説明

無線電話装置およびその報知方法

【課題】通話中や操作中にメッセージがある旨の通知を受信しても、確実に操作者に報知することが可能な無線電話装置およびその報知方法を提供する。
【解決手段】無線電話装置1はアンテナ7aを介して無線部7が受信した無線信号がメッセージ通知であるか否かを判断し、受信した無線信号が、メッセージ通知であるときに、無線電話装置1が操作中または通話中であれば、スピーカ9aを介して音声を鳴動するベル鳴動部9や振動を駆動するバイブレータ駆動部10による報知を待機させ、操作または通話が終了したときに音声または振動による報知を行う制御部11を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線の信号を無線信号として送受信し、メッセージがあることが操作者に報知可能な無線電話装置およびその報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線電話装置には、通話機能だけでなく様々な機能が搭載されている。基地局を経由して一般公衆網と接続する携帯電話装置では、写真撮影ができたり、ウェブページへのアクセスや、電子メールが送受信できたり、印刷機能を有するものもある。
【0003】
例えば、(特許文献1)に記載の携帯情報端末では、印刷機能付き携帯電話装置を印刷装置に接続している状態で、印刷機能付き携帯電話装置のメモリ上にある画像やテキストを印刷中に着信があると、電話をかけてきた相手には現在印刷中のため通話できないため、印刷終了まで何分かかるかなどのメッセージを伝え、印刷終了後、受信者に印刷中に着信があったことを報知するようにしたものである。更に印刷中に重要な用件で電話をかけてくる可能性がある予め登録しておいた人から着信すると、印刷を中断し通話可能な状態に切り替える機能も有している。このような機能があれば通知中であっても、印刷処理を中断することなく印刷処理を継続することができる。
【0004】
また、構内交換機に接続されるPHS(Personal Handyphone System)などでは、メッセージウェイティングサービスと呼ばれる機能がある。それは、着信したときに不在や通話中により発信者と通話ができない場合、発信元の電話装置の機能キー操作や特番ダイヤル操作により、着信先の電話装置にメッセージウェイティングインジケータとしてLCD(Liquid Crystal Display)などの表示部に、メッセージが保留状態であることを示すアイコンを表示することで着信があったことを通知する。
【0005】
そして着信先の電話装置が通話可能な状態となり、着信先の電話装置の使用者がランプの点灯に気が付けば、交換機に記憶された発信元の電話装置の情報に基づいて着信先の電話装置から発信元の電話装置に発信することができるというサービスである。また、音声情報であるボイスメールや文字情報である電子メールなども保留されているメッセージがあれば、メッセージウェイティングインジケータを使用して通知するようなサービスも行われている。
【0006】
無線電話装置では、表示部にLCDなどを用いることにより、メッセージウェイティングインジケータの他に、発信する際の電話番号の表示や、電波受信状態、時間表示など、様々な表示を行うことができるので、卓上型の電話装置のように、メッセージウェイティングインジケータとして機能するランプを別個に設けておらず、設置面積の減少および消費電力を削減して軽量化、省スペース化を図り、携帯性を確保している。
【特許文献1】特開2004−220468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、無線電話装置は、移動中でも通話できるものの、通話は無線電話装置を耳に押し当てた状態で行われるため、通話中は表示部の内容を確認することができない。従って、表示部にメッセージウェイティングインジケータとしてメッセージが保留状態であることを示すアイコンが表示されていても、操作者が気付かないことがある。
【0008】
そうなると、発信者が緊急に話をしたいときでも、無線電話装置の表示部にメッセージウェイティングインジケータが表示していても、操作者が気付かなければ着信元からの折り返しの応答が遅れることになる。
【0009】
また、無線電話装置には、電話帳機能や、スケジュール帳機能や、電子メール機能など、その入力や閲覧を行っている最中にメッセージウェイティングインジケータのアイコンが表示されても操作者が気付かないことがある。
【0010】
そこで本発明は、通話中や操作中にメッセージが保留になっている旨の通知を受信しても、確実に操作者に報知することが可能な無線電話装置およびその報知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の無線電話装置およびその報知方法は、無線信号を送受信する無線部と、音声または振動で報知する報知手段と、受信した無線信号はメッセージがあることを示す情報通知であるとき、操作中、発着信中または通話中であれば、報知手段による報知を待機させる報知待機期間とし、報知待機期間が終了したときに報知手段による報知を行うように制御する制御部と、を有することを特徴とする無線電話装置およびその報知方法である。
