説明

無線通信装置およびユニット交換方法

【課題】故障したユニットを抜くことで、ユニット間でやり取りしている信号がなくなり故障していないユニットで行う処理に問題が発生する可能性がある。
【解決手段】動作プロテクトスイッチ8によりユニット6,9の信号ラッチ部10にプロテクト信号を接続して、ユニット6,9の交換中は不揮発性メモリ2への制御・調整データの書込みを禁止する。着脱可能な不揮発性メモリ13は、交換中のユニットの制御・調整データを保持して交換したユニットに再設定を行うことで交換前と同じデータと処理にして再動作することで回線に与える影響を少なくする。着脱可能なためコントロールユニットの交換時にもデータを引き継ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユニット構成の無線通信装置およびユニット交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、送信ユニット、送信アンプユニット、受信ユニット(以下、これらを単に「ユニット」と記す)およびコントローラユニットを有する無線通信機において、各ユニットにROMを備えて出荷時の調整データを記憶すると共に、各ユニットを制御するコントローラユニットにもROMを設けてこれらの調整データを重複して記憶しておき、ユニットの交換時には、コントローラユニットのROMから当該調整データを読み出して交換されたユニットにコピーするようにした無線通信機が知られている(例えば、特許公報1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−194678号公報(第3頁−第4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1は、ユニットの交換についての技術を開示するが、コントローラユニットの交換について記載していない。従って、この従来技術では、コントローラユニットが各ユニットを制御することにより送受信を制御しているため、コントローラユニットを交換する時には無線通信器の運用が停止してしまうと思われる。
【0005】
即ち、コントロールユニット自体の交換時に回線状態を保護する機能がないという第1の問題点がある。マイク等の音声信号などの入力信号はコントロールユニットを経由して送信ユニットに入力され無線信号として送信されているが、コントロールユニットの交換時には入力がない状態で送信ユニットが送信制御を行うことになり、その場合には保護機能がないので予期せぬ制御を行う可能性があるからである。
【0006】
また、コントロールユニット自体の故障交換の場合に交換後の回線状態を保証できないという第2の問題点もある。その理由は、調整データの入ったROMも交換されたときに、コントロールユニットからの調整データを自動で復元する手段がないからであり、この結果、交換パネル以外にPCや調整機器を持って保守員が現場まで出向き、再度調整が必要もしくはデータを再度コントロールユニットに書き込む手順が必要になる。
【0007】
そこで、本発明の第1の目的は、ユニットを制御するコントロールユニット等の制御ユニットを交換する時にも運用中の回線への影響を最小限にとどめる無線通信装置およびユニット交換方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、制御ユニット交換後の回線状態を保証する無線通信装置およびユニット交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の無線通信装置は、交換可能なユニットで構成される無線通信装置において、無線信号の送受信制御を実行する送受信ユニットを制御する制御ユニットを交換するときは、前記各送受信ユニットは現状の設定および調整を維持して通信を行なうことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の無線通信装置は、送受信ユニットは、制御データおよび調整データを保存する不揮発性メモリと、制御ユニットが交換中であることを示す信号を保持する信号ラッチ部を備え、制御ユニットを交換中は、不揮発性メモリへの書込みが禁止されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の無線通信装置は、制御ユニットは、外部装置と送受信ユニットの間にあってデジタル信号を処理する信号処理ユニットと、送受信ユニットおよび信号処理ユニットへの設定制御および運用状態を監視するコントロールユニットとで構成され、制御データおよび調整データを保存する不揮発性メモリと、コントロールユニットが交換中であることを示す信号を保持する信号ラッチ部を備え、コントロールユニットを交換中は、不揮発性メモリへの書込みが禁止されることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の無線通信装置は、コントロールユニットは動作プロテクトスイッチを備え、信号処理ユニットまたは該コントロールユニットを交換するときは、動作プロテクトスイッチをOFFからONに切り替えることにより信号ラッチ部をONにセットすることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の無線通信装置は、コントロールユニットは送受信ユニットおよび信号処理ユニットから収集した制御データおよび調整データを格納しておき、必要に応じて不揮発性メモリへ書き込むための着脱可能な不揮発性メモリを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の無線通信装置は、交換可能なユニットで構成される無線通信装置において、不揮発性メモリに保存した制御データおよび調整データにより無線信号の送受信制御を実行する少なくとも1つの送受信ユニットと、外部装置と送受信ユニットの間にあって不揮発性メモリに保存した制御データおよび調整データによりデジタル信号を処理する信号処理ユニットと、動作プロテクトスイッチを備え送受信ユニットおよび信号処理ユニットへの設定制御および運用状態を監視するコントロールユニットを有し、送受信ユニットは信号処理ユニットまたは前記コントロールユニットを、信号処理ユニットはコントロールユニットを、それぞれ交換するときは動作プロテクトスイッチの操作により交換中であることを示す信号が信号ラッチ部に設定されて不揮発性メモリへの書込みが禁止されることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の無線通信装置は、不揮発性メモリおよび着脱可能な不揮発性メモリの保存内容を一括管理する着脱可能な不揮発性メモリを前記ユニットの外に設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載のユニット交換方法は、請求項6に記載の無線通信装置におけるユニット交換方法であって、信号処理ユニットを交換するときは、動作プロテクトスイッチをONにして送受信ユニットの信号ラッチ部にON状態であることを保持する手順と、信号ラッチ部がON状態であるときは信号処理ユニットの不揮発性メモリへの書込みが禁止される手順と、不揮発性メモリが保存している制御データおよび調整データを着脱可能な不揮発性メモリに保存する手順と、信号処理ユニットの交換後に着脱可能な不揮発性メモリに保存している制御データおよび調整データを該信号処理ユニットの不揮発性メモリに書き込む手順と、動作プロテクトスイッチをOFFにして送受信ユニットの信号ラッチ部にOFF状態であることを保持する手順を有することを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載のユニット交換方法は、請求項6に記載の無線通信装置におけるユニット交換方法であって、コントロールユニットを交換するときは、動作プロテクトスイッチをONにして信号ラッチ部にON状態であることを保持する手順と、信号ラッチ部がON状態であるときは不揮発性メモリへの書込みが禁止される手順と、不揮発性メモリが保存している制御データおよび調整データを着脱可能な不揮発性メモリに保存する手順と、コントロールユニットの交換後に着脱可能な不揮発性メモリに保存している制御データおよび調整データを不揮発性メモリに書き込む手順と、動作プロテクトスイッチをOFFにして信号ラッチ部にOFF状態であることを保持する手順を有することを特徴とする。
【0018】
[作用]
本発明においては、制御ユニットを交換するときには動作プロテクトスイッチをONの状態にすることにより、送受信ユニットは自身の不揮発性メモリから調整データを読み出すのみとし、不揮発性メモリへの書込みは禁止して回線を調整する機能を停止して現状を維持し、回線に影響がないようにする。これは、例えば故障したユニットを抜いて交換するときには、ユニット間でやり取りしている信号がなくなり故障していないユニットで行う処理に問題が発生し信号断になる可能性があるからである。
【0019】
また、動作プロテクトスイッチの状態をユニットに保持しておくことでユニット交換の有無が確認可能となり、無線通信装置を起動するときにユニット交換による起動処理なのかそれ以外の電源投入などによる起動処理なのかを判別して、ユニット交換による起動処理の場合にはユニット交換前と同じ状態に復元してから制御を再開することで回線に影響のない交換を可能とする。
【0020】
