説明

照光装置

【課題】 異なる複数の色彩の可視光線を簡易な構成で照射することができ、しかも、装置の小型化や製造コストの削減を図ることのできる照光装置を提供する。
【解決手段】 回路基板1に紫外線照射用の紫外線LED2を装着し、回路基板1と紫外線LED2に、可視光線を透過する樹脂板10を隙間をおいて対向させ、紫外線LED2の発光により樹脂板10を可視光線により照光する照光装置で、樹脂板10の回路基板1に対向する裏面に装着され、紫外線LED2からの紫外線を回路基板1方向に反射する反射体11と、回路基板1上の保持層3に配設され、反射体11から反射してきた紫外線の照射により相互に異なる色彩の可視光線を樹脂板10方向に照射する複数の発光部20と、樹脂板10の回路基板1に対向しない表面に部分的に積層形成され、樹脂板10の所定箇所から所定の発光部20の可視光線を出射させる遮光パターン層30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話に代表される携帯機器、家電製品、情報機器等に使用される照光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話の操作ボタンを照光する場合には、携帯電話内の照光装置が使用されるが、この照光装置は、相互に異なる色彩の可視光線を照射する複数のLEDを備え、この複数のLEDの可視光線を操作ボタンやその周囲に直接照射したり、あるいは複数のLEDの可視光線を操作ボタンやその周囲に導光層を介して照射するようにしている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009‐130417号公報
【特許文献2】特開2009‐37763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来における照光装置は、以上のように構成され、異なる複数の色彩の可視光線を照射する場合には、複数のLEDと導光層のうち、少なくとも複数種の色彩に応じたLEDを使用しなければならないので、装置が複雑化・大型化したり、製造コストを削減することができないという問題がある。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、異なる複数の色彩の可視光線を簡易な構成で照射することができ、しかも、装置の小型化や製造コストの削減を図ることのできる照光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては上記課題を解決するため、基板に紫外線照射用の光源を取り付け、これら基板と光源とに、可視光線を透過する樹脂板を隙間をおいて対向させ、光源の発光により樹脂板を可視光線により照光するものであって、
樹脂板の基板に対向する対向面に取り付けられ、光源からの紫外線を基板方向に反射する反射体と、基板に設けられ、反射体から反射してきた紫外線の照射により相互に異なる色彩の可視光線を樹脂板方向に照射する複数の発光部とを含んでなることを特徴としている。
【0007】
なお、樹脂板の基板に対向しない非対向面に、樹脂板の所定箇所から所定の発光部の可視光線を出射させる遮光パターン層を部分的に形成することができる。
また、反射体を凹型、凸型、あるいは平板型に形成することができる。
【0008】
ここで、特許請求の範囲における基板には、発光部を備えた保持層を選択的に積層することができる。紫外線照射用の光源は、同じ種類であれば、複数でも良いし、単数でも良い。本発明に係る照光装置は、少なくとも携帯機器、家電製品、情報機器、自動車機器等に使用することができる。
【0009】
本発明によれば、基板の紫外線用の光源が発光すると、紫外線は、光源から反射体に照射され、この反射体から複数の発光部に照射される。こうして複数の発光部に紫外線が照射されると、複数の発光部がそれぞれ励起されて相互に異なる色の可視光線を樹脂板方向に照射し、樹脂板から発光部の可視光線が出射する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異なる複数の色彩の可視光線を簡易な構成で照射することができ、しかも、装置の小型化や製造コストの削減を図ることができるという効果がある。
【0011】
また、樹脂板の基板に対向しない非対向面に、樹脂板の所定箇所から所定の発光部の可視光線を出射させる遮光パターン層を部分的に形成すれば、遮光パターン層を形成した樹脂板の該当箇所から発光部の可視光線が出射するのを規制し、遮光パターン層の存在しない樹脂板の開口箇所から所定の発光部の可視光線のみを選択的に出射させることができる。
さらに、反射体を凹型、凸型、あるいは平板型に形成すれば、簡易な構成で紫外線の照射範囲を縮小したり、拡大することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る照光装置の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る照光装置の第2の実施形態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における照光装置は、図1に示すように、回路基板1に紫外線LED2を実装し、これら回路基板1と紫外線LED2とに樹脂板10を隙間をおいて対向させ、紫外線LED2の発光により樹脂板10を可視光線により照光する照光装置で、樹脂板10の回路基板1に対向する裏面に装着される反射体11と、回路基板1の保持層3に並べて配設される複数の発光部20と、樹脂板10の回路基板1に対向しない表面に部分的に積層形成される遮光パターン層30とを備えている。
【0014】
回路基板1は、図示しない所定の導電パターンや各種の電子部品が実装され、表面には、上面発光により紫外線(図1の矢印参照)を上方に照射する紫外線LED2と発光部20の姿勢安定用の保持層3とがそれぞれ装着されており、例えば携帯電話に内蔵される。紫外線LED2は、例えば355、360、365、370nm等の波長の紫外線を照射する上面発光タイプが使用され、前後左右の周囲に樹脂製の平坦な保持層3が配備される。
【0015】
