説明

照明装置及びプロジェクタ

【課題】 色ムラや輝度ムラを低減した高輝度画像の投射を可能にする照明装置を提供すること。
【解決手段】 光源装置10において、クロスダイクロイックプリズム15によって第1〜第3光源11,12,13からの第1〜第3要素光EG,EB,ERを重畳するので、十分な輝度の光源光を得ることができる。また、このような光源光を共通のフライアイ光学系16a,16b等で処理することによって、各色を含む光源光の一括した均一化を達成することができ、また、光源光を一括して偏光変換部材17で処理することによって、各色を含む光源光の一括した偏光変換を達成することができる。このように、フライアイ光学系16a,16b、偏光変換部材17等の共通化を図ることにより、光源装置10延いてはプロジェクタ100の小型化を効率的に達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ライトバルブその他の光変調装置、表示装置等を照明するための照明装置、並びに、かかる照明装置を組み込んだプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
所謂単板式のプロジェクタとして、RGBの3色のLEDを用いて単一の液晶ライトバルブを照明するものが存在する(特許文献1参照)。このプロジェクタでは、R色のLEDアレイとG色のLEDアレイとB色のLEDアレイとからの各色の光をクロスダイクロイックプリズムによって同一光路に導き、このクロスダイクロイックプリズムの射出面に対向配置された1つの液晶ライトバルブを照明する。
【0003】
また、所謂3板式のプロジェクタとして、光量確保のためRGBの3色ごとに液晶ライトバルブを設け、各液晶ライトバルブからの像光をクロスダイクロイックプリズムにて合成するものも存在する(特許文献2参照)。このプロジェクタでは、R色のLEDアレイによってR光用の液晶ライトバルブを照明し、G色のLEDアレイによってG光用の液晶ライトバルブを照明し、B色のLEDアレイによってB光用の液晶ライトバルブを照明する。
【特許文献1】特開2001−51651号公報
【特許文献2】特開2000−112031号公報の図5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のプロジェクタは、単一の液晶ライトバルブを照明するものであるため、所謂3板式のプロジェクタに比較して像光の光量が大幅に小さくなり、高輝度の画像を投射することができない。また、クロスダイクロイックプリズムの射出面に液晶ライトバルブを対向配置するため、各色のLEDアレイからの照明光が十分に均一化されず色ムラや輝度ムラが生じやすい傾向がある。
【0005】
また、後者のプロジェクタでは、各色のLEDアレイごとに導波路ブロック等を設ける必要があり、コストの増大を招く。また、照明光の十分な均一性を達成しようとした場合、各色ごとに設けている導波路ブロックをそれぞれ長くする必要があるので、照明装置の大型化を招く。
【0006】
そこで、本発明は、色ムラや輝度ムラを低減した高輝度画像の投射を可能にする照明装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、各色のLEDアレイごとに導波路ブロック等の均一化手段を設ける必要がなく簡易に小型化を達成することができる照明装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、上記のような照明装置を組み込んだプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る照明装置は、(a)各色の要素光をそれぞれ発生する各色の光源と、(b)各色の光源からの各色の要素光を結合して重ね合わせる光結合部材と、(c)光結合部材を経て重ね合わされた光源光の特性を調整する調整光学系とを備える。
【0010】
上記照明装置では、光結合部材が各色の光源からの各色の要素光を結合して重ね合わせるので、十分な輝度の光源光を得ることができる。しかも、調整光学系が重ね合わせ後における光源光の特性を調整するので、各色の要素光に対して略同一の調整処理を一括して行うことができる。つまり、光源光の均一性、発散角、偏光等の状態を各色に関して一致させつつ所望の程度に設定することができる。また、このことは調整光学系の共通化を図ることにもなるので、照明装置の小型化を効率的に達成することができる。
【0011】
また、本発明の具体的な態様では、上記照明装置において、調整光学系が、光源光の波面分割及び重畳によって光源光の強度分布を均一化する光インテグレータを含む。この場合、光源光の均一性を一括して調整することができ、照明光における色むらの発生を抑えることもできる。
