説明

照合装置、デジタル画像処理システム、照合装置制御プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、および照合装置の制御方法

【課題】入力画像が撮影されたときの条件が、登録画像が撮影されたときの条件と異なる場合においても精度の高い照合結果を得る。
【解決手段】顔照合装置10において、登録顔画像データベース21に、上記登録顔画像と、該登録顔画像に含まれる人物が撮影されたときの撮影条件とが対応付けられて登録されており、上記入力顔画像に含まれる人物が撮影されたときの撮影条件を検出する条件検出部32と、上記登録顔画像の上記撮影条件と、上記入力顔画像から検出された上記撮影条件との近さを判定し、判定した上記撮影条件の近さに基づいて、各人物に共通に登録されている登録顔画像の撮影条件のうち、上記入力顔画像から検出された上記撮影条件と最も近いものを選択する登録顔画像選択部35と、選択された撮影条件が対応づけられている登録顔画像を用いて照合を行う照合部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対象物、例えば、人物の顔を含む画像データの照合処理を行う照合装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔認証技術を応用して、デジタルカメラ等によって撮影して得られた顔画像に含まれる人物の顔が誰の顔であるかを照合する顔照合装置が提案されている。
【0003】
このような顔照合装置では、予め人物の顔を含む顔画像をデータベースに登録しておき、撮影して得られた入力顔画像をデータベースと照合する。
【0004】
ここで、顔認証技術における認証精度は、顔画像の撮影条件に影響されることが知られている。撮影条件としては、例えば、顔の向き、顔の表情、照明の向き・強さなどが挙げられる。
【0005】
そして、入力顔画像の撮影条件と、登録顔画像の撮影条件とが一致しない場合、認証精度が低下するため、入力顔画像および登録顔画像に含まれる人物が同一の人物であるのに、同一と認められず照合に失敗してしまうことがある。
【0006】
この問題に対して、従来、登録データを工夫して用いることによって、認証精度の低下を防止する以下の技術が提案されている。
【0007】
特許文献1では、異なる撮影条件下で撮影して得られた複数の顔画像を撮影条件とともにデータベースに登録しておき、照合時には、それらの顔画像に対して1:N照合を行う。
【0008】
図22を用いて具体的に説明すれば、次のとおりである。図22に示すように、事前に、Aさん、Bさん、およびCさんの各人物について、登録顔画像データベース1021に複数の顔画像および撮影条件を登録しておく。
【0009】
Aさんについては、顔画像A1101、A1102、A1103、およびA1104に対応付けて、それぞれ撮影条件“正面(0〜15度)”、“やや斜め(15〜45度)”、“斜め(45〜75度)”および“横顔(75〜90度)”を登録しておく。
【0010】
また、Bさんについては、顔画像B1101およびB1102を、それぞれ“正面(0〜15度)”および“やや斜め(15〜45度)”に対応付けて登録する。
【0011】
また、Cさんについては、顔画像C1101およびC1102を、それぞれ“正面(0〜15度)”および“やや斜め(15〜45度)”に対応付けて登録する。
【0012】
照合時には、登録した顔画像すべてについて類似度を判定し、最も類似度が高かった顔画像について、撮影条件から本人を特定する。
【0013】
特許文献2では、個々の登録人物について、照明条件や姿勢、表情などの変動要因を考慮した複数枚の画像を登録し、それらから作成された代表顔画像との照合を行う。
【0014】
図23を用いて具体的に説明すると次のとおりである。図23に示すように、事前に、Aさん、Bさん、およびCさんの各人物について、個別に複数の顔画像および撮影条件を登録するとともに、これらに基づいて生成した代表顔画像を作成しておく。
【0015】
Aさんについては、撮影条件“正面”の顔画像A1201、撮影条件“やや斜め”の顔画像A1202、および撮影条件“斜め”の顔画像A1203を登録しておく。また、Bさんについては、撮影条件“正面”の顔画像B1201および撮影条件“やや斜め”の顔画像B1202を登録しておく。また、Cさんについては、撮影条件“やや斜め”の顔画像C1202および撮影条件“斜め”の顔画像C1203を登録しておく。
【0016】
そして、Aさんについて、顔画像A1201〜A1203に基づいて代表画像D1201を生成する。また、Bさんについて、顔画像B1201、B1202に基づいて代表画像D1202を生成し、Cさんについて、顔画像C1202、B1203に基づいて代表画像D1203を生成する。
【0017】
そして、照合時には、入力顔画像と代表顔画像との類似度の判定を行って、照合の結果、類似度が低いと判定された代表顔画像に対応する個別の登録顔画像は、照合対象としない。また、特許文献2では、図24に示すように階層的に代表顔画像を生成することも記載されている。図24は、照合処理のために、性別単位の代表画像、年代単位の代表画像、および人物の代表画像に3つの階層で代表画像を生成することを示している。
【0018】
例えば、Aさんの代表画像D1231が個別画像A1241およびA1242から生成されていることを示している。B〜Gさんについて同様である。また、Aさんの代表画像D1231およびBさんの代表画像D1232から、10代の代表画像D1221が生成されていることを示している。そして、10代の代表画像D1221、20代の代表画像D1222および30代の代表画像D1223から男の代表画像D1211が生成されている。
【0019】
照合時には、入力顔画像を、性別単位の代表画像、年代単位の代表画像、および人物の代表画像と順に階層ごとに比較して、人物を特定していく。
【0020】
特許文献3では、ある条件下(例えば照明、顔向き、表情、年齢など)で撮影された顔画像から得られた特徴量ベクトルを、別の条件下の特徴量ベクトルに変換する。これにより照合時において、入力顔画像の撮影条件と、照合の対象となる画像の撮影条件とが一致するようにしている。
【0021】
例えば、図25を用いて示すと、Aさんについて撮影条件“暗い”の顔画像A1301が登録顔画像データベース1321に登録されているところ、特徴量変換器1301Aにて、特徴量ベクトルを変換し、撮影条件“明るい”の顔画像A1311および撮影条件“やや暗い”の顔画像A1312を得て変換後特徴量データベースに記憶している。
【0022】
特許文献4では、顔画像を登録する際、顔認証にふさわしい顔画像のみを登録する。顔画像を認識するために相応しい条件として、例えば、正面の顔画像のみを登録する。そして、顔認識時には、入力顔画像に含まれる人物が正面向きであるかを判断し、顔認識可能な顔画像のみを識別することで、認識精度を上げている。
【0023】
例えば、図26に示すように、登録顔画像データベース1421には、Aさん、Bさん、およびCさんについて、それぞれ撮影条件“正面”の登録顔画像A1401、A1402、およびA1403を登録する。そして、撮影条件“正面”の入力顔画像P1401を、これらの登録顔画像A1401、A1402、およびA1403と照合する。
【0024】
特許文献5では、入力顔画像の照明条件や撮影方向などのパラメータを推定し、登録顔画像に対して入力顔画像のパラメータを目標としたパラメータ調整を行い、照合用顔画像を生成し、入力顔画像と照合する。
【0025】
例えば、図27に示すように、登録顔画像データベース1521には、Aさん、Bさん、およびCさんについて、次の登録顔画像を登録する。
【0026】
まず、Aさんについて、撮影条件“やや斜め”の登録顔画像A1502および撮影条件“横顔”の登録顔画像A1504を登録する。
【0027】
また、Bさんについて、撮影条件“正面”の登録顔画像B1501を登録する。そして、Cさんについて、撮影条件“正面”の登録顔画像C1501および撮影条件“やや斜め”の登録顔画像C1502を登録する。
【0028】
そして、照合時には、Aさん、Bさん、およびCさんのそれぞれについて、入力顔画像P1501の撮影条件“斜め”に近い撮影条件の登録顔画像から照合用画像A1511、B1511、およびC1511を生成する。
【0029】
例えば、Aさんについて登録顔画像A1502、Bさんについて登録顔画像B1501およびCさんについて登録顔画像C1502に基づいて、それぞれ撮影条件“斜め”の照合用画像A1511、B1511、およびC1511を生成している。そして、入力顔画像P1501を生成した照合用画像と照合する。
【0030】
そして、特許文献6では、指定された条件における登録顔画像を登録者ごとに用意し、照合時には入力顔画像の条件と等しい顔画像を用いることで、認証精度を向上させている。
【0031】
図28を用いて説明すると、各人物について撮影条件“正面”、“上”、“下”、“左”、“右”などを含む9つの撮影条件で登録顔画像を9枚用意する。Aさんについては登録顔画像A1601〜A1609、Bさんについては登録顔画像B1601〜B1609、Cさんについては登録顔画像C1601〜C1609が登録されている。
【0032】
照合時において、例えば、撮影条件“下”の入力顔画像P1601が入力されたときには、撮影条件“下”に対応する撮影条件の登録顔画像A1608、B1608、C1608と照合処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2005−115481号公報(2005年4月28日公開)
【特許文献2】特開2006−31387号公報(2006年2月2日公開)
【特許文献3】特開2007−226441号公報(2007年9月6日公開)
【特許文献4】特開2005−4454号公報(2005年1月6日公開)
【特許文献5】特開2000−306095号公報(2000年11月2日公開)
【特許文献6】特開2005−56004号公報(2005年3月3日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
しかしながら、上記従来技術には、概して、データベースに登録されていない撮影条件で撮影された顔画像を用いて認証を行う場合、認証精度が低下するという問題がある。それぞれ、具体的に説明すると以下のとおりである。
【0035】
まず、特許文献1および2の技術は、データベースに登録されていない撮影条件で撮影された顔画像を用いて認証を行ったとき、その撮影条件を登録している他者と誤認証してしまうおそれがある。
【0036】
特許文献1について、再び図22を参照して詳しく説明すると、Bさんの横顔を撮影して得られた顔画像データが入力顔画像として入力された場合、Aさんの登録顔画像について、撮影条件“横顔”が登録されているため、入力顔画像の撮影条件と、Aさんの登録顔画像の撮影条件とが一致する。このため入力顔画像に含まれる人物を、Aさんと誤ってしまうおそれがある。
【0037】
