説明

無線通信装置及び情報処理装置

【課題】無線通信装置3で、情報処理装置(例えば、パソコン)の置き忘れや盗難などによる情報の漏洩問題を効果的に防ぐ。
【解決手段】GPS機能を有し、情報処理装置に内蔵され又は着脱可能に接続され、情報処理装置から供給される電源により動作する。充電手段が情報処理装置から供給される電源を充電し、基準位置設定手段が基準位置を設定し、位置条件設定手段が所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となる基準位置に対する位置条件を設定し、位置条件判定手段が位置条件及びGPS機能により取得された自己の位置情報に基づいて前記条件となったか否かを判定し、セキュリティモード処理実行手段が前記条件となったことが判定された場合には所定のセキュリティモードの処理を実行する。情報処理装置の電源がオフであるときには、充電された電源により動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ(パソコン)などの情報処理装置のセキュリティ処理を行う機能を有する無線通信装置や、このような無線通信装置を備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8には、パーソナルコンピュータ(パソコン)の構成例を示してある。
本例のパソコンは、バッテリ1と、電源制御部2と、データ通信用無線モジュール101及びそのアンテナ111と、外部インターフェース制御部4と、クロック5と、CPU(Central Processing Unit)6と、電源スイッチ7と、マウス8と、キーボード9と、ハードディスク10と、メインメモリ11と、表示部12と、表示制御部13を備えている。
ここで、図8では、後述する実施例で参照される図1に示されるものと同様な処理部については、同一の符号を付してあるが、ここでは、本発明を不要に限定する意図は無い。
【0003】
本例のパソコンにより行われる動作を概略的に説明する。
CPU6は、電源スイッチ7からの入力を検出し、バッテリ1又は外部電源からの入力がある場合には、各ブロック(各処理部)に電源が供給されるように電源制御部2を制御する。各ブロックに電源が投入されると、クロック5から基準クロックがCPU6へ出力される。電源とクロックが安定に供給されると、CPU6は、完全に動作状態となり、パソコンを立ち上げるために必要なプログラムを起動し、その際に必要な情報をハードディスク10から読み出し、メインメモリ11上で高速に処理し、マウス8やキーボード9や表示部12などの機能が正常に動作するようにパソコンを立ち上げる。
【0004】
パソコンの起動処理が終わると、ユーザ(人)は、マウス8やキーボード9などを使ってハードディスク10にあるアプリケーションソフトを立ち上げて、例えばデータ通信モジュール(例えば、データ通信用無線モジュール101)をUSBやシリアルポートやPCスロットなどの外部インターフェースに接続し、CPU6や外部インターフェース制御部4を介して、マウス8やキーボード9により、データ通信モジュールを制御することができるようになる。例えば、プロバイダや通信事業者と必要な契約を結び、インターネットやメールのやり取りなどが可能になる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−111858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パソコンに電源が供給されていなければ、データ通信用のカード(データ通信モジュールの一例)などを外部インターフェースに取り付けても、メールのやり取りなどのデータ通信はできなかった。
また、今までのデータ通信モジュールはデータ通信専用のものであり、置き忘れや盗難などにあった場合には、その所在はわからなかった。盗難などがあり、ユーザが気付いていたとしても、情報の漏洩を防ぐことができなかった。
このようなことを防ぐためには、例えば、高額なセキュリティツールなどをインストールして、セキュリティ対策をしなければならなかった。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、パソコンの置き忘れや盗難などによる情報の漏洩問題を効果的に防ぐことができる無線通信装置及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第1の構成例)
(1−1)
上記目的を達成するため、本発明に係る無線通信装置では、次のような構成とした。
すなわち、GPS機能を有し、情報処理装置に内蔵され又は着脱可能に接続され、当該情報処理装置から供給される電源により動作する。
また、充電手段が、前記情報処理装置から供給される電源を充電する。基準位置設定手段が、基準位置を設定する。位置条件設定手段が、所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となる前記基準位置に対する位置条件を設定する。位置条件判定手段が、前記位置条件設定手段により設定された位置条件及び前記GPS機能により取得された自己の位置情報に基づいて、所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったか否かを判定する。セキュリティモード処理実行手段が、前記位置条件判定手段により所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったことが判定された場合には、所定のセキュリティモードの処理を実行する。
また、前記情報処理装置の電源がオフであるときには、前記充電手段により充電された電源により動作する。
【0009】
従って、無線通信装置(例えば、無線通信モジュール)では、例えば、情報処理装置(例えば、パソコン)から電源が供給される場合にはその電源により動作し、情報処理装置の電源がオフであるとき(情報処理装置から電源が供給されないとき)には充電された電源により動作することができる。また、基準位置に対する所定の位置条件が満たされた場合には、所定のセキュリティモードの処理を(自動的に)実行することができる。このような機能を用いて、情報処理装置の置き忘れや盗難などによる情報の漏洩問題を効果的に防ぐことができる。
【0010】
