無線通信ネットワークシステム
【課題】端末から報告される情報に基づいて、端末の周辺に存在する利用可能なフェムト基地局を推測し、利用する端末が存在する場合にのみフェムト基地局を起動させることができる無線通信ネットワークシステムを得る。
【解決手段】複数のマクロ基地局10a、10bと、各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局11a、11bと、各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、測定情報を格納するデータベース60とを備えた無線通信ネットワークシステムであって、各マクロ基地局10a、10bは、特定の端末20から報告される測定情報を用いて、自局の無線エリア内に存在するフェムト基地局11a、11bの中から特定の端末20が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行う。
【解決手段】複数のマクロ基地局10a、10bと、各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局11a、11bと、各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、測定情報を格納するデータベース60とを備えた無線通信ネットワークシステムであって、各マクロ基地局10a、10bは、特定の端末20から報告される測定情報を用いて、自局の無線エリア内に存在するフェムト基地局11a、11bの中から特定の端末20が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線基地局の電源制御方法に関し、特に、マクロ基地局とフェムト基地局が混在する環境下において、フェムト基地局の消費電力削減を可能とする無線通信ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の普及や市場拡大、そしてサービスの多様化が進んでおり、3GPP(3rd Generation Partnership Project)においても高速大容量通信を実現する第4世代移動体通信技術に向けた発展型の無線アクセス技術の1つとしてLTE(Long Term Evolution)およびLTE−Advancedの標準化が行われている。その一方で、セルの小型化が進むことにより設置される基地局数が増加することが予測されている。また、屋内、地下街、高層ビルの高層階などのように基地局の設置エリアが制限される場所や、無線の特性により不感地帯への対策としてフェムト基地局を利用することが推進されており、フェムト基地局などの小型基地局の導入が今後増加すると見込まれている。
【0003】
しかしながら、基地局数の増加に伴い、無線通信システムにおける消費電力も増加するという問題点がある。そのため、3GPPを代表とする各標準化団体ではネットワークの消費電力を削減することを目的に基地局の電源制御などを実現する「Energy Savings Management」機能の標準化を実施中である(例えば、非特許文献1参照)。「Energy Savings Management」により実現される機能としては、利用周波数の制限、送信電力の削減・停波、セルや基地局の電源制御などが考えられているが、特に、セルや基地局の電源制御を行う場合は、基地局間のエリア補間の実現と基地局の再起動(リジューム)条件が大きな課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−212998号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TR32.826
【非特許文献2】株式会社KDDI研究所、「環境を考慮したマクロ/フェムト基地局動的起動制御」、(社)電子情報通信学会、信学技法NS2009−257、2010年3月、p.533〜536
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術として、特許文献1記載の方式は、携帯電話にGPS(Global Positioning System)機能を搭載し、GPS機能付き携帯電話とマクロ基地局に配置される位置監視手段間でGPS機能付き携帯電話の位置情報を通信する。GPS測定に基づく位置情報より、GPS機能付き携帯電話があらかじめ定めたエリア内に存在するか否かを判断することでフェムト基地局の電源制御を実現する。本システムは、あらかじめ定めたエリア(フェムト基地局エリア)を含むマクロ基地局、フェムト基地局およびGPS機能付き携帯電話により構成される。しかしながら、本技術は無線通信システムの機能とは異なるGPS機能を利用することを前提としているため、全ての携帯電話にGPS機能を搭載し、さらに、マクロ基地局の位置監視手段とGPS情報を通信する方式を統一しなければならないという問題点があった。
【0007】
また、非特許文献2記載の方式では、マクロ基地局が構成するセクタ配下に存在するフェムト基地局を「FAP(Femto Access Point) management server」で管理し、閾値以上の携帯電話が該当するセクタ内に在圏したことを契機として当該セクタ内のフェムト基地局の電源制御を実現する。しかしながら、電源制御を実施するフェムト基地局がマクロ基地局の構成するセクタ内に存在する全てのフェムト基地局も存在するためフェムト基地局の電源制御後に利用されないフェムト基地局が存在する可能性があるため不必要な電力を消費するという問題点があった。
【0008】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、端末から報告される情報に基づいて、端末の周辺に存在する利用可能なフェムト基地局を推測し、利用する端末が存在する場合にのみフェムト基地局を起動させることができる無線通信ネットワークシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る無線通信ネットワークシステムは、複数のマクロ基地局と、各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、測定情報を格納するデータベースとを備えた無線通信ネットワークシステムであって、各マクロ基地局は、特定の端末から報告される測定情報を用いて、自局の無線エリア内に存在するフェムト基地局の中から特定の端末が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行うものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る無線通信ネットワークシステムによれば、端末から報告される情報に基づいて、端末の周辺に存在する利用可能なフェムト基地局を推測し、利用する端末が存在する場合にのみフェムト基地局を起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局選択テーブル生成シーケンスを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局選択テーブルの例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局サスペンド動作シーケンスを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局起動シーケンスを示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局在圏時の位置登録シーケンスを示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのユーザ在圏履歴情報の例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局起動シーケンスを示す図である。
【図12】この発明の実施の形態4に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局の周期起動動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の無線通信ネットワークシステムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0013】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムについて図1から図6までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムの構成を示す図である。本実施の形態1では、標準化団体の1つである3GPPで規定されるLTEの無線通信ネットワークに適用した形態について説明する。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0014】
図1において、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムは、屋外に設置されるマクロ基地局10a、10b、及び屋内に設置されるフェムト基地局11a、11bから構成される無線アクセスネットワーク(E−UTRAN:Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)1と、LTE無線アクセス通信方式を利用してE−UTRAN1と接続される携帯電話などの端末20を含むUE(User Equipment)2と、コアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)3と、マクロ基地局10a、10b及びフェムト基地局11a、11bの無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置4と、フェムト基地局11bとEPC3間のゲートウェイとして機能するHeNB−GW(Home eNodeB Gateway)5とが設けられている。
【0015】
また、コアネットワーク(EPC)3は、端末20の移動管理を行う移動管理装置(MME:Mobility Management Entity)30と、IP通信のゲートウェイ機能を提供するS−GW(Serving Gateway)31、及びP−GW(Packet Data Network Gateway)32と、ユーザの加入者情報を管理するホームサブスクライバサーバ(HSS:Home Subscriber Server)33とが設けられている。
【0016】
なお、フェムト基地局11a、11bは、HeNB−GW5を経由してEPC3と接続することも可能であり、また、直接EPC3に収容することも可能である。
【0017】
図2は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【0018】
この図2は、マクロ基地局10aにおける無線エリア40とフェムト基地局11a、11bにおける無線エリア50の関係を示しており、フェムト基地局11a、11bは少なくとも1つのマクロ基地局10a配下に帰属する。マクロ基地局10aは、自基地局に帰属するフェムト基地局情報を格納するデータベース60と接続される。データベース(データ記憶装置)60は、フェムト基地局内に実装されても良いし、外部装置として接続されても良い。さらに、周辺のマクロ基地局10bとマクロ基地局10aはX2インターフェースにより直接通信を実施することも可能であり、また、S1インターフェースを利用して移動管理装置(MME)30経由で通信することも可能である。
【0019】
つぎに、この実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムの動作について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図3は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局選択テーブル生成シーケンスを示す図である。また、図4は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局選択テーブルの例を示す図である。
【0021】
