説明

照光式キーシート

【課題】表示部の選択を自由にできる照光式キーシートを提供する。
【解決手段】本発明に係る照光式キーシートは、照光式キーシートにおいて、表示要素を表示する表示部と、前記表示部の上方に位置するとともに、受光部で受光した光を導光し、導光した光により前記表示要素を上側から照らす導光部と、を備えることを特徴とする照光式キーシートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機(所謂PHSも含む)、PDA(personal digital assistance)、携帯オーディオ、家電製品用リモートコントローラ、又はキーボード等の電子機器に使用する照光式キーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
照光式キーシートは、表示要素を表示する表示部と、透光性を有するキーと、を備える。そして、照光式キーシートは電子機器に組み込まれた場合にこの電子機器の内部光源からの光で表示要素が照らされることにより、キーの操作者が暗所であっても前記表示要素を認識できるキーシートである。
【0003】
従来の照光式キーシートの一例として、キートップを配置するキーベースを導光部にしたものがある。例えば、特許文献1には、「透明性材料からなり光源からの光を導光する導光フィルムと、上記導光フィルムの裏面に形成され上記光源からの光を上記導光フィルムの天面側に形成されたキートップへ反射する反射手段と、上記反射手段の裏面に上記キートップと対応して設けられた押し子と、からなることを特徴とするキーベース」(特許文献1の請求項1参照)が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−130506
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に「上記各キートップ6、6、・・・は、・・・例えば天面加飾タイプ或いは裏面加飾タイプの表示が形成されている」(特許文献1の明細書[0023]参照)との記述があるように、従来の照光式キーシートでは、表示要素を表示する表示部がキートップに設けられている。すなわち、従来の照光式キーシートでは、導光部(導光フィルム)が表示部の下側に配置され、表示要素が下側から照らされる(特許文献1の図4等を参照)。このため、従来の照光式キーシートでは、表示要素を、透光性を有する抜き文字等で表現する必要があった。このため、表示要素を表示する表示部の選択には限界があった。
【0006】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示部の選択を自由にできる照光式キーシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照光式キーシートは、
照光式キーシートにおいて、
表示要素を表示する表示部と、
前記表示部の上方に位置するとともに、受光部で受光した光を導光し、導光した光により前記表示要素を上側から照らす導光部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る照光式キーシートの一例として、
前記導光部は、透明であり、導光形状を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る照光式キーシートの一例として、
前記導光部は、前記受光部から遠ざかるにつれて厚さが薄くなっていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る照光式キーシートの一例として、
前記表示部は、非透光性を有し、かつ、非自発光であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る照光式キーシートの一例として、この照光式キーシートは、
前記表示部の下方の位置に押し子をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る照光式キーシートの一例として、この照光式キーシートは、
前記導光部の上方に位置する透光性を有するキー部材をさらに備え、
前記透光性を有するキー部材は、表面全面に固着層を設けたシート状部材と、前記固着層により前記シート状部材の表面に固着したキーと、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る照光式キーシートの一例として、
前記表示部は、電子ペーパーであることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、以下の定義が適用される。
(1)「表示要素」とは、照光式キーシートが備える表示部が表示するデザインの要素をいう。「表示要素」は、例えば、キーの機能を表す数字、文字、記号、又は図形等をいうが、キーの区画を示す仕切り線、又は、キーの機能と関係のないグラフィックアートであっても良い。表示部の例としては、所定の部材に設けた加飾層と、電子ペーパー又は反射型LCD(液晶表示装置)等のディスプレイ部材と、がある。加飾層は、印刷又は塗装等の適宜の方法で設けることができる。
