説明

照明光学ユニットを設定する方法及び装置

【課題】照明光ビームを案内及び成形するための複数の光学面を含む照明光学ユニットを設定する方法及び装置等を提供する。
【解決手段】設定される照明パラメータが、像視野に結像される物体視野にわたって予め定められる。設定は、最初に、複数の視野点における複数の照明角度に関する照明光学ユニットの強度重み付き照明パラメータの実際の値を決定する段階を含む。次に、少なくとも1つの照明パラメータに対する照明光学ユニットの光学面のうちの少なくとも1つの変形の影響が決定される。更に、照明パラメータの望ましい値が予め定められる。照明パラメータの実際の値が予め定められた範囲内で照明パラメータの望ましい値に対応するように、変形の影響が決定された少なくとも1つの光学面の望ましい形状が決定される。最後に、光学面の実際の形状が望ましい形状に対応するように、光学面に対して機械応力を作用する少なくとも1つのアクチュエータを用いて光学面が変形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光ビームを案内及び成形するための複数の光学面を含む照明光学ユニットを設定する方法及び装置に関する。更に、本発明は、この種の設定装置を含む照明光学ユニット、この種の照明光学ユニットを含む光学系、この種の光学系を含む投影露光装置、この種の投影露光装置を用いてパターン化構成要素を製造する方法、及びこのように製造されたパターン化構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に示した種類の設定方法は、DE 10 2008 021 833 A1から公知である。
【0003】
特に、微細構造化構成要素又はナノ構造化構成要素の製造中の結像要件に対しては、結像される物体視野は、照明角度分布及び強度分布に関して正確に定義された方式で照明する必要がある。公知の照明系では、例えば、照明角度及び/又は照明強度に関して、照明される物体視野のエッジにおいて視野の中心におけるものと比較して異なる照明条件が存在するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE 10 2008 021 833 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、結像収差又は所定値からの照明パラメータの望ましくない偏差に対して、例えば、この種の視野エッジ効果に対して補償の可能性をもたらすような冒頭に示した種類の方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるとこの目的は、請求項1に指定した特徴を含む方法を用いて達成される。
【0007】
本発明により、特定の普遍的な照明パラメータが存在することが見出されており、照明光学ユニット内の特定の場所におけるその情報は、結像収差の補償に適する面、及び結像収差を補償するためにこの光学面に与える必要がある変形を予め定める可能性をもたらす。この種の補償は、特に、極めて高い結像精度が重要である場合、及び/又は視野エッジにおける層効果が回避不能である場合に有利である。本発明による設定方法の例示的な用途は、DUV又はEUV内に使用光の波長を有するマイクロリソグラフィのための光学ユニットを含む。特定の用途では、予め定められた範囲内で望ましい照明パラメータを得るのに、照明光学ユニットの単一の光学面を変形するだけで十分である。照明光学ユニットの設計に基づいて、更に、望ましい照明パラメータを得ようと意図する際に必要とされる精度に基づいて、複数の光学面を変形すること、又は全ての光学面を変形することさえも可能である。この場合、光学面は、波面の位相に対する光学面形状の変化の効果に関して選択することができる。本発明による変形は、特に、特定の照明設定の場合の楕円率及び均一性という照明パラメータの補償に使用することができる。そのような照明設定の例は、輪帯照明設定、X二重極照明設定、Y二重極照明設定、及びC四重設定を含む。C四重設定は、4つの部分リング領域の方向からの照明であり、その4つの部分リング領域は、瞳の中心の周りに円周方向に配置され、その各々は30°の円周範囲を有し、瞳の中心の周りに同じ距離で均等に分布する。C四重設定は、X二重極照明設定とY二重極照明設定との重ね合わせと同等である。X二重極照明設定、Y二重極照明設定、及びC四重設定は、物体視野の多重極照明の例を表している。物体視野の下流の光学ユニット、例えば、投影光学ユニットもまた、例えば、楕円率又はテレセントリック性のような照明パラメータに影響を及ぼすことができるので、変形が、物体視野の上流の照明光学ユニット及び下流に配置された光学ユニット、例えば、投影光学ユニットから構成される全体的なシステムに対するバイアスをもたらすように、照明角度分布を設定することができる。この強度重み付き照明パラメータは、全ての視野点おいて決定することができ、又は選択された視野点において決定することができる。
