説明

照明装置及びプロジェクタ

【課題】 小型でコンパクトな偏光変換機能を備え、光源から射出される光を効率的に利用することができる照明装置を提供する。
【解決手段】 光源4と、前記光源の光射出方向に対して略45度で対向配置された偏光分離部6と、前記偏光分離部により偏光分離された一方の偏光光を反射及び集光する第1反射部8と、前記偏光分離部と前記第1反射部との間に配置される1/4波長板20と、前記偏光分離部により偏光分離された他方の偏光光を反射及び集光する第2反射部10と、前記光源の周囲に配置され、前記第2反射部及び前記偏光分離部により反射され前記光源方向へ進行する前記他方の偏光光を反射する第3反射部12と、前記偏光分離部と前記第3反射部との間であって、かつ、前記光源の周囲に配置される1/4波長板22とを備え、前記第1反射部で反射され、かつ、前記偏光分離部で反射された光により所定の面16を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光変換機能を備えた照明装置及びプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶素子に表示された投影用画像の投影を行うプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このプロジェクタにおいては、特定の偏光成分の光のみを投影用画像の投影に用いるため、光源から射出された光のうち半分の光量しか利用できない。従って、偏光変換素子を用いて光源から射出された光の偏光方向を一定の偏光方向に揃え、プロジェクタ投影に用いることができる光の光量を増加するプロジェクタが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−250392号公報
【特許文献2】特開2006−227361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のプロジェクタにおいては、偏光方向を揃える際に偏光変換素子を用いるため、装置が大型化するという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、小型でコンパクトな偏光変換機能を備え、光源から射出される光を効率的に利用することができる照明装置及びプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の照明装置は、光源と、前記光源の光射出方向に対して略45度で対向配置された偏光分離部と、前記偏光分離部により偏光分離された一方の偏光光を反射及び集光する第1反射部と、前記偏光分離部と前記第1反射部との間に配置される1/4波長板と、前記偏光分離部により偏光分離された他方の偏光光を反射及び集光する第2反射部と、前記光源の周囲に配置され、前記第2反射部及び前記偏光分離部により反射され前記光源方向へ進行する前記他方の偏光光を反射する第3反射部と、前記偏光分離部と前記第3反射部との間であって、かつ、前記光源の周囲に配置される1/4波長板とを備え、前記第1反射部で反射され、かつ、前記偏光分離部で反射された光により所定の面を照明することを特徴とする。
【0006】
また、本発明のプロジェクタは、光源と、投影用画像の表示を行う表示部と、前記光源の光射出方向に対して略45度で対向配置された偏光分離部と、前記偏光分離部により偏光分離された一方の偏光光を反射及び集光する第1反射部と、前記偏光分離部と前記第1反射部との間に配置される1/4波長板と、前記偏光分離部により偏光分離された他方の偏光光を反射及び集光する第2反射部と、前記光源の周囲に配置され、前記第2反射部及び前記偏光分離部により反射され前記光源方向へ進行する前記他方の偏光光を反射する第3反射部と、前記偏光分離部と前記第3反射部との間であって、かつ、前記光源の周囲に配置される1/4波長板とを備え、前記第1反射部で反射され、かつ、前記偏光分離部で反射された光により前記表示部を照明することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の照明装置及びプロジェクタによれば、小型でコンパクトな偏光変換機能を備えているため、光源から射出される光を効率的に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す図である。プロジェクタ2は、光源であるLED(発光ダイオード)4、LED4の光の射出方向に対して略45度で対向配置され、P偏光成分の光を透過し、S偏光成分の光を反射することにより入射した光をP偏光成分の光とS偏光成分の光とに分離するワイヤグリッド6、凹面形状の反射面を有し、ワイヤグリッドにより分離されたP偏光成分の光を反射及び集光するミラー8、円周状の凹面形状を有し、ワイヤグリッドにより分離されたS偏光成分の光を反射及び集光するミラー10、光源の周囲に配置される円周形状を有するミラー12を備えている。また、ワイヤグリッド6とミラー8との間には1/4波長板20が備えられていると共に、ワイヤグリッド6とミラー12との間であって、かつ、LED4の周囲には円周形状を有する1/4波長板22が設けられている。更に、ワイヤグリッド6で反射された光の進行方向に対して略45度で対向配置され、S偏光成分の光を透過し、P偏光成分の光を反射するワイヤグリッド14、投影用画像を表示するLCOS(反射型液晶素子)16、投影用画像を投影する投影レンズ18が備えられている。
