説明

無線通信端末装置

【課題】 周辺環境が変化した場合でも、位置情報よりその環境に最適な通信モードに自動的に切り替えることができる無線通信端末装置を提供する。
【解決手段】 無線通信端末100は、自端末の現在位置を示す位置識別子を、位置検出手段101により取得する。無線通信端末100は、この位置識別子に基づいて位置属性データベースをアクセスし、動作モードの特性を示す位置属性を取得する。モード解析手段105では、この位置属性に基づいてモード属性データベース104をアクセスし、無線通信端末100のモード属性を取得する。モード切替手段106では、このモード属性に応じた制御を行い、無線通信端末100の現在位置に適した動作モードへと変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の無線通信技術に関し、特に利用位置の周辺環境に応じてマナーモードや通話モード等のうち最適なものを自動選択できる無線通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテレビ電話などの無線通信端末装置では、発話を伴う通信が嫌われる公共の場所などで利用する場合には、マナーモードの設定やメールなどのメッセージ通信の利用など、利用者の会話に関する利便性が制約されるところがあった。
【0003】
このような状況を解決するため、電話音声を文字情報として表示する電話装置として、以下のような従来例がある。すなわち特許文献1(特開2001−251672号公報)によれば、音声情報を文字情報に変換して表示する技術が記載されている。この特許では、当該通信相手からの音声情報を文字情報に変換して表示する技術および、当該通信相手に対して送信する文字情報を音声情報に変換する技術について述べられている。この技術では、メッセージ選択モードの端末に着信した当該通信相手は、伝達したいメッセージを定型文などから選択し、この選択されたメッセージを文字情報として着信端末に表示させることで、発話者のメッセージを確認している。また、このメッセージ選択には音声情報を用いることができ、発話者の音声をメッセージとして受け取ることができる。同様に、端末から入力した文字情報は音声に変換されて、当該通信相手に伝達される。これらの技術により、周辺状況にかかわらず会話をすることを実現している。
【0004】
また、特許文献2(特開2003−209884号公報)、特許文献3(特開2003−204577号公報)、特許文献4(特開2002−330470号公報)によれば、通信端末利用者の現在位置などによって、通信端末の待ち受け動作モードを変更する技術について述べられている。この技術では、利用者の位置情報を検出し、その位置において適切な動作モード(主にマナーモードなど)に切り替えることを実現している。
【特許文献1】特開2001−251672号公報
【特許文献2】特開2003−209884号公報
【特許文献3】特開2003−204577号公報
【特許文献4】特開2002−330470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1の装置では通信中の周辺環境の変化について考慮されていないため、移動中の会話などにおいては利便性を欠くものである。たとえば、無線通信端末の利用者が、公共の場などマナーに配慮すべき環境から、室内など周辺状況を気にする必要の無い場所に移動する場合を考える。この場合、公共の場においてメッセージ選択モードでメッセージ伝達していた利用者は、室内に到着後には、メッセージ選択モードを解除する旨を当該通信相手に通知した後に、通信端末のメッセージ選択モードを解除して通常通話に切り替えるなど、煩雑な手間が必要である。同様に、テレビ電話通信中に、室内から屋外に移動した場合について考える。この場合、室内では周辺環境を気にすることなく発話を伴う会話をすることが可能であるが、会話中に公共の場などのマナーに配慮すべき環境に移動した場合には、いったん会話を終了し、通信端末をメッセージ選択モードに変更した後に、改めて通信を再開させる必要がある。
【0006】
また、上述の特許文献2、3、4に記載の技術では、通信端末の待ち受けモードの切り替えに関しては論じられているが、通話中のモードを周辺状況に応じて最適化することに関しては考慮されていない。このため、通信中の会話などにおいては周辺環境が変化した場合には、通話を終話するなどし、適宜利用者が判断してメールやメッセージを利用した会話に手動で切り替える必要があるなど、通信中の端末に関してはその不便さは解消されていない。