説明

照光スイッチユニット

【課題】 キートップ全体を明るく照明し、防水機能も備える。
【解決手段】 基板2上面にLED21びスイッチ22が搭載されており、下面からはリード線23が引き出されている。基板2は何れも樹脂製のキャップ3と押さえ枠4とで狭持されて、接合面は樹脂封止されている。押さえ枠4の中には透光性樹脂で成形された押し駒5があり、押さえ枠4の土手部4dには予めキートップ7と一体化させた透光性弾性部材から成るラバー6が被さっている。ラバー6の上からカバー8を被せて、中心穴8aからキートップ7を突き出させ、穴8cをキャップ3のフック3bと係合させてキャップ3と合体させてある。背面側に引き出されたリード線23は、鰐口8dに係合させながら照光スイッチユニット1の外壁に沿って正面側へ引き回わされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、自動販売機、オーディオ、家庭電化製品、携帯端末等に用いられている照光スイッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押しボタンスイッチのキートップを光らせる技術が既に出願されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2004−095252号(図1、段落番号0018〜0027)
【特許文献2】特開2001−155584号(図9、段落番号0057〜0063)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、パッキン部が摺動するので摩耗して漏水しやすい。ドームスイッチ部が透明部材でなければ実現できないためスイッチ部の寿命が短い。スイッチの押圧荷重やクリック作動の調整が難しいなどの難点が多い。特許文献2に記載のものは、キートップを押したときに、周囲の隙間からゴミなどの異物が入り込みやすく、したがって戻り不良などが発生しやすい。また、ボタンケースと支持部材との間にキーシートを挟んで一体とすることで防水構造を実現しているため、ユニットとして非常に大きくなってしまい、水やゴミが入りやすい。部品の反り、寸法管理、取り扱い等の点でも難点がある。このように、既出願の照光スイッチにおいては、サイズが大きい、キートップ部周りからの水の浸入に対して不完全であり、一旦水が浸入すると複数のスイッチが不良となってしまう問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決して、信頼性の高い防水型の照光スイッチユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するための本発明の手段は、基板と、この基板に配設した光源及びスイッチと、前記基板を載置する底板部材と、前記基板を前記底板部材との間に狭持する枠状部材と、この枠状部材の内部へ配設した前記スイッチを押圧するための透光性材料から成る揺動部材と、前記枠状部材に被せた透光性弾性材料から成る傘状部材と、この傘状部材に固定された透光性材料から成るキートップと、このキートップが挿通する中心穴を有して前記底板部材との間に前記枠状部材を狭持して前記底板部材と係合する外装部材とから成ると共に、前記枠状部材と前記底板部材とは前記基板の周囲で樹脂封止されていることを特徴とする。
【0006】
また、前記光源は発光ダイオードであることを特徴とする。
【0007】
また、前記揺動部材は下面の一辺寄りに凸部を有し下面の他の一辺の稜線を支点として揺動することを特徴とする。
【0008】
また、前記外装部材と前記底板部材とをスナップフィット形式で合体させたことを特徴とする。
【0009】
また、前記傘状部材の内壁面に突条部を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、前記基板の配線パターンから複数のリード線が前記外装部材の側方へ引き出され、引き出された前記リード線は前記外装部材の一方の側にまとめられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板と、この基板に配設した光源及びスイッチと、前記基板を載置する底板部材と、前記基板を前記底板部材との間に狭持する枠状部材と、この枠状部材の内部へ配設した前記スイッチを押圧するための透光性材料から成る揺動部材と、前記枠状部材に被せた透光性弾性材料から成る傘状部材と、この傘状部材に固定された透光性材料から成るキートップと、このキートップが挿通する中心穴を有して前記底板部材との間に前記枠状部材を狭持して前記底板部材と係合する外装部材とから成ると共に、前記枠状部材と前記底板部材とは前記基板の周囲で樹脂封止されているようにしたので、小型で明るい照明ができると共に、意匠面でも優れた信頼性の高い防水型の照光スイッチユニットを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態である照光式スイッチを図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態である照光スイッチユニットの平面図である。図2はこの照光スイッチユニットの正面図である。図3は同じく側面図である。図4は図1のA−A断面を示す断面図、図5は図1のB−B断面を示す断面図である。図6はこの照光スイッチユニットの分解斜視図である。
【0013】