(2)「透光性」とは、光を透過させる性質をいう。「透光性」を有する構成要素の例は、透過率が30パーセント以上である部分を少なくとも一部に有する構成要素である。「透光性」を有する構成要素のさらに具体的な例は、透明の構成要素、または、貫通孔等の物質が存在しない部分を有する構成要素である。
(3)「透明」とは、無色透明の他、有色透明も含む。
(4)「非透光性」とは、完全に光を透過しない性質をいうが、この光を少量透過する性質も含む。「非透光性」を有する構成要素の例は、この構成要素の少なくとも一部の光の透過率が30パーセント未満で、残りの部分が完全に光を透過しない部分である構成要素であるか、全ての部分が完全に光を透過しない構成要素である。
(5)「上方」及び「上側」等に用いられる「上」とは、照光式キーシートのキーの天面側の方向をいう。
(6)「表面」とは、照光式キーシートのキーの天面側の面をいう。
(7)「下方」、「下側」及び「下面」等に用いられる「下」とは、上記「上」と反対の方向であり、例えば、照光式キーシートを配置する基板側の方向をいう。
(8)「裏面」とは、上記「表面」と反対の面をいい、照光式キーシートを配置する基板側の面をいう。
(9)「側面」とは、「表面」と「裏面」とを除いた面である。
(10)「光」とは、主に可視光をいう。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る照光式キーシートでは、導光部が表示部の上方に位置するので、表示部を下側から照らすのではなく、上側から照らすことができる。このため、表示部の選択の限界が無くなり、表示部の選択を自由にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態の例について図面を参照しながら説明する。なお、図面において、同様のもの、対応するもの、又は総称できるものについては同じ符号を付して説明する場合がある。本発明は下記の実施形態にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記の実施形態に変更(例えば構成要素の省略又は付加、又は、構成要素の形状の変更等)を加えることが出来るのはもちろんである。
【0017】
(1)第一実施形態
図1は、第一実施形態に係る照光式キーシートを組み込んだ携帯電話機の斜視図である。図1のように、第一実施形態に係る照光式キーシート1(本実施形態の説明中では単にキーシート1という。)は、携帯電話機100に組み込まれる。詳しくは後述するが、キーシート1は、表示部5と、その上に位置する導光部3と、を備える(図2等を参照)。表示部5は、表示要素5aと、表示要素5bと、を表示する。表示要素5aは、キーの機能を表す数字又は記号である。表示要素5bは、キーの区画を示す仕切り線である。
【0018】
携帯電話機100の操作者(キーの操作者ともいう、以下では、単に操作者という。)は、照光時及び非照光時において、導光部3を介して表示要素5aと、表示要素5bと、を視認する。非照光時には、携帯電話機100の外部の光(例えば自然光)により、表示要素5a及び5bが照らされる。操作者は、この照らされた表示要素5a及び5bを視認する。照光時には、携帯電話機100内部の光源(以下では、単に光源101(図5参照)という。)からの光が導光部3により導光され、導光された光により、表示要素5a及び5bが照らされる。操作者は、この照らされた表示要素5a及び5bを視認する。
【0019】
図2は、第一実施形態に係る照光式キーシートの分解斜視図である。なお、図中の丸で囲まれた部分は、導光部を拡大した様子を示す。図3は、第一実施形態に係る照光式キーシートが備える押し子シートを裏面側からみた斜視図である。図4は、第一実施形態に係る照光式キーシートの概略断面図である。なお、図中の丸で囲まれた部分は、導光部を拡大した様子を示す。
【0020】
キーシート1は、表示部5と、表示部5の上方に位置する導光部3と、表示部5の下方に位置する押し子シート7と、を備える。押し子シート7は押し子7aaを有するので、キーシート1は表示部5の下方に位置する押し子7aaを有する。
【0021】
導光部3は、受光部3a(図5参照、以下同じ)を備える。導光部3は、受光部3aで受光した光(光源101からの光)を導光し、導光した光により表示要素5a及び5b(図1参照、以下同じ。)を上側から照らす(照明する)。これによって、表示要素5a及び5bを表示する表示部5で反射された光が導光部3を通って外部に出射して、携帯電話機100の操作者に表示部5の表示要素5a及び5bを視認可能にする。導光部3が表示部5の上方に位置するので導光部3は、表示要素5a及び5bを上側から照らすことができる。受光部3aは、キーシート1を携帯電話100に組み込んだ場合における、導光部3の側面のうちの光源101に最も近い面になる。受光部3a及び光源101は、複数あっても良い。
