説明

無線通信装置および通信装置

【課題】無線で接続された機器同士の登録やコンテンツのやり取りを直感的な操作で実現する。
【解決手段】無線通信路を介して伝送信号を送受信するインタフェース部と、通信装置を一意に特定する識別情報を蓄積するメモリ部と、前記通信装置の方位を示す方位情報を生成するセンサー部と、前記通信装置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記インタフェース部を介して前記通信装置とペアリング処理を行う際、前記メモリ部に蓄積される識別情報と、当該ペアリング処理時に前記センサー部が生成する方位情報と、を関連付けて記憶することを特徴とする無線通信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク接続された機器のペアリング(登録)および接続に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、宅内のIP(Internet Protocol)ネットワークで接続された録画機器に録画された番組などをテレビなどの表示機器で簡単に表示させるための制御方法としてDLNA(Digital Living Network Alliance)などが普及してきている。DLNAでは録画機器に蓄積された番組をIPネットワークで接続された表示機器で表示させることなどが可能である。IPネットワークの接続形態としてはEthernet(登録商標)によるLAN(Local Area Network)ケーブルなどの有線接続のほかにWi−Fi Allianceで規定されたWi−Fi(登録商標)などによる無線接続も浸透してきている。
【0003】
無線接続の場合、有線接続と異なり接続形態が見えづらいため、どの機器と接続されているかを特定することであるペアリング(登録)およびその後の通信のための接続方法が重要となる。
【0004】
接続機器の登録方法としては、メニュー画面から接続希望の機器を選択して登録させる方法が多く用いられている。この場合、接続される機器側でも接続する機器を選択して接続を許可する操作を行うことが必要な場合もある。また、登録済みの機器と接続する場合にも、やはりメニュー画面から接続先の機器を選択する操作が必要となる。
【0005】
無線機器は移動が容易であるので機器の位置情報と絡めて接続する機器を特定する方法がある。
【0006】
以下、特許文献1に記載された従来の無線機器のペアリング(登録)および接続方法について説明する。
【0007】
図11は従来のGPS(Global Positioning System)を搭載した携帯電話をもちいた投票システムであり、携帯電話と選挙情報センタのペアリングの一実施例を示す図である。
【0008】
図11に示されるように、このシステムは、携帯端末装置1101(携帯電話)、公衆電話回線の基地局1102、選挙情報の提供を行う選挙情報センタ1103からなっている。
【0009】
携帯端末装置1101は、通信用アンテナ1112を有している。この通信用アンテナ1112は通信制御部1113に接続されている。この通信制御部1113では選挙情報センタ1103からの情報の取得の処理や、電子メールの送受信の管理を行う。このために、通信制御部1113はデータ通信のためのモデムを内蔵している。その他に携帯端末装置1101はGPS衛星1104の位置信号を受信するためのGPS受信アンテナ1110と、GPS信号を受信制御するGPS受信部1111と、全体の動作を制御する処理部1114と、各種テキストの表示手段である表示部1115と、投票者の操作により各種情報を入力する操作部1116と、受信した情報やその他各種情報を記憶する記憶部1117と、マイクとスピーカで外部との通話を行う通話部1118とを備えている。
【0010】
一方、地上には、多数の基地局1102が設けられており、携帯端末装置1101は、最寄りの基地局1102との間で無線通信する。そして、基地局1102は、選挙情報センタ1103と電話局などを介し接続されている。
【0011】
選挙情報センタ1103は、外部との通信を制御する通信部1130を有している。なお、この通信部1130は、携帯端末装置1101だけでなく、外部の各種データベースと接続され、各種の情報を収集する。通信部1130には、処理部1131が接続されている。この処理部1131は通信部1130を介して情報のやりとりを制御する。また、処理部1131には、位置情報から場所を特定するための地図データなどの各種情報を記憶するデータベース1135が接続されている。処理部1131は、各種情報をこのデータベース1135に記憶させ、要求に応じて適切な情報をデータベース1135より読み出し、通信部1130を介して送出したり、受信した投票データの集計を行ったりする。また、選挙情報センタ1103は受信した携帯端末装置1101からの情報よりGPSの位置信号を識別し、その位置信号からその携帯端末装置1101の位置情報を検出する位置情報検出部1134を有する。
