説明

照度検知機能付き近接センサおよび電子機器

【課題】被検出物体の近接状態を検知する精度を損なうことなく、消費電力量を低減できる照度検知機能付き近接センサを提供する。
【解決手段】照度判定回路23は、照度センサ13が検知した照度が第1の照度閾値を超えているか否かを判定する。制御回路21は、照度判定回路23が照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、発光素子11が光の放射を停止するように、発光素子11を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照度検知機能付き近接センサおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光学式近接センサは、非接触スイッチとして衛生上のメリットがあることから、自動水洗などサニタリ機器のスイッチ類に使用されてきた。最近では、携帯電話の消費電力を抑えるために、光学式近接センサが携帯電話に搭載され出している。すなわち、着信時に携帯電話のスピーカフォンを耳に近づけたことを検知して、液晶バックライトを消灯させて無駄な消費電力を抑えている。
【0003】
従来、光学式近接センサとしては、例えば、特開平11−354832号公報、特開2002−84177号公報、特開2007−52928号公報に示されるように、光を放射する発光素子、光を受光する受光素子を有し、発光素子および受光素子はそれぞれ1次モールド樹脂でモールドされる。また、発光素子から放射される光が直接受光素子で受光することを防ぐために、遮光性のある2次モールド樹脂によって発光素子と受光素子とを光学的に隔てる構造をしている。
【0004】
ここで、被検出物体が近接状態にある場合、発光素子から放射された光が被検出物体で反射し、反射光が受光素子で受光される。また、被検出物体が近接状態にない場合、発光素子から放射された光は拡散し、受光素子で受光されない。このように、受光素子で受光される光の量を測定することで、被検出物体の近接状態を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−354832号公報
【特許文献2】特開2002−84177号公報
【特許文献3】特開2007−52928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の光学式近接センサでは、被検出物体の近接状態を検知するために、常に、発光素子から光を放射する状態になるため、光学式近接センサ自体の電力を無駄に消費する問題があった。
【0007】
そこで、この発明の課題は、被検出物体の近接状態を検知する精度を損なうことなく、消費電力量を低減できる照度検知機能付き近接センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の照度検知機能付き近接センサは、
光を放射する発光素子と、
上記発光素子が放射した光の被検出物体からの反射光を受光する受光素子と、
上記受光素子が受光した反射光の光量が判定閾値を超えているか否かを判定する受光量判定回路と、
周囲の照度を検知する照度センサと、
上記照度センサが検知した照度が第1の照度閾値を超えているか否かを判定する照度判定回路と、
上記受光量判定回路および上記照度判定回路の出力を受けると共に、上記照度判定回路が上記照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、上記発光素子が光の放射を停止するように、上記発光素子を制御する制御回路と
を備えることを特徴としている。
【0009】
この発明の照度検知機能付き近接センサによれば、上記受光量判定回路は、受光素子が受光した反射光の光量が判定閾値を超えているか否かを判定して、反射光の光量が判定閾値を超えているときに、被検出物体が近接センサに近接状態に有ると判断する。
【0010】
また、上記照度判定回路は、照度センサが検知した照度が第1の照度閾値を超えているか否かを判定して、照度が第1の照度閾値を超えているときに、近接センサの周囲が明るいと判断する。つまり、周囲が十分明るく、かつ、被検出物体が近接状態に無い場合には、照度判定回路によって周囲照度が明るいことが検知される。照度判定回路が十分明るいと検知した場合は、発光素子から光を放射せずとも、被検出物体が近接していないことを検知することができる。
【0011】
そして、上記制御回路は、受光量判定回路および照度判定回路の出力を受けると共に、照度判定回路が照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、発光素子が光の放射を停止するように、発光素子を制御するので、周囲が十分明るい場合では、被検出物体が近接状態に無く、発光素子から光を放射する必要が無くなり、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0012】
また、一実施形態の照度検知機能付き近接センサでは、
上記制御回路は、
上記発光素子が一定周期でパルス発光するように、上記発光素子を制御すると共に、
上記発光素子が光を放射しているときに上記照度センサが照度の検知を停止する一方、上記発光素子が光を放射していないときに上記照度センサが照度を検知するように、上記照度センサを制御する。
【0013】
この実施形態の照度検知機能付き近接センサによれば、上記制御回路は、発光素子を一定周期でパルス発光させるので、被検出物体の移動速度に対して発光素子のパルス発光の周期が十分に短い場合、発光素子を連続的に発光させた時と比べて、被検出物体の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0014】
また、上記制御回路は、発光素子が光を放射しているときに照度センサが照度の検知を停止する一方、発光素子が光を放射していないときに照度センサが照度を検知するように、照度センサを制御するので、発光素子が光を放射している間、照度センサが照度を検知することを停止することで、被検出物体からの反射光が照度センサに受光されて周囲照度の検知に影響を及ぼすことがなくなり、また、照度センサの消費電力を低減することができる。
【0015】
また、一実施形態の照度検知機能付き近接センサでは、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が上記第1の照度閾値よりも小さな第2の照度閾値以下であると判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子が放射する光の放射強度を低くするように、上記発光素子を制御し、かつ、上記判定閾値を低くするように、上記受光量判定回路を制御する。
【0016】