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、周辺環境が変化した場合でも、位置情報よりその環境に最適な通信モードに自動的に切り替えることができる無線通信端末装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、無線通信端末が利用される位置を、位置ごとの特徴を示す位置属性と呼ぶ識別子に対応付けることが可能な位置属性解析手段と、位置属性ごとに適した無線通信端末の動作モードを対応付けることが可能なモード解析手段と、モード解析手段により得られた前記対応付け情報に従って、無線通信端末の動作モードを切り替えるモード切替手段と、を具備することを特徴とする無線通信端末装置である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に記載の無線通信端末装置において、無線通信端末の現在位置を取得することができる位置検出手段を更に具備することを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1の発明に記載の無線通信端末装置において、無線通信端末の位置と、位置属性を対応付けてリスト化した位置属性データベース手段を更に具備することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第1又は第2の発明に記載の無線通信端末装置において、無線通信端末の現在位置に置ける位置属性と、無線通信端末のモード属性とを対応付けてリスト化したモード属性データベースを更に具備することを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第2の発明に記載の無線通信端末装置において、前記位置検出手段は、無線通信端末の位置情報と、位置情報ごとに位置識別子を対応付ける位置識別子リストを具備することを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第3の発明に記載の無線通信端末装置において、前記位置属性データベースは、位置検出手段より得られる位置識別子と、位置識別子ごとに対応付けられる属性を示す位置属性リストを具備することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第4の発明に記載の無線通信端末装置において、前記モード属性データベースは、位置属性データベースから得られる属性と、属性ごとに対応付けられるモードを示すモード属性データリストを具備することを特徴とする。
【0015】
第8の発明は、第1の発明に記載の無線通信端末装置において、前記モード切替手段は、無線通信端末のスピーカ音量を調節する音量調整部を具備することを特徴とする。
【0016】
第9の発明は、第1の発明に記載の無線通信端末装置において、前記モード切替手段は、無線通信端末に入力される音声情報を文字に変換する音声文字変換部を具備することを特徴とする。
【0017】
第10の発明は、第1の発明に記載の無線通信端末装置において、前記モード切替手段は、無線通信端末に入力される文字情報を音声に変換する文字音声変換部を具備することを特徴とする。
【0018】
第11の発明は、第1の発明に記載の無線通信端末装置において、前記モード切替手段は、無線通信端末のマイク受信感度を調整する感度調整部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上記にて説明された本発明により以下の効果がもたらされる。
【0020】
第1の発明に係る無線通信端末装置は、位置属性ごとに適した無線通信端末の動作モードを対応付け、この対応付け情報に従って、無線通信端末の動作モードを切り替えるので、無線通信端末の通信・通話手段を現在位置に適したものに自動的に切り替えることが可能となる。
【0021】
第2の発明に係る無線通信端末装置は、無線通信端末の現在位置を取得することができる位置検出手段を更に具備したので、無線通信端末装置の現在位置に適した位置識別子を得ることが可能となる。
【0022】
第3の発明に係る無線通信端末装置は、無線通信端末の位置と、位置属性を対応付けてリスト化した位置属性データベース手段を更に具備したので、無線通信端末装置の現在位置に適した位置属性を得ることが可能となる。
【0023】
第4の発明に係る無線通信端末装置は、無線通信端末の現在位置に置ける位置属性と、無線通信端末のモード属性とを対応付けてリスト化したモード属性データベースを更に具備したので、無線通信端末装置の現在位置に適したモード属性を得ることが可能となる。
【0024】
第5の発明に係る無線通信端末装置は、位置検出手段は、無線通信端末の位置情報と、位置情報ごとに位置識別子を対応付ける位置識別子リストを具備したので、利用者に適した位置識別子を構築することが可能となる。
【0025】
第6の発明に係る無線通信端末装置は、位置属性データベースは、位置検出手段より得られる位置識別子と、位置識別子ごとに対応付けられる属性を示す位置属性リストを具備したので、利用者に適した位置属性を構築することが可能となる。
【0026】
第7の発明に係る無線通信端末装置は、モード属性データベースは、位置属性データベースから得られる属性と、属性ごとに対応付けられるモードを示すモード属性データリストを具備したので、利用者に適したモード属性を構築することが可能となる。
【0027】
