説明

煙道ガス処理システム

本発明は、二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するガスストリームを浄化するガス浄化システムに係り、前記ガス浄化システムは、前処理セクション(3);CO2除去ステージ(5);及び後処理セクション(4)を含んでなり、前記前処理セクションは、ガスの流動方向に関してCO2除去ステージ(5)の上流に配置された少なくとも2つのガス−液接触装置(19, 20)を含んでなり、及び前記後処理セクションは、ガスの流動方向に関してCO2除去ステージ(5)の下流に配置された少なくとも2つのガス−液接触装置(30, 31)を含んでなる。本発明は、さらに、二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するガスストリームを浄化する方法に係り、前記方法は、二酸化炭素除去工程において、ガスストリームを、アンモニアを含んでなる液体と接触させることによって、ガスストリームから二酸化炭素を少なくとも部分的に除去すること;二酸化炭素除去工程の上流において、少なくとも2つの工程でガスストリームを液体と接触させること;及び二酸化炭素除去工程の下流において、少なくとも2つの工程でガスストリームを液体と接触させることを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するプロセスガスを浄化するガス浄化システムに係り、前記ガス浄化システムは、プロセスガスを冷却し及びSO2を除去するように機能する前処理セクション、冷却されたプロセスガスを、二酸化炭素の少なくとも一部を吸収するアンモニアを含んでなる液体と接触させることによって、プロセスガスから二酸化炭素を少なくとも部分的に除去するように機能するCO2吸収器を含んでなる二酸化炭素除去システム;及びプロセスガスから残留アンモニアを少なくとも部分的に除去するように機能する後処理セクションを含んでなる。
【0002】
本発明は、二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するガスを浄化する方法にも係り、前記方法は、ガスを、アンモニアを含んでなる液体(少なくとも二酸化炭素の一部を吸収する)と接触させることによって、プロセスガスから二酸化炭素を少なくとも部分的に除去することを含んでなる。
【背景技術】
【0003】
燃焼プラントにおける石炭、石油、泥炭、廃棄物等の燃料の燃焼では、汚染物、中でも二酸化炭素CO2を含有する熱いプロセスガス(しばしば、煙道ガスと称される)のような熱いプロセスガスが発生される。二酸化炭素を大気中に放出することによる環境に対する負の影響が広く認識されるようになっており、このため、前記燃料の燃焼において発生する熱いプロセスガスから二酸化炭素を除去するために採用される方法が開発されている。
【0004】
米国特許出願公開第2008/0178733号には、CO2吸収器の上流に配置され、冷却液体によってプロセスガスを冷却し、及びプロセスガスの二酸化イオウを冷却液体に吸収する(このようにして、硫酸塩を含有する冷却液体が得られる)ように機能する第1ガス−液接触装置を含んでなる結合冷却及び浄化システムを有するガス冷却システムが開示されている。結合冷却及び浄化システムは、さらに、CO2吸収器の下流に配置され、アンモニアを含有するプロセスガスを、硫酸塩を含有する冷却液体と接触させることによって、CO2吸収器において処理されたプロセスガスからアンモニアを除去するように機能する第2ガス−液接触装置を含んでなる。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0178733号に開示されたシステムは、下記の目標の1以上を達成するために使用される:
1)CO2吸収器に供給する前にプロセスガスの温度を低減すること、
2)CO2吸収器に供給する前にプロセスガスからSO2を除去すること、
3)大気中に排出する前にプロセスガスから残留NH3を除去すること、
4)CO2吸収器からの冷たいプロセスガスを再加熱して、冷エネルギーを保持し、このようにして、システム全体の冷却要求を低減すること。
しかし、これらの目標のいくつかは、本質的に、対立するものである。これらの目標に関して方法を最適化するために利用できる変数は、かなりの程度まで、相互に連結されるものである。これは、必ずしも全ての目標が同時に満たされないことを意味している。いくつかの目標に関して方法を最適化することは、他の目標に関して、より乏しい結果を生ずることにもなる。
【0006】
従って、これらの目標の全てが同時に満たされるような方法を開発することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ガスストリームから二酸化炭素及び二酸化イオウを除去するための効率的かつ環境問題の点からも許容される方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示する態様によれば、二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するガスストリームを浄化するガス浄化システムであって、前記ガス浄化システムは、
前処理セクション(3);
CO2除去ステージ(5);及び
後処理セクション(4)
を含んでなり、前記前処理セクションは、
ガスの流動方向に関してCO2除去ステージの上流に配置され、二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するガスストリームを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる前処理セクションの第1ガス−液接触装置(19);
ガスの流動方向に関してCO2除去ステージの上流に配置され及び前処理セクションの第1ガス−液接触装置から排出されたガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる前処理セクションの第2ガス−液接触装置(20)
を含んでなり、前記CO2除去ステージは、
前処理セクションからガスストリームを受け取るように配置され、該ガスストリームを、アンモニアを含んでなる液体と接触させ、及びCO2が除去されたガスストリームを後処理セクションに排出するCO2吸収器(6)
を含んでなり、前記後処理セクションは、
ガスの流動方向に関してCO2除去ステージの下流に配置され、CO2除去ステージから排出されるガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる後処理セクションの第1ガス−液接触装置(30);
ガスの流動方向に関して後処理セクションの第1ガス−液接触装置の下流に配置され、後処理セクションの第1ガス−液接触装置から排出されたガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる後処理セクションの第2ガス−液接触装置(31)
を含んでなり、前記前処理セクション及び後処理セクションの一方の第2ガス−液接触装置を、前記セクションの他方のガス−液接触装置と液体接続するように配置して、前記セクションの一方の第2ガス−液接触装置からの使用済み液の少なくとも一部を、前記セクションの他方のガス−液接触装置において使用するために導くようにしたことを特徴とするガス浄化システムが提供される。従来技術(米国特許出願公開第2008/0178733号)では、CO2除去ステージの上流の1つのガス−液接触装置及びCO2除去ステージの下流の1つのガス−液接触装置を含んでなる結合冷却及び浄化システムが記載されている。
【0009】
ここに記載の態様のガス浄化システムは、CO2除去ステージの上流の2つ以上のガス−液接触装置及びCO2除去ステージの下流の2つ以上のガス−液接触装置を含んでなる。このため、液が各セクションに導入される又は各セクションから取り出される位置の数が増大する。これにより、個々のガス−液接触装置に供給される液体ストリームが個々に制御され、各セクションにおける個別の要求に適合するものとされるため、プロセスを特定の条件に応じたものとすることができ、各ガス−液接触装置を異なった作動条件で作動させることができる。このようにして、各具体例では、1つのガス−液接触装置を、低いpH、液体流量、及び/又は温度条件で作動するように設定し、一方、他のガス−液接触装置を、中位のpH、液体流量、及び/又は温度条件で作動するように設定し、さらに他のガス−液接触装置を、高いpH、液体流量、及び/又は温度条件で作動するように設定することができる。
【0010】
前処理セクション及び後処理セクションでは、一連のガス−液接触装置において、ガスストリームを液体と接触させる。ガスストリームを一般的に向流様式で液体と接触させ、ガスストリーム及び液体ストリームはガス−液接触装置の対向する端で出入りする。前処理セクション及び後処理セクションのガス−液接触装置から排出される使用済み液体を取り出し及び廃棄することができ、或いは再使用のために他のガス−液接触装置に供給することができる。一般に、ガス−液接触装置から排出される使用済み液体を取り出さない場合には、排出された液体を一連のガス−液接触装置の内の先のガス−液接触装置に導く。
【0011】
前処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、一般に、後処理セクションの最後のガス−液接触装置に導く。
【0012】
後処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、一般に、前処理セクションの最後のガス−液接触装置に導く。このようにして、第1の液体再循環が形成される。
【0013】
ここに記載の態様によるシステムでは、前処理セクションの2つのガス−液接触装置の間で又は後処理セクションの2つのガス−液接触装置の間で液体を取り出すことができ、取り出した液体を他のセクションのガス−液接触装置に導くことができる。このようにして、第2の液体再循環が形成される。
【0014】
第2の液体再循環は、第1の液体再循環とは異なった特性、例えば、液体流量、pH及び/又は温度を提供できる。液体がガスストリームと接触する際に生ずる化学的及び物理的反応のため、ガス−液接触装置に供給される液体は、一般に、ガス−液接触装置から排出される液体とは組成の点で異なる。従って、pH及び温度のような液体の特性は、再循環中を進行するに連れて変動する。
【0015】
例えば、前処理セクションの第1ガス−液接触装置に最少量の液体を供給して、ガス中のSO2の大部分を少量の液体に吸収させることができる。その結果、液体のpHがかなり低下する。低pHのこの液体は、後処理セクションにおける残留NH3の除去に良好に適するものである。後処理セクションの第2ガス−液接触装置では、CO2吸収器に供給する前にガスストリームを効果的に冷却するために多量の液体が要求される。この液体の大部分を、前処理セクションの第2ガス−液接触装置において使用した後に取り出し、CO2吸収器から排出された冷たいガスストリームを再加熱するために、後処理セクションにおいて使用することができる。