図4において、フェムト基地局選択テーブルは、制御対象フェムト基地局毎の周辺基地局リスト(周辺基地局の受信レベル[dBm]の上限値及び下限値)、有効フラグ、状態フラグから構成されている。例えば、制御対象フェムト基地局がフェムト基地局11aの場合、マクロ基地局10a、10b、及びフェムト基地局11bの受信レベルの上限/下限値が登録される。状態フラグは、「制御対象フェムト基地局」の状態を表す。
【0022】
この図3は、マクロ基地局10a配下に帰属するフェムト基地局11aに関するテーブル情報の生成シーケンスを示す。以下に説明する動作例において、本シーケンスの実施時には、マクロ基地局10aに接続されるデータベース60にはフェムト基地局11a、11bに関する選択テーブルは存在しない状態であり、全てのフェムト基地局は起動している状態である。
【0023】
端末20がマクロ基地局10aと通信を実施している状態において、端末20は、フェムト基地局11aを周辺セルとして検出すると、フェムト基地局11aに関するセルIDや、受信レベル[dBm]などを含む測定結果をマクロ基地局10aに報告する(STEP11)。
【0024】
マクロ基地局10aは、報告された自基地局の測定結果とフェムト基地局11aの測定結果を比較し、ハンドオーバ判定基準に基づいてハンドオーバ手順を開始する。本ハンドオーバシーケンスでは、マクロ基地局、フェムト基地局間においてもX2ハンドオーバ処理が実施可能であることを前提としているが、移動管理装置(MME)30を介したS1ハンドオーバ処理でも同様である。ハンドオーバ処理が完了後、マクロ基地局10aは、端末20から報告された全ての基地局の測定結果を用いて、図4に例示する選択テーブルの生成を行い、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定する(STEP12)。
【0025】
マクロ基地局10aは、選択テーブル生成時に登録する受信レベルを、最初は上限値として登録し、次の更新時の受信レベルを、上限値と比較して小さい場合には下限値として登録し、一方、上限値と比較して大きい場合には新しい上限値として登録し最初の上限値を下限値として登録する。この比較処理を繰り返す。また、マクロ基地局10aは、基地局種別に関しては、測定結果に含まれる「Closed Subscriber ID(CSG)」から識別する。その他に、セルIDである「Physical Cell ID」又は「E−UTRAN Cell Global ID」を用いてフェムト基地局が一意に識別可能な場合は、本セルIDを利用しても良い。
【0026】
図5は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局サスペンド動作シーケンスを示す図である。
【0027】
この図5は、フェムト基地局11aに関連する選択テーブル生成後に、端末20がフェムト基地局11aの無線エリアから離圏する時のシーケンスを示している。
【0028】
端末20は、フェムト基地局11aからの受信レベルが劣化してマクロ基地局10aを周辺セルとして検出すると、マクロ基地局10aに関する測定結果をフェムト基地局11aに報告する。フェムト基地局11aは、報告された自基地局の測定結果とマクロ基地局10aの測定結果を比較し、ハンドオーバ判定基準に基づいてハンドオーバ処理を開始する(STEP21)。
【0029】
ハンドオーバ処理が完了後に、端末20から周辺セルの測定結果を受信すると、マクロ基地局10aは、フェムト基地局11aに関連する選択テーブルの更新を行い、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定する。この時、選択テーブルを更新する測定結果は、端末20からの測定結果の情報ではなく、フェムト基地局11aがハンドオーバ判定を行った測定結果の内容をフェムト基地局11aからマクロ基地局10aに直接通知しても良い(STEP22)。
【0030】
フェムト基地局11aは、自エリアに全ての端末が存在しないことを検知すると、一定の監視時間の間、新規端末の在圏を監視する(STEP23)。
【0031】
監視時間の間に、新規端末が在圏しなければ、フェムト基地局11aは、マクロ基地局10aに対してサスペンド状態に移行する旨を通知し、サスペンド状態に移行する。本通知を受信したマクロ基地局10aは、選択テーブル内のフェムト基地局11aに関連する状態フラグに、フェムト基地局11aがサスペンド状態に移行した旨を設定するために、フェムト基地局11aに関連する選択テーブルの更新を行う(STEP24)。なお、フェムト基地局がサスペンド状態に移行する動作は、他の実施の形態も同様である。
【0032】
図6は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局起動シーケンスを示す図である。
【0033】
この図6は、端末20がマクロ基地局10bの無線エリアから隣接するマクロ基地局10aの無線エリアに移動した場合のシーケンスを示している。本状態では、フェムト基地局11aの選択テーブルは既に生成されており、さらに、フェムト基地局11aはサスペンド状態(選択テーブルの状態フラグがSuspend設定)に移行している。
【0034】
マクロ基地局10aに在圏する端末20は、周辺基地局の測定結果をマクロ基地局10aに報告する(STEP31)。
【0035】
マクロ基地局10aは、端末20から報告される測定結果と、データベース60に格納された選択テーブルの受信レベルのうち、サスペンド状態に移行した旨の状態フラグが設定された受信レベルを除き、受信レベルを更新した旨の有効フラグが設定された受信レベルを制御対象フェムト基地局毎に比較し、選択条件が一致した場合には、当該フェムト基地局11aに対してリジューム処理を指示する。この時、端末20から報告される測定結果にはサスペンドされているフェムト基地局の情報は含まれない。そのため、選択テーブルの基地局種別がフェムト基地局である情報については、端末20から報告される測定結果に含まれない場合は、その情報を除いた他の基地局の情報で判断する。マクロ基地局10aは、フェムト基地局11aのリジューム処理を指示後、フェムト基地局11aの測定を端末20に指示する(STEP32)。
【0036】
ここで、選択条件が一致した場合とは、端末20から報告される各基地局の受信レベルと、選択テーブルの特定の制御対象フェムト基地局の周辺基地局リストの各基地局の受信レベルがそれぞれ略一致する場合であり、具体的には、端末20から報告される各マクロ基地局の受信レベルが、選択テーブルの各マクロ基地局の受信レベルの上限値と下限値の間の場合で、かつ、フェムト基地局の受信レベルが端末20から報告されるときには、端末20から報告される各フェムト基地局の受信レベルが、選択テーブルの各フェムト基地局の受信レベルの上限値と下限値の間の場合である。一方、フェムト基地局の受信レベルが端末20から報告されないときには、選択条件として、フェムト基地局の受信レベルの比較処理は不要である。このとき、端末から報告される受信レベルのばらつきを考慮して上限値と下限値にヒステリシスを持たせても良い。
【0037】
端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれる場合は、マクロ基地局10aは、リジュームさせたフェムト基地局11aの推定結果が正しかったことを認識し、選択テーブル内のフェムト基地局11aに関連する状態フラグに、フェムト基地局11aが起動状態に移行した旨を設定する(選択テーブルの状態フラグがActive)。また、マクロ基地局10aは、ハンドオーバ判定を行い、フェムト基地局11aへのハンドオーバ処理を行う。フェムト基地局11aに対するハンドオーバ処理が完了後、マクロ基地局10aは、端末20からの測定結果を用いて選択テーブルを更新する。この時、特定の周辺基地局の受信レベル結果が選択テーブル内の各基地局の受信レベルの閾値(上限値/下限値)から外れている場合は選択テーブルの閾値の補正を行う(STEP33)。
【0038】
端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれない場合に関しては、選択条件が次に一致する制御対象フェムト基地局としてフェムト基地局11bが存在する場合には、フェムト基地局11bに対するリジューム処理を実施する(STEP34)。このとき、フェムト基地局11aのリジューム処理後に端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれない回数が一定以上発生した場合には、選択条件の信頼性が低いことから選択テーブルの再構成を行うために、有効フラグを「Not Update」に設定する。
【0039】
ここで、選択条件が次に一致する場合とは、端末20から報告される各基地局の受信レベルと、選択テーブルの特定の制御対象フェムト基地局の周辺基地局リストの各基地局の受信レベルが2番目にそれぞれ略一致する場合であり、具体的には、端末20から報告される各マクロ基地局の受信レベルが、選択テーブルの1つのマクロ基地局の受信レベルを除き、選択テーブルの各マクロ基地局の受信レベルの上限値と下限値の間の場合で、かつ、フェムト基地局の受信レベルが端末20から報告されるときには、端末20から報告される各フェムト基地局の受信レベルが、選択テーブルの各フェムト基地局の受信レベルの上限値と下限値の間の場合である。一方、フェムト基地局の受信レベルが端末20から報告されないときには、選択条件として、フェムト基地局の受信レベルの比較処理は不要である。
【0040】
この実施の形態1に基づく制御を行うことにより、利用するユーザ(端末)が存在する場合にのみ該当するフェムト基地局の電源制御を実現する無線通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
【0041】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る無線通信ネットワークシステムについて図7を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態2に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【0042】
上記の実施の形態1では、フェムト基地局の電源制御を行う機能はマクロ基地局に実装する形態である。この実施の形態2では、これらの電源制御機能及びフェムト基地局選択テーブルの管理を図7に示すようにエリア設計運用装置4に実装する。
【0043】
図3に対応して、端末20がマクロ基地局10aと通信を実施している場合には、端末20は、マクロ基地局10a配下に帰属するフェムト基地局11aを周辺基地局として検出すると、フェムト基地局11aに関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を、マクロ基地局10aを経由してエリア設計運用装置4に報告する。エリア設計運用装置4は、端末20から報告された全ての基地局の測定結果を用いて、フェムト基地局選択テーブルを生成し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定する。
【0044】
図5に対応して、端末20がフェムト基地局11aの無線エリアから離圏する場合には、端末20は、フェムト基地局11aからの受信レベルが劣化してマクロ基地局10aを周辺基地局として検出すると、マクロ基地局10aに関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を、フェムト基地局11aを経由してエリア設計運用装置4に報告する。フェムト基地局11aは、報告された自基地局の測定結果とマクロ基地局10aの測定結果を比較してハンドオーバ処理を実施し、自エリアに全ての端末が存在しないことを検知すると、一定の監視時間の間、新規端末の在圏を監視して、新規端末が在圏しなければ、マクロ基地局10aを経由してエリア設計運用装置4に対してサスペンド状態に移行することを通知し、サスペンド状態に移行する。エリア設計運用装置4は、端末20から周辺基地局の測定結果を受信すると、フェムト基地局11aに関連するフェムト基地局選択テーブルを更新する。フェムト基地局11aからサスペンド状態に移行する旨の通知を受信すると、サスペンド状態に移行した旨を設定するために、フェムト基地局選択テーブル内のフェムト基地局11aに関連する状態フラグの更新を行う(選択テーブルの状態フラグがSuspend設定)。
【0045】
