説明

無線通信端末

【課題】 ユーザの使用状態に応じて、人体への影響を低減させる無線通信端末を提供する。
【解決手段】
第1筐体と、第1筐体の一端に設けられ、回動可能に取り付けられた回動部と、回動部の回動に伴って連動する第2筐体と、を有する無線通信端末は、第1筐体に、アンテナと、が所定位置に固着され、回動部の回動に伴って、アンテナを移動させるベルトと、を備えており、回動部の回動に伴い、ベルトが、回動方向と逆方向にアンテナを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)など、様々な携帯通信端末が提供されている。これらの携帯通信端末では、音声通話時において、人体と近接するため、携帯通信端末から放射される電波の、人体への影響が懸念されている。そのため、SAR(Specific Absorption Rate)規格を準拠する対策が施されている。
例えば、特許文献1では、通話時に人体と近接する箇所に電波反射層を備えることで、近接する人体方向へ放射される電波を低減させる移動体通信機が開示されている。
【0003】
また、特許文献2の移動体通信機器では、指向性と無指向性の複数のアンテナを有し、ユーザの使用状態に応じて、使用するアンテナを切り替えることで、人体方向へ放射される電波を低減させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−136156号公報
【特許文献2】特開2002−261679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の移動体通信機では、常に電波反射層のない方向へ指向性が形成されることとなり、通話時以外の、例えば、データ通信時などにおいても指向性が形成されるため、通信品質を確保できないという問題が生じる場合がある。
また、特許文献2の移動体通信機器では、ユーザの使用状態を検出する検出回路や、制御回路、ソフトウェア制御を必要とすることから、移動体通信機器の構成が複雑になるだけでなく、ヒンジを動かすたびに当該制御を行わなければならないという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑み、検出回路、制御回路、ソフトウェア制御といった複雑な構造を備えることなく、ユーザの使用状態に応じて、人体方向へ放射される電波を低減させることが可能な無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる無線通信端末の代表的な構成は、第1筐体と、前記第1筐体の一端に設けられ、回動可能に取り付けられた回動部と、前記回動部の回動に伴って連動する第2筐体と、を有する無線通信端末において、前記第1筐体は、アンテナと、前記アンテナが所定位置に固着され、前記回動部の回動に伴って、前記アンテナを移動させるベルトと、を備え、前記回動部の回動に伴い、前記ベルトが、前記回動方向と逆方向に前記アンテナを移動させる、ことを特徴とする。
回動部の回動に伴い第1筐体と前記第2筐体との成す角度が所定角度となる場合に、内部アンテナが回動部との距離が最大となる位置に移動して、アンテナから電波を放射するので、ユーザの使用状態に応じて、人体方向へ放射される電波を低減させることができる。
また、前記ベルトには、複数の溝が設けられ、前記回動部には、前記溝に掛合し前記ベルトを掛止する複数の掛止部と、をさらに備えてもよい。
また、前記第2筐体は、I/Fコネクタと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
検出回路、制御回路、ソフトウェア制御といった複雑な構造を備えることなく、ユーザの使用状態に応じて、人体方向へ放射される電波を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態にかかる無線通信端末の概略的な構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる無線通信端末の使用形態図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる無線通信端末に設けられたヒンジ機構を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる無線通信端末の使用形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
【0011】
図1は、本実施形態にかかる無線通信端末の概略的な構成を説明するための図であり、図2は、本実施形態にかかる無線通信端末の使用形態図であり、図3は、無線通信端末に設けられたヒンジ機構を説明するための説明図である。特に図1(a)は正面図を示し、図1(b)は側面図を示す。
図1に示すように、本実施形態にかかる無線通信端末100は、第1筐体110と、第2筐体120と、第1筐体110と第2筐体120を連結するヒンジ機構130とからなる。また、ヒンジ機構130は、回動部131を有している。本実施形態では、主に内部アンテナ150を有する筐体を第1筐体110とし、I/Fコネクタ140を有する筐体を第2筐体120として説明するが、これに限らず、主に内部アンテナ150を有する筐体を第2筐体とし、主にI/Fコネクタ140を有する筐体を第1筐体とすることもできる。
【0012】
また、無線通信端末100は、第1筐体110に、内部アンテナ150と接続するRF回路等の各種回路を有する基板160と、を有している。また、第1筐体110には、回動軸180と、内部アンテナ150が所定位置に固着され、ヒンジ機構130における回動部131と、回動軸180とに係回されることで、内部アンテナ150を移動させるベルト190とを有している。