【0009】
次に、図2〜図5を参照して第1の実施の形態に係るLEDから射出された光の光路について説明する。LED4から射出された光はワイヤグリッド6に入射し、P偏光成分の光とS偏光成分の光に分離される。図2に示すようにP偏光成分の光はワイヤグリッド6を透過しミラー8方向へ進行する。ワイヤグリッド6を透過したP偏光成分の光は1/4波長板20を透過し、ミラー8において反射及び集光され略平行光となり、再び1/4波長板20を透過しS偏光成分の光に変換される。S偏光成分の光は、再びワイヤグリッド6に入射し、ワイヤグリッド6により反射されてワイヤグリッド14を透過しLCOS16を照明する。
【0010】
また、LED4から射出され、ワイヤグリッド6に入射した光のうちS偏光成分の光は、図3に示すようにワイヤグリッド6により反射されミラー10へ向かって進行しミラー10に入射する。ミラー10に入射したS偏光成分の光は、ミラー10が円周状の凹面形状を有しているため、ミラー10の中央付近に入射した光は外向きに反射される。従って、ミラー10により反射されたS偏光の光の断面は中央部が抜けた円または楕円形状である輪帯形状となり、ワイヤグリッド6方向へ進行しワイヤグリッド6おいて反射され、LED4方向へ進行する。
【0011】
ワイヤグリッド6で反射され、LED4方向へ進行するS偏光成分の光は、図4に示すように、円周形状を有する1/4波長板22を透過し、円周形状を有するミラー12により反射され、図5に示すように再び1/4波長板22を透過するため、P偏光成分の光に変換される。このとき、ミラー12は、反射光がミラー8の外周部に入射するように周縁方向に傾斜するように形成されている。従って、図5に示すようにミラー12によって反射される光はやや外向きに射出される。ミラー12により反射され、P偏光成分の光に変換された光はワイヤグリッド6を透過しミラー8方向へ進行する。ワイヤグリッド6を透過したP偏光成分の光は1/4波長板20を透過し、ミラー8において反射及び集光され、再び1/4波長板20を透過しS偏光成分の光に変換される。S偏光成分の光に変換された光は、再びワイヤグリッド6に入射し、ワイヤグリッド6により反射されてワイヤグリッド14を透過しLCOS16を照明する。
【0012】
即ち、LED4から射出された光はワイヤグリッド6によってP偏光成分とS偏光成分とに分離されるが、P偏光成分及びS偏光成分はともに、S偏光成分の光としてLCOS16に入射する。
【0013】
LCOS16に入射したS偏光成分の光は、LCOS16の液晶層を進行し、図示しない反射膜で反射された後、LCOS16の液晶層を逆方向に進行してLCOS16から射出される。LCOS16から射出された光は、ワイヤグリッド14に再度入射する。LCOS16の液晶層は電圧が印加されると、位相板として機能し、S偏光成分の光をP偏光成分の光に変換する。従って、ワイヤグリッド14へ再度入射する光は、S偏光成分とP偏光成分との混合光となっている。ワイヤグリッド14は、再入射された光のうちP偏光成分の光のみを反射し、反射されたP偏光成分の光は投影レンズ18に入射する。従って投影レンズ18を介して図示しないスクリーンへ投影用画像が投射される。
【0014】
本実施の形態に係るプロジェクタによれば、投影用画像の投影に光源から射出された光を効率的に利用することができる。
【0015】
なお、ワイヤグリッド6をP偏光成分の光を反射し、S偏光成分の光を透過する構成とし、且つ、ワイヤグリッド14をS偏光成分の光を反射し、P偏光成分の光を透過する構成としても、同様の機能を発揮することができる。この場合には、上述の第1の実施の形態におけるP偏光成分の光路がS偏光成分の光路となり、S偏光成分の光路がP偏光成分の光路となる。
【0016】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。なお、この第2の実施の形態に係るプロジェクタの構成は、第1の実施の形態に係るプロジェクタのミラーの配置を変更したものである。従って、第1の実施の形態と同一の構成についての詳細な説明は省略し、異なる部分のみについて詳細に説明する。また、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0017】
