説明

無線通信装置

【課題】入力手段の乏しい機器であっても、相手方機器に対応した認証用のデータを入力して接続設定を構築することができる無線通信機器を提供する。
【解決手段】 Bluetoothアダプタであるオーディオ変換アダプタ2にLED4を設け、またワイヤレスヘッドホン3にPIN入力ボタン5を設ける。そして、変換アダプタ2に設けられたLED4の点滅パターンに合わせて、接続要求側のPIN入力ボタン3を押下することにより、認証データの交換、共有化を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証情報の設定入力作業を実施することにより無線接続を構築する無線通信
装置に関し、認証情報の入力作業を実施するような入力手段として簡易な入力手段のみに
より設定入力作業を実施することができる無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信方式として、Bluetooth(登録商標、以下同様)方式を採用した無線通信機器が多数販売されてきている。Bluetooth方式は近距離無線方式のうちの1つで相手方の無線通信機器との無線接続構築に先だって相手方の無線通信装置に対応づけられたPINコードと呼ばれる認証情報を入力設定する必要がある。従って、PCやオーディオプレーヤではキーボードやリモコンなどを用いてPINコードを入力し設定している。
【0003】
しかし、ヘッドホンのように入力手段を持たない機器は、PINコードを入力すること
ができないために、設定入力は、他の機器と接続して他の機器の入力手段を用いて設定す
るか、あるいは工場出荷時に予め特定のPINコードを設定しておき、特定の相手方機器
とのみであれば無線通信可能な状態としておく等で対応していた。
【特許文献1】特開2005−26758号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術では、他の機器を接続する煩わしさや、相手方の無線機器を
選択することができないという利用制限などが生じてしまう。またはヘッドホンなどに入
力設定可能な入力キーを設けることもできるが、ヘッドホンなどの携帯機器に入力キーを
多数設けることはコストアップやデザイン面で劣るところが大きい。
【0005】
そこで本発明は上述した課題を解決するため、入力手段の乏しい機器であっても、相手
方機器に対応した認証用のデータを入力して、接続設定を構築することができる無線通信
機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述したような課題を解決するため、デジタルデータを無線送信する送信機器と
、受信する受信機器とで認証データを共有することより無線接続を確立させて無線通信す
る無線通信装置において、前記送信機器は、前記共有データに対応する所定の点滅パター
ンを点滅可能なLEDと、このLEDの点滅パターンに対応する信号入力が前記受信機器
から受信されたか否かを検知する検知部と、この検知部より前記点滅パターンに対応する
入力信号があった場合、その入力信号を前記受信機器との無線接続のための認証データと
して設定する設定部とを有し、前記受信機器は、前記送信機器の前記LEDの点滅パター
ンに合わせた入力信号を生成可能な入力スイッチと、この入力スイッチによる入力信号を
前記送信機器に無線送信する無線通信部とを有するものである。
【0007】
また本発明は上述した課題を解決するため、前記送信機器は、前記LEDが前記共有デ
ータに対応する所定の点滅パターンを点滅するに先立ち、点滅開始を示すための点滅パタ
ーンを点滅させるものである。
【0008】
また本発明は上述した課題を解決するため、前記送信機器は、前記LEDが前記共有デ
ータに対応する所定の点滅パターンの点滅が終了したことを示すための点滅パターンを点
滅させるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明における実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
図1は本発明の無線通信機器の一実施形態を示す携帯型オーディオ機器の概念図である。
【0011】
本実施形態の携帯型オーディオ機器は、音楽データが格納されたHDD(ハードディス
クドライブ)等を搭載し、HDDから読み出した音楽データを再生するオーディオプレー
ヤ本体1と、このオーディオプレーヤ1にケーブル接続され、再生した音声データをBl
uetooth方式に基づいて無線通信するオーディオ変換アダプタ2と、オーディオ変
換アダプタから無線送信された音声データを受信して、音声出力するワイヤレスヘッドホ
ン3とから構成される。
【0012】
このようなシステム構成で、Bluetooth方式による無線通信を構築する際には
、接続受け入れ側(アクセプタ側)となるオーディオ変換アダプタ2と、接続要求側(イ
ニシエータ側)となるワイヤレスヘッドホン3との間でPINコードと呼ばれる認証デー
