無線通信装置及び方法
【課題】同一地域で異なる周波数帯域が使用される場合に、周波数の利用効率を向上させつつ制御信号によるオーバーヘッドを過剰に増やさないようにすること。
【解決手段】無線通信装置は、同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている第1及び第2の周波数帯域間の帯域である中間帯域を検出する中間帯域検出部;前記第1及び第2の周波数帯域でそれぞれ使用されている上下リンクの多重方式を検出する使用状況検出部;及び前記中間帯域及び前記上下リンクの多重方式に基づいて、前記中間帯域で使用可能な上下リンクの多重方式と、前記中間帯域の中で使用の禁止されるガードバンド帯域とを少なくとも決定する決定部;を有する。
【解決手段】無線通信装置は、同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている第1及び第2の周波数帯域間の帯域である中間帯域を検出する中間帯域検出部;前記第1及び第2の周波数帯域でそれぞれ使用されている上下リンクの多重方式を検出する使用状況検出部;及び前記中間帯域及び前記上下リンクの多重方式に基づいて、前記中間帯域で使用可能な上下リンクの多重方式と、前記中間帯域の中で使用の禁止されるガードバンド帯域とを少なくとも決定する決定部;を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に移動通信の技術分野に関連し、特に移動通信システムにおける無線通信装置及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術分野では、従来の第3世代の移動通信方式に続く方式に関する研究開発が急ピッチで進められている。第4世代移動通信システムなど今後の移動通信システムに対して割り当てられる周波数帯域は、昨今の高速伝送への需要に対応するため、より広くなると予想される。場合によっては、割り当て帯域がかなり広く、新規割り当て周波数帯の一部に既存システムの帯域が含まれる。この場合、新旧双方のシステムが並存した状態を経て、段階的に新システムへの移行が進行するであろう。
【0003】
図1は帯域を割り当てる一例を示す。「初期」の段階では、左側(低周波側)に既存のシステムの帯域が割り当てられている。このシステムは、周波数分割複信(FDD: Frequency Division Duplexing)方式を使用し、上りリンク及び下りリンクに異なる周波数が使用される。次に、右側(高周波側)に新規のシステム用の追加的な帯域が用意される。「追加割当後」の状態では、旧システムをそのまま使用しつつ、新システムの運用が開始可能になる。最終的には、「理想的な割当」として示されるように、広範な周波数帯域で新システムのサービスが行われる。しかしながらこの場合、図示されているように、「追加割当後」の状態では、FDDの上りと下りの間のガードインターバルが複数存在する。これは、周波数の有効利用の観点からは好ましくない。
【0004】
ところで、異なるシステム帯域間や上下リンクの切り替わりに備えて、ガードインターバル又はガードバンドが用意される。移動無線通信システムでは、FDDだけでなく、時間分割複信(TDD: Time Division Duplexing)方式が使用されることもある。以下に説明されるように、「FDDの上りとFDDの上り」或いは「FDDの下りとFDDの下り」に比較して、「FDDの上りとFDDの下り」、「FDDとTDD」及び「TDDシステム同士」の帯域の間には、比較的広いガードバンドを設ける必要がある。
【0005】
図2に示すように、隣接周波数帯域が、共に、下りリンクとして使用されていたとする。この場合、各端末は在圏セルの基地局から所望波を受信し、他の基地局から干渉波を受ける。あるシステムXの端末が最適な基地局から所望波を受信している限り、他のシステムYの基地局からの干渉波は比較的少ない。隣接周波数帯域が共に上りリンクに使用されていた場合も同様に、一方のシステムの基地局は、他方のシステムの端末からさほど大きな干渉を受けない。従って、各システムの通信の上下方向が同じ場合、隣接する帯域間に設けるガードバンドは比較的狭くてもよい。
【0006】
図3に示すように、片方のシステムで下りリンクに、他方のシステムで上りリンクに、ある隣接する周波数帯域が使用されたとする。この状況では、一方のシステムXの端末が送信を行っているときに、他方のシステムYの基地局が送信を行うことになる。基地局同士で干渉を及ぼし合うので、各自の受ける干渉の影響は、端末から受ける干渉より大きくなる。これは、基地局から基地局への干渉については、基地局から端末への干渉に比べ、基地局は受信感度が高いこと、アンテナ高が高いこと、伝搬的にもより遠くの干渉波まで受信できること等に起因する。
【0007】
図4は、上下方向の異なる通信が隣接周波数帯域で行われる様子を更に具体的に示している。図示されているように、基地局Cは端末Cからの所望波(上り信号)と、基地局Aからの干渉波を受ける。なお、一義的ではないが例えば、この基地局Cは図3の基地局Xに、基地局Aは図3の基地局Yに、そして端末Cは図3の端末Xに相当する。上述したように、上りリンクにおける他基地局からの干渉については、干渉源が基地局となり、干渉源が端末の場合と比較して送信電力やアンテナ利得が大きくなる。さらに、見通しになりやすい等の伝播環境による影響により、バンド間の干渉の影響は大きくなる。
【0008】
図5も、上下方向の異なる通信が隣接周波数帯域で行われる様子を更に具体的に示しているが、通信の上下方向が異なる。図示されているように、端末Aは基地局Aからの所望波(下り信号)と、端末Cからの干渉波を受ける。一義的ではないが例えば、端末Aは図3の端末Yに、基地局Aは図3の基地局Yに、端末Cは図3の基地局Xに相当する。下りリンクにおける他端末からの干渉については、干渉源が端末であり、送信電力やアンテナ利得は基地局のものに比べて小さい。しかし、端末同士は、非常に近い距離まで近接する可能性があるためバンド間の干渉の影響は大きくなる可能性がある。例えば、各端末が共にセル端に位置し、端末同士が接近する可能性がある。
【0009】
従って、FDDの上りリンクと下りリンクが隣接する場合においては、FDD下りリンク間やFDD上りリンク間に比べ、広いガードバンドが必要となる。
【0010】
さらに、上記の問題に加え、FDDでは、自局が送信中に受信を行うため、自局が送信する周波数帯と受信周波数帯が十分に隔離されている必要もある。
【0011】
また、上記問題に対する解決策として、に示されるソフトウエア無線と、CPC(Cognition supporting Pilot channel)を用いる方法がある(これについては、非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】An alternative concept to scanning process for cognitive radio systems: technical and regulatory issues IEEE
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
非特許文献1に記載の方法では、例えば世界共通のパイロットチャネル(CPC)が用意され報知される。端末は、電源投入時も電源投入後も、定期的にこのCPCを監視する。CPCは、例えば、ある帯域の周波数割当状況(オペレータ、無線インターフェイス仕様)等に関する情報を含む。端末は、この情報を元に、端末の構成を再構築し、指定の周波数帯を用いて伝送を行う。
【0013】
図6はCPCを用いる場合のシステムの概要を示す。図示の例では、同一地域で2つのシステムが並存し、オペレータ1,2各自がサービスを提供している。双方のシステムの端末はCPCを受信する。
【0014】
一方、この方法を実現するには、CPCに応じて、指定された周波数で送受信を行えるようにするため、全ての端末が、複数の周波数の信号を送受信できるように設計されている必要がある。従ってこの方法では端末の負荷がかなり大きくなってしまうという問題もある。更に、設備投資費用等の観点からは、想定される全てのエリアでユーザ装置がCPCを適切に受信できるようにすること自体容易でないかもしれない。
【0015】
他方、様々なオペレータが様々なサービスを展開する中で、様々な地域の各々で最適な通信方法をCPCで一律に報知するようにすると、CPCに要する制御情報量が過剰に多くなってしまう。これは、オーバーヘッドをなるべく少なくし、より多くのリソースをデータ伝送に割り当ててスループットを向上させる等の観点からは好ましくない。
【0016】
本発明の課題は、同一地域で異なる周波数帯域が使用される場合に、周波数の利用効率を向上させつつ制御信号によるオーバーヘッドを過剰に増やさないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一形態では、無線通信装置が使用される。当該無線通信装置は、同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている第1及び第2の周波数帯域間の帯域である中間帯域を検出する中間帯域検出部;前記第1及び第2の周波数帯域でそれぞれ使用されている上下リンクの多重方式を検出する使用状況検出部;及び前記中間帯域及び前記上下リンクの多重方式に基づいて、前記中間帯域で使用可能な上下リンクの多重方式と、前記中間帯域の中で使用の禁止されるガードバンド帯域とを少なくとも決定する決定部;を有する無線通信装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、異なる周波数帯域を使用するシステムが同一地域で複数並存する場合に、周波数の利用効率を向上させつつ制御信号によるオーバーヘッドを過剰に増やさないようにする観点から好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に説明されるように、本発明の一形態で使用される無線通信装置は、既定のルールに基づいて、隣接して使用される移動無線通信システムとのガードバンド幅や送信電力を決定し、信号の中継/ローカルエリア通信等に利用する。本願における「無線通信装置」なる用語は、セルラシステムの通常の基地局だけでなく、マイクロセル基地局、フェムトセル基地局、中継局、自営の無線通信装置等を含む概念として使用される。
【0020】
図7は、本発明の一形態で想定するシステム構成例を示す。図7に示すように、移動通信システムの基地局(上記の無線通信装置)BSは、通常、移動局UEと直接通信を行う。しかしながら、屋内や、ビル影など、基地局から直接電波が届きにくい場所に位置する移動局に対しては、基地局は中継器Rを介して通信を行ってよい。説明の便宜上、基地局BSと通信するのは移動局とするが、より一般的にはユーザ装置(UE: User Equipment)が基地局BSや中継器Rと通信を行ってよい。
【0021】
通常、中継器は、システム帯域の中で中継用に用意された帯域(基地局が伝送を行う帯域と同一である場合を含む)を用いて伝送を行う。しかしながら、本発明の一形態では、中継器は、システム帯域以外の中間帯域(従来使用できなかったシステム間のガードバンド)を以下に示す方法により認識し、この中間帯域の使用方法を決定し、中間帯域で中継を行う。単なる説明の簡明化の観点から、「中継器」を用いて説明される箇所もあるが、より一般的には、そのような「中継器」の機能が「無線通信装置」で実行されてもよい。
【0022】