ここで、GPS機能としては、例えば、一般的なものが用いられてもよく、具体例としては、GPS衛星からの情報を受信して自己の位置情報を取得(例えば、演算)する機能や、無線通信機能を利用してサーバからGPS衛星に関する情報などを受信して自己の位置情報を取得(例えば、演算)する機能や、無線通信機能を利用してサーバから自己の位置情報を受信して取得する機能や、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0011】
また、無線通信装置としては、例えば、情報処理装置に内蔵されて設けられてもよく、或いは、情報処理装置と着脱可能に接続される構成が用いられてもよい。
また、充電手段としては、種々なものが用いられてもよい。
また、基準位置の設定としては、例えば、ユーザ(人)による操作や外部装置(例えば、情報処理装置など)からの制御に基づいて行われてもよく、或いは、無線通信装置により自動的に行われてもよく、或いは、予め無線通信装置に設定されてもよい。
また、基準位置としては、種々な位置が用いられてもよく、例えば、ユーザや外部装置により指定された位置や、或いは、同一(又は、所定の近辺)の位置に所定の期間以上存在した場合における当該位置などを用いることができる。
【0012】
また、位置条件の設定としては、例えば、ユーザ(人)による操作や外部装置(例えば、情報処理装置など)からの制御に基づいて行われてもよく、或いは、無線通信装置により自動的に行われてもよく、或いは、予め無線通信装置に設定されてもよい。
また、基準位置に対する位置条件としては、種々な条件が用いられてもよく、例えば、基準位置に対して所定の距離以上離れた場合に所定のセキュリティモードの処理が実行されるという条件を用いることができ、具体例として、基準位置を中心とした円の半径や直径などにより設定することが可能である。
【0013】
また、所定のセキュリティモードの処理としては、種々な処理が用いられてもよく、例えば、情報処理装置をロックする処理や、情報処理装置の電源をオンにする処理や、情報処理装置の電源をオフにする処理や、情報処理装置の所定のメモリに記憶された情報を消去する処理や、警報音などを発する処理や、所定のメールアドレス或いは所定の装置に宛てて自己の位置情報などを送信する処理などを用いることができる。
また、実行される所定のセキュリティモードの処理としては、例えば、ユーザ(人)による操作や外部装置(例えば、情報処理装置など)からの制御に基づいて設定(変更でもよい)されてもよく、或いは、無線通信装置により自動的に設定(変更でもよい)されてもよく、或いは、予め無線通信装置に設定されてもよい。
【0014】
また、実施態様例として、所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったことが判定されて、セキュリティモードが設定された後に、所定のメールの情報を送信する場合に、予め登録されているアドレスなどに宛てて所定のメールを送ることを定期的(例えば予め設定などされた一定の時間毎)に行う態様や、或いは、予め登録されているアドレスなどに宛てて所定のメールを送ることを、基準位置から離れた距離が一定の距離(例えば予め設定などされた距離)だけ増加する毎に行う態様などを用いることもできる。
【0015】
例えば、所定時間経過後又は所定距離移動後に、所定のメールアドレス或いは所定の装置に宛てて自己の位置情報を送信するようにしておけば、情報処理装置の存在する位置を容易に確認することができ、情報処理装置の捜索に役立てることができる。
【0016】
(1−1−2)
他の構成例を示しておく。
GPS機能を有し、情報処理装置に内蔵され又は着脱可能に接続され、当該情報処理装置から供給される電源により動作する無線通信装置であって、
前記情報処理装置から供給される電源を充電する充電手段と、
基準位置を設定する基準位置設定手段と、
所定のセキュリティモードの処理が実行される条件及び前記GPS機能により取得された自己の位置情報に基づいて、所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったか否かを判定する位置条件判定手段と、
前記位置条件判定手段により所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったことが判定された場合には、所定のセキュリティモードの処理を実行するセキュリティモード処理実行手段と、を有し、
前記情報処理装置の電源がオフであるときには、前記充電手段により充電された電源により動作する、ことを特徴とする無線通信装置。
【0017】
(1−2)
本発明に係る無線通信装置では、上記した(1−1)において、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、無線通信機能を有し、前記無線通信機能により所定のネットワークから送信されるGPSのアシストデータを受信して、自己の位置情報を取得する。
ここで、所定のネットワークとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、携帯電話などのシステムのネットワークを用いることができる。
【0018】
(1−3)
また、本発明では、上記した(1−1)又は(1−2)について、上記したような無線通信装置を備えた情報処理装置を提供することができる。
従って、情報処理装置の置き忘れや盗難などによる情報の漏洩問題を効果的に防ぐことができる。
ここで、無線通信装置や、情報処理装置としては、それぞれ、種々なものが用いられてもよい。
【0019】
(1−4)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、情報処理装置をロックする処理が用いられる。
(1−5)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、情報処理装置の電源をオンにする処理が用いられる。
(1−6)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、情報処理装置の電源をオフにする処理が用いられる。
【0020】
(1−7)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、情報処理装置の所定のメモリに記憶された情報を消去する処理が用いられる。