【0012】
受信した無線信号が、メッセージがあることを示す情報通知であるか否かを判断し、受信した無線信号が、情報通知であるときに、操作中、発着信中または通話中であれば、音声または振動による報知を待機させる報知待機期間中とし、報知待機期間が終了したときに音声または振動による報知を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
無線電話装置の操作中、発着信中および通話中が終了したときに、音声または振動でメッセージがあることを操作者に報知するので、メッセージが保留になっている旨の通知を確実に操作者に報知することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の第1の発明は、無線信号を送受信する無線部と、音声または振動で報知する報知手段と、受信した無線信号はメッセージがあることを示す情報通知であるとき、操作中、発着信中または通話中であれば、報知手段による報知を待機させる報知待機期間とし、報知待機期間が終了したときに報知手段による報知を行うように制御する制御部と、を有することを特徴とする無線電話装置である。
【0015】
受信した無線信号が、保留メッセージがあることを示すメッセージ保留通知であれば、操作者に報知する必要があるが、操作者は操作中、発着信中、または通話中は表示部に注視していないため、メッセージが保留状態である旨のアイコンなどの表示を行っても気が付かない。また、操作中や、発着信中、または通話中に、音声や振動で操作者へ報知すると操作や通話の妨げになる。従って、制御部が、無線電話装置が有する電話帳機能や、スケジュール帳機能などを使用しているときの操作を行っている間と、発信を行うときであれば、発信先電話番号を入力している発信操作の開始から発信相手との通話が始まり、そして通話が完了するまでの間と、着信したときであれば着信してからオフフックなどの着信操作を行って通話が始まり通話が完了するまでの間とを報知待機期間として、報知部による報知を待機させることで、操作や通話を何の妨げを受けることなく進めることができる。また、この報知待機期間が終了したときに報知部による報知を行うので、表示部を注視することなく保留メッセージがあることに気が付き、スムーズに保留メッセージを受け取る操作に移行することができる。
【0016】
本発明の第2の発明は、制御部は、報知部による情報通知の報知が、他の報知と識別可能な音声または振動とすることを特徴とすることを特徴としたものである。
【0017】
制御部が、報知部による保留メッセージの報知を、他の報知と識別可能な音声または振動とするので、操作や通話が終了した時点で発生する音声や振動が、保留メッセージの報知であることが表示部などを注視しなくとも判別が可能である。
【0018】
本発明の第3の発明は、制御部は、報知部による報知が、報知部の有する音声の種類または振動の種類の中から設定された種類で報知することを特徴としたものである。
【0019】
制御部が、設定された音声の種類または振動の種類で保留メッセージの報知を行うので、操作者が好みの音声または振動を保留メッセージの報知に設定すれば、馴染みのない音声や振動を保留メッセージの報知とするよりも、認知が早く確実である。
【0020】
本発明の第4の発明は、無線信号を送受信する無線部と、音声または振動で報知する報知部とを有する無線電話装置の報知方法であって、受信した無線信号が、保留メッセージがあることを示す情報通知であるか否かを判断する情報通知判断ステップと、操作中、発着信中または通話中に情報通知判断ステップにより情報通知であると判断すれば、報知部による報知を待機させる報知待機ステップとを有し、報知待機ステップが終了したときに報知部による報知を行うことを特徴とする無線電話装置の報知方法である。
【0021】
受信した無線信号が、保留メッセージがあることを示すメッセージ保留通知であれば、操作者に報知する必要があるが、操作者は操作中、発着信中や通話中は表示部に注視していないため、メッセージが保留状態である旨のアイコンなどの表示を行っても気が付かない。また、操作中や発着信中や通話中に音声や振動で操作者へ報知すると操作や通話の妨げになる。従って、無線電話装置が有する電話帳機能や、スケジュール帳機能などを使用しているときの操作を行っている間と、発信を行うときであれば、発信先電話番号を入力している発信操作の開始から発信相手との通話が始まり、そして通話が終了するまでの間と、着信したときであれば着信してからオフフックなどの着信操作を行って通話が始まり通話が終了するまでの間とを報知待機期間として、報知部による報知を待機させる報知待機期間とすることで、操作や通話が何の妨げを受けることなく進めることができる。また、この報知待機期間が終了したときに報知部による報知を行うので、表示部を注視することなく保留メッセージがあることに気が付き、スムーズに保留メッセージを受け取る操作に移行することができる。
