説明

無電極放電灯点灯装置及び照明器具

【課題】 出力電力の周波数の変更により調光動作を実現する構成を採用しながらも、調光動作時にちらつきや立ち消えが発生しにくい無電極放電灯点灯装置及び照明器具を提供する。
【解決手段】 無電極放電灯6に近接配置される誘導コイル5に対して共振部21から出力される電力を指示入力部3に指示された光出力に応じた電力とするように、共振部21の出力の周波数をフィードバック制御する制御部4を備える。無電極放電灯6の光出力を低下させる調光動作時には、共振部21の出力の周波数の変化に対する出力電力の変化が大きくなることに対応し、制御部4では第1スイッチSW1がオン制御されてフィードバック制御の比例ゲインが小さくされるとともに第2スイッチSW2がオフ制御されて時定数が小さくされる。これにより、ハンチングやアンダーシュートが防止され、調光動作時にちらつきや立ち消えが発生しにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電灯点灯装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、無電極放電灯に近接配置された誘導コイルに高周波電力を供給し、無電極放電灯内に高周波電磁界によるプラズマを発生させることで無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置が提供されている。この種の無電極放電灯点灯装置は、誘導コイルとともに共振回路を構成する共振部と、直流電源と共振部との間に介在するスイッチング部とを備え、スイッチング部が直流電源と共振部との接続を周期的に切り替えることで上記の共振回路の共振により直流電源の直流電力を高周波電力に変換して誘導コイルに供給する。
【0003】
この種の無電極放電灯装置において、光出力を低下させる、いわゆる調光動作を実現する方法としては、無電極放電灯を間欠点灯させるという方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、上記のように無電極放電灯を間欠点灯させた場合、消灯から点灯への移行時に誘導コイルへの出力電力が瞬間的に高くなることによる電磁ノイズが発生しやすい。
【0005】
一方、熱陰極型の放電灯とともに共振回路を構成する共振部を有する放電灯点灯装置においては、調光動作を実現する方法として、放電灯への出力電力の周波数を上記の共振回路の共振周波数から遠ざけるように変更することで、放電灯への出力電力を減少させるという方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
そして、無電極放電灯装置においても上記のように出力電力の周波数(以下、「動作周波数」と呼ぶ。)の変更によって調光動作を行うようにすれば、間欠点灯により調光動作を行う場合に比べ、電磁ノイズを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−353600号公報
【特許文献2】特開2005−71874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、無電極放電灯装置では、熱陰極型の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に比べ、共振回路のQ値が高く、動作周波数の変動量に対して出力電力の変動量が大きくなる。
【0009】
また、無電極放電灯の光出力を低下させるほど、無電極放電灯内のプラズマのインピーダンスが増大し、これに伴って、動作周波数の変動量に対する出力電力の変動量の比はさらに大きくなる。
【0010】
出力電力の変動はすなわち光出力の変動であるので、上記のように動作周波数の変動量に対して出力電力の変動量が大きいということは、すなわち、所望の光出力に応じた目標電力と出力電力との差が大きいほど動作周波数を大きく変化させるようなフィードバック制御(つまり比例制御)によって出力電力を目標電力に維持しようとする場合、調光動作時に、ハンチングによるちらつきや、アンダーシュートによる立ち消えが発生しやすいということになる。
【0011】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、出力電力の周波数の変更により調光動作を実現する構成を採用しながらも、調光動作時にちらつきや立ち消えが発生しにくい無電極放電灯点灯装置及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、無電極放電灯に近接配置される誘導コイルと、誘導コイルとともに共振回路を構成する共振部と、直流電源と共振部との間に介在し直流電源と共振部との電気的な接続を周期的に切り替えることで直流電源から入力された直流電力を交流電力に変換して誘導コイルに供給するスイッチング部と、無電極放電灯の光出力の指示が入力される指示入力部と、共振部から誘導コイルへの出力電力を検出するとともに検出された出力電力を指示入力部に入力された光出力に応じた値とするようにスイッチング部の動作の周波数をフィードバック制御する制御部とを備え、制御部は、指示入力部に指示されている光出力が低いほど、前記フィードバック制御における時定数と比例ゲインとの少なくとも一方を小さくすることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