これは、Bさんの撮影条件“横顔”の入力顔画像が、Bさんの撮影条件“やや斜め”の登録顔画像B1103よりも、同じ“横顔”の撮影条件で撮影されたAさんの登録顔画像A1104のほうに類似していると判定されるためである。
【0038】
また、特許文献2の場合、代表画像の内容は、元となる個別顔画像の撮影条件に影響される。図23では、Aさんの登録データに、撮影条件“斜め”の個別顔画像A1203が存在する。よって、入力顔画像として、撮影条件が“斜め”のBさんの顔画像が入力されたとき、個別顔画像A1203の影響により、正しく照合されず、Bさんを照合結果として返さないで、Aさんを照合結果として返してしまう可能性がある。
【0039】
また、特許文献3の技術は、ある条件下における特徴量ベクトルを、別の条件下における特徴量ベクトルに変換する際に、様々な要因から、誤差が生じてしまい、この結果、誤認証を起こしてしまうというおそれがある。
【0040】
例えば、個人により顔の凹凸が異なるため、同じ方向・明るさの光を当てたとしても光の当たり方(影のでき方)が異なる。よって、照明のかかり具合の条件を変換する際には、このような個人差を考慮しなければならない。このため、図25に示す特徴量変換器1301A〜1301Cを、Aさん〜Cさんの各人物について用意する必要がある。しかしながら、それでも個人差による誤差を個別に排除することは現実的には困難である。
【0041】
また、特許文献4の技術は、登録データと異なる撮影条件の顔画像が入力顔画像として与えられた場合、例えば、撮影条件“正面”の顔画像が登録されているところに、撮影条件“斜め”の顔画像が入力された場合、そもそも顔認証を行うことができないという問題がある。
【0042】
また、特許文献5の技術は、任意の視点からの顔画像を生成する際に誤差が生じる(段落〔0071〕参照)。また、これの問題を解消するために、複数の視点の画像を予め用意しておく措置について言及されているものの(段落〔0065〕参照)、必ずしも条件を満たすような画像を全て揃えることができるわけではないので、このような措置は現実的ではないといえる。
【0043】
そして、特許文献6の技術は、撮影条件が一致している登録データ間での照合について記載されているのみであり、登録されている人物の間で、撮影条件を揃っていない場合については記載がない。よって、全ての人物の登録データにおいて、撮影条件を揃えておくことが前提になっているものと解される(段落〔0054〕、〔0071〕、〔0122〕)。このため、データベースに登録されていない撮影条件で撮影された顔画像で、照合を行うことについては想定されていない。
【0044】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、データベースに登録されていない撮影条件で撮影された入力画像について照合を行う場合において、照合の精度を向上させることができる照合装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0045】
本発明に係る照合装置は、上記の課題を解決するために、対象物が撮影された入力画像を、対象物ごとに該対象物を撮影して得られた登録画像が登録されている登録画像データベースと照合して、上記入力画像に含まれる対象物を特定する照合装置において、上記登録画像データベースでは、上記登録画像と、該登録画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件とが対応付けられて登録されており、上記入力画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件を検出する条件検出手段と、上記登録画像に対応付けられている上記条件である登録条件と、上記入力画像から検出された上記条件である検出条件との近さを判定する条件判定手段と、判定された上記登録条件および上記検出条件の近さに基づいて、各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件のうち、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定する条件特定手段と、特定された上記登録条件が対応づけられている登録画像を用いて照合を行う照合手段とを備えることを特徴とする。
【0046】
また、本発明に係る照合装置の制御方法は、上記の課題を解決するために、対象物が撮影された入力画像を、対象物ごとに該対象物を撮影して得られた登録画像が登録されている登録画像データベースと照合して、上記入力画像に含まれる対象物を特定する照合装置の制御方法において、上記登録画像データベースでは、上記登録画像と、該登録画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件とが対応付けられて登録されており、上記入力画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件を検出する条件検出ステップと、上記登録画像に対応付けられている上記条件である登録条件と、上記入力画像から検出された上記条件である検出条件との近さを判定する条件判定ステップと、判定された上記登録条件および上記検出条件の近さに基づいて、各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件のうち、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定する条件特定ステップと、特定された上記登録条件が対応づけられている登録画像を用いて照合を行う照合ステップと、を含むことを特徴とする。
【0047】
上記構成によれば、照合時に、入力画像の検出条件と最も近い登録条件であって、各人物に共通して登録されている登録条件に対応付けられている登録画像を用いて照合を行うことができる。
【0048】
ここで照合とは、入力画像と登録画像との類似度を判定することにより、入力画像に含まれる対象物が、登録画像データベースに登録されている対象物のうちのいずれであるかを特定する処理である。
【0049】
対象物が撮影されたときの条件としては、撮影を行うときの環境に関する条件と、被写体となる対象物の状態に関する条件が含まれる。
【0050】
上記対象物とは、人物および車をはじめパターン認識可能な物体等のことをいう。また、対象物とは、ある対象物の一部であってもよい。つまり、例えるならば、ある人物と、当該ある人物の顔の関係である。
【0051】
撮影を行うときの環境に関する条件としては、例えば、上記対象物が人物である場合、人物の顔の向き、いいかえれば人物に対する撮影手段(カメラ等)の向き、顔の表情、照明の向き・強さなどが挙げられる。また、被写体となる人物の状態に関する条件としては、例えば、人物の推定年齢、性別など、人物の外観から推定できる条件が挙げられる。
【0052】
よって、条件の近さとは、人物の顔の向きであれば、その角度がどれだけ近いかということであるし、人物の推定年齢であれば、その年齢がどれだけ近いかということである。
【0053】
各対象物に共通して登録されている条件に対応付けられている登録画像を用いて照合を行うので、照合に用いる条件を揃えることができる。
【0054】
また、各対象物で照合の条件が揃った状態である登録条件のうち、最も入力画像の検出条件に近い登録条件に対応付けられている登録画像を用いるので照合の精度も向上する。
【0055】
この結果、入力画像が撮影されたときの検出条件が、登録画像が撮影されたときの登録条件と異なる場合においても精度の高い照合結果を得られるという効果を奏する。
【0056】
本発明に係る照合装置では、上記条件判定手段は、登録画像データベースに登録されているある対象物について、上記登録画像の上記登録条件と、上記入力画像から検出された上記検出条件との近さを判定し、上記条件特定手段は、上記判定の結果、上記登録条件および上記検出条件の近さが近い順に、登録画像データベースに登録されている他の対象物の登録画像に対応付けられている登録条件について、上記ある対象物についての上記登録条件と一致する条件が存在するかを判定することにより、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近い上記登録条件を特定することが好ましい。
【0057】
上記構成によれば、まず、ある人物について、登録画像の登録条件と、入力画像から検出された検出条件との近さを判定する。そして、ある人物について判定された条件の近さに基づいて、各人物に共通に登録されている登録画像の登録条件のうち、上記入力画像から検出された検出条件と最も近いものを特定する。
【0058】
このとき、ある人物について登録されている登録画像の登録条件が、他の人物の登録画像の登録条件として存在するかを判定することにより、上記入力画像から検出された検出条件と最も近いものを特定することになる。
【0059】
このように、上記構成によれば、ある人物について登録されている登録画像の登録条件を基準として、他の人物の登録画像の登録条件として存在するかを順に判定して、各人物に共通に登録されている登録画像の登録条件を特定することができる。
【0060】
よって、各人物に共通に登録されている登録画像の登録条件を予め調べておかなくても、入力画像から検出された検出条件と最も近く、かつ各人物について共通に登録されている登録条件を比較的簡便かつ効率的に特定することができる。
【0061】
本発明に係る照合装置では、各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件を予め選択する選択手段を備え、上記条件特定手段は、予め選択された上記登録条件から、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定することが好ましい。
【0062】
上記構成によれば、予め照合に用いる登録条件を選択しておくので、照合処理の高速化および処理負荷の低減を図ることができるという効果を奏する。
【0063】
本発明に係る照合装置では、上記登録画像データベースに登録されている上記登録画像に対応付けられている登録条件の数を、該登録条件ごとに集計する集計手段と、上記登録画像データベースに登録されている対象物の数と、集計された上記登録条件の数とが一致する登録条件を検出する条件検出手段と、上記条件判定手段は、上記検出された登録条件から、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定することが好ましい。
【0064】
登録画像データベースにおいて登録されている人物の数と、ある登録条件の数とが一致する場合、当該ある登録条件は、各人物について共通に登録されている登録条件である。
【0065】
上記構成によれば、登録条件を集計して、登録画像データベースにおいて登録されている人物の数と、一致するか否か判定するので迅速に各人物について共通に登録されている登録条件を求めることができ、照合処理の速度向上を図ることができるという効果を奏する。
【0066】