樹脂板10は、例えばポリカーボネートやポリブチレンテレフタレート等の所定の樹脂を含む成形材料を使用して可視光線(図1の矢印参照)を透過する透明の平坦な板に成形され、回路基板1の上方に空気層を介し水平に位置しており、図示しない透過性の操作ボタンを備えた操作層の下方に位置する。この樹脂板10は、樹脂一般の特徴により、可視光線の透過率が高く、紫外線の透過率が低く、吸収するので、紫外線LED2の発光に伴う紫外線の透過が実に少ない。
【0016】
反射体11は、平板型等でも良いが、例えばポリカーボネート等の所定の樹脂を含む成形材料を使用して凹んだ凹型に形成されるとともに、表面に鏡面加工されたアルミ板が装着されたり、アルミ蒸着等され、紫外線LED2の直上に空気層を介し対向配備されており、この紫外線LED2からの紫外線を下方の回路基板1方向に散乱反射するよう機能する。
【0017】
複数の発光部20は、紫外線LED2の周囲に隣接して形成され、斜め上方の反射体11から散乱反射してきた紫外線の照射により励起されることにより、相互に異なる色彩の可視光線(例えば、赤、白、青、黄色等)を上方の樹脂板10方向に照射するよう機能する。各発光部20は、例えば紫外線を可視光に波長変換する蛍光インクの印刷により保持層3の表面に平面略円形、矩形、多角形等に形成される。
【0018】
遮光パターン層30は、例えば反射体11の直上を含む樹脂板10の表面に黒色のフィルム、モリブデンシリサイト膜、クロム膜、窒化膜等が積層されることで形成され、所定の発光部20の直上に位置する樹脂板10表面を選択的に開口する。このような遮光パターン層30は、遮光した樹脂板10の被覆箇所から発光部20の可視光線が上方に出射するのを規制し、遮光しない樹脂板10の開口箇所31から所定の発光部20の可視光線のみを出射させる。
【0019】
上記構成において、携帯電話の操作ボタンを照光する場合には、回路基板1の紫外線LED2を発光させれば良い。すると、紫外線は、紫外線LED2から対向する反射体11に向けて照射され、この反射体11で散乱して複数の発光部20に向けて拡散照射される。こうして複数の発光部20に紫外線がそれぞれ照射されると、複数の発光部20がそれぞれ励起されて相互に異なる色の可視光線を樹脂板10方向に照射し、遮光パターン層30に被覆されていない樹脂板10の開口箇所31から所定の発光部20の可視光線のみが出射されて操作層の操作ボタンやその周囲を照光する。
【0020】
上記構成によれば、単一種の紫外線LED2の発光により、異なる複数の色彩の可視光線を樹脂板10に照射することができるので、複数種のLED2を使用する必要が全くなく、装置の複雑化・大型化を抑制し、製造コストを大幅に削減することができる。また、遮光パターン層30が所定の可視光線のみを選択的に出射させるので、回路基板1と樹脂板10との間に可視光線をガイドする専用の導光層を介在配備する必要が全くない。また、複数の発光部20に可視光線ではなく、紫外線を照射するので、保持層3の乱反射に伴う樹脂板10や操作層の不要な照光を抑制することができる。
【0021】
また、樹脂板10が紫外線を吸収するので、紫外線LED2の発光に伴う紫外線の樹脂板10からの漏洩を防止することができる。また、反射体11が凹型に形成されているので、所定の狭い領域、所定の発光部20のみに紫外線を照射することが容易となる。また、反射体11の直上を含む樹脂板10の表面に遮光パターン層30が形成されるので、反射体11の周囲からの光線の漏洩を防ぐことが可能となる。さらに、光源として紫外線LED2を使用するので、紫外線ランプに比べ、耐久性の向上、長寿命化や省エネ化が大いに期待できる。 .
【0022】
次に、図2は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、反射体11を回路基板1方向に突き出た凸型に形成するとともに、この反射体11の表面に鏡面のアルミ板を装着したり、アルミ蒸着等するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、反射体11の形状変更により、広範囲に亘って紫外線を照射することができるのは明らかである。
【0023】
なお、上記実施形態では回路基板1の保持層3に発光部20を配設したが、保持層3を省略し、回路基板1の表面に発光部20を直接配設しても良い。また、樹脂板10と操作ボタンを備えた操作層とは、別体でも良いが、一体化して樹脂板10を操作層としても良い。さらに、反射体11を凹型や凸型に形成したが、何らこれに限定されるものではなく、例えば平坦な平板型等に形成しても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 回路基板(基板)
2 紫外線LED(光源)
3 保持層
10 樹脂板
11 反射体
20 発光部
30 遮光パターン層
31 開口箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に紫外線照射用の光源を取り付け、これら基板と光源とに、可視光線を透過する樹脂板を隙間をおいて対向させ、光源の発光により樹脂板を可視光線により照光する照光装置であって、
樹脂板の基板に対向する対向面に取り付けられ、光源からの紫外線を基板方向に反射する反射体と、基板に設けられ、反射体から反射してきた紫外線の照射により相互に異なる色彩の可視光線を樹脂板方向に照射する複数の発光部とを含んでなることを特徴とする照光装置。
【請求項2】
樹脂板の基板に対向しない非対向面に、樹脂板の所定箇所から所定の発光部の可視光線を出射させる遮光パターン層を部分的に形成した請求項1記載の照光装置。
【請求項3】
反射体を凹型、凸型、あるいは平板型に形成した請求項1又は2記載の照光装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−14428(P2011−14428A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158601(P2009−158601)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】