図6に対応して、端末20がマクロ基地局10bの無線エリアから隣接するマクロ基地局10aの無線エリアに移動した場合で、フェムト基地局11aがサスペンド状態に移行している場合には、端末20は、マクロ基地局10aに在圏するときに、周辺基地局のセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を、マクロ基地局10aを経由してエリア設計運用装置4に報告する。エリア設計運用装置4は、端末20から報告される測定結果と、フェムト基地局選択テーブルの受信レベルのうち、サスペンド状態に移行した旨の状態フラグが設定された受信レベルを除き、受信レベルを更新した旨の有効フラグが設定された受信レベルをフェムト基地局毎に比較し、両者の受信レベルが一致したときには、当該フェムト基地局11aに対してリジューム処理を指示する。
【0046】
本実施の形態2では、端末20からの測定結果をマクロ基地局、フェムト基地局経由でエリア設計運用装置4に通知することにより、上記の実施の形態1と同様に、利用するユーザが存在する場合にのみ該当するフェムト基地局の電源制御を実現する無線通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
【0047】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムについて図8から図11までを参照しながら説明する。
【0048】
上記の実施の形態1及び2では、端末から報告される周辺基地局の測定結果に基づいてフェムト基地局の電源制御を行う。この実施の形態3では、端末がフェムト基地局に在圏時に開始する位置登録やハンドオーバイベントの無線接続処理により在圏するフェムト基地局の在圏確率をユーザ(端末)の在圏履歴情報として管理し、サスペンド中のフェムト基地局が帰属するマクロ基地局配下に端末が在圏したことを契機にユーザ在圏履歴情報の在圏確率からリジュームするフェムト基地局を選択する。
【0049】
図8は、この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【0050】
この図8は、本実施の形態3におけるマクロ基地局10a、10b及びフェムト基地局11a、11bの無線エリアの関係を示しており、イベントエリア70は、端末20がマクロ基地局10bの無線エリアから隣接するマクロ基地局10aの無線エリアに移動した場合に位置登録やハンドオーバイベントの無線接続処理が発生するエリア、イベントエリア71は、端末20がマクロ基地局10aの無線エリアからマクロ基地局10a配下に帰属するフェムト基地局11aの無線エリアに移動した場合に位置登録やハンドオーバイベントの無線接続処理が発生するエリアである。
【0051】
図9は、この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムの端末がフェムト基地局在圏時の位置登録シーケンスを示す図である。また、図10は、この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのユーザ在圏履歴情報の例を示す図である。
【0052】
図10において、ユーザ在圏履歴情報は、ユーザIDに関連付けたフェムト基地局毎の在圏確率と状態フラグから構成されている。この状態フラグは、「フェムト基地局ID」で管理されるフェムト基地局の状態を表す。
【0053】
この図9は、端末20がフェムト基地局11aに在圏した場合における位置登録シーケンスを示している。以下に説明する動作例において、本シーケンスの実施時には、エリア設計運用装置4に接続されるデータベース60にはユーザ在圏履歴情報が存在しておらず、全てのフェムト基地局は起動している状態である。
【0054】
マクロ基地局10aに在圏中の端末20がフェムト基地局11aを検出後、端末20は、セルリセレクション評価によりフェムト基地局11aに在圏する。端末20は、イベントエリア71においてフェムト基地局11aの報知情報により位置登録エリアの変更を認識後、無線通信ネットワークへの位置登録処理を開始する(STEP41)。
【0055】
本シーケンスにおいて、端末20と移動管理装置(MME)30間で認証処理を行い、端末20が正常なユーザであることを認証すると、移動管理装置(MME)30は、ユーザ情報を生成する。ユーザ情報には、図10に示すように、ユーザID、在圏マクロ基地局ID、フェムト基地局IDが含まれる。ユーザIDとしては、USIMカードに登録されるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)などユーザを一意に識別可能な識別子を利用する。マクロ基地局ID、フェムト基地局IDには、セルを一意に識別可能なECGI(E-UTRAN Cell Global ID)など基地局を一意に識別可能な識別子を利用する(STEP42)。
【0056】
ユーザ情報を生成した移動管理装置(MME)30は、端末20が在圏した基地局情報を含むユーザ情報をエリア設計運用装置4に通知する。本通知を受信したエリア設計運用装置4は、受信したユーザ情報をユーザIDに関連付けたユーザ在圏履歴情報としてデータベース60に登録し、在圏確率の計算結果を更新する。エリア設計運用装置4は、位置登録に対応したユーザ情報の通知を、通信試行回数として、フェムト基地局毎にカウントする。在圏確率は、在圏確率(%)=((特定のフェムト基地局における通信試行回数)/(マクロ基地局配下の全てのフェムト基地局における通信試行回数))×100から求める。本処理により、エリア設計運用装置4に接続されるデータベース60にユーザ在圏履歴情報を生成する(STEP43)。
【0057】
上記の処理は、イベントとして位置登録の例を示しているが、ハンドオーバ処理においても同様である。
【0058】
図11は、この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局起動シーケンスを示す図である。
【0059】
この図11は、端末20がマクロ基地局10bの無線エリアから隣接するマクロ基地局10aの無線エリアに移動した場合のシーケンスを示している。本状態では、端末20のユーザ在圏履歴情報はエリア設計運用装置4に接続されるデータベース60内に生成されており、さらに、在圏確率が最も高いフェムト基地局11aはサスペンド状態に移行している。
【0060】
端末20がイベントエリア70においてマクロ基地局10aの報知情報により位置登録エリアの変更を認識後、無線通信ネットワークへの位置登録処理を開始する(STEP51)。
【0061】
ユーザ在圏履歴生成時と同様に、移動管理装置(MME)30は、端末20が正常なユーザであることを認証すると、ユーザ情報を生成し、端末20が在圏したマクロ基地局情報を含むユーザ情報をエリア設計運用装置4に通知する(STEP52)。
【0062】
本通知を受信したエリア設計運用装置4は、ユーザ在圏履歴情報から在圏確率が最も高いフェムト基地局であるフェムト基地局11aを選択する。エリア設計運用装置4が、フェムト基地局11aのリジューム処理(フェムト基地局起動通知)を実行後(STEP53)、マクロ基地局10aは、フェムト基地局11aの測定を端末20に指示する(STEP54)。
【0063】
端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれる場合は、マクロ基地局10aは、リジュームさせたフェムト基地局11aの推定結果が正しかったことを認識し、ハンドオーバ判定を行いフェムト基地局11aへのハンドオーバ処理を行う。フェムト基地局11aに対するハンドオーバ処理が完了後、エリア設計運用装置4は、端末20のユーザ在圏履歴情報(在圏確率)を更新する(STEP55)。
【0064】
端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれない場合に関しては、在圏確率が次に高いフェムト基地局に対するリジューム処理を実施する。この時、フェムト基地局11aに対して再度サスペンド処理を実施しても良い。
【0065】
この実施の形態3に基づく制御を行うことにより、フェムト基地局を利用する確率の高いユーザ(端末)が存在する場合にのみ該当するフェムト基地局の電源制御を実現する無線通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
【0066】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る無線通信ネットワークシステムについて図12を参照しながら説明する。図12は、この発明の実施の形態4に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局の周期起動動作を示す図である。
【0067】
上記の実施の形態1、2及び3では、フェムト基地局を利用するユーザ(端末)が存在する場合にフェムト基地局の電源制御を実施する。しかしながら、フェムト基地局周辺のユーザ(端末)が無線エリア50に頻繁に出入りするような特定の場所においては、個々の端末からの測定情報に基づいた電源制御を行うことにより制御の複雑性が増加する。そのため、この実施の形態4では、該当するフェムト基地局エリア内にユーザ(端末)が頻繁に出入りする特定の場所において、フェムト基地局による周期的な自律電源制御を行う。
【0068】
端末20がフェムト基地局での通信を終了すると、フェムト基地局は、周期的な電源制御を開始する。この短時間のサスペンド状態に移行する周期(ライトスリープ区間)は、定周期でも良いし、図12のように、一定間隔で周期が縮小しても良い。本周期は、フェムト基地局が端末20を検知する確率をエリア設計運用装置4で収集することでフェムト基地局が設置された場所のユーザ特性に応じた電源制御の周期を決定することが可能となる。
【0069】
つまり、フェムト基地局が周期的に自律起動する区間で、端末20に対してフェムト基地局エリアを見せることで、端末20からの通信要求を、一定時間、監視する。これにより、フェムト基地局は、通信を要求する端末20の在圏確認を実現する。フェムト基地局は、一定時間、端末20がフェムト基地局に対する通信を開始しない場合は、フェムト基地局周辺に通信を要求する端末20が存在しないと判断して、ライトスリープ区間より長時間のサスペンド状態(ディープスリープ区間)に移行する。
【0070】
その後、フェムト基地局は、長時間のサスペンド状態(ディープスリープ区間)から自律起動して、周期的に短時間のサスペンド状態に移行する(ライトスリープ区間)な電源制御を再び開始する。自局エリア内にユーザ(端末)が頻繁に出入りする特定の場所に設置されたフェムト基地局は、端末20が自局に対する通信を開始するまで、周期的に短時間のサスペンド状態に移行するライトスリープ区間と、ライトスリープ区間より長時間のサスペンド状態に移行するディープスリープ区間の周期的な自律電源制御を繰り返し実行する。
【0071】
この実施の形態4に基づく制御を行うことにより、フェムト基地局はユーザ(端末)が頻繁に出入りする環境においても、通信を要求するユーザ(端末)が存在しない場合には、フェムト基地局の電源制御を実現可能とする無線通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1 無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)、2 UE(User Equipment)、3 コアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)、4 エリア設計運用装置、5 HeNB−GW(Home eNodeB Gateway)、10a、10b マクロ基地局、11a、11b フェムト基地局、20 端末、40 マクロ基地局エリア、50 フェムト基地局エリア、60 データベース、70 イベントエリア、71 イベントエリア。
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線基地局の電源制御方法に関し、特に、マクロ基地局とフェムト基地局が混在する環境下において、フェムト基地局の消費電力削減を可能とする無線通信ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の普及や市場拡大、そしてサービスの多様化が進んでおり、3GPP(3rd Generation Partnership Project)においても高速大容量通信を実現する第4世代移動体通信技術に向けた発展型の無線アクセス技術の1つとしてLTE(Long Term Evolution)およびLTE−Advancedの標準化が行われている。その一方で、セルの小型化が進むことにより設置される基地局数が増加することが予測されている。また、屋内、地下街、高層ビルの高層階などのように基地局の設置エリアが制限される場所や、無線の特性により不感地帯への対策としてフェムト基地局を利用することが推進されており、フェムト基地局などの小型基地局の導入が今後増加すると見込まれている。