、無電極放電灯の光出力を低下させるほど、スイッチング部の動作の周波数の変化量に対する出力電力の変化量が大きくなることに対応して、フィードバック制御における時定数と比例ゲインとの少なくとも一方を小さくすることで、ハンチングやアンダーシュートの発生が抑えられるから、無電極放電灯の光出力を低下させる調光動作中であっても無電極放電灯のちらつきや立ち消えの発生が抑えられる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御部は、指示入力部に指示されている光出力が低いほど、前記フィードバック制御における時定数を小さくすることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、制御部は、指示入力部に指示されている光出力が低いほど、前記フィードバック制御における比例ゲインを小さくすることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、誘導コイルと無電極放電灯とをインダクタと抵抗との並列回路からなる等価回路に置き換えた場合における等価回路と共振部とが構成する共振回路のQ値と、前記フィードバック制御における比例ゲインとの積の値が、全ての光出力で等しくされていることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、制御部は、前記フィードバック制御における時定数と比例ゲインとの少なくとも一方を、前記フィードバック制御における時定数と比例ゲインとの少なくとも一方と指示入力部に指示される光出力との対応関係を示すテーブルであって予め制御部に記憶されたテーブルを用いて決定することを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、無電極放電灯と無電極放電灯点灯装置とをそれぞれ保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、制御部は、指示入力部に指示されている光出力が低いほど、前記フィードバック制御における時定数と比例ゲインとの少なくとも一方を小さくするので、無電極放電灯の光出力を低下させるほど、スイッチング部の動作の周波数の変化量に対する出力電力の変化量が大きくなることに対応して、フィードバック制御における時定数と比例ゲインとの少なくとも一方を小さくすることで、ハンチングやアンダーシュートの発生が抑えられるから、無電極放電灯の光出力を低下させる調光動作中であっても無電極放電灯のちらつきや立ち消えの発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態を示す回路ブロック図である。
【図2】無電極放電灯の構造の一例を示す説明図である。
【図3】同上において全点灯動作時と調光動作時とのそれぞれについて誘導コイルと無電極放電灯との等価回路が共振部に接続された共振回路の共振特性を示す説明図である。
【図4】同上の変更例を示す回路ブロック図である。
【図5】同上の別の変更例を示す回路ブロック図である。
【図6】同上を用いた照明器具の例を示す一部破断した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態は、図1に示すように、直流電力を出力する直流電源部1と、無電極放電灯6に近接配置される誘導コイル5と、誘導コイル5とともに共振回路を構成する共振部21と、直流電源部1と共振部21との間に介在し直流電源部1と共振部21との電気的な接続を周期的に切り替えることで直流電源部1から入力された直流電力を高周波の交流電力に変換して誘導コイル5に供給するスイッチング部22と、無電極放電灯6の光出力の指示が入力される指示入力部3と、スイッチング部22の動作の周波数(すなわち誘導コイル5への出力電力の周波数。以下、「動作周波数」と呼ぶ。)を制御する制御部4とを備える。
【0023】
詳しく説明すると、無電極放電灯6は、図2に示すように、例えばガラスのような透明な材料からなり外面に凹部60を有する中空のバルブ61と、合成樹脂からなる筒形状であってバルブ61に対し凹部60の開口を囲む形で取り付けられた口金62とを有し、誘導コイル5を巻回された円筒形状のカプラ50が凹部60に挿入されることによって誘導コイル5の近傍に配置される。バルブ61には、例えば不活性ガスと金属蒸気とを含む放電ガスが封入されている。また、バルブ61の凹部60の底面には、カプラ50に挿入される凸部60aが突設されている。さらに、バルブ61の内面には保護膜61aと蛍光体膜61bとが設けられている。すなわち、誘導コイル5が発生させる高周波電磁界によってバルブ61内にアーク放電が発生すると、発生した紫外線が蛍光体膜61bにおいて可視光に変換されることにより、無電極放電灯6が発光する。
【0024】
指示入力部3は、光出力を指示する操作入力を受け付けるものであってもよいし、外部装置から送信されて光出力を指示する信号を受信するものであってもよい。後者の場合において、光出力を指示する信号は、伝送路を介して有線で送受信されるものであってもよいし、赤外光や電波を媒体としたワイヤレス信号であってもよい。操作入力を受け付ける指示入力部3は例えば押釦スイッチのような周知の入力手段を用いて実現することができ、伝送路を介して有線で送受信される信号を受信する指示入力部3は例えば周知のインピーダンス整合回路や増幅回路で実現することができ、ワイヤレス信号を受信する指示入力部3はワイヤレス信号の媒体に応じた適宜の受信回路で実現することができるといったように、いずれの場合にも指示入力部3は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0025】