【0012】
また、本発明の別の具体的な態様では、調整光学系が、光源光の偏光方向を所定方向にそろえる偏光変換装置を含む。この場合、光源光の偏光方向を一括してそろえることができ、光源光から効率よく所定方向に偏光した照明光を得ることができ、照明光の輝度向上を達成することができる。
【0013】
また、本発明の別の具体的な態様では、各色の光源が、それぞれ異なる発光波長特性を有する固体発光素子である。この場合、小型で効率が良く点灯も迅速な固体光源を用いて、波長選択性の高い各色の要素光を個別に発生することができる。
【0014】
また、本発明の別の具体的な態様では、各色の光源が、3色の要素光を個別に発生する3色の光源である。この場合、RGB等の3原色を含む3色を利用して、白色光等を含む混色を生成することができ、カラー画像表示用の照明光等を含む多様な照明光を提供することができる。
【0015】
また、本発明の別の具体的な態様では、光結合部材が、一対のダイクロイックフィルタを含み、3色の要素光の2次元的な分布を維持しつつ当該3色の要素光を合成する。この場合、一対のダイクロイックフィルタを利用して3色を効率良く重ね合わせることができる。
【0016】
また、本発明の別の具体的な態様では、光結合部材が、クロスダイクロイックプリズム及びクロスダイクロイックミラーのいずれかである。この場合、1つの部材で一括して3色を効率良く重ね合わせることができる。
【0017】
また、本発明に係るプロジェクタは、(a)上述した照明装置と、(b)照明装置に設けた調整光学系を経た光源光を各色の照明光に分割する分割光学系と、(c)分割光学系から射出される各色の照明光によってそれぞれ照明されるとともに、各色の照明光をそれぞれ変調して各色の変調光を形成する各色の光変調装置と、(d)各色の光変調装置を経た各色の変調光を合成する光合成部材と、(e)光合成部材を経ることによって合成された像光の投射像を形成する投射光学系とを備える。
【0018】
上記プロジェクタは、上述の照明装置を備えており、十分な輝度の光源光によって、各色の光変調装置を高輝度で照明することができる。しかも、調整光学系の共通化によって、光源光の均一性、発散角、偏光状態等を各色に関して所望の程度に達成することができ、高品質の画像を投射することができるとともに、照明装置延いてはプロジェクタの小型化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの光学系を説明する図である。このプロジェクタ100は、光源光を発生する光源装置10と、光源装置10からの光源光をRGBの3原色に分割する色分割光学系23と、色分割光学系23から射出された各色の照明光によって照明される光変調部25と、光変調部25からの各色の変調光を合成するための光合成部材であるクロスダイクロイックプリズム27と、クロスダイクロイックプリズム27を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備える。このうち、光源装置10及び色分割光学系23は、光変調部25をGBRの各色でそれぞれ照明するための照明装置となっている。
【0020】
光源装置10は、G光用の第1光源11と、B光用の第2光源12と、R光用の第3光源13と、光結合用のクロスダイクロイックプリズム15と、一対のフライアイ光学系16a,16bと、偏光変換部材17と、重畳レンズ18とを備える。このうち、フライアイ光学系16a,16b及び重畳レンズ18は、光源光を一括して均一化するための光インテグレータとして機能する。さらに、これらフライアイ光学系16a,16b及び重畳レンズ18に偏光変換手段である偏光変換部材17を加えたものは、光源光の特性を調整するための調整光学系として機能する。
【0021】
ここで、第1光源11は、光軸OAに垂直な面に沿って2次元的に配列された例えば4つの光源ユニット11Gを有しており、各光源ユニット11Gは、固体光源とも呼ばれる固体発光素子であるG光発光用のLED11aと、このLED11aから側方に射出されたG光を前方に折り曲げる凹面鏡11bとからなる。LED11aは、例えば波長550nmに発光ピークを有するG色光を発生する。第1光源ユニット11Gから射出されたG色の第1要素光EGは、凹面鏡11bによって無駄なく回収されて、クロスダイクロイックプリズム15の対面する第1入射面15eに入射する。
【0022】