【0003】
しかしながら、基地局数の増加に伴い、無線通信システムにおける消費電力も増加するという問題点がある。そのため、3GPPを代表とする各標準化団体ではネットワークの消費電力を削減することを目的に基地局の電源制御などを実現する「Energy Savings Management」機能の標準化を実施中である(例えば、非特許文献1参照)。「Energy Savings Management」により実現される機能としては、利用周波数の制限、送信電力の削減・停波、セルや基地局の電源制御などが考えられているが、特に、セルや基地局の電源制御を行う場合は、基地局間のエリア補間の実現と基地局の再起動(リジューム)条件が大きな課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−212998号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TR32.826
【非特許文献2】株式会社KDDI研究所、「環境を考慮したマクロ/フェムト基地局動的起動制御」、(社)電子情報通信学会、信学技法NS2009−257、2010年3月、p.533〜536
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術として、特許文献1記載の方式は、携帯電話にGPS(Global Positioning System)機能を搭載し、GPS機能付き携帯電話とマクロ基地局に配置される位置監視手段間でGPS機能付き携帯電話の位置情報を通信する。GPS測定に基づく位置情報より、GPS機能付き携帯電話があらかじめ定めたエリア内に存在するか否かを判断することでフェムト基地局の電源制御を実現する。本システムは、あらかじめ定めたエリア(フェムト基地局エリア)を含むマクロ基地局、フェムト基地局およびGPS機能付き携帯電話により構成される。しかしながら、本技術は無線通信システムの機能とは異なるGPS機能を利用することを前提としているため、全ての携帯電話にGPS機能を搭載し、さらに、マクロ基地局の位置監視手段とGPS情報を通信する方式を統一しなければならないという問題点があった。
【0007】
また、非特許文献2記載の方式では、マクロ基地局が構成するセクタ配下に存在するフェムト基地局を「FAP(Femto Access Point) management server」で管理し、閾値以上の携帯電話が該当するセクタ内に在圏したことを契機として当該セクタ内のフェムト基地局の電源制御を実現する。しかしながら、電源制御を実施するフェムト基地局がマクロ基地局の構成するセクタ内に存在する全てのフェムト基地局も存在するためフェムト基地局の電源制御後に利用されないフェムト基地局が存在する可能性があるため不必要な電力を消費するという問題点があった。
【0008】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、端末から報告される情報に基づいて、端末の周辺に存在する利用可能なフェムト基地局を推測し、利用する端末が存在する場合にのみフェムト基地局を起動させることができる無線通信ネットワークシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る無線通信ネットワークシステムは、複数のマクロ基地局と、各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、測定情報を格納するデータベースとを備えた無線通信ネットワークシステムであって、各マクロ基地局は、特定の端末から報告される測定情報を用いて、自局の無線エリア内に存在するフェムト基地局の中から特定の端末が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行うものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る無線通信ネットワークシステムによれば、端末から報告される情報に基づいて、端末の周辺に存在する利用可能なフェムト基地局を推測し、利用する端末が存在する場合にのみフェムト基地局を起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局選択テーブル生成シーケンスを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局選択テーブルの例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局サスペンド動作シーケンスを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局起動シーケンスを示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局在圏時の位置登録シーケンスを示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのユーザ在圏履歴情報の例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局起動シーケンスを示す図である。
【図12】この発明の実施の形態4に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局の周期起動動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の無線通信ネットワークシステムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0013】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムについて図1から図6までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムの構成を示す図である。本実施の形態1では、標準化団体の1つである3GPPで規定されるLTEの無線通信ネットワークに適用した形態について説明する。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0014】
図1において、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムは、屋外に設置されるマクロ基地局10a、10b、及び屋内に設置されるフェムト基地局11a、11bから構成される無線アクセスネットワーク(E−UTRAN:Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)1と、LTE無線アクセス通信方式を利用してE−UTRAN1と接続される携帯電話などの端末20を含むUE(User Equipment)2と、コアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)3と、マクロ基地局10a、10b及びフェムト基地局11a、11bの無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置4と、フェムト基地局11bとEPC3間のゲートウェイとして機能するHeNB−GW(Home eNodeB Gateway)5とが設けられている。
【0015】
また、コアネットワーク(EPC)3は、端末20の移動管理を行う移動管理装置(MME:Mobility Management Entity)30と、IP通信のゲートウェイ機能を提供するS−GW(Serving Gateway)31、及びP−GW(Packet Data Network Gateway)32と、ユーザの加入者情報を管理するホームサブスクライバサーバ(HSS:Home Subscriber Server)33とが設けられている。
【0016】
なお、フェムト基地局11a、11bは、HeNB−GW5を経由してEPC3と接続することも可能であり、また、直接EPC3に収容することも可能である。
【0017】
図2は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【0018】
この図2は、マクロ基地局10aにおける無線エリア40とフェムト基地局11a、11bにおける無線エリア50の関係を示しており、フェムト基地局11a、11bは少なくとも1つのマクロ基地局10a配下に帰属する。マクロ基地局10aは、自基地局に帰属するフェムト基地局情報を格納するデータベース60と接続される。データベース(データ記憶装置)60は、フェムト基地局内に実装されても良いし、外部装置として接続されても良い。さらに、周辺のマクロ基地局10bとマクロ基地局10aはX2インターフェースにより直接通信を実施することも可能であり、また、S1インターフェースを利用して移動管理装置(MME)30経由で通信することも可能である。
【0019】
つぎに、この実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムの動作について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図3は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局選択テーブル生成シーケンスを示す図である。また、図4は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局選択テーブルの例を示す図である。
【0021】
図4において、フェムト基地局選択テーブルは、制御対象フェムト基地局毎の周辺基地局リスト(周辺基地局の受信レベル[dBm]の上限値及び下限値)、有効フラグ、状態フラグから構成されている。例えば、制御対象フェムト基地局がフェムト基地局11aの場合、マクロ基地局10a、10b、及びフェムト基地局11bの受信レベルの上限/下限値が登録される。状態フラグは、「制御対象フェムト基地局」の状態を表す。
【0022】
この図3は、マクロ基地局10a配下に帰属するフェムト基地局11aに関するテーブル情報の生成シーケンスを示す。以下に説明する動作例において、本シーケンスの実施時には、マクロ基地局10aに接続されるデータベース60にはフェムト基地局11a、11bに関する選択テーブルは存在しない状態であり、全てのフェムト基地局は起動している状態である。
【0023】
端末20がマクロ基地局10aと通信を実施している状態において、端末20は、フェムト基地局11aを周辺セルとして検出すると、フェムト基地局11aに関するセルIDや、受信レベル[dBm]などを含む測定結果をマクロ基地局10aに報告する(STEP11)。
【0024】
マクロ基地局10aは、報告された自基地局の測定結果とフェムト基地局11aの測定結果を比較し、ハンドオーバ判定基準に基づいてハンドオーバ手順を開始する。本ハンドオーバシーケンスでは、マクロ基地局、フェムト基地局間においてもX2ハンドオーバ処理が実施可能であることを前提としているが、移動管理装置(MME)30を介したS1ハンドオーバ処理でも同様である。ハンドオーバ処理が完了後、マクロ基地局10aは、端末20から報告された全ての基地局の測定結果を用いて、図4に例示する選択テーブルの生成を行い、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定する(STEP12)。
【0025】
マクロ基地局10aは、選択テーブル生成時に登録する受信レベルを、最初は上限値として登録し、次の更新時の受信レベルを、上限値と比較して小さい場合には下限値として登録し、一方、上限値と比較して大きい場合には新しい上限値として登録し最初の上限値を下限値として登録する。この比較処理を繰り返す。また、マクロ基地局10aは、基地局種別に関しては、測定結果に含まれる「Closed Subscriber ID(CSG)」から識別する。その他に、セルIDである「Physical Cell ID」又は「E−UTRAN Cell Global ID」を用いてフェムト基地局が一意に識別可能な場合は、本セルIDを利用しても良い。