【0016】
1具体例によれば、前記前処理セクション及び後処理セクションの一方の第2ガス−液接触装置を、他のセクションの第1ガス−液接触装置と液体接続するように配置して、一方のセクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体を、他のセクションの第1ガス−液接触装置での使用のために導く。前記前処理セクション及び後処理セクションの一方の第2ガス−液接触装置を、他のセクションの第1ガス−液接触装置と液体接続する場合、セクションの一方の第1ガス−液接触装置に個々の液体流量を提供することができる。これは、例えば、高い又は低いpH値を有する液体ストリームを得るために、又はシステムの冷却要求を最少にするためにガスストリーム及び液体の総熱容量を適合させるために有用ある。
【0017】
1具体例によれば、前処理セクションの第2ガス−液接触装置及び後処理セクションの第1ガス−液接触装置を液体接続するように配置して、前処理セクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体を、後処理セクションの第1ガス−液接触装置での使用のために導くことができる。
【0018】
他の具体例によれば、後処理セクションの第2ガス−液接触装置及び前処理セクションの第1ガス−液接触装置を液体接続するように配置して、後処理セクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体を、前処理セクションの第1ガス−液接触装置での使用のために導くことができる。
【0019】
他の具体例によれば、前処理セクションの第1ガス−液接触装置及び後処理セクションの第2ガス−液接触装置を液体接続するように配置して、前処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、後処理セクションの第2ガス−液接触装置での使用のために導くことができる。この場合の利点は、大部分のSO2を吸収し、これにより、一般的に最低のpH値を有する液体を、ガスからの残留NH3の最後の除去に使用することである。
【0020】
他の具体例によれば、後処理セクションの第1ガス−液接触装置及び前処理セクションの第2ガス−液接触装置を液体接続するように配置して、後処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、前処理セクションの第2ガス−液接触装置での使用のために導くことができる。この場合の利点は、大部分のNH3を吸収し、これにより、一般的に最高のpH値を有する液体を、ガスからの残留SO2の最後の除去に使用することである。
【0021】
具体例によれば、液体接続は、他のセクションでの使用のために導かれる液体の割合を制御するように機能する流れ制御装置を含んでなる。
【0022】
ガス浄化システムの他の具体例では、前記前処理セクションは、さらに、ガスの流動方向に関してCO2除去ステージの上流に配置され、第2ガス−液接触装置から排出されるガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる前処理セクションの第3ガス−液接触装置を含んでなり、及び前記後処理セクションは、さらに、ガスの流動方向に関して第2ガス−液接触装置の下流に配置され、後処理セクションの第2ガス−液接触装置から排出されるガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる後処理セクションの第3ガス−液接触装置を含んでなり、前記前処理セクション及び後処理セクションの各々の第2ガス−液接触装置を、他のセクションの第2ガス−液接触装置と液体接続するように配置して、一方のセクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体の少なくとも一部を、他のセクションの第2ガス−液接触装置における使用のために導くようにしている。
【0023】
前処理セクション及び後処理セクションがさらに第3ガス−液接触装置を含んでなる具体例によれば、前処理セクションの第1ガス−液接触装置及び後処理セクションの第3ガス−液接触装置を液体接続するように配置して、前処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、後処理セクションの第3ガス−液接触装置における使用のために導くことができる。
【0024】
前処理セクション及び後処理セクションがさらに第3ガス−液接触装置を含んでなる具体例によれば、後処理セクションの第1ガス−液接触装置及び前処理セクションの第3ガス−液接触装置を液体接続するように配置して、後処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、前処理セクションの第3ガス−液接触装置における使用のために導くことができる。
【0025】
1具体例によれば、一方のセクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体の少なくとも一部を他のセクションのガス−液接触装置での使用のために導く1以上の液体接続は、他のセクションのガス−液接触装置での使用のために導かれる液体の割合を制御するように機能する流量制御装置を含んでなる。
【0026】
他の態様によれば、二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するガスストリームを浄化する方法であって、前記方法は、二酸化炭素除去工程において、ガスストリームを、アンモニアを含んでなる液体と接触させることによって、ガスストリームから二酸化炭素を少なくとも部分的に除去し、これによって、ガスストリームは二酸化炭素が除去され及びアンモニアを富有するものとなることを含んでなり、前記方法は、
a)二酸化炭素除去工程の上流の第1上流ガス−液接触装置において、ガスストリームを液体ストリームと直接接触させて、液体にガスストリームの二酸化イオウの少なくとも一部を吸収させ、これにより、ガスストリームは二酸化イオウが除去され、及び前記液体ストリームは硫酸塩を富有するものとなる工程;
b)二酸化炭素除去工程の上流の第2上流ガス−液接触装置において、二酸化イオウが除去されたガスストリームを液体ストリームと直接接触させて、ガスストリームを冷却し、及び液体にガスストリームの二酸化イオウの少なくとも一部を吸収させ、これにより、ガスストリームは二酸化イオウが除去され、及び前記液体ストリームは硫酸塩を富有するものとなる工程;
c)二酸化イオウが除去されたガスストリームを、アンモニアを含んでなる液体と接触させることによって、ガスストリームから二酸化炭素を少なくとも部分的に除去し、これによって、ガスストリームは二酸化炭素が除去されたものなる工程;
d)二酸化炭素除去工程の下流の第1下流ガス−液接触装置において、二酸化炭素が除去されたガスストリームを、硫酸塩を富有する液体ストリームと接触させて、液体ストリームを冷却し、及び液体にガスストリームのアンモニアの少なくとも一部を吸収させ、これにより、ガスストリームはアンモニアが除去され、及び前記液体ストリームはアンモニアを富有するものとなる工程;
e)二酸化炭素除去工程の下流の第2下流ガス−液接触装置において、アンモニアが除去されたガスストリームを、硫酸塩を富有する液体ストリームと接触させて、液体ストリームを冷却し、及び液体にガスストリームのアンモニアの少なくとも一部を吸収させ、これにより、ガスストリームはアンモニアが除去され、及び前記液体ストリームはアンモニアを富有するものとなる工程;
f)第2上流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を取り出し、取り出した液体を下流ガス−液接触装置において再使用するか、又は第2下流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を取り出し、取り出した液体を上流ガス−液接触装置において再使用する工程
を含んでなることを特徴とするガスストリームの浄化法が提供される。
【0027】
具体例によれば、工程f)において、第2上流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を、第1下流ガス−液接触装置において再使用する。
【0028】
具体例によれば、工程f)において、第2下流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を、第1上流ガス−液接触装置において再使用する。
【0029】
他の具体例によれば、方法は、さらに、
b1)二酸化炭素除去工程の上流の第3上流ガス−液接触装置において、工程b)からの二酸化イオウが除去されたガスストリームを液体ストリームと接触させて、ガスストリームを冷却し、及び液体にガスストリームの二酸化イオウの少なくとも一部を吸収させ、これによって、ガスストリームは二酸化イオウが除去され、前記液体ストリームは硫酸塩を富有するものとなる工程、及び
e1)二酸化炭素除去工程の下流の第3下流ガス−液接触装置において、工程e)からのアンモニアが除去されたガスストリームを、硫酸塩を富有する液体ストリームと接触させて、液体ストリームを冷却し、及び液体にガスストリームのアンモニアの少なくとも一部を吸収させ、これによって、ガスストリームはアンモニアが除去され、前記液体ストリームはアンモニアを富有するものとなる工程
を含んでなり、ここで、工程f)は、第2上流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を取り出し、取り出した液体を下流ガス−液接触装置において再使用すること、及び第2下流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を取り出し、取り出した液体を上流ガス−液接触装置において再使用することを含んでなる。
【0030】
さらに工程b1)及びe1)を含んでなる1具体例によれば、工程f)において、第2上流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの大部分を取り出し、第2下流ガス−液接触装置において再使用し、及び第2上流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少量部分を第1上流ガス−液接触装置において再使用し、及び第2下流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの大部分を取り出し、第2上流ガス−液接触装置において再使用し、及び第2下流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少量部分を第1下流ガス−液接触装置において再使用する。