この実施形態の照度検知機能付き近接センサによれば、上記照度判定回路が、照度が第2の照度閾値以下であると判定したときに、近接センサの周囲が暗いと判断する。つまり、周囲が十分暗いか、または、周囲が明るくても被検出物体が近接状態にあって周囲光が照度センサに受光されることを妨げる位置関係にある場合には、照度判定回路によって周囲照度が暗いことが検知される。
【0017】
そして、周囲が暗いとき、周囲光量に対する被検出物体からの反射光量は相対的に大きいため、上記制御回路は、発光素子が放射する光の放射強度を低くし、かつ、判定閾値を低くすることで、被検出物体の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0018】
また、一実施形態の照度検知機能付き近接センサでは、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が上記第1の照度閾値よりも小さな第2の照度閾値以下であると判定し、かつ、上記受光量判定回路が、上記受光素子が受光した反射光の光量が上記判定閾値を超えていると判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子のパルス発光の発光期間を短くするように、上記発光素子を制御する。
【0019】
この実施形態の照度検知機能付き近接センサによれば、上記照度判定回路が、照度が第2の照度閾値以下であると判定したとき、近接センサの周囲が暗いと判断する。上記受光量判定回路が、反射光の光量が判定閾値を超えていると判定したとき、被検出物体が近接センサに近接状態に有ると判断する。
【0020】
そして、周囲が暗く、被検出物体が近接状態であるとき、上記制御回路は、発光素子のパルス発光の発光期間を短くするように、発光素子を制御することで、消費電力を低減することができる。このとき、周囲照度が暗いので、パルス発光の発光期間を短くしてもSNは保たれる。したがって、被検出物体の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0021】
また、一実施形態の照度検知機能付き近接センサでは、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子が光の放射を停止するように、上記発光素子を制御する。
【0022】
この実施形態の照度検知機能付き近接センサによれば、上記照度判定回路が、照度センサが検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したとき、被検出物体が近接もしくは離隔のどちらかの状態を保持していると判断される。
【0023】
そして、このときに、上記制御回路は、発光素子が光の放射を停止するように、発光素子を制御することで、被検出物体の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0024】
一方、上記照度判定回路が、照度センサが検知した照度が一定時間内に変化したと判定したとき、被検出物体が近接もしくは離隔のどちらかの状態へ移動していると判断される。このときに、上記制御回路は、発光素子が光の放射を開始するように、発光素子を制御することで、発光素子から光を放射する。
【0025】
また、一実施形態の照度検知機能付き近接センサでは、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子が放射する光の放射強度を低くするように、上記発光素子を制御し、かつ、上記判定閾値を低くするように、上記受光量判定回路を制御する。
【0026】
この実施形態の照度検知機能付き近接センサによれば、上記照度判定回路が、照度センサが検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したとき、被検出物体が近接もしくは離隔のどちらかの状態を保持していると判断される。
【0027】
そして、このときに、上記制御回路は、上記発光素子が放射する光の放射強度を低くするように、上記発光素子を制御し、かつ、上記判定閾値を低くするように、上記受光量判定回路を制御することで、被検出物体の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0028】
一方、上記照度判定回路が、照度センサが検知した照度が一定時間内に変化したと判定したとき、被検出物体が近接もしくは離隔のどちらかの状態へ移動していると判断される。このときに、上記制御回路は、発光素子が放射する光の放射強度を元に戻す(高くする)ように、発光素子を制御し、かつ、判定閾値を元に戻す(高くする)ように、受光量判定回路を制御する。
【0029】
また、一実施形態の照度検知機能付き近接センサでは、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が一定時間内に変化しないと判定し、かつ、上記受光量判定回路が、上記受光素子が受光した反射光の光量が上記判定閾値を超えていると判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子のパルス発光の発光期間を短くするように、上記発光素子を制御する。
【0030】
この実施形態の照度検知機能付き近接センサによれば、上記照度判定回路が、照度センサが検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したとき、被検出物体が近接もしくは離隔のどちらかの状態を保持していると判断される。上記受光量判定回路が、反射光の光量が判定閾値を超えていると判定したとき、被検出物体が近接センサに近接状態に有ると判断する。
【0031】
そして、被検出物体が近接状態を保持しているとき、上記制御回路は、発光素子のパルス発光の発光期間を短くするように、発光素子を制御することで、消費電力を低減することができる。このとき、周囲照度が暗いので、パルス発光の発光期間を短くしてもSNは保たれる。したがって、被検出物体の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0032】
また、一実施形態の照度検知機能付き近接センサでは、上記発光素子が放射した光は、赤外光である。
【0033】
この実施形態の照度検知機能付き近接センサによれば、上記発光素子が放射した光は、赤外光であるので、照度センサで受光する光の波長領域を可視光とすることで、発光素子から放射される光が照度センサに受光されて周囲照度が誤検知されることを防ぐことができる。
【0034】
さらに、蛍光灯下のように赤外光の光量が可視光の光量に比べ相対的に少ない環境では、近接センサに対する外乱光の影響を低減することができる。また、近接センサの動作時には、外観上目立たなくすることができる。
【0035】
また、この発明の電子機器は、上記照度検知機能付き近接センサを備えることを特徴としている。
【0036】