【0008】
請求項2に記載の照明瞳の強度重み付き歪曲及び照明瞳内の強度重み付き局所区域変化を用いて照明パラメータの実際の値を決定することは、照明記述及び/又は結像記述に関する設定方法に特に適する照明パラメータであることが見出されている。強度重み付き歪曲及び強度重み付き局所区域変化は、設定方法に使用される強度重み付き照明パラメータの例を表している。
【0009】
請求項3に記載のシミュレーションは、照明光学ユニット及び照明光のための光源の設計変数の正確な情報が与えられた場合に、変形予め定めるための基礎をもたらす。
【0010】
代替的又は追加的に、変形を予め定めるために波面の測定を実施することができる。
【0011】
請求項4に記載の関数セット記述は、正確な波面の決定を可能にする。光学境界条件に十分に適応された対称性を有するゼルニケ多項式を関数セットとして選択することができる。
【0012】
請求項5に記載のターゲット値設定は、特定の照明及び/又は結像収差の寄与をターゲット方式で決定することができるようにこれらの寄与を選択することを可能にする。ターゲット値は、例えば、0とすることができる。ターゲット値の設定は、強度重み付き照明パラメータを決定する時に、及び/又は変形の影響を決定する時に行うことができる。ターゲット値の設定に基づいて、設定方法の結果が、予め定められた対称性を有する変形を用いて得ることができる望ましい形状であるように、関数セットを適応させることを可能にする。
【0013】
請求項6に記載の設定装置の利点は、設定方法を参照して上述したものに対応する。変形される光学面がミラー面である場合にのみ、変形デバイスのアクチュエータは、ミラーに対してミラーの後側から作用することができる。駆動方式で調節可能なアクチュエータ、例えば、圧電アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、液圧アクチュエータ、又は機械的に設定することができるアクチュエータ、例えば、マイクロメートルネジを用いて設定することができるアクチュエータをアクチュエータとして使用することができる。電界の存在に依存する流体、例えば、磁気粘性流体(MRF)をアクチュエータ作動ドライブとして使用することができる。
【0014】
請求項7に記載の複数のアクチュエータは、アクチュエータの配列の対称性が、予め定められることになる変形の対称性に適応されるように、変形される光学面にわたって分布することができる。
【0015】
請求項8に記載の照明光学ユニット、請求項9に記載の光学系、請求項10に記載の投影露光装置、請求項11に記載の製造方法、及び請求項12に記載の構成要素の利点は、設定方法及び設定装置を参照して上述したものに対応する。光学面は、屈折光学面及び/又は反射光学面とすることができる。
【0016】
本発明の例示的な実施形態を図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マイクロリソグラフィのための投影露光装置の光学主要群を非常に概略的に示す子午断面図である。
【図2】図1に記載の投影露光装置の照明光学ユニットの光学主要群のうちの2つをより詳細に示す図である。
【図3】レンズの光学面に対する変形デバイスと、照明光学ユニットの照明パラメータの実際の値を決定し、望ましい照明パラメータ値を予め定めるための決定及び事前規定デバイスとを含む設定装置を有する図2に記載の照明光学ユニットから視野レンズ群のレンズを略示する側面図である。
【図4】照明光学ユニットの視野平面内の照明光の波面変形を示すグラフである。
【図5】照明光学ユニットの瞳平面内の図4に記載の波面変形に対応する波面変形を示す図である。
【図6】図4及び図5に記載の波面偏差の補償に適する対称性を有する周辺視野点から見た照明瞳内の局所区域変化を示すグラフである。