【0022】
本発明の第5の発明は、無線信号を送受信する無線部と、アイコンや文字情報を表示する表示部と、少なくともキーを配置し情報を入力する操作部と、音声または振動で報知する報知手段と、無線電話装置全体の機能を制御する制御部とを有し、受信した無線信号にメッセージがあることを示す情報通知を含むとき、操作中、発着信中または通話中であれば、報知手段による報知を待機させる報知待機期間とし、表示部の表示のみを行うことを特徴とする無線電話装置である。
【0023】
特に制御部は、報知待機期間が終了したときに報知手段による報知を行うように制御することを特徴とするものであり、また、制御部は、報知手段による情報通知の報知が、他の報知と識別可能な報知であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明によれば、無線電話装置の操作中、発着信中および通話中は表示のみ行い、報知を待機するものである。報知待機期間が終了したときに、メッセージがあることを報知するので、通知を確実に操作者に報知することができる。また、報知部による保留メッセージの報知を、他の報知と識別可能な音声または振動とするので、操作や通話が終了した時点で発生する音声や振動が、保留メッセージの報知であることが表示部などを注視しなくとも判別が可能である。
【0025】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る無線電話装置について、図1から図3に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線電話装置の接続構成の一例を説明する図である。図2は、図1の無線電話装置のブロック図である。図3は、図1の無線電話装置の外観図である。
【0026】
図1に示すように、無線電話装置1は、企業15に設置された構内交換機(以下、PBXと称す。)2に接続されたセルステーション(図示せず)と無線信号を介して接続されている。PBX2は、一般公衆網16に接続されるとともに、企業15内に設置された内線電話装置3やボイスメール機能を有する音声蓄積装置4と接続されている。本実施の形態では、無線電話装置1は、PBX2とセルステーションを介して接続されているが、PBXの内線ポートに接続されるPBX専用無線電話機の親機を介して接続されていてもよい。
【0027】
次に、無線電話装置1について図2に基づいて詳細に説明する。図2に示すように、無線電話装置1は、表示部5と、操作部6と、無線部7と、音声制御部8と、ベル鳴動部9と、バイブレータ駆動部10と、制御部11とを備えている。
【0028】
表示部5は、LED(Light Emitting Diode)部5aと、LCD部5bとを備えている。LED部5aは、操作部6のキーパッドや、バックライトとしてLCD部5bを照明するために、無線電話装置1の本体内に設けられている。LCD部5bは、受信した無線信号の強度を示すアイコンや、メッセージウェイティングインジケータを示すアイコンなどの図形情報や、発信先電話番号、アドレス帳、電子メールなどの文字情報を表示するものである。この表示部5は、制御部11からの指示により点灯、点滅または表示が行われる。操作部6は、マトリックス状に配置された数字キーの他に、機能キーや、ジョイスティックを備えており、情報を入力する操作をされると制御部11にその旨を通知する機能を備えている。
【0029】
ここで、表示部5および操作部6について、図3を更に参照しながら詳細に説明する。図3に示すように、表示部5としてのLCD部5bが中央上部に設けられ、LCD部5bの表示画面の上部には、無線信号の電界強度を示すアンテナを模したアイコン21aや、メッセージウェイティングインジケータを示す手紙を模したアイコン21bや、電池の残量を示す電池を模したアイコン21cが表示されている。また、操作部6は、LCD部5bの下端から無線電話装置1の下端までの前面に、数字キー6aや、機能キー6bや、ジョイスティック6cが設けられている。
【0030】
図2に戻って、無線部7は、アンテナ7aから電話回線の信号を無線信号として送受信する機能を備えており、制御部11からのデータを変調して無線信号としたり、PBX2からの無線信号を復調してデータとして制御部11へ通知したりする機能を備えている。
【0031】
音声制御部8は、スピーカ8aとマイク8bとが接続されており、制御部11からの音声データを音声信号へ変換してスピーカ8aから鳴らしたり、マイク8bから入力した音声信号を音声データへ変換して制御部11へ通知したりする機能を備えている。ベル鳴動部9は、スピーカ9aが接続されており、制御部11が通話の着信や、電子メールの着信や、メッセージ保留通知などを検知したときの通知により、ベルやチャイムなどの音声で操作者に報知する報知部である。ベル鳴動部9は、操作者に報知するときに使用される音声を複数種類備えており、制御部11から通知された音声の種類に応じて鳴動する。