この発明の電子機器によれば、上記照度検知機能付き近接センサを備えているので、消費電力が低い近接センサが使用されることにより、電子機器の消費電力を低減することができる。
【0037】
また、一実施形態の電子機器では、上記受光量判定回路が、上記受光素子が受光した反射光の光量が上記判定閾値を超えていると判定したときに、上記照度センサから得られる照度情報を無視する。
【0038】
この実施形態の電子機器によれば、上記受光量判定回路が、反射光の光量が判定閾値を超えていると判定したとき、被検出物体が電子機器に近接状態に有ると判断する。
【0039】
そして、例えば、この電子機器が、照度センサによって検知される周囲照度に応じて液晶モニタのバックライトの輝度を調光することで低消費電力化を図る機器である場合、被検出物体が近接状態にあって周囲光が照度センサに受光されることを妨げる位置関係にあるときに、照度センサから得られる照度情報を無視することで、周囲照度が暗いと誤検知することを防ぐことができる。
【0040】
すなわち、照度判定回路により周囲照度が暗いことを検知した場合でも、被検出物体が近接状態にある場合には、バックライトの輝度を不要に明るくすることが無くなり、電子機器の消費電力が増加することを防ぐことができる。
【0041】
また、一実施形態の電子機器では、上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、上記受光素子から得られる反射光の情報を無視する。
【0042】
この実施形態の電子機器によれば、上記照度判定回路が、照度センサが検知した照度が第1の照度閾値を超えていると判定したとき、電子機器の周囲が明るいと判断する。
【0043】
そして、被検出物体が近接状態に無い場合、周囲照度が十分明るく受光素子に周囲光が受光されることがあっても、照度判定回路により周囲照度が十分明るいことを検知して、受光素子から得られる反射光の情報を無視することで、被検出物体の近接状態を誤検知することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0044】
この発明の照度検知機能付き近接センサによれば、上記制御回路は、受光量判定回路および照度判定回路の出力を受けると共に、照度判定回路が照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、発光素子が光の放射を停止するように、発光素子を制御するので、被検出物体の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0045】
この発明の電子機器によれば、上記照度検知機能付き近接センサを備えているので、電子機器の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の照度検知機能付き近接センサの第1実施形態を示す簡略構成図である。
【図2】照度検知機能付き近接センサのブロック図を示す。
【図3】本発明の照度検知機能付き近接センサの第2実施形態を示すと共に近接センサの動作タイミングを示すグラフである。
【図4】本発明の照度検知機能付き近接センサの第3実施形態を示すと共に近接センサの動作タイミングを示すグラフである。
【図5】本発明の照度検知機能付き近接センサの第4実施形態を示すと共に近接センサの動作タイミングを示すグラフである。
【図6】本発明の照度検知機能付き近接センサの第5実施形態を示すと共に近接センサの動作タイミングを示すグラフである。
【図7】本発明の照度検知機能付き近接センサの第6実施形態を示すと共に近接センサの動作タイミングを示すグラフである。
【図8】本発明の照度検知機能付き近接センサの第7実施形態を示すと共に近接センサの動作タイミングを示すグラフである。
【図9】本発明の電子機器としての携帯電話を示す斜視図である。
【図10】本発明の電子機器としてのデジタルカメラを示す正面図である。
【図11】本発明の電子機器としての他の携帯電話を示す斜視図である。
【図12】本発明の電子機器の作用を説明する説明図である。
【図13A】本発明の他の照度検知機能付き近接センサの動作を示すフロー図である。
【図13B】本発明の他の照度検知機能付き近接センサの動作を示すフロー図である。
【図14A】本発明の別の照度検知機能付き近接センサの動作を示すフロー図である。
【図14B】本発明の別の照度検知機能付き近接センサの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0048】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の照度検知機能付き近接センサの一実施形態である簡略構成図を示している。図1に示すように、この近接センサ10は、光を放射する発光素子11と、光を受光する受光素子12と、周囲の照度を検知する照度センサ13とを有する。
【0049】
上記発光素子11、上記受光素子12および上記照度センサ13は、互いに間隔をあけて、基板14の同一面に取り付けられている。上記発光素子11、上記受光素子12および上記照度センサ13は、同一方向に、指向している。
【0050】
上記発光素子11、上記受光素子12および上記照度センサ13は、それぞれ、1次モールド樹脂15でモールドされる。
【0051】
上記発光素子11、上記受光素子12および上記照度センサ13の互いの間には、遮光性のある2次モールド樹脂16が設けられている。この2次モールド樹脂16は、発光素子11、受光素子12および照度センサ13を光学的に隔て、発光素子11から放射される光が、直接、受光素子12および照度センサ13で受光されることを防ぐ。
【0052】
上記受光素子12が受光する光の波長領域は、受光素子12が周囲光を受光することによる影響を低減するために、発光素子11から放射される光の波長領域と合わせるべく、1次モールド樹脂15のうち受光素子12をモールドする部分に、特定波長領域以外の光を吸収する染料などを混入し、または、受信回路にバンドパスフィルタを導入することが望ましい。
【0053】
上記照度センサ13が受光する光の波長領域は、可視光領域であって、発光素子11から放射される光を受光することによる影響を低減させるために、1次モールド樹脂15のうち照度センサ13をモールドする部分に、発光素子11から発光する波長領域の光だけを吸収する素材を混入することが望ましい。
【0054】
図2に示すように、被検出物体20が近接センサ10に近接状態にある場合、発光素子11が放射した出射光24は、被検出物体20で反射し、被検出物体20からの反射光25は、受光素子12で受光される。
【0055】
上記受光素子12は、反射光25の光量に応じた電流S1を発生させ、受光量判定回路22へ入力される。上記受光量判定回路22は、受光素子12が受光した反射光25の光量が判定閾値を超えているか否かを判定する。