図1乃至図6において、1は本発明の実施の形態である照光スイッチユニットを示している。2は両面にプリント配線された樹脂又はセラミック等から成る基板を示しており、21は基板2上面中央の配線パターンに搭載された光源としての白色発光ダイオードパッケージ(以下LEDと略称する)を示している。22はLED21側方の配線パターンに搭載されたスイッチを示している。23は一方の端末が基板2の下面の配線パターンにハンダ付けされているリード線を示している。2本のリード線23は配線パターンを経由してLED21の端子へ、他の2本はスイッチ22の端子へ接続されており、基板2の側方へ引き出されたリード線23はいずれも照光スイッチユニット1の正面側にまとめて引き出されている。
【0014】
3は樹脂成形部品である底板部材としてのキャップを示している。キャップ3の上面側には凹部が形成され、この凹部には基板2を載置するためのリブ3aが縦横に形成されている。キャップ3の短辺側の両側面にはそれぞれ2カ所に係止部であるフック3bが形成されている。キャップ3の長辺側の両側壁上面には、側壁を直交する断面半円状の溝3cが各々2本づつ形成されている。4は樹脂成形部品である枠状部材としての押さえ枠を示しており、内部に開口4aを有する枠部4bの下面側には基板2が収まる段部4cを有し、開口4aの外側に土手部4dが立ち上がっている。枠部4bの下面には長辺側の両側面に直交して両側面から開口4aへ向かう断面半円状の溝4eが2本づつ形成されている。押さえ枠4はキャップ3とエポキシ系などの封止樹脂によって接合されている。このとき、溝4eはキャップ3の溝3cと合体してリード線23が挿通される貫通穴を構成する。
【0015】
5は透光性の樹脂成形部品である揺動部材としての押し駒を示しており、平面形状は略長方形で、中央は山形を成し、下面側の中央にはLED21を逃げる凹部を有し、下面側の一方の短辺の近傍は稜線5aに向かって下る斜面となっている。下面側の他方の短辺寄りには凸部5bが形成されている。押し駒5は押さえ枠4の土手部4d内に載置され、稜線5aが押さえ枠4の枠部4b上面に乗り、凸部5bはスイッチ22の上に乗っている。6は透光性の弾性部材から成る傘状部材としてのラバーを示しており、上面から突出し内側に張り出したフランジ部6aを有する。ラバー6の側面であるスカート6bの内側には突条部6cが張り出して形成されており、突条部6cはスカート6bが押さえ枠4の土手部4dに嵌合したときに強く圧縮される。
【0016】
7は硬質の透光性樹脂から成るキートップを示しており、キートップ7の下面側の周縁部に溝7aを有する。この溝7aにラバー6のフランジ部6aが係合してキートップ7はラバー6に固定されて一体化している。8は照光スイッチユニット1の外装部材としてのカバーを示している。樹脂成形部品であるカバー8は中心穴8aを有する天板と略長円筒形状の側壁とが接続された形状を成している。短辺側の両側壁8bは下方に延長されており、この延長部には2カ所に係止用の穴8cと、長辺側の側壁面より外側へ突出した係止用の鰐口8dとが形成されている。カバー8はラバー6に被せられ、中心穴8aからキートップ7及びラバー6のフランジ部6aの一部を突出させ、4カ所の穴8cにキャップ3のフック3bを係合させてスナップフィット形式でキャップ3と一体化されてある。
【0017】
次に、図6を参照して、照光スイッチユニット1の組立方法について説明する。まず、基板2上面の所定の配線パターン上にLED21及びスイッチ22を搭載してハンダ付けする。次に、リード線23を基板2下面の配線パターンにハンダ付けする。次に、封止樹脂をキャップ3の外壁上に塗布しておいてから基板2を載置し、その上から枠部4b下面に封止樹脂を塗布した押さえ枠4を、各リード線23が溝3c、4eに挿通するようにしながら被せる。
【0018】
押さえ枠4の中に押し駒5を載せてから、予めキートップ7の溝7a並びにラバー6のフランジ部6aを係合させてキートップ7と一体化させたラバー6を押さえ枠4に被せて、スカート6bと土手部4dとを嵌合させる。次に、カバー8をラバー6の上から被せて、穴8cをキャップ3のフック3bと係合させてキャップ3と合体させる。背面側に引き出されたリード線23を鰐口8dに係合させながら、照光スイッチユニット1の外壁に沿って正面側へ引き回してから加熱などにより封止樹脂を硬化させて照光スイッチユニット1を完成させる。
【0019】
次に、本発明の実施の形態の照光スイッチユニット1の作用について説明する。リード線23に通電することによりLED21が発光する。LED21を出射した光は押し駒5からラバー6を経由してキートップ7へ入射してキートップ7全体を明るく照らす。したがって暗闇でもスイッチの位置を認識することができる。光に導かれてキートップ7を指で押すことにより、ラバー6がたわんで押し駒5を押すことになるので、押し駒5は稜線5aを支点にして揺動して凸部5bが押し下げられてスイッチ22がONとなり、これに接続されているリード線23を通じて回路が能動状態となる。キートップ7から指を離すと、キートップ7はラバー6とスイッチ22との復元力で元の位置に復帰する。
【0020】