【0013】
図2に示すように、本実施形態にかかる無線通信端末100は、第2筐体120に設けられたI/Fコネクタ140をノート型パーソナルコンピュータ102に接続して利用される。本実施形態においてI/Fコネクタ140は、USBに装着するコネクタであるが、これに限定されない。例えば、PCMCIAスロット等に装着可能なコネクタを利用することもできる。
また、本実施形態においては、無線通信端末100とユーザとが最も近接する状況、例えば、ユーザがノート型パーソナルコンピュータ102を腿に置き、座りながら利用する場合の電波の人体への影響を考慮する。すなわち、第1筐体110が人体に近接する、第1筐体110と第2筐体120の成す角度が270度(後述する図4(e))であっても、内部アンテナ150が人体から離れた方向に移動する様、ベルト190の所定位置に固着されている。
【0014】
図3に示すように、ヒンジ機構130における、回動部131は、第1筐体110の一端に設けられている。そして、第2筐体120は、回動部131の回動に連動する様、回動部131と接続している。また、回動部131の外縁に複数の掛合部132が設けられている。ベルト190には、複数の溝182が設けられていて、掛合部132は、溝182に掛合しベルト190を掛止する。そして、回動部131の回動に応じて、ベルト190は、回動部131と、回動軸180とに係回され、内部アンテナ150を回動部131の回動する方向と逆方向の、人体から離れる方向に移動させる。なお、本実施形態においては、掛合部132と溝182とを利用しているが、回動部131とベルト190に十分な摩擦があり、係回できる構造であれば、他の構成でも構わない。
【0015】
図4は、本実施形態にかかる無線通信端末の使用時における内部アンテナ150の位置を説明するための説明図である。
【0016】
図4に示すように、無線通信端末100の第1筐体110と第2筐体120の成す角は略90度となる場合(図4(a))、内部アンテナ150は、電波を放射する際、人体から離れている位置にあり、無線通信端末100は、無指向性を維持している。
無線通信端末100の第1筐体110と第2筐体の成す角が、略135度(図4(b))、略180度(図4(c))、さらに、略225度(図4(d))となるにつれ、回動部131と回動軸180とにベルト190が係回されることで、内部アンテナ150は、人体から離れる方向に移動させる。
そして、無線通信端末100の第1筐体110と第2筐体120の成す角が略270度(図4(e))となった場合にあっても、内部アンテナ150は、人体から離れた位置に移動され、人体方向への電波の放射を低減させる。
【0017】
本実施形態において、略45度毎に掛合しつつ回動しているが、45度に限らず、任意に設定することができる。
【0018】
ここでは、上述した掛合部132と溝182によるラッチ機構により、所定の角度で掛止することができる。
【0019】
本実施形態にかかる無線通信端末100によれば、第1筐体110と第2筐体120とが成す角度に応じて、電波の送受信が有効な方向を決定することができ、放射される電波の人体への影響を考慮しつつ、好適に無線通信を行うことが可能となる。
【0020】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本実施形態においては、第一軸のみを有する一軸ヒンジ構造にて説明したが、これに限定されず、第一軸と第二軸を有する二軸ヒンジ構造でも適用できる。また、本発明はヒンジ構造を有する音声端末においても適用できる。
【符号の説明】
【0021】
100…無線通信端末
110…第1筐体
120…第2筐体
130…ヒンジ機構
131…回動部
132…掛合部
140…I/Fコネクタ
150…内部アンテナ
160…基板
180…回動軸
190…ベルト





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
前記第1筐体の一端に設けられ、回動可能に取り付けられた回動部と、
前記回動部の回動に伴って連動する第2筐体と、
を有する無線通信端末において、
前記第1筐体は、
アンテナと、
前記アンテナが所定位置に固着され、前記回動部の回動に伴って、前記アンテナを移動させるベルトと、を備え、
前記回動部の回動に伴い、前記ベルトが、前記回動方向と逆方向に前記アンテナを移動させる、
ことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記ベルトには、複数の溝が設けられ、
前記回動部には、前記溝に掛合し前記ベルトを掛止する複数の掛止部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記第2筐体は、I/Fコネクタと、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信端末。































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−199941(P2010−199941A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41847(P2009−41847)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】