【0056】
つまり、上記受光量判定回路22は、あらかじめ設定された判定閾値と電流値S1とを比較し、電流値S1が判定閾値を超える場合、受光量判定回路22は、ハイレベル信号S2を制御回路21へ入力する。ハイレベル信号S2は、被検出物体20が近接センサ10に近接状態に有ることを意味する。
【0057】
一方、上記受光量判定回路22が、反射光25の光量が判定閾値以下であると判定した場合、受光量判定回路22は、ローレベル信号を制御回路21へ入力する。ローレベル信号は、被検出物体20が近接センサ10に近接状態に無いことを意味する。
【0058】
ここで、周囲が十分明るい場合、周囲光26は、被検出物体20によって遮られて、照度センサ13で受光されない。
【0059】
上記被検出物体20が近接センサ10に近接状態にない場合、発光素子11から放射された出射光24は拡散し、この出射光24は受光素子12で受光されない。しかし、ここで周囲が十分明るい場合、周囲光26は、受光素子12および照度センサ13で受光される。
【0060】
上記照度センサ13は、周囲光26の光量に応じた電流S3を発生させ、照度判定回路23へ入力される。上記照度判定回路23は、照度センサ13が検知した照度が第1の照度閾値を超えているか否かを判定する。
【0061】
つまり、上記照度判定回路23は、あらかじめ設定された第1の照度閾値と電流値S3とを比較し、電流値S3が第1の照度閾値を超える場合、照度判定回路23は、ハイレベル信号S4を制御回路21へ入力する。ハイレベル信号S4は、周囲が十分明るく、かつ、被検出物体20が近接状態に無いことを意味する。
【0062】
一方、上記照度判定回路23が、照度が第1の照度閾値以下であると判定した場合、照度判定回路23は、ローレベル信号を制御回路21へ入力する。ローレベル信号は、周囲が暗いことを意味する。
【0063】
上記制御回路21は、受光量判定回路22および照度判定回路23の出力を受けると共に、照度判定回路23が照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、発光素子11が光の放射を停止するように、発光素子11を制御する。
【0064】
つまり、上記照度判定回路23がハイレベル信号S4を制御回路21へ入力する限り、上記制御回路21は、発光素子11から光を放射することを停止し、近接センサ10の消費電力を低減することができる。
【0065】
周囲光26が、発光素子11から放射される出射光24の波長領域に近い波長成分を含む場合、周囲光26が受光素子12で受光されることによって、前述の通り受光量判定回路22はハイレベル信号S2を制御回路21へ入力する。このように、被検出物体20が近接状態にないにも関わらず、被検出物体20が近接状態にあると誤検知することを防ぐため、照度判定回路23がハイレベル信号S4を制御回路21へ入力している場合は、制御回路21からローレベル信号S5を外部へ出力する。ローレベル信号S5は、被検出物体20が近接状態にないことを意味する。一方、被検出物体20が近接状態にある場合、制御回路21からハイレベル信号を外部へ出力する。
【0066】
上記構成の近接センサ10によれば、上記受光量判定回路22は、受光素子12が受光した反射光25の光量が判定閾値を超えているか否かを判定して、反射光25の光量が判定閾値を超えているときに、被検出物体20が近接センサ10に近接状態に有ると判断する。
【0067】
また、上記照度判定回路23は、照度センサ13が検知した照度が第1の照度閾値を超えているか否かを判定して、照度が第1の照度閾値を超えているときに、近接センサ10の周囲が明るいと判断する。つまり、周囲が十分明るく、かつ、被検出物体20が近接状態に無い場合には、照度判定回路23によって周囲照度が明るいことが検知される。照度判定回路23が十分明るいと検知した場合は、発光素子11から光を放射せずとも、被検出物体20が近接していないことを検知することができる。
【0068】
そして、上記制御回路21は、受光量判定回路22および照度判定回路23の出力を受けると共に、照度判定回路23が照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、発光素子11が光の放射を停止するように、発光素子11を制御するので、周囲が十分明るい場合では、被検出物体20が近接状態に無く、発光素子11から光を放射する必要が無くなり、近接センサ10の消費電力を低減することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
図3は、この発明の照度検知機能付き近接センサの第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、制御回路の制御方法が相違する。
【0070】
この第2の実施形態では、図2を参照して、制御回路21は、発光素子11が一定周期でパルス発光するように、発光素子11を制御する。制御回路21は、発光素子11が光を放射しているときに照度センサ13が照度の検知を停止する一方、発光素子11が光を放射していないときに照度センサ13が照度を検知するように、照度センサ13を制御する。
【0071】
つまり、図3に示すように、発光素子11および受光素子12の動作タイミングは、図3(A)中の符号30で示され、受光素子12の受光強度は、図3(B)中の符号31で示される。
【0072】
被検出物体20が近接センサ10の近くに無い場合は、パルス発光した光が受光素子12で受光されず、被検出物体20が近付くと受光素子12の受光強度が強くなり、判定閾値32を超えると被検出物体20を検知する。
【0073】
照度センサ13の動作タイミングは、図3(C)中の符号33で示され、照度センサ13は、発光素子11のパルス発光のうち光を放射していない期間に、動作する。
【0074】
照度センサ13の受光強度は、図3(D)中の符号34で示される。周囲が十分明るく、被検出物体20が近接センサ10の近くに無い場合、照度センサ13は周囲光を受光するが、被検出物体20が近付くと周囲光が遮られ、照度センサ13の受光強度が減少する。
【0075】
上記構成の近接センサによれば、上記制御回路21は、発光素子11を一定周期でパルス発光させるので、被検出物体20の移動速度に対して発光素子11のパルス発光の周期が十分に短い場合、発光素子11を連続的に発光させた時と比べて、被検出物体20の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0076】
また、上記制御回路21は、発光素子11が光を放射しているときに照度センサ13が照度の検知を停止する一方、発光素子11が光を放射していないときに照度センサ13が照度を検知するように、照度センサ13を制御するので、発光素子11が光を放射している間、照度センサ13が照度を検知することを停止することで、被検出物体20からの反射光が照度センサ13に受光されて周囲照度の検知に影響を及ぼすことがなくなり、また、照度センサ13の消費電力を低減することができる。