また、コントロールユニットを交換する時には、上述の2つの記述において送受信ユニットを信号処理ユニットと読み替えればよい。また、この場合には、着脱可能な不揮発性メモリを新しいコントロールユニットに実装することにより、古いコントロールユニットにおけると同じ制御データおよび調整データを引き継ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の効果は、制御ユニットを交換する時にも運用中の回線への影響を最小限に留めることができるということである。その理由は、交換時の制御データおよび調整データをコントロールし、またスイッチを使って交換実施中であることを確実に通知することで交換時の信号の影響を少なくするからである。
【0022】
本発明の第2の効果は、制御ユニット交換後の回線状態を保証し、現地保守における作業時間の削減と回線の運用状態への復帰を短縮することが可能になるということである。その理由は、交換時には調整したデータを保存しておき、交換後の調整がなくなることで、直ぐに回線を復旧できるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[構成の説明]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の一実施の形態としての無線通信装置の構成が示されている。
【0024】
図1において、無線通信装置1は、無線信号の送受信制御を実行する2つの送受信ユニット9と、電話交換機等外部装置と送受信ユニット9の間にあってデジタル信号を処理する信号処理ユニット6と、送受信ユニット9および信号処理ユニット6への設定制御および運用状態を監視するコントロールユニット7から構成されている。
【0025】
送受信ユニット9は故障時の回線断を考慮して現用/予備系の冗長構成を採用するため、1つの無線通信装置当たり2ユニットが実装される。各送受信ユニット9は、無線信号を制御・処理する無線送受信処理部4と、パネルの制御データおよび調整データ(以下、「制御・調整データ」と記す)を保存する不揮発性メモリ2と、信号ラッチ部10を有し、変復調および誤り訂正処理などの無線制御とアナログ信号処理を行う。
【0026】
信号処理ユニット6は、信号のスピード変換や載せ代えを実施するデジタル信号処理部5とパネルの制御・調整データを保存する不揮発性メモリ2と、信号ラッチ部10を有し、外部装置と送受信ユニット9との間でインタフェースを行う。
【0027】
コントロールユニット7は、送受信ユニット9および信号処理ユニット6への設定制御を行うCPU3と、送受信ユニット9および信号処理ユニット6から収集した制御・調整データを格納しておくための着脱可能な不揮発性メモリ13と、コントロールユニット7の交換時に送受信ユニット9および信号処理ユニット6へプロテクト信号を通知するための動作プロテクトスイッチ8と、当該無線通信装置1の状態を作業者に通知するためのLED14を有している。
【0028】
送受信ユニット9および信号処理ユニット6は、コントロールユニット7とデータ制御線12で接続され、制御・調整データの送受を行うことができる。動作プロテクトスイッチ8は送受信ユニット9および信号処理ユニット6に備え付けられた信号ラッチ部10に接続され、プロテクト信号のON/OFF状態をCPU3経由で無線送受信処理部4とデジタル信号処理部5に通知する。また、プロテクト信号のON/OFF状態は信号ラッチ部10に保持され、更に信号ラッチ部10からCPU3へ戻されて送受信ユニット9および信号処理ユニット6の現状のプロテクト情報を表示する。
【0029】
[動作の説明]
図1に示す各ユニットに制御・調整データを保存する処理の流れを図2に示す。信号処理ユニット6と送受信ユニット9の不揮発性メモリ2には、生産時に基本となる制御・調整データが書き込まれ、コントロールユニット7と組み合わされて無線通信装置1として出荷される。
【0030】
出荷された無線通信装置1は、運用現地で電源をONして起動した際に、送受信ユニット9および信号処理ユニット6にROMデータ要求を出力する。そして、不揮発性メモリ2に書き込まれているROMデータ(制御・調整データ)をデータ制御線12経由で受信すると、着脱可能な不揮発性メモリ13に保存する。このとき動作プロテクトスイッチ8はOFF状態を示し、初期立ち上げであることを送受信ユニット9および信号処理ユニット6に通知する。
【0031】
動作プロテクトスイッチ8がOFF状態であることは信号ラッチ部10に保持される。これにより、送受信ユニット9および信号処理ユニット6は不揮発性メモリ2を自由に読み書きし、無線通装置1は運用に供される。
【0032】