(1−8)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、警報音を発する処理が用いられる。
(1−9)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、所定のメールアドレス或いは所定の装置に宛てて自己の位置情報を含むメールを送信する処理が用いられる。
(1−10)
本発明では、一構成例として、上記した(1−9)において、前記メールは、セキュリティモードに設定されたことを示す情報を有する。
【0021】
(第2の構成例)
なお、(第2の構成例)では、例えば、上記した(第1の構成例)と比べて、無線通信装置が充電手段を有していないことに関する点を除いては、同様な構成を有しており同様な効果を得ることができ、同様な部分については詳しい説明を省略する。
【0022】
(2−1)
GPS機能を有し、情報処理装置に内蔵され又は着脱可能に接続され、当該情報処理装置から供給される電源により動作する無線通信装置であって、
基準位置を設定する基準位置設定手段と、
所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となる前記基準位置に対する位置条件を設定する位置条件設定手段と、
前記位置条件設定手段により設定された位置条件及び前記GPS機能により取得された自己の位置情報に基づいて、所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったか否かを判定する位置条件判定手段と、
前記位置条件判定手段により所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったことが判定された場合には、所定のセキュリティモードの処理を実行するセキュリティモード処理実行手段と、を有し、
前記情報処理装置の電源がオフであるときにおいても、前記情報処理装置から供給される電源により動作する、ことを特徴とする無線通信装置。
【0023】
従って、無線通信装置(例えば、無線通信モジュール)では、例えば、情報処理装置(例えば、パソコン)から電源が供給される場合にはその電源により動作し、また、情報処理装置の電源がオフであるときにおいても、当該情報処理装置から供給される電源で動作することができる。また、基準位置に対する所定の位置条件が満たされた場合には、所定のセキュリティモードの処理を(自動的に)実行することができる。このような機能を用いて、情報処理装置の置き忘れや盗難などによる情報の漏洩問題を効果的に防ぐことができる。
【0024】
(2−1−2)
他の構成例を示しておく。
GPS機能を有し、情報処理装置に内蔵され又は着脱可能に接続され、当該情報処理装置から供給される電源により動作する無線通信装置であって、
基準位置を設定する基準位置設定手段と、
所定のセキュリティモードの処理が実行される条件及び前記GPS機能により取得された自己の位置情報に基づいて、所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったか否かを判定する位置条件判定手段と、
前記位置条件判定手段により所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったことが判定された場合には、所定のセキュリティモードの処理を実行するセキュリティモード処理実行手段と、を有し、
前記情報処理装置の電源がオフであるときにおいても、前記情報処理装置から供給される電源により動作する、ことを特徴とする無線通信装置。
【0025】
(2−2)
上記した(2−1)に記載の無線通信装置において、
無線通信機能を有し、
前記無線通信機能により所定のネットワークから送信されるGPSのアシストデータを受信して、自己の位置情報を取得する、ことを特徴とする無線通信装置。
【0026】
(2−3)
上記した(2−1)又は(2−2)に記載の無線通信装置を備えたことを特徴とする情報処理装置。
従って、情報処理装置の置き忘れや盗難などによる情報の漏洩問題を効果的に防ぐことができる。
ここで、本構成例の情報処理装置は、例えば、その電源がオフであっても、可能であるときには、常に、無線通信装置へ電源を供給するように構成されている。なお、例えば、情報処理装置に外部から電源が供給されておらず且つ情報処理装置の内部にも電源が残っていないようなときには、無線通信装置へ電源を供給することができなくてもよい。
【0027】
(2−4)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、情報処理装置をロックする処理が用いられる。
(2−5)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、情報処理装置の電源をオンにする処理が用いられる。
(2−6)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、情報処理装置の電源をオフにする処理が用いられる。
【0028】
(2−7)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、情報処理装置の所定のメモリに記憶された情報を消去する処理が用いられる。
(2−8)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、警報音を発する処理が用いられる。
(2−9)
本発明では、一構成例として、所定のセキュリティモードの処理として、所定のメールアドレス或いは所定の装置に宛てて自己の位置情報を含むメールを送信する処理が用いられる。
(2−10)
本発明では、一構成例として、上記した(2−9)において、前記メールは、セキュリティモードに設定されたことを示す情報を有する。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明に係る無線通信装置や情報処理装置によると、情報処理装置の置き忘れや盗難などによる情報の漏洩問題を効果的に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0031】
本発明の第1実施例を説明する。
図1には、本発明の一実施例に係るパーソナルコンピュータ(パソコン)の構成例を示してある。