【0012】
また、処理部1131には、認証装置1132が接続されている。この認証装置1132は、アクセスしてきた携帯端末装置1101が予め登録している正規の投票者であるかを認証する。認証装置1132に接続されている認証用メモリ1133には、投票者の認証用のデータが記憶されている。この投票者認証用のデータとして、投票者のIDに対応して、パスワードが記憶されると共に、投票者が事前に登録した投票場所の位置情報が記憶されている。
【0013】
そして、携帯端末装置1101において、選挙情報センタ1103からのサービスの提供を受ける場合には、予めID、パスワード、利用電話番号を選挙情報センタ1103に登録する必要がある。この作業を行うことにより、ID、パスワード、利用電話番号が選挙情報センタ1103の認証用メモリ1133に記憶される。
【0014】
投票者が携帯端末装置1101を利用して選挙情報センタ1103へ携帯端末装置1101での投票を行うことを登録する場合の処理について説明する。まず、投票者は操作部1116によって、発信操作を行う。これによって、通信制御部1113は通信アンテナ1112を制御して選挙情報センタ1103に対し発信する。選挙情報センタ1103と携帯端末装置1101が接続された場合には、携帯端末装置1101は、選挙情報センタ1103が用意した新規登録画面へアクセスし、IDおよびパスワード、投票希望位置情報を送信する。ここで投票希望位置情報とはGPS受信部1111により受信した位置信号ではなく、投票者が希望する投票場所の名称および住所である。
【0015】
選挙情報センタ1103は、認証用メモリ1133に記憶されているデータに基づいて判別を行う。即ち、送信されたIDに対応して記憶されているパスワードを読み出し、送信されたパスワードと記憶されているパスワードが一致するかを判別する。 選挙権の有無の関係でIDが登録されていなかったり、パスワードが一致しない場合には、登録を拒否する。
【0016】
新規登録であることが確認されれば、認証装置1132は投票希望位置情報を認証用メモリ1133に書き込み、登録内容を投票者に送信する。そこで、投票者において登録状況を確認して処理を終了する。
【0017】
次に、投票者が携帯端末装置1101を利用して投票を行う場合の処理について説明する。まず、投票者は操作部1116によって、発信操作を行う。これによって、通信制御部1113は通信アンテナ1112を制御して選挙情報センタ1103に対し発信する。選挙情報センタ1103と携帯端末装置1101が接続された場合には、携帯端末装置1101は、選挙情報センタ1103が用意した認証画面へアクセスし、IDおよびパスワードを送信し、さらにGPS受信部1111により受信されたGPS位置信号が自動送信される。
【0018】
選挙情報センタ1103は、送信されたIDに対応して認証用メモリ1133に記憶されているパスワードを読み出し、送信されたパスワードと記憶されているパスワードが一致するかおよび携帯端末装置1101での投票として登録されているかを判別する。携帯端末装置111での投票として登録されていなかったり、パスワードが一致しない場合には、認証エラー画面を表示し、利用を拒否する。
【0019】
登録されていることが確認されれば、位置情報検出部1134は携帯端末装置1101より受信したGPS位置信号から携帯端末装置1101の現在の位置情報を検出する。
【0020】
そして、認証装置1132は位置情報検出部1134により検出された位置情報と、登録されている投票希望位置情報とを比較し、一致するかどうかを判別する。この場合、多少の誤差を考慮した上で判別を行う。ここで検出された位置情報と、登録されている投票希望位置情報とが一致しない場合には、不正利用とみなし、認証エラー画面を表示して利用を拒否する。
【0021】
一方、一致すると判別された場合には、データベース1135からの情報をもとに、投票画面の表示や立候補者データなどの送信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2002−163414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
このように、特許文献1の従来のペアリング(登録)および機器接続方法では、接続機器(この場合、携帯電話)の位置情報を使って機器の接続可否を判断できたが、位置情報によって被接続機器側(この場合、選挙情報センタ側)が判断するため、接続機器側(この場合、携帯電話側)が特定の機器に接続を希望する場合には接続機器側で判断することができない。このため、たとえば宅内で利用する場合、接続機器(リモコン端末など)側が複数ある機器(テレビなど)から特定のテレビに接続を希望する場合に接続できなかった。また、一般的に用いられている、メニューから接続機器を選択する方法では操作が煩雑であった。