また、運用中に現地にて微調整が必要な場合、作業者はコントロールユニット7から調整を行う。調整方法は、着脱可能な不揮発性メモリ13に保存された制御・調整データを書き換えてデータ制御線12を通じて送受信ユニット9および信号処理ユニット6に送信する。送受信ユニット9および信号処理ユニット6は送信されてきた制御・調整データを元に処理を行うと同時に、不揮発性メモリ2に上書きする。
【0033】
作業者は、調整結果が満足する結果であれば調整が終了したことをコントロールユニット7に通知し、コントロールユニット7は再び送受信ユニット9および信号処理ユニット6から制御・調整データをデータ制御線12経由で受信して、着脱可能な不揮発性メモリ13の内容と受信した各ユニットからのデータが同じであることを確認して終了する。また、調整結果に満足しない場合は、再び調整を実施して満足する結果になるまで上記の作業を繰り返す。
【0034】
次に、信号処理ユニット6の交換方法について図3を参照しながら説明する。信号処理ユニット6の交換中は回線断が発生してしまうが、なるべくその影響を少なくするようにしたいために、先ず交換前に動作プロテクトスイッチ8をON状態することで、送受信ユニット9および信号処理ユニット6に信号処理ユニット6が交換中であることを通知する。各信号ラッチ部10は動作プロテクトスイッチ8がON状態であることを保持する。
【0035】
送受信ユニット9内の無線送受信処理部4はプロテクトスイッチ信号がON状態であることを認識した時点で不揮発性メモリ2への書込みを禁止し、無線信号の処理・制御も現状から変更せずに維持する。また、信号ラッチ部10によりプロテクトスイッチ信号がON状態であることは、そのままコントロールユニット7のCPU3部へ通知される。
【0036】
信号処理ユニット6内のデジタル信号処理部5もプロテクトスイッチ信号がON状態であることを認識した時点で不揮発性メモリ2への書込みを禁止し、信号の処理・制御も現状の状態を維持する。また、信号ラッチ部10によりプロテクトスイッチ信号がON状態であることはそのままコントロールユニット7のCPU3へ通知される。
【0037】
CPU3は無線送受信処理部4およびデジタル信号処理部5から戻ってきたプロテクトスイッチ信号がON状態であることを確認したのち、ROMデータ要求によりデータ制御線12から現状の設定および不揮発性メモリ2内の制御・調整データを全て読み出して着脱可能な不揮発性メモリ13に保存しておく。以上の全てが終了したことを、例えばLED14の点滅等で確認したならば作業者は信号処理ユニット6を交換する。
【0038】
無線通信装置1に装着する新しい信号処理ユニット6は交換用であり、製造時に調整を実施せずに作業者が現地まで運搬することを基本とする。交換後、新ユニットが交換されたことを検知したコントロールユニット7は信号処理ユニット6に着脱可能な不揮発性メモリ13に保存している調整データを不揮発性メモリ2に書き込むように指示をすると共にデータを送信する。
【0039】
信号処理ユニット6は受信したデータを不揮発性メモリ2に書き込み、初期化・再調整を終了する。このとき書き込みが終了したことをコントロールユニット7に通知する。コントロールユニット7はLED14を点灯/点滅などの制御を行うことで、作業者に交換作業が終了したことを知らせる。作業者は処理の終了を確認したならば動作プロテクトスイッチ8をOFFして各ユニットを通常動作に戻し、交換作業が終了する。
【0040】
以上の交換時には、入力がない状態で送受信ユニット9において送受信制御を行うことになるが、送受信ユニット9では不揮発性メモリ2の書込みを行なわず、読み出すのみで送受信制御を行うため、入力を伴わない送受信制御の結果が不揮発性メモリ2の内容に反映されることはなく、無線通装置1は現状維持の通信を継続できる。
【0041】
なお、この交換手順は、送受信ユニット9を交換する場合も同様である。だたし、送受信ユニット9は現用と予備の2系統があるので交換側を予備系に切り替えることで信号断がないままに交換可能となる。
【0042】
次に、コントロールユニット7の交換方法を示す。コントロールユニット7は信号処理ユニット6の設定制御および運用状態を監視するものであるから、図3と図4の対比から明らかのように、基本的には信号処理ユニット6の交換方法と同じである。動作プロテクトスイッチ8をONすることから始まり、送受信ユニット9および信号処理ユニット6の動作を現状維持としてからコントロールユニット7の交換を行う。
【0043】
但し、交換時には、古いコントロールユニット7から着脱可能な不揮発性メモリ13を着脱し、新しいコントロールユニット7に装着する。これにより、交換前まで送受信ユニット9、信号処理ユニット6およびコントロールユニット7自体が使用してきた制御・調整データをそのまま引き継ぐことが可能となる。
【0044】