【図7】中心視野点から見た照明瞳にわたる局所区域変化を示す図6と類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
投影露光装置1をその光学主要群に関してのみ、図1の子午断面内に略示している。この概略図は、光学主要群を屈折光学要素として示している。光学主要群は、回折構成要素又は反射構成要素として、又は光学要素の屈折/回折/反射アセンブリの組合せ又は部分結合としも同様に良好に実施することができる。
【0019】
位置関係の表現を容易にするために、以下ではx−y−z座標系を使用する。図1では、x軸は、作図面と垂直にそれに向けて延びている。図1では、y軸は上方に延びている。図1では、z軸は、右に向けて投影露光装置1の光軸2と平行に延びている。この光軸2は、適切な場合は複数回折り返すことができる。
【0020】
投影露光装置1は、照明ビーム又は結像ビーム4の形態で使用光を生成する放射線源3を有する。使用光4は、DUV内、例えば、100nmと200nmの間の範囲の波長を有する。代替的に、使用光4は、EUV内、特に5nmと30nmの間の範囲の波長を有することができる。以下では使用光4を照明光又は結像光とも呼ぶ。
【0021】
投影露光装置1の照明光学ユニット5は、使用光4を放射線源3から投影露光装置1の物体平面6に向けて案内する。レチクル6aの形態にある投影露光装置1によって結像される物体は、物体平面6に配置される。図1ではレチクル6aを破線形式に示している。レチクル6aは、レチクルホルダ6bによって保持される。投影露光装置1の物体視野6cに配置されるレチクル6aの一区画が照明される。物体視野6cは、物体平面6内に位置する。
【0022】
第1の光学主要群として、照明光学ユニット5は、最初に瞳成形光学ユニット7を含む。瞳成形光学ユニット7は、下流に配置された瞳平面8内に使用光4の所定の強度分布を生成する。瞳成形光学ユニット7は、放射線源3を複数の2次光源に結像する。瞳成形光学ユニット7はまた、更に視野成形機能を有することができる。瞳成形光学ユニット7内では、ファセット要素、ハニカム要素、及び/又は回折光学要素を使用することができる。瞳平面8は、照明光学ユニット5の下流で物体平面6と像平面11の間に配置された投影露光装置1の投影対物系レンズ10の更に別の瞳平面9に対して光学的に共役である。像平面11内にはウェーハ11aが配置され、図1ではウェーハ11aを破線形式に示している。ウェーハ11aは、略示しているウェーハホルダ11bによって保持される。物体平面6の物体視野6cは、投影対物系レンズ10によって像平面11内のウェーハ11a上に結像される。
【0023】
瞳成形光学ユニット7の下流に配置された瞳平面8の下流には、照明光学ユニット5の更に別の光学主要群としての視野レンズ群12が配置される。
【0024】
視野レンズ群12の下流には、物体平面6に対して共役な中間像平面13が配置される。中間像平面13、物体平面6、及び像平面11は、投影露光装置1の視野平面を構成する。中間像平面13内には、物体平面6内で照明される物体視野の周辺境界を予め定めるための絞り14が位置する。絞り14をREMA(レチクル6aを絞るための「レチクルマスキングシステム」)絞りとも呼ぶ。
【0025】
中間像平面13は、REMAレンズ群とも表す対物系レンズ群15によって物体平面6に結像される。対物系レンズ群15は、照明光学ユニット5の更に別の光学主要群を構成する。
【0026】
図2は、視野レンズ群12及びREMAレンズ群15をより詳細に示している。視野レンズ群12は、連続して配置された合計で6つのレンズ16から21を有する。REMAレンズ群15は、中間像平面13の下流に2つの部分レンズ群22、23を有する。第1の部分レンズ群22は、合計で5つのレンズ24から28を含む。REMAレンズ群15の2つの部分レンズ群22、23の間には、更に別の瞳平面29が位置する。REMAレンズ群15の第2の部分レンズ群23は、ここでもまた、5つのレンズ30から34を含む。光線方向に第2の部分レンズ群23の最後のレンズの下流には、レチクル6aを有する物体平面6が配置される。
【0027】
瞳平面8、9、29内の光学的使用領域を以下では照明瞳とも表している。
【0028】