【0024】
本発明は、このような課題を解決するもので、接続機器であるリモコン端末側で被接続機器側であるテレビに対する方位情報を登録した後に方位情報を基に接続の可否を判断する。
【0025】
この結果、タッチパネルなどが搭載されたリモコン端末ではテレビの方向を示す操作、たとえば、テレビの方向にタップ操作を行うことで接続が可能になり、ユーザが意識した機器と接続する手段を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために、本発明の無線通信装置は、自装置の方位情報を取得する方位情報取得手段と、複数の通信装置を識別する識別情報を記憶する記憶手段と、前記複数の通信装置から一の通信装置を選択する選択手段と、前記選択された一の通信装置の方向入力を受け付ける入力手段と、前記方位情報と前記方向入力に基づいて前記選択された一の通信装置の機器方位を決定し、前記機器方位を前記選択された一の通信装置の識別情報と関連付けて前記記憶手段に記憶させる制御手段と、自装置の機器IDを前記選択された一の通信装置に送信する通信手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0027】
前記制御手段は、前記機器方位が前記記憶手段に記憶されている場合、前記機器方位と関連付けられた識別情報によって識別される一の通信装置に自装置の機器IDを送信し通信を開始するよう前記通信手段を制御する、ことを特徴とする。
【0028】
また、前記機器方位は、向きと大きさをもつ、こととしてもよい。
【0029】
また、自装置の移動情報を取得する移動情報取得手段、をさらに備え、前記制御手段は、前記移動情報に基づいて前記機器方位または前記方向入力を補正する、こととしてもよい。
【0030】
上記目的を達成するために、本発明の無線通信装置は、自装置の方位情報を取得する方位情報取得手段と、複数の通信装置を識別する識別情報を記憶する記憶手段と、前記複数の通信装置から一の通信装置を選択する選択手段と、前記選択された一の通信装置の方向入力を受け付ける入力手段と、前記方位情報と前記方向入力に基づいて前記選択された一の通信装置の機器方位を決定し、前記機器方位を前記選択された一の通信装置の識別情報と関連付けて前記記憶手段に記憶させる制御手段と、自装置の機器IDと前記機器方位を前記選択された一の通信装置に送信する通信手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0031】
前記制御手段は、前記機器方位が前記記憶手段に記憶されている場合、前記機器方位と関連付けられた識別情報によって識別される一の通信装置に前記機器方位を送信し通信を開始するよう前記通信手段を制御する、ことを特徴とする。
【0032】
上記目的を達成するために、本発明の通信装置は、機器方位を受信する通信手段と、前記機器方位を記憶する記憶手段と、前記機器方位が前記記憶手段に記憶されている場合、前記機器方位によって特定される無線通信装置と通信を開始するよう前記通信手段を制御する制御手段と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の無線通信装置によれば、登録された機器と接続する場合、これまでは被接続機器をメニューから選ぶという操作が必要であったが、機器の方向に向かって操作するだけで接続が可能となり、接続機器側のコンテンツを通信装置であるテレビ(被接続機器)に表示させるなどの操作もユーザが直感的に行うことが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1における無線通信装置と通信装置の構成を表す図
【図2】本発明の実施の形態1における無線通信装置の登録処理の流れを示す図
【図3】本発明の実施の形態1におけるセンサー部の方位情報取得と機器方位情報入力について示す図
【図4】本発明の実施の形態1におけるテレビに映像データを送信する場合の処理の流れを示す図
【図5】本発明の実施の形態1におけるテレビへの画像送信およびテレビでの画像表示の図
【図6】本発明の実施の形態1における同じ方位にテレビが2台ある場合の図
【図7】本発明の実施の形態2における無線通信装置と通信装置の構成を表す図
【図8】本発明の実施の形態2における無線通信装置が移動された場合の図
【図9】本発明の実施の形態3におけるテレビの登録処理の流れを示す図
【図10】本発明の実施の形態3におけるテレビに映像データを送信する場合の処理の流れを示す図
