照明装置及び投写型映像表示装置
【課題】
4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする照明装置及び投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】
光源10からの光を分離して、各色成分光(R、G、B)を変調する複数の液晶パネル30R、30G、30Bへ導き、この液晶パネル30R、30G、30Bにより生成された映像光を投写する投写型映像表示装置100において、特定の波長帯域を有する光(Ye)を投写するか否かを電気的に調整可能な偏光状態調整素子30Yeを備えることを要旨とする。
4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする照明装置及び投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】
光源10からの光を分離して、各色成分光(R、G、B)を変調する複数の液晶パネル30R、30G、30Bへ導き、この液晶パネル30R、30G、30Bにより生成された映像光を投写する投写型映像表示装置100において、特定の波長帯域を有する光(Ye)を投写するか否かを電気的に調整可能な偏光状態調整素子30Yeを備えることを要旨とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、第4色成分光を利用する照明装置及び投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3色の光に対応する3つの光変調素子と、3つの光変調素子から出射される光を合成するクロスダイクロイックキューブと、クロスダイクロイックキューブで合成された光を投写する投写手段とを有する投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
ここで、クロスダイクロイックキューブは、光が入射する3つの光入射面と、光が出射する1つの光出射面とを有している。従って、クロスダイクロイックキューブに入射する光が3色である場合には、投写型映像表示装置は、一つのクロスダイクロイックキューブを有していれば足りる。
【0004】
一方で、色再現性や輝度の向上を目的として、4色以上の光を利用する投写型映像表示装置が提案されている。例えば、投写型映像表示装置は、赤、緑及び青の3色に加えて、オレンジ、黄又はシアンを利用することによって、色再現性や輝度の向上を図っている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−287247号公報(請求項1、請求項4、図1など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、投写型映像表示装置が4色以上の光を有する場合には、一つのクロスダイクロイックキューブで4色以上の光を合成することができない。従って、投写型映像表示装置は、複数のダイクロイックキューブ(又は、クロスダイクロイックキューブ)を有する必要がある。
【0007】
例えば、4色の光の合成が必要である場合には、投写型映像表示装置は、2色の光が合成された合成光を2つ取得して、2つの合成光をさらに合成することによって、4色の合成光を取得する。なお、投写型映像表示装置は、3色の光が合成された合成光を取得して、合成光と1色の光とを合成することによって、4色の合成光を取得してもよい。投写型映像表示装置は、2色の光が合成された合成光を取得して、合成光と2色の光とを合成することによって、4色の合成光を取得してもよい。
【0008】
ここで、光変調素子と投写手段との間に、複数のダイクロイックキューブ(又は、クロスダイクロイックキューブ)を設ける必要がある。従って、投写手段のバックフォーカスが長くなる。
【0009】
この結果、3色の光を利用する投写型映像表示装置で用いられる投写手段を転用することができないため、投写型映像表示装置のコストが全体として上昇してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする照明装置及び投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の特徴は、照明装置(照明ユニット120)であって、第1成分光(例えば、赤成分光)を変調する第1光変調素子(例えば、液晶パネル30R)と、第2成分光(例えば、緑成分光及び黄成分光)を変調する第2光変調素子(例えば、液晶パネル30G)と、第3成分光(例えば、青成分光)を変調する第3光変調素子(例えば、液晶パネル30B)とを備えるものである。そして、第1光変調素子、第2光変調素子、及び第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部(クロスダイクロイックキューブ50)と、特定の波長帯域光(例えば、黄成分光)の偏光状態を調整する偏光状態調整素子(偏光状態調整素子30Ye)を備え、前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整して透過し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光以外の第2成分光の偏光状態を調整せずに透過し、前記偏光状態調整素子を透過した光は、第2光変調素子に向けて出射することを要旨とする。
【0012】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整したときに第2光変調素子の入射側偏光板(偏光板31G)との組合せで第2光変調素子に入射する波長帯域を制限し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整しないときに第2光変調素子の入射側偏光板との組合せで第2光変調素子に入射する波長帯域を制限しないことを要旨とする。
【0013】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、第2成分光は、第1成分光及び第3成分光との比較において光量の大きい領域が広範囲な波長帯域光であることを要旨とする。
【0014】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、第2成分光は、緑成分光及び黄成分光を含むことを要旨とする。
【0015】
本発明の一の特徴は、照明装置(照明ユニット120)であって、第1成分光(例えば、赤成分光)を変調する第1光変調素子(例えば、液晶パネル30R)と、第2成分光(例えば、緑成分光及び黄成分光)を変調する第2光変調素子(例えば、液晶パネル30G)と、第3成分光(例えば、青成分光)を変調する第3光変調素子(例えば、液晶パネル30B)とを備えるものである。そして、第1光変調素子、第2光変調素子、及び第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部(クロスダイクロイックキューブ50)と、前記色合成部によって合成された光を投写する投写手段(投写レンズユニット110)と、特定の波長帯域光(例えば、黄成分光)の偏光状態を調整する偏光状態調整素子(偏光状態調整素子30Ye)を備え、前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整して透過し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光以外の第2成分光の偏光状態を調整せずに透過し、前記偏光状態調整素子を透過した光は、第2光変調素子に向けて出射することを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする照明装置及び投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るRGB色再現範囲を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る偏光状態調整素子30Yeを示す図である。
