説明

無電解めっき処理方法

【課題】ウェハに形成されるめっき層の膜厚や膜質を均一にすること。また、一度に大量のウェハに無電解めっき処理をおこなうこと。
【解決手段】複数枚の被処理ウェハ2が適当な間隔をおいて平行に並べられたウェハカセット3を、めっき槽1内へ、被処理ウェハ2が薬液表面に対して垂直となるように挿入する。また、めっき槽1の側壁には、薬液供給口4が設けられている。ポンプによって薬液供給口4からめっき槽1内へ供給された薬液を、薬液表面および被処理ウェハ2に対して平行な方向に流通させ、バッファー板6によって流れを整流してからウェハカセット3へ流す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無電解めっき処理方法に関し、特に半導体ウェハに対する無電解めっき処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの作製おいて、シリコン(Si)ウェハ工程が終了した段階で、表面にはパッシベーション膜が設けられている。このパッシベーション膜には、部分的に除去された領域があり、たとえば、アルミニウム(Al)を主成分とする電極が露出されている。そして、この電極を通して外部と電気的な接続をとるために、電極に外部金属を接続する。
【0003】
外部金属を接続する方法としては、ワイヤーボンディングが一般的である。一方、用途によっては、リードフレームと電極を直接半田付けにより接続した方が、抵抗や放熱の点から有利な場合もある。しかしながら、リードフレームと電極とを直接半田付けをするのは困難なため、たとえば、ニッケル(Ni)にリン(P)が数%混ざった数μmの厚さのNi−P層と、表面の酸化防止を目的とした金(Au)層と、を無電解めっき処理によって形成する方法が提案されている。この無電解めっき処理方法によれば、アルミニウム上のみにNi−P層およびAu層が析出されるため、パターニングの必要がない。また、めっき時の温度が100℃以下であるため、プロセス上の熱的な問題も発生しないなどの利点がある。
【0004】
つぎに、従来の無電解めっき処理方法について説明する。図7は、従来の無電解めっき処理方法に用いられるめっき装置の構造を示す断面図である。また、図8は、図7の切断線A−A'における断面構造を示す断面図である。図7または図8に示すように、めっき装置は、めっき槽11が薬液によって満たされている。ウェハカセット13には、複数枚の被処理ウェハ12が互いに接触しないように並べられている。このウェハカセット13は、被処理ウェハ12が薬液表面と垂直になるように、めっき槽11に浸漬されている。
【0005】
また、めっき槽11の底部と、ウェハカセット13と、の間には、薬液供給ノズル14が設けられている。薬液供給ノズル14は、図示しないポンプから送られてきた薬液をめっき槽11内の薬液表面に向けて供給する。これによって、ウェハカセット13に並べられた被処理ウェハ12の間に薬液が流れることとなる。そして、めっき槽11内の薬液を循環させる。このように薬液を循環させることによって、無電解めっき処理により半導体デバイスに形成されるめっき層の膜厚、およびニッケル中のリン濃度などの膜質を一様にすることができる。また、めっき特性に大きな影響を及ぼす、めっき槽11内の薬液の温度および濃度を一様にすることができる。
【0006】
めっき槽11からオーバーフローした薬液は、外槽15によって回収される。外槽15は、めっき槽11の外側に設けられている。外槽15には、薬液を排水する排水口16が設けられている。この排水口16によって排水された薬液は、再び図示しないポンプによって薬液供給ノズル14からめっき槽11内へ供給される。
【0007】
ここで、被処理ウェハ12に膜厚および膜質が均一な層を析出させるためには、被処理ウェハ12の表面に均一な速度で薬液を流すことが重要である。しかしながら、被処理ウェハ12に垂直な面での薬液の流れを考えると、薬液供給ノズル14からの薬液の供給を被処理ウェハ12を並べた方向に一様にすることは困難である。すなわち、被処理ウェハ12間の薬液の流速をどこでも同じにすることは困難である。また、被処理ウェハ12と、平行な面での薬液の流れを考えると、図7に示すように、薬液の供給は、比較的狭い領域からおこなわれる。さらに、オーバーフローによる排水は、槽の上端部周辺からおこなわれる。このため、めっき槽11内で局所的な渦や対流が発生する。したがって、被処理ウェハ12の表面に一様な速度で薬液を流すのは困難であるという問題がある。
【0008】
さらに、図7および図8に示す技術では、Ni−P層の膜厚および膜質の均一性は、薬液の供給流量や薬液供給ノズル14の方向で大きく異なり、最適化が困難であるといった問題がある。
【0009】