タを共有する必要がある。そのためオーディオ変換アダプタ2が自身のPINコードが何
であるかを認識可能に出力する必要があり、一方でワイヤレスヘッドホン3は、オーディ
オ変換アダプタ2のPINコードを入力設定する必要がある。
【0013】
そこで本実施形態では、オーディオ変換アダプタ2にLED4を設け、またワイヤレス
ヘッドホン3にPIN入力ボタン5を設ける。そして、変換アダプタ2に設けられたLE
D4の点滅パターンに合わせて、接続要求側のPIN入力ボタン3を押下することにより
、認証データの交換、共有化を実施することを特徴とするものである。
【0014】
以下、図2乃至図4を用いて、本実施形態を実現するためのシステム構成と動作手順に
ついて説明する。
【0015】
図2は、本実施形態のオーディオ変換アダプタ(Bluetoothアダプタ)2と
、ワイヤレスヘッドホン(Blurtoothヘッドホン)3とを示すブロック図である

【0016】
図2(a)に示すように、Bluetoothアダプタ(以下BTアダプタと称する)2
は、アプリケーション及びその無線通信部全体を制御するためのCPU10 、CPU10が動
作する手順を記述及び各種固定データを格納したROM 11、CPUが動作する際に使用する作
業用メモリ RAM 12、オーディオプレイヤーからの音声を無線送信できるデジタル信号に
変換するためのオーディオ入力装置13、認証の状況などを示すためのLED 14、電源のOn/O
ff,各種モードを切り替えるためのスイッチ 15、BTアダプタを駆動する電力を供給するた
めの電源装置 16、無線通信を行うための無線通信部 17を有する。
【0017】
また、図2(b)に示すように、ワイヤレスヘッドフォン(以下BTヘッドホンと称す)
として、コントローラ全体を制御するためのCPU 21、コントローラを制御する手順の記述
及び各種固定データを格納するROM 21、作業用メモリ RAM 22、送信されたデジタル音声
データを音声に変換するオーディオ出力装置23、ヘッドフォンの動作を設定、及び PINを
行うためのボタンを制御するスイッチ 24、ワイヤレスヘッドフォンを駆動するための電
力を供給する電源装置 25、BTアダプタとの無線通信を行うための無線通信部 26を具備す
る。
【0018】
そして上述した2つのモジュール(BTアダプタと、BTヘッドホン)に基づいて認証デ
ータ(PINコード)の交換、入力設定を行う。その動作について、アクセプタ側である
BTアダプタと、イニシエータ側であるBTヘッドホンの動作に分けて以下に手順を説明
する。
【0019】
図3は、アクセプタ側であるBTアダプタ2の動作を示すフローチャートである。
【0020】
まずBTアダプタ2のスイッチ15等を操作することにより、認証処理を開始させる(
ステップS30)。認証処理が開始されると、CPU10は無線通信部17を接続待ち状
態を遷移し、周囲の無線機器からの接続要求を待つ(ステップS31)。そして周囲の無
線機器、具体的にはBTヘッドホン3からの接続要求があった場合、その要求を受け入れ、
BTヘッドホン3との通信を確立させるための認証データの生成に移る(ステップS32
)。BTヘッドホン3との通信確立のために、CPU10は、ROM11に記録されている
PINコードの生成プログラムを起動し、所定のPINコード生成ルールに基づいて特定
のPINコードを決定する。このとき、BTアダプタ2が固定PINコードを採用してい
る機器の場合には、ROMに予め記録されているPINコードを読み出す(ステップS3
4)。
【0021】
次に、この決定したPINコードを、LEDの点滅パターンとして変換しLEDを点滅
されることとなるが、その前にユーザに対し、点滅が開始されることを示す入力動機のた
めの表示を行う(ステップS34)。たとえばLEDを常時点滅させた状態に切り替える
等して、次に点滅が始まった時にその点滅パターンがPINコードに対応させた点滅パタ
ーンであることを予告させるものである。そして、先に決定しPINコードをLED14
の点滅パターンに合わせて点滅させるー(ステップS35)。PINコードと点滅パターン
の対応アルゴリズムは、たとえば、点灯時間と消灯時間の比、モールス符号の対応などに
基づいてPINコードに固有の点滅パターンを生成して点滅させる。
【0022】
そしてPINコードに対応するLEDの点滅を終了したら、終了を示すLED表示を行
う(ステップS36)。たとえば十分に長い点灯をさせたり、あるいは消灯させたりする
ことで終了を知らせる。そして、PINコードに対応する点滅パターンに基づく認証キー
がBTヘッドホンから送信されてくることを待つ(ステップS37)。BTヘッドホン3
から認証キーとなるキー入力バターン信号か送信されてくると、無線通信部17で認証キ
ーを受信し受信した認証キーを用いてCPU10が認証処理を実行する(ステップS38
)。そしてBTアダプタ2とBTヘッドホン3との無線接続が確立し、オーディオプレー
ヤ1からの音声データをBTアダプタ2を介してBTヘッドホン3に対して無線送信するこ