この中間帯域の利用は、通信距離の短い端末の通信に限定され、伝送距離を短く制限することで、通常の下り伝送或いは上り伝送に比較して、大幅に送信電力を抑えることができる。このため、従来ガードバンドとして利用できなかった帯域を、中継器Rが利用できるようになる。ただし、特に中継用途として用いられる場合、移動無線通信システムに用いられる帯域A、Bと中継器で用いられる帯域a、bに関して、Aとa、Bとbは十分に隔離されていることが好ましい。
【0023】
上述したように、理論上は、CPCのような共通制御チャネルにより、中間帯域の使用法、即ち、割当法や使用パラメータの制限(ガードバンド幅、許容送信電力)等が報知されてもよい。しかしながら、中間帯域の最適な使用法は、中継器と、移動通信システムの基地局/移動局との距離にも依存するため、それら全てを共通制御チャネルで指定使用とすることは必ずしも好ましくない。
【0024】
さらに、中継器或いは、自営無線通信装置が伝送するトラフィック内容によって、所望の帯域の使用方法(上りリソースと下りリソース比率)が異なる可能性もある。CPCで使用法を固定的に決定すると、そのような場合の自由度を大きく制限してしまうことが懸念される。
【0025】
さらに、CPCにより中間帯域の使用方法についての情報の送信を全て報知しようとすると、CPCに必要な制御信号量が大きくなり、多くの周波数リソースを用いる必要がある。
特に、中間帯域を使用する多重方式、リンクの種別や、実行輻射電力が多様な場合は、特に、制御信号量が多くなってしまう。これはオーバーヘッドを減らす観点から特に好ましくない。
【0026】
以下の観点から本発明の実施例が説明される。
【0027】
1.FDD
2.TDD
3.送信電力制御
4.干渉電力
5.使用制限信号
しかしながら、各実施例の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の実施例が必要に応じて使用されてよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされるが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。
【実施例1】
【0028】
<FDD>
以下、FDD方式を用いた帯域利用例を説明する。
【0029】
図8は、本発明の一実施例による中継器の構成を示す。図中右側に描かれている無線回路部802で受信された信号は、中継すべきデータ信号や中継すべき制御信号のような自装置の属するシステムの信号と、他のシステムからの干渉信号とを含む。
【0030】
分離部804は、受信信号をそれに含まれている様々な信号に分離し、後段の処理部にそれぞれ与える。
【0031】
データ受信部806は、中継すべきデータ信号を取り出し、データ信号生成部808に与える。
【0032】
データ信号生成部808は、入力された送信データや、リソース割当部814からの情報等から、送信信号を改めて用意し、多重部810に出力する。
【0033】
制御信号受信部812は、制御信号を取り出し、リソース割当部814に必要な情報を通知する。必要な情報は、例えば、チャネル状態の良否を表す情報や、リソースの割当要求等を含んでもよい。
【0034】
リソース割当部814は、上りチャネル及び下りチャネルのリソース割当を行う。どのようにリソースを割り当てるか(スケジューリング)は、中継局の上位装置である基地局でなされてもよい。
【0035】
制御信号生成部816は、中継すべきデータ信号に付随する制御信号(例えば、データ信号の伝送フォーマットを特定する情報を含んでもよい)を用意し、中継に備える。
【0036】
多重部810は、入力されたデータ信号と、制御信号とを、リソース割当情報に基づいて多重する。多重は、時間分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)、符号分割多重(CDM)、空間分割多重(SDM)又はそれらの1つ以上の組み合わせでもよいし、他の多重法が使用されてもよい。
【0037】
本実施例における中継器は、更に、中間帯域検出部822、右側/左側チャネルリンク種別検出部824,828、右側/左側隣接ガードバンド幅設定部826,830、タイミング検出部832、中間帯域リソース制御部834及び送信タイミング制御部836を更に有する。
【0038】
中間帯域検出部822は、同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている不連続な周波数帯域間のシステム間ガードバンド(中間帯域)を検出する。中間帯域は、ある移動通信システムの上りリンクに割り当てられた周波数帯域と下りリンクに割り当てられた周波数帯域との間の帯域でもよい。中間帯域は、あるシステムに割り当てられた周波数帯域と、別のシステムに割り当てられた周波数帯域との間の帯域でもよい。或る地域で検出される中間帯域は、1つかもしれないし、1つより多くの中間帯域が検出されるかもしれない。
【0039】
中間帯域は、適切な如何なる方法で検出されてもよい。例えば、検査対象の周波数帯域における信号電力が測定され、その測定結果に基づいて中間帯域が特定されてもよい。或いは、中間帯域がどのように設定されているかを示す制御情報(共通制御チャネル)が存在する場合、その制御情報を分析することで中間帯域が特定されてもよい。例えば、共通制御チャネルを用いて、使用されている可能性があるシステムが特定され、これらの帯域が、該中継器の周辺で実際に使用されているかが確認されてもよい。また、各帯域の使用状況を速やかに把握する観点からは、各システム帯域の割当パターン(例えば、20MHz幅で割り当てられること等)が予め決められていることが好ましい。
【0040】
右側チャネルリンク種別検出部824は、中間帯域に隣接する高周波側のシステム帯域で、どのような上下リンクの多重法が使用されているか等のような使用状況を検出する。「右側」は周波数軸上で高周波数側を意味するように説明されているが、このことは本発明に必須でなく説明上の便宜的な名称に過ぎない。右側チャネルリンク種別検出部824は、例えば、隣接するシステム帯域でFDD方式が使用されているか否か、TDD方式が使用されているか、中間帯域に隣接する帯域が上りリンクに割り当てられているか否か、中間帯域に隣接する帯域が下りリンクに割り当てられているか否か等を判定する。右側チャネルリンク種別検出部824は、各システムで使用される既知信号(プリアンブルやパイロット信号)を利用して、多重方式や回線の方向等を判定してよい。或いは、上りと下りの信号の統計的性質を利用し、ブラインド(blind)推定が行われてもよい。その場合、有意の信号がどのようなパターンで生じているかに基づいて、上記の判定がなされる。例えば、下り信号は、必ず基地局から送信されるため、少なくとも定期的に同一の地点から信号が送信されるのに対して、上りは、送信するユーザが時間、周波数により異なることを利用して、上記の判定がなされてもよい。
【0041】
左側チャネルリンク種別検出部828は、中間帯域に隣接する低周波側のシステム帯域で、どのような上下リンクの多重法が使用されているか等のような使用状況を検出する。「左側」は周波数軸上で低周波数側を意味するように説明されているが、このことも本発明に必須でなく説明上の便宜的な名称に過ぎない。左側チャネルリンク種別検出部828は、例えば、隣接するシステム帯域でFDD方式が使用されているか否か、TDD方式が使用されているか、中間帯域に隣接する帯域が上りリンクに割り当てられているか否か、中間帯域に隣接する帯域が下りリンクに割り当てられているか否か等を判定する。左側チャネルリンク種別検出部828は、各システムで使用される既知信号を利用して、多重方式や回線の方向等を判定してよい。或いは、上りと下りの信号の統計的性質を利用し、ブラインド推定が行われてもよい。その場合、有意の信号がどのようなパターンで生じているかに基づいて、上記の判定がなされる。例えば、下り信号は、必ず基地局から送信されるため、少なくとも定期的に同一の地点から信号が送信されるのに対して、上りは、送信するユーザが時間、周波数により異なることを利用して、上記の判定がなされてもよい。
【0042】
右側隣接ガードバンド幅設定部826は、右側隣接チャネルリンク種別検出部824の検出結果に基づいて、中間帯域の内、高周波側に用意するガードバンド幅を決定する。左側隣接ガードバンド幅設定部830は、左側隣接チャネルリンク種別検出部828の検出結果に基づいて、中間帯域の内、低周波側に用意するガードバンド幅を決定する。
【0043】
タイミング検出部832は、受信信号の同期を確立すること、TDD方式が使用されている場合に、無線フレームの上下リンク比率を特定すること等のような時間的なタイミングを判定する。TDDの場合、各帯域で行われる通信の上下の向きは時間経過と共に交互に変わる。尚、タイミング検出部832でタイミングを検出するために使用される信号は、左側バンド及び右側バンドの信号である。
【0044】
中間帯域リソース制御部834は、右側及び左側ガードバンド幅設定部826,830で決定されたガードバンド幅に基づいて、中間帯域をどのように使用するかを決定する。中間帯域リソース制御部834は、これらの時間比率を考慮してリソースの配分を決定する。また、送信を行うタイミングについても、隣接帯域が上りの場合に設定されたガードバンドで生成された信号は、隣接帯域が上りで送信されているタイミングで送信される必要があるため、送信タイミング制御部が必要になる。
【0045】
送信タイミング制御部836は、判定されたタイミングに基づいて、送信タイミングを決定し、無線回路部802等に通知する。また、受信タイミングや上下比率等の情報は、中間帯域リソース制御部834にも通知される。
【0046】
本願におけるガードバンドは、中間帯域の中で使用の禁止される帯域幅を示す。従来、中間帯域は全て使用禁止であったが、本実施例では中間帯域の一部の使用が許可され、別の一部分のみが真に使用禁止に設定される。言い換えれば、従来は中間帯域の全てがガードバンドであるが、本実施例では中間帯域の一部分のみがガードバンドであり、残りの中間帯域の使用は許可される。ガードバンド幅(より正確には、最低限必要なガードバンド幅)をどのように設定すべきかについては、様々な例と共に後述される。中間帯域とそれに隣接する帯域で上下同じ向きに通信が行われる場合、ガードバンド幅は、上下逆向きに使用される場合より狭く設定可能である。設定されるガードバンド幅は、予め各場合に対して既定された値としてもよい。本実施例では、最大送信電力は既定の一定値であるとする。
【0047】
図9はリンク種別に応じてガードバンド幅がどのように異なるかを示す。図示の例は、中間帯域の内、低周波側を利用する場合に必要なガードバンド幅を模式的に示している(高周波側については省略されている)。低周波側は上りリンクに使用されている。従って、中間帯域の少なくとも低周波側では、上りリンクに使用した方が、下りリンクに使用する場合よりも狭いガードバンド幅でよい。敢えて言及するまでもないが、この中間帯域が従来は使用されないことで、無線リソースの有効活用が十分にはなされていなかった。
【0048】
中間帯域リソース制御部834は、上記より決定された条件と、自局で送信する上り/下りトラフィック量に応じて、中間帯域で使用するリソースの配分方法を決定してもよい。TDDを利用する場合の例については、後述の実施例で詳細に説明される。
【0049】