また、薬液による処理の別の方法としては、洗浄槽の側壁に薬液供給口を設け、相対する側壁に薬液排出口を設け、複数枚の半導体基板を薬液表面と平行になるように挿入する方法が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。この方法によれば、たとえば、半導体基板を洗浄する際に、半導体基板に付着したパーティクルが、隣接する半導体基板に付着するのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−21413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、無電解めっき処理については記載されておらず、たとえば、無電解めっき処理に用いた場合に、形成されるめっき層の膜厚や膜質を均一にできるか否かがわからないといった問題がある。また、1つのカセットに並べられたウェハにのみ処理をおこなうため、一度に処理できるウェハの枚数に制限があるといった問題がある。
【0012】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ウェハに形成されるめっき層の膜厚や膜質を均一にすることができる無電解めっき処理方法を提供することを目的とする。また、この発明は、一度に大量のウェハに無電解めっき処理をおこなうことができる無電解めっき処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる無電解めっき処理方法は、複数の薄い平板が適当な間隔をおいて平行に並べられたカセットを、めっき槽内へ薬液表面に対して前記平板が垂直となるように挿入するカセット挿入工程と、複数の開口部を有し、かつ該開口部の総面積が前記めっき槽内へ薬液を供給する配管の断面積と同程度である整流手段の前記開口部内に薬液を通すことによって、前記配管から前記めっき槽内へ供給された薬液の流れを、薬液表面および前記平板と平行な方向に一様になるように整流しながら、前記薬液中に前記カセットを浸漬して、前記平板にめっき層を形成するめっき層形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の発明にかかる無電解めっき処理方法は、複数の薄い平板が適当な間隔をおいて平行に並べられた複数のカセットを、めっき槽内へ薬液表面に対して前記平板が垂直となるように挿入するカセット挿入工程と、複数の開口部を有し、かつ該開口部の総面積が前記めっき槽内へ薬液を供給する配管の断面積と同程度である整流手段の前記開口部内に薬液を通すことによって、前記配管から前記めっき槽内へ供給された薬液の流れを、薬液表面および前記平板と平行な方向に一様になるように整流しながら、前記薬液中に前記カセットを浸漬して、前記平板にめっき層を形成するめっき層形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3の発明にかかる無電解めっき処理方法は、請求項2に記載の発明において、前記めっき槽には、それぞれの前記カセットの直前に、前記整流手段が配置され、それぞれの前記カセットの直前に配置された前記整流手段によって、それぞれの前記カセットに流通する薬液の流れを整流することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の発明にかかる無電解めっき処理方法は、請求項2または3に記載の発明において、前記めっき槽には、前記カセット同士の間に、薬液を撹拌させる導流手段が配置され、前記導流手段によって薬液を攪拌しながらめっきをおこなうことを特徴とする。
【0017】
また、請求項5の発明にかかる無電解めっき処理方法は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記平板の表面のアルミニウムを主成分とする金属が露出された領域に、ニッケルおよびリンを主成分とするめっき層を無電解で形成することを特徴とする。
【0018】
上記各発明によれば、めっき槽内の薬液の流れを薬液表面と平行方向にし、ウェハを薬液表面に対して垂直で、薬液の流れに対して平行となるように挿入することで、それぞれのウェハに一様な流速で薬液が流れることとなる。これによって、ウェハに形成されるめっき層の膜厚や膜質を均一にすることができる。
【0019】
また、請求項2〜4の発明によれば、複数のウェハカセットをめっき槽内に配置することで、一度に大量のウェハに無電解めっき処理をおこなうことができる。このため、製造コストを抑えることができる。
【0020】
また、請求項3の発明によれば、それぞれのウェハカセットに流れる薬液を、それぞれのウェハカセットの直前に配置されたバッファー板によって整流することができる。したがって、複数のウェハカセットがめっき槽内に配置された場合でも、それぞれのウェハカセットに流れの整流された薬液が流れるため、ウェハに形成されるめっき層の膜厚や膜質をより均一にすることができる。