図2は、2つの視野点、すなわち、中心物体視野点35と物体視野のエッジにあるエッジ視野点36とに関して結像ビーム経路を示している。中心物体視野点35は、物体平面6を貫通する光軸2の交点の場所に配置される。エッジ視野点36は、負のy方向に位置する物体視野の視野エッジに配置される。投影露光装置1の投影作動の過程で、y方向は、レチクルホルダ6bの移動方向であり、同時にウェーハホルダ11bの移動方向である。光軸2に沿って、中心物体視野点35の照明ビーム経路は、中心物体視野点35の最大照明角度を同時に表す2つの周辺光線37、38によって特徴付けられる。エッジ視野点36の照明ビーム経路は、瞳平面8、29を中心で通過する主光線39により、更にエッジ視野点36の最大照明角度を同様に表す2つの周辺光線40、41によって特徴付けられる。
【0029】
照明光学ユニット5の設定済みの照明設定に基づいて、すなわち、瞳成形光学ユニット7を用いて瞳平面8内に設定される強度分布に基づいて、物体視野の視野点において対応する分照明角度分布がもたらされる。
【0030】
図3は、照明光学ユニット5のための全体的な設定装置41aを示している。図3は、視野レンズ群12のレンズのうちの1つ、すなわち、レンズ17を例示的に示している。レンズ17は、固定装着ユニット42と、レンズ17の光学面45に対して所定の空間配分方式で応力を作用することができる変形デバイス44の一部である可動装着ユニット43との間に装着される。光学面45の形状は、光学面45の局所座標x及びyに依存する関数zとして、すなわち、z(x,y)の形式で説明することができる。
【0031】
変形デバイス44は、図3に記載の実施形態の場合には、変形デバイス44の可動装着ユニット43と支台48の間に支持される2つの圧縮バネ47によって形成されるプレストレスユニット46を有する。プレストレスユニット46を用いて、光学面45に対して基本応力が作用され、光学面45に対しては、実変形応力が付加的に作用する。
【0032】
更に変形デバイス44は、複数のアクチュエータユニット又はアクチュエータ49を含む。図3には合計で8つのこの種のアクチュエータユニット49を示している。実際には、アクチュエータユニットの個数は、4と数十の間の範囲で変化することができる。アクチュエータユニット49は、レンズ17に対して周辺に配置され、すなわち、アクチュエータ本体50を用いて照明光4に露光されないエッジにおいて光学面45に機械的かつ作動的に接続される。
【0033】
アクチュエータユニット49の各々は、それぞれのアクチュエータユニット49によってそのアクチュエータ本体50を通じて光学面45に対して作用される変形力又は作動力を予め定めるためのアクチュエータ作動ドライブ51を有する。
【0034】
アクチュエータ本体50が光学面45を圧迫する作動点の配列は、z軸の回りの円周方向の対称性に関して予め定められる変形対称性に適応される。例示的に、光学面45の変形Dの対角対称性が望ましい場合には、アクチュエータ本体50の配列は、これに対応してz軸の回りに対角対称である。変形Dもまた、光学面45の局所座標x,yに依存するように記述することができる。
【0035】
アクチュエータユニット49を用いて光学面に対して作用される作動力、及びそれによって効力を発する変形応力の結果は、光学面45上のそれぞれの座標x,yに依存してz方向に、すなわち、x,y平面と垂直に作用する変形D(x,y)である。変形D(x,y)に起因して、光学面45は、アクチュエータユニット49の作動力の作用なしに有する元の形状から生じる、変形された形状z(x,y)を得る。
【0036】
アクチュエータユニット49は、アクチュエータ作動ドライブ51とアクチュエータ本体50の間に、アクチュエータ作動ドライブ51によって予め定められる作動力をアクチュエータ本体50によって光学面45に対して作用される作動力に変換する力変換要素を更に有することができる。この種の変換ユニットは、てこ作用変換ユニットとして具現化することができる(図面内には例示していない)。
【0037】
プレストレスユニット46によって光学面45に対して作用されるプレストレスは、力測定ユニット52によって測定される。
【0038】
アクチュエータ作動ドライブ51の各々は、以下に機能を説明する決定及び事前規定デバイス54に信号線53を通じて信号接続される。
【0039】
照明光学ユニット5及び投影対物系レンズ10を含む光学系の瞳平面のうちの1つ、例えば、瞳平面8内の照明光4の強度分布、並びに視野平面、例えば、物体平面6内の照明光4の強度分布は、照明光4の強度で重み付けされた照明パラメータによって特徴付けることができる。
【0040】