【0077】
(第3の実施形態)
図4は、この発明の照度検知機能付き近接センサの第3の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第3の実施形態では、制御回路の制御方法が相違する。
【0078】
この第3の実施形態では、図2を参照して、照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が第1の照度閾値よりも小さな第2の照度閾値以下であると判定したときに、制御回路21は、発光素子11が放射する光の放射強度を低くするように、発光素子11を制御し、かつ、判定閾値を低くするように、受光量判定回路22を制御する。
【0079】
つまり、図4に示すように、照度センサ13の受光強度は、図4(A)中の符号40で示され、発光素子11の放射強度は、図4(B)中の符号42で示され、受光素子12の受光強度は、図4(C)で示される。そして、照度センサ13の受光強度40が第2の照度閾値41以下であるときに、発光素子11から放射する光の放射強度42を低くし、かつ、判定閾値43を低くする。
【0080】
上記構成の近接センサによれば、上記照度判定回路23が、照度が第2の照度閾値以下であると判定したときに、近接センサの周囲が暗いと判断する。つまり、周囲が十分暗いか、または、周囲が明るくても被検出物体20が近接状態にあって周囲光が照度センサ13に受光されることを妨げる位置関係にある場合には、照度判定回路23によって周囲照度が暗いことが検知される。
【0081】
そして、周囲が暗いとき、周囲光量に対する被検出物体20からの反射光量は相対的に大きいため、上記制御回路21は、発光素子11が放射する光の放射強度を低くし、かつ、判定閾値を低くすることで、被検出物体20の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0082】
(第4の実施形態)
図5は、この発明の照度検知機能付き近接センサの第4の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第4の実施形態では、制御回路の制御方法が相違する。
【0083】
この第4の実施形態では、図2を参照して、照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が第1の照度閾値よりも小さな第2の照度閾値以下であると判定し、かつ、受光量判定回路22が、受光素子12が受光した反射光の光量が判定閾値を超えていると判定したときに、制御回路21は、発光素子11のパルス発光の発光期間を短くするように、発光素子11を制御する。
【0084】
つまり、図5に示すように、照度センサ13の受光強度は、図5(A)中の符号50で示され、受光素子12の受光強度は、図5(B)中の符号52で示され、発光素子11の放射強度は、図5(C)中の符号54で示される。そして、照度センサ13の受光強度50が第2の照度閾値51以下であることを検知し、かつ、受光素子12の受光強度52が判定閾値53を超えることを検知したときに、発光素子11の放射強度54に示されるように、発光素子11のパルス発光において発光期間を短くする。
【0085】
上記構成の近接センサによれば、上記照度判定回路23が、照度が第2の照度閾値以下であると判定したとき、近接センサの周囲が暗いと判断する。上記受光量判定回路22が、反射光の光量が判定閾値を超えていると判定したとき、被検出物体20が近接センサに近接状態に有ると判断する。
【0086】
そして、周囲が暗く、被検出物体20が近接状態であるとき、上記制御回路21は、発光素子11のパルス発光の発光期間を短くするように、発光素子11を制御することで、消費電力を低減することができる。このとき、周囲照度が暗いので、パルス発光の発光期間を短くしてもSNは保たれる。したがって、被検出物体20の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0087】
(第5の実施形態)
図6は、この発明の照度検知機能付き近接センサの第5の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第5の実施形態では、制御回路の制御方法が相違する。
【0088】
この第5の実施形態では、図2を参照して、照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したときに、制御回路21は、発光素子11が光の放射を停止するように、発光素子11を制御する。
【0089】
つまり、図6に示すように、照度センサ13の受光強度は、図6(A)中の符号60で示され、発光素子11の放射強度は、図6(B)中の符号61で示され、受光素子12の受光強度は、図6(C)中の符号62で示される。そして、照度センサ13の受光強度60が一定時間内に変化しないことを検知したときには、発光素子11から光を放射することを停止し、受光強度60が一定時間内に変化したときには発光素子11から光を放射する。
【0090】
受光強度60が一定時間内に変化したか否かを判定するのは、照度判定回路23が担う。照度判定回路23は、発光素子11のパルス発光のうち光を放射していない期間に動作する照度センサ13からの出力信号を少なくとも2期間分入力されて、2期間分の信号レベルを比較し、変化量を検知する。
【0091】
また、照度判定回路23は、照度変化に対するある一定の基準量64を記憶しており、変化量が基準量を超える場合、受光強度が変化したと判定する。
【0092】
受光素子12の受光強度62が判定閾値63を超えたか否かの情報は、次に照度変化が起こり発光素子11から光を放射して受光素子12で受光されて受光強度が判定されるまで保つ。
【0093】
上記構成の近接センサによれば、上記照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したとき、被検出物体20が近接もしくは離隔のどちらかの状態を保持していると判断される。
【0094】
そして、このときに、上記制御回路21は、発光素子11が光の放射を停止するように、発光素子11を制御することで、被検出物体20の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0095】
一方、上記照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が一定時間内に変化したと判定したとき、被検出物体20が近接もしくは離隔のどちらかの状態へ移動していると判断される。このときに、上記制御回路21は、発光素子11が光の放射を開始するように、発光素子11を制御することで、発光素子11から光を放射する。