【0032】
バイブレータ駆動部10は、制御部11が通話の着信や、電子メールの着信や、メッセージ保留通知などを検知したときの通知により、振動で操作者に報知する報知部である。バイブレータ駆動部10は、制御部11が振動させるときに、その振動の時間を調整して指示することで複数種類の振動を発生させることができる。なお、ベル鳴動部9とバイブレータ駆動部10をあわせて報知手段と総称する。
【0033】
制御部11は、無線電話装置1の全体制御を行っており、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、プログラムが作業領域に使用するRAM(Random Access Memory)とを備えている。また、RAMは、プログラムが作業領域に使用する揮発性メモリの他に、アドレス帳のデータや、スケジュール帳のデータや、電子メールのデータや、メッセージがあることを示す音声の種類および振動の種類を指定する設定情報などの各種の設定情報などを格納している読み書き可能な不揮発性メモリを有している。CPUがROMに格納されたプログラムを実行することで、各種の操作や、通話を制御している。本実施の形態では、ROMやRAMを制御部11内に配置するように構成しているが、制御部11とは別に配置するようにしてもよい。
【0034】
まず、本発明における無線電話装置の制御部11の動作について、図4と図5を用いて説明する。図4は、図1の無線電話装置のモード遷移を説明する図であり、待機状態(S700)から電話帳登録操作中までのモードの遷移を示す。図5は、図4の電話帳登録操作中モードの処理フローを説明する図であり、図4中の1つのモードである電話帳登録操作中(S750)モードにおける処理フローを説明したものである。
【0035】
ここで、待機状態(S700)とは、操作者が無線電話装置の電源を入れる操作を行い、それを受けて制御部11がPBX2と所定のプロトコルにより通信し、PBXからの着信の待ち受けが可能になったときの状態を意味し、操作者が電源をONしただけで、何も操作を行っていないときのモードである。操作者が操作を行うと他の状態に遷移するが、「切」キー押下等によりその操作が終了すると、再度この待機状態に遷移する。
【0036】
図4に示すように、無線電話装置の制御部11が、待機状態(S700)にあるときに、メニューキーアイコン選択に相当するジョイスティックキー6cが入力(S710)されると、メニュー選択操作中(S720)のモードに遷移する。さらにメニュー選択操作中(S720)にて、LCD部5bに表示される電話帳登録アイコンを選択した状態でジョイスティックキー6cが入力(S740)されると電話帳登録操作中(S750)のモードに遷移する。また、電話帳登録操作中に特定キー(「切」および「戻る」キー)を除くキーが入力された場合は、電話帳登録操作を継続する。そして、電話帳登録操作中(S750)に機能キー6bの1つである「切」キーが押下(S780)されたことを検出すると、再び待機状態(S700)に遷移する。
【0037】
このように制御部11は操作部6のキーパッドからのキー入力により、モードを待機状態(S700)からキーの種類に応じた操作中のモードに遷移させる。最終的に操作者の操作が終了し、操作終了となる「切」キー(S730,S780)もしくは「戻る」キー(S760)が入力されると、再び待機状態(S700)へ遷移するといった動作を行っている。
【0038】
ここで示す「操作中」とは、無線電話装置がキーを押されることによって待機状態(S700)から遷移するメニュー操作、ユーザー設定操作、電話帳操作、メール操作、スケジュール操作など無線専用電話機が持つ機能の操作画面を表示している状態を意味する。
【0039】
次に、本発明の特徴であるメッセージ通知を受信したときの動作について図5の電話帳登録操作中の動作を例に説明する。電話帳登録操作中(S800)にPBXからメッセージ通知を受信する(S950)と、まず、制御部11は表示部のメッセージインディケータのアイコン21を表示する(S960)。そして制御部11はこの時点で音声もしくは振動によるメッセージの報知を行うことはせず、メッセージの報知があったことを示す報知状態を「報知あり」として、制御部11内のRAMに記憶(S970)し、モードを電話帳登録操作中の状態から変えることなく、処理を終了する(S980)。
【0040】
電話帳登録操作中(S800)に「切」、「戻る」以外のキーが入力された場合(S910)も、電話帳登電話番号、名前等の入力処理および電話帳への登録処理(S920)を行い、モードを電話帳登録操作中の状態から変えることなく、処理を終了する(S930)。
【0041】
電話帳登録操作中(S800)に操作者の操作により、「切」キーが入力された場合(S850)はまず、待機画面を表示する(S860)。そして前述のメッセージの報知があったことを示す報知状態をチェック(S870)し、「報知あり」の場合は音声または振動により、メッセージを報知(S880)し、報知状態が「報知なし」の場合は何も処理を行うことなく、待機状態へ遷移する(S890)。