中継器と通信を行う端末は、通信対象として選択された中継器により決定された無線リソースの使用方法に従い信号の生成、送信タイミングの調整を行い、通信を開始する。この中継器により決定された無線リソースの使用方法は、どの方法が選択されたかが中継器からブロードキャストされる場合は、この制御信号を受信することで認識することが可能である。また、これらが送信されない場合には、中継器や、隣接のシステムから送信される信号を受信することでブラインド推定されてもよい。
【0050】
図10は、中間帯域に1対のペアバンドが設定された様子を示す。上述したように、隣接する帯域で同じ方向の通信が行われる場合、それらの間のガードバンド幅は狭くてもよい。しかしながら、隣接する帯域で異なる方向の通信が行われる場合、それらの間のガードバンド幅は広くあるべきである。従って、図示の場合、ガードバンドUは、ガードバンドU/Dより狭く設定され、ガードバンドDもガードバンドU/Dより狭く設定されてよい(図は正確な寸法を表すものでないことに留意を要する。)。
【0051】
この場合、上りリンク側(UL側)のガードバンドUについては、UL側で使用するリンクの種別(上り又は下り)により決定される。下りリンク側(DL側)のガードバンドDについては、DL側で使用するリンクの種別(上り又は下り)により決定される。
【0052】
ペアバンドの配置は図示されているものだけでなく、下りの帯域を低周波側に、上りの帯域を高周波側に設定してもよい。しかしながら、ガードバンド幅をなるべく狭く設定する観点からは、図示のようになるべく同一方向の通信の帯域が隣接することが望ましい。図示の例では、中間帯域をFDDで利用する場合、中間帯域が2つに周波数分割され、FDD上りチャネルに近い周波数帯を中継器の上りに、FDD下りに近い周波数を中継器の下りに割り当てている。なお、図10における中継器の下り(DL)は、共通制御チャネルに使用されてもよい。
【0053】
さらに、上下リンクに割り当てるリソース量は、中継器が決定するようにしてもよい。ただし、UL側の周波数帯域のガードバンドは、ULで用いるよりも、DLで用いる方が広いことが考慮されなければならない。ULの割り当てについても同様である。すなわち、必要な最小のガードバンド幅により、DL/ULとして設定できる範囲に限界がある場合がある。
【0054】
上記のように中間周波数帯をFDDとして用いる場合、送受信機内部での上り信号と下り信号の干渉を回避するため、中継器で用いる上り信号と下り信号間の帯域を広くとる必要がある。このため、中継器の下りと上りで使用される帯域は、(中間帯域が離散的にいくつか存在していた場合)別個の中間帯域で用意されてもよいし、或いは異なる時間の中間帯域で確保されてもよい。
【0055】
図11は、FDDとTDDを併用した方法で中間帯域にペアバンドが用意される様子を示す。このようにすることで、中間帯域における下りリンクとセルラシステムの上りリンクとの間に広いガードバンドを用意することができる。また、中間帯域における上りリンクとセルラシステムの下りリンクとの間に広いガードバンドを用意することができる。
【0056】
図12もFDDとTDDを併用する例を示すが、中間帯域で使用するペアバンドの周波数が一部重複している点が異なる。
【実施例2】
【0057】
<TDD>
以下、TDD方式を用いた帯域使用例を説明する。
【0058】
図13は、TDD方式のシステムに割り当てられた帯域の間(中間帯域)を、TDD方式で利用する場合の例を示す。便宜上、中間帯域に隣接する帯域を利用するシステムを「隣接システム」と呼ぶことにする。図示の例では、隣接システムにおける無線フレームのフレーム長及び上下リンク比率と、中間帯域で使用される無線フレーム及び上下リンク比率は同じになるよう統一され、しかも各無線フレームは同期している。このことは必須ではないが、中間帯域で設定するガードバンドを少なくする観点からは、図示のようにフレーム長及び上下比率を揃え、同期していることが好ましい。上述したように、隣接する帯域では上下同じ方向の通信を行った方が、ガードバンド幅は少なくて済むからである。ただし、この場合に限らず、上下リソース比率の設定は、隣接する周波数帯を使用するTDDシステムの上下比率等に必ずしも合わせる必要はなく、伝送するトラフィック量に応じて設定されることが可能である。
【0059】
図14Aは、中間帯域に隣接する帯域を使用するTDDシステムが同期して運用されていない或いはフレーム長や上下リンク比率が異なる場合の中間帯域の使用例を示す。この場合も、中間帯域の右側のガードバンド幅は、右側のシステムのリンクの種類(上り又は下り)と、中間帯域で使用するリンクの種類(上り又は下り)により決定される。中間帯域の左側は、左側のシステムのリンクの種類(上り又は下り)と、中間帯域で使用するリンクの種類(上り又は下り)によりガードバンド幅が決定される。図示の例では、中間帯域の各時間において、隣接する帯域各々で使用される通信の上下方向が同じ場合には狭いガードバンド幅が、異なる場合は広いガードバンド幅が設定される。
【0060】
各中継帯域で許容される送信電力及び、セルラシステムの帯域と中継器が使用する帯域との間のガードバンド幅等については、既定の一定値でもよい。さらに、CPCを用いてシステムが構成されている場合は、上記ガードバンド幅、許容される送信電力等がCPCにより指定されてもよい。
【0061】
図14Bは、中間帯域の別の使用例を示す。この場合も、中間帯域の各時間において、隣接する帯域各々で使用される通信の上下方向が同じ場合には狭いガードバンド幅が、異なる場合は広いガードバンド幅が設定される。
【実施例3】
【0062】
<送信電力制御>
上記実施例では、最大送信電力を一定として、ガードバンド幅を適応的に制御する方法について示した。しかし、ガードバンド幅を調整することに代えて又はそれに加えて、送信電力が制限されてもよい。干渉の強弱は送信電力の強弱によっても変わるからである。
【0063】
図15は本発明の一実施例による中継器の構成を示す。概して図8で説明済みの構成と同様であるが、「右側隣接ガードバンド幅設定部826」の代わりに「右側帯域での許容送信電力設定部152」が、及び「左側隣接ガードバンド幅設定部830」の代わりに「左側帯域での許容送信電力設定部154」が用意されている点が異なる。許容送信電力設定部152,154は、図示のように代替的に使用されてもよいし、追加的に使用されてもよい。
【0064】
右側帯域での許容送信電力設定部152は、中間帯域の高周波側でどのような送信電力制御がなされるべきかを決定する。上述したように、送信電力が同じ場合、隣接する帯域で行われる通信が同じ方向ならばそれらは互いに干渉を及ぼしにくく、異なる方向ならば比較的大きな干渉を及ぼし合う。従って、隣接する帯域で行われる通信が同じ方向ならば、中間帯域で送信電力はさほど弱められないが、異なる方向であったならば送信電力は小さく弱められる。
【0065】
左側帯域での許容送信電力設定部154は、中間帯域の低周波側でどのような送信電力制御がなされるべきかを決定する。許容送信電力設定部152と同様に、隣接する帯域で行われる通信が同じ方向ならば、中間帯域で送信電力はさほど弱められないが、異なる方向であったならば送信電力は小さく弱められる。
【0066】
図16は、本実施例における周波数帯域及び送信電力の関係を示す。図16上段は、中間帯域に隣接する帯域を示し、図示の例ではFDD方式の使用例が示されている。図16中段は左側帯域での送信電力制御の様子を示し、これは許容送信電力設定部154により実現される。図16下段は右側帯域での送信電力制御の様子を示し、これは許容送信電力設定部152により実現される。送信電力制御は、図の中段及び下段の双方により実現される。
【0067】
なお、中間帯域で中継器の実行放射電力(送信電力+アンテナ利得)が、移動局と同程度に小さい場合、中間帯域におけるリンクの種別(上り/下り)を区別することは必須でない。このような場合、中間帯域で用いられるリンクの種別に関わらずガードバンド幅を一定に維持してもよい。
【0068】
図17はこのような場合の中間帯域の使用例を示す。この場合でも、移動無線システムの帯域で使用されるリンクの種別に応じて、移動無線通信システムと中間領域で使用される帯域間のガードバンドが決定される。図14A,Bと異なり、隣接する帯域で上下リンクが異なっていても、送信電力を制御することで、ガードバンド幅は狭くてもよい。
【0069】
一つの送信機が、送信電力を大きく変更する場合には、各タイミングで適用される送信電力に応じて、中間領域の使用法が適応的に切り替えられてもよい(隣接帯域のリンク種別を考慮してガードバンド幅を異ならせるか、或いはリンク種別によらず一定のガードバンド幅を適用するか等が適宜変更されてもよい。)。
【実施例4】
【0070】
<干渉電力>
上記実施例では、隣接周波数帯で用いられるリンクの種別と中間帯域で使用されるリンクの種別でガードバンド幅や、送信電力が制御される方法を示した。一方、中継器、基地局及び移動局の配置によっても、生じる干渉の大きさは変化し得る。
【0071】
図18に示されるような状況では、隣接する帯域を使用するセルラシステムの移動局UEと、中継器Rが比較的近い場所で使用される。従って、これらの間で与え合う干渉の影響は大きくなることが予想される。
【0072】
図19に示されるような状況では、逆に、移動局UEと中継器Rの距離は比較的遠いので、これらの間で与え合う干渉量は少なくなることが予想される。
【0073】
帯域の有効活用を促す観点からは、ガードバンド幅は狭い方が好ましい。これらの考察を総合すると、隣接する帯域間で上下方向の異なる通信がなされたとしても、ガードバンド幅を狭くしてよい場合がある。即ち、移動局UE及び中継局R間の距離が短かかった場合は広いガードバンドを、距離が長かった場合は狭いガードバンドを設けるようにしてもよい。
【0074】
図20は本発明の一実施例による中継器の構成を示す。概して図8で説明済みの構成と同様であるが、「右側隣接チャネルリンク種別検出部824」の代わりに「右側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部202」が、「左側隣接チャネルリンク種別検出部828」の代わりに「左側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部204」が用意されている点が異なる。
【0075】
右側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部202は、中間帯域に高周波側で隣接する帯域で使用されている上下リンク種別を検出することに加えて、その隣接する帯域からどの程度強い干渉波を受けているかを測定する。右側ガードバンド幅設定部826は、この測定結果に基づいて、ガードバンド幅を決定する。干渉が強かった場合は広いガードバンドを、干渉が弱かった場合は狭いガードバンドが設けられる。
【0076】
左側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部204は、中間帯域に低周波側で隣接する帯域で使用されている上下リンク種別を検出することに加えて、その隣接する帯域からどの程度強い干渉波を受けているかを測定する。右側ガードバンド幅設定部830は、この測定結果に基づいて、ガードバンド幅を決定する。干渉が強かった場合は広いガードバンドを、干渉が弱かった場合は狭いガードバンドが設けられる。
【0077】
図21は、図18に示されるように強い干渉が生じる場合、上下同じ方向に通信が行われる場合、比較的広いガードバンド幅が設定される様子を示す。上下異なる向きの通信に対しては、広いガードバンドを用意しなければならない。