次に、本発明の実施の形態である照光スイッチユニット1の効果について説明する。各構成要素の厚みを最小限にできるので、照光スイッチユニット1は薄型小型に構成することができる。また、キートップ7が小さくLED21の点光源を拡散し均一に光らせている点で意匠性に富んだデザインの照光スイッチユニットを提供することができる。ラバー6のスカート6bは押さえ枠4の土手部4dとカバー8のスカート6bとによって挟まれて突条部6cが圧縮されることによって土手部4dと密着しているので、この隙間から水分等が浸入することがない。また、押さえ枠4とキャップ3とは基板2周囲の接合部で樹脂封止されているので、この隙間から水分が浸入することもない。こうして静止部分で防水が図られているので照光スイッチユニット1の防水構造は信頼性の高いものになっている。キートップ7を硬質樹脂で形成し、周縁部に設けた溝7aにラバー6のフランジ部6aを係合させたので、キートップ7に傷がつき難く、またキートップ7の上下変位が容易になっている。また、押し駒5の揺動作用によって、キートップ7のどの位置を押しても確実にスイッチ22を動作させることができる。したがってスイッチ動作の信頼性も高い。LED21の真上に当たる押し駒5及びラバー6が透光性部材で厚みが薄く、LED21がキートップ7に極めて近接して配設されているため、光の減衰が少なくキートップ7を一様に明るく照光できる。したがって輝度ムラも少なく、視認性を向上させることができる。
【0021】
また、リード線23が照光スイッチユニット1の一方の側にまとめられているので、各種装置に照光スイッチユニット1を搭載する際に、最小限度の面積で実装することができる。また、光源である白色LEDは高価なものであるが1個だけ使用すればよいので経済的である。LED21とスイッチ22とは適宜な仕様のものと容易に交換できるのでユーザーの要求に即応できる。また、照光スイッチユニット1の主要部品は樹脂成形技術で安価に製作できるとともに、カバー8とキャップ3とをスナップフィット結合させているので組立工数がかからずコスト削減を図ることができる。
【0022】
なお、本発明は必ずしも以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、光源は白色LEDに限らず、他の単色のものであってもよく、また、複数色のLED素子(例えばR、G、Bの素子)を1パッケージ化したものであってもよい。その場合には目的に応じて発光色を変更することができる。また、複数のパッケージを搭載することにより更に明るくすることもできる。なお、光源はLEDに限らずランプであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の照光スイッチユニットは暗闇でもキーの位置を認識でき、しかも防水構造も備えているので、例えば自動車外周にあるスイッチ全般に適用することができる。その他、車載機器、家電製品、玄関ドア等に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態である照光スイッチユニットの平面図である。
【図2】本発明の実施の形態である照光スイッチユニットの正面図である。
【図3】本発明の実施の形態である照光スイッチユニットの側面図である。
【図4】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図5】図1のB−B断面を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態である照光スイッチユニットの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 照光スイッチユニット
2 基板
3 キャップ
4 押さえ枠
5 押し駒
6 ラバー
6c 突条部
7 キートップ
7a 溝
8 カバー
21 LED
22 スイッチ
23 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、この基板に配設した光源及びスイッチと、前記基板を載置する底板部材と、前記基板を前記底板部材との間に狭持する枠状部材と、この枠状部材の内部へ配設した前記スイッチを押圧するための透光性材料から成る揺動部材と、前記枠状部材に被せた透光性弾性材料から成る傘状部材と、この傘状部材に固定された透光性材料から成るキートップと、このキートップが挿通する中心穴を有して前記底板部材との間に前記枠状部材を狭持して前記底板部材と係合する外装部材とから成ると共に、前記枠状部材と前記底板部材とは前記基板の周囲で樹脂封止されていることを特徴とする照光スイッチユニット。
【請求項2】
前記光源は発光ダイオードであることを特徴とする請求項1記載の照光スイッチユニット。
【請求項3】
前記揺動部材は下面の一辺寄りに凸部を有し下面の他の一辺の稜線を支点として揺動することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照光スイッチユニット。
【請求項4】
前記外装部材と前記底板部材とをスナップフィット形式で合体させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の照光スイッチユニット。
【請求項5】
前記傘状部材の内壁面に突条部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の照光スイッチユニット。
【請求項6】
前記基板の配線パターンから複数のリード線が前記外装部材の側方へ引き出され、引き出された前記リード線は前記外装部材の一方の側にまとめられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の照光スイッチユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−220349(P2007−220349A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36686(P2006−36686)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】