【0042】
なお、以上の図4の説明において、電話帳登録操作中(S750)にメッセージ通知を受信した場合(S755および図5のS950)、図5のS960〜S970の処理フローとしたことと同様に、図4のメニュー選択操作中(S720)にメッセージ通知を受信した場合(S725)においても、図5のS960〜S970の処理フローとする。また同様に、メニュー選択操作中(S720)に「切」キーまたは「戻る」キー(図4のS730)が入力された場合も、図5のS860〜S880の処理フローとなる。
【0043】
そして、これらのメッセージ通知受信時の処理(S960〜S970)および待機状態移行時の処理(S860〜S880)の処理は電話帳登録操作中(S750)やメニュー選択操作中(S720)に限らず、すべての操作中、さらには発着信中、通話中におけるメッセージ通知受信時処理および待機状態移行時処理にも適用される。
【0044】
このように、本発明では、モードが操作中、発着信中および通話中であるときは、メッセージ通知を受けても、メッセージインディケータのアイコンを表示するだけで音声や振動による報知は行わず、待機状態に移行する過程で、音声や振動による報知を行うことを特徴とする。従って、無線電話装置を耳から離し画面を注視することができる状態になってから、操作者は報知を受けることができ、メッセージを確実に操作者に報知することが可能である。
【0045】
次に、本発明の実施の形態における無線電話装置の動作を図に基づいて説明する。図6は、図1の無線電話装置の動作を説明するフローチャートである。図7は、図6の通話中の動作を説明するシーケンスチャートである。図8は、図7のアイコンを表示する動作を説明するフローチャートである。図9は、図1の無線電話装置の表示例を説明する図であって、図9(A)は待ち受け画面を示す図、図9(B)は手紙を模したアイコンが表示された状態を示す図である。図10は、図6の電話帳登録操作中の動作を説明するシーケンスチャートである。図11は、図1の無線電話装置の着信中の動作を説明するシーケンスチャートである。
【0046】
まず、通話中にメッセージがあることを示す情報通知を受信したときの動作を図6から図9に基づいて説明する。なお、メッセージがあることを示す音声および振動として、着信したときなどに発生する音声や振動とは異なる種類のものを予め制御部11に設定しているものとする。
【0047】
まず、図9(A)に示すように表示部5のLCD部5bが待ち受け画面を表示しているとき、制御部11が着信や操作者による操作を待っている状態なので、待機状態である。操作者が発信先電話番号を、操作部6を操作して入力する。制御部11は、数字キーが押下されたことで、LCDに入力された数字を表示するとともに、モードを操作中とする(図6(S10),図7(S300))。
【0048】
そして、操作者が発信先電話番号を入力し終えると、オフフックを模した機能キー6bである「発信」キーを押下する、この押下により制御部11は、無線部7を介してPBX2に発信したことを示すSetup(呼設定要求)を発信先電話番号とともに通知し、モードを発信中とする(図6(S20),図7(S305)および図7(S310))。発信先から応答があるとPBX2からConnect(接続通知)が通知される(図7(S320))。そして通話が始まり、モードを通話中とする(図6(S30),図7(S330)。
【0049】
通話中に無線電話装置1宛にメッセージが発生すると、PBX2からメッセージがあることを示すInfo(情報通知)が、報知情報をONとした状態で通知される(図7(S340))。
【0050】
報知情報を含むInfo(情報通知)を、無線部7を介して受信した制御部11は、表示処理を行う。ここで、表示処理について図8に基づいて詳細に説明する。まず、制御部11が報知情報を含む通知を受信する(S200)。報知情報とは、図3と図8に示すように、表示部5のLCD部5bに表示される手紙を模したアイコン21bを意味する。表示するか否かの情報を表す場合に報知情報と称し、表示部5に表示される表示そのものをアイコン21bと称する。
【0051】
制御部11は、アイコン21bが現在OFFであって、かつ受信した報知情報がONの通知であるか否かを判断する。つまり、現在アイコン21bが表示されているか否かを判断する(S210)。
【0052】
S210では、アイコン21bが現在OFFで、かつ受信した報知情報がONの通知である場合、図9(B)に示すようにアイコン21bを表示して、操作者に保留されているメッセージがあることを通知する(S220)。そして制御部11は、報知状態を「報知あり」として記憶し、処理を終了する(S230)。
【0053】
次にアイコン21bが現在ONで、受信した報知情報がOFFの通知であるか否かを判断する。つまり、表示中のアイコン21bを消去するか否かを判断する(S240)。S240では、アイコン21bが現在ONで、かつ受信した報知情報がOFFの通知であるから、そのアイコン21bを消去する(S250)。そして制御部11は、報知状態を「報知なし」としてリセットし、処理を終了する(S260)。