【0096】
(第6の実施形態)
図7は、この発明の照度検知機能付き近接センサの第6の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第6の実施形態では、制御回路の制御方法が相違する。
【0097】
この第6の実施形態では、図2を参照して、照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したときに、制御回路21は、発光素子11が放射する光の放射強度を低くするように、発光素子11を制御し、かつ、判定閾値を低くするように、受光量判定回路22を制御する。
【0098】
つまり、図7に示すように、照度センサ13の受光強度は、図7(A)中の符号70で示され、発光素子11の放射強度は、図7(B)中の符号71で示され、受光素子12の受光強度は、図7(C)で示される。そして、照度センサ13の受光強度70が一定時間内に変化しないことを検知したときには、発光素子11から放射する光の放射強度71を低めて、かつ、判定閾値72を低める。
【0099】
受光強度70が一定時間内に変化したか否かを判定するのは、照度判定回路23が担う。照度判定回路23は、発光素子11のパルス発光のうち光を放射していない期間に動作する照度センサ13からの出力信号を少なくとも2期間分入力されて、2期間分の信号レベルを比較し、変化量を検知する。
【0100】
また、照度判定回路23は、照度変化に対するある一定の基準量73を記憶しており、変化量が基準量を超える場合、受光強度が変化したと判定する。
【0101】
上記構成の近接センサによれば、上記照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したとき、被検出物体20が近接もしくは離隔のどちらかの状態を保持していると判断される。
【0102】
そして、このときに、上記制御回路21は、上記発光素子11が放射する光の放射強度を低くするように、上記発光素子11を制御し、かつ、上記判定閾値を低くするように、上記受光量判定回路22を制御することで、被検出物体20の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0103】
一方、上記照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が一定時間内に変化したと判定したとき、被検出物体20が近接もしくは離隔のどちらかの状態へ移動していると判断される。このときに、上記制御回路21は、発光素子11が放射する光の放射強度を元に戻す(高くする)ように、発光素子11を制御し、かつ、判定閾値を元に戻す(高くする)ように、受光量判定回路22を制御する。
【0104】
(第7の実施形態)
図8は、この発明の照度検知機能付き近接センサの第7の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第7の実施形態では、制御回路の制御方法が相違する。
【0105】
この第7の実施形態では、図2を参照して、照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が一定時間内に変化しないと判定し、かつ、受光量判定回路22が、受光素子12が受光した反射光の光量が判定閾値を超えていると判定したときに、制御回路21は、発光素子11のパルス発光の発光期間を短くするように、発光素子11を制御する。
【0106】
つまり、図8に示すように、照度センサ13の受光強度は、図8(A)中の符号80で示され、受光素子12の受光強度は、図8(B)中の符号81で示され、発光素子11の放射強度は、図8(C)中の符号83で示される。そして、照度センサ13の受光強度80が一定時間内に変化しないことを検知し、かつ、受光素子12の受光強度81が判定閾値82を超えて被検出物体20が近接状態であることを検知したときに、発光素子11の放射強度83に示されるように、発光素子11のパルス発光において発光期間を短くする。
【0107】
受光強度80が一定時間内に変化したか否かを判定するのは、照度判定回路23が担う。照度判定回路23は、発光素子11のパルス発光のうち光を放射していない期間に動作する照度センサ13からの出力信号を少なくとも2期間分入力されて、2期間分の信号レベルを比較し、変化量を検知する。
【0108】
また、照度判定回路23は、照度変化に対するある一定の基準量84を記憶しており、変化量が基準量を超える場合、受光強度が変化したと判定する。
【0109】
上記構成の近接センサによれば、上記照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したとき、被検出物体20が近接もしくは離隔のどちらかの状態を保持していると判断される。上記受光量判定回路22が、反射光の光量が判定閾値を超えていると判定したとき、被検出物体20が近接センサに近接状態に有ると判断する。
【0110】
そして、被検出物体20が近接状態を保持しているとき、上記制御回路21は、発光素子11のパルス発光の発光期間を短くするように、発光素子11を制御することで、消費電力を低減することができる。このとき、周囲照度が暗いので、パルス発光の発光期間を短くしてもSNは保たれる。したがって、被検出物体20の近接状態を検知する精度を損なうことなく、近接センサの消費電力を低減することができる。
【0111】
(第8の実施形態)
この発明の照度検知機能付き近接センサの第8の実施形態では、図2を参照して、発光素子11が放射した光は、赤外光である。したがって、照度センサ13で受光する光の波長領域を可視光とすることで、発光素子11から放射される光が照度センサ13に受光されて周囲照度が誤検知されることを防ぐことができる。
【0112】
さらに、蛍光灯下のように赤外光の光量が可視光の光量に比べ相対的に少ない環境では、近接センサに対する外乱光の影響を低減することができる。また、近接センサの動作時には、外観上目立たなくすることができる。
【0113】
(第9の実施形態)
図9と図10は、この発明の電子機器の一実施形態を示している。図9は、電子機器としての携帯電話90を示し、図10は、電子機器としてのデジタルカメラ95を示す。
【0114】
図9に示すように、携帯電話90は、上記第1から上記第8の実施形態の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサ91を備える。携帯電話90は、液晶モニタ92を有し、周囲光の明るさに応じて、液晶モニタ92のLEDバックライトを調光する。また、携帯電話90は、被検出物体20の近接状態に応じて、液晶モニタ92の表示やLEDバックライトの点灯を制御することで、消費電力を低減する。
【0115】