【図11】従来のペアリング(登録)および機器接続方法を表す図
【発明を実施するための形態】
【0035】
(実施の形態1)
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施の形態1における無線通信装置の構成を表す図である。
【0037】
本発明の実施の形態1における無線通信装置100(接続機器)は、Wi−Fi(登録商標)などの無線により伝送信号を送受信するインタフェース部101と、通信装置(被接続機器)のMAC(Media Access Contorl)アドレスや機器IDなどの識別情報を特定して記憶するメモリ部102と、地磁気センサーなど、無線通信装置100の方位を示す方位情報を生成するセンサー部103と、ユーザが無線通信装置100に対して操作を入力するタッチパネルなどの入力部104と、無線通信装置100の通信やデータ処理に関する処理を制御する制御部105と、無線通信装置100の図示しない液晶ディスプレイなどの表示部に表示する画像を処理する画像処理部106を有し、本発明の通信装置の一例であるテレビ110は、伝送信号を送受信するインタフェース部111と、テレビ110の通信やデータ処理に関する処理を制御する制御部112と、テレビ110の図示しない表示部に表示する画像を処理する画像処理部114を有する。なお、無線通信装置の形態はタッチパネル機能付液晶ディスプレイを搭載したモバイル端末などが考えられるが特に限定しない。また通信装置はテレビに限定しない。
【0038】
無線通信装置100はホームネットワーク120を介してWi−Fi(登録商標)などで接続された機器にデータを転送する場合、はじめに接続する機器を登録する必要がある。
【0039】
本発明の無線通信装置100における被接続機器であるテレビ110の機器登録作業の流れを図2に示す。また、センサー部103における方位情報取得と入力部104における機器方位情報入力について図3に示す。
【0040】
図2において、無線通信装置100が無線通信装置100側でデータを通信する機器を登録しようとすると(S201)、まず、センサー部103で地磁気センサーなどを利用して方位情報を取得する(S202)。図3において、たとえば無線通信装置100の中心からマーク107の方向を基準の向きとする。この場合、基準の向きは北である。
【0041】
次に無線通信装置100はメモリ部102に記憶されている機器の一覧を無線通信装置100の図示しない液晶ディスプレイなどの表示部に表示する。ユーザは表示部に表示された機器の中からこれから登録しようとする機器であるテレビ110を選択する。無線通信装置100はメモリ部102からテレビ110に関する情報を読み出す(S203)。機器に関する情報のメモリ部102への記憶はユーザによる直接入力であってもよいし、ホームネットワーク120を介して取得することとしてもよい。
【0042】
次にタッチパネルである入力部104において、ユーザはテレビ110の方向を指し示す(S204)。たとえば図3にあるように入力部104の中心から右上にタッチパネルである入力部104をなぞる。制御部105では、センサー部103の方位情報と入力部104の入力情報をもとにテレビ110がある方位が北東であるとしてテレビ110の機器方位を確定する(S205)。制御部105ではテレビ110に関する情報(テレビ110の機器IDを含む)とテレビ110の機器方位とを関連付けてメモリ部102に記憶する(S206)。併せて、メモリ部102に記憶されている無線通信装置100自身の機器IDを読み出して(S207)、テレビ110に送信し(S208)、機器登録作業が完了する。なお、テレビ110の機器ID読み出しはDLNA(Digital Living Network Alliance)などの通信規格を用いてもよいし、予めユーザが登録してもよく、特に限定しない。この機器登録作業により、無線通信装置100にはテレビ110の機器IDと機器方位が、テレビ110には無線通信装置100の機器IDがメモリ部113に登録される。なお、図3のテレビ110bを登録したい場合には、テレビ110bに関する情報を読み出し、入力部104で北西の方向になぞればテレビ110bも同様に登録可能である。
【0043】
次に機器登録作業が完了したテレビ110にデータとして画像データを送信する場合の処理の流れについて図4に示す。
【0044】