【0021】
また、請求項4の発明によれば、それぞれのウェハカセットに流れる薬液を、ウェハカセット同士の間に配置された導流板によって撹拌することができる。したがって、それぞれのウェハカセットに、濃度に偏りのない薬液が流れるため、ウェハに形成されるめっき層の膜質をより均一にすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる無電解めっき処理方法によれば、ウェハに形成されるめっき層の膜厚や膜質を均一にすることができるという効果を奏する。また、この無電解めっき処理方法によれば、一度に大量のウェハに無電解めっき処理をおこなうことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態1にかかる無電解めっき処理方法に用いられるめっき装置の構造を示す断面図である。
【図2】実施の形態1にかかる無電解めっき処理方法について示す斜視図である。
【図3】実施の形態2にかかる無電解めっき処理方法に用いられるめっき装置の構造を示す平面図である。
【図4】実施の形態3にかかる無電解めっき処理方法に用いられるめっき装置の構造を示す平面図である。
【図5】導流板の形状の一例を示す斜視図である。
【図6】導流板の形状の他の一例を示す斜視図である。
【図7】従来の無電解めっき処理方法に用いられるめっき装置の構造を示す断面図である。
【図8】図7の切断線A−A'における断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる無電解めっき処理方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明およびすべての添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる無電解めっき処理方法に用いられるめっき装置の構造を示す上面図である。図1に示すように、めっき槽1には、側壁に薬液供給口4が設けられている。また、薬液排水口7は、めっき槽1の薬液供給口4が設けられた側壁と相対する側壁に設けられている。薬液供給口4からめっき槽1中に薬液を供給し、薬液排水口7から薬液を排出することによって、薬液の流れを薬液表面と平行にすることができる。
【0026】
バッファー板6は、薬液供給口4と、ウェハカセット3の置かれる場所との間、およびウェハカセット3の置かれる場所と薬液排水口7との間に設けられている。バッファー板6は、薬液の流れを薬液供給口4側から薬液排水口7側へ向かう一様な層流にする。また、バッファー板6は、平板であり、小径の開口部が複数設けられている。バッファー板6の開口部の総面積は、たとえば、薬液供給口4の断面積と同程度である。このような構成のめっき槽1に薬液が満たされる。
【0027】
ウェハカセット3は、複数枚の被処理ウェハ2を適当な間隔で平行に並べたものである。このため、ウェハカセット3において、被処理ウェハ2は、互いに接触しないように並べられている。このウェハカセット3は、めっき槽1内に、被処理ウェハ2が薬液表面に対し垂直で、薬液の流れに対して平行になるように配置される。ここで被処理ウェハ2は、たとえば、シリコン(Si)ウェハであり、厚さが、たとえば、100μm以下である。
【0028】
つぎに、実施の形態1にかかる無電解めっき処理方法について説明する。図2は、実施の形態1にかかる無電解めっき処理方法について示す斜視図である。図2に示すように、めっき槽1内には薬液が満たされており、図示しないポンプから送られた薬液が、薬液供給口4から供給され、薬液排水口7から排水される。また、バッファー板6によって薬液の流れが、薬液供給口4側から薬液排水口7側へ向かう一様な層流になっている。このめっき槽1の中へ、被処理ウェハ2が薬液表面に対して垂直で、薬液の流れに対して平行となるように、ウェハカセット3を挿入する。これによって、被処理ウェハ2を薬液へ浸すときの抵抗が軽減する。
【0029】
ウェハカセット3を通過した薬液は、再度バッファー板6によって流れが整流され、薬液排水口7から排水される。これによって、めっき槽1内においては、薬液表面と平行に薬液が流れることとなる。また、薬液排水口7によって排水された薬液は、図示しない領域において、濾過、濃度調整および温度調整がおこなわれる。温度調整は、たとえば、薬液をおよそ70℃にする。そして、この薬液が再びポンプによって薬液供給口4からめっき槽1内へ供給される。ここで、たとえば、NiPめっきの場合、ウェハカセット3を、薬液におよそ20分間浸漬させる。
【0030】