本発明に係る照合装置では、上記条件特定手段は、上記各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件が存在しない場合、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近い上記登録条件を対象物ごとに特定することが好ましい。
【0067】
上記構成によれば、各人物に共通に登録されている登録画像の登録条件が存在しない場合であっても、入力画像から検出された検出条件と最も近い登録条件を人物ごとに特定することができる。そして、このように特定された登録条件が対応づけられている登録画像を用いて照合を行うことができる。
【0068】
よって、各人物に共通に登録されている登録画像の登録条件が存在しない場合でも、なるべく照合に用いる登録画像の登録条件を揃えることができ、照合の精度が向上するという効果を奏する。
【0069】
本発明に係る照合装置では、上記登録条件および上記検出条件は、対象物が撮影されたときの撮影条件を示す連続値のうちの特定の値であることが好ましい。
【0070】
上記構成によれば、登録条件および検出条件が、人物が撮影されたときの撮影条件を示す連続値のうちの特定の値である。撮影条件を示す連続値とは、例えば、人物が撮影されたときの方向や、その人物の推定年齢などのことである。
【0071】
このような連続値に基づいて照合を行うので、より詳細な基準に基づいて照合を行うことができるという効果を奏する。
【0072】
本発明に係る照合装置では、上記対象物が人物の顔であることが好ましい。
【0073】
すなわち、入力画像は、人物の顔が撮影された入力顔画像であり、上記登録画像データベースには、人物ごとに該人物の顔を撮影して得られた登録顔画像が登録されている。
【0074】
上記構成によれば、人物の顔を精度よく照合することができるという効果を奏する。
【0075】
なお、上記照合装置と、上記入力画像を上記照合装置に供給する画像入力装置と、を備えるデジタル画像処理システムを好ましく構成することができる。
【0076】
デジタル画像処理システムの例としては、プリンタ、スキャナ、パーソナルコンピュータや、デジタルカメラなどが挙げられる。また、上記照合装置と、上記画像入力装置とが通信ネットワークにより接続されている構成を採用することも可能である。
【0077】
また、上記照合装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより照合装置をコンピュータにて実現させる照合装置制御プログラムおよびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0078】
本発明に係る照合装置は、登録画像データベースに、登録画像と、該登録画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件とが対応付けられて登録されており、入力画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件を検出する条件検出手段と、上記登録画像に対応付けられている上記条件である登録条件と、上記入力画像から検出された上記条件である検出条件との近さを判定する条件判定手段と、判定された上記登録条件および上記検出条件の近さに基づいて、各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件のうち、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定する条件特定手段と、特定された上記登録条件が対応づけられている登録画像を用いて照合を行う照合手段とを備える構成である。
【0079】
また、本発明に係る照合装置の制御方法は、登録画像データベースに、登録画像と、該登録画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件とが対応付けられて登録されており、入力画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件を検出する条件検出ステップと、上記登録画像に対応付けられている上記条件である登録条件と、上記入力画像から検出された上記条件である検出条件との近さを判定する条件判定ステップと、判定された上記登録条件および上記検出条件の近さに基づいて、各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件のうち、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定する条件特定ステップと、特定された上記登録条件が対応づけられている登録画像を用いて照合を行う照合ステップと、を含む方法である。
【0080】
これにより、入力画像が撮影されたときの条件が、登録画像が撮影されたときの条件と異なる場合においても精度の高い照合結果を得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施形態に係る顔照合装置の構成例について示す機能ブロック図である。
【図2】上記顔照合装置が備える登録顔画像データベースに格納される登録データの一例を示す図である。
【図3】上記顔照合装置における登録処理の流れの一例について示したフローチャートである。
【図4】上記顔照合装置における照合処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【図5】上記顔照合装置における照合処理の具体例について示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る顔照合装置の構成例について示す機能ブロック図である。
【図7】上記顔照合装置における事前選択処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【図8】上記顔照合装置における照合処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【図9】上記顔照合装置における事前選択処理および照合処理の具体例について示す図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係る顔照合装置の構成例について示す機能ブロック図である。
【図11】上記顔照合装置における登録処理の流れの一例について示したフローチャートである。
【図12】上記顔照合装置における照合処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【図13】上記顔照合装置が備える登録顔画像データベースに格納される登録データの一例を示す図である。
【図14】上記顔照合装置が備える集計情報記憶部に記憶される集計情報の一例を示す図である。
【図15】本発明のさらに別の実施形態に係る顔照合装置の構成例について示す機能ブロック図である。
【図16】上記顔照合装置における照合処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【図17】上記顔照合装置における選択工程の具体例について示す図である。
【図18】本発明のさらに別の実施形態に係る顔照合装置の構成例について示す機能ブロック図である。
【図19】上記顔照合装置における登録処理の流れの一例について示したフローチャートである。
【図20】上記顔照合装置における照合処理の流れの一例について示したフローチャートである。
【図21】上記顔照合装置が備える登録顔画像データベースに格納される登録データの一例を示す図である。
【図22】従来の照合処理について説明する図である。
【図23】従来の照合処理について説明する図である。
【図24】従来の照合処理について説明する図である。
【図25】従来の照合処理について説明する図である。
【図26】従来の照合処理について説明する図である。
【図27】従来の照合処理について説明する図である。
【図28】従来の照合処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
〔実施形態1〕
本発明の顔照合装置に関する一実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
【0083】
図1に示すとおり、顔照合システム(デジタル画像処理システム)1は、顔照合装置(照合装置)10および撮影装置(画像入力装置)50を備える構成である。
【0084】
撮影装置50は、被写体である撮影して画像を生成する撮像部51を備えている。
【0085】
撮像部51は、具体的には、撮像レンズ、撮像素子、フレームメモリ、メカ機構、モータ等から構成される。また、撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを採用することができる。
【0086】
なお、以下において、説明の便宜のため、撮像部51では、被写体として人物を所定方向から撮影し、人物の顔を含む顔画像を生成するものとする。
【0087】
顔照合装置10は、撮影装置50と通信可能に接続されており、撮影装置50が備える撮像部51から顔画像を取得することができる。以下、撮像部51から取得する顔画像を“入力顔画像”と称する。
【0088】
顔照合装置10は、操作部11、表示部12、記憶部20、および制御部30を備える構成である。
【0089】
操作部11は、ユーザから各種の入力を受け付けるものであり、入力用ボタン、キーボード、テンキー、マウスなどのポインティングデバイス、タッチパネル、その他の入力デバイスによって構成される。受け付けたユーザの操作に応じて操作データを生成し、生成した操作データを制御部30に送信する。
【0090】
表示部12は、ユーザに対して、情報提供を行うための画面表示を行うものである。表示部12は、制御部30から受信した画面データに基づいて、表示画面に文字や画像などの各種の情報を表示する。表示部12は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示デバイスによって構成される。
【0091】
記憶部20は、各種データおよびプログラムを記憶するものである。記憶部20の構成としては、例えば、ハードディスク等の不揮発性の記憶装置と、制御部30が動作するときに必要なプログラムや、各種制御に用いる固定データを記憶する読出し専用の半導体メモリであるROM(Read Only Memory)と、演算に使用するデータ、および演算結果などを一時的に記憶する、いわゆるワーキングメモリとしてのRAMと、各種の設定データなどを記憶する書換え可能な不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)とが挙げられる。なお、記憶部20の詳細については後述する。
【0092】