図10に示すように、デジタルカメラ95は、上記第1から上記第8の実施形態の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサ93を備える。デジタルカメラ95は、液晶モニタ94を有し、周囲光の明るさに応じて、液晶モニタ94のLEDバックライトを調光する。また、デジタルカメラ95は、被検出物体20の近接状態に応じて、液晶モニタ94の表示やLEDバックライトの点灯を制御することで、消費電力を低減する。
【0116】
したがって、上記構成の電子機器によれば、より消費電力が低い上記近接センサ91,93が使用されることにより、電子機器の消費電力を低減することができる。
【0117】
(第10の実施形態)
図11は、この発明の電子機器の他の実施形態を示している。図11に示すように、電子機器としての携帯電話100は、上記第1から上記第8の実施形態の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサ101を備える。
【0118】
携帯電話100は、液晶モニタ102を有し、周囲光の明るさに応じて、液晶モニタ102のLEDバックライトを調光する。また、携帯電話100は、被検出物体20(この実施形態では、手である)の近接状態に応じて、液晶モニタ102の表示やLEDバックライトの点灯を制御することで、消費電力を低減する。
【0119】
この携帯電話100では、図2を参照して、受光量判定回路22が、受光素子12が受光した反射光の光量が判定閾値を超えていると判定したときに、照度センサ13から得られる照度情報を無視する。
【0120】
つまり、被検出物体20(手)が近接センサ101に近接している場合、被検出物体20により周囲光が照度センサ13に受光されることを妨げられ、照度センサ13は正確な周囲光の照度を検知することができない。
【0121】
このように、照度センサ13の出力により液晶モニタ102のバックライトを自動調光する電子機器において、被検出物体20の影によって不適切な調光が行われることを防ぐため、近接センサ101が被検出物体20の近接状態を検知している場合、照度センサ13から得られる照度情報を無視する。
【0122】
上記構成の電子機器によれば、上記受光量判定回路22が、反射光の光量が判定閾値を超えていると判定したとき、被検出物体20が電子機器に近接状態に有ると判断する。
【0123】
そして、例えば、この電子機器が、照度センサ13によって検知される周囲照度に応じて液晶モニタのバックライトの輝度を調光することで低消費電力化を図る機器である場合、被検出物体20が近接状態にあって周囲光が照度センサ13に受光されることを妨げる位置関係にあるときに、照度センサ13から得られる照度情報を無視することで、周囲照度が暗いと誤検知することを防ぐことができる。
【0124】
すなわち、照度判定回路23により周囲照度が暗いことを検知した場合でも、被検出物体20が近接状態にある場合には、バックライトの輝度を不要に明るくすることが無くなり、電子機器の消費電力が増加することを防ぐことができる。
【0125】
(第11の実施形態)
図12は、この発明の電子機器の別の実施形態を示している。図12に示すように、電子機器は、上記第1から上記第8の実施形態の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサ110を備える。
【0126】
この電子機器では、図2を参照して、照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、受光素子12から得られる反射光の情報を無視する。
【0127】
つまり、被検出物体20が近接状態に無く、かつ、周囲照度が十分明るく、外光112が受光素子12に受光される場合、発光素子11の放射光111が架空の被検出物体112によって反射された光とみなされ、架空の被検出物体112が近くにあると誤検知される可能性がある。
【0128】
そこで、上記構成の電子機器によれば、上記照度判定回路23が、照度センサ13が検知した照度が第1の照度閾値を超えていると判定したとき、電子機器の周囲が明るいと判断する。
【0129】
そして、被検出物体20が近接状態に無い場合、周囲照度が十分明るく受光素子12に周囲光が受光されることがあっても、照度判定回路23により周囲照度が十分明るいことを検知して、受光素子12から得られる反射光の情報を無視することで、被検出物体20の近接状態を誤検知することを防ぐことができる。
【0130】
(第12の実施形態)
図13Aと図13Bは、この発明の照度検知機能付き近接センサの他の実施形態を示している。図13Aと図13Bに示すように、この近接センサの動作フローは、上記第1から上記第5の実施形態を組み合わせたものである。
【0131】
つまり、工程S1〜工程S3は、上記第1の実施形態を示す。工程S4、工程S5および工程S11は、上記第3の実施形態を示す。工程S6は、上記第5の実施形態を示す。工程S7、工程S8、工程S12および工程S13は、上記第2の実施形態を示す。工程S15、工程S16および工程S10は、上記第4の実施形態を示す。
【0132】
このように、図13Aと図13Bは、上記第1から上記第5の実施形態を組み合わせたものであるため、詳細な説明を省略する。
【0133】
(第13の実施形態)
図14Aと図14Bは、この発明の照度検知機能付き近接センサの別の実施形態を示している。図14Aと図14Bに示すように、この近接センサの動作フローは、上記第1から上記第4、上記第6、上記第7の実施形態を組み合わせたものである。
【0134】
つまり、工程S1〜工程S3は、上記第1の実施形態を示す。工程S4、工程S5および工程S11は、上記第3の実施形態を示す。工程S6および工程S20は、上記第6の実施形態を示す。工程S7、工程S8、工程S12、工程S13、工程S21および工程S22は、上記第2の実施形態を示す。工程S15、工程S16および工程S10は、上記第4の実施形態を示す。工程S24、工程S25および工程S10は、上記第7の実施形態を示す。
【0135】
このように、図14Aと図14Bは、上記第1から上記第4、上記第6、上記第7の実施形態を組み合わせたものであるため、詳細な説明を省略する。
【0136】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、照度検知機能付き近接センサとしては、上記第1から上記第8の実施形態を様々に組み合わせてもよい。また、電子機器としては、携帯電話やデジタルカメラ以外の機器であってもよい。
【符号の説明】
【0137】
10 照度検知機能付き近接センサ
11 発光素子
12 受光素子
13 照度センサ
14 基板
15 1次モールド樹脂
16 2次モールド樹脂
20 被検出物体
21 制御回路
22 受光量判定回路
23 照度判定回路
24 出射光
25 反射光
26 周囲光