図6は本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す図である。プロジェクタ23は、光源であるLED4、LED4の光の射出方向に対して略45度で対向配置され、S偏光成分の光を反射しP偏光成分の光を透過するワイヤグリッド6、凹面形状の反射面を有し、ワイヤグリッドにより分離されたS偏光成分の光を反射及び集光するミラー24、円周状の凹面形状を有し、ワイヤグリッドにより分離されたP偏光成分の光を反射及び集光するミラー26、光源の周囲に配置される円周形状を有するミラー12を備えている。また、ワイヤグリッド6とミラー24との間には1/4波長板28が備えられていると共に、ワイヤグリッド6とミラー12との間であって、かつ、LED4の周囲には円周形状を有する1/4波長板22が設けられている。更に、ワイヤグリッド6で反射された光の進行方向に対して略45度で対向配置され、S偏光成分の光を反射しP偏光成分の光を透過するワイヤグリッド15、投影用画像を表示するLCOS(反射型液晶素子)16、投影用画像を投影する投影レンズ18が備えられている。
【0018】
次に、図7〜図9を参照して、第2の実施の形態に係るLEDから射出された光の光路について説明する。LED4から射出された光はワイヤグリッド6に入射し、P偏光成分の光とS偏光成分の光に分離される。ワイヤグリッド6に入射した光のうちS偏光成分の光は、図7に示すようにワイヤグリッド6において反射され、ミラー24へ向かって進行し、1/4波長板28を透過し、ミラー24において反射及び集光されて略平行光となり、再び1/4波長板28を透過しP偏光成分の光に変換される。P偏光成分の光に変換された光は、再びワイヤグリッド6に入射してワイヤグリッド6を透過する。そして、ワイヤグリッド15を透過しLCOS16を照明する。
【0019】
また、LED4から射出され、ワイヤグリッド6に入射した光のうちP偏光成分の光は、ワイヤグリッド6を透過し、図8に示すようにミラー26へ向かって進行しミラー26に入射する。ミラー26に入射したP偏光成分の光はミラー26が円周状の凹面形状を有しているため、ミラー26の中央付近に入射した光は外向きに反射される。従って、ミラー26により反射されたP偏光の光の断面は中央部が抜けた円または楕円形状である輪帯形状となり、ワイヤグリッド6方向へ進行してワイヤグリッド6を透過しLED4方向へ進行する。
【0020】
ワイヤグリッド6を透過しLED4方向へ進行するP偏光成分の光は、図9に示すように、円周形状を有する1/4波長板22を透過して円周形状を有するミラー12により反射され、図9に示すように再び1/4波長板22を透過するため、S偏光成分の光に変換される。このとき、ミラー12は、反射光がミラー24の外周部に入射するように周縁方向に傾斜するように形成されている。従って、図9に示すようにミラー12によって反射される光はやや外向きに射出される。ミラー12により反射されS偏光成分の光に変換された光は、ワイヤグリッド6において反射されミラー24方向へ進行する。ワイヤグリッド6に反射されたS偏光成分の光は1/4波長板28を透過し、ミラー24において反射及び集光されて再び1/4波長板28を透過しP偏光成分の光に変換される。P偏光成分の光に変換された光は、再びワイヤグリッド6に入射しワイヤグリッド6を透過する。そして、ワイヤグリッド15を透過しLCOS16を照明する。
【0021】
即ち、LED4から射出された光はワイヤグリッド6によってP偏光成分とS偏光成分とに分離されるが、P偏光成分及びS偏光成分はともに、P偏光成分の光としてLCOS16に入射する。
【0022】
LCOS16に入射したP偏光成分の光は、LCOS16の液晶層を進行し、図示しない反射膜で反射された後、LCOS16の液晶層を逆方向に進行してLCOS16から射出される。LCOS16から射出された光は、ワイヤグリッド15に再度入射する。LCOS16の液晶層は電圧が印加されると、位相板として機能しP偏光成分の光をS偏光成分の光に変換する。従って、ワイヤグリッド15へ再度入射する光は、S偏光成分とP偏光成分との混合光となっている。ワイヤグリッド15は、再入射された光のうちS偏光成分の光のみを偏光分離部で反射し、反射されたS偏光成分の光は投影レンズ18に入射する。従って、投影レンズ18を介してから図示しないスクリーンへ投影用画像が投射される。
【0023】
第2の実施の形態に係るプロジェクタによれば、ミラーの配置を変更した場合にも第1の実施の形態と同様に機能し、投影用画像の投影に光源から射出された光を効率的に利用することができる。
【0024】
なお、第2の実施の形態においてワイヤグリッド6及びワイヤグリッド15は共にS偏光成分の光を反射しP偏光成分の光を透過するものを用いて説明したが、ワイヤグリッド6及びワイヤグリッド15を共にP偏光成分の光を反射しS偏光成分の光を透過する構成としても、同様の機能を発揮することができる。この場合には、上述の第2の実施の形態におけるP偏光成分の光路がS偏光成分の光路となり、S偏光成分の光路がP偏光成分の光路となる。
