設定した最大待ち時間を前記受信待ち状態の計測時間になるまで計測する最大待ち時間計測部と、
前記最大待ち時間計測部が前記最大待ち時間になると、予め設定した休止時間を計測する休止時間計測部と、
を備え、前記休止時間経過した場合は再度前記受信待状態に移行させることを特徴とする無線端末。
【請求項4】
前記休止時間毎にリトライ回数をカウントしてリトライ値を記録するリトライカウント部と、
前記リトライ値と予め設定したスリープ処理移行値とを比較し、前記リトライ値が前記スリープ処理移行値より大きければ前記スリープ期間に移行するリトライ判定部と、
を具備することを特徴とする請求項3に記載の無線端末。
【請求項5】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、前記無線端末のいずれかと直接または他の1以上の無線端末を介することにより他の全ての無線端末とパケット化されたデータにより通信をする無線通信ネットワークシステムの無線通信方法であって、
前記無線端末を識別するID通知信号を送信する送信状態にし、
前記ID通知信号を受信した他の無線端末から前記ID通知信号を送信した前記無線端末へ前記データを送信する送信信号の受信状態に移行させ、
前記受信状態の後に前記無線端末をスリープ期間に移行させる処理を間欠的に行い、
前記無線端末間で通信が必要になった場合に生成される送信事象を検出し、
前記スリープ期間であれば、他の無線端末から送信される前記ID通知信号を受信するために受信待ち状態に移行し、
受信した前記ID通知信号が前記送信事象発生時に検出した無線端末と認識された場合に、前記送信信号を送信する送信状態に移行し、
前記受信待ち状態の時間を計測し、予め設定した最大待ち時間を前記受信待ち状態の計測時間になるまで計測し、
前記最大待ち時間計測部が前記最大待ち時間になると、予め設定した休止時間を計測し、
前記休止時間経過した場合は再度前記受信待状態に移行させることを特徴とする無線通信方法。
【請求項6】
前記休止時間毎にリトライ回数をカウントしてリトライ値を記録し、前記リトライ値と予め設定したスリープ処理移行値とを比較し、前記リトライ値が前記スリープ処理移行値より大きければ前記スリープ期間に移行することを特徴とする請求項3に記載の無線通信方法。
【請求項7】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、前記無線端末のいずれかと直接または他の1以上の無線端末を介することにより他の全ての無線端末とパケット化されたデータにより通信をする無線通信ネットワークシステムの無線端末を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記無線端末を識別するID通知信号を送信する送信状態に移行する処理と、
前記ID通知信号を受信した他の無線端末から前記ID通知信号を送信した前記無線端末へ前記データを送信する送信信号の受信状態に移行する処理と、
前記受信状態の後に前記無線端末をスリープ期間に移行させる処理を間欠的に行う処理と、
前記無線端末間で通信が必要になった場合に生成される送信事象を検出する処理と、
前記スリープ期間であれば、他の無線端末から送信される前記ID通知信号を受信するために受信待ち状態に移行する処理と、
受信した前記ID通知信号が前記送信事象発生時に検出した無線端末と認識された場合に、前記送信信号を送信する送信状態に移行する処理と、
前記受信待ち状態の時間を計測し、予め設定した最大待ち時間を前記受信待ち状態の計測時間になるまで計測する処理と、
前記最大待ち時間計測部が前記最大待ち時間になると、予め設定した休止時間を計測する処理と、
前記休止時間経過した場合は再度前記受信待状態に移行させる処理を、
無線端末を制御するコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
前記休止時間毎にリトライ回数をカウントしてリトライ値を記録し、前記リトライ値と
予め設定したスリープ処理移行値とを比較し、前記リトライ値が前記スリープ処理移行値より大きければ前記スリープ期間に移行することを特徴とする請求項7に記載の無線端末を制御するコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−10704(P2009−10704A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170245(P2007−170245)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】