【0026】
図5は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局サスペンド動作シーケンスを示す図である。
【0027】
この図5は、フェムト基地局11aに関連する選択テーブル生成後に、端末20がフェムト基地局11aの無線エリアから離圏する時のシーケンスを示している。
【0028】
端末20は、フェムト基地局11aからの受信レベルが劣化してマクロ基地局10aを周辺セルとして検出すると、マクロ基地局10aに関する測定結果をフェムト基地局11aに報告する。フェムト基地局11aは、報告された自基地局の測定結果とマクロ基地局10aの測定結果を比較し、ハンドオーバ判定基準に基づいてハンドオーバ処理を開始する(STEP21)。
【0029】
ハンドオーバ処理が完了後に、端末20から周辺セルの測定結果を受信すると、マクロ基地局10aは、フェムト基地局11aに関連する選択テーブルの更新を行い、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定する。この時、選択テーブルを更新する測定結果は、端末20からの測定結果の情報ではなく、フェムト基地局11aがハンドオーバ判定を行った測定結果の内容をフェムト基地局11aからマクロ基地局10aに直接通知しても良い(STEP22)。
【0030】
フェムト基地局11aは、自エリアに全ての端末が存在しないことを検知すると、一定の監視時間の間、新規端末の在圏を監視する(STEP23)。
【0031】
監視時間の間に、新規端末が在圏しなければ、フェムト基地局11aは、マクロ基地局10aに対してサスペンド状態に移行する旨を通知し、サスペンド状態に移行する。本通知を受信したマクロ基地局10aは、選択テーブル内のフェムト基地局11aに関連する状態フラグに、フェムト基地局11aがサスペンド状態に移行した旨を設定するために、フェムト基地局11aに関連する選択テーブルの更新を行う(STEP24)。なお、フェムト基地局がサスペンド状態に移行する動作は、他の実施の形態も同様である。
【0032】
図6は、この発明の実施の形態1に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局起動シーケンスを示す図である。
【0033】
この図6は、端末20がマクロ基地局10bの無線エリアから隣接するマクロ基地局10aの無線エリアに移動した場合のシーケンスを示している。本状態では、フェムト基地局11aの選択テーブルは既に生成されており、さらに、フェムト基地局11aはサスペンド状態(選択テーブルの状態フラグがSuspend設定)に移行している。
【0034】
マクロ基地局10aに在圏する端末20は、周辺基地局の測定結果をマクロ基地局10aに報告する(STEP31)。
【0035】
マクロ基地局10aは、端末20から報告される測定結果と、データベース60に格納された選択テーブルの受信レベルのうち、サスペンド状態に移行した旨の状態フラグが設定された受信レベルを除き、受信レベルを更新した旨の有効フラグが設定された受信レベルを制御対象フェムト基地局毎に比較し、選択条件が一致した場合には、当該フェムト基地局11aに対してリジューム処理を指示する。この時、端末20から報告される測定結果にはサスペンドされているフェムト基地局の情報は含まれない。そのため、選択テーブルの基地局種別がフェムト基地局である情報については、端末20から報告される測定結果に含まれない場合は、その情報を除いた他の基地局の情報で判断する。マクロ基地局10aは、フェムト基地局11aのリジューム処理を指示後、フェムト基地局11aの測定を端末20に指示する(STEP32)。
【0036】
ここで、選択条件が一致した場合とは、端末20から報告される各基地局の受信レベルと、選択テーブルの特定の制御対象フェムト基地局の周辺基地局リストの各基地局の受信レベルがそれぞれ略一致する場合であり、具体的には、端末20から報告される各マクロ基地局の受信レベルが、選択テーブルの各マクロ基地局の受信レベルの上限値と下限値の間の場合で、かつ、フェムト基地局の受信レベルが端末20から報告されるときには、端末20から報告される各フェムト基地局の受信レベルが、選択テーブルの各フェムト基地局の受信レベルの上限値と下限値の間の場合である。一方、フェムト基地局の受信レベルが端末20から報告されないときには、選択条件として、フェムト基地局の受信レベルの比較処理は不要である。このとき、端末から報告される受信レベルのばらつきを考慮して上限値と下限値にヒステリシスを持たせても良い。
【0037】
端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれる場合は、マクロ基地局10aは、リジュームさせたフェムト基地局11aの推定結果が正しかったことを認識し、選択テーブル内のフェムト基地局11aに関連する状態フラグに、フェムト基地局11aが起動状態に移行した旨を設定する(選択テーブルの状態フラグがActive)。また、マクロ基地局10aは、ハンドオーバ判定を行い、フェムト基地局11aへのハンドオーバ処理を行う。フェムト基地局11aに対するハンドオーバ処理が完了後、マクロ基地局10aは、端末20からの測定結果を用いて選択テーブルを更新する。この時、特定の周辺基地局の受信レベル結果が選択テーブル内の各基地局の受信レベルの閾値(上限値/下限値)から外れている場合は選択テーブルの閾値の補正を行う(STEP33)。
【0038】
端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれない場合に関しては、選択条件が次に一致する制御対象フェムト基地局としてフェムト基地局11bが存在する場合には、フェムト基地局11bに対するリジューム処理を実施する(STEP34)。このとき、フェムト基地局11aのリジューム処理後に端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれない回数が一定以上発生した場合には、選択条件の信頼性が低いことから選択テーブルの再構成を行うために、有効フラグを「Not Update」に設定する。
【0039】
ここで、選択条件が次に一致する場合とは、端末20から報告される各基地局の受信レベルと、選択テーブルの特定の制御対象フェムト基地局の周辺基地局リストの各基地局の受信レベルが2番目にそれぞれ略一致する場合であり、具体的には、端末20から報告される各マクロ基地局の受信レベルが、選択テーブルの1つのマクロ基地局の受信レベルを除き、選択テーブルの各マクロ基地局の受信レベルの上限値と下限値の間の場合で、かつ、フェムト基地局の受信レベルが端末20から報告されるときには、端末20から報告される各フェムト基地局の受信レベルが、選択テーブルの各フェムト基地局の受信レベルの上限値と下限値の間の場合である。一方、フェムト基地局の受信レベルが端末20から報告されないときには、選択条件として、フェムト基地局の受信レベルの比較処理は不要である。
【0040】
この実施の形態1に基づく制御を行うことにより、利用するユーザ(端末)が存在する場合にのみ該当するフェムト基地局の電源制御を実現する無線通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
【0041】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る無線通信ネットワークシステムについて図7を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態2に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【0042】
上記の実施の形態1では、フェムト基地局の電源制御を行う機能はマクロ基地局に実装する形態である。この実施の形態2では、これらの電源制御機能及びフェムト基地局選択テーブルの管理を図7に示すようにエリア設計運用装置4に実装する。
【0043】
図3に対応して、端末20がマクロ基地局10aと通信を実施している場合には、端末20は、マクロ基地局10a配下に帰属するフェムト基地局11aを周辺基地局として検出すると、フェムト基地局11aに関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を、マクロ基地局10aを経由してエリア設計運用装置4に報告する。エリア設計運用装置4は、端末20から報告された全ての基地局の測定結果を用いて、フェムト基地局選択テーブルを生成し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定する。
【0044】
図5に対応して、端末20がフェムト基地局11aの無線エリアから離圏する場合には、端末20は、フェムト基地局11aからの受信レベルが劣化してマクロ基地局10aを周辺基地局として検出すると、マクロ基地局10aに関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を、フェムト基地局11aを経由してエリア設計運用装置4に報告する。フェムト基地局11aは、報告された自基地局の測定結果とマクロ基地局10aの測定結果を比較してハンドオーバ処理を実施し、自エリアに全ての端末が存在しないことを検知すると、一定の監視時間の間、新規端末の在圏を監視して、新規端末が在圏しなければ、マクロ基地局10aを経由してエリア設計運用装置4に対してサスペンド状態に移行することを通知し、サスペンド状態に移行する。エリア設計運用装置4は、端末20から周辺基地局の測定結果を受信すると、フェムト基地局11aに関連するフェムト基地局選択テーブルを更新する。フェムト基地局11aからサスペンド状態に移行する旨の通知を受信すると、サスペンド状態に移行した旨を設定するために、フェムト基地局選択テーブル内のフェムト基地局11aに関連する状態フラグの更新を行う(選択テーブルの状態フラグがSuspend設定)。
【0045】
図6に対応して、端末20がマクロ基地局10bの無線エリアから隣接するマクロ基地局10aの無線エリアに移動した場合で、フェムト基地局11aがサスペンド状態に移行している場合には、端末20は、マクロ基地局10aに在圏するときに、周辺基地局のセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を、マクロ基地局10aを経由してエリア設計運用装置4に報告する。エリア設計運用装置4は、端末20から報告される測定結果と、フェムト基地局選択テーブルの受信レベルのうち、サスペンド状態に移行した旨の状態フラグが設定された受信レベルを除き、受信レベルを更新した旨の有効フラグが設定された受信レベルをフェムト基地局毎に比較し、両者の受信レベルが一致したときには、当該フェムト基地局11aに対してリジューム処理を指示する。
【0046】
本実施の形態2では、端末20からの測定結果をマクロ基地局、フェムト基地局経由でエリア設計運用装置4に通知することにより、上記の実施の形態1と同様に、利用するユーザが存在する場合にのみ該当するフェムト基地局の電源制御を実現する無線通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
【0047】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムについて図8から図11までを参照しながら説明する。
【0048】
上記の実施の形態1及び2では、端末から報告される周辺基地局の測定結果に基づいてフェムト基地局の電源制御を行う。この実施の形態3では、端末がフェムト基地局に在圏時に開始する位置登録やハンドオーバイベントの無線接続処理により在圏するフェムト基地局の在圏確率をユーザ(端末)の在圏履歴情報として管理し、サスペンド中のフェムト基地局が帰属するマクロ基地局配下に端末が在圏したことを契機にユーザ在圏履歴情報の在圏確率からリジュームするフェムト基地局を選択する。
【0049】
図8は、この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのマクロ基地局エリアとフェムト基地局エリアの関係を示す図である。
【0050】