この照明パラメータの例は、強度重み付き瞳歪曲(Δξ,Δη)及び照明瞳内の強度重み付き局所区域変化δA/Aである。
【0041】
この場合、ξ及びηは、照明瞳内の方向余弦、すなわち、視野座標x,yに対応する瞳座標を表している。
【0042】
以下の関係が成り立つ。

(1)

(2)
【0043】
この場合、x,yは、視野座標である。
【0044】
wfr(ξ,η,x,y)は、2つの視野座標x,y及び2つの瞳座標ξ,ηに依存する照明光4の波面を表している。
【0045】
g(ξ,η,x,y)は、強度重み付け関数として、それぞれの照明設定、すなわち、照明瞳内の絞り又はマスク関数、すなわち、瞳平面8、9、29のうちの1つ内で特定の瞳座標ξ,ηにおいて値0を取り、他の瞳座標ξ,ηにおいて値1を取る関数を表している。関数gを設定マスクとも表している。
【0046】
決定及び事前規定デバイス54は、照明光学ユニット5の強度重み付き照明パラメータ、すなわち、強度重み付き瞳歪曲及び複数の視野点における照明瞳内の強度重み付き局所区域変化を決定する。この決定は、照明光学ユニット5及び放射線源3の設計データに基づくシミュレーションにより、又は照明光学ユニット5の視野平面内の照明光4の強度分布の測定及び事前規定される照明設定の場合には照明光学ユニット5の瞳平面内の照明光4の強度分布の測定によって行うことができる。
【0047】
可能な照明設定の例は、従来の照明設定、設定可能な最大照明角度と最小照明角度とを有する輪帯照明設定、及び設定可能な最大照明角度と最小照明角度とを有し、かつ設定可能な極幅及び極方向を有する二重極設定を含む。この種の照明設定の例は、DE 10 2008 021 833 A1に詳述されている。
【0048】
一方で各視野点における強度重み付き瞳歪曲から、他方で各視野点における照明瞳内の強度重み付き局所区域変化から物体視野6cの照明に関連する照明変数を計算することができる。この照明変数の例は、幾何学的テレセントリック性、照明角度変化、照明均一性、極バランス、楕円率、及びエネルギテレセントリック性比率を含む。
【0049】
以下の関係が成り立つ。
【0050】
x方向及びy方向のテレセントリック性tel:

(3)
シグマ−所定の設定に対する変動dσ−等強度線(所定のR):

(4)
均一性U:

(5)
x方向及びy方向の極バランスpb:

(6)

(7)
楕円率E:

(8)
極バランス誘導xテレセントリック性:

(9)
全体xテレセントリック性:

(10)
【0051】
この場合、NAは、照明光学ユニット5の物体視野側開口数である。指定した更に別の変数に対しては以下が成り立つ。
σ:照明角度
σ in:内側の最小照明角度
σ out:外側の最大照明角度
R:瞳半径
Φ1,Φ3:x瞳四分円
Φ2,Φ4:y瞳四分円
Φ=Φ1+Φ2+Φ3+Φ4
【0052】
「mean」は、平均値の形成を表している。
【0053】
これらの照明変数は、DE 10 2008 021 833 A1に説明されているものに対応する。
【0054】
強度重み付き瞳歪曲及び/又は照明瞳内の強度重み付き局所区域変化を決定するために、一方で照明光学ユニット5の視野平面のうちの1つにおける照明光4の波面wfrの位相プロフィールと、他方で照明光学ユニット5の瞳平面のうちの1つにおける照明光4の波面wfrの位相プロフィールとを考察することができる。この考察は、光学設計データに基づく計算により、又は測定によって行うことができる。この決定は、直交関数セットを用いた波面の展開を用いて行うことができる。この種の関数セットの一例は、ゼルニケ多項式である。この展開中に、関数セットの個々の関数は、ターゲット値、例えば、値0に設定することができる。このようにして、波面の全体形状への直交関数セットの個々の関数の寄与を考察することができる。既に上述の設定マスクに対応する方式で、ゼルニケ多項式のこのターゲット値の割り当てをゼルニケマスクとも表している。
【0055】
図4は、照明瞳にわたる、すなわち、瞳座標内のゼルニケ多項式Z10の変形寄与を示している。波長の単位で波面偏差を示している。
【0056】
図5は、視野にわたる波面偏差の対応するプロフィールを示している。
【0057】
図6及び図7は、図4及び図5に対応する波面分布をもたらす、言い換えれば、図4及び図5に例示している波面変形の補償に使用することができる決定及び事前規定デバイス45によって計算した光学面45の場所における局所区域変化を示している。