図4において、たとえば表示部で写真などの画像を選択して、この写真をテレビ110で表示させようと、無線通信装置100が接続機器接続の作業を開始すると(S401)、制御部105では、たとえばメニュー選択やボタン押下などの操作で無線通信装置100を接続状態に遷移させ(S402)、送信する画像を選択する(S403)。次に、入力部104で表示させたいテレビ110の方向、つまり北東の方向に指をなぞると、制御部105は機器接続状態に遷移しているので機器方位が入力されたと判断し(S404)、メモリ部102から入力された機器方位である北東が登録されている機器情報つまりテレビ110の機器IDを読み出す(S405)とともに無線通信装置100自身の機器IDも読み出す(S406)。ここからはDLNAなどの通信規格などで、無線通信装置100の機器IDと選択された画像の画像データをテレビ110に送信して(S407)、送信作業が完了する。テレビ110ではインタフェース部111で受け取った画像データを制御部112で判別し、画像処理部114で処理して図示しない表示部に表示させる。テレビ110への画像データ送信およびテレビ110での画像表示のイメージ図を図5に示す。
【0045】
なお、同じ方向、たとえば北東にテレビ110とテレビ110bが存在する場合は制御部105で機器登録時に機器方位のほかに、入力部104をなぞる際の移動距離情報を併せて記憶することで判別可能である。同じ方位にテレビが2台ある場合のイメージ図を図6に示す。
【0046】
無線通信装置100に対して近くにあるテレビ110を登録する場合は、ユーザは入力部104での機器方位情報入力時、なぞる距離を短くして(たとえば5cm)、その距離である5cmを機器ID、機器方位ととともに記憶させる。また、無線通信装置100に対して遠くにあるテレビ110bを登録する場合は、ユーザは入力部104での機器方位情報入力時、なぞる距離をテレビ110よりも長くして(たとえば10cm)、その距離である10cmを機器ID、機器方位ととともに記憶させる。これにより、画像データ送信時、入力部104での操作において、機器方位に移動距離情報(なぞる距離が長い、短い)が加わることで2台のテレビ110、110bを判別可能となる。
【0047】
なお、機器登録作業完了後もセンサー部103を継続して動作させ、無線通信装置100の向きが基準の向きから変化した場合には、メモリ部102に記憶された機器方位または入力部104をなぞる際の方向を補正してもよい。これにより無線通信装置100の向きが変わっても変更前と同様の効果が得られる。
【0048】
(実施の形態2)
次に、無線通信装置100が機器方位情報に加えて移動情報を用いて機器登録や接続を行う場合の形態について説明する。
【0049】
図7は、本発明の実施の形態2における無線通信装置の構成を表す図である。また、図8は無線通信装置100が移動された場合のイメージ図である。
【0050】
本発明の実施の形態2における無線通信装置100は、ジャイロセンサーなどを含み無線通信装置100の移動距離および移動方向を示す情報を生成する位置検出部108を有する以外は実施の形態1と同じ構成を有する。
【0051】
無線通信装置100は実施の形態1と同様にテレビ110の機器登録作業を行ったのち、図8のように無線通信装置100がテレビ110に向かって右側(東側)に、ユーザにより移動された場合、制御部105は位置検出部108で移動距離および移動方向(以下、「移動情報」という。)を検出する。無線通信装置100の移動後、テレビ110への画像データ送信処理の際、メモリ部102からテレビ110の機器方位を読み出し位置検出部108での移動情報を基にテレビ110の機器方位を補正する。この場合、無線通信装置100はテレビ110に向かって右側(東側)に、ユーザにより移動されたので、テレビ110は無線通信装置100に対して機器登録時の北東側から北側にあると補正する。これにより、画像データ送信時、ユーザが無線通信装置100の移動後の位置に基づいて、入力部104でテレビ110の機器方位を北側に入力しても(入力部104で北の方向に指をなぞっても)テレビ110に正しく画像データを送信することが可能となる。
【0052】
なお、機器方位の補正方法は、ジャイロセンサーなどから得られる無線通信装置100の移動情報に基づく方法ではなく、特定の地点や物体に対する相対位置情報やGPSなどを基にした絶対位置情報から得られる無線通信装置100の移動情報に基づく方法でもよく、様々な既存技術を適用することができる。
【0053】
また、メモリ部102に登録されたテレビ110の機器方位を補正するのではなく、入力部104をなぞる際の方向を補正してもよい。すなわち、無線通信装置100の移動前のテレビ110の機器方位(北東)を基に、無線通信装置100の移動情報(東側)を考慮して、ユーザが無線通信装置100の移動後のテレビ110の機器方位(北)を入力した場合に、元々テレビ110の機器方位は北東であった、と補正するのではなく、無線通信装置100が東側へ移動した時点、あるいはその後、機器方位の入力を開始しようとした時点でテレビ110の機器方位を元々の北東から北に補正し、その上でユーザが機器方位(北)を入力したら、ユーザが入力した機器方位(北)とテレビ110の機器方位(北)が一致するとしてもよい。