【0025】
また、図10に示すように反射型液晶素子に替えて、透過型液晶素子30を用いてもよい。また、円周状の凹面形状を有するミラーを用いなくてもよい。この場合には、輪帯状で反射されず、反射された光はLED4にも入射するが、LED4の外周部のミラー12において反射される光により、LCOS16を照明する光の光量を増加することができる。また、ワイヤグリッドに替えて角度特性に優れた偏光ビームスプリッタを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタにおける光路を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタにおける光路を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタにおける光路を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタにおける光路を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタにおける光路を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタにおける光路を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタにおける光路を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るプロジェクタユニットの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
2…プロジェクタ、4…LED、6,14…ワイヤグリッド、8,10,12…ミラー、16…LCOS、20,22…1/4波長板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源の光射出方向に対して略45度で対向配置された偏光分離部と、
前記偏光分離部により偏光分離された一方の偏光光を反射及び集光する第1反射部と、
前記偏光分離部と前記第1反射部との間に配置される1/4波長板と、
前記偏光分離部により偏光分離された他方の偏光光を反射及び集光する第2反射部と、
前記光源の周囲に配置され、前記第2反射部及び前記偏光分離部により反射され前記光源方向へ進行する前記他方の偏光光を反射する第3反射部と、
前記偏光分離部と前記第3反射部との間であって、かつ、前記光源の周囲に配置される1/4波長板と
を備え、
前記第1反射部で反射され、かつ、前記偏光分離部で反射された光により所定面を照明することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第2反射部は、該第2反射部に入射する光の断面が輪帯形状を有する光として反射するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記第3反射部は、該第3反射部に入射し反射される光が前記第1反射部の外周部に入射するように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
光源と、
投影用画像の表示を行う表示部と、
前記光源の光射出方向に対して略45度で対向配置された偏光分離部と、
前記偏光分離部により偏光分離された一方の偏光光を反射及び集光する第1反射部と、
前記偏光分離部と前記第1反射部との間に配置される1/4波長板と、
前記偏光分離部により偏光分離された他方の偏光光を反射及び集光する第2反射部と、
前記光源の周囲に配置され、前記第2反射部及び前記偏光分離部により反射され前記光源方向へ進行する前記他方の偏光光を反射する第3反射部と、
前記偏光分離部と前記第3反射部との間であって、かつ、前記光源の周囲に配置される1/4波長板と
を備え、
前記第1反射部で反射され、かつ、前記偏光分離部で反射された光により前記表示部を照明することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
前記第2反射部は、該第2反射部に入射する光の断面が輪帯形状を有する光として反射するように形成されていることを特徴とする請求項4記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記第3反射部は、該第3反射部に入射し反射される光が前記第1反射部の外周部に入射するように形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−251258(P2009−251258A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98909(P2008−98909)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】