【0054】
S210とS240とがいずれも「NO」の場合は、アイコン21bが現在OFFで報知情報がOFFである場合と、アイコン21bが現在ONで報知情報がONである場合との、2通りの状態である。これらの場合には状態の変化はないため、何も処理を終了することとなる。
【0055】
このようにして、制御部11は、報知情報を含むInfo(情報通知)に対して表示処理を行って、アイコン21bの表示を制御する(図7(S350))。
【0056】
この段階では、操作者は通話中(S330)であって、無線電話装置1を耳に押し当てるようにして通話をしている。操作者はLCD部5bを注視していない状態のため、このアイコン21bには気が付いていない可能性がある。
【0057】
操作者は通話相手との会話が終了すると、通話を切断するために操作部6の機能キー6bである「切」キーを押下し、オンフック操作をする(図6(S40),図7(S360))。
【0058】
この「切」キーの押下が操作部6から制御部11に通知されると、制御部11はPBX2に呼の開放を要求するRelease(開放要求)を送信する(図7(S370))。PBX2は、このReleaseに応答して、呼の開放が完了したことを示すRelease_Complete(開放完了)を無線電話装置1へ送信する(図7(S380))。制御部11は、Release_Completeを受信したことで通話が終了したことを認識できるので、モードを待機状態とする(図7(S390))。つまり、制御部11は「切」キー操作によって待機状態へ遷移する(図4(S730)、図6(S40)参照)。なお、操作者が引き続き他のキー(例えば、メニューなど)を操作することによって、制御部11が待機状態へ遷移しない場合は、他の処理を実行する(図4(S60))。
【0059】
この段階になれば、操作者は無線電話装置1を耳から離し、操作者はLCD部5bを注視することができる状態にある。そこで、以下の制御を開始する。
【0060】
制御部11は、モードが待機状態(図6(S50))になると、報知情報が「報知あり」であるか否かを判断する(図6(S70))。報知情報が「報知あり」でない場合は、メッセージがないため処理を終了し、待機状態に戻る。
【0061】
制御部11は、報知情報が「報知あり」と判断した場合(図6(S70))、設定された音声の種類をベル鳴動部9に通知することで、スピーカ9aを介して音声を鳴動させる。あるいはまた制御部11は、設定された振動の種類に応じた時間の間、バイブレータ駆動部10を駆動することで振動を発生させる(図6(S80)、図7(S400))。
【0062】
以上詳細に説明したように、通話が終了した時点で、メッセージがあることを音声または振動により通知する。操作者は通話から解放され、あるいは操作のための表示部5を注視することから解放されているので、確実に操作者に報知することができる。
【0063】
なお本実施の形態では、モードが通話中に報知情報ONのInfo(情報通知)を受信した場合を例に説明した。他のモード、例えば操作中、発信先電話番号を入力し始めた後であれば、図6で説明した同じ処理となる。つまり操作中、発信中または通話中に情報通知を受信しても制御部11は報知を待機させる報知待機期間とし、その報知待機期間が終了したときにベル鳴動部9やバイブレータ駆動部10による報知を制御部11が制御することとする。即ち、無線電話装置1が待機状態を脱出したとき(キーの操作によりメニューの操作や発信などの機能の操作へ遷移したとき)に報知待機期間を開始し、待機状態へ遷移したとき(「切」キーや「戻る」キーの操作、あるいは充電台に載置されたとき)に報知待機期間を終了する。こうして、表示部5を注視することなくメッセージがあることに気が付き、スムーズにメッセージを受け取る操作に移行することができる。
【0064】
次に、無線電話装置1に備えた電話帳機能を使用して電話番号を登録しているときの動作を、図6および図10に基づいて説明する。まず、操作部6を操作して電話帳への登録操作を開始する。制御部11は、電話帳を呼び出すための最初の操作部6の操作からモードを操作中とする(図6(S100),図10(S410))。電話帳登録操作は、操作部6を操作して電話番号を入力したり、その電話番号に対応する名前を入力したりして、登録する(図6(S110))。
【0065】
この電話帳の登録操作をしているときに無線電話装置1宛にメッセージが発生すると、PBX2からメッセージがあることを示すSetup(呼設定要求)が、報知情報をONとした状態で通知される(図10(S420))。報知情報を含むSetup(呼設定要求)を、無線部7を介して受信した制御部11は、図8に示した表示処理を行い、表示部5のLCD部5bにアイコン21bを表示する(図8(S430)、図9(B)参照)。
【0066】