【0078】
図22は、図19に示されるように弱い干渉しか生じない場合、上下同じ方向に通信が行われる場合、比較的狭いガードバンド幅が設定できる様子を示す。上下異なる向きの通信に対しては、広いガードバンドを用意しなければならない。
【0079】
FDDシステムの場合、隣接する周波数の帯域のみではなく、これらとペアで割り当てられている周波数帯域の受信信号レベルも確認する必要がある。例えばBand-Bを例にとると、Band-Bで伝送されている信号を受信する端末は、Band-Bでは送信しない(ペアバンドのBand-Aで送信が行われる)。すなわち、Band-Bで検出される信号の受信レベルが低い場合でも、この信号を受信している端末が該中継器に近い場所に存在する可能性がある。また、帯域とどの帯域がペアバンドになっているかは、予めシステム情報として記憶されていてもよいし、共通パイロットチャネルで報知されるようにしてもよい。また、この情報が分らない場合は、可能性のある帯域を全てサーチするようにしてもよい。いずれにせよ、実際に生じる干渉電力をできるだけ正確に推定することが望ましい。受信電力とガードバンド幅の関係は、予め中継器で記憶された関係を用いて決定するようにしてもよい。さらに、ガードバンド幅のみならず、上記実施例に示すように、ガードバンド幅に応じて最大送信電力が決定されるようにしてもよい。
【実施例5】
【0080】
<使用制限信号>
ガードバンド幅や許容する送信電力をCPCで通知する方法では、送信電力の制限を地理的に広範囲で一括して指定することになる。これは、一部の地域だけで生じた事情により、残りの広い地域全域にわたって、中継器により送信される電力が小さく制限されてしまうことが懸念される。
【0081】
一方、受信を行っている端末が必ずしも、常に送信を行うとは限らない。また、受信を行っている端末が送信を行う場合、送信の間隔も一般的には一定しない。無線インターフェイスの使用法や、伝送されるトラフィック等に依存して、それらは様々に変化し得る。FDDシステムにおいては、上記のようにペアとなる上りリンク及び下りリンクの情報を認識しておく必要もある。さらに、マルチキャストの受信を行っている端末は、長時間に渡り送信を行わない可能性もある。このように実際の通信状況は様々になっていることが予想される。このような様々な場合に、上記実施例による適切なガードバンド幅の設定や送信電力制御等に加えて、使用制限信号を利用してもよい。
【0082】
図23は、本発明の一形態による中継器の構成を示す。概して図8で説明済みの構成と同様であるが、「使用制限信号受信部231」が追加的に用意されている点が異なる。使用制限信号受信部231は、受信信号中の使用制限信号である使用許否信号が、何らかの帯域の使用を許可しているか禁止しているかを判定する。判定結果は中間帯域リソース制御部834に通知される。使用禁止が確認された場合、その信号で指定されている帯域の使用は、禁止される。
【0083】
図24は、中継局Rが中継帯域を使用しても、中継局Rは端末UE-Yから強い干渉を受けない様子を示す。この場合、中継帯域の利用を禁止する使用拒否信号は、使用制限信号受信部231で検出されず、中継帯域の使用は許可される。従って中継局Rは端末UE-Xとの通信(中継端末での中継)を行ってよい。
【0084】
図25は、中継局Rが中継帯域を使用すると、中継局Rは端末UE-Yから強い干渉を受けることになる様子を示す。この場合、使用制限信号受信部231で検出された使用拒否信号は、中継帯域の利用は禁止されることを示す。従って中継局Rは端末UE-Xとの通信(中継帯域での中継)を止める。本方式においてCPCは必ずしも必要ないが、使用されてもよい。
【0085】
図26に示されるように、例えば、CPCの一部の期間に、使用拒否信号用のチャネルを割り当て、各端末は、指定されたCPCのリソースの一部を用いて、使用拒否信号を送信してもよい。図示の例では、「使用許否」としているが、使用の禁止されることだけが明示的に通知されてもよいし、使用の許可されることだけが明示的に通知されてもよいし、許可又は禁止の何れであるかが明示的に通知されてもよい。また、CPC以外の帯域で、使用許否信号が送信されるようにし、その帯域が指定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
上記の実施例では、中継帯域を利用するオペレータは1人でもよいし、複数のオペレータで中継帯域が共有されもよい。この際の共有方法としては、無線LANで用いられているListen-before-talk方式を用いてもよいし、別の方法が使用されてもよい。さらに、上記では主に、中継局が中継する場合について説明が行われてきたが、自営無線用、具体的には無線を用いたローカルエリアネットワークや、パーソナルエリアネットワークを構築するために本発明が用いられてもよい。さらに、中継用途とローカル/パーソナルエリアネットワーク用途の両方に対して使用させるようにしてもよい。そして、この場合は、中継用途に対して優先的に使用されるようにしてもよい。
【0087】
上記では、1つのガードバンドを利用する場合についての実施例を示したが、複数のガードバンドを利用して、中継/自営無線通信用に使用してもよい。さらに、初期の通信リンクの確立を容易にするため、特定のガードバンドの中心の周波数帯を用いて、自局のID(用途、オペレータID、プリアンブル)に対応する信号を送信するようにしてもよい。
【0088】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。各実施例の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の実施例が必要に応じて使用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】周波数帯域が段階的に拡張されて行く様子を示す図である。
【図2】上下方向が同じ場合の所望波と干渉波の関係を示す図である。
【図3】上下方向が異なる場合の所望波と干渉波の関係を示す図である。
【図4】上下方向が異なる場合の上りリンクの際に生じる干渉波を説明するための図である。
【図5】上下方向が異なる場合の下りリンクの際に生じる干渉波を説明するための図である。
【図6】CPCが使用される場合のシステム概念図である。
【図7】本発明の動作原理を説明するための図である。
【図8】本発明の一実施例による中継器の構成例を示す図である。
【図9】中間帯域に設定するガードバンド幅を説明するための図である。
【図10】中間帯域の利用例を示す図(FDD)である。
【図11】中間帯域の利用例を示す図(FDD+TDD)である。
【図12】中間帯域の利用例を示す図(FDD+TDD)である。
【図13】中間帯域の利用例を示す図(TDD−同期)である。
【図14A】中間帯域の利用例を示す図(TDD−非同期)である。
【図14B】中間帯域の利用例を示す図(TDD)である。
【図15】本発明の一実施例による中継器の構成例(送信電力を考慮する例)を示す図である。
【図16】中間帯域を利用する際に送信電力を考慮する例を示す図である。
【図17】中間帯域の利用例を示す図である。
【図18】中間帯域を利用する際に干渉電力を考慮する例(干渉の強い場合)を示す図である。
【図19】中間帯域を利用する際に干渉電力を考慮する例(干渉の弱い場合)を示す図である。
【図20】本発明の一実施例による中継器の構成例(干渉電力を考慮する例)を示す図である。
【図21】中間帯域の利用例(干渉の強い場合)を示す図である。
【図22】中間帯域の利用例(干渉の弱い場合)を示す図である。
【図23】本発明の一実施例による中継器の構成例(使用制限信号を利用する例)を示す図である。
【図24】中間帯域での中継が許可される様子を示す図である。
【図25】中間帯域での中継が禁止される様子を示す図である。
【図26】CPCで使用許否信号が伝送される様子を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
822 中間帯域検出部
824,828 右側/左側チャネルリンク種別検出部
826,830 右側/左側隣接ガードバンド幅設定部
832 タイミング検出部
834 中間帯域リソース制御部
836 送信タイミング制御部
152,154 右側/左側帯域での許容送信電力設定部
202,204 右側/左側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部
231 使用制限信号受信部
UE ユーザ装置
BS 基地局
R 中継局
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に移動通信の技術分野に関連し、特に移動通信システムにおける無線通信装置及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術分野では、従来の第3世代の移動通信方式に続く方式に関する研究開発が急ピッチで進められている。第4世代移動通信システムなど今後の移動通信システムに対して割り当てられる周波数帯域は、昨今の高速伝送への需要に対応するため、より広くなると予想される。場合によっては、割り当て帯域がかなり広く、新規割り当て周波数帯の一部に既存システムの帯域が含まれる。この場合、新旧双方のシステムが並存した状態を経て、段階的に新システムへの移行が進行するであろう。
【0003】
図1は帯域を割り当てる一例を示す。「初期」の段階では、左側(低周波側)に既存のシステムの帯域が割り当てられている。このシステムは、周波数分割複信(FDD: Frequency Division Duplexing)方式を使用し、上りリンク及び下りリンクに異なる周波数が使用される。次に、右側(高周波側)に新規のシステム用の追加的な帯域が用意される。「追加割当後」の状態では、旧システムをそのまま使用しつつ、新システムの運用が開始可能になる。最終的には、「理想的な割当」として示されるように、広範な周波数帯域で新システムのサービスが行われる。しかしながらこの場合、図示されているように、「追加割当後」の状態では、FDDの上りと下りの間のガードインターバルが複数存在する。これは、周波数の有効利用の観点からは好ましくない。
【0004】
ところで、異なるシステム帯域間や上下リンクの切り替わりに備えて、ガードインターバル又はガードバンドが用意される。移動無線通信システムでは、FDDだけでなく、時間分割複信(TDD: Time Division Duplexing)方式が使用されることもある。以下に説明されるように、「FDDの上りとFDDの上り」或いは「FDDの下りとFDDの下り」に比較して、「FDDの上りとFDDの下り」、「FDDとTDD」及び「TDDシステム同士」の帯域の間には、比較的広いガードバンドを設ける必要がある。
【0005】
図2に示すように、隣接周波数帯域が、共に、下りリンクとして使用されていたとする。この場合、各端末は在圏セルの基地局から所望波を受信し、他の基地局から干渉波を受ける。あるシステムXの端末が最適な基地局から所望波を受信している限り、他のシステムYの基地局からの干渉波は比較的少ない。隣接周波数帯域が共に上りリンクに使用されていた場合も同様に、一方のシステムの基地局は、他方のシステムの端末からさほど大きな干渉を受けない。従って、各システムの通信の上下方向が同じ場合、隣接する帯域間に設けるガードバンドは比較的狭くてもよい。
【0006】