【0031】
さらに工程b1)及びe1)を含んでなる他の具体例によれば、第1上流ガス−液接触装置からの使用済み液体を、第3下流ガス−液接触装置において再使用する。
【0032】
さらに工程b1)及びe1)を含んでなる他の具体例によれば、第1下流ガス−液接触装置からの使用済み液体を、第3上流ガス−液接触装置において再使用する。
【0033】
1具体例によれば、工程e1)においてガスストリームと接触する液体ストリームはpH<6.5を有する。
【0034】
1具体例によれば、工程b1)においてガスストリームと接触する液体ストリームはpH>6.5を有する。
【0035】
1具体例によれば、工程b1)及び/又はd)における液体の流量を、工程b1)及び/又はd)の少なくとも一方において、ガス−液接触装置に入るガスストリーム及び液体ストリームの総熱容量の差が10%以下となるように制御する。
【0036】
1具体例によれば、方法は、ここに記載するようなガス浄化システムにおいて行われる。
【0037】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、明細書及び特許請求の範囲から明らかであろう。上述の特徴及び他の特徴は、図面及び下記の詳細な記載によって例示される。
【0038】
本発明の多くの態様は、図面を参照することによって良好に理解される。図面は例示としての具体例を示すものであり、同様の部材を同様の符号で示している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ガス浄化システムの1実施例を示す概略図である。
【図2a】ガス浄化システムの1実施例を示す概略図である。
【図2b】ガス浄化システムの1実施例を示す概略図である。
【図2c】ガス浄化システムの1実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書において使用しているように、単位「ppm」は容積基準で百万分率である。
【0041】
本明細書において使用しているように、単位「%」は容積%である。
【0042】
米国特許出願公開第2008/0178733号に記載されているように、ガス浄化システムは、例えば、燃料の燃焼がボイラーにおいて行われる発電所において有用である。石炭又は石油のような燃料の燃焼の間に、熱いプロセスガス(しばしば、煙道ガスと称される)が発生する。塵粒、二酸化イオウSO2、三酸化イオウSO3、及び二酸化炭素CO2を含む汚染物を含有する煙道ガスが、ガスダクトを介してボイラーから放出される。ガスダクトは、煙道ガスを一般的な空気汚染制御システムに送るように機能する。一般的な空気汚染制御システムから送られる煙道ガスは、一般的に温度49−60℃を有し、大気圧であり、水で飽和されている。
【0043】
図1は、ガス浄化システム1の1具体例を概略して示している。システムは、前処理セクション3及び後処理セクション4を有するガス処理ステージ2、及びCO2吸収器6を含んでなるCO2除去ステージ5を含んでなる。
【0044】
煙道ガスはダクト7を介して前処理セクション3から放出される。ダクト7内の煙道ガスは温度0−20℃、好ましくは0−10℃を有する。ダクト7は、煙道ガスをCO2除去ステージ5に送るように機能する。ダクト7内の煙道ガスを、CO2吸収器6に供給する前に、煙道ガスを所望の温度0−20℃、好ましくは0−10℃に冷却するように機能する1以上の間接冷却器69に供給することができる。
【0045】
CO2除去ステージ5は、国際特許出願公開WO2006/022885に記載された二酸化炭素除去システムとかなり類似している。WO200/022885に記載された二酸化炭素除去システムのタイプは、しばしば、チルドアンモニアプロセスと称される。CO2除去ステージ5には、煙道ガス温度0−20℃、好ましくは0−10℃が適している。
【0046】
ここで、CO2除去ステージ5は、図1を参照すると、CO2吸収器6を含んでなり、吸収器では、WO2006/022885に記載されているものと同様にして、煙道ガスを、アンモニアを含んでなる液体と接触させる。パイプ8は、高圧ポンプ9によって、CO2富有スラリー又は溶液をCO2吸収器6から再生器10に送るように機能する。再生器10では、高圧及び高温により、高圧のガス状CO2ストリーム11が放出される。パイプ12は、再生器10から、冷却器において冷却されたCO2リーンアンモニア性溶液又はスラリーをCO2吸収器6に戻すように機能する。
【0047】
ダクト13は、低CO2濃度を有する煙道ガスをCO2吸収器6から水洗容器14(任意であり、CO2吸収器6において処理された煙道ガスからアンモニアNH3を除去するように機能する)に送るように機能する。水洗容器14は、WO2006/022885に記載された水洗容器と同様のデザインを有することができる。パイプ15を介して、冷水又は冷たい、わずかに酸性の溶液のストリームを水洗容器14に供給する。ダクト16は、水洗容器14において浄化された煙道ガスを、後に詳しく記載するように、さらに浄化するためのガス処理ステージ2に送るように機能する。
【0048】
ダクト17は、ガス処理ステージ2においてさらに浄化された煙道ガスを煙突(浄化された煙道ガスを大気中に放出する)に送るように機能する。
【0049】
ガス処理ステージ2は、前処理セクション3及び後処理セクション4を有し、各セクションは2つ以上のガス−液接触装置を含んでなる。前処理セクション及び後処理セクションは液体接続するように配置され、これによって、一方のセクションにおいて使用された液体を他のセクションにおいて再使用できる。
【0050】
前処理セクション及び後処理セクションのガス−液接触装置を、直列に接続された別個のガス−液接触容器として配置することができ、これによって、煙道ガスストリームは、順に、各ガス−液接触容器を出入りする。
【0051】
或いは、前処理セクション及び後処理セクションのガス−液接触装置を、直列に接続された1以上のガス−液接触容器を含んでなる容器において一体とすることができ、これによって、容器に供給される煙道ガスストリームは、容器から排出される前に、各ガス−液接触容器を順に出入りする。このような一体型の容器は、容器及び基礎の資本コストを低減することができ、プラント用地において同様の専用面積を要求する。
【0052】
各ガス−液接触装置は、煙道ガスを液体と接触させるために配置される。接触は好ましくは向流方向で行われ、これによって、ガスはガス−液接触装置に一方の端(一般的に底部)において入り、液体はガス−液接触装置に他の端(一般的に頂部)において入る。1つのガス−液接触装置において使用した液体を、一般的には、ガスストリームの主流動方向に関して以前の(上流の)ガス−液接触装置での使用のために導く。前処理セクションの第1(底部)ガス−液接触装置において使用した液体を、一般的には、後処理セクションの最後の(頂部の)ガス−液接触装置での使用のために導く。
【0053】
液体(明細書では、冷却液体とも称する)は、一般に、水又は水溶液である。液体は、アンモニア、硫酸塩及びその誘導体(例えば、硫酸アンモニウム)のようなガスから吸収された汚染物を含有できる。
【0054】
用語「液体収集容器」は、ここで使用するように、一般に、ガス処理ステージにおいて液体流の少なくとも一部を集めるようにデザインされ、配置され及び設定された装置を言う。液体収集容器は、2つのガス−液接触装置の間で液体を集め、取り出し、同時にガスストリームが液体収集容器を通過することを可能にするように機能する。
【0055】
「液体収集容器」は、ガス浄化システムの前処理セクション及び後処理セクションのデザインに応じて異なった物理的形状で設けられる。
【0056】
前処理セクション及び後処理セクションが、直列に接続された別個のガス−液接触装置として配置される場合には、「液体収集容器」を、容器の底部部分によって又は容器の底部部分と液体接続する保存タンク又は緩衝タンクによって構成することができ、これによって、容器のガス−液接触装置から排出された液体がここで集められる。
【0057】
液体収集容器は、煙道ガスストリームが液体収集容器を通過又は平行して通ることができるように配置又は設定されうる。このような液体収集容器は、特に、前処理セクション及び/又は後処理セクションが2つ以上のガス−液接触装置を有する一体型容器を含んでなる場合(液体収集容器は2つのガス−液接触装置の間に挿入される)に有用である。液体収集容器は、例えば、傾斜した収集トレー又はバブルキャップトレーを含んでなることができる。液体収集容器は、さらに、集めた溶液を除去するように設定された1以上の液体出口を含んでなることができる。
【0058】
液体収集容器によって取り出される液体の量は、例えば弁のような液体流量調節装置によって変動される。その量は、ガス−液接触装置からの使用済み液体の0−100%、例えば、1−99%又は10−90%の範囲で変動する。好ましくは、液体の大部分、すなわち、50%以上100%以下、例えば、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上、100%以下を液体収集容器によって取り出すことができる。1具体例では、取り出しを、1つのガス−液接触装置からの使用済み液体の本質的に全部を取り出し、取り出した液体の所望量(一般に50%未満)を同じセクションの他のガス−液接触装置に戻すことによって行うことができる。
【0059】
ガス処理ステージの液体ループにおける液体の量は、好ましくは、実質的に一定に維持される。ループにおける液体の量の変化は、液体のループへの追加又はループからの除去によって補償される。一般に、入って来る被浄化煙道ガスは特定量の水蒸気を含有しており、前処理セクションにおいてガスが冷却される際に、水蒸気は少なくとも部分的に凝縮され、ループにおける液体の量が増大することになる。この増大は、好ましくは、相応する減少によって均衡化されなければならない。この減少は、例えば、浄化された煙道ガスと共にシステムから除去される水蒸気によって、又は冷却塔のような異なる冷却装置において、又はシステムからの液体を1以上の流出ストリームにおいて冷却することによって達成される。
【0060】
以下に、ガス処理ステージの各種の具体例を詳しく記載する。
【0061】
図2aは、ガス浄化システムのガス処理ステージ2の1具体例を示す。煙道ガス(任意に、上述の一般的な空気汚染制御システムにおいて処理したもの)を、ダクト18を介して前処理セクション3に導入する。
【0062】
前処理セクション3は、別々にかつ煙道ガスストリームの主流動方向に関して連続して配置された2つのガス−液接触装置19, 20を含んでなる。
【0063】