直流電源部1は、外部の交流電源ACから入力された交流電力を、所定電圧の直流電力に変換するものである。このような直流電源部1としては例えばバックコンバータやブーストコンバータなどの周知の直流電源回路を用いることができるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0026】
スイッチング部22は、直流電源部1の出力端間に互いに直列に接続された2個のスイッチング素子Q1,Q2と、スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンオフ駆動する駆動回路22aとからなる。スイッチング素子Q1,Q2としては例えばMOSFETを用いることができる。また、駆動回路22aは周知の電子回路で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0027】
共振部21は、スイッチング部22の低電圧側(ローサイド)のスイッチング素子Q2の両端間に接続されたインダクタLsと並列コンデンサCpとの直列回路と、誘導コイル5との直列回路として並列コンデンサCpに並列に接続された直列コンデンサCsとからなる。すなわち、共振部21とスイッチング部22とは全体として周知のハーフブリッジ形のインバータ回路を構成している。そして、共振部21と誘導コイル5とが構成する共振回路の共振周波数(以下、単に「共振周波数」と呼ぶ。)に対して、スイッチング部22のスイッチング素子Q1,Q2が交互にオンオフされる周波数である動作周波数が近いほど、共振部21から誘導コイル5に出力される電力が増加することにより、無電極放電灯6の光出力が高くなる。
【0028】
また、スイッチング部22のローサイドのスイッチング素子Q2には検出用抵抗Rdが直列に接続されており、制御部4は、検出用抵抗Rdの両端電圧(以下、「検出電圧」と呼ぶ。)を所定の目標電圧とするようなフィードバック制御により、駆動回路22aの動作周波数を制御する。すなわち、制御部4は、検出電圧に基いて共振部21から誘導コイル5への出力電力(以下、単に「出力電力」と呼ぶ。)を検出するとともに、検出された出力電力を所定の目標値とするようにフィードバック制御することになる。
【0029】
詳しく説明すると、制御部4は、指示入力部3に指示された光出力に応じた目標電圧を生成する目標電圧生成回路41と、目標電圧生成回路41によって生成された目標電圧が非反転入力端子に入力されるとともに反転入力端子が抵抗R1を介して検出用抵抗Rdに接続されたオペアンプOPとを備える。このオペアンプOPの反転入力端子と出力端子との間には、抵抗R2と第1スイッチSW1との直列回路と抵抗R3との並列回路が接続されており、オペアンプOPは上記の各抵抗R1〜R3とともに反転増幅回路を構成している。上記の反転増幅回路の増幅率(比例ゲイン)は、第1スイッチSW1がオンされている期間には、第1スイッチSW1がオフされている期間よりも小さくなる。
【0030】
さらに、オペアンプOPの出力端子はコンデンサC1と第2スイッチSW2との直列回路とコンデンサC2との並列回路と抵抗R4との直列回路を介してグランドに接続されている。これにより、オペアンプOPの出力電圧は、上記の抵抗R4とコンデンサC1,C2と第2スイッチSW2との回路の時定数で変化し、この時定数は第2スイッチSW2がオンされている期間には第2スイッチSW2がオフされている期間よりも大きくなる。
【0031】
また、制御部4は、抵抗R5を介してオペアンプOPの出力端子に接続されオペアンプOPの出力電圧に応じた動作周波数の信号(例えば矩形波)を駆動回路22aに出力する発振器42を備える。駆動回路22aは、制御部4の発振器42から入力された信号の周波数(動作周波数)でスイッチング素子Q1,Q2を交互にオンオフ駆動する。具体的には、検出用抵抗Rdに流れる電流の電流値を、目標電圧生成回路41の出力電圧に応じた目標値に近づける方向に、動作周波数を変化させるというフィードバック制御がなされるのであり、このフィードバック制御は、動作周波数の変更幅を、上記の電流値と上記の目標値との差の定数(比例ゲイン)倍とするような比例制御である。このフィードバック制御における比例ゲインは、オペアンプOPが構成する反転増幅回路の増幅率に比例し、すなわち、第1スイッチSW1がオンされている期間には、第1スイッチSW1がオフされている期間よりも小さくなる。上記のような制御部4は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0032】
ここで、誘導コイル5と無電極放電灯6とをインダクタと抵抗との並列回路からなる等価回路(図示せず)に置き換えた場合における、共振部21と上記の等価回路とが構成する共振回路(以下、「等価共振回路」と呼ぶ。)の共振特性を考える。上記の等価回路において、抵抗の抵抗値Rpは、共振部21の出力電圧Vの2乗を、共振部21の出力電力Pで除したもの(次式)となる。
【0033】
【数1】

【0034】