この図8は、本実施の形態3におけるマクロ基地局10a、10b及びフェムト基地局11a、11bの無線エリアの関係を示しており、イベントエリア70は、端末20がマクロ基地局10bの無線エリアから隣接するマクロ基地局10aの無線エリアに移動した場合に位置登録やハンドオーバイベントの無線接続処理が発生するエリア、イベントエリア71は、端末20がマクロ基地局10aの無線エリアからマクロ基地局10a配下に帰属するフェムト基地局11aの無線エリアに移動した場合に位置登録やハンドオーバイベントの無線接続処理が発生するエリアである。
【0051】
図9は、この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムの端末がフェムト基地局在圏時の位置登録シーケンスを示す図である。また、図10は、この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのユーザ在圏履歴情報の例を示す図である。
【0052】
図10において、ユーザ在圏履歴情報は、ユーザIDに関連付けたフェムト基地局毎の在圏確率と状態フラグから構成されている。この状態フラグは、「フェムト基地局ID」で管理されるフェムト基地局の状態を表す。
【0053】
この図9は、端末20がフェムト基地局11aに在圏した場合における位置登録シーケンスを示している。以下に説明する動作例において、本シーケンスの実施時には、エリア設計運用装置4に接続されるデータベース60にはユーザ在圏履歴情報が存在しておらず、全てのフェムト基地局は起動している状態である。
【0054】
マクロ基地局10aに在圏中の端末20がフェムト基地局11aを検出後、端末20は、セルリセレクション評価によりフェムト基地局11aに在圏する。端末20は、イベントエリア71においてフェムト基地局11aの報知情報により位置登録エリアの変更を認識後、無線通信ネットワークへの位置登録処理を開始する(STEP41)。
【0055】
本シーケンスにおいて、端末20と移動管理装置(MME)30間で認証処理を行い、端末20が正常なユーザであることを認証すると、移動管理装置(MME)30は、ユーザ情報を生成する。ユーザ情報には、図10に示すように、ユーザID、在圏マクロ基地局ID、フェムト基地局IDが含まれる。ユーザIDとしては、USIMカードに登録されるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)などユーザを一意に識別可能な識別子を利用する。マクロ基地局ID、フェムト基地局IDには、セルを一意に識別可能なECGI(E-UTRAN Cell Global ID)など基地局を一意に識別可能な識別子を利用する(STEP42)。
【0056】
ユーザ情報を生成した移動管理装置(MME)30は、端末20が在圏した基地局情報を含むユーザ情報をエリア設計運用装置4に通知する。本通知を受信したエリア設計運用装置4は、受信したユーザ情報をユーザIDに関連付けたユーザ在圏履歴情報としてデータベース60に登録し、在圏確率の計算結果を更新する。エリア設計運用装置4は、位置登録に対応したユーザ情報の通知を、通信試行回数として、フェムト基地局毎にカウントする。在圏確率は、在圏確率(%)=((特定のフェムト基地局における通信試行回数)/(マクロ基地局配下の全てのフェムト基地局における通信試行回数))×100から求める。本処理により、エリア設計運用装置4に接続されるデータベース60にユーザ在圏履歴情報を生成する(STEP43)。
【0057】
上記の処理は、イベントとして位置登録の例を示しているが、ハンドオーバ処理においても同様である。
【0058】
図11は、この発明の実施の形態3に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局起動シーケンスを示す図である。
【0059】
この図11は、端末20がマクロ基地局10bの無線エリアから隣接するマクロ基地局10aの無線エリアに移動した場合のシーケンスを示している。本状態では、端末20のユーザ在圏履歴情報はエリア設計運用装置4に接続されるデータベース60内に生成されており、さらに、在圏確率が最も高いフェムト基地局11aはサスペンド状態に移行している。
【0060】
端末20がイベントエリア70においてマクロ基地局10aの報知情報により位置登録エリアの変更を認識後、無線通信ネットワークへの位置登録処理を開始する(STEP51)。
【0061】
ユーザ在圏履歴生成時と同様に、移動管理装置(MME)30は、端末20が正常なユーザであることを認証すると、ユーザ情報を生成し、端末20が在圏したマクロ基地局情報を含むユーザ情報をエリア設計運用装置4に通知する(STEP52)。
【0062】
本通知を受信したエリア設計運用装置4は、ユーザ在圏履歴情報から在圏確率が最も高いフェムト基地局であるフェムト基地局11aを選択する。エリア設計運用装置4が、フェムト基地局11aのリジューム処理(フェムト基地局起動通知)を実行後(STEP53)、マクロ基地局10aは、フェムト基地局11aの測定を端末20に指示する(STEP54)。
【0063】
端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれる場合は、マクロ基地局10aは、リジュームさせたフェムト基地局11aの推定結果が正しかったことを認識し、ハンドオーバ判定を行いフェムト基地局11aへのハンドオーバ処理を行う。フェムト基地局11aに対するハンドオーバ処理が完了後、エリア設計運用装置4は、端末20のユーザ在圏履歴情報(在圏確率)を更新する(STEP55)。
【0064】
端末20から報告された測定結果にフェムト基地局11aの測定結果が含まれない場合に関しては、在圏確率が次に高いフェムト基地局に対するリジューム処理を実施する。この時、フェムト基地局11aに対して再度サスペンド処理を実施しても良い。
【0065】
この実施の形態3に基づく制御を行うことにより、フェムト基地局を利用する確率の高いユーザ(端末)が存在する場合にのみ該当するフェムト基地局の電源制御を実現する無線通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
【0066】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る無線通信ネットワークシステムについて図12を参照しながら説明する。図12は、この発明の実施の形態4に係る無線通信ネットワークシステムのフェムト基地局の周期起動動作を示す図である。
【0067】
上記の実施の形態1、2及び3では、フェムト基地局を利用するユーザ(端末)が存在する場合にフェムト基地局の電源制御を実施する。しかしながら、フェムト基地局周辺のユーザ(端末)が無線エリア50に頻繁に出入りするような特定の場所においては、個々の端末からの測定情報に基づいた電源制御を行うことにより制御の複雑性が増加する。そのため、この実施の形態4では、該当するフェムト基地局エリア内にユーザ(端末)が頻繁に出入りする特定の場所において、フェムト基地局による周期的な自律電源制御を行う。
【0068】
端末20がフェムト基地局での通信を終了すると、フェムト基地局は、周期的な電源制御を開始する。この短時間のサスペンド状態に移行する周期(ライトスリープ区間)は、定周期でも良いし、図12のように、一定間隔で周期が縮小しても良い。本周期は、フェムト基地局が端末20を検知する確率をエリア設計運用装置4で収集することでフェムト基地局が設置された場所のユーザ特性に応じた電源制御の周期を決定することが可能となる。
【0069】
つまり、フェムト基地局が周期的に自律起動する区間で、端末20に対してフェムト基地局エリアを見せることで、端末20からの通信要求を、一定時間、監視する。これにより、フェムト基地局は、通信を要求する端末20の在圏確認を実現する。フェムト基地局は、一定時間、端末20がフェムト基地局に対する通信を開始しない場合は、フェムト基地局周辺に通信を要求する端末20が存在しないと判断して、ライトスリープ区間より長時間のサスペンド状態(ディープスリープ区間)に移行する。
【0070】
その後、フェムト基地局は、長時間のサスペンド状態(ディープスリープ区間)から自律起動して、周期的に短時間のサスペンド状態に移行する(ライトスリープ区間)な電源制御を再び開始する。自局エリア内にユーザ(端末)が頻繁に出入りする特定の場所に設置されたフェムト基地局は、端末20が自局に対する通信を開始するまで、周期的に短時間のサスペンド状態に移行するライトスリープ区間と、ライトスリープ区間より長時間のサスペンド状態に移行するディープスリープ区間の周期的な自律電源制御を繰り返し実行する。
【0071】
この実施の形態4に基づく制御を行うことにより、フェムト基地局はユーザ(端末)が頻繁に出入りする環境においても、通信を要求するユーザ(端末)が存在しない場合には、フェムト基地局の電源制御を実現可能とする無線通信ネットワークシステムを構築することが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1 無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)、2 UE(User Equipment)、3 コアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)、4 エリア設計運用装置、5 HeNB−GW(Home eNodeB Gateway)、10a、10b マクロ基地局、11a、11b フェムト基地局、20 端末、40 マクロ基地局エリア、50 フェムト基地局エリア、60 データベース、70 イベントエリア、71 イベントエリア。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
測定情報を格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
各マクロ基地局は、特定の端末から報告される測定情報を用いて、自局の無線エリア内に存在するフェムト基地局の中から特定の端末が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行う
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項2】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
制御対象フェムト基地局毎の周辺基地局の受信レベル、有効フラグ並びに状態フラグから構成されているフェムト基地局選択テーブルを格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
第1の端末が第1のマクロ基地局と通信を実施している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局配下に帰属する第1のフェムト基地局を周辺基地局として検出すると、前記第1のフェムト基地局に関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のマクロ基地局に報告し、
前記第1のマクロ基地局は、報告された自基地局の測定結果と前記第1のフェムト基地局の測定結果を比較してハンドオーバ処理を実施し、このハンドオーバ処理を完了した後、前記第1の端末から報告された全ての基地局の測定結果を用いて、前記フェムト基地局選択テーブルを生成し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定し、
前記第1の端末が前記第1のフェムト基地局の無線エリアから離圏する場合には、
前記第1の端末は、前記第1のフェムト基地局からの受信レベルが劣化して前記第1のマクロ基地局を周辺基地局として検出すると、前記第1のマクロ基地局に関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のフェムト基地局に報告し、
前記第1のフェムト基地局は、報告された自基地局の測定結果と前記第1のマクロ基地局の測定結果を比較してハンドオーバ処理を実施し、自エリアに全ての端末が存在しないことを検知すると、一定の監視時間の間、新規端末の在圏を監視して、新規端末が在圏しなければ、前記第1のマクロ基地局に対してサスペンド状態に移行することを通知し、サスペンド状態に移行し、