【0022】
導光部3は、シート状に形成される。また、導光部3は、受光部3aから遠ざかるにつれて厚さが薄くなっている。本実施形態では、導光部3の厚さは、線形的に薄くなっている。他の例として、導光部3の厚さは、非線形的又は不連続的に薄くなってもよい。
【0023】
さらに、導光部3は、透明であり、導光形状3bを有する。導光部3は、表示部5の上に位置するので透明である必要がある。キーの操作者は、非照光時及び照光時において、表示要素5a及び5bを導光部3を介して視認するからである。
【0024】
導光形状3bとは、受光部3aにより受光した光を反射して導光部3内部に光を導光させ、導光させた光で表示部3(表示要素5a及び5b)を照らす形状である。導光形状3bは、適宜の位置に設けることができる。本実施形態では、導光部3の表面全面に導光形状3bを設けている。しかし、導光形状3bは、導光部3の表面の少なくとも一部、裏面の少なくとも一部、又はその両方に設けることができる。操作者が導光部3を介して表示要素5a及び5bを視認することができるように、導光形状3bは、微細な形状の集合により構成することが望ましい。本実施形態の導光形状3bは、主に光を反射する反射面3baと、主に光を透過する透過面3bbと、からなる微細な凹凸の集合である。この凹凸は、直線状に設けられる。直線状の凹凸は、受光部3aと平行になるように設けられる。導光部3は、受光部3aから遠ざかるにつれて厚さが薄くなっている。なお、導光部3による光の導光については後述する。
【0025】
上記凹凸の形状の一例を以下に示す。なお、下記の記号等は、図5参照。
(1)反射面3baと、透過面3bbとの間の角度θ1・・・・・100度から140度
(2)透過面3bbと水平面との間の角度θ2・・・・・・・・1.0度から3.0度
(3)凸部の頂点間の長さD・・・・・・・・・・・・・・・0.1mmから0.4mm
【0026】
導光部3は、合成樹脂又はガラス等の適宜の材料により形成される。合成樹脂の例は、一般的な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である。一般的な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の例は、PET(ポリエチレンテレフタラート系)樹脂、PC(ポリカーボネイト系)樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、又はシリコーン系樹脂である。合成樹脂は、アクリル系、エポキシ系、ビニル系、又はシリコーン系等の電磁波硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂であってもよい。電磁波硬化性樹脂とは、電磁波が照射されると硬化する樹脂で、紫外線硬化性樹脂(UV硬化性樹脂)又は可視光硬化性樹脂などの光硬化性樹脂があり、また、電子線硬化性樹脂とは、電子線(陰極線)が照射されると硬化する樹脂である。
【0027】
導光部3の形成方法は、材料等によって適宜の方法を採用できる。例えば、導光部3は射出成形により形成される。射出成形の金型には、導光形状3bを形成するための形状が微細加工等により設けられる。
【0028】
表示部5は、表示要素5a及び5bを表示する。本実施形態では、表示部5は、電子ペーパーである。電子ペーパーは、携帯電話機100に設けられた所定の駆動部に接続される。そして、この電子ペーパーは、前記駆動部により駆動され、表示要素5a及び5bを表示する。他の例として、表示部5は、導光部3の裏面又は押し子シートの表面に設けた加飾層であってもよい。加飾層には、表示要素が含まれ、この加飾層は、表示要素5a及び5bを表示することになる。
【0029】
表示部5は、非透光性を有し、かつ、非自発光である。表示部5がこのような性質のものを採用できる理由は、導光部3が表示部5の上方に位置し、表示部3を、下側から照らすのではなく、上側から照らすことができることにある。このように、導光部3が表示部5の上方に位置し、導光部3が導光する光で表示部(表示要素5a及び5b)を上側から照らすことにより、表示部3の選択の限界が無くなり、表示部3の選択を自由にできる。非透光性を有し、かつ、非自発光である表示部5の例としては、上記電子ペーパーと、反射型LCDと、非透光性を有し、かつ、非自発光である加飾層と、がある。
【0030】
押し子シート7は、シート状部材7bに押し子層7aを一体的に設けて形成される。押し子層7aは、押し子7aaと、この押し子7aaの周辺に位置する薄肉部7abからなる。押し子シート7は、適宜の方法により形成される。押し子シート7の形成方法の一例は、金型にシート状部材7bをインサートしてシート状部材7bに押し子層7aを一体的に設けるインサート成形である。また、押し子シート7の形成方法の一例は、シート状部材7bに押し子層7aを印刷するグラビア印刷である。