図3に示すように、片方のシステムで下りリンクに、他方のシステムで上りリンクに、ある隣接する周波数帯域が使用されたとする。この状況では、一方のシステムXの端末が送信を行っているときに、他方のシステムYの基地局が送信を行うことになる。基地局同士で干渉を及ぼし合うので、各自の受ける干渉の影響は、端末から受ける干渉より大きくなる。これは、基地局から基地局への干渉については、基地局から端末への干渉に比べ、基地局は受信感度が高いこと、アンテナ高が高いこと、伝搬的にもより遠くの干渉波まで受信できること等に起因する。
【0007】
図4は、上下方向の異なる通信が隣接周波数帯域で行われる様子を更に具体的に示している。図示されているように、基地局Cは端末Cからの所望波(上り信号)と、基地局Aからの干渉波を受ける。なお、一義的ではないが例えば、この基地局Cは図3の基地局Xに、基地局Aは図3の基地局Yに、そして端末Cは図3の端末Xに相当する。上述したように、上りリンクにおける他基地局からの干渉については、干渉源が基地局となり、干渉源が端末の場合と比較して送信電力やアンテナ利得が大きくなる。さらに、見通しになりやすい等の伝播環境による影響により、バンド間の干渉の影響は大きくなる。
【0008】
図5も、上下方向の異なる通信が隣接周波数帯域で行われる様子を更に具体的に示しているが、通信の上下方向が異なる。図示されているように、端末Aは基地局Aからの所望波(下り信号)と、端末Cからの干渉波を受ける。一義的ではないが例えば、端末Aは図3の端末Yに、基地局Aは図3の基地局Yに、端末Cは図3の基地局Xに相当する。下りリンクにおける他端末からの干渉については、干渉源が端末であり、送信電力やアンテナ利得は基地局のものに比べて小さい。しかし、端末同士は、非常に近い距離まで近接する可能性があるためバンド間の干渉の影響は大きくなる可能性がある。例えば、各端末が共にセル端に位置し、端末同士が接近する可能性がある。
【0009】
従って、FDDの上りリンクと下りリンクが隣接する場合においては、FDD下りリンク間やFDD上りリンク間に比べ、広いガードバンドが必要となる。
【0010】
さらに、上記の問題に加え、FDDでは、自局が送信中に受信を行うため、自局が送信する周波数帯と受信周波数帯が十分に隔離されている必要もある。
【0011】
また、上記問題に対する解決策として、に示されるソフトウエア無線と、CPC(Cognition supporting Pilot channel)を用いる方法がある(これについては、非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】An alternative concept to scanning process for cognitive radio systems: technical and regulatory issues IEEE
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
非特許文献1に記載の方法では、例えば世界共通のパイロットチャネル(CPC)が用意され報知される。端末は、電源投入時も電源投入後も、定期的にこのCPCを監視する。CPCは、例えば、ある帯域の周波数割当状況(オペレータ、無線インターフェイス仕様)等に関する情報を含む。端末は、この情報を元に、端末の構成を再構築し、指定の周波数帯を用いて伝送を行う。
【0013】
図6はCPCを用いる場合のシステムの概要を示す。図示の例では、同一地域で2つのシステムが並存し、オペレータ1,2各自がサービスを提供している。双方のシステムの端末はCPCを受信する。
【0014】
一方、この方法を実現するには、CPCに応じて、指定された周波数で送受信を行えるようにするため、全ての端末が、複数の周波数の信号を送受信できるように設計されている必要がある。従ってこの方法では端末の負荷がかなり大きくなってしまうという問題もある。更に、設備投資費用等の観点からは、想定される全てのエリアでユーザ装置がCPCを適切に受信できるようにすること自体容易でないかもしれない。
【0015】
他方、様々なオペレータが様々なサービスを展開する中で、様々な地域の各々で最適な通信方法をCPCで一律に報知するようにすると、CPCに要する制御情報量が過剰に多くなってしまう。これは、オーバーヘッドをなるべく少なくし、より多くのリソースをデータ伝送に割り当ててスループットを向上させる等の観点からは好ましくない。
【0016】
本発明の課題は、同一地域で異なる周波数帯域が使用される場合に、周波数の利用効率を向上させつつ制御信号によるオーバーヘッドを過剰に増やさないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一形態では、無線通信装置が使用される。当該無線通信装置は、同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている第1及び第2の周波数帯域間の帯域である中間帯域を検出する中間帯域検出部;前記第1及び第2の周波数帯域でそれぞれ使用されている上下リンクの多重方式を検出する使用状況検出部;及び前記中間帯域及び前記上下リンクの多重方式に基づいて、前記中間帯域で使用可能な上下リンクの多重方式と、前記中間帯域の中で使用の禁止されるガードバンド帯域とを少なくとも決定する決定部;を有する無線通信装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、異なる周波数帯域を使用するシステムが同一地域で複数並存する場合に、周波数の利用効率を向上させつつ制御信号によるオーバーヘッドを過剰に増やさないようにする観点から好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に説明されるように、本発明の一形態で使用される無線通信装置は、既定のルールに基づいて、隣接して使用される移動無線通信システムとのガードバンド幅や送信電力を決定し、信号の中継/ローカルエリア通信等に利用する。本願における「無線通信装置」なる用語は、セルラシステムの通常の基地局だけでなく、マイクロセル基地局、フェムトセル基地局、中継局、自営の無線通信装置等を含む概念として使用される。
【0020】
図7は、本発明の一形態で想定するシステム構成例を示す。図7に示すように、移動通信システムの基地局(上記の無線通信装置)BSは、通常、移動局UEと直接通信を行う。しかしながら、屋内や、ビル影など、基地局から直接電波が届きにくい場所に位置する移動局に対しては、基地局は中継器Rを介して通信を行ってよい。説明の便宜上、基地局BSと通信するのは移動局とするが、より一般的にはユーザ装置(UE: User Equipment)が基地局BSや中継器Rと通信を行ってよい。
【0021】
通常、中継器は、システム帯域の中で中継用に用意された帯域(基地局が伝送を行う帯域と同一である場合を含む)を用いて伝送を行う。しかしながら、本発明の一形態では、中継器は、システム帯域以外の中間帯域(従来使用できなかったシステム間のガードバンド)を以下に示す方法により認識し、この中間帯域の使用方法を決定し、中間帯域で中継を行う。単なる説明の簡明化の観点から、「中継器」を用いて説明される箇所もあるが、より一般的には、そのような「中継器」の機能が「無線通信装置」で実行されてもよい。
【0022】
この中間帯域の利用は、通信距離の短い端末の通信に限定され、伝送距離を短く制限することで、通常の下り伝送或いは上り伝送に比較して、大幅に送信電力を抑えることができる。このため、従来ガードバンドとして利用できなかった帯域を、中継器Rが利用できるようになる。ただし、特に中継用途として用いられる場合、移動無線通信システムに用いられる帯域A、Bと中継器で用いられる帯域a、bに関して、Aとa、Bとbは十分に隔離されていることが好ましい。
【0023】
上述したように、理論上は、CPCのような共通制御チャネルにより、中間帯域の使用法、即ち、割当法や使用パラメータの制限(ガードバンド幅、許容送信電力)等が報知されてもよい。しかしながら、中間帯域の最適な使用法は、中継器と、移動通信システムの基地局/移動局との距離にも依存するため、それら全てを共通制御チャネルで指定使用とすることは必ずしも好ましくない。
【0024】
さらに、中継器或いは、自営無線通信装置が伝送するトラフィック内容によって、所望の帯域の使用方法(上りリソースと下りリソース比率)が異なる可能性もある。CPCで使用法を固定的に決定すると、そのような場合の自由度を大きく制限してしまうことが懸念される。
【0025】
さらに、CPCにより中間帯域の使用方法についての情報の送信を全て報知しようとすると、CPCに必要な制御信号量が大きくなり、多くの周波数リソースを用いる必要がある。
特に、中間帯域を使用する多重方式、リンクの種別や、実行輻射電力が多様な場合は、特に、制御信号量が多くなってしまう。これはオーバーヘッドを減らす観点から特に好ましくない。
【0026】
以下の観点から本発明の実施例が説明される。
【0027】
1.FDD
2.TDD
3.送信電力制御
4.干渉電力
5.使用制限信号
しかしながら、各実施例の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の実施例が必要に応じて使用されてよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされるが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。
【実施例1】
【0028】
<FDD>
以下、FDD方式を用いた帯域利用例を説明する。
【0029】
図8は、本発明の一実施例による中継器の構成を示す。図中右側に描かれている無線回路部802で受信された信号は、中継すべきデータ信号や中継すべき制御信号のような自装置の属するシステムの信号と、他のシステムからの干渉信号とを含む。
【0030】
分離部804は、受信信号をそれに含まれている様々な信号に分離し、後段の処理部にそれぞれ与える。
【0031】
データ受信部806は、中継すべきデータ信号を取り出し、データ信号生成部808に与える。
【0032】
データ信号生成部808は、入力された送信データや、リソース割当部814からの情報等から、送信信号を改めて用意し、多重部810に出力する。
【0033】
制御信号受信部812は、制御信号を取り出し、リソース割当部814に必要な情報を通知する。必要な情報は、例えば、チャネル状態の良否を表す情報や、リソースの割当要求等を含んでもよい。
【0034】
リソース割当部814は、上りチャネル及び下りチャネルのリソース割当を行う。どのようにリソースを割り当てるか(スケジューリング)は、中継局の上位装置である基地局でなされてもよい。
【0035】
制御信号生成部816は、中継すべきデータ信号に付随する制御信号(例えば、データ信号の伝送フォーマットを特定する情報を含んでもよい)を用意し、中継に備える。
【0036】
多重部810は、入力されたデータ信号と、制御信号とを、リソース割当情報に基づいて多重する。多重は、時間分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)、符号分割多重(CDM)、空間分割多重(SDM)又はそれらの1つ以上の組み合わせでもよいし、他の多重法が使用されてもよい。
【0037】
本実施例における中継器は、更に、中間帯域検出部822、右側/左側チャネルリンク種別検出部824,828、右側/左側隣接ガードバンド幅設定部826,830、タイミング検出部832、中間帯域リソース制御部834及び送信タイミング制御部836を更に有する。