制御部30は、顔照合装置10における各種機能を統括的に制御するものである。制御部30の制御機能は、制御プログラムをCPU(Central Processing Unit)などの処理装置が実行することによって実現される。この制御プログラムは、例えば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリなどの記憶素子としての記憶部20に記憶されていてもよいし、ハードディスクなどにインストールされたものを読み込んで使用する形態であってもよい。なお、制御部30の詳細については後述する。
【0093】
(記憶部の詳細について)
次に、図1および図2を用いて、記憶部20の詳細について説明する。図1に示すとおり、記憶部20は、顔画像を種々のデータとともに登録しておくための登録顔画像データベース(登録画像データベース)21を備える構成である。図2を用いて登録顔画像データベース21に登録される登録データについて説明する。
【0094】
図2に示すとおり、登録顔画像データベース21には、人物ごとに、登録顔画像と撮影条件(登録条件)とが対応付けられて登録データとして登録される。
【0095】
登録される人物には、“Aさん”、“Bさん”、および“Cさん”などのIDが付与されており、これにより個人が識別される。これらは飽くまで一例であり、識別IDには任意のものを用いることができる。
【0096】
なお、以下では、登録された顔画像のこと、つまり撮像部51から取得した入力顔画像を登録顔画像データベース21に登録したものを“登録顔画像”と称する。
【0097】
撮影条件とは、撮像部51が、人物を撮影したときの方向を示す情報である。登録顔画像データベース21では、人物を撮影したときの方向を、例示的に、“正面(0〜15度)”、“やや斜め(15〜45度)”、“斜め(45〜75度)”および“横顔(75〜90度)”の4つの範囲に区分して管理している。
【0098】
図2に示す登録顔画像データベース21には、より詳細に説明すれば、“Aさん”、“Bさん”、および“Cさん”の登録データが登録されている。
【0099】
“Aさん”については、登録顔画像A1〜A4が登録されている。登録顔画像A1は、撮影条件“正面(0〜15度)”が対応づけられている。また、登録顔画像A2、A3およびA4には、それぞれ、撮影条件“やや斜め(15〜45度)”、“斜め(45〜75度)”および“横顔(75〜90度)”が対応付けられている。
【0100】
“Bさん”については、撮影条件“正面(0〜15度)”と対応づけられた登録顔画像B1、および、撮影条件“やや斜め(15〜45度)”と対応づけられた登録顔画像B2が登録されている。
【0101】
同様に、“Cさん”については、登録顔画像C1、C2およびC3に、それぞれ、撮影条件“正面(0〜15度)”、“やや斜め(15〜45度)”、および“斜め(45〜75度)”が対応付けられて登録されている。
【0102】
(制御部の詳細について)
次に、図1を用いて、制御部30の詳細について説明する。図1に示すように、制御部30は、顔画像取得部31、条件検出部(条件検出手段)32、ID取得部33、顔画像登録部34、登録顔画像選択部(条件判定手段、条件特定手段)35、および照合部(照合手段)36を備える構成である。
【0103】
制御部30において実行される処理には、大きくわけて「登録処理」および「照合処理」の2つがある。
【0104】
「登録処理」は、制御部30の各部構成のうち、顔画像取得部31、条件検出部32、ID取得部33、および顔画像登録部34により実行される。
【0105】
また、「照合処理」は、制御部30の各部構成のうち、顔画像取得部31、条件検出部32、登録顔画像選択部35、および照合部36により実行される。
【0106】
顔画像取得部31は、操作部11における入力操作に応じて、撮像部51から入力顔画像を取得するものである。顔画像取得部31は、取得した入力顔画像を条件検出部32に転送する。
【0107】
条件検出部32は、入力顔画像を解析して、被写体が撮影されたときの撮影条件を検出する。条件検出部32は、一例として、入力顔画像に含まれる人物を撮影したときの方向を検出する。
【0108】
ここで、条件検出部32は、例示的に、人物を撮影したときの方向として、“正面(0〜15度)”、“やや斜め(15〜45度)”、“斜め(45〜75度)”および“横顔(75〜90度)”の4つの範囲を検出することとしている。
【0109】
条件検出部32は、登録処理時には、入力顔画像と、その解析により得られた撮影条件とを顔画像登録部34に送信する。また、条件検出部32は、照合処理時には、入力顔画像と、その解析により得られた撮影条件(検出条件)とを登録顔画像選択部35に送信する。
【0110】
ID取得部33は、登録顔画像データベース21に登録する人物を特定するためのIDを取得するためのものである。ID取得部33は、操作部11において入力されたIDを取得して顔画像登録部34に送信する。IDとしては、人物の氏名やニックネーム等任意のものが使用できる。
【0111】
顔画像登録部34は、顔画像を登録顔画像データベース21に登録するためのものである。顔画像登録部34は、登録処理において、条件検出部32から送信される入力顔画像および撮影条件に、ID取得部33から送信されるIDを付与して、登録顔画像データベース21に登録する。
【0112】
登録顔画像選択部35は、照合処理において、各人物について登録されている複数の登録顔画像のうち、照合に用いるべき登録顔画像を選択するものである。より具体的には、登録顔画像選択部35は、各人物について共通に登録されている撮影条件であって、条件検出部32から送信される撮影条件に最も近い撮影条件を選択する。
【0113】
ここで、撮影条件の近さとは、人物を撮影したときの方向が似通っている度合いのことをいう。例えば、撮影条件“正面(0〜15度)”は、撮影条件“斜め(45〜75度)”とよりも撮影条件“やや斜め(15〜45度)”とのほうがより条件が近い。また、撮影条件“正面(0〜15度)”は、撮影条件“横顔(75〜90度)”とよりも撮影条件“斜め(45〜75度)”とのほうがより条件が近い。
【0114】
照合部36は、登録顔画像選択部35が各人物について選択した登録顔画像を用いて、入力顔画像との照合処理を行うものである。より具体的には、照合部36は、選択された登録顔画像と入力顔画像との類似度を求め、最も類似度の高い登録顔画像のIDを表示部12に出力する。
【0115】
(登録処理の流れ)
次に、図3を用いて、顔照合装置10における登録処理の流れについて説明する。図3は、登録処理の流れの一例について示したフローチャートである。
【0116】
まず、条件検出部32が、顔画像取得部31から取得した入力顔画像を解析して、入力顔画像の撮影条件を検出する(S101)。
【0117】
続いて、ID取得部33が、操作部11において入力されたIDを取得する(S102)。
【0118】
そして、顔画像登録部34が、IDと、入力顔画像と、撮影条件とを関連付けて登録顔画像データベース21に登録する(S103)。
【0119】
(照合処理の流れ)
次に、図4を用いて、顔照合装置10における照合処理の流れについて説明する。図4は、照合処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【0120】
まず、条件検出部32が、顔画像取得部31から取得した入力顔画像を解析して、入力顔画像の撮影条件を検出する(S111)。
【0121】
ここで、登録顔画像選択部35が、登録人物変数nに1を設定する(S112)。登録人物変数nは、登録されている人物を指定するための変数である。登録されている人物のIDには通し番号、例えば登録順の番号が割り当てられており、登録顔画像データベース21においてN人の人物が登録されている場合、それぞれの人物には、1、2、3、…、Nが割り当てられる。つまり、登録人物変数nは、登録されている1〜N番目の人物のうち、n番目の人物を指定するための変数である。
【0122】
続いて、登録顔画像選択部35は、n番目(n=1)の人物について、登録されている撮影条件のうち、入力顔画像の撮影条件と、最も近いものを照合時に用いる条件の候補(以下、条件項目と称する)とする(S113)。
【0123】
そして、登録顔画像選択部35は、n=Nであるか否かを判定する(S114)。ここでは、登録顔画像選択部35が、登録顔画像を選択するときの終了条件について判定している。n=Nでなければ(S114にいおいてNO)、未だN人の人物について、共通の撮影条件であって入力顔画像の撮影条件と最も近いものが選択されていないので、登録顔画像選択部35は、nをインクリメント、すなわちn=n+1を実行して(S115)、n番目の人物について、現在の条件項目と同一の撮影条件が登録されているか否かを判定する(S116)。
【0124】
ここで、n番目の人物について、条件項目と同一の撮影条件が登録されている場合(S116においてYES)、処理は、S114に戻る。S114〜S116のループは、n番目の人物について条件項目と同一の撮影条件が登録されているか否かを判定するものであり、N番目の人物まで順番に繰り返し撮影条件を判定する。
【0125】
一方、n番目の人物について条件項目と同一の撮影条件が登録されていない場合(S116においてNO)、登録顔画像選択部35は、nに1を設定する(S117)とともに、現在の条件項目を照合時に使用する条件の候補から除外する(S118)。これは、n番目の人物について、現在の条件項目と同一の撮影条件が登録されていない場合、当該条件項目は、各人物に共通に登録されている撮影条件とはいえないからである。
【0126】
続いて、登録顔画像選択部35が、現在の条件項目の次に入力顔画像の撮影条件と近い条件を新たな条件項目として設定して(S119)、処理は、S114に戻る。
【0127】
このようにして、S114において、n=Nとなるまで、登録顔画像選択部35が、ループを繰り返して各人物に共通な撮影条件を選択すると(S114においてYES)、照合部36は、求めた撮影条件に対応付けられている登録顔画像に基づいて、入力顔画像を照合する(S120)。
【0128】
このように、照合処理では、S120にて用いる登録顔画像を選択する選択工程を実行した後、S120にて、選択された登録顔画像を用いて入力顔画像を照合する選択工程とを実行する。
【0129】
(具体例)
次に、図5を用いて、照合処理の具体例について説明する。図5は、登録顔画像データベース21において図2に示すような登録データが登録されている場合に、撮影条件が“斜め(45〜75度)”である入力顔画像P3が入力されたときの照合処理について示す図である。まず、登録顔画像選択部35は、(1)“Aさん”について、入力顔画像P3の撮影条件“斜め(45〜75度)”に最も近い撮影条件が対応付けられている登録顔画像A3を検出する。
【0130】
そして、登録顔画像選択部35は、(2)“Bさん”について、撮影条件“斜め(45〜75度)”に対応付けられている登録顔画像を検索するが、そのような登録顔画像が存在しないので、(3)“Aさん”について、登録顔画像A3の撮影条件の次に入力顔画像P3の撮影条件“斜め(45〜75度)”に近い撮影条件である“やや斜め(15〜45度)”が対応付けられている登録顔画像A2を検出する。