本例のパソコンは、バッテリ1と、電源制御部2と、無線通信モジュール3及びそのアンテナ21、22と、外部インターフェース制御部4と、クロック5と、CPU6と、電源スイッチ7と、マウス8と、キーボード9と、ハードディスク10と、メインメモリ11と、表示部12と、表示制御部13を備えている。
【0032】
ここで、本例のパソコンの基本的な構成や動作は、例えば、図8に示されるパソコンの構成や動作と同様であり、本例では、主に、異なる構成や動作について詳しく説明する。
主に異なる構成としては、本例のパソコンでは、図8に示されるパソコンと比べて、データ通信用無線モジュール101及びそのアンテナ111の代わりに無線通信モジュール3及びそのアンテナ21、22へ置き換えられており、無線通信モジュール3が電源制御部2と接続されており、無線通信モジュール3が外部インターフェース制御部4を介さずにCPU6と接続されている。
【0033】
図2には、本例の無線通信モジュール3の構成例を示してある。
本例の無線通信モジュール3は、充電回路31と、補助電源32と、GPS(Global Positioning System)受信部33と、携帯電話無線部34と、ベースバンド部35と、制御部36と、ROM(Read Only Memory)/RAM(Random Access Memory)37と、制御インターフェース(制御IF)38と、電源インターフェース(電源IF)39と、電源回路40を備えている。
携帯電話無線部34のアンテナ21は携帯電話通信用のアンテナであり、GPS受信部23のアンテナ22はGPS受信用のアンテナである。
【0034】
充電回路31は、補助電源32を充電する。
補助電源32は、充電可能な補助の電源である。
GPS受信部33は、アンテナ22により、GPS衛星から無線送信される航法メッセージのデータを受信する。
ここで、航法メッセージのデータ(航法データ)には、例えば、GPS受信側で位置の算出に使用されるGPS衛星の軌道データや各種の補助データが含まれている。
【0035】
携帯電話無線部34は、アンテナ21により、携帯電話などのシステムに接続して送受信する。
ベースバンド部35は、GPSの受信信号や携帯電話無線の送受信信号を信号処理する。
制御部36は、無線通信モジュール3の各機能を制御する。制御部36は、例えば、各ブロック(各処理部)の動作の制御や、制御IF38を介したパソコンとの信号のやり取りの制御などを、ROM/RAM37にアクセスしながら行う。
ROM/RAM37は、ROMやRAMを有している。
【0036】
制御IF38は、パソコンのCPU6に接続されるインターフェースである。
電源IF39は、パソコンの電源制御部2に接続されるインターフェースである。
電源回路40は、補助電源32から供給される電圧と電源IF39から供給される電圧を切り替え、安定な電圧を各ブロックに供給するようにする。
【0037】
ここで、GPSの具体例について簡単に説明しておく。
例えば、携帯電話で使用されるGPS機能としては、主に、MSベースドと、MSアシステッドと、オートノーマスがある。
MSベースドは、ネットワーク支援型であり、アシストサーバからアシストデータを一定周期で携帯端末へ送信する。そして、携帯端末で、アシストデータに基づいて、位置の計算を行う。
MSアシステッドは、ネットワーク支援型であり、サーバが位置計算を行って、その結果のみを携帯端末へ送信する。
オートノーマスは、ネットワーク支援を行わない自立型であり、携帯端末が全ての位置計算を行う。
【0038】
ここで、アシストデータには、例えば、GPS衛星の位置や基地局情報の位置等の捕捉情報が含まれている。
一例として、アシストデータとしては、アルマナックデータや、エフェメリスデータがある。
アルマナックデータは、利用することが可能な全ての衛星の概略的な軌道周回情報である。なお、アルマナックデータは、全ての衛星の航法データに相当する。
エフェメリスデータは、現在位置を担当する衛星の詳細な軌道周回情報である。
【0039】
本例の無線通信モジュール3は、主な特徴点として次の(特徴点1)〜(特徴点2)を有している。
(特徴点1)補助電源32を内蔵しているため、パソコンからの電源供給がなくても、自らの電源で動作することが可能である。
(特徴点2)GPS受信部33と携帯電話無線部34の両方を有するため、無線通信モジュール3単独で、GPS衛星からの航法メッセージデータや、携帯電話などのネットワークからのGPSアシスト情報(アシストデータ)を入手して、位置情報を得ることができる。
【0040】
従って、本例のように、GPS機能と携帯電話などのネットワークに接続できる機能を有する無線通信モジュール3をパソコンに組み込むことで、当該無線通信モジュール3を搭載したパソコンでは、当該無線通信モジュール3自身が自己(当該無線通信モジュール3及び当該パソコン)が存在する位置情報を持つことができる。
【0041】
本例では、このような無線通信モジュール3を使用して、そのソフトウエアに新たな機能を組み込むことで各種の効果を実現する。また、無線通信モジュール3とパソコンのCPU6とは接続されているため、無線通信モジュール3内のROM37やパソコンのハードディスク10にソフトウエアがある場合には、無線通信モジュール3からの操作とパソコンからの操作の両方が可能であり、また、無線通信モジュール3内のROM37にソフトウエアを格納した場合には、パソコンの電源が入っていなくても、無線通信モジュール3だけで主要な機能を実現することが可能である。
本例では、無線通信モジュール3をパソコンに実装してあり、無線通信モジュール3は、自らの機能により、パソコンのセキュリティ処理を行うことが可能である。
【0042】
図3に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3におけるセキュリティモード設定機能による処理の一例を示す。
なお、このセキュリティモード設定機能は、例えば、無線通信モジュール3自体に備えられているが、ユーザによる操作の内容はパソコンのマウス8やキーボード9を介してCPU6から入力されてもよく、また、必要に応じて、表示部12にユーザに対するメッセージなどが表示されてもよい。或いは、無線通信モジュール3自体に、ユーザによる操作の内容を受け付ける機能部や表示部が設けられてもよい。
【0043】