煙道ガスは、初めに、第1ガス−液接触装置(ここでは、第1直接接触冷却器(DCC)とも称される)19に達する。第1DCC 19は、例えば20℃の温度を有する冷却液体(パイプ21を介して供給される)と直接接触させることによって、煙道ガスを冷却するように機能する。ノズルセット22は、ガス−液接触装置19(構造充填物の形又は液接触充填材の他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。例えば、57℃の温度を有する煙道ガスを、ガス入口23を介して第1DCC 19に導入し、ガス−液接触装置19を通って上方に進行させる。低減された温度の煙道ガスを、ダクト24を介して、第1DCC 19から排出する。ガス−液接触装置19において、冷却液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。第1DCCにおいて使用した温かい冷却液体を、第1DCC 19の底部に配置したタンク25において集める。
【0064】
ダクト24を介して第1DCC 19から排出された煙道ガスは液収集容器29を通過し、ついで、第2ガス−液接触装置(ここでは、第2DCCとも称される)20に達する。第2DCC 20は、例えば15℃の温度を有する冷却液体(パイプ26を介して供給される)と直接接触させることによって、煙道ガスをさらに冷却するように機能する。ノズルセット27は、ガス−液接触装置20(構造充填物の形又は液接触充填材の他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。例えば30℃の温度を有する煙道ガスを、ダクト24を介して第2DCC 20に導入し、ガス−液接触装置20を通って上方に進行させる。例えば21℃の温度の煙道ガスを、ガス出口28を介して、第2DCC 20から排出する。ガス−液接触装置20において、第2の液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。第2DCCにおいて使用した温かい第2の液体を、第2DCC 20の底部に配置したタンク29において集める。
【0065】
後処理セクション4は、別々にかつ煙道ガスストリームの主流動方向に関して連続して配置された2つのガス−液接触装置30, 31を含んでなる。
【0066】
後処理セクション4は、第1ガス−液接触装置(ここでは、第1直接接触加熱器(DCH)とも称される)30を含んでなる。第1DCH 30は、CO2除去ステージ5全体を通過し、ダクト16によって第1DCH 30のガス入口32に送られて来る冷たい煙道ガスを、例えば25℃の温度を有する冷却液体(パイプ33を介して供給される)と直接接触させることによって加熱するように機能する。CO2除去ステージ5においてCO2の大部分が除去された煙道ガスは、ガス入口32を通る際に、例えば5℃の温度を有する。ノズルセット34は、ガス−液接触装置19(構造充填物の形又は液接触充填材他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。煙道ガスを、ガス入口32を介して第1DCH 30に導入し、ガス−液接触装置30を通って上方に進行させる。より高い温度で煙道ガスを、ダクト35を介して、第1DCH 30から排出する。ガス−液接触装置30において、冷却液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。第1DCH 30において使用した冷却された冷却液体を、第1DCH 30の底部に配置したタンク36において集める。
【0067】
ダクト35を介して第1DCH 30から排出された煙道ガスは、ついで、第2ガス−液接触装置(ここでは、第2DCHとも称される)31に達する。第2DCH 31は、例えば20℃の温度を有する冷却液体(パイプ37を介して供給される)と直接接触させることによって、煙道ガスをさらに加熱するように機能する。ノズルセット38は、ガス−液接触装置31(構造充填物の形又は液接触充填材の他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。例えば15℃の温度を有する煙道ガスを、ダクト35を介して第2DCH 31に導入し、ガス−液接触装置31を通って上方に進行させる。ガス−液接触装置31において、冷却液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。冷却された冷却液体を、冷却液体として使用するため第1DCH 30に導く。例えば25℃の温度で煙道ガスを、ガス出口39を介して、第2DCH 31から排出する。ガス出口39はダクト17(ガス浄化システムから浄化された煙道ガスを煙突に送るように機能する)に接続されている。
【0068】
ガス処理システムの各ガス−液接触装置において使用された冷却液体の少なくとも大部分を集め、ガス処理システムの同一又は異なるガス−液接触装置において再使用する。このようにして、冷却液体の再循環ループが形成される。
【0069】
図2aに示す具体例では、第2DCC 20において使用された液体の少なくとも一部を、液体収集容器29によって収集し及び取り出し、再使用のために、パイプ40を介して第1DCH 30に送り、第2DCC 20において使用された液体の残りの非取り出し部分を第1DCC 19に送り、第1DCC 19において使用した液体の少なくとも一部を収集し、パイプ41を介して第2DCH 31に送り、第2DCH 31において使用した液体を第1DCH 30に送り、パイプ40を介して第2DCC 20から来る液体と合わせ、第1DCH 30において使用した液体を、パイプ26を介して第2DCC 20に送る。
【0070】
液体収集容器29によって取り出される液体の量は、例えば弁のような液体流量調節装置42によって変動される。その量は、ガス−液接触装置から来る使用済み液体の0−100%、例えば、1−99%又は10−90%の範囲で変動する。好ましくは、液体の大部分、すなわち、50%以上100%以下、例えば、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上、100%以下を液体収集容器によって取り出すことができる。図2aに示すように、1具体例では、取り出しを、第2DCC 20から来る使用済み液体の本質的に全部を取り出し、取り出した液体の所望量(一般に50%未満)を第1DCC 19に戻し、取り出した液体の残りの部分(一般に50%以上)を第1DCH 30に送ることによって行うことができる。
【0071】
一般的な空気汚染制御システムにおいて処理される煙道ガスは、一般に、上述の二酸化イオウ除去装置において捕捉されなかった残留二酸化イオウSO2を含有する。第1DCC 19は、低温及び約4−6のpH範囲で作動する高効率SO2吸収器でもある。水を含有する冷却液体へのSO2の吸収により、冷却液体はわずかに酸性となる。
【0072】
実際的には、煙道ガス中の残留SO2の全てが、第1DCC 19において、三酸化イオウSO3の大部分と共に捕捉される。後述するように、pHの制御には均衡化が必要である。煙道ガス中のSO2の濃度は低い(上述のように、煙道ガスにおけるSO2濃度は一般に20−200 ppmである)ため、第1DCC 19において、冷却液体へのSO2の吸収の結果として形成される亜硫酸イオンSO32-(水性)は自然に酸化されて硫酸イオンとなる。このようにして形成された硫酸H2SO4は水溶液中において解離し、冷却液体のpHを減少させる。
【0073】
パイプ41を介して第1DCC 19から排出される冷却液体は、SO2の吸収のため、かなり低いpHを有し、後述するように、後処理セクション4において、ダクト16を介してCO2除去ステージ5から送られて来る煙道ガスからアンモニアを除去するために利用される。
【0074】
ガス入口32を介して、二酸化炭素の大部分が除去された煙道ガスを後処理セクション4に導入する。後処理セクション4に入って来る煙道ガスは、アンモニア洗浄システム、すなわち、上述の水洗容器14のデザイン及び作動条件に応じて、アンモニアNH3約100−1000 ppm、より一般的にはアンモニア200−400 ppmを含有する。環境に関する理由から及びプロセスからのアンモニアの損失を低減するために、大気中に排出される煙道ガス中のアンモニア濃度は約10ppm以下、好ましくは約1ppm以下でなければならない。これは、第1DCC 19からの酸性の冷却液体を使用する後処理セクションにおいて達成される。
【0075】
このように、後処理セクション4は、図1を参照して上述したCO2除去ステージ5を通過した煙道ガスからアンモニアを酸洗浄するために利用され、この酸洗浄源として、CO2除去ステージ5に入る前の煙道ガスから除去され、前処理セクション3において硫酸に酸化される二酸化イオウSO2を利用する。パイプ41を介して後処理セクション4に供給されるわずかに酸性の冷却液体は、煙道ガス中に存在する高溶解性の低濃度のガス状アンモニアについての優れた吸収剤である。
【0076】
この具体例によるガス浄化システムは、熱移動及びSO2の除去又はNH3の除去を同時に最適化できるとの利点を提供する。図2aの具体例では、NH3の除去は、後処理セクションにおける最終ガス−液接触ステップ(ここで、第1DCC 19及び第2DCH 31における低い液体質量流量により、冷却液体は低いpH値を有する)によって最適化され、第2DCC 20及び第1DCH 30における高い液体質量流量により、最適な煙道ガスの冷却及び処理された煙道ガスからの冷エネルギーの最適な回収が維持される。
【0077】
さらに、この具体例によるガス浄化システムは、第1DCC 19及び第2 DCH 31のそれぞれ両端における温度差を最小にすること、すなわち、装置の一方の端において入って来るガス及び出て行く液体の間の温度差、及び装置の他方の端において入って来る液体及び出て行くガスとの間の温度差を最小にすることができる。以下においてさらに詳しく記載するように、これにより、ガス浄化システムの全体的な冷却要求を低減することを助けることができる。
【0078】
図2bは、ガス浄化システムのガス処理ステージ2の1具体例をより詳細に示すものである。図2bの具体例は図2aのものと同様であるが、図2aにおいて示すような経路に代わって、冷却液体を後処理セクション4から取り出し、前処理セクション3に送る点で相違する。
【0079】
このように、図2bの具体例では、第2DCH 31において使用した冷却された冷却液体を、第2DCH 31の底部に配置された液体収集容器43によって、少なくとも一部を収集する。
【0080】
図2bに示す具体例では、第2DCH 31において使用した冷却液体の少なくとも一部を、第2DCH 31の底部に配置した液体収集容器43によって収集し及び取り出し、パイプ45を介して再使用のため第1DCC 19に送り、第2DCH 31において使用した液体の残りの非取り出し部分を第1DCH 30に送り、第1DCH 30で使用した液体を収集し、パイプ26を介して第2DCC 20に送り、第2DCC 20で使用した液体を第1DCC 19に送り、パイプ45を介して第2DHC 31から来る液体と合わせ、第1DCC 19において使用した液体を第2DCH 31に送る。