第2光源12も、光軸OAに垂直な面に沿って2次元的に配列された例えば4つの光源ユニット12Bを有しており、各光源ユニット12Bは、固体発光素子であるB光発光用のLED12aと、このLED12aから側方に射出されたB光を前方に折り曲げる凹面鏡12bとからなる。LED12aは、例えば波長440nmに発光ピークを有するB色光を発生する。第2光源ユニット12Bから射出されたB色の第2要素光EBは、凹面鏡12bによって無駄なく回収されて、クロスダイクロイックプリズム15の対面する第2入射面15fに入射する。
【0023】
第3光源13も、光軸OAに垂直な面に沿って2次元的に配列された例えば4つの光源ユニット13Rを有しており、各光源ユニット13Rは、固体発光素子であるR光発光用のLED13aと、このLED13aから側方に射出されたR光を前方に折り曲げる凹面鏡13bとからなる。LED13aは、例えば波長630nmに発光ピークを有するR色光を発生する。第3光源ユニット13Rから射出されたR色の第3要素光ERは、凹面鏡13bによって無駄なく回収されて、クロスダイクロイックプリズム15の対面する第3入射面15gに入射する。
【0024】
クロスダイクロイックプリズム15は、光結合部材であり、B光反射用の誘電体多層膜15aとR光反射用の誘電体多層膜15bとを直交させた状態で内蔵する。一方の誘電体多層膜15aは、B色とG色の境界波長(例えば500nm)よりも短波長側の像光を反射するダイクロイックミラーすなわちダイクロイックフィルタであり、他方の誘電体多層膜15bは、G色とR色との境界波長(例えば600nm)よりも長波長側の像光を反射するダイクロイックミラーすなわちダイクロイックフィルタである。第1光源11からの第1要素光EGは、第1入射面15eを介してクロスダイクロイックプリズム15中に入射し、誘電体多層膜15a,15bを通過して直進し、第1入射面15eに対向する射出面15hから射出する。第2光源12からの第2要素光EBは、第2入射面15fを介してクロスダイクロイックプリズム15中に入射し、誘電体多層膜15aで折り曲げられて、射出面15hから射出する。第3光源13からの第3要素光ERは、第3入射面15gを介してクロスダイクロイックプリズム15中に入射し、誘電体多層膜15bで折り曲げられて、射出面15hから射出する。つまり、第1〜第3光源11,12,13からの第1〜第3要素光EG,EB,ERは、クロスダイクロイックプリズム15を経て重ね合わされ混合光として射出される。この際、第1〜第3光源11,12,13の出力の調整によって、第1〜第3要素光EG,EB,ERの相対強度が適宜バランスされており、射出面15hから射出される光源光は、白色又は適当なカラーバランスの混合色となっている。
【0025】
一対のフライアイ光学系16a,16bは、マトリックス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって、光源装置10から射出された白色その他の光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材17は、フライアイ光学系16bから射出された光源光を例えば図1の紙面に垂直なS偏光成分のみに変換して次段光学系に供給する偏光変換装置である。重畳レンズ18は、偏光変換部材17を経た照明光を全体として適宜収束させて、光変調部25に設けた各色の光変調装置に対する重畳照明を可能にする。つまり、両フライアイ光学系16a,16bと重畳レンズ18とを経た照明光は、以下に説明する色分割光学系23を経て、光変調部25を構成する各色の光変調装置すなわち各色の液晶ライトバルブ25a〜25cをそれぞれ均一に重畳照明する。
【0026】
色分割光学系23は、第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bと、3つのフィールドレンズ23f,23g,23hと、反射ミラー23m,23n,23oとを備える。第1ダイクロイックミラー23aは、RGBの3色のうちR光を反射しG光及びB光を透過させる。また、第2ダイクロイックミラー23bは、入射したGBの2色のうちG光を反射しB光を透過させる。この色分割光学系23において、光源装置10からの白色又は適当なカラーバランスの光源光は、まず第1ダイクロイックミラー23aに入射する。第1ダイクロイックミラー23aで反射されたR光(第3要素光ERに対応)は、例えばS偏光のまま第1光路OP1に導かれ、反射ミラー23mを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ23fに入射する。また、第1ダイクロイックミラー23aを透過して第2ダイクロイックミラー23bで反射されたG光(第1要素光EGに対応)は、例えばS偏光のまま第2光路OP2に導かれフィールドレンズ23gに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー23bを通過したB光(第2要素光EBに対応)は、例えばS偏光のまま第3光路OP3に導かれ、光路長差を補償するためのリレーレンズLL1,LL2及び反射ミラー23n,23oを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ23hに入射する。