とが可能となる。
【0023】
次に、図4を用いて、イニシエータ側であるBTヘッドホン3の動作手順を説明する。
【0024】
まず、BTヘッドホンの電源ボタンを押下するなどの操作により認証処理を開始させる
(ステップS40)。次にBTアダプタ2が接続末状態に遷移した後に、BTヘッドホン
から接続要求を出す(ステップS41)。この接続要求は、電源ボタン押下のあと所定時
間経過したら自動的に接続要求を出力する、またはPIN入力用ボタンの押下等により出
力される。
【0025】
そして、BTアダプタとの接続が完了した場合、BTヘッドホンの初期情報をROM21
から読み出し、無線通信部26を介してBTアダプタ2に無線送信しBTアダプタ2との
接続が完了すると、BTアダプタ2に設けられたLED14の点灯、点滅パターンの出力を
待つ(ステップS42)。そしてBTアダプタ2の点滅パターンのスタートをケンした後
に、PINコード認識のための処理に移行する(ステップS43)。そしてユーザがPI
N入力用ボタン24を、LED14の点滅パターンに対応させてON、OFF操作を実行す
る。CPU20は、PIN入力ボタン24のONの時間からPINコードを生成する(ス
テップS44)。そして、BTアダプタ2のLEDが点滅パターン終了を示す点灯などに
切り替わったことを確認後、PIN入力ボタンをもちいてPINから生成した認証キーを
無線送信する。無線送信するためのPIN入力ボタンの押下要領は予め決められており、
たとえば所定時間以上の押下継続があった場合、または一定時間キー入力が発生していな
い等のイベントを検知することにより認証キーの無線送信指示であるとしておけばよい。
【0026】
以上により、BTアダプタと、BTヘッドホンが認証キーを共有することができ、B
luetooth方式による無線接続が確立し、オーディオプレーヤからの音声データの
無線送信が可能となる。
【0027】
上述した実施形態では、LEDにてアクセス側のPINを示していたが、これを音の
発生パターンにより示しても同様の効果を得ることができる。
【0028】
以上説明したように本実施形態によれば、接続の受け入れ側すなわちBTアダプタ側
には、認証を開始するための起動手段があれば良いので、片側(BTヘッドホン側)だけ
の操作で認証処理が可能となる。さらにLED点滅の規則性を一般化(モールス符号、一
定時間の点滅回数など)することにより、単純な固定PINコードよりもセキュリティ上
安全に運用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態を示す無線送信装置を示す概念図である。
【図2】同実施形態における無線送信装置のシステム構成図である。
【図3】同実施形態における無線送信装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】同実施形態における無線受信装置の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1…オーディオプレーヤ本体、2…オーディオ変換アダプタ、3…ワイヤレスヘッドホン
、4…LED、5…PINコード入力ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルデータを無線送信する送信機器と、受信する受信機器とで認証データを共有す
ることより無線接続を確立させて無線通信する無線通信装置において、
前記送信機器は、前記共有データに対応する所定の点滅パターンを点滅可能なLEDと
、このLEDの点滅パターンに対応する信号入力が前記受信機器から受信されたか否かを
検知する検知部と、この検知部より前記点滅パターンに対応する入力信号があった場合、
その入力信号を前記受信機器との無線接続のための認証データとして設定する設定部とを
有し、
前記受信機器は、前記送信機器の前記LEDの点滅パターンに合わせた入力信号を生成
可能な入力スイッチと、この入力スイッチによる入力信号を前記送信機器に無線送信する
無線通信部と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記送信機器は、前記LEDが前記共有データに対応する所定の点滅パターンを点滅す
るに先立ち点滅開始を示すための点滅パターンを点滅させることを特徴とする請求項1記
載の無線通信装置。
【請求項3】
前記送信機器は、前記LEDが前記共有データに対応する所定の点滅パターンの点滅が
終了したことを示すための点滅パターンを点滅させることを特徴とする請求項2記載の無
線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−323339(P2007−323339A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152483(P2006−152483)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】