実施の形態1にかかる無電解めっき処理方法によれば、被処理ウェハ2が、薬液の流れと平行に並べられているため、それぞれの被処理ウェハ2間には、ほぼ一様な流速で薬液が流れる。また、被処理ウェハ2は、100μm以下と薄いため、薬液の流れを大きく乱さない。これによって、被処理ウェハ2に形成されるめっき層の膜厚と膜質とを均一にすることができる。
【0031】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2にかかる無電解めっき処理方法に用いられるめっき装置の構造を示す平面図である。図3に示すように、実施の形態2において用いられるめっき装置は、実施の形態1に示すウェハカセット3を流路に対して直列に複数個並べたものである。ウェハカセット3同士は、適当な間隔をおいて配置される。
【0032】
つぎに、実施の形態2にかかる無電解めっき処理方法について説明する。薬液の満たされためっき槽1内において、図示しないポンプから送られた薬液が、薬液供給口4によってめっき槽1内へ供給され、バッファー板6によって薬液供給口4側から薬液排水口7側へ向かう一様な層流になって流れている。このめっき槽1の中に、被処理ウェハ2が薬液表面に対して垂直で、薬液の流れに対して平行になるように、複数のウェハカセット3を挿入する。これによって、被処理ウェハ2を薬液へ浸すときの抵抗が軽減する。そして、それぞれのウェハカセット3を流路に対して直列になるように、適当な間隔をおいて配置する。これによって、バッファー板6によって流れの整流された薬液が、複数のウェハカセット3に順次流れ込む。そして、再度バッファー板6によって薬液の流れが整流され、薬液排水口7から排水される。また、薬液排水口7によって排水された薬液は、図示しない領域において、濾過、濃度調整および温度調整がおこなわれる。そして、この薬液が再びポンプによって薬液供給口4からめっき槽1内へ供給される。
【0033】
実施の形態2にかかる無電解めっき処理方法によれば、薬液供給口4から供給された薬液の一様な流れが、被処理ウェハ2によって乱される。しかしながら、ウェハカセット3を適当な間隔をおいて配置することで、上流の被処理ウェハ2によって乱された流れは、下流の被処理ウェハ2に至る前に再び一様な流れとなる。したがって、それぞれのウェハカセット3において薬液の流れは同様となる。このため、それぞれのウェハカセット3に並べられたそれぞれの被処理ウェハ2間に、ほぼ一様な流速で薬液が流れる。これによって、複数のウェハカセット3が配置されためっき装置においても、それぞれの被処理ウェハ2に形成されるめっき層の膜厚と膜質とを均一にすることができる。また、一度の処理で大量の被処理ウェハ2にめっき処理をおこなうことができるため、製造コストを抑えることができる。
【0034】
(実施の形態3)
図4は、実施の形態3にかかる無電解めっき処理方法に用いられるめっき装置の構造を示す平面図である。図4に示すように、実施の形態3において用いられるめっき装置は、実施の形態2において用いられるめっき装置の各ウェハカセット3の直前にバッファー板6が配置されている。また、ウェハカセット3同士の間に、導流板8がそれぞれ設けられていてもよい。導流板8は、めっき槽1に薬液を満たす前に、めっき槽1に取り付けられる。図5は、導流板の形状の一例を示す斜視図である。導流板8の形状は、薬液を撹拌することができればよいため、図5の(a)〜(d)に示す形状に限らない。また、図6は、導流板の形状の他の一例を示す斜視図である。図6に示すように、導流板8は、複数枚で構成されていてもよい。具体的には、たとえば、3枚の平板を上下に互い違いに配置した形状でもよい。
【0035】
つぎに、実施の形態3にかかる無電解めっき処理方法について説明する。まず、めっき槽1に薬液を満たす前に、それぞれのウェハカセット3が置かれる場所の直前にバッファー板6を配置し、ウェハカセット3が置かれる場所同士の間に、導流板8を配置する。ついで、図示しないポンプから送られた薬液を、薬液供給口4からめっき槽1内へ供給し、めっき槽1内を満たす。さらに、バッファー板6によって流れの整流された薬液が、薬液供給口4側から薬液排水口7側へ向かう一様な層流になって流れている。このめっき槽1の中に、被処理ウェハ2が薬液表面に対して垂直で、薬液の流れに対して平行となるように、複数のウェハカセット3を挿入する。そして、それぞれのウェハカセット3を流路に対して直列になるように、適当な間隔をおいて配置する。
【0036】
ついで、バッファー板6によって薬液の流れが整流される。そして、まず最初のウェハカセット3に薬液が流れ込む。ウェハカセット3を通過した薬液が、導流板8によって撹拌され、バッファー板6によって流れが整流される。そして、つぎのウェハカセット3に流れ込む。このようにして、薬液がすべてのウェハカセット3に流れ込んだ後に、再度バッファー板6によって流れが整流され、薬液排水口7から排水される。また、薬液排水口7によって排水された薬液は、図示しない領域において、濾過、濃度調整および温度調整がおこなわれる。そして、この薬液が再びポンプによって薬液供給口4からめっき槽1内へ供給される。