【0027】
光変調部25は、3色の照明光がそれぞれ入射する3つの液晶ライトバルブ25a,25b,25cと、各液晶ライトバルブ25a,25b,25cを挟むように配置される3組の偏光フィルタ25e,25f,25gとを備える。第1光路OP1に導かれたR光は、フィールドレンズ23fを介して液晶ライトバルブ25aの被照射面すなわち画面に入射する。第2光路OP2に導かれたG光は、フィールドレンズ23gを介して液晶ライトバルブ25bの被照射面に入射する。第3光路OP3に導かれたB光は、フィールドレンズ23hを介して液晶ライトバルブ25cの被照射面に入射する。各液晶ライトバルブ25a〜25cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調するための非発光型の光変調装置であり、各液晶ライトバルブ25a〜25cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶ライトバルブ25a〜25cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて画素単位で偏光状態が調整される。その際、偏光フィルタ25e〜25gによって、各液晶ライトバルブ25a〜25cに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各液晶ライトバルブ25a〜25cから射出される光から所定の偏光方向の変調光のみが取り出される。
【0028】
クロスダイクロイックプリズム27は、光合成部材であり、B光反射用の誘電体多層膜27aとR光反射用の誘電体多層膜27bとを直交させた状態で内蔵するものであり、液晶ライトバルブ25aからのR光を誘電体多層膜27bで反射して進行方向右側に射出させ、液晶ライトバルブ25bからのG光を誘電体多層膜27a,27bを介して直進・射出させ、液晶ライトバルブ25cからのB光を誘電体多層膜27aで反射して進行方向左側に射出させる。このようにして、クロスダイクロイックプリズム27で合成された合成光は、カラーの像光として投射レンズ29に入射する。
【0029】
以下、本実施形態に係るプロジェクタ100の動作について説明する。光源装置10からのRGBの各色を含む光源光は、色分割光学系23に設けた第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bによって色分割され、対応する液晶ライトバルブ25a〜25cに照明光としてそれぞれ入射する。各液晶ライトバルブ25a〜25cは、外部からの画像信号によって変調されて2次元的屈折率分布を有しており、照明光を2次元空間的に画素単位で変調する。このように、各液晶ライトバルブ25a〜25cで変調された照明光すなわち像光は、クロスダイクロイックプリズム27で合成された後、投射レンズ29に入射する。投射レンズ29に入射した像光は、不図示のスクリーンに投影される。この際、光源装置10において、クロスダイクロイックプリズム15によって各色の第1〜第3光源11,12,13からの第1〜第3要素光EG,EB,ERを無駄なく重畳するので、十分な輝度の光源光を得ることができる。なお、例えば各色の第1〜第3光源11,12,13に代えて白色LEDを用いクロスダイクロイックプリズム15を省略することも考えられるが、エテンデュ(etendue)の観点では、白色LEDのパッケージサイズの制約から多数の白色LEDを効率よく並べる数量に限界があり、光源の光量確保は困難である。また、本実施形態では、このような光源光を共通のフライアイ光学系16a,16b等で処理することによって、3原色を含む光源光の一括した均一化を達成することができ、また、光源光を一括して偏光変換部材17で処理することによって、3原色を含む光源光の一括した偏光変換を達成することができる。このように、フライアイ光学系16a,16b、偏光変換部材17等の共通化を図ることにより、光源装置10延いてはプロジェクタ100の小型化を効率的に達成することができる。さらに、色分割光学系23、光変調部25、クロスダイクロイックプリズム27等については、旧来のものを流用することができるので、光学系の設計等の負担を低減することができ、旧来部分については製造上の各種ノウハウをそのまま活用することができる。