セキュリティモード設定機能の処理が開始すると(ステップS1)、例えばユーザによる操作に応じて、セキュリティモードを有効にするか否かの選択を行う(ステップS2)。
セキュリティモードを有効に設定した場合には(ステップS3)、例えばユーザによる操作に応じて、セキュリティモードの設定内容を選択する(ステップS4)。
【0044】
セキュリティモードの設定内容として、パソコンが設置されている位置を示す基準位置情報の設定が選択された場合には(ステップS5)、現在の位置情報を取得してメモリに保存(記憶)する(ステップS6)。
ここで、現在の位置情報は、一例として、GPS機能を用いて取得することができ、例えば、無線通信モジュール3のGPS機能により現在の位置情報を把握し、この位置情報が一定時間以上変わらない場合に、基準位置情報とすることができる。
また、現在の位置情報は、他の一例として、ユーザから所定の情報の入力を受け付けて取得することができ、例えば、無線通信モジュール3が、ユーザからパソコンを介して緯度や経度の情報の入力を受け付けて、当該入力情報に基づいて現在の位置情報を検出することや、或いは、無線通信モジュール3が、地図情報を有していて、ユーザからパソコンを介して住所などの情報の入力を受け付けて、当該入力情報に基づいて現在の位置情報を検出することができる。
【0045】
セキュリティモードの設定内容として、メールによりセキュリティ動作を指示することを可能とするメールアドレスの登録が選択された場合には、例えばユーザによる操作に応じて、そのメールアドレスをメモリに登録(記憶)する(ステップS7)。
なお、ここでは、無線通信モジュール3に対してセキュリティ動作の指示を行うことが可能なメールアドレスを設定する場合を示したが、例えば、無線通信モジュール3からその位置情報を送信する宛先となるメールアドレスを設定するようなことも可能である。また、これらのメールアドレス(指示を行う送信元アドレスと、位置情報の送信先アドレス)を共通なメールアドレスとすることも可能である。
【0046】
また、ユーザによる操作などに応じて、例えば、所定のメールを定期的に送信する構成を用いる場合にその時間間隔(定期的の時間間隔)を設定するようにすることや、或いは、所定のメールを、基準位置から所定の距離だけ離れる毎に、送信する構成を用いる場合にその所定の距離を設定するようにすることも可能である。
【0047】
セキュリティモードの設定内容として、基準の位置からどれだけ離れたらセキュリティ動作を実行するかを決定するアラーム位置情報の設定が選択された場合には、例えばユーザによる操作に応じて、そのアラーム位置情報をメモリに設定(記憶)する(ステップS8)。
ここで、アラーム位置情報としては、任意に設定されてもよく、一例として、基準位置を中心とする円の半径や直径などの情報を用いて、その円の範囲を特定することが可能である。
【0048】
セキュリティモードの設定内容として、セキュリティ動作の選択設定が選択された場合には(ステップS9)、例えばユーザによる操作に応じて、実際に行われるセキュリティ動作を選択する(ステップS10)。具体的には、セキュリティ動作としては、パソコンのロック、パソコンの電源のオン(on)、パソコンの電源のオフ(off)、メモリの消去、警報音の出力、所定のメールの送信、などがある。
ここで、所定のメールの送信としては、例えば、所定のメールを定期的に送信する構成を用いることや、或いは、所定のメールを、基準位置から所定の距離だけ離れる毎に、送信する構成を用いることもできる。
【0049】
上記した各種の設定が完了すると、例えばユーザによる操作に応じて、設定処理が終了であるか否かを判定し(ステップS11)、終了ではない場合には再びステップS4の処理へ戻り、終了である場合には、必要に応じて、設定内容をメモリに保存(記憶)して(ステップS14)、本処理を終了する(ステップS15)。
【0050】
また、上記したステップS2の処理において、セキュリティモードを有効にすることが選択されなかった場合には、例えばユーザによる操作に応じて、セキュリティモードを解除設定するか否かを判定する(ステップS12)。
セキュリティモードを解除設定した場合には(ステップS13)、設定内容をメモリに保存(記憶)して(ステップS14)、本処理を終了する(ステップS15)。
一方、セキュリティモードを解除設定することが選択されなかった場合には、本処理を終了する(ステップS15)。
【0051】
図4に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3におけるセキュリティモード機能による処理の一例を示す。なお、このセキュリティモード機能は、無線通信モジュール3に備えられている。
セキュリティモード機能が開始すると(ステップS21)、セキュリティモードの設定がされているか否かを判定し(ステップS22)、設定されていない場合には、本処理を終了する(ステップS28)。
【0052】
一方、セキュリティモードの設定がされている場合には、無線通信モジュール3は、GPS機能を用いて、GPS衛星からの航法メッセージの受信情報や、携帯電話のネットワークからのGPSアシスト情報の受信情報などから、位置情報を取得し(ステップS23)、所定の演算処理により(ステップS24)、取得した位置情報と登録されている基準位置情報との差分を演算処理し(ステップS25)、自己の位置情報がアラーム位置情報の範囲外であるか否かを判定する(ステップS26)。
なお、このような演算は、例えば、衛星までの距離や、基地局までの距離がわかることから、移動距離などで比較すれば比較的簡単に行うことが可能である。
【0053】
アラーム位置情報の範囲外ではないときには、再び、ステップS22の処理へ戻る。
一方、自己の位置がアラーム位置情報の範囲外になったときには、無線通信モジュール3は、セキュリティモード設定により登録されている処理を実行し(ステップS27)、本処理を終了する(ステップS28)。
ここで、本例では、登録されている処理としては、パソコンのロック、電源のオン、電源のオフ、メモリの消去、警報音、位置情報のメール送信のうちの一部又は全てがある。
【0054】
図5に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3におけるメール受信処理の一例を示す。なお、このメール受信処理機能は、無線通信モジュール3に備えられている。