【0131】
続いて、登録顔画像選択部35は、(4)“Bさん”について、撮影条件“やや斜め(15〜45度)”が対応付けられている登録顔画像B2を検出する。さらに、登録顔画像選択部35は、(5)“Cさん”について、撮影条件“やや斜め(15〜45度)”が対応付けられている登録顔画像C2を検出する。
【0132】
このような照合処理の流れにより、登録顔画像選択部35が、“Aさん”、“Bさん”、および“Cさん”のそれぞれについて、撮影条件“やや斜め(15〜45度)”が対応付けられている登録顔画像A2、B2、およびC2を選択する。照合部36は、登録顔画像選択部35によって選択された登録顔画像A2、B2、およびC2に基づいて、入力顔画像P3の照合を行う。
【0133】
以上のように、顔照合装置10は、人物の顔が撮影された入力顔画像を、人物ごとに該人物の顔を撮影して得られた登録顔画像が登録されている登録顔画像データベース21と照合して、上記入力顔画像に含まれる人物を特定する顔照合装置10において、登録顔画像データベース21では、上記登録顔画像と、該登録顔画像に含まれる人物が撮影されたときの撮影条件とが対応付けられて登録されており、上記入力顔画像に含まれる人物が撮影されたときの撮影条件を検出する条件検出部32と、上記登録顔画像の上記撮影条件と、上記入力顔画像から検出された上記撮影条件との近さを判定し、判定した上記撮影条件の近さに基づいて、各人物に共通に登録されている登録顔画像の撮影条件のうち、上記入力顔画像から検出された上記撮影条件と最も近いものを選択する登録顔画像選択部35と、選択された撮影条件が対応づけられている登録顔画像を用いて照合を行う照合部36とを備える構成である。
【0134】
これにより、入力顔画像の撮影条件が、登録顔画像の撮影条件と異なる場合においても精度の高い照合結果を得られるという効果を奏する。
【0135】
(変形例)
以下において、顔照合装置10の好ましい変形例について説明する。
【0136】
以上の説明では、人物の顔画像を照合する顔照合装置について説明したが、照合する対象は人物に限られない。人物だけでなく対象物を登録画像として登録画像データベースに登録しておき、入力画像に含まれる対象物を、登録画像データベースと照合する照合装置として構成することもできる。
【0137】
以上の説明では、顔画像取得部31は、撮像部51から顔画像を取得していたがこれに限られない。顔照合装置10に外部と通信を行うための通信部(不図示)を設けて、顔照合装置10をネットワークに接続可能にし、顔画像取得部31が、ネットワークを介して外部から顔画像を取得するように構成してもよい。
【0138】
また、顔照合装置10に外部記録媒体読取部(不図示)を設けて、外部記録媒体に記録されている顔画像を外部記録媒体読取部が読み取ったもの顔画像取得部31が取得するように構成してもよい。
【0139】
また、顔照合装置10が、登録顔画像データベース21を備えていることは必須ではなく、登録顔画像データベース21は、外部のサーバ装置等に備えられていてもよい。そして、顔照合装置10が登録処理および照合処理において、登録顔画像データベース21を備える外部のサーバ装置に、通信ネットワークを介して適宜アクセス可能となっていてもよい。
【0140】
以上の説明では、説明の簡潔化のため、撮影条件として、人物を撮影したときの方向を示す情報を用いたがこれに限られない。撮影条件としては、照明、顔の向き、表情、年齢、化粧方法、装着物の有無、髪型、画像の解像度その他の顔の特徴量を決定する要因を用いることができる。
【0141】
つまり、撮影装置50における被写体との角度・方向、照明等の撮影の環境に関する条件設定にとどまらず、被写体の人物の外観に関わる条件についても、上記撮影条件に含まれるものと考えることができる。
【0142】
〔実施形態2〕
本発明の顔照合装置に関する他の実施形態について図6〜図9に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前述の実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0143】
以下では、まず、図6を用いて、本実施形態に係る顔照合装置(照合装置)10Aについて説明する。顔照合装置10Aは、照合処理に用いる登録顔画像の撮影条件を、登録処理の後、照合処理までに、事前に選択しておくことで、照合処理における選択工程を省いて、処理の高速化および負荷低減を図るものである。
【0144】
このため、言い換えれば、顔照合装置10Aでは、顔照合装置10における「照合処理」で実行していた「選択工程」を「事前選択処理」という独立した処理で行なうともいえる。
【0145】
なお、顔照合装置10Aにおける登録処理については、顔照合装置10のものと同様であるので、その説明は省略する。
【0146】
(構成の詳細について)
図6に示すように、顔照合装置10Aは、図1に示す顔照合装置10において登録顔画像選択部35および照合部36を、それぞれ、登録顔画像事前選択部(選択手段)37および照合部(照合手段)36Aに変更したものである。
【0147】
なお、条件検出部32は、これらの構成変更に伴い、照合処理において、入力顔画像と撮影条件とを照合部36Aに送信するように変更している。
【0148】
登録顔画像事前選択部37は、登録顔画像データベース21を参照して、各人物に共通に登録されている撮影条件を事前に確認して、照合処理に用いる登録顔画像の撮影条件を事前に選択しておくものである。登録顔画像事前選択部37は、照合処理に用いる登録顔画像の撮影条件を選択すると、選択した撮影条件に、当該登録顔画像が選択されたことを示す「登録済み情報」を付与して、登録顔画像データベース21を更新する。
【0149】
照合部36Aは、照合処理において、選択されている登録顔画像を用いて照合処理を行うものである。つまり照合部36が、登録顔画像選択部35が選択した登録顔画像について照合処理を行うのに対して、照合部36Aは、登録顔画像データベース21を参照して、「選択済み情報」が付与されている撮影条件について照合処理を行う。なお、照合部36Aでは、照合処理における類似度の判定については、照合部36と同じ手法を用いることができる。
【0150】
(事前選択処理の流れ)
次に、図7を用いて、顔照合装置10Aの事前選択処理の流れについて説明する。図7は、事前選択処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【0151】
登録顔画像事前選択部37が、撮影条件変数mに1を設定する(S201)。撮影条件変数mは、撮影条件を指定するためのものである。より具体的に説明すると次のとおりである。
【0152】
ある人物の登録顔画像の撮影条件には通し番号(例えば、当該人物について、その撮影条件が何番目に登録されたか)が割り当てられており、登録顔画像データベース21において、ある人物についてM枚の登録顔画像が登録されている場合、それぞれの登録顔画像に対応づけられている撮影条件には、1、2、3、…、Mが割り当てられる。撮影条件変数mは、m番目の撮影条件を指定するためのものである。
【0153】
続いて、登録顔画像事前選択部37が、登録人物変数nに1を設定する(S202)。ここで、登録顔画像事前選択部37は、n番目の登録顔画像の撮影条件を、条件項目とする(S203)。
【0154】
そして、登録顔画像事前選択部37は、n=Nであるか否かを判定する(S204)。ここでは、登録顔画像事前選択部37が、m番目の撮影条件が、N番目の人物まで含まれているか判定したかを確認している。
【0155】
n=Nでなければ(S204においてNO)、登録顔画像事前選択部37は、n=n+1を実行して(S205)、n番目の人物について現在の条件項目と同一の撮影条件が登録されているか否かを判定する(S206)。
【0156】
ここで、n番目の人物について、条件項目と同一の撮影条件が登録されている場合(S206においてYES)、処理はS204に戻る。つまり、S204〜S206のループは、n番目の人物について条件項目が同一の撮影条件が登録されているか否かを判定するものであり、N番目の人物まで順番に繰り返し撮影条件を判定する。
【0157】
一方、n番目の人物について、条件項目と同一の撮影条件が登録されていない場合(S206においてNO)、登録顔画像事前選択部37は、nに1を設定する(S207)とともに、m=m+1を実行する(S208)。つまり、この場合、現在の条件項目は、各人物に共通の撮影条件ではないので、次の撮影条件を指定するためにmをインクリメントするのである。
【0158】
そして、処理はS203に戻り、登録顔画像事前選択部37は、インクリメントしたmについて、m番目の登録顔画像の条件を条件項目として、処理を続行する。
【0159】
このようにして、S204において、n=Nとなるまで、m番目の撮影条件について、S203〜S208のループを繰り返して各人に共通な撮影条件を求めると(S204においてYES)、登録画像顔事前選択部37は、現在の条件項目を、照合に用いる撮影条件として選択する(S209)。つまり、登録顔画像事前選択部37は、各人物について、選択した撮影条件に対して「選択済み情報」を付与して、登録顔画像データベース21を更新する。
【0160】
次に、登録顔画像事前選択部37は、m=Mであるか否かを判定する(S210)。ここで、m=Mでなければ(S210においてNO)、まだ選択するか否かを判定をしていない撮影条件があるため、S202に戻り、処理は続行される。一方、m=Mであれば(S210においてYES)、事前選択処理は終了する。
【0161】
(照合処理の流れ)
次に、図8を用いて、照合部36Aにおける照合処理の流れについて説明する。図8は、照合処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【0162】
まず、条件検出部32が、顔画像取得部31から取得した入力顔画像を解析して、入力顔画像の撮影条件を検出する(S220)。
【0163】
次に、照合部36Aが、登録顔画像データベース21を参照し、「選択済み情報」が付された撮影条件であって、検出された撮影条件に最も近い撮影条件が対応付けられた登録顔画像を、それぞれの登録人物について取得して、取得した登録顔画像に基づいて、入力顔画像を照合する(S221)。
【0164】
(具体例)
次に、図9を用いて、事前選択処理および照合処理の具体例について説明する。図9は、図2で示した登録データが、登録顔画像データベース21に格納されている場合における事前選択の例について示している。
【0165】
図9に示す登録顔画像データベース21では、Aさん、Bさん、およびCさんの各人物について、撮影条件“正面(0〜15度)”および撮影条件“やや斜め(15〜45度)”が登録されている。
【0166】
従って、Aさんの登録顔画像A1およびA2、Bさんの登録顔画像B1およびB2、そしてCさんの登録顔画像C1およびC2の撮影条件には、事前選択処理により、「選択済み情報」が付与される。図9は、登録顔画像A1,A2,B1,B2,C1,およびC2の撮影条件に、「選択済み情報」が付与されており事前選択されていることを示している。