【0030】
なお、以上の第1実施形態では、クロスダイクロイックプリズム15中に、B光反射用の誘電体多層膜15aとR光反射用の誘電体多層膜15bとを組み込んでいるが、G光反射用の誘電体多層膜と、R光又はB光反射用の誘電体多層膜とを組み込むこともでき、この場合、第1〜第3光源11,12,13の配置は、誘電体多層膜の特性に応じて変更する。
【0031】
〔第2実施形態〕
図2は、第2実施形態に係るプロジェクタの構造を説明する図である。第2実施形態のプロジェクタは、第1実施形態に係るプロジェクタを光源装置10に関して変更したものであり、同一部分には同一の符合を付して重複説明を省略する。
【0032】
第2実施形態の光源装置210では、図1のクロスダイクロイックプリズム15をクロスダイクロイックミラー215に置き換える。このクロスダイクロイックミラー215は、図1に示す誘電体多層膜15a,15bに対応する誘電体多層膜を個別に内蔵するダイクロイックミラー215a,215bを備える。第1光源11からの第1要素光EGは、クロスダイクロイックミラー215に入射し、両ダイクロイックミラー215a,215bを通過して直進する。第2光源12からの第2要素光EBは、クロスダイクロイックミラー215に入射し、ダイクロイックミラー215aで折り曲げられて第1要素光EGと同一方向に射出する。第3光源13からの第3要素光ERも、クロスダイクロイックミラー215に入射し、ダイクロイックミラー215bで折り曲げられて第1要素光EGと同一方向に射出する。つまり、クロスダイクロイックミラー215により、第1〜第3光源11,12,13からの第1〜第3要素光EG,EB,ERが、光源光として重ね合わされて同一光路に射出される。
【0033】
〔第3実施形態〕
図3は、第3実施形態に係るプロジェクタの構造を説明する図である。第3実施形態のプロジェクタも、第1実施形態に係るプロジェクタを光源装置10に関して変更したものである。
【0034】
第3実施形態の光源装置310では、図1のクロスダイクロイックプリズム15を、光路に沿って順次配置された一対のダイクロイックミラー315A、315Bに置き換える。一方のダイクロイックミラー315Aは、図1に示す誘電体多層膜15bに対応するものであり、他方のダイクロイックミラー315Bは、図1に示す誘電体多層膜15aに対応するものである。
【0035】
第1光源11からの第1要素光EGは、両ダイクロイックミラー315A,315Bを通過して直進する。第2光源12からの第2要素光EBは、次段のダイクロイックミラー315Bで折り曲げられて、第1要素光EGと同一方向に射出する。第3光源13からの第3要素光ERは、ダイクロイックミラー315Aで折り曲げられて、次段のダイクロイックミラー315Bを第1要素光EGとともに通過する。つまり、第1〜第3光源11,12,13からの第1〜第3要素光EG,EB,ERが、光源光として重ね合わされて同一光路に射出される。
【0036】
〔第4実施形態〕
図4は、第4実施形態に係るプロジェクタの構造を説明する図である。このプロジェクタ400は、第1実施形態の光源装置10(図1参照)と同様の光源装置410と、反射ミラー451と、フィールドレンズ452と、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)453と、投射レンズ454とを、システム光軸SAに沿って順に配置して構成されている。ここで、光源装置410は、光源11,12,13やクロスダイクロイックプリズム15の他に、フライアイ光学系と同様に光源光を一括して均一化する光インテグレータを含む調整光学系として、集光レンズ416aと、ロッドインテグレータ416bと、重畳レンズ418とを備える。
【0037】
光源装置410からは、時系列的に異なるタイミングでRGBの各色の光源光が照明光として射出される。すなわち、光源装置410のクロスダイクロイックプリズム15から射出された各色の照明光は、集光レンズ416a、ロッドインテグレータ416、重畳レンズ418、フィールドレンズ452等を経て均一化された状態でDMD453上に入射し、DMD453の均一な照明が達成される。このDMD453は、反射方向制御型の空間光変調装置であり、これに入射する各色の照明光を、与えられた画像信号に応じて各画素に対応するマイクロミラーで反射することにより、投射レンズ454の方向に画像に相当する各色の画像光を射出する機能を有する。DMD453から射出された各色の画像光は、投射レンズ454を介してスクリーン(不図示)上に投射され、スクリーン上に時系列的に合成されたカラー画像が形成される。