【0038】
中間帯域検出部822は、同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている不連続な周波数帯域間のシステム間ガードバンド(中間帯域)を検出する。中間帯域は、ある移動通信システムの上りリンクに割り当てられた周波数帯域と下りリンクに割り当てられた周波数帯域との間の帯域でもよい。中間帯域は、あるシステムに割り当てられた周波数帯域と、別のシステムに割り当てられた周波数帯域との間の帯域でもよい。或る地域で検出される中間帯域は、1つかもしれないし、1つより多くの中間帯域が検出されるかもしれない。
【0039】
中間帯域は、適切な如何なる方法で検出されてもよい。例えば、検査対象の周波数帯域における信号電力が測定され、その測定結果に基づいて中間帯域が特定されてもよい。或いは、中間帯域がどのように設定されているかを示す制御情報(共通制御チャネル)が存在する場合、その制御情報を分析することで中間帯域が特定されてもよい。例えば、共通制御チャネルを用いて、使用されている可能性があるシステムが特定され、これらの帯域が、該中継器の周辺で実際に使用されているかが確認されてもよい。また、各帯域の使用状況を速やかに把握する観点からは、各システム帯域の割当パターン(例えば、20MHz幅で割り当てられること等)が予め決められていることが好ましい。
【0040】
右側チャネルリンク種別検出部824は、中間帯域に隣接する高周波側のシステム帯域で、どのような上下リンクの多重法が使用されているか等のような使用状況を検出する。「右側」は周波数軸上で高周波数側を意味するように説明されているが、このことは本発明に必須でなく説明上の便宜的な名称に過ぎない。右側チャネルリンク種別検出部824は、例えば、隣接するシステム帯域でFDD方式が使用されているか否か、TDD方式が使用されているか、中間帯域に隣接する帯域が上りリンクに割り当てられているか否か、中間帯域に隣接する帯域が下りリンクに割り当てられているか否か等を判定する。右側チャネルリンク種別検出部824は、各システムで使用される既知信号(プリアンブルやパイロット信号)を利用して、多重方式や回線の方向等を判定してよい。或いは、上りと下りの信号の統計的性質を利用し、ブラインド(blind)推定が行われてもよい。その場合、有意の信号がどのようなパターンで生じているかに基づいて、上記の判定がなされる。例えば、下り信号は、必ず基地局から送信されるため、少なくとも定期的に同一の地点から信号が送信されるのに対して、上りは、送信するユーザが時間、周波数により異なることを利用して、上記の判定がなされてもよい。
【0041】
左側チャネルリンク種別検出部828は、中間帯域に隣接する低周波側のシステム帯域で、どのような上下リンクの多重法が使用されているか等のような使用状況を検出する。「左側」は周波数軸上で低周波数側を意味するように説明されているが、このことも本発明に必須でなく説明上の便宜的な名称に過ぎない。左側チャネルリンク種別検出部828は、例えば、隣接するシステム帯域でFDD方式が使用されているか否か、TDD方式が使用されているか、中間帯域に隣接する帯域が上りリンクに割り当てられているか否か、中間帯域に隣接する帯域が下りリンクに割り当てられているか否か等を判定する。左側チャネルリンク種別検出部828は、各システムで使用される既知信号を利用して、多重方式や回線の方向等を判定してよい。或いは、上りと下りの信号の統計的性質を利用し、ブラインド推定が行われてもよい。その場合、有意の信号がどのようなパターンで生じているかに基づいて、上記の判定がなされる。例えば、下り信号は、必ず基地局から送信されるため、少なくとも定期的に同一の地点から信号が送信されるのに対して、上りは、送信するユーザが時間、周波数により異なることを利用して、上記の判定がなされてもよい。
【0042】
右側隣接ガードバンド幅設定部826は、右側隣接チャネルリンク種別検出部824の検出結果に基づいて、中間帯域の内、高周波側に用意するガードバンド幅を決定する。左側隣接ガードバンド幅設定部830は、左側隣接チャネルリンク種別検出部828の検出結果に基づいて、中間帯域の内、低周波側に用意するガードバンド幅を決定する。
【0043】
タイミング検出部832は、受信信号の同期を確立すること、TDD方式が使用されている場合に、無線フレームの上下リンク比率を特定すること等のような時間的なタイミングを判定する。TDDの場合、各帯域で行われる通信の上下の向きは時間経過と共に交互に変わる。尚、タイミング検出部832でタイミングを検出するために使用される信号は、左側バンド及び右側バンドの信号である。
【0044】
中間帯域リソース制御部834は、右側及び左側ガードバンド幅設定部826,830で決定されたガードバンド幅に基づいて、中間帯域をどのように使用するかを決定する。中間帯域リソース制御部834は、これらの時間比率を考慮してリソースの配分を決定する。また、送信を行うタイミングについても、隣接帯域が上りの場合に設定されたガードバンドで生成された信号は、隣接帯域が上りで送信されているタイミングで送信される必要があるため、送信タイミング制御部が必要になる。
【0045】
送信タイミング制御部836は、判定されたタイミングに基づいて、送信タイミングを決定し、無線回路部802等に通知する。また、受信タイミングや上下比率等の情報は、中間帯域リソース制御部834にも通知される。
【0046】
本願におけるガードバンドは、中間帯域の中で使用の禁止される帯域幅を示す。従来、中間帯域は全て使用禁止であったが、本実施例では中間帯域の一部の使用が許可され、別の一部分のみが真に使用禁止に設定される。言い換えれば、従来は中間帯域の全てがガードバンドであるが、本実施例では中間帯域の一部分のみがガードバンドであり、残りの中間帯域の使用は許可される。ガードバンド幅(より正確には、最低限必要なガードバンド幅)をどのように設定すべきかについては、様々な例と共に後述される。中間帯域とそれに隣接する帯域で上下同じ向きに通信が行われる場合、ガードバンド幅は、上下逆向きに使用される場合より狭く設定可能である。設定されるガードバンド幅は、予め各場合に対して既定された値としてもよい。本実施例では、最大送信電力は既定の一定値であるとする。
【0047】
図9はリンク種別に応じてガードバンド幅がどのように異なるかを示す。図示の例は、中間帯域の内、低周波側を利用する場合に必要なガードバンド幅を模式的に示している(高周波側については省略されている)。低周波側は上りリンクに使用されている。従って、中間帯域の少なくとも低周波側では、上りリンクに使用した方が、下りリンクに使用する場合よりも狭いガードバンド幅でよい。敢えて言及するまでもないが、この中間帯域が従来は使用されないことで、無線リソースの有効活用が十分にはなされていなかった。
【0048】
中間帯域リソース制御部834は、上記より決定された条件と、自局で送信する上り/下りトラフィック量に応じて、中間帯域で使用するリソースの配分方法を決定してもよい。TDDを利用する場合の例については、後述の実施例で詳細に説明される。
【0049】
中継器と通信を行う端末は、通信対象として選択された中継器により決定された無線リソースの使用方法に従い信号の生成、送信タイミングの調整を行い、通信を開始する。この中継器により決定された無線リソースの使用方法は、どの方法が選択されたかが中継器からブロードキャストされる場合は、この制御信号を受信することで認識することが可能である。また、これらが送信されない場合には、中継器や、隣接のシステムから送信される信号を受信することでブラインド推定されてもよい。
【0050】
図10は、中間帯域に1対のペアバンドが設定された様子を示す。上述したように、隣接する帯域で同じ方向の通信が行われる場合、それらの間のガードバンド幅は狭くてもよい。しかしながら、隣接する帯域で異なる方向の通信が行われる場合、それらの間のガードバンド幅は広くあるべきである。従って、図示の場合、ガードバンドUは、ガードバンドU/Dより狭く設定され、ガードバンドDもガードバンドU/Dより狭く設定されてよい(図は正確な寸法を表すものでないことに留意を要する。)。
【0051】
この場合、上りリンク側(UL側)のガードバンドUについては、UL側で使用するリンクの種別(上り又は下り)により決定される。下りリンク側(DL側)のガードバンドDについては、DL側で使用するリンクの種別(上り又は下り)により決定される。
【0052】
ペアバンドの配置は図示されているものだけでなく、下りの帯域を低周波側に、上りの帯域を高周波側に設定してもよい。しかしながら、ガードバンド幅をなるべく狭く設定する観点からは、図示のようになるべく同一方向の通信の帯域が隣接することが望ましい。図示の例では、中間帯域をFDDで利用する場合、中間帯域が2つに周波数分割され、FDD上りチャネルに近い周波数帯を中継器の上りに、FDD下りに近い周波数を中継器の下りに割り当てている。なお、図10における中継器の下り(DL)は、共通制御チャネルに使用されてもよい。
【0053】
さらに、上下リンクに割り当てるリソース量は、中継器が決定するようにしてもよい。ただし、UL側の周波数帯域のガードバンドは、ULで用いるよりも、DLで用いる方が広いことが考慮されなければならない。ULの割り当てについても同様である。すなわち、必要な最小のガードバンド幅により、DL/ULとして設定できる範囲に限界がある場合がある。
【0054】
上記のように中間周波数帯をFDDとして用いる場合、送受信機内部での上り信号と下り信号の干渉を回避するため、中継器で用いる上り信号と下り信号間の帯域を広くとる必要がある。このため、中継器の下りと上りで使用される帯域は、(中間帯域が離散的にいくつか存在していた場合)別個の中間帯域で用意されてもよいし、或いは異なる時間の中間帯域で確保されてもよい。
【0055】
図11は、FDDとTDDを併用した方法で中間帯域にペアバンドが用意される様子を示す。このようにすることで、中間帯域における下りリンクとセルラシステムの上りリンクとの間に広いガードバンドを用意することができる。また、中間帯域における上りリンクとセルラシステムの下りリンクとの間に広いガードバンドを用意することができる。
【0056】
図12もFDDとTDDを併用する例を示すが、中間帯域で使用するペアバンドの周波数が一部重複している点が異なる。
【実施例2】
【0057】
<TDD>
以下、TDD方式を用いた帯域使用例を説明する。
【0058】
図13は、TDD方式のシステムに割り当てられた帯域の間(中間帯域)を、TDD方式で利用する場合の例を示す。便宜上、中間帯域に隣接する帯域を利用するシステムを「隣接システム」と呼ぶことにする。図示の例では、隣接システムにおける無線フレームのフレーム長及び上下リンク比率と、中間帯域で使用される無線フレーム及び上下リンク比率は同じになるよう統一され、しかも各無線フレームは同期している。このことは必須ではないが、中間帯域で設定するガードバンドを少なくする観点からは、図示のようにフレーム長及び上下比率を揃え、同期していることが好ましい。上述したように、隣接する帯域では上下同じ方向の通信を行った方が、ガードバンド幅は少なくて済むからである。ただし、この場合に限らず、上下リソース比率の設定は、隣接する周波数帯を使用するTDDシステムの上下比率等に必ずしも合わせる必要はなく、伝送するトラフィック量に応じて設定されることが可能である。
【0059】