前記第1のマクロ基地局は、このハンドオーバ処理を完了した後、前記第1の端末から周辺基地局の測定結果を受信すると、前記第1のフェムト基地局に関連するフェムト基地局選択テーブルを更新し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定するとともに、前記第1のフェムト基地局からサスペンド状態に移行する旨の通知を受信すると、フェムト基地局選択テーブル内の第1のフェムト基地局に関連する状態フラグに、サスペンド状態に移行した旨を設定し、前記第1のフェムト基地局に関連するフェムト基地選択テーブルを更新し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定し、
前記第1の端末が第2のマクロ基地局の無線エリアから隣接する前記第1のマクロ基地局の無線エリアに移動した場合で、前記第1のフェムト基地局がサスペンド状態に移行している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局に在圏するときに、周辺基地局のセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のマクロ基地局に報告し、
前記第1のマクロ基地局は、前記第1の端末から報告される測定結果と、前記フェムト基地局選択テーブルの受信レベルのうち、サスペンド状態に移行した旨の状態フラグが設定された受信レベルを除き、受信レベルを更新した旨の有効フラグが設定された受信レベルをフェムト基地局毎に比較し、両者の受信レベルが一致したときには、当該第1のフェムト基地局に対してリジューム処理を指示する
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項3】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局の無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置と、
測定情報を格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
前記エリア設計運用装置は、特定の端末から報告される測定情報を用いて、特定のマクロ基地局の無線エリア内に存在するフェムト基地局の中から特定の端末が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行う
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項4】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局の無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置と、
制御対象フェムト基地局毎の周辺基地局の受信レベル、有効フラグ並びに状態フラグから構成されているフェムト基地局選択テーブルを格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
第1の端末が第1のマクロ基地局と通信を実施している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局配下に帰属する第1のフェムト基地局を周辺基地局として検出すると、前記第1のフェムト基地局に関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のマクロ基地局を経由して前記エリア設計運用装置に報告し、
前記エリア設計運用装置は、前記第1の端末から報告された全ての基地局の測定結果を用いて、前記フェムト基地局選択テーブルを生成し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定し、
前記第1の端末が前記第1のフェムト基地局の無線エリアから離圏する場合には、
前記第1の端末は、前記第1のフェムト基地局からの受信レベルが劣化して前記第1のマクロ基地局を周辺基地局として検出すると、前記第1のマクロ基地局に関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のフェムト基地局を経由して前記エリア設計運用装置に報告し、
前記第1のフェムト基地局は、報告された自基地局の測定結果と前記第1のマクロ基地局の測定結果を比較してハンドオーバ処理を実施し、自エリアに全ての端末が存在しないことを検知すると、一定の監視時間の間、新規端末の在圏を監視して、新規端末が在圏しなければ、前記第1のマクロ基地局を経由して前記エリア設計運用装置に対してサスペンド状態に移行することを通知し、サスペンド状態に移行し、
前記エリア設計運用装置は、前記第1の端末から周辺基地局の測定結果を受信すると、前記第1のフェムト基地局に関連するフェムト基地局選択テーブルを更新し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定するとともに、前記第1のフェムト基地局からサスペンド状態に移行する旨の通知を受信すると、フェムト基地局選択テーブル内の第1のフェムト基地局に関連する状態フラグに、サスペンド状態に移行した旨を設定し、前記第1のフェムト基地局に関連するフェムト基地選択テーブルを更新し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定し、
前記第1の端末が第2のマクロ基地局の無線エリアから隣接する前記第1のマクロ基地局の無線エリアに移動した場合で、前記第1のフェムト基地局がサスペンド状態に移行している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局に在圏するときに、周辺基地局のセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のマクロ基地局を経由して前記エリア設計運用装置に報告し、
前記エリア設計運用装置は、前記第1の端末から報告される測定結果と、前記フェムト基地局選択テーブルの受信レベルのうち、サスペンド状態に移行した旨の状態フラグが設定された受信レベルを除き、受信レベルを更新した旨の有効フラグが設定された受信レベルをフェムト基地局毎に比較し、両者の受信レベルが一致したときには、当該第1のフェムト基地局に対してリジューム処理を指示する
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項5】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局の無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置と、
無線接続処理情報を格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
前記エリア設計運用装置は、特定の端末から開始される無線接続処理情報を用いて、特定のマクロ基地局の無線エリア内に存在するフェムト基地局の中から特定の端末が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行う
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項6】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
端末の移動管理を行う移動管理装置と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局の無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置と、
ユーザIDに関連付けたフェムト基地局毎の在圏確率から構成されているユーザ在圏履歴情報を格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
第1の端末が第1のマクロ基地局から前記第1のマクロ基地局配下に帰属する第1のフェムト基地局に移動した場合には、
前記第1の端末は、前記第1のフェムト基地局の報知情報により無線接続処理を実施し、
前記移動管理装置は、前記無線接続処理に応じて前記第1の端末との間で認証処理を行い、前記第1の端末が正常なユーザであることを認証すると、ユーザ情報を生成して前記エリア設計運用装置に通知し、
前記通知を受信したエリア設計運用装置は、前記ユーザ情報をユーザIDに関連付けたユーザ在圏履歴情報として前記データベースに登録し、前記無線接続処理に対応したユーザ情報の通知を、通信試行回数として、フェムト基地局毎にカウントし、マクロ基地局配下の全てのフェムト基地局における通信試行回数と特定のフェムト基地局における通信試行回数の比である在圏確率の計算結果をフェムト基地局毎に更新し、
前記第1の端末が第2のマクロ基地局の無線エリアから隣接する前記第1のマクロ基地局の無線エリアに移動した場合で、在圏確率が最も高い前記第1のフェムト基地局はサスペンド状態に移行している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局の報知情報により無線接続処理を実施し、
前記移動管理装置は、前記無線接続処理に応じて前記第1の端末との間で認証処理を行い、前記第1の端末が正常なユーザであることを認証すると、ユーザ情報を生成して前記エリア設計運用装置に通知し、
前記通知を受信したエリア設計運用装置は、前記データベースに登録されたユーザ在圏履歴情報から在圏確率が最も高い第1のフェムト基地局を選択して、前記第1のフェムト基地局に対してリジューム処理を指示する
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項7】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
フェムト基地局のエリア内に端末が頻繁に接続する状況において、フェムト基地局が周期的に起動と停止を繰り返すことで端末からの通信要求が無い場合に自律的に自局の電源制御を行う
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項8】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
自局の無線エリア内に端末が頻繁に出入りする特定の場所に設置されたフェムト基地局は、端末との通信を終了すると、周期的な第1の所定時間のサスペンド状態に移行するライトスリープ区間と、第1の所定時間より長い第2の所定時間のサスペンド状態に移行するディープスリープ区間の周期的な自律電源制御を、端末が自局に対する通信を開始するまで、繰り返し実行する
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項1】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
測定情報を格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
各マクロ基地局は、特定の端末から報告される測定情報を用いて、自局の無線エリア内に存在するフェムト基地局の中から特定の端末が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行う
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項2】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
制御対象フェムト基地局毎の周辺基地局の受信レベル、有効フラグ並びに状態フラグから構成されているフェムト基地局選択テーブルを格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
第1の端末が第1のマクロ基地局と通信を実施している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局配下に帰属する第1のフェムト基地局を周辺基地局として検出すると、前記第1のフェムト基地局に関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のマクロ基地局に報告し、
前記第1のマクロ基地局は、報告された自基地局の測定結果と前記第1のフェムト基地局の測定結果を比較してハンドオーバ処理を実施し、このハンドオーバ処理を完了した後、前記第1の端末から報告された全ての基地局の測定結果を用いて、前記フェムト基地局選択テーブルを生成し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定し、