また、上記の等価回路において、インダクタのインダクタンスLpは、上記の抵抗値Rpを、2πと、動作周波数fと、共振部21の出力電圧Vと出力電流との位相差(すなわち偏角)φの正接tanφとの積で除したもの(次式)となる。
【0035】
【数2】

【0036】
図3において、動作周波数を横軸にとり、共振部21の出力電力を縦軸にとって、動作周波数を共振周波数に比較的に近い全点灯周波数とした全点灯動作の場合における動作点をP1で示すとともに等価共振回路の共振特性を実線RL1で示し、動作周波数を全点灯周波数よりも共振周波数から離れた調光周波数とした調光動作の場合における動作点をP2で示すとともに等価共振回路の共振特性を破線RL2で示す。全点灯動作中と調光動作中とでは無電極放電灯6内のプラズマの状態が異なることにより、上記の等価回路のインピーダンスや上記の等価共振回路の共振特性も異なっている。そして、出力電力が低下されるほど上記の等価回路におけるインダクタのインダクタンスLpに対する抵抗の抵抗値Rpの比Rp/Lpは大きくなる。この結果、図3に示されているように、調光動作中には全点灯動作中よりも等価共振回路の共振が鋭く(Q値が高く)なり、つまり動作周波数の変化幅に対して出力電力の変化幅が大きくなる。
【0037】
本実施形態は上記のような共振特性の変化により発生する課題を解決するものであり、指示入力部3において全点灯動作が指示されている期間には、第1スイッチSW1がオフされるとともに第2スイッチSW2がオンされ、指示入力部3において調光動作が指示されている期間には、第1スイッチSW1がオンされることで比例ゲインが小さく(つまり出力電力の誤差の大きさに対して動作周波数の変化幅が小さく)されるとともに第2スイッチSW2がオフされることで時定数が小さく(つまり応答速度が速く)されるように構成されている。ここで、上記の等価共振回路のQ値と、検出電圧と目標電圧との差が単位電圧であるときの動作周波数の変化幅(すなわちフィードバック制御における比例ゲイン)との積が、全点灯動作時と調光動作時とで互いに等しくなるように、オペアンプOPの反転入力端子に接続された各抵抗R1〜R3の抵抗値はそれぞれ設計されている。ここで、Q値は、動作周波数が共振周波数であるときの出力電力に対して出力電力が2分の1になるような、共振周波数前後の2個の動作周波数間の差(すなわち半値幅)で、共振周波数を除した値として定義される。
【0038】
上記構成によれば、調光動作時には、全点灯動作時に比べ、動作周波数の変化に対する出力電力の変化が大きくなることに対応し、フィードバック制御の比例ゲインを小さくするとともに時定数を小さくしてハンチングやアンダーシュートを防止しているので、調光動作時にちらつきや立ち消えが発生しにくい。
【0039】
なお、回路構成は上記に限られず、スイッチSW1,SW2のオンオフにより比例ゲインや時定数を切り替える回路に代えて、例えば図4に示すように、オペアンプOPの出力端子と発振器42との間に抵抗R5との直列回路として介装されてカソードをオペアンプOPに向けたダイオードD1を追加するとともに、オペアンプOPの出力端子と反転入力端子との間に、可変抵抗VRと可変キャパシタVCとの並列回路を接続してもよい。図4の例では、検出用抵抗Rdは誘導コイル5に直列に接続されている。また、可変抵抗VRの抵抗値と可変キャパシタVCの容量値(キャパシタンス)とはそれぞれ指示入力部3に指示された光出力に応じて変動するように構成される。そして、調光動作時には、全点灯動作時に比べ、可変抵抗VRの抵抗値が小さくされることでフィードバック制御の比例ゲインが小さくされるとともに、可変キャパシタVCの容量値が小さくされることでフィードバック制御の時定数が小さく(応答速度が速く)される。上記のような制御部4も周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0040】
または、上記のようなアナログ回路に代えてデジタル回路を用いてもよい。すなわち、図5に示すように、例えばROMからなり光出力と比例ゲイン及び時定数との対応関係を示すテーブルが予め格納されたメモリ43と、指示入力部3において指示された光出力に応じた比例ゲインと時定数とをそれぞれメモリ43から読み出すリーダ回路44と、リーダ回路44によって読み出された比例ゲインと時定数とを用いたフィードバック制御を行うフィードバック制御回路45とを、それぞれ制御部4に設ける。フィードバック制御回路45は、検出用抵抗Rdの両端電圧(検出電圧)を目標電圧生成回路41の出力電圧(目標電圧)に一致させるように発振器42への出力電圧を変更するというフィードバック制御を、指示入力部3において指示された光出力に応じた比例ゲインと時定数とで実行する。具体的には、フィードバック制御回路45は、検出用抵抗Rdの両端電圧(検出電圧)を定期的に検出するとともに、検出された検出電圧を新しいものから所定個数まで記憶しており、フィードバック制御においては記憶された検出電圧のうちリーダ回路44から入力された時定数が大きいほど長い時間(以下、「遅れ時間」と呼ぶ。)だけ遡った時点で得られた検出電圧を入力として使用したフィードバック制御(比例制御)を行う。本発明者の実験によれば、上記の遅れ時間は、10ミリ秒〜数100ミリ秒の範囲を避けるように設定することが、ちらつきを抑える観点からは望ましい。上記のようなメモリ43とリーダ回路44とフィードバック制御回路45とはいずれも周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0041】