【0167】
これに対して、Aさんの登録顔画像A3の撮影条件“斜め(45〜75度)”および登録顔画像A4の撮影条件“横顔(75〜90度)”は選択されていない。また、Cさんの登録顔画像C3の撮影条件“斜め(45〜75度)”も選択されていない。各人物に共通に登録されている撮影条件ではないからである。
【0168】
そして、照合処理では、「選択済み情報」が付されている撮影条件“正面(0〜15度)”に対応付けられている登録顔画像A1、B1、C1、または、撮影条件“やや斜め(15〜45度)”に対応付けられている登録顔画像A2、B2、C2が用いられる。
【0169】
例えば、入力顔画像の撮影条件が、“正面(0〜15度)”である場合、撮影条件が一致している登録顔画像A1、B1、C1が照合処理に用いられる。
【0170】
〔実施形態3〕
本発明の顔照合装置に関するさらに別の実施形態について図10〜図14に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前述の実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0171】
以下では、まず、図10を用いて、本実施形態に係る顔照合装置(照合装置)10Bについて説明する。顔照合装置10Bでは、登録処理において、照合処理に用いる登録顔画像の撮影条件を特定するために用いるフラグを設定し、フラグに基づき照合処理を行うことで、照合処理における処理の高速化および負荷低減を図っている。
【0172】
(構成の詳細について)
図10に示すように、顔照合装置10Bは、図1に示す顔照合装置10において顔画像登録部34および照合部36を、それぞれ、顔画像登録部(集計手段)34Bおよび照合部(条件特定手段、照合手段)36Bに変更するとともに、フラグ判定部(条件判定手段)38および集計情報記憶部22を追加したものである。
【0173】
なお、条件検出部32は、これらの構成変更に伴い、照合処理において、撮影条件をフラグ判定部38に送信するように変更している。
【0174】
集計情報記憶部22は、登録顔画像データベース21に登録されている登録データの登録人物の数、および撮影条件に関連づけて設定されるフラグの数を集計した集計情報を記憶する。
【0175】
顔画像登録部34Bは、登録顔画像を登録するときに、当該登録顔画像の撮影条件に応じたフラグを設定して、登録顔画像データベース21に登録するとともに、顔画像登録部34Bは、登録顔画像データベース21を参照して、フラグを集計し、集計情報記憶部22に集計結果を記憶する。
【0176】
撮影条件に応じたフラグとは、各撮影条件を一意に特定できるような識別子である。
【0177】
フラグ判定部38は、照合処理において、集計情報記憶部22を参照して、フラグの集計結果を判定することにより、照合に用いる登録顔画像の候補を選択するものである。フラグ判定部38は、フラグの判定結果を照合部36Bに送信する。
【0178】
照合部36Bは、フラグ判定部38によって選択された登録顔画像の候補を用いて入力顔画像の照合処理を行うものである。
【0179】
(登録処理の流れ)
次に、図11を用いて、顔照合装置10Bにおける登録処理の流れについて説明する。図11は、登録処理の流れの一例について説明するフローチャートである。
【0180】
まず、条件検出部32が、顔画像取得部31から取得した入力顔画像を解析して、入力顔画像の撮影条件を検出する(S301)。
【0181】
次に、ID取得部33が操作部11において入力されたIDを取得する(S302)。
【0182】
次に、顔画像登録部34Bが、撮影条件に応じたフラグを当該撮影条件に設定して、ID、入力顔画像、撮影条件、およびフラグを関連づけて、登録顔画像データベース21に登録する(S303)。また、顔画像登録部34Bは、顔画像の登録後、登録顔画像データベース21を参照して、登録データの登録人物の数、および撮影条件に関連づけて設定されるフラグの数を集計して、集計結果を集計情報として集計情報記憶部22に記憶する。
【0183】
(照合処理の流れ)
次に、図12を用いて、顔照合装置10Bの照合処理の流れについて説明する。図12は、照合処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【0184】
まず、フラグ判定部38が、集計情報記憶部22を参照して、登録人物の数=フラグの数となる撮影条件の登録顔画像を、照合処理に用いる登録顔画像の候補として選択する(S311)。
【0185】
次に、条件検出部32が、顔画像取得部31から取得した入力顔画像を解析して、入力顔画像の撮影条件を検出する(S312)。
【0186】
次に、照合部36Bが、条件検出部32により候補として選択された登録顔画像を用いて、入力顔画像を照合する(S313)。
【0187】
(具体例)
次に、図13および図14を用いて、フラグ設定の具体例について説明する。図13は、図2で示した登録データに、フラグを設定した場合の例を示す図である。
【0188】
顔画像登録部34Bは、顔画像を登録するとき、撮影条件“正面(0〜15度)”、“やや斜め(15〜45度)”、“斜め(45〜75度)”および“横顔(75〜90度)”に対して、それぞれフラグa、b、c、およびdを設定する。
【0189】
図13に示す登録顔画像データベース21では、Aさんについては、登録顔画像A1〜A4に各撮影条件が登録されている。よって、登録顔画像A1、A2、A3およびA4の撮影条件に対して、フラグa、b、c、およびdが設定されている。
【0190】
また、Bさんについては、登録顔画像B1の撮影条件“正面(0〜15度)”についてフラグaが設定され、登録顔画像B2の撮影条件“やや斜め(15〜45度)”についてフラグbが設定されている。
【0191】
そして、Cさんについては、登録顔画像C1、C2、C3の撮影条件について、それぞれフラグa、フラグb、フラグcが設定されている。
【0192】
Aさん、Bさん、およびCさんの各人物について、撮影条件“正面(0〜15度)”および撮影条件“やや斜め(15〜45度)”が共通に登録されている。
【0193】
続いて、図14を用いて、顔画像登録部34Bのフラグ集計について、詳細に説明する。図14は、集計情報記録部22に記憶されている集計情報について例示した図である。
【0194】
図14に示すように、顔画像登録部34Bは、登録顔画像データベース21の登録データに基づいて、次の項目を集計情報として設定する。
【0195】
まず、顔画像登録部34Bは、登録人物の数を集計して登録者数の項目T5に“3”を設定する。また、フラグaおよびフラグbは、Aさん、Bさん、Cさんの登録データについて設定されているので、顔画像登録部34Bは、フラグaの個数の項目T1およびフラグbの個数の項目T2に、“3”を設定する。また、フラグcは、AさんおよびCさんの登録データについて設定されているので、顔画像登録部34Bは、フラグcの個数の項目T3に、“2”を設定する。そして、フラグdは、Aさんの登録データにのみ設定されているので、顔画像登録部34Bは、フラグdの個数の項目T4に、“1”を設定する。
【0196】
従って、フラグaの個数およびフラグbの個数が、登録者数と一致することになり、照合処理においては、フラグaまたはフラグbが設定されている撮影条件の登録顔画像が照合部36Bによって用いられる。
【0197】
なお、フラグaの個数およびフラグbの個数が、登録者数と一致している場合、フラグaの個数の項目T1およびフラグbの個数の項目T2に、さらにその旨を示す一致情報が付与されていてもかまわない。また、照合部36Bは、一致情報が付与されている撮影条件の登録顔画像を照合処理において用いるようにしてもかまわない。
【0198】
〔実施形態4〕
本発明の顔照合装置に関するさらに別の実施形態について図15〜図17に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前述の実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0199】
以下では、まず、図15を用いて、本実施形態に係る顔照合装置(照合装置)10Cについて説明する。顔照合装置10Cでは、照合処理において、各人物に共通に登録されている撮影条件が無かった場合、各人物について、入力顔画像の撮影条件に最も近い撮影条件に対応付けられている登録顔画像を選択して、選択した登録顔画像を用いて入力顔画像を照合する。
【0200】
これにより、顔照合装置10Cの照合処理において、各人物に共通に登録されている撮影条件に対応付けられている登録顔画像を用いるという要件を緩和している。
【0201】
なお、登録処理については顔照合装置10におけるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0202】
(構成の詳細について)
図15に示すように、顔照合装置10Cは、図1に示す顔照合装置10において登録顔画像選択部35を、登録顔画像選択部(条件判定手段、条件特定手段)35Cに変更している。
【0203】
登録顔画像選択部35Cは、照合処理に用いる登録顔画像を選択するものである。登録顔画像選択部35Cは、各人物に共通に登録されている撮影条件が存在する場合、そのうち、入力顔画像の撮影条件に最も近い撮影条件のものを特定し、特定した撮影条件に対応付けられている登録顔画像を照合処理に用いる登録顔画像として選択する。
【0204】
一方、各人物に共通に登録されている撮影条件が無かった場合、登録顔画像選択部35Cは、各人物について、入力顔画像の撮影条件に最も近い撮影条件に対応付けられている登録顔画像を照合処理に用いる登録顔画像として選択する。
【0205】
(照合処理の流れ)
次に、図16を用いて、顔照合装置10Cにおける照合処理の流れについて説明する。図16は、照合処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【0206】
まず、条件検出部32が、顔画像取得部31から取得した入力顔画像を解析して、入力顔画像の撮影条件を検出する(S401)。
【0207】
ここで、登録顔画像選択部35Cが、登録人物変数nに1を設定する(S402)。登録顔画像選択部35Cは、n番目の人物について、登録顔画像の撮影条件のうち、入力顔画像の撮影条件と最も近い撮影条件を条件項目とする(S403)。
【0208】
次に、登録顔画像選択部35Cは、n=Nであるか否かを判定する(S404)。ここでは、登録顔画像選択部35Cが、すべての登録人物について条件項目を選択したか否かを確認している。
【0209】
すなわち、n=Nでなければ(S404にいおいてNO)、登録顔画像選択部35は、nをインクリメント、すなわちn=n+1を実行して(S405)、処理は、S403に戻り、n番目の人物について、入力顔画像の撮影条件と最も近い撮影条件を条件項目として選択する。
【0210】