前記第1の端末が前記第1のフェムト基地局の無線エリアから離圏する場合には、
前記第1の端末は、前記第1のフェムト基地局からの受信レベルが劣化して前記第1のマクロ基地局を周辺基地局として検出すると、前記第1のマクロ基地局に関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のフェムト基地局に報告し、
前記第1のフェムト基地局は、報告された自基地局の測定結果と前記第1のマクロ基地局の測定結果を比較してハンドオーバ処理を実施し、自エリアに全ての端末が存在しないことを検知すると、一定の監視時間の間、新規端末の在圏を監視して、新規端末が在圏しなければ、前記第1のマクロ基地局に対してサスペンド状態に移行することを通知し、サスペンド状態に移行し、
前記第1のマクロ基地局は、このハンドオーバ処理を完了した後、前記第1の端末から周辺基地局の測定結果を受信すると、前記第1のフェムト基地局に関連するフェムト基地局選択テーブルを更新し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定するとともに、前記第1のフェムト基地局からサスペンド状態に移行する旨の通知を受信すると、フェムト基地局選択テーブル内の第1のフェムト基地局に関連する状態フラグに、サスペンド状態に移行した旨を設定し、前記第1のフェムト基地局に関連するフェムト基地選択テーブルを更新し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定し、
前記第1の端末が第2のマクロ基地局の無線エリアから隣接する前記第1のマクロ基地局の無線エリアに移動した場合で、前記第1のフェムト基地局がサスペンド状態に移行している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局に在圏するときに、周辺基地局のセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のマクロ基地局に報告し、
前記第1のマクロ基地局は、前記第1の端末から報告される測定結果と、前記フェムト基地局選択テーブルの受信レベルのうち、サスペンド状態に移行した旨の状態フラグが設定された受信レベルを除き、受信レベルを更新した旨の有効フラグが設定された受信レベルをフェムト基地局毎に比較し、両者の受信レベルが一致したときには、当該第1のフェムト基地局に対してリジューム処理を指示する
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項3】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局の無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置と、
測定情報を格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
前記エリア設計運用装置は、特定の端末から報告される測定情報を用いて、特定のマクロ基地局の無線エリア内に存在するフェムト基地局の中から特定の端末が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行う
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項4】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局の無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置と、
制御対象フェムト基地局毎の周辺基地局の受信レベル、有効フラグ並びに状態フラグから構成されているフェムト基地局選択テーブルを格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
第1の端末が第1のマクロ基地局と通信を実施している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局配下に帰属する第1のフェムト基地局を周辺基地局として検出すると、前記第1のフェムト基地局に関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のマクロ基地局を経由して前記エリア設計運用装置に報告し、
前記エリア設計運用装置は、前記第1の端末から報告された全ての基地局の測定結果を用いて、前記フェムト基地局選択テーブルを生成し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定し、
前記第1の端末が前記第1のフェムト基地局の無線エリアから離圏する場合には、
前記第1の端末は、前記第1のフェムト基地局からの受信レベルが劣化して前記第1のマクロ基地局を周辺基地局として検出すると、前記第1のマクロ基地局に関するセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のフェムト基地局を経由して前記エリア設計運用装置に報告し、
前記第1のフェムト基地局は、報告された自基地局の測定結果と前記第1のマクロ基地局の測定結果を比較してハンドオーバ処理を実施し、自エリアに全ての端末が存在しないことを検知すると、一定の監視時間の間、新規端末の在圏を監視して、新規端末が在圏しなければ、前記第1のマクロ基地局を経由して前記エリア設計運用装置に対してサスペンド状態に移行することを通知し、サスペンド状態に移行し、
前記エリア設計運用装置は、前記第1の端末から周辺基地局の測定結果を受信すると、前記第1のフェムト基地局に関連するフェムト基地局選択テーブルを更新し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定するとともに、前記第1のフェムト基地局からサスペンド状態に移行する旨の通知を受信すると、フェムト基地局選択テーブル内の第1のフェムト基地局に関連する状態フラグに、サスペンド状態に移行した旨を設定し、前記第1のフェムト基地局に関連するフェムト基地選択テーブルを更新し、受信レベルを更新した旨の有効フラグを設定し、
前記第1の端末が第2のマクロ基地局の無線エリアから隣接する前記第1のマクロ基地局の無線エリアに移動した場合で、前記第1のフェムト基地局がサスペンド状態に移行している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局に在圏するときに、周辺基地局のセルID、受信レベルを少なくとも含む測定結果を前記第1のマクロ基地局を経由して前記エリア設計運用装置に報告し、
前記エリア設計運用装置は、前記第1の端末から報告される測定結果と、前記フェムト基地局選択テーブルの受信レベルのうち、サスペンド状態に移行した旨の状態フラグが設定された受信レベルを除き、受信レベルを更新した旨の有効フラグが設定された受信レベルをフェムト基地局毎に比較し、両者の受信レベルが一致したときには、当該第1のフェムト基地局に対してリジューム処理を指示する
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項5】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局の無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置と、
無線接続処理情報を格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
前記エリア設計運用装置は、特定の端末から開始される無線接続処理情報を用いて、特定のマクロ基地局の無線エリア内に存在するフェムト基地局の中から特定の端末が利用するフェムト基地局を推定し、この推定結果から特定のフェムト基地局の電源制御を行う
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項6】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と、
端末の移動管理を行う移動管理装置と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局の無線パラメータを管理、変更するエリア設計運用装置と、
ユーザIDに関連付けたフェムト基地局毎の在圏確率から構成されているユーザ在圏履歴情報を格納するデータベースと
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
第1の端末が第1のマクロ基地局から前記第1のマクロ基地局配下に帰属する第1のフェムト基地局に移動した場合には、
前記第1の端末は、前記第1のフェムト基地局の報知情報により無線接続処理を実施し、
前記移動管理装置は、前記無線接続処理に応じて前記第1の端末との間で認証処理を行い、前記第1の端末が正常なユーザであることを認証すると、ユーザ情報を生成して前記エリア設計運用装置に通知し、
前記通知を受信したエリア設計運用装置は、前記ユーザ情報をユーザIDに関連付けたユーザ在圏履歴情報として前記データベースに登録し、前記無線接続処理に対応したユーザ情報の通知を、通信試行回数として、フェムト基地局毎にカウントし、マクロ基地局配下の全てのフェムト基地局における通信試行回数と特定のフェムト基地局における通信試行回数の比である在圏確率の計算結果をフェムト基地局毎に更新し、
前記第1の端末が第2のマクロ基地局の無線エリアから隣接する前記第1のマクロ基地局の無線エリアに移動した場合で、在圏確率が最も高い前記第1のフェムト基地局はサスペンド状態に移行している場合には、
前記第1の端末は、前記第1のマクロ基地局の報知情報により無線接続処理を実施し、
前記移動管理装置は、前記無線接続処理に応じて前記第1の端末との間で認証処理を行い、前記第1の端末が正常なユーザであることを認証すると、ユーザ情報を生成して前記エリア設計運用装置に通知し、
前記通知を受信したエリア設計運用装置は、前記データベースに登録されたユーザ在圏履歴情報から在圏確率が最も高い第1のフェムト基地局を選択して、前記第1のフェムト基地局に対してリジューム処理を指示する
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項7】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
フェムト基地局のエリア内に端末が頻繁に接続する状況において、フェムト基地局が周期的に起動と停止を繰り返すことで端末からの通信要求が無い場合に自律的に自局の電源制御を行う
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項8】
複数のマクロ基地局と、
各マクロ基地局配下にそれぞれ帰属する複数のフェムト基地局と、
各マクロ基地局及び各フェムト基地局と通信を実施する複数の端末と
を備えた無線通信ネットワークシステムであって、
自局の無線エリア内に端末が頻繁に出入りする特定の場所に設置されたフェムト基地局は、端末との通信を終了すると、周期的な第1の所定時間のサスペンド状態に移行するライトスリープ区間と、第1の所定時間より長い第2の所定時間のサスペンド状態に移行するディープスリープ区間の周期的な自律電源制御を、端末が自局に対する通信を開始するまで、繰り返し実行する
ことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−195828(P2012−195828A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59208(P2011−59208)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、「自律的エリア設計運用技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、「自律的エリア設計運用技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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