【0037】
実施の形態3にかかる無電解めっき処理方法によれば、各ウェハカセット3の直前にバッファー板6が配置されているため、各ウェハカセット3に流れの整流された薬液が供給される。したがって、それぞれのウェハカセット3に並べられたそれぞれの被処理ウェハ2間に、ほぼ一様な流速で薬液が流れる。これによって、実施の形態2にかかる無電解めっき処理方法よりも、さらに、すべての被処理ウェハ2に形成されるめっき層の膜厚と膜質とを均一にすることができる。
【0038】
また、この無電解めっき処理方法によれば、ウェハカセット3同士の間に、導流板8がそれぞれ設けられている。したがって、たとえば、薬液が直前のウェハカセット3に流れ込んだことにより濃度に偏りが生じた場合でも、導流板8によって撹拌され、濃度が均等となる。これによって、実施の形態2にかかる無電解めっき処理方法よりも、さらに、被処理ウェハ2に形成されるめっき層の膜質を均一にすることができる。
【0039】
なお、本明細書においては、シリコンウェハに無電解めっき処理によってめっき膜を形成する方法について説明したが、これに限るものではない。本発明は、たとえば、シリコンウェハ以外の平板に無電解めっき処理によってめっき層を形成する場合にも、適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかる無電解めっき処理方法は、薄板に無電解めっきをおこなうのに有用であり、特に、半導体ウェハに無電解めっきをおこなうのに適している。
【符号の説明】
【0041】
1 めっき槽
2 被処理ウェハ
3 ウェハカセット
4 薬液供給口
6 バッファー板
7 薬液排水口
8 導流板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薄い平板が適当な間隔をおいて平行に並べられたカセットを、めっき槽内へ薬液表面に対して前記平板が垂直となるように挿入するカセット挿入工程と、
複数の開口部を有し、かつ該開口部の総面積が前記めっき槽内へ薬液を供給する配管の断面積と同程度である整流手段の前記開口部内に薬液を通すことによって、前記配管から前記めっき槽内へ供給された薬液の流れを、薬液表面および前記平板と平行な方向に一様になるように整流しながら、前記薬液中に前記カセットを浸漬して、前記平板にめっき層を形成するめっき層形成工程と、
を含むことを特徴とする無電解めっき処理方法。
【請求項2】
複数の薄い平板が適当な間隔をおいて平行に並べられた複数のカセットを、めっき槽内へ薬液表面に対して前記平板が垂直となるように挿入するカセット挿入工程と、
複数の開口部を有し、かつ該開口部の総面積が前記めっき槽内へ薬液を供給する配管の断面積と同程度である整流手段の前記開口部内に薬液を通すことによって、前記配管から前記めっき槽内へ供給された薬液の流れを、薬液表面および前記平板と平行な方向に一様になるように整流しながら、前記薬液中に前記カセットを浸漬して、前記平板にめっき層を形成するめっき層形成工程と、
を含むことを特徴とする無電解めっき処理方法。
【請求項3】
前記めっき槽には、それぞれの前記カセットの直前に、前記整流手段が配置され、それぞれの前記カセットの直前に配置された前記整流手段によって、それぞれの前記カセットに流通する薬液の流れを整流することを特徴とする請求項2に記載の無電解めっき処理方法。
【請求項4】
前記めっき槽には、前記カセット同士の間に、薬液を撹拌させる導流手段が配置され、前記導流手段によって薬液を攪拌しながらめっきをおこなうことを特徴とする請求項2または3に記載の無電解めっき処理方法。
【請求項5】
前記めっき層形成工程は、前記平板の表面のアルミニウムを主成分とする金属が露出された領域に、ニッケルおよびリンを主成分とするめっき層を無電解で形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の無電解めっき処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−42832(P2011−42832A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191503(P2009−191503)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000189327)上村工業株式会社 (101)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】