Setup(呼設定要求)通知を受信した制御部11は、その応答としてAlert(呼出)をPBX2へ通知する(図10、(S440))。Alert(呼出)通知を受信したPBX2は、開放を要求するRelease(解放)を無線電話装置1へ送信する(図10(S450))。そして制御部11は、Release_Complete(解放完了)をPBX2へ送信することで、開放を完了する(図10(S460))。
【0067】
なお、本実施の形態においては、上述のように、メッセージ通知の手段としてPBXと子機(無線電話装置)との間、またはPBXの内線ポートに接続された無線内線親機と子機(無線電話装置)との間で、Setup(呼設定要求)による無線リンクの確立を行う双方向通信方式を例に説明した。しかしながら、本発明は双方向通信方式に限られるものではなく、PBXまたは無線内線親機から子機(無線電話装置)へのデータ送信により通知する場合や、無線通信の到達確認を必要としない場合であっても、以下のように前述の報知待機期間を設けることができる。
【0068】
操作者は、電話帳登録操作が完了すると操作部6の機能キー6bである「切」キーを押下する。制御部11は、この「切」キーの押下により電話帳登録が終了する(図4(S780)、図6(S120)、図10(S480)各参照)。
【0069】
電話帳登録を終了すると、操作中から脱しているので、制御部11はモードを待機状態へ遷移する(図6(S50)、図10(S480)参照)。制御部11は報知情報が「報知あり」であるか否かを判断する(図6(S70))。
【0070】
報知情報が「報知あり」と判断した場合、制御部11は設定された音声の種類をベル鳴動部9に通知することで、スピーカ9aを介して音声が鳴動される。また制御部11は、設定された振動の種類に応じた時間の間、バイブレータ駆動部10を駆動することで振動を発生させる(図6(S80)、図10(S490))。報知情報が「報知あり」でない場合は、保留されたメッセージがないため処理を終了し、待機状態に戻る。
【0071】
このように発信からの通話や着信からの通話以外に、操作部6を操作しながら無線電話装置1の機能を使用していたときにメッセージを示す情報通知があっても、操作中の間は報知待機期間として音声や振動による報知を待機させることができる。こうして、操作が阻害されることがなくなる。また操作が終了したときに、音声や振動による報知を行うことにより、操作のための表示部5を注視することから解放されているので、確実に操作者に報知することができる。
【0072】
次に、着信中にメッセージがあることを示す情報通知を受信したときの動作を図11に基づいて説明する。無線電話装置1は、着信や操作者による操作を待っている待機状態である(S500)。そこへ、外線または内線から着信があった旨の通知であるSetup(呼設定要求)が通知される(S510)。
【0073】
Setupを、無線部7を介して受信した制御部11は、操作者へ着信中であることをベル鳴動部9またはバイブレータ駆動部10で報知してモードを着信中とするとともに(S520)、Setupに対する応答であるAlert(呼出)を返信する(S530)。
【0074】
着信中に無線電話装置1宛にメッセージが発生すると、メッセージがあることを示すInfo(情報通知)が報知情報をONとした状態を伴ってPBX2から通知される(S540)。報知情報を含むInfo(情報通知)を、無線部7を介して受信した制御部11は、表示処理(図8参照)を行って、アイコン21bを表示する(S550))。
【0075】
例えば、着信中の無線電話装置1の操作者がオフフックする前に、この無線電話装置1が属する着信グループの他の内線電話装置3が着信に応答した場合、PBX2からRelease(解放要求)が通知される(S560)。
【0076】
無線部7を介してRelease(解放要求)を受信した制御部11は、音声や振動での着信の報知をやめる。併せて、Release(解放要求)に対する応答であるRelease_Complete(解放完了)をPBX2へ通知し(S570)、着信状態から待機状態へモードを戻す(S580)。モードが待機状態へ遷移したことで、制御部11は、スピーカ9aを介して音声を鳴動するか、バイブレータ駆動部10を駆動して振動させる(図4(S80)、図11(S590))。
【0077】
なお本実施の形態では、モードが着信中であるときに報知情報がONのInfo(情報通知)を受信する例を説明した。他の例として、操作者がオフフックして着信からの通話を開始し通話中のモードとなったときに、Info(情報通知)を受信してもメッセージがあること示す音声または振動は待機させられることになる。つまり着信中または着信からの通話中に情報通知を受信しても、ベル鳴動部9やバイブレータ駆動部10による報知を待機させる報知待機期間とし、その報知待機期間が終了したときに報知を行うことで、表示部5を注視することなくメッセージがあることに気が付き、スムーズにメッセージを受け取る操作に移行することができる。
【0078】