【0031】
シート状部材7b及び押し子層7aは、合成樹脂等の適宜の材料により形成される。合成樹脂の例は、一般的な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である。一般的な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の例は、PET(ポリエチレンテレフタラート系)樹脂、PC(ポリカーボネイト系)樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、又はシリコーン系樹脂である。合成樹脂は、アクリル系、エポキシ系、ビニル系、又はシリコーン系等の電磁波硬化性樹脂又は電子線硬化樹脂であってもよい。シート状部材7bは、ポリウレタンシート等が好適である。押し子層7aは、電磁波硬化性樹脂又はシリコーンゴム等により形成するのが好適である。
【0032】
なお、押し子シート7は表示部5の下方にあるので、押し子シート7の構成要素のうちの少なくとも一つは、非透光性であってもよい。照光時には表示要素5a及び5bを上側から照らすので、表示要素5a及び5bの視認性を確保できるからである。このように、導光部3が表示部5の上方にあり、導光部3が導光した光により表示要素5a及び5bが上から照らされることで、押し子シート7、特に押し子7aaの設計の幅が広がる。また下記のように照光による影が出来なければ、きれいに表示要素5a及び5bを操作者に視認させることが出来る。
【0033】
また、照光時には表示要素5a及び5bを上側から照らすので、表示部5が非透光性である場合には、表示部5の下の押し子シート7(特に押し子7aa)の影によって表示要素5a及び5bの視認性及び又はキーシート1の外観が悪くなるといったような不都合が解消される。このため、きれいに表示要素5a及び5bを操作者に視認させることが出来る。これは、特に導光部3と、表示部5との間に、他の構成要素が介在しないときに最も言える。これにより、押し子シート7、特に押し子7aaの設計の幅が広がる。
【0034】
キーシート1は、表示部5の下方の位置に押し子7aaを有していれば良い。このため、押し子をキーシート1の構成要素とする方法は他にもある。例えば、押し子又はこれを含む押し子層を表示部3の裏面に電磁波硬化性樹脂等で直接一体的に形成してもよい。
【0035】
キーシート1の各構成要素(導光部3、表示部5、及び押し子7aa)の位置関係が重要である。位置関係とは、携帯電話機100にキーシート1を組み込んだ場合における位置関係である。このため、隣接する構成要素同士の少なくとも一部は固着して固定してもよいし、隣接する構成要素同士の少なくとも一部が当接するだけでも良いし、構成要素同士の間に空間又は他の構成要素が介在していても良い。なお、導光部3と表示部5との間に構成要素がある場合及び又は両者を固着する場合には、この構成要素及び又は固着するのに用いる固着層は表示要素5a及び5bの視認性を阻害しないように透光性を有する必要がある。
【0036】
導光部3及び表示部5を設計すれば、導光部3の上に適宜キー部材を設けることが出来るため(第二実施形態参照)、キーシート1の設計が自由に出来るため、デザインの自由化等を実現できる。
【0037】
さらに、表示部5が電子ペーパー又は反射型LCDなどのディスプレイ部材であれば、表示要素5a及び5bのデザインを自由に変える事ができる。このため、導光部3及び表示部5を予め生産しておき、キー部材を後から設ける又は設けない等のキーシート1全体のデザインが出来る。キーシート1全体のデザインが決定した後で、表示要素5a及び5bのデザインが出来るからである。これにより、キーシート1の在庫管理の容易化、キーシート1の提供の迅速化が出来る。
【0038】
なお、本実施形態において、導光部3の中の少なくとも一の表示要素5aに対応する領域(表示要素5bにより仕切られた領域でもある。)がキーになる。すなわち、導光部3は、各キーの役割も果たす。このように、キーを構成する部材に導光形状3aを設けて導光部3とすることができる。このように、導光部3に導光以外の他の役割を付加しても良い。
【0039】
携帯電話機100にキーシート1を組み込んだ場合、押し子7aaは携帯電話機100の基板上に設けたメタルドームに当接する。導光部3の所定の位置(すなわち所定のキーであり、押し子7aaに対応している。)を操作者が押圧すると、各構成要素(導光部3、表示部5、及び押し子シート7)が変形する。とくに、各構成要素の前記所定の位置に対応する領域が下方に移動するように変形する。これにより、前記所定のキーに対応する押し子7aaが下方に移動し、下方に移動した押し子7aaがメタルドームを押圧変形させる。この押圧変形により、メタルドームは、メタルドーム直下の接点を短絡させるともに、クリック感を発生させる。なお、前記の構成要素の変形を助けるために、各構成要素に適宜切り込み及び又は溝等を入れても良い。