30 発光素子および受光素子の動作タイミング
31 受光素子の受光強度
32 判定閾値
33 照度センサの動作タイミング
34 照度センサの受光強度
40 照度センサの受光強度
41 第2の照度閾値
42 発光素子の放射強度
43 判定閾値
50 照度センサの受光強度
51 第2の照度閾値
52 受光素子の受光強度
53 判定閾値
54 発光素子の放射強度
60 照度センサの受光強度
61 発光素子の放射強度
62 受光素子の受光強度
63 判定閾値
64 一定の基準量
70 照度センサの受光強度
71 発光素子の放射強度
72 判定閾値
73 一定の基準量
80 照度センサの受光強度
81 受光素子の受光強度
82 判定閾値
83 発光素子の放射強度
84 一定の基準量
90 携帯電話
91 照度検知機能付き近接センサ
93 照度検知機能付き近接センサ
95 デジタルカメラ
100 携帯電話
101 照度検知機能付き近接センサ
110 照度検知機能付き近接センサ
111 発光素子の放射光
112 架空の被検出物体
113 外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放射する発光素子と、
上記発光素子が放射した光の被検出物体からの反射光を受光する受光素子と、
上記受光素子が受光した反射光の光量が判定閾値を超えているか否かを判定する受光量判定回路と、
周囲の照度を検知する照度センサと、
上記照度センサが検知した照度が第1の照度閾値を超えているか否かを判定する照度判定回路と、
上記受光量判定回路および上記照度判定回路の出力を受けると共に、上記照度判定回路が上記照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、上記発光素子が光の放射を停止するように、上記発光素子を制御する制御回路と
を備えることを特徴とする照度検知機能付き近接センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の照度検知機能付き近接センサにおいて、
上記制御回路は、
上記発光素子が一定周期でパルス発光するように、上記発光素子を制御すると共に、
上記発光素子が光を放射しているときに上記照度センサが照度の検知を停止する一方、上記発光素子が光を放射していないときに上記照度センサが照度を検知するように、上記照度センサを制御することを特徴とする照度検知機能付き近接センサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の照度検知機能付き近接センサにおいて、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が上記第1の照度閾値よりも小さな第2の照度閾値以下であると判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子が放射する光の放射強度を低くするように、上記発光素子を制御し、かつ、上記判定閾値を低くするように、上記受光量判定回路を制御することを特徴とする照度検知機能付き近接センサ。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサにおいて、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が上記第1の照度閾値よりも小さな第2の照度閾値以下であると判定し、かつ、上記受光量判定回路が、上記受光素子が受光した反射光の光量が上記判定閾値を超えていると判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子のパルス発光の発光期間を短くするように、上記発光素子を制御することを特徴とする照度検知機能付き近接センサ。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサにおいて、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子が光の放射を停止するように、上記発光素子を制御することを特徴とする照度検知機能付き近接センサ。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサにおいて、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が一定時間内に変化しないと判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子が放射する光の放射強度を低くするように、上記発光素子を制御し、かつ、上記判定閾値を低くするように、上記受光量判定回路を制御することを特徴とする照度検知機能付き近接センサ。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサにおいて、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が一定時間内に変化しないと判定し、かつ、上記受光量判定回路が、上記受光素子が受光した反射光の光量が上記判定閾値を超えていると判定したときに、
上記制御回路は、上記発光素子のパルス発光の発光期間を短くするように、上記発光素子を制御することを特徴とする照度検知機能付き近接センサ。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサにおいて、
上記発光素子が放射した光は、赤外光であることを特徴とする照度検知機能付き近接センサ。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一つに記載の照度検知機能付き近接センサを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項9に記載の電子機器において、
上記受光量判定回路が、上記受光素子が受光した反射光の光量が上記判定閾値を超えていると判定したときに、上記照度センサから得られる照度情報を無視することを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項9または10に記載の電子機器において、
上記照度判定回路が、上記照度センサが検知した照度が第1の照度閾値を超えていると判定したときに、上記受光素子から得られる反射光の情報を無視することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【公開番号】特開2010−199706(P2010−199706A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39387(P2009−39387)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】