メール受信処理が開始すると(ステップS31)、メールを受信し(ステップS32)、メールアドレスを照合することにより(ステップS33)、受信したメールの送信元アドレスが予め登録されているアドレスであるか否か、つまり、予め登録されているアドレスからのメールを受信したか否かを判定し(ステップS34)、そうではない場合には、処理を終了する(ステップS37)。
【0055】
一方、予め登録されているアドレスからのメールを受信した場合には、そのメールの内容を照合する(ステップS35)。
本例では、予め、メールの内容とセキュリティ処理の内容との規則性(対応関係)を決めておく。具体例としては、「メールの受信内容が“ABC”である場合には警報音出力処理を行う」などといった情報が予め設定されている。
そして、無線通信モジュール3は、メールの内容と一致するセキュリティ処理を実行し(ステップS36)、本処理を終了する(ステップS37)。
具体的には、セキュリティ処理としては、セキュリティモードの設定処理や、パソコンのロック処理や、パソコンの電源オン処理や、パソコンの電源オフ処理や、メモリ消去処理や、警報音の出力処理や、位置情報をメールで送信する処理がある。
【0056】
このように、受信メールの内容とその内容に対応して予め決められているセキュリティ内容とを比較することで、メールにより指示されたセキュリティ内容を検出することができ、これにより、メールを受信させることでセキュリティ処理の内容を無線通信モジュール3へ伝えることが可能であり、無線通信モジュール3は指示されたセキュリティ処理を実行する。
なお、登録されていないアドレスからのメール受信や、内容が異なるメールである場合には、セキュリティ処理は実行されない。
【0057】
図6(a)に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3におけるセキュリティ設定機能による処理の一例を示す。なお、このセキュリティ設定機能は、例えば、無線通信モジュール3自体に備えられている。
セキュリティ設定機能の処理が開始すると(ステップS41)、セキュリティ設定時の処理とその設定内容の保存が実行され(ステップS42)、本処理が終了する(ステップS43)。
なお、ここでは、セキュリティモードの設定について説明したが、例えば、セキュリティモードの解除設定を行うことも可能である。
【0058】
図6(b)に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3におけるパソコンロック機能による処理の一例を示す。なお、このパソコンロック機能は、無線通信モジュール3に備えられている。
パソコンロック機能の処理が開始すると(ステップS51)、パソコンの電源が入っているか否かを判定する(ステップS52)。
パソコンの電源が入っている場合にはパソコンに対してパスワードによるロックをかけ(ステップS53)、また、パソコンの電源が入っていない場合にはパソコンの電源が入らないようにロックをかける(ステップS54)。
そして、本処理を終了する(ステップS55)。
【0059】
図6(c)に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3におけるパソコン電源オン機能による処理の一例を示す。なお、このパソコン電源オン機能は、無線通信モジュール3に備えられている。
パソコン電源オン機能の処理が開始すると(ステップS61)、パソコンの電源をオンにして(ステップS62)、本処理を終了する(ステップS63)。
【0060】
図6(d)に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3におけるパソコン電源オフ機能による処理の一例を示す。なお、このパソコン電源オフ機能は、無線通信モジュール3に備えられている。
パソコン電源オフ機能の処理が開始すると(ステップS71)、パソコンの電源をオフにして(ステップS72)、本処理を終了する(ステップS73)。
【0061】
図7(a)に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3におけるメモリ消去機能による処理の一例を示す。なお、このメモリ消去機能は、無線通信モジュール3に備えられている。
メモリ消去機能の処理が開始すると(ステップS81)、パソコンの電源が入っているか否かを判定して(ステップS82)、パソコンの電源が入っているときに、パソコンのメモリ(例えば、ハードディスク10やメインメモリ11)の内容を消去して(ステップS83)、本処理を終了する(ステップS84)。
【0062】
図7(b)に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3における警報音出力処理機能による処理の一例を示す。なお、この警報音出力処理機能は、無線通信モジュール3に備えられている。
警報音出力処理機能の処理が開始すると(ステップS91)、パソコンの電源が入っているか否かを判定して(ステップS92)、パソコンの電源が入っているときに、パソコンのスピーカを制御して警報音を鳴らし(ステップS93)、本処理を終了する(ステップS94)。
【0063】
図7(c)に示されるフローチャートを参照して、無線通信モジュール3における位置情報送信処理機能による処理の一例を示す。なお、この位置情報送信処理機能は、無線通信モジュール3に備えられている。
位置情報送信処理機能の処理が開始すると(ステップS101)、例えばGPS機能を用いて、自己の位置情報を取得して(ステップS102)、その位置情報を含むメールを予め登録されているアドレスに宛てて送信し(ステップS103)、本処理を終了する(ステップS104)。
ここで、このようなメールの送信としては、例えば、このようなメールを定期的に送信する構成を用いることや、或いは、このようなメールを、基準位置から所定の距離だけ離れる毎に、送信する構成を用いることもできる。
【0064】