更に、新しいコントロールユニット7を装着する際に、その動作プロテクトスイッチ8をONの状態で行なうことで、送受信ユニット9および信号処理ユニット6へのプロテクト指示は交換前のままである。コントロールユニット7は、起動時に動作プロテクトスイッチ8がONであり、かつ送受信ユニット9および信号処理ユニット6からスイッチ応答情報もプロテクトONであることを確認して、プロテクト状態で起動したことを認識する。
【0045】
コントロールユニット7は送受信ユニット9および信号処理ユニット6と着脱可能な不揮発性メモリ13に書き込まれているデータの比較を実施して、差分がない場合に交換終了としてLED14を点灯/点滅して作業者に知らせる。これにより作業者は動作プロテクトスイッチ8をOFFして作業は全て終了となる。比較して差分があった場合は、作業者はデータを確認してどのようにするか手順書に則って処理を行う。
【0046】
このように、上記実施例では、スイッチ情報による交換時の回線制御の抑制と、制御・調整データの比較による抑制直前の状態の保存と確認をしているので、交換前の状態で制御が開始され、その結果、交換前の回線状態を保持できる。
【0047】
更には、本実施例では、動作プロテクトスイッチ8とLED14が設けられているので、作業者は確実かつ簡単に作業をすることができる。
【0048】
[発明の他の実施の形態]
本発明の他の実施例として、その基本的構成は上記の通りであるが、着脱可能な不揮発性メモリ13について更に工夫した構成を図5に示す。
【0049】
図5を参照すると分かるように、この実施例では、図1においてコントロールユニット7内に装備していた着脱可能な不揮発性メモリ13を外へ取り出して、データバス・データ制御線15により全ユニットに接続された着脱可能な不揮発性メモリ15としている。そして、この不揮発性メモリ15に、図1では送受信ユニット9および信号処理ユニット6に搭載していた不揮発性メモリ2の役割をも担わせている。即ち、動作プロテクトスイッチ8からのプロテクト信号で、着脱可能な不揮発性メモリ15を書込み禁止にすることで、プロテクト動作を実施して、回線になるべく影響のないユニット交換を実現できる。
【0050】
この実施例では、制御データおよび調整データを着脱可能な不揮発性メモリ15一括で集中管理しているので、交換後のコントロールユニット7と他ユニットのデータのROMデータ要求/送信のような手順が省かれて交換時間の短縮が見込まれる。
【0051】
また、着脱可能な不揮発性メモリ15をカード式のものにしておき、スロットなどで簡単に抜き差しできるようにすれば、データの保存やデータのバックアップも容易に実現可能となり、さらに着脱可能な不揮発性メモリ15自体が故障して交換される場合でも簡単に実施可能となる。よって、本実施例では、先の実施例と同様に交換時の回線保持を行うが、その交換時間の短縮と保守の容易性を実現している。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、無線基地局や無線回線装置など回線品質を守るために調整が必要で、かつ保守を考えた機能ブロックに分割されていて、人によって交換が可能なユニットで構成された無線通信機を使用した無線システム全般に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の無線通信装置の一実施例を示すブロック図
【図2】初期電源投入時において各ユニットに調整データ/処理値を保存する処理の流れ図
【図3】信号処理ユニットの交換処理の流れ図
【図4】コントロールユニットの交換処理の流れ図
【図5】本発明の無線通信装置の他の実施例を示すブロック図
【符号の説明】
【0054】
1 無線通信装置
2 不揮発性メモリ
3 CPU
4 無線送受信処理部
5 デジタル信号処理部
6 信号処理ユニット
7 コントロールユニット
8 動作プロテクトスイッチ
9 送受信ユニット
10 信号ラッチ部
11 データバス線
12 データ制御線
13 着脱可能な不揮発性メモリ
14 LED
15 データバス・データ制御線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能なユニットで構成される無線通信装置において、
無線信号の送受信制御を実行する送受信ユニットを制御する制御ユニットを交換するときは、前記各送受信ユニットは現状の設定および調整を維持して通信を行なうことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記送受信ユニットは、制御データおよび調整データを保存する不揮発性メモリと、前記制御ユニットが交換中であることを示す信号を保持する信号ラッチ部を備え、前記制御ユニットを交換中は、前記不揮発性メモリへの書込みが禁止されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、外部装置と前記送受信ユニットの間にあってデジタル信号を処理する信号処理ユニットと、前記送受信ユニットおよび前記信号処理ユニットへの設定制御および運用状態を監視するコントロールユニットとで構成され、