【0038】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記第1〜第3実施形態では、3つの液晶ライトバルブ25a〜25cをRGBの各色で照明しているが、単一の液晶ライトバルブ等であって各画素にRGBのフィルタを配列したタイプのカラー表示パネルを各実施形態の光源装置10,110,210からの光源光によって直接照明することもできる。また、第1〜第3光源11,12,13の動作タイミングを制御することにより、各実施形態の光源装置10,110,210からRGBの各色の光源光を時系列で順次発生させ、単一の液晶ライトバルブに時系列で入射させることもできる。この際、RGBの各色の点灯に同期して、単一の液晶ライトバルブにRGBの各色に対応する画像を時系列で表示させることになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1実施形態のプロジェクタの光学系を説明する図である。
【図2】第2実施形態のプロジェクタの要部を説明する図である。
【図3】第3実施形態のプロジェクタの要部を説明する図である。
【図4】第4実施形態のプロジェクタを説明する図である。
【符号の説明】
【0040】
10…光源装置、 11,12,13…第1,第2,第3光源、 11G,12B,13R…光源ユニット、 11a,12a,13a…LED、 11b,12b,13b…凹面鏡、 15…クロスダイクロイックプリズム、 15a,15b…誘電体多層膜、 16a,16b…フライアイ光学系、 17…偏光変換部材、 18…重畳レンズ、 23…色分割光学系、 23a…第1ダイクロイックミラー、 23b…第2ダイクロイックミラー、 25…光変調部、 25a,25b,25c…液晶ライトバルブ、 27…クロスダイクロイックプリズム、 29…投射レンズ、 100…プロジェクタ、 EG…第1要素光、 EB…第2要素光、 ER…第3要素光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各色の要素光をそれぞれ発生する各色の光源と、
前記各色の光源からの各色の要素光を結合して重ね合わせる光結合部材と、
前記光結合部材を経て重ね合わされた光源光の特性を調整する調整光学系と、
を備える照明装置。
【請求項2】
前記調整光学系は、光源光の波面分割及び重畳によって光源光の強度分布を均一化する光インテグレータを含むことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記調整光学系は、光源光の偏光方向を所定方向にそろえる偏光変換装置を含むことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一項記載の照明装置。
【請求項4】
前記各色の光源は、それぞれ異なる発光波長特性を有する固体発光素子であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の照明装置。
【請求項5】
前記各色の光源は、3色の要素光を個別に発生する3色の光源であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載の照明装置。
【請求項6】
前記光結合部材は、一対のダイクロイックフィルタを含み、前記3色の要素光の2次元的な分布を維持しつつ当該3色の要素光を合成することを特徴とする請求項5記載の照明装置。
【請求項7】
前記光結合部材は、クロスダイクロイックプリズム及びクロスダイクロイックミラーのいずれかであることを特徴とする請求項6記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項記載の照明装置と、
前記照明装置に設けた前記調整光学系を経た光源光を各色の照明光に分割する分割光学系と、
前記分割光学系から射出される各色の照明光によってそれぞれ照明されるとともに、各色の照明光をそれぞれ変調して各色の変調光を形成する各色の光変調装置と、
前記各色の光変調装置を経た各色の変調光を合成する光合成部材と、
前記光合成部材を経ることによって合成された像光の投射像を形成する投射光学系と
を備えるプロジェクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−39495(P2006−39495A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234120(P2004−234120)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】