【0054】
これにより無線通信装置100が場所を変更しても変更前と同様の効果が得られる。
【0055】
(実施の形態3)
次に、無線通信装置100とテレビ110の間を機器IDではなく機器方位を送信することで機器登録および接続を行うことを実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0056】
無線通信装置100およびテレビ110の構成は実施の形態1で説明された図1と同じである。
【0057】
本発明の無線通信装置100における被接続機器としてテレビ110の機器登録作業の流れを図9に示す。
【0058】
図9において、無線通信装置100が無線通信装置100側で接続する機器を登録しようとすると(S901)、センサー部103で地磁気センサーなどを利用して方位情報を取得する(S902)。基準の向きは北であるとする。
【0059】
次に無線通信装置100はメモリ部102に記憶されている機器の一覧を無線通信装置100の図示しない液晶ディスプレイなどの表示部に表示する。ユーザは表示部に表示された機器の中からこれから登録しようとする機器であるテレビ110を選択する。無線通信装置100はメモリ部102からテレビ110に関する情報を読み出す。
【0060】
次にタッチパネルである入力部104において、ユーザはたとえば入力部104の中心から右上にタッチパネルである入力部104をなぞることでテレビ110の方向を指し示す(S903)。制御部105では、センサー部103の方位情報と入力部104の入力情報をもとにテレビ110がある方位が北東であるとしてテレビ110の機器方位を確定する(S904)。制御部105ではテレビ110に関する情報(機器IDを含む)とテレビ110の機器方位とを関連付けてメモリ部102に記憶する(S905)。併せて、メモリ部102に記憶されている無線通信装置100自身の機器IDを読み出す(S906)。ここまでは実施の形態1と同様である。
【0061】
読み出した無線通信装置100自身の機器IDと無線通信装置100自身の機器方位をあわせてテレビ110に送信し(S907)、機器登録作業が完了する。ここで、無線通信装置100自身の機器方位はテレビ110の機器方位と向きが同じで方向が逆である。この機器登録作業により、無線通信装置100ではテレビ110の機器IDとテレビ110の機器方位がメモリ部102に記憶され、テレビ110には無線通信装置100の機器IDと無線通信装置100の機器方位がメモリ部113に記憶される。
【0062】
次に機器登録作業が完了したテレビ110にデータとして画像データを送信する場合の処理の流れについて図10に示す。
【0063】
図10において、たとえば、表示部で写真などの画像を選択して、この写真をテレビ110で表示させようと、無線通信装置100が接続機器接続の作業を開始すると(S1001)、制御部105では無線通信装置100を接続状態に遷移させ(S1002)、送信する画像を選択する(S1003)。次に、入力部104で表示させたいテレビ110の方向、つまり北東に指をなぞると、制御部105は機器接続状態に遷移しているので機器方位が入力されたと判断し(S1004)、メモリ部102に記憶されている機器方位と機器IDから選択された機器がテレビ110と確定し(S1005)、無線通信装置100自身の機器方位と選択された画像データをテレビ110に送信して(S1006)、送信作業が完了する(S1007)。テレビ110ではインタフェース部111で受け取った無線通信装置100の機器方位を制御部112で解析して、メモリ部113に記憶されている機器方位と一致すれば、画像データを制御部112で判別し、画像処理部114で処理して図示しない表示部に表示させる。
【0064】
なお、実施の形態3では、無線通信装置100自身の機器IDと無線通信装置100自身の機器方位をあわせてテレビ110に送信することとしたが、無線通信装置100自身の機器IDとテレビ110の機器方位をあわせてテレビ110に送信することとしてもよい。
【0065】
(その他の実施の形態)
なお、実施の形態1から実施の形態3で送信するデータを画像データとして説明したが特に限定しない。
【0066】
無線通信装置100から被接続機器にデータを送信する例を示したが、無線通信装置100が被接続機器からデータを受信する場合であっても本発明を適用することができる。
【0067】
機器登録の場面、接続の場面、画像データ送信の場面において、被接続機器の方向または機器方位を入力する手段としてタッチパネルである入力部104を例示したが特に限定しない。例えば、カーソルキーであってもよいし、トラックボールであってもよいし、ジョイスティックであってもよいし、表示部に貼付されたタッチパネルではなく表示部とは別に備えられたタッチパッドであってもよい。