制御データおよび調整データを保存する不揮発性メモリと、前記コントロールユニットが交換中であることを示す信号を保持する信号ラッチ部を備え、前記コントロールユニットを交換中は、前記不揮発性メモリへの書込みが禁止されることを特徴とする請求項1〜2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記コントロールユニットは動作プロテクトスイッチを備え、前記信号処理ユニットまたは該コントロールユニットを交換するときは、前記動作プロテクトスイッチをOFFからONに切り替えることにより前記信号ラッチ部をONにセットすることを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記コントロールユニットは前記送受信ユニットおよび前記信号処理ユニットから収集した制御データおよび調整データを格納しておき、必要に応じて前記不揮発性メモリへ書き込むための着脱可能な不揮発性メモリを備えたことを特徴とする請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
交換可能なユニットで構成される無線通信装置において、
不揮発性メモリに保存した制御データおよび調整データにより無線信号の送受信制御を実行する少なくとも1つの送受信ユニットと、
外部装置と前記送受信ユニットの間にあって不揮発性メモリに保存した制御データおよび調整データによりデジタル信号を処理する信号処理ユニットと、
動作プロテクトスイッチを備え前記送受信ユニットおよび前記信号処理ユニットへの設定制御および運用状態を監視するコントロールユニットを有し、
前記送受信ユニットは前記信号処理ユニットまたは前記コントロールユニットを、前記信号処理ユニットは前記コントロールユニットを、それぞれ交換するときは前記動作プロテクトスイッチの操作により交換中であることを示す信号が信号ラッチ部に設定されて前記不揮発性メモリへの書込みが禁止されることを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
前記不揮発性メモリおよび前記着脱可能な不揮発性メモリの保存内容を一括管理する着脱可能な不揮発性メモリを前記ユニットの外に設けたことを特徴とする請求項5〜6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
請求項6に記載の無線通信装置におけるユニット交換方法であって、
前記信号処理ユニットを交換するときは、
前記動作プロテクトスイッチをONにして前記送受信ユニットの前記信号ラッチ部にON状態であることを保持する手順と、
前記信号ラッチ部がON状態であるときは前記信号処理ユニットの不揮発性メモリへの書込みが禁止される手順と、
前記不揮発性メモリが保存している前記制御データおよび調整データを前記着脱可能な不揮発性メモリに保存する手順と、
前記信号処理ユニットの交換後に前記着脱可能な不揮発性メモリに保存している前記制御データおよび調整データを該信号処理ユニットの不揮発性メモリに書き込む手順と、
前記動作プロテクトスイッチをOFFにして前記送受信ユニットの前記信号ラッチ部にOFF状態であることを保持する手順を有することを特徴とするユニット交換方法。
【請求項9】
請求項6に記載の無線通信装置におけるユニット交換方法であって、
前記コントロールユニットを交換するときは、
前記動作プロテクトスイッチをONにして前記信号ラッチ部にON状態であることを保持する手順と、
前記信号ラッチ部がON状態であるときは前記不揮発性メモリへの書込みが禁止される手順と、
前記不揮発性メモリが保存している前記制御データおよび調整データを前記着脱可能な不揮発性メモリに保存する手順と、
前記コントロールユニットの交換後に前記着脱可能な不揮発性メモリに保存している前記制御データおよび調整データを前記不揮発性メモリに書き込む手順と、
前記動作プロテクトスイッチをOFFにして前記信号ラッチ部にOFF状態であることを保持する手順を有することを特徴とするユニット交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−130420(P2010−130420A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303714(P2008−303714)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】