第8の発明に係る無線通信端末装置は、モード切替手段は、無線通信端末のスピーカ音量を調節する音量調整部を具備したので、無線通信端末装置の現在位置に応じてスピーカ音量を調整することが可能となる。
【0028】
第9の発明に係る無線通信端末装置は、モード切替手段は、無線通信端末に入力される音声情報を文字に変換する音声文字変換部を具備するので、無線通信端末装置の現在位置に応じて当該通信相手の音声を字幕表示することが可能となる。
【0029】
第10の発明に係る無線通信端末装置は、モード切替手段は、無線通信端末に入力される文字情報を音声に変換する文字音声変換部を具備するので、無線通信端末装置の現在位置に応じて利用者が入力する文字列を音声として当該通信相手に送信することが可能となる。
【0030】
第11の発明に係る無線通信端末装置は、モード切替手段は、無線通信端末のマイク受信感度を調整する感度調整部を具備するので、無線通信端末装置の現在位置に応じて利用者の音声を入力するマイクの感度を調整することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0032】
本発明による無線通信端末装置の実施形態の一例を図1乃至図6に基づいて以下に説明する。
【0033】
図1は、本発明による無線通信端末装置を用いた通信システムの実施形態を示すブロック図である。この通信システムは、無線通信端末100、位置情報送信手段107、基地局108から構成されている。無線通信端末100は、位置検出手段101、位置属性データベース102、位置属性解析手段103、モード属性データベース104、モード解析手段105、モード切替手段106、電話通信手段109、スピーカ110、表示部111、文字入力部112、マイク113から構成されている。
【0034】
ここで、無線通信端末100は本発明で提案する無線通信端末である。位置情報送信手段107は、無線通信端末100の現在位置を通知する手段である。基地局108は、無線通信端末100において電話通信を行う際に接続する、電話ネットワークへのゲートウェイである。
【0035】
位置検出手段101は、位置情報送信手段107からの情報に基づいて無線通信端末100の現在位置を取得する手段である。位置属性データベース102は、位置検出手段101から得られる位置情報に対応した位置属性を保管するデータベースである。位置解析手段103は、位置検出手段101から得られる位置情報をもって、位置属性データベース102を参照し、無線通信端末100の現在位置に対応する位置属性を解析する手段である。
【0036】
モード属性データベース104は、位置属性に対応する無線通信端末100のモードを保管するデータベースである。モード解析手段105は、位置属性解析手段103より取得する位置属性を持って、モード属性データベース104を参照し、無線通信端末100の現在位置に対応するモード属性を解析する手段である。モード切替手段106は、モード解析手段より得られる無線通信端末100の現在位置に対応したモード属性に対応して、無線通信端末100の動作モードを切り替える手段である。
【0037】
電話通信部109は、基地局108と通信を行い、実際の電話通信に関する通話処理を行う手段である。スピーカ110は、電話通信における当該通信相手の音声を出力する部分であり、この動作特性はモード切替手段106により切り替えられる。表示部111は、無線通信端末100の各種情報を表示する表示手段であり、この動作特性はモード切替手段106により切り替えられる。文字入力部112は、電話番号入力などに利用するキーパッドなどの入力手段であり、この動作特性はモード切替手段106により切り替えられる。マイク113は、電話通信における当該通信相手への音声を入力する部分であり、この動作特性はモード切替手段106により切り替えられる。
【0038】
以下で図2のフロー図を用いて具体的な実施例を示す。マナーを特別考慮する必要の無い、自宅の室内で無線通信端末100を利用しながら、マナーを考慮すべき図書館に移動した場合を考える。このとき、無線通信端末100はテレビ電話機能搭載の携帯電話装置のように、使用場所を移動することが可能な通信端末であり、携帯電話/PHS、PDAなどの携帯電話装置や、無線LAN機能などを有するノート型パソコンなども含まれる。位置情報送信手段107は、たとえば基地局サーバであり、電波やネットワークを通して無線通信端末100の位置情報を位置検出手段101に送信するものであり、基地局108と同一物の場合も考えられる。
【0039】
また、GPSなどを利用する場合には、位置送信手段107は衛星であり、位置検出手段101は位置情報を受信・解析する受信機となる。同様に、位置情報送信手段107が、各部屋や施設に設置されるRFIDなどの識別子の場合には、位置検出手段101はこれを受信する受信機となる。この具体例の場合では、位置検出手段101では、無線通信端末100を利用している自宅の室内位置や図書館の位置を、位置情報送信手段107から取得する(この例では、“緯度:def、経度:DEF”とする)。そして位置情報を取得した位置検出手段101は、得られた位置情報を位置属性データベースを参照するための位置識別子に変換し(この例では“図書館”に変換されるものとする)、位置属性解析手段103に送信する(ステップS1)(図3で詳述)。