【0040】
図5は、導光部が光源からの光を導光する様子を説明する概略説明図である。光源101は、棒状のもの等を採用することが出来、これにより受光部3a全体を均一に照らすことができる。本実施形態のように、光源101の一例は、LED(発光ダイオード)を備えるものである。図5の矢印は、光の経路を示す。光源101からの光(光源101により出射された光)は、受光部3aが受光する。受光した光は、導光部3内を進む。この光は反射面3ba、及び又は、導光部の下面の上側面3c(又は、表示部5の表面等)を反射しながら導光部3内を進む(光が導光される)。そして、この光は、表示部3(特に表示要素等)で反射し、透過面3bbを透過して導光部3から外部に出射し、操作者の目に入る。このように、導光部3は、受光部3aで受光した光(光源101からの光)を導光し、導光した光により表示要素5a及び5bを上側から照らすので、操作者は照光時において表示要素5a及び5bを視認できる。
【0041】
ところで、導光部3の厚さが受光部3aから遠ざかるにつれて薄くなっていることと、導光部3に導光形状3bを設けることにより、導光部3は、表示部5(特に一以上の表示要素の集合)を均一に照らすことができる。これは特に、凹凸を導光部3の表面全面に受光部3aと平行になるように設けることによっていえることでもある。これは、例えば、導光部3の厚さが受光部から遠ざかるにつれて薄くなるにつれて、導光部3内を進む光が反射面3bに当たりやすくなり、光が反射されやすくなり、この反射した光が表示部3で反射して透過面3bbを透過しやすくなるからである。
【0042】
(2)第二実施形態
図6は、第二実施形態に係る照光式キーシートの分解斜視図である。なお、図中の丸で囲まれた部分は、導光部を拡大した様子を示す。図7は、第二実施形態に係る照光式キーシートの概略断面図である。なお、図中の丸で囲まれた部分は、導光部を拡大した様子を示す。図8は、第二実施形態に係る照光式キーシートを組み込んだ携帯電話機の斜視図である。
【0043】
第二実施形態に係る照光式キーシート11(本実施形態の説明中では単にキーシート11という。)は、照光式キーシート1と同じものと、この照光式キーシート1の上方の位置にあるキー部材19と、を備える。導光部13は導光部3に対応し、表示部15は表示部5に対応し、押し子シート17は押し子シート7に対応する。以下の説明では、第一実施形態と異なる部分について説明し、第一実施形態と重複する説明については省略する。
【0044】
キー部材19は、導光部13の上方に位置し、透光性を有する。キー部材19は、表面全面に固着層19c(図7を参照、図6では省略。)を設けたシート状部材19bと、固着層19cによりシート状部材19bの表面に固着したキー19aと、を備える。
【0045】
表示部15が表示する表示要素15a(表示要素5aに対応する。)及び15cは、導光部13とキー部材19とを介して視認されるため、キー部材19も透光性を有する必要がある。このため、キー部材19を構成するキー19a、シート状部材19b、及び固着層19cは透光性を有する必要があり、特に透明であることが望ましい。
【0046】
キー19aは、操作感の観点から硬質であることが望ましい。また、シート状部材19bは、キー19aの下方への移動を阻害しないように、柔軟性を有することが望ましい。キー19a及びシート状部材19bは、合成樹脂等の適宜の材料により形成される。合成樹脂の例は、一般的な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である。一般的な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の例は、PET(ポリエチレンテレフタラート系)樹脂、PC(ポリカーボネイト系)樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、又はシリコーン系樹脂等である。合成樹脂は、アクリル系、エポキシ系、ビニル系、又はシリコーン系等の電磁波硬化性樹脂又は電子線硬化樹脂であってもよい。シート状部材19bは、ポリウレタンシート等が好適である。キー19aは、PC等により形成するのが好適である。
【0047】
固着層19cは、例えばホットメルト接着層によって実現される。固着層19cがシート状部材19bの表面全面に設けられていると、キー19aは、シート状部材19bに全面接着される。これにより、接着剤が存在していない部分が無くなり、接着剤が存在している部分と存在しない部分があることによって出来る影の発生を防止でき、きれいに照光できる。
【0048】
導光部13の表示部15(表示要素15a又は15c)で反射され、透過面13bb(透過面3bbに対応する。)を透過した光は、キー部材19内を透過して、操作者の目に入り、操作者は表示要素15a又は15cを視認する。
【0049】