また、予め制御部11に、メッセージがあることを示す音声および振動として、着信したときなどに発生する音声や振動とは異なる種類のものを設定していれば、設定した音声や振動が発生することで、メッセージの報知であることが表示部5などを注視しなくとも判別が可能であるだけでなく、着信などの報知と区別することが容易である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、操作中、発着信中、または通話中にメッセージが保留になっている旨の通知を受信しても、確実に操作者に報知することが可能なので、電話回線の信号を無線信号として送受信し、メッセージがあることが操作者に報知可能な無線電話装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線電話装置の接続構成の一例を説明する図
【図2】図1の無線電話装置のブロック図
【図3】図1の無線電話装置の外観図
【図4】図1の無線電話装置のモード遷移を説明する図
【図5】図4の電話帳登録操作中モードの処理フローを説明する図
【図6】図1の無線電話装置の動作を説明するフローチャート
【図7】図6の通話中の動作を説明するシーケンスチャート
【図8】図7のアイコンを表示する動作を説明するフローチャート
【図9】図1の無線電話装置の表示例を説明する図
【図10】図6の電話帳登録操作中の動作を説明するシーケンスチャート
【図11】図1の無線電話装置の着信中の動作を説明するシーケンスチャート
【符号の説明】
【0081】
1 無線電話装置
2 PBX
3 内線電話装置
4 音声蓄積装置
5 表示部
5a LED部
5b LCD部
6 操作部
6a 数字キー
6b 機能キー
6c ジョイスティック
7 無線部
7a アンテナ
8 音声制御部
8a スピーカ
8b マイク
9 ベル鳴動部
9a スピーカ
10 バイブレータ駆動部
11 制御部
15 企業
16 一般公衆網
21 アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を送受信する無線部と、
音声または振動で報知する報知手段と、
受信した前記無線信号はメッセージがあることを示す情報通知であるとき、操作中、発着信中または通話中であれば、前記報知手段による報知を待機させる報知待機期間とし、前記報知待機期間が終了したときに前記報知手段による報知を行うように制御する制御部と、
を有することを特徴とする無線電話装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記報知部による前記情報通知の報知が、他の報知と識別可能な音声または振動とすることを特徴とする請求項1記載の無線電話装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記報知部による報知が、前記報知部の有する音声の種類または振動の種類の中から設定された種類で報知することを特徴とする請求項1または2記載の無線電話装置。
【請求項4】
無線信号を送受信する無線部と、音声または振動で報知する報知部とを有する無線電話装置の報知方法であって、
前記受信した無線信号が、保留メッセージがあることを示す情報通知であるか否かを判断する情報通知判断ステップと、
操作中、発着信中または通話中に前記情報通知判断ステップにより情報通知であると判断すれば、前記報知部による報知を待機させる報知待機ステップとを有し、
前記報知待機ステップが終了したときに前記報知部による報知を行うことを特徴とする無線電話装置の報知方法。
【請求項5】
前記報知部による前記情報通知の報知は、他の報知と識別可能な音声または振動で行う報知ステップあることを特徴とする請求項4記載の無線電話装置の報知方法。
【請求項6】
無線信号を送受信する無線部と、アイコンや文字情報を表示する表示部と、少なくともキーを配置し情報を入力する操作部と、音声または振動で報知する報知手段と、無線電話装置全体の機能を制御する制御部とを有し、
受信した前記無線信号にメッセージがあることを示す情報通知を含むとき、操作中、発着信中または通話中であれば、前記報知手段による報知を待機させる報知待機期間とし、前記表示部の表示のみを行うことを特徴とする無線電話装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記報知待機期間が終了したときに前記報知手段による報知を行うように制御することを特徴とする請求項6記載の無線電話装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記報知手段による前記情報通知の報知が、他の報知と識別可能な報知であることを特徴とする請求項7記載の無線電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−74606(P2007−74606A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261546(P2005−261546)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】