【0040】
位置属性解析手段103では、得られた位置識別子を基に位置属性データベース102を参照し、この位置での位置属性情報(この例では“属性3”とする)を得る(ステップS2)(図4で詳述)。位置属性情報が得られた位置解析手段103は、これをモード解析手段105に送信する。モード解析手段105では、得られた位置属性情報を基に、モード属性データベース104にアクセスし、この属性情報に対応するモード情報(この例では“スピーカ:停止、表示部:字幕表示、入力部:文字音声変換、マイク:停止”とする)を取得する(ステップS3)(図5で詳述)。
【0041】
モード情報を取得したモード解析手段105では、これをモード切替手段106に送信する。モード情報を取得したモード切替手段106では、モード情報に基づいて、現在のモードから変更する必要があるかを判断する(ステップS4)。モード変更が必要であれば、モード切り替えを行う(ステップS5)。例えば、無線通信端末100のスピーカ110、表示部111、文字入力部112、マイク113の動作状態をモード情報に従った動作モードに切り替える(図6で詳述)。この例では、スピーカ及びマイクの動作は停止される。また、当該通信相手の音声は文字変換されて、表示部に字幕となって表示される。また、無線通信端末100の利用者は入力文字列を音声に変換して当該通信相手に伝えることで、音声を発することなく当該通信相手との会話を継続できる。
【0042】
以上の動作により、会話中に図書館などに移動した場合でも、無線通信端末100は自動的に周囲の環境に合わせた動作モードに変更することができ快適な通信を継続することができる。また、この図書館からさらに別の場所に移動した場合でも、その場所での適切なモードに切り替えることにより、円滑な通信が実現される。上記までの動作について、さらに具体的に説明する。
【0043】
図3は、位置検出手段101の実施形態の一例であり、位置情報受信部31、位置識別子変換部32、位置識別子リスト33から構成される。位置情報受信部31は、位置情報送信手段107より無線通信端末100の位置情報を受け取る。位置識別子変換部32は、位置情報受信部31より受け取った位置情報を基に、位置識別子リスト33を参照し無線通信端末100の現在位置における位置識別子を位置属性解析手段103に送信する。位置識別子リスト33は、各位置情報における位置識別子をデータベース化したリストである。図3に示すように、この位置識別子リストは、緯度、経度の位置情報と、自宅、駅、図書館等の具体的な場所を示す位置識別子とが対応付けされている。
【0044】
このリスト例では、この位置情報は経度・緯度として入力されることを想定しているが、これに限るものではない。受信された位置情報は、位置識別子変換部32に送信される。位置識別子変換部32では、受信した位置情報を基に位置識別子リスト33を参照し、対応する位置識別子を取得する。この位置識別子リスト33は、必ずしも無線通信端末100の内部にある必要は無く、ネットワークなどで接続できる遠隔地にあってもよい。また、利用者によるリストの追加・削除などのカスタマイズができてもよい。
【0045】
さらに、この識別子リスト33は、必ずしも必要なものではなく、位置情報受信部21にて受信される位置情報が、図3にて詳述する位置属性データベース102をアクセスすることができる情報形式の場合、位置識別子変換部32および位置識別子リスト33は省略することができる。上記図1の例では、取得した緯度・経度から位置識別子として“図書館”を得られたものとする。
【0046】
図4は、位置属性データベース102の実施形態の一例であり、位置属性変換部41、位置属性リスト42から構成される。位置属性変換部41は、位置属性解析手段103から受け取った位置識別子を基に、位置属性リスト42を参照し、無線通信端末100の現在位置における位置属性を返答する。位置属性リスト42は、無線通信端末100の位置識別子と位置属性をデータベース化したリストである。位置属性解析手段103は、位置属性解析手段13から、位置識別子を用いたデータベース問い合わせが発生した場合、この位置識別子は位置属性変換部41で受け取られる。位置属性変換部41では、位置識別子を用いて位置属性リスト42を参照し、この識別子に対応した位置属性を取得する。もちろんこの位置属性リスト42は、利用者によるリストの追加・削除などのカスタマイズができる構成でもよい。
【0047】
さらに、この位置属性リスト42は、必ずしも必要なものではなく、位置属性変換部41にて受信される位置識別子が、図5にて詳述するモード属性データベース104をアクセスすることができる情報形式の場合、位置属性変換部41および位置属性リスト42は省略することができる。上記図1の例では、位置識別子として受け取った“図書館”から“属性3”を得られたとする。
【0048】