【0081】
液体収集容器43によって取り出される液体の量は、例えば弁のような液体流量調節装置によって変動される。その量は、ガス−液接触装置からの使用済み液体の0−100%、例えば、1−99%又は10−90%の範囲で変動する。好ましくは、液体の大部分、すなわち、50%以上100%以下、例えば、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上、100%以下を液体収集容器によって取り出すことができる。図2bに示すように、1具体例では、取り出しを、第2DCH 31から来る使用済み液体の本質的に全部を取り出し、取り出した液体の所望量(一般に50%未満)を第1DCH 30に戻し、取り出した液体の残りの部分(一般に50%以上)を第1DCC 19に送ることによって行うことができる。
【0082】
この具体例によるガス浄化システムは、熱移動及びSO2の除去又はNH3の除去を同時に最適化できるとの利点を提供する。図2bの具体例では、SO2の除去は、前処理セクションにおける最終ガス−液接触ステップ(ここで、第1DCH 30及び第2DCC 20における低い液体質量流量により、冷却液体はpH値を有する)によって最適化され、第1DCC 19及び第2DCH 31における高い液体質量流量より、最適な煙道ガスの冷却及び処理された煙道ガスからの冷エネルギーの最適な回収が維持される。
【0083】
さらに、この具体例によるガス浄化システムは、第2DCC 20及び第1DCH 30のそれぞれ両端における温度差を最小にすること、すなわち、装置の一方の端において入って来るガス及び出て行く液体の間の温度差、及び装置の他方の端において入って来る液体及び出て行くガスとの間の温度差を最小にすることができる。以下においてさらに詳しく記載するように、これにより、ガス浄化システムの全体的な冷却要求を低減することを助けることができる。
【0084】
図2cは、ガス浄化システムのガス処理ステージ2の1具体例を示す。煙道ガス(任意に、上述の一般的な空気汚染制御システムにおいて処理したもの)を、ダクト18を介して前処理セクション3に導入する。
【0085】
前処理セクション3は、別々にかつ煙道ガスストリームの主流動方向に関して連続して配置された3つのガス−液接触装置を含んでなる。
【0086】
煙道ガスは、初めに、第1ガス−液接触装置(ここでは、第1DCCとも称される)19に至る。第1DCC 19は、例えば20℃の温度を有する冷却液体(パイプ46を介して供給される)と直接接触させることによって、煙道ガスを冷却するように機能する。ノズルセット22は、ガス−液接触装置19(構造充填物の形又は液接触充填材の他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。例えば、57℃の温度を有する煙道ガスを、ガス入口23を介して第1DCC 19に導入し、ガス−液接触装置19を通って上方に進行させる。低減された温度の煙道ガスを、ダクト24を介して、第1DCC 19から排出する。ガス−液接触装置19において、冷却液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。第1DCCにおいて使用した温かい冷却液体を、第1DCC 19の底部に配置したタンク25において集める。
【0087】
ダクト24を介して第1DCC 19から排出された煙道ガスは、液収集容器29を通過し、ついで、第2ガス−液接触装置(ここでは、第2DCCとも称される)20に至る。第2DCC 20は、例えば15℃の温度を有する冷却液体(パイプ47を介して供給される)と直接接触させることによって、煙道ガスをさらに冷却するように機能する。ノズルセット27は、ガス−液接触装置20(構造充填物の形又は液接触充填材の他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。例えば35℃の温度を有する煙道ガスを、ダクト24を介して第2DCC 20に導入し、ガス−液接触装置20を通って上方に進行させる。例えば25℃の温度で煙道ガスを、ダクト48を介して、第2DCC 20から排出する。ガス−液接触装置20において、第2の液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。第2DCCにおいて使用した温かい第2の液体を、第2DCC 20の底部に配置した液体収集容器29において、少なくとも部分的に集める。
【0088】
ダクト48を介して第2DCC 20から排出された煙道ガスは、ついで、第3ガス−液接触装置(ここでは、第3DCCとも称される)49に至る。第3DCC 49は、例えば10℃の温度を有する冷却液体(パイプ50を介して供給される)と直接接触させることによって、煙道ガスをさらに冷却するように機能する。ノズルセット51は、ガス−液接触装置49(構造充填物の形又は液接触充填材の他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。例えば25℃の温度を有する煙道ガスを、ダクト48を介して第3DCC 49に導入し、ガス−液接触装置49を通って上方に進行させる。例えば21℃の温度で煙道ガスを、ダクト7を介して、第3DCC 49から排出する。ガス−液接触装置49において、冷却液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。温かい冷却液体を、冷却液体として使用するため第2DCC 20に導き、続いて、上述のように第2DCC 20の底部に配置した液体収集容器29によって、少なくとも部分的に集める。
【0089】
図2cを参照すると、後処理セクション4は、別々にかつ煙道ガスストリームの主流動方向に関して連続して配置された3つのガス−液接触装置を含んでなる。
【0090】
後処理セクション4は、第1ガス−液接触装置(ここでは、第1DCHとも称される)30を含んでなる。第1DCH 30は、CO2除去ステージ5全体を通過し、ダクト16によって第1DCH 30のガス入口32に送られて来る冷たい煙道ガスを、パイプ52によって供給される冷却液体と直接接触させることによって加熱するように機能する。CO2除去ステージ5においてCO2の大部分が除去された煙道ガスは、ガス入口32を通る際に、例えば5℃の温度を有する。ノズルセット34は、ガス−液接触装置30(構造充填物の形又は液接触充填材他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。煙道ガスを、ガス入口32を介して第1DCH 30に導入し、ガス−液接触装置32を通って上方に進行させる。より高い温度の煙道ガスを、ダクト35を介して、第1DCH 30から排出する。ガス−液接触装置30において、冷却液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。第1DCH 30において使用した冷却された冷却液体を、第1DCH 30の底部に配置したタンク36において集める。
【0091】
ダクト35を介して第1DCH 30から排出された煙道ガスは、ついで、液体収集容器43を通過し、第2ガス−液接触装置(ここでは、第2DCHとも称される)31に至る。第2DCH 31は、例えば30℃の温度を有する冷却液体(パイプ53を介して供給される)と直接接触させることによって、煙道ガスをさらに加熱するように機能する。ノズルセット38は、ガス−液接触装置31(構造充填物の形又は液接触充填材の他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。例えば15℃の温度を有する煙道ガスを、ダクト35を介して第2DCH 31に導入し、ガス−液接触装置31を通って上方に進行させる。ダクト54を介して、煙道ガスを第2DCH 31から排出する。ガス−液接触装置31において、冷却液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。第2DCH 31において使用された冷却された冷却液体を、第2DCH 31の底部に配置した液体収集容器43によって、少なくとも部分的に集める。
【0092】
ダクト54を介して第2DCH 31から排出された煙道ガスは、ついで、第3ガス−液接触装置(ここでは、第3DCHとも称される)55に至る。第3DCH 55は、例えば35℃の温度を有する冷却液体(パイプ56を介して供給される)と直接接触させることによって、煙道ガスをさらに加熱するように機能する。ノズルセット57は、ガス−液接触装置55(構造充填物の形又は液接触充填材の他の好適なタイプを有することができる)の上に液体を分配するように機能する。煙道ガスを、ダクト54を介して、第3DCH 55に導入し、ガス−液接触装置55を通って上方に進行させる。ダクト17を介して、煙道ガスを第3DCH 55から排出する。ガス−液接触装置55において、冷却液体及び煙道ガスは相互に接触して、熱交換する。冷却された冷却液体を、温かい冷却液体として使用するため第2DCH 31に導く。例えば25℃の温度で煙道ガスを、ガス出口39を介して、第3DCH 55から排出する。ガス出口39はダクト17(ガス浄化システムから浄化された煙道ガスを煙突に送るように機能する)に接続されている。
【0093】
図2cに示す具体例では、第2DCC 20において使用された液体の少なくとも一部を、液体収集容器29によって収集し及び取り出し、再使用のために、パイプ53を介して第2DCH 31に送り、及び第2DCC 20において使用された液体の残りの非取り出し部分を、パイプ46を介して第1DCC 19に送り、第1DCC 19において使用された液体の少なくとも一部を収集し、パイプ56を介して第3DCH 55に送り、第3DCH 55において使用された液体を第2DCH 31に送り、パイプ53を介して第2DCC 20から来る液体と合わせ、第2DCH 31において使用された液体の少なくとも一部を液体収集容器43によって収集し及び取り出し、再使用のために、パイプ47を介して第2DCC 20に送り、及び第2DCH 31において使用された液体の残りの非取り出し部分を第1DCH 30に送り、第1DCH 30において使用された液体を収集し、パイプ50を介して第3DCC 49に送り、第3DCC 49において使用された液体を第2DCC 20に送り、パイプ47を介して第2DCH 31から来る液体と合わせ、及び第1DCH30において使用された液体を収集し、第3DCC 49に送る。
【0094】