図14Aは、中間帯域に隣接する帯域を使用するTDDシステムが同期して運用されていない或いはフレーム長や上下リンク比率が異なる場合の中間帯域の使用例を示す。この場合も、中間帯域の右側のガードバンド幅は、右側のシステムのリンクの種類(上り又は下り)と、中間帯域で使用するリンクの種類(上り又は下り)により決定される。中間帯域の左側は、左側のシステムのリンクの種類(上り又は下り)と、中間帯域で使用するリンクの種類(上り又は下り)によりガードバンド幅が決定される。図示の例では、中間帯域の各時間において、隣接する帯域各々で使用される通信の上下方向が同じ場合には狭いガードバンド幅が、異なる場合は広いガードバンド幅が設定される。
【0060】
各中継帯域で許容される送信電力及び、セルラシステムの帯域と中継器が使用する帯域との間のガードバンド幅等については、既定の一定値でもよい。さらに、CPCを用いてシステムが構成されている場合は、上記ガードバンド幅、許容される送信電力等がCPCにより指定されてもよい。
【0061】
図14Bは、中間帯域の別の使用例を示す。この場合も、中間帯域の各時間において、隣接する帯域各々で使用される通信の上下方向が同じ場合には狭いガードバンド幅が、異なる場合は広いガードバンド幅が設定される。
【実施例3】
【0062】
<送信電力制御>
上記実施例では、最大送信電力を一定として、ガードバンド幅を適応的に制御する方法について示した。しかし、ガードバンド幅を調整することに代えて又はそれに加えて、送信電力が制限されてもよい。干渉の強弱は送信電力の強弱によっても変わるからである。
【0063】
図15は本発明の一実施例による中継器の構成を示す。概して図8で説明済みの構成と同様であるが、「右側隣接ガードバンド幅設定部826」の代わりに「右側帯域での許容送信電力設定部152」が、及び「左側隣接ガードバンド幅設定部830」の代わりに「左側帯域での許容送信電力設定部154」が用意されている点が異なる。許容送信電力設定部152,154は、図示のように代替的に使用されてもよいし、追加的に使用されてもよい。
【0064】
右側帯域での許容送信電力設定部152は、中間帯域の高周波側でどのような送信電力制御がなされるべきかを決定する。上述したように、送信電力が同じ場合、隣接する帯域で行われる通信が同じ方向ならばそれらは互いに干渉を及ぼしにくく、異なる方向ならば比較的大きな干渉を及ぼし合う。従って、隣接する帯域で行われる通信が同じ方向ならば、中間帯域で送信電力はさほど弱められないが、異なる方向であったならば送信電力は小さく弱められる。
【0065】
左側帯域での許容送信電力設定部154は、中間帯域の低周波側でどのような送信電力制御がなされるべきかを決定する。許容送信電力設定部152と同様に、隣接する帯域で行われる通信が同じ方向ならば、中間帯域で送信電力はさほど弱められないが、異なる方向であったならば送信電力は小さく弱められる。
【0066】
図16は、本実施例における周波数帯域及び送信電力の関係を示す。図16上段は、中間帯域に隣接する帯域を示し、図示の例ではFDD方式の使用例が示されている。図16中段は左側帯域での送信電力制御の様子を示し、これは許容送信電力設定部154により実現される。図16下段は右側帯域での送信電力制御の様子を示し、これは許容送信電力設定部152により実現される。送信電力制御は、図の中段及び下段の双方により実現される。
【0067】
なお、中間帯域で中継器の実行放射電力(送信電力+アンテナ利得)が、移動局と同程度に小さい場合、中間帯域におけるリンクの種別(上り/下り)を区別することは必須でない。このような場合、中間帯域で用いられるリンクの種別に関わらずガードバンド幅を一定に維持してもよい。
【0068】
図17はこのような場合の中間帯域の使用例を示す。この場合でも、移動無線システムの帯域で使用されるリンクの種別に応じて、移動無線通信システムと中間領域で使用される帯域間のガードバンドが決定される。図14A,Bと異なり、隣接する帯域で上下リンクが異なっていても、送信電力を制御することで、ガードバンド幅は狭くてもよい。
【0069】
一つの送信機が、送信電力を大きく変更する場合には、各タイミングで適用される送信電力に応じて、中間領域の使用法が適応的に切り替えられてもよい(隣接帯域のリンク種別を考慮してガードバンド幅を異ならせるか、或いはリンク種別によらず一定のガードバンド幅を適用するか等が適宜変更されてもよい。)。
【実施例4】
【0070】
<干渉電力>
上記実施例では、隣接周波数帯で用いられるリンクの種別と中間帯域で使用されるリンクの種別でガードバンド幅や、送信電力が制御される方法を示した。一方、中継器、基地局及び移動局の配置によっても、生じる干渉の大きさは変化し得る。
【0071】
図18に示されるような状況では、隣接する帯域を使用するセルラシステムの移動局UEと、中継器Rが比較的近い場所で使用される。従って、これらの間で与え合う干渉の影響は大きくなることが予想される。
【0072】
図19に示されるような状況では、逆に、移動局UEと中継器Rの距離は比較的遠いので、これらの間で与え合う干渉量は少なくなることが予想される。
【0073】
帯域の有効活用を促す観点からは、ガードバンド幅は狭い方が好ましい。これらの考察を総合すると、隣接する帯域間で上下方向の異なる通信がなされたとしても、ガードバンド幅を狭くしてよい場合がある。即ち、移動局UE及び中継局R間の距離が短かかった場合は広いガードバンドを、距離が長かった場合は狭いガードバンドを設けるようにしてもよい。
【0074】
図20は本発明の一実施例による中継器の構成を示す。概して図8で説明済みの構成と同様であるが、「右側隣接チャネルリンク種別検出部824」の代わりに「右側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部202」が、「左側隣接チャネルリンク種別検出部828」の代わりに「左側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部204」が用意されている点が異なる。
【0075】
右側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部202は、中間帯域に高周波側で隣接する帯域で使用されている上下リンク種別を検出することに加えて、その隣接する帯域からどの程度強い干渉波を受けているかを測定する。右側ガードバンド幅設定部826は、この測定結果に基づいて、ガードバンド幅を決定する。干渉が強かった場合は広いガードバンドを、干渉が弱かった場合は狭いガードバンドが設けられる。
【0076】
左側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部204は、中間帯域に低周波側で隣接する帯域で使用されている上下リンク種別を検出することに加えて、その隣接する帯域からどの程度強い干渉波を受けているかを測定する。右側ガードバンド幅設定部830は、この測定結果に基づいて、ガードバンド幅を決定する。干渉が強かった場合は広いガードバンドを、干渉が弱かった場合は狭いガードバンドが設けられる。
【0077】
図21は、図18に示されるように強い干渉が生じる場合、上下同じ方向に通信が行われる場合、比較的広いガードバンド幅が設定される様子を示す。上下異なる向きの通信に対しては、広いガードバンドを用意しなければならない。
【0078】
図22は、図19に示されるように弱い干渉しか生じない場合、上下同じ方向に通信が行われる場合、比較的狭いガードバンド幅が設定できる様子を示す。上下異なる向きの通信に対しては、広いガードバンドを用意しなければならない。
【0079】
FDDシステムの場合、隣接する周波数の帯域のみではなく、これらとペアで割り当てられている周波数帯域の受信信号レベルも確認する必要がある。例えばBand-Bを例にとると、Band-Bで伝送されている信号を受信する端末は、Band-Bでは送信しない(ペアバンドのBand-Aで送信が行われる)。すなわち、Band-Bで検出される信号の受信レベルが低い場合でも、この信号を受信している端末が該中継器に近い場所に存在する可能性がある。また、帯域とどの帯域がペアバンドになっているかは、予めシステム情報として記憶されていてもよいし、共通パイロットチャネルで報知されるようにしてもよい。また、この情報が分らない場合は、可能性のある帯域を全てサーチするようにしてもよい。いずれにせよ、実際に生じる干渉電力をできるだけ正確に推定することが望ましい。受信電力とガードバンド幅の関係は、予め中継器で記憶された関係を用いて決定するようにしてもよい。さらに、ガードバンド幅のみならず、上記実施例に示すように、ガードバンド幅に応じて最大送信電力が決定されるようにしてもよい。
【実施例5】
【0080】
<使用制限信号>
ガードバンド幅や許容する送信電力をCPCで通知する方法では、送信電力の制限を地理的に広範囲で一括して指定することになる。これは、一部の地域だけで生じた事情により、残りの広い地域全域にわたって、中継器により送信される電力が小さく制限されてしまうことが懸念される。
【0081】
一方、受信を行っている端末が必ずしも、常に送信を行うとは限らない。また、受信を行っている端末が送信を行う場合、送信の間隔も一般的には一定しない。無線インターフェイスの使用法や、伝送されるトラフィック等に依存して、それらは様々に変化し得る。FDDシステムにおいては、上記のようにペアとなる上りリンク及び下りリンクの情報を認識しておく必要もある。さらに、マルチキャストの受信を行っている端末は、長時間に渡り送信を行わない可能性もある。このように実際の通信状況は様々になっていることが予想される。このような様々な場合に、上記実施例による適切なガードバンド幅の設定や送信電力制御等に加えて、使用制限信号を利用してもよい。
【0082】
図23は、本発明の一形態による中継器の構成を示す。概して図8で説明済みの構成と同様であるが、「使用制限信号受信部231」が追加的に用意されている点が異なる。使用制限信号受信部231は、受信信号中の使用制限信号である使用許否信号が、何らかの帯域の使用を許可しているか禁止しているかを判定する。判定結果は中間帯域リソース制御部834に通知される。使用禁止が確認された場合、その信号で指定されている帯域の使用は、禁止される。
【0083】
図24は、中継局Rが中継帯域を使用しても、中継局Rは端末UE-Yから強い干渉を受けない様子を示す。この場合、中継帯域の利用を禁止する使用拒否信号は、使用制限信号受信部231で検出されず、中継帯域の使用は許可される。従って中継局Rは端末UE-Xとの通信(中継端末での中継)を行ってよい。
【0084】
図25は、中継局Rが中継帯域を使用すると、中継局Rは端末UE-Yから強い干渉を受けることになる様子を示す。この場合、使用制限信号受信部231で検出された使用拒否信号は、中継帯域の利用は禁止されることを示す。従って中継局Rは端末UE-Xとの通信(中継帯域での中継)を止める。本方式においてCPCは必ずしも必要ないが、使用されてもよい。
【0085】
図26に示されるように、例えば、CPCの一部の期間に、使用拒否信号用のチャネルを割り当て、各端末は、指定されたCPCのリソースの一部を用いて、使用拒否信号を送信してもよい。図示の例では、「使用許否」としているが、使用の禁止されることだけが明示的に通知されてもよいし、使用の許可されることだけが明示的に通知されてもよいし、許可又は禁止の何れであるかが明示的に通知されてもよい。また、CPC以外の帯域で、使用許否信号が送信されるようにし、その帯域が指定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