このようにして、S404において、n=Nとなるまで、ループを繰り返して各人に共通な撮影条件を求めると(S404においてYES)、照合部36は、条件項目として選択された撮影条件に対応付けられている登録顔画像に基づいて、入力顔画像を照合する(S406)。
【0211】
(具体例)
つぎに、図17を用いて、照合処理における選択工程の具体例について説明する。図17に示すように、登録顔画像データベース21には、各人物について、次の登録データが格納されている。
【0212】
まず、Aさんについて、撮影条件“やや斜め(15〜45度)”の登録顔画像A2が登録されている。また、Bさんについて、撮影条件“やや斜め(15〜45度)”の登録顔画像B2および撮影条件“斜め(45〜75度)”の登録顔画像B3が登録されている。そして、Cさんについて撮影条件“正面(0〜15度)”の登録顔画像C1および撮影条件“斜め(45〜75度)”の登録顔画像C3が登録されている。
【0213】
ここで、顔画像として、撮影条件“斜め”で撮影されたAさんの入力顔画像P3が入力されたとした場合、顔照合装置10Cにおける選択工程は次のような流れとなる。
【0214】
まず、Aさんについては、登録顔画像データベース21に登録されているのは登録顔画像A2しかないので、登録顔画像A2の撮影条件を条件項目として選択して、登録顔画像A2を選択する。
【0215】
Bさんについては、2つ登録されている登録データのうち、登録顔画像B3の撮影条件が入力顔画像の撮影条件と一致しているので、登録顔画像選択部35Cは、登録顔画像B3を選択する。
【0216】
Cさんについては、2つ登録されている登録データのうち、登録顔画像C3の撮影条件が入力顔画像の撮影条件と一致しているので、登録顔画像選択部35Cは、登録顔画像C3を選択する。
【0217】
照合部36は、このように選択された登録顔画像A2、B3、およびC3を用いて、入力顔画像P3を照合する。
【0218】
顔照合装置10Cは、各人に共通の撮影条件が登録されていなかったとしても、入力顔画像の撮影条件に最も近い撮影条件を選択して、照合処理に用いる。これにより、各人に共通の撮影条件が登録されていなかったとしても、照合処理に用いる登録顔画像の撮影条件をなるべく揃えて、照合処理の精度を向上させることができる。
【0219】
〔実施形態5〕
本発明の顔照合装置に関するさらに別の実施形態について図16〜図21に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前述の実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0220】
以下では、まず、図18を用いて、本実施形態に係る顔照合装置(照合装置)10Dについて説明する。顔照合装置10Dでは、入力顔画像の撮影条件として、撮影する方向が正面から何度であるかを示す特定の値を検出する。つまり、顔照合装置10では、入力顔画像の撮影条件を、撮影する方向を所定範囲で検出していたが、顔照合装置10Dを連続値で検出することができる。
【0221】
また、顔照合装置10Dは、登録処理において、検出した特定値を、登録する顔画像の撮影条件として登録する。また、顔照合装置10Dは、照合処理において、入力顔画像から検出された撮影条件の特定値を、登録顔画像の撮影条件として登録されている特定値と比較して、所定範囲以内か否かを判定し、この判定結果に基づいて照合処理を行う。
【0222】
(構成の詳細)
図18に示すように、顔照合装置10Dは、図1に示す顔照合装置10において、登録顔画像データベース21、条件検出部32、顔画像登録部34および登録顔画像選択部35を、それぞれ、登録顔画像データベース21D、条件検出部32D、顔画像登録部34Dおよび登録顔画像選択部(条件判定手段、条件特定手段)35Dに変更したものである。
【0223】
登録顔画像データベース21Dには、人物ごとに、登録顔画像と撮影条件とが対応付けられて登録データとして登録される。ここで、登録顔画像データベース21との違いは、撮影条件として、人物を撮影する方向が正面から何度であるかを特定の値で登録しておく点である。すなわち、この特定値は、顔の向きの角度を示す0度〜90度の連続値のうち、特定の値を示すものである。
【0224】
例えば、人物を撮影した方向が真正面であれば、“0度”を登録しておく。また、人物を撮影した方向が真横なのであれば、“90度”を登録しておく。
【0225】
条件検出部32Dは、入力顔画像から撮影条件を抽出する。条件検出部32Dは、顔画像を解析して顔の向きの角度を求める。
【0226】
例えば、条件検出部32Dは、入力顔画像において、人物を撮影した方向が真正面であれば、“0度”を撮影条件として検出する。また、条件検出部32Dは、入力顔画像において、人物を撮影した方向が真横なのであれば、“90度”を撮影条件として検出する。
【0227】
条件検出部32Dは、登録処理において、抽出した撮影条件を顔画像登録部34に送信する。また、条件検出部32Dは、照合処理において、抽出した撮影条件を登録顔画像選択部35Dに送信する。
【0228】
顔画像登録部34Dは、登録処理において、条件検出部32から送信される入力顔画像および撮影条件に、ID取得部33から送信されるIDを付与して、登録顔画像データベース21に登録する。ここで、顔画像登録部34との違いは、顔画像登録部34Dが、顔画像登録部34Dが、撮影条件として、顔の向きの角度の特定値を登録顔画像データベース21に登録する点である。
【0229】
登録顔画像選択部35Dは、照合処理において、登録顔画像データベース21を参照して照合処理に用いる登録顔画像を選択する。
【0230】
より具体的には、登録顔画像選択部35Dは、登録顔画像データベース21を参照して、各人物の登録データから、撮影条件が、入力顔画像の撮影条件と同一または入力顔画像の撮影条件を基準に所定範囲内である登録顔画像を選択する。
【0231】
登録顔画像の撮影条件の特定値が、入力顔画像の撮影条件の特定値を基準に所定範囲内であれば、両者の撮影条件はある程度、似通った条件である。所定範囲内としては、似通った条件であり、同一視可能な条件の範囲、例えば、±5度といった範囲を設定することができる。
【0232】
(登録処理の流れ)
次に、図19を用いて、顔照合装置10Dにおける登録処理の流れについて説明する。図19は、登録処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【0233】
まず、条件検出部32Dが、顔画像取得部31から取得した入力顔画像を解析して、入力顔画像の撮影条件を特定値で検出する(S501)。
【0234】
続いて、ID取得部33が、操作部11において入力されたIDを取得する(S502)。
【0235】
そして、顔画像登録部34Dが、IDと、入力顔画像と、撮影条件(特定値)とを関連づけて登録顔画像データベース21に登録する(S503)。
【0236】
(照合処理の流れ)
次に、図20を用いて、顔照合装置10Dにおける照合処理の流れについて説明する。図20は、照合処理の流れの一例について示すフローチャートである。
【0237】
まず、条件検出部32Dが、顔画像取得部31から取得した入力顔画像を解析して、入力顔画像の撮影条件を特定値で検出する(S511)。
【0238】
ここで、登録顔画像選択部35Dが、登録人物変数nに1を設定する(S512)。
【0239】
続いて、登録顔画像選択部35Dは、n=1の人物について、登録されている撮影条件のうち、入力顔画像の撮影条件と、最も近いものを照合時に用いる条件項目とする(S413)。ここで、登録されている撮影条件と、入力顔画像の撮影条件との近さは、登録されている撮影条件の特定値と、入力顔画像の撮影条件の特定値との差により表すことができる。つまり、登録されている撮影条件の特定値と、入力顔画像の撮影条件の特定値との差がより小さければ、登録されている撮影条件と、入力顔画像の撮影条件とはより近い条件であるといえる。
【0240】
そして、登録顔画像選択部35Dは、n=Nであるか否かを判定する(S514)。ここでは、登録顔画像選択部35Dが、登録顔画像を選択するときの終了条件について判定している。
【0241】
すなわち、n=Nでなければ(S514にいおいてNO)、登録顔画像選択部35Dは、nをインクリメント、すなわちn=n+1を実行して(S415)、n番目の人物について、現在の条件項目の特定値と同一または条件項目の特定値を基準に所定範囲内の撮影条件が登録されているか否かを判定する(S516)。
【0242】
ここで、n番目の人物について、現在の条件項目の特定値と同一または条件項目の特定値を基準に所定範囲内の撮影条件が登録されている場合(S516においてYES)、処理は、S514に戻る。S514〜S516のループは、n番目の人物について現在の条件項目の特定値と同一または条件項目の特定値を基準に所定範囲内の撮影条件が登録されているか否かを判定するものであり、N番目の人物まで順番に繰り返し撮影条件を判定する。
【0243】
一方、n番目の人物について、現在の条件項目の特定値と同一または条件項目の特定値を基準に所定範囲内の撮影条件が登録されていない場合(S516においてNO)、登録顔画像選択部35Dは、nに1を設定する(S517)とともに、現在の条件項目を照合時に使用する条件の候補から除外する(S518)。これは、n番目の人物について、現在の条件項目と同一または条件項目の特定値を基準に所定範囲内の撮影条件が登録されていない場合、当該条件項目は、各人物に共通に登録されている撮影条件とはいえないからである。
【0244】
続いて、現在の条件項目の次に入力顔画像の撮影条件と近い条件を新たな条件項目として設定して(S519)、S514に戻る。
【0245】
このようにして、S514において、n=Nとなるまで、ループを繰り返して各人に共通な撮影条件を求めると(S514においてYES)、照合部36は、求めた撮影条件に対応付けられている登録顔画像に基づいて、入力顔画像を照合する(S520)。
【0246】
(具体例)
次に、図21を用いて、登録顔画像データベースに格納されている登録データおよびその登録データが格納されているときの照合処理の具体例について説明する。
【0247】
図21に示すように、登録顔画像データベース21には、各人物について、次の登録データが格納されている。
【0248】
まず、Aさんについて、撮影条件“顔向き(3度)”の登録顔画像A101、撮影条件“顔向き(12度)”の登録顔画像A102、撮影条件“顔向き(21度)”の登録顔画像A103および撮影条件“顔向き(43度)”の登録顔画像A104が登録されている。
【0249】
また、Bさんについて、撮影条件“顔向き(3度)”の登録顔画像B101および撮影条件“顔向き(12度)”の登録顔画像B102が登録されている。
【0250】
そして、Cさんについて、撮影条件“顔向き(3度)”の登録顔画像C101、撮影条件“顔向き(12度)”の登録顔画像C102、および撮影条件“顔向き(21度)”の登録顔画像C103が登録されている。
【0251】