【0058】
図は、100λに対してスケーリングしたものである。従って、値1は、100個の波長分の波面変化に対応する。
【0059】
2つの異なる視野点に対して、すなわち、図6において周辺視野点(x,y)=(54.5,0)及び図7において中心視野点(x,y)=(0,0)に対する、照明瞳にわたる局所区域変化がそれぞれ詳しく記載されている。
【0060】
瞳内の強度重み付き局所区域変化に対する値から、変形D(x,y)を決定することができ、ここで、x,yは、光学面45上の座標であり、Dは、光学面45上のそれぞれの場所x,yにおける光学面45の変形を表している。
【0061】
この目的のために、最初に、強度重み付き瞳歪曲又は照明瞳内の強度重み付き局所区域変化に対する光学面45の特定の変形D(x,y)の影響が決定される。
【0062】
その後に、照明パラメータ、すなわち、強度重み付き瞳歪曲又は照明瞳内の強度重み付き区域変化の望ましい値が予め定められる。次に、実際の照明パラメータ値が予め定められた範囲内で望ましい照明パラメータ値に対応するような光学面45の望ましい形状z(x,y)が決定される。次に、望ましい形状と光学面45の実際の形状との比較から、必要な変形D(x,y)を決定することができる。最後に、光学面45の実際の形状が望ましい形状に対応するように、アクチュエータユニット49を用いて光学面45が変形される。これらの決定段階及びアクチュエータユニット49に対する作動値の事前規定は、決定及び事前規定デバイス54内で処理される。
【0063】
第1に照明瞳にわたるプロフィールに関する基底関数と、第2に視野にわたる波面のプロフィールに関する基底関数との対を光学から公知の結像収差に割り当てることができる。上記に選択された基底関数Z10とF10の対は、結像収差「3つ葉のクローバー」に対応する。
【0064】
基底関数の他の対は、他の公知の結像収差に対応する。
【0065】
Z4とF4は、ザイデル像収差「像視野湾曲」に対応する。Z7とF2は、ザイデル像収差「コマ収差」に対応する。
【0066】
Z2とF2は、スケール収差に対応する。
【0067】
Z2とF7は、3次の歪曲に対応する。
【0068】
Z5とF5は、非点収差に対応する。
【0069】
Z7とF7は、次に高い視野次数のコマ収差に対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定される照明パラメータが像視野(11c)に結像される物体視野(6c)にわたって予め定められる照明光(4)のビームを案内及び成形するための複数の光学面(45)を含む照明光学ユニット(5)を設定する方法であって、
複数の視野点(x,y)での、かつ複数の照明角度(ξ及びη)に対する照明光学ユニット(5)の強度重み付き照明パラメータの少なくとも1つの実際の値を決定する段階と、
前記少なくとも1つの照明パラメータに対する前記照明光学ユニット(5)の前記光学面(45)のうちの少なくとも1つの変形(D(x’,y’))の影響を決定する段階と、
前記照明パラメータの望ましい値を予め定める段階と、
前記照明パラメータの前記実際の値が予め定められた範囲内で該照明パラメータの前記望ましい値に対応するように、その変形の影響が決定された前記少なくとも1つの光学面(45)の望ましい形状(z(x’,y’))を決定する段階と、
前記光学面(45)を該光学面(45)の実際の形状が前記望ましい形状(z(x’,y’))に対応するように該光学面(45)に対して機械応力を作用する少なくとも1つのアクチュエータ(49)を用いて変形する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
複数の視野点(x,y)での、かつ複数の照明角度(ξ及びη)に対する前記照明光学ユニット(5)の前記強度重み付き照明パラメータの少なくとも前記実際の値を決定する段階は、
複数の視野点(x,y)での照明瞳の強度重み付き歪曲(Δξ,Δη)を決定する段階と、
複数の視野点(x,y)での前記照明瞳内の強度重み付き局所区域変化(δA/A)を決定する段階と、
を含み、
前記少なくとも1つの照明パラメータに対する前記照明光学ユニット(5)の前記光学面(45)のうちの少なくとも1つの前記変形(D(x’,y’))の前記影響を決定する段階に対して、
前記強度重み付き歪曲(Δξ,Δη)及び/又は前記強度重み付き局所区域変化(δA/A)に対する前記光学面(45)の前記変形(D(x’,y’))の前記影響を決定する段階、