液体収集容器29及び43の各々によって取り出される液体の量は、例えば弁のような液体流量調節装置42, 67によって変動される。その量は、ガス−液接触装置から来る使用済み液体の0−100%、例えば、1−99%又は10−90%の範囲で変動する。好ましくは、液体の大部分、すなわち、50%以上100%以下、例えば、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上、100%以下を各液体収集容器によって取り出すことができる。図2cに示すように、1具体例では、取り出しを、第2DCC 20及びDCH 31から来る使用済み液体の本質的に全部を取り出し、取り出した液体の所望量(一般に50%未満)を第1DCC 19及び第1DCH 30にそれぞれ戻し、取り出した液体の残りの部分(一般に50%以上)を第2DCH 31及び第2DCC 20にそれぞれ送ることによって行うことができる。
【0095】
一般的な空気汚染制御システムにおいて処理された煙道ガスは、一般に、上述の二酸化イオウ除去装置において捕捉されなかった残留二酸化イオウSO2を含有する。第1DCC 19は、低温及び約4−6のpH範囲で作動する高効率SO2吸収器でもある。水を含有する冷却液体へのSO2の吸収により、冷却液体はわずかに酸性になる。
【0096】
実際的には、煙道ガス中の残留SO2の全てが、第1DCC 19において、三酸化イオウSO3の大部分と共に捕捉される。後述するように、pHの制御には均衡化が必要である。煙道ガス中のSO2の濃度は低い(上述のように、煙道ガスにおけるSO2濃度は一般に20−200 ppmである)ため、第1DCC 19において、冷却液体へのSO2の吸収の結果として形成される亜硫酸イオンSO32-(水性)は自然に酸化されて硫酸イオンとなる。このようにして形成された硫酸H2SO4は水溶液中において解離し、冷却液体のpHを減少させる。
【0097】
パイプ56を介して第1DCC 19から排出される冷却液体は、SO2の吸収のため、かなり低いpHを有し、後述するように、後処理セクション4において、ダクト16を介してCO2除去ステージ5から送られて来る煙道ガスからアンモニアを除去するために利用される。
【0098】
二酸化炭素の大部分が除去された煙道ガスを、ガス入口32を介して、第1DCH 30に導入する。第1DCH 30に入って来る煙道ガスは、アンモニア洗浄システム、すなわち、上述の水洗容器のデザイン及び作動条件に応じて、アンモニアNH3約100−1000 ppm、より一般的にはアンモニア200−400 ppmを含有する。環境に関する理由から及びプロセスからのアンモニアの損失を低減するために、大気中に排出される煙道ガスのアンモニア濃度は約10ppm以下、好ましくは約1ppm以下でなければならない。これは後処理セクション4において達成される。
【0099】
従って、前処理セクション3は、ダクト18を介して供給される煙道ガスを冷却するため、この煙道ガスから二酸化イオウSO2を除去するため、及び少なくともわずかに酸性の加熱された冷却液体ストリームを生成するように機能する。後処理セクション4は、ダクト16を介して供給される煙道ガスを加熱するため、前処理セクション3において得られた僅かに酸性の冷却液体を利用して、この煙道ガスからアンモニアNH3を除去するため(これによって、僅かに酸性の冷却液体は中和される)、及び前処理セクション3から供給された冷却液体を冷却するように機能する。
【0100】
この具体例によるガス浄化システムは、熱移動、SO2の除去及びNH3の除去を同時に最適化できるとの利点を提供する。図2cの具体例では、NH3の除去は、後処理セクション4における最終ガス−液接触ステップ(ここで、冷却液体は、第1DCC 19及び第3DCH 55における低い液体質量流量により低いpH値を有する)によって最適化され、SO2の除去は、前処理セクション3における最終ガス−液接触ステップ(ここで、冷却液体は、第1DCH 30及び第3DCC 49における低い液体質量流量により高いpH値を有する)によって最適化され、及び第2DCC 20及び第2DCH 31における高い液体質量流量により、入って来る煙道ガスの最適な冷却及び処理された煙道ガスからの冷エネルギーの最適な回収が維持される。
【0101】
図2cに記載の具体例を参照すると、ガス処理ステージの操作は下記のように要約される。
【0102】
第1DCCは、最少量の冷却液体を使用してSO2の大部分を吸収するように計画されている。SO2の大部分が低い質量流量の冷却液体に吸収されるため、液体のpHは、液体がガスと接触するにつれてかなり低下する。必要であれば、冷却液体に硫酸を注入することによってさらに低下させることができる。
【0103】
第2DCCは主ガス冷却セクションとして計画されており、中位のpH(例えば、pH約6)の高い質量流量の冷却液体にて作動される。第2DCCにおいて、煙道ガスのSO2の含量はさらに低減され、煙道ガス中に含有される水蒸気の大部分が凝縮される。第2DCCから使用済みの冷却液体の一部を取り出し、任意に冷却塔を介して、第2DCHに送り、残りの部分を第1DCCに送る。
【0104】
第3DCCは、最終冷却及び煙道ガスから残留SO2の最終除去を行うように計画されている。第3DCCは、第1DCHからの冷却液体を好適に適合する量で使用して、煙道ガスを、第1DCHからの冷却液体の温度にできる限り近い温度に冷却する。第1DCHからの冷却液体は、冷たく、そのNH3含量のため比較的高いpH(例えば、pH約6.5以上)を有するため、煙道ガスからの残留SO2の除去に非常に良好に適したものである。
【0105】
第1DCHは、第3DCCに送られる前に冷却液体を最終的に冷却するように計画されている。第1DCHは、第2DCHからの冷却液体を、冷却液体ストリームの全熱容量がCO2吸収器からの冷たい煙道ガスストリームの全熱容量と同じ程度になるように好適に適合された流量で使用する。
【0106】
第1DCHは、CO2吸収器から来る冷たい煙道ガスストリームからNH3の大部分を吸収するように計画されている。HH3の大部分が比較的低い質量流量の冷却液体に吸収されるため、液体のpHは、液体がガスと接触するに連れてかなり増大する。第1DCHからの冷却液体が高いpHであるため、この冷却液体は第3DCCにおける残留SO2の除去に良好に適合するものとなる。必要であれば、冷却液体にアンモニア又はアンモニア水溶液を注入することによって、pHをさらに増大させることができる。
【0107】
第2DCHは主冷却液体冷却セクションとして計画されており、第2DCCから来る中位のpH(例えば、pH約6)の高い質量流量の冷却液体にて作動される。第2DCHにおいて、煙道ガスのNH3含量は、冷却液体が第1DCHから来る煙道ガスストリームに対して冷却されるためさらに低減される。第2DCHから使用済み冷却液体の一部を取り出し、第2DCCに送り、残りの部分を第1DCHに送る。
【0108】
第3DCHは、煙道ガスから残留SO2を最終的に除去するように計画されている。第3DCH 31は、第1DCCから来る低いpH(例えば、pH約5以下)の冷却液体を使用して、煙道ガスストリームから極微量のNH3を除去する。
【0109】
以下に、上述の具体例との組み合わせにおいて有用である多くの特徴について記載する。
【0110】
ここに記載の具体例を参照して、ダクト18を介して前処理セクション3に供給される煙道ガスの二酸化イオウSO2の量が、プロセス、すなわち、図1を参照して上述したCO2除去ステージにおいて生ずる二酸化炭素除去プロセスから放出される及び後処理セクション4に供給される煙道ガスに含有されるアンモニアと反応し、中和するために要求される量よりも少ない場合には、平衡化作用が要求される。
【0111】
これは、例えば、pHを維持するためにループに硫酸を添加することによって達成される。酸はループのいずれかの部位、好ましくは前処理セクション3の底部に添加される。図2a、2b及び2cでは、パイプ59が冷却液体に硫酸を添加するように機能する。
【0112】
ダクト16を介して後処理セクション4に供給される煙道ガス中のNH3の量が、図1を参照して上述した二酸化イオウ除去システム58から放出されるSO2から形成される硫酸と反応し、中和するために要求される量よりも少ない場合には、例えば、CO2除去ステージ5のアンモニア性液体ループからアンモニア又はアンモニア水溶液を添加することによってアンモニアの濃度を増大させる。図2a、2b及び2cでは、パイプ60が冷却液体にNH3を供給するように機能する。
【0113】
アンモニアと硫酸塩との反応器よって冷却液体中で形成された硫酸アンモニウムは、ガス処理ステージ2から、パイプ61を介して第1DCC 19のタンク25から放出されるブリード液体ストリームとして除去される。必要であれば、液体の容量を一定に維持するために、新鮮な水を補給として供給できる。
【0114】
望まれる場合には、1以上の液体相互接続によって、前処理セクションと後処理セクションとの間の冷却液体ストリームを平衡化できる。例えば、図2cを参照すると、パイプ53及び47を相互接続A 62によって、及びパイプ47及び50を相互接続B 63によって接続している。相互接続A及びBによって、例えば、pH、温度及び流量の微調整のために、異なった冷却液体ループ間における冷却液体の移動が可能になる。
【0115】
制御装置64は、ガス処理ステージ2の操作を制御するように機能できる。制御装置は、自動制御装置(多目的コンピューター、特定用途向けコンピューティング装置又は他のプログラム化可能な制御装置)を含んでなる。制御装置64は、適宜のパラメーター、例えば、温度、pH又はアンモニア濃度の自動測定又は手動測定用のセンサーを含んでなることができる。例えば、pH計は、第1DCC 19から排出される温かい冷却液体のpHを測定し、測定したpHについての情報を含む信号を装置64に送るように機能できる。このような信号に応答して、制御装置64はパイプ59を介する硫酸の供給を制御することができる。さらに、又は別の方法として、制御装置は弁42、66、67、68を制御して、第1DCC 19及び/又は第1DCH 30における冷却液体の質量流量を増大又は減少することができる。さらに、又は別の方法として、制御装置64は二酸化イオウ除去装置58、及び/又は水洗容器14(これらについては、いずれも、図1を参照して上述している)を制御できる。さらに、制御装置64は、測定したpHが低すぎて、迅速に増大させなければならない状況では、パイプ60を介するアンモニア又は水酸化ナトリウム溶液のようなアルカリの供給を制御することもできる。制御装置64は、ガス処理ステージ2から排出される煙道ガス中のアンモニアの濃度を測定するように機能するアンモニア濃度分析器からの信号を受け取ることもできる。
【0116】
いずれの具体例においても、前処理セクション3において使用された冷却液体(後処理セクション4における再使用のために導かれる)を、後処理セクションのガス−液接触装置への導入前に冷却できる。
【0117】