図5は、モード属性データベース104の実施形態の一例であり、モード属性変換部51、モード属性リスト52から構成される。モード属性変換部51は、モード解析手段105より受け取った位置属性を基に、モード属性リスト52を参照し、無線通信端末100の現在位置におけるモード属性を返答する。モード属性リスト52は、無線通信端末100の位置属性とモード属性をデータベース化したリストである。
【0049】
モード解析手段105から、属性を用いたデータベース問い合わせが発生した場合、この属性はモード属性変換部51で受け取られる。モード属性変換部51では、属性を用いてモード属性リスト52を参照し、この属性に対応したモードを取得する。もちろんこのモード属性リスト52は、利用者によるリストの追加・削除などのカスタマイズができる構成でもよい。この例では、属性として受け取った“属性3”から“スピーカ:停止、表示部:字幕表示、入力部:文字音声変換、マイク:停止”というモードを得られたとする。
【0050】
図6は、モード切替手段106の実施形態の一例であり、モード処理部61、音量調整部62、音声文字変換部63、文字音声変換部64、感度調整部65から構成される。モード処理部61は、モード解析手段105よりモード属性を取得し、接続する音量調整部62、音声文字変換部63、文字音声変換部64、感度調整部65の動作を制御する。
【0051】
またモード処理部61は、電話通信部109とも接続されており、無線通信端末100に入力される、当該通信相手の音声情報をスピーカ・表示部などの適切な出力装置へ送信する機能、および無線通信端末100の利用者から入力される、マイク・入力部の情報を、電話通信手段に送信する機能を有する。音量調整部62は、モード処理部61から制御を受けて、電話通信部109から取得した音声を適切な音量で接続されるスピーカに出力する。音声文字変換部63は、モード処理部61から制御を受けて、電話通信部109から取得した音声を文字に変換して表示部に出力する。文字音声変換部64は、モード処理部61から制御を受けて、入力部より入力された文字を音声に変換する。感度調整部65は、モード処理部61から制御を受けて、マイクより入力される音声の感度を調整する。モード解析手段105から、モード情報を取得したモード切替手段は、取得した情報に基づいて無線通信端末100の動作モードを切り替える。
【0052】
この例では、モード処理部51では属性“スピーカ:停止、表示部:字幕表示、入力部:文字音声変換、マイク:停止”を取得する。このとき、モード処理部61が行う処理は以下の4項目となる。
【0053】
1)音量調整部62を制御してスピーカを停止、2)音声文字変換部63を活性化し、電話通信部109に入力される当該通信相手の音声を文字列に変換し表示部に表示、3)文字音声変換部64を活性化し、入力部から入力される文字列を合成音声として電話通信部109に渡し、当該通信相手に送信、4)感度調整部65を制御してマイク入力を停止。
【0054】
上記処理により、無線通信端末100の利用者は当該通信相手の音声を表示部に字幕表示することで確認することができ、さらに入力した文字列を当該通信相手に音声として伝えることができる。このため、マナーを考慮する必要のある図書館のような場所に移動した場合には、通話を切断することなしに、当該通信相手との会話を続けることができる。同様にこのような図書館からマナーを考慮する必要の無い環境に移動した場合には、自動的に通常の通話に切り替えることにより、快適な通話環境を得ることができる。
【0055】
なお、この例では、音声出力を停止し、当該通信相手の音声を確認する代替装置として字幕表示を用いているが、図5で示されるモード属性データベース104から“属性2 スピーカ:音量UP、表示部:字幕表示、入力部:文字音声変換、マイク:感度UP”のようなリストを取り出すことにより、スピーカの音量UPとともに字幕表示を利用した音声確認を併用することが可能となり、騒音の多い屋外などでの音声認識効率の向上を図ることができる。
【0056】
同様にこの例では、マイクでの音声入力による当該通信相手への音声伝達を停止し、入力部からの文字入力を音声に変換することで当該通信相手への音声伝達を行っているが、図5で示されるモード属性データベース104から“属性2 スピーカ:音量UP、表示部:字幕表示、入力部:文字音声変換、マイク:感度UP”のようなリストを取り出すことにより、マイク感度UPとともに入力部から文字を入力し音声に変換する処理を併用することが可能となり、騒音の多い屋外などでの音声伝達効率を向上させることができる。もちろん、無線通信端末100を利用する周辺環境に合わせて、この例で挙げた以外のモード属性の組み合わせも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明による無線通信装置を用いた通信システムの一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】無線通信装置の動作処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明による位置検出手段の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明による位置属性データベースの一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明によるモード属性データベースの一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明によるモード切替手段の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