表示部15は、表示要素15aの他、表示要素15cを表示する。表示要素15cは、キーの機能と関係のないグラフィックアートである。導光部3が表示部15の上方に位置するために、このような斬新なデザインの携帯電話機110を提供できる。
【0050】
導光部13と、キー部材19とは、少なくとも一部を固着して固定してもよいし、少なくとも一部が当接するだけでも良いし、両者の間に空間又は他の構成要素が介在していても良い。なお、導光部13と、キー部材19との間に構成要素がある場合及び又は両者を固着する場合には、この構成要素及び又は固着するのに用いる固着層は表示要素15a及び15cの視認性を阻害しないように透光性のものである必要がある。
【0051】
キー19aと、一以上の押し子17aa(押し子7aaに対応する。)と、は互いに対応して位置する。所定のキー19aを操作者が押圧すると、各構成要素(キー部材19、導光部13、表示部15、及び押し子シート17)が変形する。とくに、各構成要素の前記所定のキー19aに対応する領域が下方に移動するように変形する。これにより、前記所定のキー19aに対応する押し子17aaが下方に移動し、下方に移動した押し子17aaがこの押し子17aaに当接するメタルドームを押圧変形させる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第一実施形態に係る照光式キーシートを組み込んだ携帯電話機の斜視図である。
【図2】第一実施形態に係る照光式キーシートの分解斜視図である。なお、図中の丸で囲まれた部分は、導光部を拡大した様子を示す。
【図3】第一実施形態に係る照光式キーシートが備える押し子シートを裏面側からみた斜視図である。
【図4】第一実施形態に係る照光式キーシートの概略断面図である。なお、図中の丸で囲まれた部分は、導光部を拡大した様子を示す。
【図5】導光部が光源からの光を導光する様子を説明する概略説明図である。
【図6】第二実施形態に係る照光式キーシートの分解斜視図である。なお、図中の丸で囲まれた部分は、導光部を拡大した様子を示す。
【図7】第二実施形態に係る照光式キーシートの概略断面図である。なお、図中の丸で囲まれた部分は、導光部を拡大した様子を示す。
【図8】第二実施形態に係る照光式キーシートを組み込んだ携帯電話機の斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 照光式キーシート
3 導光部
3a 受光部
3b 導光形状
3ba 反射面
3bb 透過面
3c 導光部の下面の上側面
5 表示部
5a、5b 表示要素
7 押し子シート
7b シート状部材
7a 押し子層
7aa 押し子
7ab 薄肉部
11 照光式キーシート
13 導光部
13bb 透過面
15 表示部
15a、15c 表示要素
17 押し子シート
17aa 押し子
19 キー部材
19a キー
19b シート状部材
19c 固着層
100 携帯電話機
101 光源
110 携帯電話機



【特許請求の範囲】
【請求項1】
照光式キーシートにおいて、
表示要素を表示する表示部と、
前記表示部の上方に位置するとともに、受光部で受光した光を導光し、導光した光により前記表示要素を上側から照らす導光部と、
を備えることを特徴とする照光式キーシート。
【請求項2】
請求項1記載の照光式キーシートにおいて、
前記導光部は、透明であり、導光形状を有することを特徴とする照光式キーシート。
【請求項3】
請求項2記載の照光式キーシートにおいて、
前記導光部は、前記受光部から遠ざかるにつれて厚さが薄くなっていることを特徴とする照光式キーシート。
【請求項4】
請求項1記載の照光式キーシートにおいて、
前記表示部は、非透光性を有し、かつ、非自発光であることを特徴とする照光式キーシート。
【請求項5】
請求項1記載の照光式キーシートにおいて、
前記表示部の下方の位置に押し子をさらに備えることを特徴とする照光式キーシート。
【請求項6】
請求項1記載の照光式キーシートにおいて、
前記導光部の上方に位置する透光性を有するキー部材をさらに備え、
前記透光性を有するキー部材は、表面全面に固着層を設けたシート状部材と、前記固着層により前記シート状部材の表面に固着したキーと、を備えることを特徴とする照光式キーシート。
【請求項7】
請求項1記載の照光式キーシートにおいて、
前記表示部は、電子ペーパーであることを特徴とする照光式キーシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−222120(P2011−222120A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208757(P2008−208757)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(390001487)サンアロー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】