上記の実施例では、中継帯域を利用するオペレータは1人でもよいし、複数のオペレータで中継帯域が共有されもよい。この際の共有方法としては、無線LANで用いられているListen-before-talk方式を用いてもよいし、別の方法が使用されてもよい。さらに、上記では主に、中継局が中継する場合について説明が行われてきたが、自営無線用、具体的には無線を用いたローカルエリアネットワークや、パーソナルエリアネットワークを構築するために本発明が用いられてもよい。さらに、中継用途とローカル/パーソナルエリアネットワーク用途の両方に対して使用させるようにしてもよい。そして、この場合は、中継用途に対して優先的に使用されるようにしてもよい。
【0087】
上記では、1つのガードバンドを利用する場合についての実施例を示したが、複数のガードバンドを利用して、中継/自営無線通信用に使用してもよい。さらに、初期の通信リンクの確立を容易にするため、特定のガードバンドの中心の周波数帯を用いて、自局のID(用途、オペレータID、プリアンブル)に対応する信号を送信するようにしてもよい。
【0088】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。各実施例の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の実施例が必要に応じて使用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】周波数帯域が段階的に拡張されて行く様子を示す図である。
【図2】上下方向が同じ場合の所望波と干渉波の関係を示す図である。
【図3】上下方向が異なる場合の所望波と干渉波の関係を示す図である。
【図4】上下方向が異なる場合の上りリンクの際に生じる干渉波を説明するための図である。
【図5】上下方向が異なる場合の下りリンクの際に生じる干渉波を説明するための図である。
【図6】CPCが使用される場合のシステム概念図である。
【図7】本発明の動作原理を説明するための図である。
【図8】本発明の一実施例による中継器の構成例を示す図である。
【図9】中間帯域に設定するガードバンド幅を説明するための図である。
【図10】中間帯域の利用例を示す図(FDD)である。
【図11】中間帯域の利用例を示す図(FDD+TDD)である。
【図12】中間帯域の利用例を示す図(FDD+TDD)である。
【図13】中間帯域の利用例を示す図(TDD−同期)である。
【図14A】中間帯域の利用例を示す図(TDD−非同期)である。
【図14B】中間帯域の利用例を示す図(TDD)である。
【図15】本発明の一実施例による中継器の構成例(送信電力を考慮する例)を示す図である。
【図16】中間帯域を利用する際に送信電力を考慮する例を示す図である。
【図17】中間帯域の利用例を示す図である。
【図18】中間帯域を利用する際に干渉電力を考慮する例(干渉の強い場合)を示す図である。
【図19】中間帯域を利用する際に干渉電力を考慮する例(干渉の弱い場合)を示す図である。
【図20】本発明の一実施例による中継器の構成例(干渉電力を考慮する例)を示す図である。
【図21】中間帯域の利用例(干渉の強い場合)を示す図である。
【図22】中間帯域の利用例(干渉の弱い場合)を示す図である。
【図23】本発明の一実施例による中継器の構成例(使用制限信号を利用する例)を示す図である。
【図24】中間帯域での中継が許可される様子を示す図である。
【図25】中間帯域での中継が禁止される様子を示す図である。
【図26】CPCで使用許否信号が伝送される様子を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
822 中間帯域検出部
824,828 右側/左側チャネルリンク種別検出部
826,830 右側/左側隣接ガードバンド幅設定部
832 タイミング検出部
834 中間帯域リソース制御部
836 送信タイミング制御部
152,154 右側/左側帯域での許容送信電力設定部
202,204 右側/左側隣接チャネルリンク種別及び受信レベル検出部
231 使用制限信号受信部
UE ユーザ装置
BS 基地局
R 中継局
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている第1及び第2の周波数帯域間の帯域である中間帯域を検出する中間帯域検出部;
前記第1及び第2の周波数帯域でそれぞれ使用されている上下リンクの多重方式を検出する使用状況検出部;及び
前記中間帯域及び前記上下リンクの多重方式に基づいて、前記中間帯域で使用可能な上下リンクの多重方式と、前記中間帯域の中で使用の禁止されるガードバンド帯域とを少なくとも決定する決定部;
を有する無線通信装置。
【請求項2】
前記中間帯域の中で、少なくとも1対の上下リンクのペアバンドが前記ガードバンド帯域と共に用意される請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の帯域で行われる通信の上下方向が同じであるか否かに応じて、前記ガードバンド帯域の帯域幅が異なるようにした請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の帯域で行われる通信の上下方向が同じであるか否かに応じて、前記高周波側及び低周波側の帯域双方又は一方における送信電力が異なるようにした請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の双方の帯域で時分割多重複信(TDD)方式が使用され、無線フレームの上下リンク比率は前記双方の帯域で等しくなるようにした請求項1記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の双方の帯域で時分割多重複信(TDD)方式が使用され、無線フレームのフレーム長又は上下リンク比率が、前記双方の帯域で異なるようにした請求項1記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の双方の帯域で行われる通信の上下方向が同じであるか否かに応じて、前記ガードバンド帯域の帯域幅が異なるようにした請求項6記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記ガードバンド帯域の帯域幅が、或いは前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の双方の又は一方の帯域における送信電力が、当該無線通信装置の属する移動通信システムと異なる移動通信システムから受ける干渉信号レベルに基づいて決定される請求項3記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記中間帯域の周波数情報、前記中間帯域で許容される送信電力、及び前記ガードバンド帯域の内の1つ以上を示す制御信号を受信する受信機を有する請求項1記載の無線通信装置。
【請求項10】
同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている第1及び第2の周波数帯域間の帯域である中間帯域を検出する中間帯域検出ステップ;
前記第1及び第2の周波数帯域でそれぞれ使用されている上下リンクの多重方式を検出する使用状況検出ステップ;及び
前記中間帯域及び前記上下リンクの多重方式に基づいて、前記中間帯域で使用可能な上下リンクの多重方式と、前記中間帯域の中で使用の禁止されるガードバンド帯域とを少なくとも決定する決定ステップ;
を有する無線通信装置で使用される方法。
【請求項1】
同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている第1及び第2の周波数帯域間の帯域である中間帯域を検出する中間帯域検出部;
前記第1及び第2の周波数帯域でそれぞれ使用されている上下リンクの多重方式を検出する使用状況検出部;及び
前記中間帯域及び前記上下リンクの多重方式に基づいて、前記中間帯域で使用可能な上下リンクの多重方式と、前記中間帯域の中で使用の禁止されるガードバンド帯域とを少なくとも決定する決定部;
を有する無線通信装置。
【請求項2】
前記中間帯域の中で、少なくとも1対の上下リンクのペアバンドが前記ガードバンド帯域と共に用意される請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の帯域で行われる通信の上下方向が同じであるか否かに応じて、前記ガードバンド帯域の帯域幅が異なるようにした請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の帯域で行われる通信の上下方向が同じであるか否かに応じて、前記高周波側及び低周波側の帯域双方又は一方における送信電力が異なるようにした請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の双方の帯域で時分割多重複信(TDD)方式が使用され、無線フレームの上下リンク比率は前記双方の帯域で等しくなるようにした請求項1記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の双方の帯域で時分割多重複信(TDD)方式が使用され、無線フレームのフレーム長又は上下リンク比率が、前記双方の帯域で異なるようにした請求項1記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の双方の帯域で行われる通信の上下方向が同じであるか否かに応じて、前記ガードバンド帯域の帯域幅が異なるようにした請求項6記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記ガードバンド帯域の帯域幅が、或いは前記ガードバンド帯域に隣接する高周波側及び低周波側の双方の又は一方の帯域における送信電力が、当該無線通信装置の属する移動通信システムと異なる移動通信システムから受ける干渉信号レベルに基づいて決定される請求項3記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記中間帯域の周波数情報、前記中間帯域で許容される送信電力、及び前記ガードバンド帯域の内の1つ以上を示す制御信号を受信する受信機を有する請求項1記載の無線通信装置。
【請求項10】
同一の又は異なる移動通信システムに割り当てられている第1及び第2の周波数帯域間の帯域である中間帯域を検出する中間帯域検出ステップ;
前記第1及び第2の周波数帯域でそれぞれ使用されている上下リンクの多重方式を検出する使用状況検出ステップ;及び
前記中間帯域及び前記上下リンクの多重方式に基づいて、前記中間帯域で使用可能な上下リンクの多重方式と、前記中間帯域の中で使用の禁止されるガードバンド帯域とを少なくとも決定する決定ステップ;
を有する無線通信装置で使用される方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2009−218638(P2009−218638A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57026(P2008−57026)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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