ここで、顔画像として、撮影条件“顔向き(21度)”で撮影された入力顔画像P3が入力された場合、顔照合装置10Dにおける選択工程は次のような流れとなる。
【0252】
まず、条件検出部32Dは、入力顔画像P103を解析することで顔の向きの角度を求めて、撮影条件“顔向き(21度)”を得る。
【0253】
そして、登録顔画像選択部35Dは、(1)“Aさん”について、入力顔画像P103の撮影条件“顔向き(21度)”と同一または撮影条件“顔向き(21度)”を基準に所定範囲内の撮影条件が登録されているか否かを判定する。登録顔画像A103に対応付けられて撮影条件“顔向き(21度)”が登録されているので、登録顔画像選択部35Dは、登録顔画像A103を選択する。
【0254】
次に、登録顔画像選択部35Dは、(2)“Bさん”について、撮影条件“顔向き(21度)”と同一または撮影条件“顔向き(21度)”を基準に所定範囲内の撮影条件が登録されているか否かを判定する。ここで、“Bさん”については、撮影条件“顔向き(21度)”は登録されていないので、登録顔画像選択部35Dは、(3)“Aさん”について、登録顔画像A103の撮影条件の次に入力顔画像P103の撮影条件“顔向き(12度)”の登録有無を確認する。
【0255】
ここで、“Aさん”について、撮影条件“顔向き(12度)”が登録されているので、これを条件項目とする。続いて、登録顔画像選択部35Dは、“Bさん”について撮影条件“顔向き(12度)”が登録されているか否かを確認し、(4)撮影条件“顔向き(12度)”が対応付けられている登録顔画像B102を検出する。
【0256】
次に、“Cさん”について、撮影条件“顔向き(12度)”が登録されているか否かを確認し、(5)撮影条件“顔向き(12度)”が対応付けられている登録顔画像C102を検出する。
【0257】
このような流れにより、登録顔画像選択部35Dは、“Aさん”、“Bさん”、および“Cさん”のそれぞれについて、撮影条件“顔向き(12度)”が対応付けられている登録顔画像A102、B102、およびC102を選択する。照合部36は、これらの登録顔画像A102、B102、およびC102に基づいて、入力顔画像P103の照合を行う。
【0258】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0259】
上記では、顔照合装置10、10A〜10Dの各ブロック、特に、顔照合装置10の顔画像取得部31、条件検出部32、ID取得部33、顔画像登録部34、登録顔画像選択部35、および照合部36と、顔照合装置10Aの登録顔画像事前選択部37および照合部36Aと、顔照合装置10Bの顔画像登録部34B、照合部36B、およびフラグ判定部38と、顔照合装置10Cの登録顔画像選択部35Cと、顔照合装置10Dの条件検出部32D、顔画像登録部34Dおよび登録顔画像選択部35Dとを、CPUを用いてソフトウェアによって実現する例について説明した。
【0260】
すなわち、顔照合装置10、10A〜10Dは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである顔照合装置10、10A〜10Dの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記顔照合装置10、10A〜10Dに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0261】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0262】
また、顔照合装置10、10A〜10Dを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。また、顔照合装置10、10A〜10Dの各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0263】
本発明は、画像に含まれる対象物の照合に用いることができるので、プリンタ、スキャナ、パーソナルコンピュータ等により実現されるデジタル画像機器や、デジタルカメラ等に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0264】
1 顔照合システム(デジタル画像処理システム)
10、10A〜10D 顔照合装置(照合装置)
11 操作部
12 表示部
20 記憶部
21、21D 登録顔画像データベース(登録画像データベース)
22 集計情報記憶部
30 制御部
31 顔画像取得部
32、32D 条件検出部(条件検出手段)
33 ID取得部
34、34B、34D 顔画像登録部(集計手段)
35、35C、35D 登録顔画像選択部(条件判定手段、条件特定手段)
36、36A、36B 照合部(照合手段)
37 登録顔画像事前選択部(選択手段)
38 フラグ判定部(条件判定手段)
50 撮影装置(画像入力装置)
51 撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が撮影された入力画像を、対象物ごとに該対象物を撮影して得られた登録画像が登録されている登録画像データベースと照合して、上記入力画像に含まれる対象物を特定する照合装置において、
上記登録画像データベースでは、上記登録画像と、該登録画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件とが対応付けられて登録されており、
上記入力画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件を検出する条件検出手段と、
上記登録画像に対応付けられている上記条件である登録条件と、上記入力画像から検出された上記条件である検出条件との近さを判定する条件判定手段と、
判定された上記登録条件および上記検出条件の近さに基づいて、各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件のうち、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定する条件特定手段と、
特定された上記登録条件が対応づけられている登録画像を用いて照合を行う照合手段とを備えることを特徴とする照合装置。
【請求項2】
上記条件判定手段は、登録画像データベースに登録されているある対象物について、上記登録画像の上記登録条件と、上記入力画像から検出された上記検出条件との近さを判定し、
上記条件特定手段は、上記判定の結果、上記登録条件および上記検出条件の近さが近い順に、登録画像データベースに登録されている他の対象物の登録画像に対応付けられている登録条件について、上記ある対象物についての上記登録条件と一致する条件が存在するかを判定することにより、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近い上記登録条件を特定することを特徴とする請求項1に記載の照合装置。
【請求項3】
各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件を予め選択する選択手段を備え、
上記条件特定手段は、予め選択された上記登録条件から、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定することを特徴とする請求項1に記載の照合装置。
【請求項4】
上記登録画像データベースに登録されている上記登録画像に対応付けられている登録条件の数を、該登録条件ごとに集計する集計手段と、
上記登録画像データベースに登録されている対象物の数と、集計された上記登録条件の数とが一致する登録条件を検出する条件検出手段と、
上記条件判定手段は、上記検出された登録条件から、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定することを特徴とする請求項1に記載の照合装置。
【請求項5】
上記条件特定手段は、上記各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件が存在しない場合、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近い上記登録条件を対象物ごとに特定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の照合装置。
【請求項6】
上記登録条件および上記検出条件は、対象物が撮影されたときの撮影条件を示す連続値のうちの特定の値であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の照合装置。
【請求項7】
上記対象物が人物の顔であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の照合装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の照合装置と、
上記入力画像を上記照合装置に供給する画像入力装置と、を備えることを特徴とするデジタル画像処理システム。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の照合装置を動作させる照合装置制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための照合装置制御プログラム。
【請求項10】
請求項9記載の照合装置制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
対象物が撮影された入力画像を、対象物ごとに該対象物を撮影して得られた登録画像が登録されている登録画像データベースと照合して、上記入力画像に含まれる対象物を特定する照合装置の制御方法において、
上記登録画像データベースでは、上記登録画像と、該登録画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件とが対応付けられて登録されており、
上記入力画像に含まれる対象物が撮影されたときの条件を検出する条件検出ステップと、
上記登録画像に対応付けられている上記条件である登録条件と、上記入力画像から検出された上記条件である検出条件との近さを判定する条件判定ステップと、
判定された上記登録条件および上記検出条件の近さに基づいて、各対象物に共通に登録されている登録画像の上記登録条件のうち、上記入力画像から検出された上記検出条件と最も近いものを特定する条件特定ステップと、
特定された上記登録条件が対応づけられている登録画像を用いて照合を行う照合ステップと、を含むことを特徴とする照合装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−192093(P2011−192093A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58549(P2010−58549)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】