21 位置属性受信部
22 位置識別子変換部
23 位置識別子リスト
31 位置属性変換部
32 位置属性リスト
41 モード属性変換部
42 モード属性リスト
51 モード処理部
52 音量調整部
53 音声文字変換部
54 文字音声変換部
55 感度調整部
100 無線通信端末
101 位置検出手段
102 位置属性データベース
103 位置属性解析手段
104 モード属性データベース
105 モード解析手段
106 モード切替手段
107 位置情報送信手段
108 基地局
109 電話通信手段
110 スピーカ
111 表示部
112 文字入力部
113 マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末が利用される位置を、位置ごとの特徴を示す位置属性と呼ぶ識別子に対応付けることが可能な位置属性解析手段と、
位置属性ごとに適した無線通信端末の動作モードを対応付けることが可能なモード解析手段と、
モード解析手段により得られた前記対応付け情報に従って、無線通信端末の動作モードを切り替えるモード切替手段と、
を具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信端末装置において、
無線通信端末の現在位置を取得することができる位置検出手段を更に具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項3】
請求項1記載の無線通信端末装置において、
無線通信端末の位置と、位置属性を対応付けてリスト化した位置属性データベース手段を更に具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の無線通信端末装置において、
無線通信端末の現在位置に置ける位置属性と、無線通信端末のモード属性とを対応付けてリスト化したモード属性データベースを更に具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項5】
請求項2記載の無線通信端末装置において、
前記位置検出手段は、無線通信端末の位置情報と、位置情報ごとに位置識別子を対応付ける位置識別子リストを具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項6】
請求項3記載の無線通信端末装置において、
前記位置属性データベースは、位置検出手段より得られる位置識別子と、位置識別子ごとに対応付けられる属性を示す位置属性リストを具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項7】
請求項4記載の無線通信端末装置において、
前記モード属性データベースは、位置属性データベースから得られる属性と、属性ごとに対応付けられるモードを示すモード属性データリストを具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項8】
請求項1記載の無線通信端末装置において、
前記モード切替手段は、無線通信端末のスピーカ音量を調節する音量調整部を具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項9】
請求項1記載の無線通信端末装置において、
前記モード切替手段は、無線通信端末に入力される音声情報を文字に変換する音声文字変換部を具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項10】
請求項1記載の無線通信端末装置において、
前記モード切替手段は、無線通信端末に入力される文字情報を音声に変換する文字音声変換部を具備することを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項11】
請求項1記載の無線通信端末装置において、
前記モード切替手段は、無線通信端末のマイク受信感度を調整する感度調整部を具備することを特徴とする無線通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−333303(P2006−333303A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156897(P2005−156897)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】