図2aでは、パイプ40が冷却液体を第2DCCから第1DCHに送るように機能する。冷却塔71を介して、冷却液体を送る。入口ダクトを介して空気を冷却塔に供給し、冷却塔の周知の原理に従って温かい冷却液体を冷却するする。出口ダクトを介して、加熱された空気を冷却塔71から排出する。冷却された冷却液体は、約25℃の温度で冷却塔から排出される。
【0118】
図2cでは、パイプ53が冷却液体を第2DCCから第2DCHに送るように機能する。冷却塔71を介して、冷却液体を送る。冷却された冷却液体が約25℃の温度で冷却塔から排出される。さらに、パイプ56において第3DHC 55に送られる冷却液体を熱交換器72によって冷却又は加熱することができる。
【0119】
ガス処理ステージのガス−液接触装置は、好ましくは向流ガス−液接触装置である。容器の少なくともいくつかは、好ましくは、容器の両端において小さい温度差、すなわち、装置の一方の端において入って来るガスと出て行く液体との間で小さい温度差及び装置の他方の端において入って来る液体と出て行くガスとの間で小さい温度差が達成されるように計画されている。
【0120】
図2cの具体例を参照すると、第3DCC 49の頂部における温度差、すなわち、パイプ50を介して供給される冷却液体と、第3DCC 49から排出されようとしている煙道ガスとの間の温度差は、3℃以下、好ましくは約0.6℃となるように計画されている。同様に、第3DCC 49の底部における温度差、すなわち、第3DCCから排出される温かい冷却液体と、第3DCC に入って来ようとしている煙道ガスとの間の温度差は、3℃以下、好ましくは約0.6℃となるように計画されている。温度差を小さくすることによって、煙道ガスを最大限冷却し、冷却液体を最大限加熱することができる。第3DCC 49から排出されようとしている煙道ガスの温度を低くすることによって、プロセスにおいて、下流の冷却電力を節約できる。
【0121】
第1DCH 30の頂部における温度差、すなわち、パイプ52を介して供給される温かい冷却液体と、第1DCHから排出されようとしている煙道ガスとの間の温度差は、3℃以下、好ましくは約0.6℃となるように計画されている。同様に、第3DCH 30の底部における温度差、すなわち、第1DCHから排出される冷却された冷却液体と、第1DCH に入って来ようとしている煙道ガスとの間の温度差は、3℃以下、好ましくは約0.6℃となるように計画されている。
【0122】
ここに記載する具体例において第1DCH及び最終DCCを通る冷却液体の質量流量を、他のガス−液接触装置における質量流量とは無関係に調整できることによって、これらのガス−液接触装置の両方における温度差を最小にすることが可能である。温度差を小さくすることによって、煙道ガスを最大限冷却し、冷却液体を最大限加熱することができる。最終DCCから排出されようとしている煙道ガスの温度を低くすることによって、プロセスにおいて、下流の冷却電力を節約できる。
【0123】
ここに記載の具体例によって提供される利点として、下記のものが含まれる。
【0124】
1)NH3の放出がより効果的に低減される。最終DCHに供給される冷却液体は、低いpHを有するため、本質的に、煙道ガスストリームからの極微量のNH3の除去に適するものである。ここに記載の態様における配置では、このDCHにおいて、より低い液体の質量流量が可能であるため、追加の酸を注入して、pHをより効果的に低下させることができる。
【0125】
2)他の変数とは無関係に、冷たい煙道ガスからの冷エネルギーの回収を最適化できる。最終DCC及び第1DCHを通る液体の質量流量を最適化することによって、CO2除去ステージから排出されるガスストリームから、CO2除去ステージに供給されるガスストリームへの冷エネルギーの移動を最適化できる。このようにして、CO2除去ステージにおける冷凍要求を、ガス処理ステージとは無関係なものとすることができ、最小のものとすることができる。
【0126】
3)高SO2レベルに対する抵抗性を改善し、SO2ピークを削減できる。供給ガス中の高SO2濃度又はSO2のピークは第1DCCにおいて効果的に低減され、削減された残留SO2含量をもつガスが上方に向かって第2DCCに送られる。
【0127】
4)SO2微細精製が改善される。最終DCCにおいて、冷たくかつ比較的高いpHの冷却液体の一部を煙道ガスストリームと接触させる。この液体は、CO2除去ステージに送る前に、煙道ガスストリームから少なくとも極微量のSO2を除去することに良好に適するものである。CO2除去ステージに送られる煙道ガスストリームにおいてSO2が少ないことによって、アンモニアを含んでなるCO2吸収液体における不要な硫酸アンモニウムの形成が少なくなり、これによって、アンモニアの補給要請が低減される。
【0128】
5)ガス処理ステージにおける水バランスの制御が改善される。第3DCHに送られる冷却液体ストリームの温度が個々に制御され、これによって、清浄な煙道ガスの出口温度が、第2DCHに供給される冷却液体ストリームの温度(冷却塔の出口温度によって定義される)とは直接には連結しない。冷却塔は、清浄な煙道ガスストリームと同様に、ガス処理ステージからの水蒸気のための2つの主出口がある。ここに記載の具体例では、清浄な煙道ガスの出口温度を冷却塔の出口温度よりも高くすることができ、これにより、清浄なガスストリームと共に、より多くの水蒸気がシステムから排出され、ガス処理ステージの水バランスをより容易に調節することができる。
【0129】
6)システムの最適化が一般的に柔軟である。液体の質量流量を個々に制御することができ、しばしば切り離され、これによって、目的のプロセスパラメーターを独立して調節することについて自由度がある。
【0130】
ここに記載の全ての特徴及び利点は、ここに記載の各態様のガス浄化システム及びガスストリームの浄化法の両方に適用されるものである。その各種の具体例では、方法は、図1及び図2a−2cを参照して上述したガス浄化システムの具体例において実施され、ここで、方法における上流のガス−液接触装置は、システムにおける前処理セクションのガス−液接触装置に対応し、方法における下流のガス−液接触装置は、システムにおける後処理セクションのガス−液接触装置に対応する。
【0131】
記載した具体例についての変更が可能であり、このような変更には、前処理セクション及び後処理セクションへの更なるガス−液接触装置及び前処理セクション又は後処理セクションの2つのガス−液接触装置間から液体を取り出し、取り出した液体を他のセクションのガス−液接触装置へ送るための追加の接続の付加が含まれる。このような組み合わせの例としては、前処理セクション及び後処理セクションの各々における4つ以上のガス−液接触装置及び前処理セクション又は後処理セクションの2つのガス−液接触装置間から液体を取り出し、取り出した液体を他のセクションのガス−液接触装置に送るための3つ以上の接続を有するシステムが含まれる。
【0132】
多数の好適な具体例を参照して本発明を記載したが、本発明の範囲を逸脱することなく、各種の変更を行うこと及びその要素を均等物で置換できることは当業者によって理解されるであろう。さらに、本発明の教示に対して、その本質的な範囲を逸脱することなく、特殊な状況及び物質を適合するように幾多の変更をなすことができる。従って、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として記載した特別な具体例に限定されず、本発明は、特許請求の範囲の範囲内に入る全ての具体例を含むものである。さらに、用語「第1」、「第2」等の使用は、何らかの順序又は重要度を示すものではなく、むしろに用語「第1」、「第2」等はいつの要素を他から区別するために使用するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するガスストリームを浄化するガス浄化システムであって、前記ガス浄化システムは、
前処理セクション(3);
CO2除去ステージ(5);及び
後処理セクション(4)
を含んでなり、前記前処理セクションは、
ガスの流動方向に関してCO2除去ステージの上流に配置され、二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するガスストリームを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる前処理セクションの第1ガス−液接触装置(19);
ガスの流動方向に関してCO2除去ステージの上流に配置され及び前処理セクションの第1ガス−液接触装置から排出されたガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる前処理セクションの第2ガス−液接触装置(20)
を含んでなり、前記CO2除去ステージは、
前処理セクションからガスストリームを受け取るように配置され、該ガスストリームを、アンモニアを含んでなる液体と接触させ、及びCO2が除去されたガスストリームを後処理セクションに排出するCO2吸収器(6)
を含んでなり、前記後処理セクションは、
ガスの流動方向に関してCO2除去ステージの下流に配置され、CO2除去ステージから排出されるガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる後処理セクションの第1ガス−液接触装置(30);
ガスの流動方向に関して後処理セクションの第1ガス−液接触装置の下流に配置され、後処理セクションの第1ガス−液接触装置から排出されたガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる後処理セクションの第2ガス−液接触装置(31)
を含んでなり、
前記前処理セクション及び後処理セクションの一方の第2ガス−液接触装置を、前記セクションの他方のガス−液接触装置と液体接続するように配置して、前記セクションの一方の第2ガス−液接触装置からの使用済み液の少なくとも一部を、前記セクションの他方のガス−液接触装置において使用するために導くようにした、ガス浄化システム。
【請求項2】
前処理セクション及び後処理セクションの一方の第2ガス−液接触装置を、他のセクションの第1ガス−液接触装置と液体接続するように配置し、これによって、一方のセクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体の少なくとも一部を、他のセクションの第1ガス−液接触装置における使用のために導く、請求項1記載のガス浄化システム。
【請求項3】
前処理セクションの第2ガス−液接触装置及び後処理セクションの第1ガス−液接触装置を液体接続するように配置し、これによって、前処理セクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体の少なくとも一部を、後処理セクションの第1ガス−液接触装置における使用のために導くことができる、請求項2記載のガス浄化システム。