ここで、無電極放電灯6の光出力を3段階以上に変更可能としてフィードバック制御の比例ゲインや時定数を光出力毎に異ならせる場合のように、フィードバック制御の比例ゲインや時定数も3段階以上に変更可能とするには、図1の構成では第1スイッチSW1と抵抗R2との直列回路や第2スイッチSW2と抵抗C1との直列回路を追加する必要がある。これに対し、図4や図5の構成では、フィードバック制御の比例ゲインや時定数を3段階以上に変更可能とする場合であっても部品を追加する必要がないという利点がある。
【0042】
さらに、制御部4によるフィードバック制御の比例ゲインや時定数が、温度以外の条件で変更されるようにしてもよい。例えば、無電極放電灯6の累積点灯時間を計時する計時回路(図示せず)を設けるとともに、計時回路によって計時された累積点灯時間に応じて、制御部4がフィードバック制御の比例ゲインや時定数(図5の構成においては使用するテーブル)を変化させることで、無電極放電灯6の経年劣化への対応が可能となる。上記のような計時回路及び制御部4はいずれも周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0043】
上記各種の無電極放電灯点灯装置1は、図6に示すような照明器具7に用いることができる。図6の照明器具7は、直流電源部1と共振部21とスイッチング部22と制御部4とをそれぞれ収納及び保持したケース10と、ケース10が固定されるとともに誘導コイル5と無電極放電灯6とをそれぞれ放熱板70を介して保持しケース10及び放熱板70とともに請求項における器具本体を構成するベース71と、透光性を有する材料からなり無電極放電灯6を囲む筒形状であって放熱板70に対して固定され無電極放電灯6の光を拡散させる拡散板72と、透光性を有する材料からなり拡散板72を囲む筒形状であって一方(図6での下側)の開口がベース71により閉塞されたグローブ73と、グローブ73の他方(図6での上側)の開口を閉塞するカバー74とを備える。上記のような照明器具7は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【符号の説明】
【0044】
1 直流電源部(請求項における直流電源)
3 指示入力部
4 制御部
5 誘導コイル
6 無電極放電灯
7 照明器具
10 ケース(請求項における器具本体の一部)
21 共振部
22 スイッチング部
70 放熱板(請求項における器具本体の一部)
71 ベース(請求項における器具本体の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電極放電灯に近接配置される誘導コイルと、
誘導コイルとともに共振回路を構成する共振部と、
直流電源と共振部との間に介在し直流電源と共振部との電気的な接続を周期的に切り替えることで直流電源から入力された直流電力を交流電力に変換して誘導コイルに供給するスイッチング部と、
無電極放電灯の光出力の指示が入力される指示入力部と、
共振部から誘導コイルへの出力電力を検出するとともに検出された出力電力を指示入力部に入力された光出力に応じた値とするようにスイッチング部の動作の周波数をフィードバック制御する制御部とを備え、
制御部は、指示入力部に指示されている光出力が低いほど、前記フィードバック制御における時定数と比例ゲインとの少なくとも一方を小さくすることを特徴とする無電極放電灯点灯装置。
【請求項2】
制御部は、指示入力部に指示されている光出力が低いほど、前記フィードバック制御における時定数を小さくすることを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項3】
制御部は、指示入力部に指示されている光出力が低いほど、前記フィードバック制御における比例ゲインを小さくすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項4】
誘導コイルと無電極放電灯とをインダクタと抵抗との並列回路からなる等価回路に置き換えた場合における等価回路と共振部とが構成する共振回路のQ値と、前記フィードバック制御における比例ゲインとの積の値が、全ての光出力で等しくされていることを特徴とする請求項3記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項5】
制御部は、前記フィードバック制御における時定数と比例ゲインとの少なくとも一方を、前記フィードバック制御における時定数と比例ゲインとの少なくとも一方と指示入力部に指示される光出力との対応関係を示すテーブルであって予め制御部に記憶されたテーブルを用いて決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、無電極放電灯と無電極放電灯点灯装置とをそれぞれ保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−44313(P2011−44313A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191270(P2009−191270)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】