【0068】
センサー部103は必ずしも地磁気センサーなどを利用して方位情報を取得するものである必要はない。ユーザが無線通信装置に方位情報を入力するようにしてもよい。無線通信装置を使用するときの無線通信装置の向きが一定の場合、たとえば必ずテレビに向かって無線通信装置を使用する場合には、方位情報を取得しなくてもよい。その場合は、マーク107の方向(図3参照)を基準にして、たとえば時計回りに45度というように角度でもって機器方位を確定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る無線通信装置は、Wi−Fi(登録商標)などで接続されたテレビとポータブルデバイス(無線通信装置)間でデータをやり取りする際、テレビとポータブルデバイスの位置関係を直感的に入力するだけでデータのやり取りを行うことが可能であり、宅内IPネットワーク上のAV機器制御などに有用である。
【符号の説明】
【0070】
100 無線通信装置
101 インタフェース部
102 メモリ部
103 センサー部
104 入力部
105 制御部
106 画像処理部
107 マーク
108 位置検出部
110 テレビ
111 インタフェース部
112 制御部
113 メモリ部
114 画像処理部
120 ホームネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の方位情報を取得する方位情報取得手段と、
複数の通信装置を識別する識別情報を記憶する記憶手段と、
前記複数の通信装置から一の通信装置を選択する選択手段と、
前記選択された一の通信装置の方向入力を受け付ける入力手段と、
前記方位情報と前記方向入力に基づいて前記選択された一の通信装置の機器方位を決定し、前記機器方位を前記選択された一の通信装置の識別情報と関連付けて前記記憶手段に記憶させる制御手段と、
自装置の機器IDを前記選択された一の通信装置に送信する通信手段と、
を備える、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記機器方位が前記記憶手段に記憶されている場合、前記機器方位と関連付けられた識別情報によって識別される一の通信装置に自装置の機器IDを送信し通信を開始するよう前記通信手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記機器方位は、
向きと大きさをもつ、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記方位情報に基づいて前記機器方位または前記方向入力を補正する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
自装置の移動情報を取得する移動情報取得手段、
をさらに備え、
前記制御手段は、
前記移動情報に基づいて前記機器方位または前記方向入力を補正する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項6】
自装置の方位情報を取得する方位情報取得手段と、
複数の通信装置を識別する識別情報を記憶する記憶手段と、
前記複数の通信装置から一の通信装置を選択する選択手段と、
前記選択された一の通信装置の方向入力を受け付ける入力手段と、
前記方位情報と前記方向入力に基づいて前記選択された一の通信装置の機器方位を決定し、前記機器方位を前記選択された一の通信装置の識別情報と関連付けて前記記憶手段に記憶させる制御手段と、
自装置の機器IDと前記機器方位を前記選択された一の通信装置に送信する通信手段と、
を備える、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記機器方位が前記記憶手段に記憶されている場合、前記機器方位と関連付けられた識別情報によって識別される一の通信装置に前記機器方位を送信し通信を開始するよう前記通信手段を制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
機器方位を受信する通信手段と、
前記機器方位を記憶する記憶手段と、
前記機器方位が前記記憶手段に記憶されている場合、前記機器方位によって特定される無線通信装置と通信を開始するよう前記通信手段を制御する制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−59090(P2012−59090A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202579(P2010−202579)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】