が実施される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の視野点(x,y)での前記照明光学ユニット(5)の強度重み付き照明パラメータの少なくとも1つの実際の値を決定する段階は、視野平面(6,11,13)における及び/又は瞳平面(8,9,29)における前記照明光(4)の波面のシミュレーション及び/又は測定を含む、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定処理中に、前記波面は、直交関数セットの展開として記述される、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記決定処理中に、前記関数セットの個々の関数がターゲット値に設定される、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
設定される照明パラメータが像視野(11c)に結像される物体視野(6c)にわたって予め定められる照明光(4)のビームを案内及び成形するための複数の光学面(45)を含む照明光学ユニット(5)を設定するための装置(41a)であって、
複数の視野点(x,y)での、かつ複数の照明角度(ξ及びη)に対する照明光学ユニット(5)の強度重み付き照明パラメータの少なくとも1つの実際の値を決定し、
前記少なくとも1つの照明パラメータに対する前記照明光学ユニット(5)の光学面(45)のうちの少なくとも1つの変形(D(x’,y’))の影響を決定し、
前記照明パラメータの望ましい値を予め定め、
前記照明パラメータの前記実際の値が予め定められた範囲内で該照明パラメータの前記望ましい値に対応するように、その変形の影響が決定された前記少なくとも1つの光学面(45)の望ましい形状(z(x’,y’))を決定する、
ための決定及び事前規定デバイス(54)を含み、
前記光学面(45)の実際の形状が前記望ましい形状(z(x’,y’))に対応するように該光学面(45)を変形する目的で該光学面(45)に対して機械応力を作用する少なくとも1つのアクチュエータ(49)を含む変形デバイス(44)を含む、
ことを特徴とする装置(41a)。
【請求項7】
前記変形デバイス(44)は、前記光学面(45)を変形するための複数のアクチュエータ(49)を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
像視野(11c)に結像される物体視野(6c)を照明するための照明光学ユニット(5)であって、
請求項6又は請求項7に記載の設定装置(41a)、
を含むことを特徴とする照明光学ユニット(5)。
【請求項9】
請求項8に記載の照明光学ユニットを含み、
物体視野(6c)を像視野(11c)に結像するための投影光学ユニットを含む、
ことを特徴とする光学系。
【請求項10】
投影リソグラフィのための投影露光装置であって、
請求項9に記載の光学系を含み、
照明光(4)を発生させるための放射線源(3)を含み、
結像される構造を有するレチクル(6a)を物体視野(6c)に保持するためのレチクルホルダ(6b)を含み、
ウェーハ(11a)を像視野(11c)に保持するためのウェーハホルダ(11b)を含む、
ことを特徴とする投影露光装置。
【請求項11】
パターン化構成要素を製造する方法であって、
感光材料から構成された層が少なくとも部分的に付加された基板又はウェーハ(11a)を準備する段階と、
結像される構造を有するレチクル(6a)を準備する段階と、
請求項10に記載の投影露光装置(1)を準備する段階と、
前記投影露光装置(1)を用いて前記レチクル(6a)の少なくとも一部を前記基板(11a)の前記層のある一定の領域上に投影する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法に従って製造されたパターン化構成要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−248849(P2012−248849A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−128372(P2012−128372)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】