以上のように、本例の無線通信装置(本例では、無線通信モジュール3)は、GPS機能33、35、36を有し、情報処理装置(本例では、パソコン)に内蔵(接続)され、当該情報処理装置から供給される電源により動作する通信装置であって、情報処理装置から供給される電源を充電する充電機能31、32と、基準位置を設定する基準位置設定機能33〜38と、予めセキュリティモードが動作する基準位置からの位置情報の設定をする位置情報設定機能36〜38と、当該基準位置設定機能で設定された位置情報とGPS機能により取得された自己の位置情報との差分を演算する演算機能36と、当該演算機能による演算結果に基づいて、自己の位置が位置情報設定機能で設定された位置情報の範囲外になった場合に、セキュリティモードで設定されている処理を実行するセキュリティモード実行機能34〜38と、を有し、情報処理装置の電源がオフの際に、充電機能の電源により動作する。
【0065】
また、本例の無線通信装置(本例では、無線通信モジュール3)では、更に、無線通信機能34〜36を有し、当該無線通信機能によりネットワークから送信されるアシストデータを受信して、自己の位置情報を演算することが可能である。
また、上記のような無線通信装置(本例では、無線通信モジュール3)を備えた情報処理装置(本例では、パソコン)を実施することもできる。
【0066】
このように、本例の無線通信装置(本例では、無線通信モジュール3)では、情報処理装置(本例では、パソコン)から供給される電源を充電する充電機能を有し、情報処理装置の電源が入っていない状態においても、セキュリティモードを起動して、GPS機能により取得される位置情報と予め設定された基準の位置情報との比較により、セキュリティモードの処理を実行することができる。
また、本例の無線通信装置では、例えば、基準位置から所定の距離離れた場合にセキュリティモードの処理を実行することや、受信したメールの内容に応じてセキュリティモードの処理を実行することができる。
また、本例の無線通信装置では、例えば、セキュリティモードに設定された際には、セキュリティモードに設定されたことを示すメールを予め登録されているメールアドレス宛てに送信するような構成とすることもでき、これにより、使い勝手を更に向上させることができる。
ここで、このようなメールの送信としては、例えば、このようなメールを定期的に送信する構成を用いることや、或いは、このようなメールを、基準位置から所定の距離だけ離れる毎に、送信する構成を用いることもできる。
【0067】
上述のように、本例の無線通信装置では、セキュリティモードにおけるメール送信の処理に関して、例えば、セキュリティモードに設定された際に、セキュリティモードに設定されたことを示すメールを予め登録されているアドレスに宛てて送信する構成や、自己の位置情報を取得して、その位置情報を含むメールを予め登録されているアドレスに宛てて送信する構成や、セキュリティモードに設定されてから、一定時間経過後或いは所定距離移動後(例えば、前回の位置情報と今回の位置情報が異なる場合等でもよい)に、取得した位置情報を予め登録されているアドレスに宛てて送信する構成などを用いることができる。
【0068】
上記のような無線通信装置のセキュリティに関する機能を実現することにより、例えば、パソコンの置き忘れや盗難などの要因により情報の漏洩が起きてしまうことを防ぐべく、セキュリティ対策を行うことが可能である。
具体的には、高額なセキュリティツールなどをインストールしてセキュリティ対策を行わずとも、基準位置から場所が離れたことを所有者などに通知することができ、また、セキュリティ処理の内容について例えばユーザにより任意に設定することが可能であり、相応の処置ができ、安価に秘密情報の漏洩を防ぐことができる。また、メールを使用して、会社帰りに予めパソコンを立ち上げておくようなことも可能であり、時間を有効に活用することができる。
【0069】
また、ユーザは、無線通信装置へ送信するメールの内容に応じて希望するセキュリティモードの処理を実行させることができるため、例えば、盗難に気付いた際に、自動的にセキュリティモードの処理が実行される前に、使用者によってセキュリティモードの処理を実行させることができ、情報漏洩の向上につなげることができる。
【0070】
ここで、無線通信装置(本例では、無線通信モジュール3)は、例えば、従来と同様に、インターネット接続などに使用することも可能である。
また、本例の無線通信装置(本例では、無線通信モジュール3)としては、USB等のインターフェースに着脱自在に接続可能なものであってもよいが、例えば、盗難者により、無線通信装置を外すことでセキュリティモードの処理の実行を防ぐことが可能となるため、内蔵型の無線通信装置の実施が好ましいと考えられる。但し、インターフェース接続型の無線通信装置の実施が為されてもよい。
【0071】
また、本例の情報処理装置では、例えば、当該情報処理装置が電源オフの状態であっても、無線通信装置へ電源を供給することができる構成とされてもよい。一例として、無線通信装置の補助電源(本例では、無線通信モジュール3の補助電源32)の残量が所定値以下(又は、所定値未満)になった場合に、情報処理装置からのバッテリ又は外部電源から供給される電源により無線通信装置を動作可能にするような構成を用いることができる。
【0072】
なお、本例のパソコン(情報処理装置の一例)では、無線通信モジュール3(無線通信装置の一例)が内蔵され、又は、着脱可能に接続される。
そして、本例の無線通信モジュール3では、GPS機能(例えば、GPS受信部33やベースバンド部35や制御部36の機能)や、無線通信機能(例えば、携帯電話無線部34やベースバンド部35や制御部36の機能)を有しており、充電回路31や補助電源32の機能により充電手段が構成されており、GPS受信部33や携帯電話無線部34やベースバンド部35や制御部36やROM/RAM37や制御IF38の機能により基準位置設定手段が構成されており、制御部36やROM/RAM37や制御IF38の機能により位置条件設定手段が構成されており、制御部36の機能により位置条件判定手段が構成されており、携帯電話無線部34やベースバンド部35や制御部36やROM/RAM37や制御IF38の機能によりセキュリティモード処理実行手段が構成されている。
なお、上記した各処理部と各手段(各機能)との対応は、一例であり、種々な構成が用いられてもよい。
【実施例2】
【0073】
本発明の第2実施例を説明する。
図9には、本例の無線通信モジュール51の構成例を示してある。
本例の無線通信モジュール51は、GPS受信部33と、携帯電話無線部34と、ベースバンド部35と、制御部36と、ROM/RAM37と、制御インターフェース(制御IF)38と、電源インターフェース(電源IF)52と、電源回路53を備えている。