【請求項4】
後処理セクションの第2ガス−液接触装置及び前処理セクションの第1ガス−液接触装置を液体接続するように配置し、これによって、後処理セクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体の少なくとも一部を、前処理セクションの第1ガス−液接触装置における使用のために導くことができる、請求項2記載のガス浄化システム。
【請求項5】
前処理セクションの第1ガス−液接触装置及び後処理セクションの第2ガス−液接触装置を液体接続するように配置し、これによって、前処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、後処理セクションの第2ガス−液接触装置における使用のために導くことができる、請求項1−4のいずれかに記載のガス浄化システム。
【請求項6】
後処理セクションの第1ガス−液接触装置及び前処理セクションの第2ガス−液接触装置を液体接続するように配置し、これによって、後処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、前処理セクションの第2ガス−液接触装置における使用のために導くことができる、請求項1−5のいずれかに記載のガス浄化システム。
【請求項7】
前処理セクションが、さらに、
ガスの流動方向に関してCO2除去ステージの上流に配置され、第2ガス−液接触装置から排出されるガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる前処理セクションの第3ガス−液接触装置(49)
を含んでなり、及び前記後処理セクションが、さらに、
ガスの流動方向に関して第2ガス−液接触装置の下流に配置され、後処理セクションの第2ガス−液接触装置から排出されるガスを受け取るように配置され、該ガスを液体と接触させる後処理セクションの第3ガス−液接触装置(55)
を含んでなり、
前記前処理セクション及び後処理セクションの各々の第2ガス−液接触装置を、他のセクションの第2ガス−液接触装置と液体接続するように配置して、一方のセクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体の少なくとも一部を、他のセクションの第2ガス−液接触装置における使用のために導くようにした、請求項1記載のガス浄化システム。
【請求項8】
前処理セクションの第1ガス−液接触装置及び後処理セクションの第3ガス−液接触装置を液体接続するように配置し、これによって、前処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、後処理セクションの第3ガス−液接触装置における使用のために導くことができる、請求項7記載のガス浄化システム。
【請求項9】
後処理セクションの第1ガス−液接触装置及び前処理セクションの第3ガス−液接触装置を液体接続するように配置し、これによって、後処理セクションの第1ガス−液接触装置からの使用済み液体を、前処理セクションの第3ガス−液接触装置における使用のために導くことができる、請求項7又は8記載のガス浄化システム。
【請求項10】
一方のセクションの第2ガス−液接触装置からの使用済み液体の少なくとも一部を、他方のセクションのガス−液接触装置における使用のために導くようにする液体接続が、他方のセクションのガス−液接触装置における使用のために導かれる液体の部分を制御するように機能する流量制御装置を含んでなる、請求項1−9のいずれかに記載のガス浄化システム。
【請求項11】
二酸化炭素及び二酸化イオウを含有するガスストリームを浄化する方法であって、前記方法は、二酸化炭素除去工程において、ガスストリームを、アンモニアを含んでなる液体と接触させることによって、ガスストリームから二酸化炭素を少なくとも部分的に除去し、これによって、ガスストリームは二酸化炭素が除去され及びアンモニアを富有するものとなることを含んでなり、前記方法は、
a)二酸化炭素除去工程の上流の第1上流ガス−液接触装置において、ガスストリームを液体ストリームと直接接触させて、液体にガスストリームの二酸化イオウの少なくとも一部を吸収させ、これにより、ガスストリームは二酸化イオウが除去され、及び前記液体ストリームは硫酸塩を富有するものとなる工程;
b)二酸化炭素除去工程の上流の第2上流ガス−液接触装置において、二酸化イオウが除去されたガスストリームを液体ストリームと直接接触させて、ガスストリームを冷却し、及び液体にガスストリームの二酸化イオウの少なくとも一部を吸収させ、これにより、ガスストリームは二酸化イオウが除去され、及び前記液体ストリームは硫酸塩を富有するものとなる工程;
c)二酸化イオウが除去されたガスストリームを、アンモニアを含んでなる液体と接触させることによって、ガスストリームから二酸化炭素を少なくとも部分的に除去し、これによって、ガスストリームは二酸化炭素が除去されたものなる工程;
d)二酸化炭素除去工程の下流の第1下流ガス−液接触装置において、二酸化炭素が除去されたガスストリームを、硫酸塩を富有する液体ストリームと接触させて、液体ストリームを冷却し、及び液体にガスストリームのアンモニアの少なくとも一部を吸収させ、これにより、ガスストリームはアンモニアが除去され、及び前記液体ストリームはアンモニアを富有するものとなる工程;
e)二酸化炭素除去工程の下流の第2下流ガス−液接触装置において、アンモニアが除去されたガスストリームを、硫酸塩を富有する液体ストリームと接触させて、液体ストリームを冷却し、及び液体にガスストリームのアンモニアの少なくとも一部を吸収させ、これにより、ガスストリームはアンモニアが除去され、及び前記液体ストリームはアンモニアを富有するものとなる工程;
f)第2上流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を取り出し、及び取り出した液体を、下流ガス−液接触装置において再使用するか、又は第2下流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を取り出し、取り出した液体を上流ガス−液接触装置において再使用する工程
を含んでなる、ガスストリームの浄化法。
【請求項12】
工程f)において、第2上流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を、第1下流ガス−液接触装置において再使用する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
工程f)において、第2下流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を、第1上流ガス−液接触装置において再使用する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
さらに、
b1)二酸化炭素除去工程の上流の第3上流ガス−液接触装置において、工程b)からの二酸化イオウが除去されたガスストリームを液体ストリームと接触させて、ガスストリームを冷却し、及び液体にガスストリームの二酸化イオウの少なくとも一部を吸収させ、これによって、ガスストリームは二酸化イオウが除去され、前記液体ストリームは硫酸塩を富有するものとなる工程、及び
e1)二酸化炭素除去工程の下流の第3下流ガス−液接触装置において、工程e)からのアンモニアが除去されたガスストリームを、硫酸塩を富有する液体ストリームと接触させて、液体ストリームを冷却し、及び液体にガスストリームのアンモニアの少なくとも一部を吸収させ、これによって、ガスストリームはアンモニアが除去され、前記液ストリームはアンモニアを富有するものとなる工程
を含んでなり、ここで、工程f)は、第2上流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を取り出し、取り出した液体を下流ガス−液接触装置において再使用すること、及び第2下流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの少なくとも一部を取り出し、取り出した液体を上流ガス−液接触装置において再使用することを含んでなる、請求項11記載の方法。
【請求項15】
工程f)において、第2上流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの大部分を取り出し、第2下流ガス−液接触装置において再使用し、及び第2上流ガス−液接触装置において使用した液ストリームの少量部分を第1上流ガス−液接触装置において再使用し、及び第2下流ガス−液接触装置において使用した液体ストリームの大部分を取り出し、第2上流ガス−液接触装置において再使用し、及び第2下流ガス−液接触装置において使用した液ストリームの少量部分を第1上流ガス−液接触装置において再使用する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
第1上流ガス−液接触装置からの使用済み液体を、第3下流ガス−液接触装置において再使用する、請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
第1下流ガス−液接触装置からの使用済み液体を、第3上流ガス−液接触装置において再使用する、請求項14−15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
工程e1)においてガスストリームと接触する液体ストリームがpH<6.5を有するものである、請求項14−17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
工程b1)においてガスストリームと接触する液体ストリームがpH>6.5を有するものである、請求項14−18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
工程b1)及び/又はd)における液体の流量を、工程b1)及び/又はd)の少なくとも一方において、ガス−液接触装置に入るガスストリーム及び液体ストリームの総熱容量の差が10%以下となるように制御する、請求項14−19のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【公表番号】特表2013−510705(P2013−510705A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538427(P2012−538427)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002891
【国際公開番号】WO2011/058426
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】