携帯電話無線部34のアンテナ21は携帯電話通信用のアンテナであり、GPS受信部23のアンテナ22はGPS受信用のアンテナである。
【0074】
ここで、図9では、上記した図2に示されるものと同様な処理部については、同一の符号を付してあり、詳しい説明を省略する。
また、本例の無線通信モジュール51は、図1に示されるのと概略的に同様なパーソナルコンピュータ(パソコン)に備えられており、図1に示される無線通信モジュール3の位置に備えられている。本例のパソコンでは、電源スイッチ7が(オンであるときだけでなく)オフであるときにおいても、バッテリ1又は外部電源からの入力(例えば、少なくとも一方の入力)がある場合には、無線通信モジュール51に電源が供給されるように電源制御部2が構成されている、又は、そのような電源供給が実現されるような配線などの構成を有している。
【0075】
本例の無線通信モジュール51について説明する。
本例の無線通信モジュール51は、例えば、図2に示される無線通信モジュール3と比べて、充電に関する処理部(充電回路31及び補助電源32)を備えていない点を除いては、同様な構成を有しており同様な動作を行う。
本例の無線通信モジュール51において、電源IF52はパソコンの電源制御部2(或いは、例えば、図1に示されるバッテリ1や外部電源など)に接続されるインターフェースであり、また、電源回路53は電源IF52から供給される電圧を各ブロックに供給するようにする。
【0076】
以上のように、本例の無線通信モジュール51では、情報処理装置の電源がオフであっても、バッテリ1又は外部電源から電源IF52を介して供給される電源により動作を行うことができる。また、本例の無線通信モジュール51では、例えば、充電に関する処理部を備えていない点を除いて、図2に示される無線通信モジュール3と同様な効果を得ることができる。
【0077】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施例に係るパーソナルコンピュータの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る無線通信モジュールの構成例を示す図である。
【図3】無線通信モジュールのセキュリティモード設定機能による処理の手順の一例を示す図である。
【図4】無線通信モジュールのセキュリティモード機能による処理の手順の一例を示す図である。
【図5】無線通信モジュールのメール受信処理の手順の一例を示す図である。
【図6】(a)は無線通信モジュールのセキュリティ設定処理の手順の一例を示す図であり、(b)は無線通信モジュールのパソコンロック処理の手順の一例を示す図であり、(c)は無線通信モジュールのパソコン電源オン処理の手順の一例を示す図であり、(d)は無線通信モジュールのパソコン電源オフ処理の手順の一例を示す図である。
【図7】(a)は無線通信モジュールのメモリ消去処理の手順の一例を示す図であり、(b)は無線通信モジュールの警報音出力処理の手順の一例を示す図であり、(c)は無線通信モジュールの位置情報送信処理の手順の一例を示す図である。
【図8】背景技術に係るパーソナルコンピュータの構成例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施例に係る無線通信モジュールの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1・・バッテリ、 2・・電源制御部、 3、51・・無線通信モジュール、 4・・外部インターフェース制御部、 5・・クロック、 6・・CPU、 7・・電源スイッチ、 8・・マウス、 9・・キーボード、 10・・ハードディスク、 11・・メインメモリ、 12・・表示部、 13・・表示制御部、 21、22、111・・アンテナ、 31・・充電回路、 32・・補助電源、 33・・GPS受信部、 34・・携帯電話無線部、 35・・ベースバンド部、 36・・制御部、 37・・ROM/RAM、 38・・制御インターフェース(制御IF)、 39、52・・電源インターフェース(電源IF)、 40、53・・電源回路、 101・・データ通信用無線モジュール、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS機能を有し、情報処理装置に内蔵され又は着脱可能に接続され、当該情報処理装置から供給される電源により動作する無線通信装置であって、
前記情報処理装置から供給される電源を充電する充電手段と、
基準位置を設定する基準位置設定手段と、
所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となる前記基準位置に対する位置条件を設定する位置条件設定手段と、
前記位置条件設定手段により設定された位置条件及び前記GPS機能により取得された自己の位置情報に基づいて、所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったか否かを判定する位置条件判定手段と、
前記位置条件判定手段により所定のセキュリティモードの処理が実行される条件となったことが判定された場合には、所定のセキュリティモードの処理を実行するセキュリティモード処理実行手段と、を有し、
前記情報処理装置の電源がオフであるときには、前記充電手段により充電された電源により動作する、ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信装置において、
無線通信機能を有し、
前記無線通信機能により所定のネットワークから送信されるGPSのアシストデータを受信して、自己の位置情報を取得する、ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の無線通信装置を備えたことを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−259211(P2009−259211A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324018(P2008−324018)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】