【図5】第1実施形態に係る偏光状態調整素子30Yeと偏光板31Gとの組合せを示す図である。
【図6】第2実施形態に係る投写型映像表示装置100の機能を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態に係る映像の色と各色信号との関係を示す図である。
【図8】第3実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。
【図9】第4実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。
【図10】第5実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。
【図11】第5実施形態に係る偏光状態調整素子37Yeを説明するための図である。
【図12】第5実施形態に係るミラー322のカットオフ波長について説明するための図である。
【図13】第6実施形態に係る液晶パネル30の構成を示す図である。
【図14】光源10(UHPランプ)が発する光について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0019】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【0020】
図1に示すように、投写型映像表示装置100は、投写レンズユニット110を有しており、投写レンズユニット110によって拡大された映像光をスクリーン200上に投写する。投写型映像表示装置100は、後述するように、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を第4色成分光として利用する。
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第1実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。図2では、光源10が発する光を均質化するフライアイレンズ、光源10が発する光の偏光方向を一の偏光方向(例えば、P偏光方向)に揃えるPBS(Polarized Beam Splitter)などが省略されていることに留意すべきである。
【0021】
図2に示すように、照明ユニット120は、光源10と、複数の液晶パネル30(液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30B)と、偏光状態調整素子30Yeと、クロスダイクロイックキューブ50とを備える。なお、図2では、投写レンズユニット110が図示されているが、投写レンズユニット110は照明ユニット120に含まれないことに留意すべきである。
【0022】
光源10は、白色光を発するUHPランプなどである。すなわち、光源10が発する光は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を少なくとも含む。
【0023】
ここで、黄成分光は、図3に示すように、赤成分光、緑成分光及び青成分光が再現可能な色範囲(RGB色再現範囲)外の色を再現可能な光である。3色の光を利用する投写型映像表示装置では、黄成分光は色分離の過程で除かれる光である。
【0024】
液晶パネル30Rは、赤成分光の偏光方向を回転させることによって赤成分光を変調する。液晶パネル30Rに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を遮光する偏光板31Rが設けられる。一方で、液晶パネル30Rから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する偏光板32Rが設けられる。
【0025】
従って、液晶パネル30Rが赤成分光の偏光方向を回転させない場合には、偏光板31Rを透過した赤成分光が偏光板32Rで遮光されるため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ50に照射されない。一方で、液晶パネル30Rが赤成分光の偏光方向を回転させた場合には、偏光板31Rを透過した赤成分光が偏光板32Rを透過するため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ50に照射される。
【0026】
同様に、液晶パネル30Gは、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させることによって緑成分光及び黄成分光を変調する。液晶パネル30Gに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板31Gが設けられる。一方で、液晶パネル30Gから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板32Gが設けられる。
【0027】
液晶パネル30Bは、青成分光の偏光方向を回転させることによって青成分光を変調する。液晶パネル30Bに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板31Bが設けられる。一方で、液晶パネル30Bから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板32Bが設けられる。
【0028】
偏光状態調整素子30Yeは、黄成分光の偏光状態を調整することによって黄成分光を変調する。一方で、偏光状態調整素子30Yeは、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。
【0029】
ここで、偏光状態調整素子とは、自素子に入射した直線偏光の偏光状態を調整可能な素子であり、直線偏光又は楕円偏光(又は、円偏光)を出射する。
【0030】
例えば、偏光状態調整素子は、自素子に電圧が印加されているか否かに応じて、自素子に入射する直線偏光の偏光方向を回転せずに直線偏光をそのまま出射する状態と、自素子に入射する直線偏光の偏光方向を略90°回転して、偏光方向が略90°回転された直線偏光を出射する状態とを切り替え可能な素子である。
【0031】
偏光状態調整素子は、自素子に印加される電圧の大きさに応じて、自素子に入射する直線偏光と自素子から出射される直線偏光とによって構成される角度を0〜90°の範囲内で調整する素子であってもよい。
【0032】
偏光状態調整素子は、自素子に印加される電圧の大きさに応じて、自素子に入射する直線偏光を楕円偏光(又は、円偏光)に調整する素子であってもよい。
【0033】
なお、偏光状態調整素子による偏光方向の調整によって、偏光状態調整素子の光出射側に設けられた偏光板を透過する光量が制御される。
【0034】
偏光状態調整素子としては、ノッチフィルタタイプの素子とエッジフィルタタイプの素子とが考えられる。
【0035】
ノッチフィルタタイプの素子は、特定波長帯域を有する光の偏光状態のみを調整することが可能である。例えば、ノッチフィルタタイプの素子は、緑よりも長波長帯域、すなわち、黄色の波長帯域を有する光の偏光状態のみを調整する。ノッチフィルタタイプの素子を用いることによって、不要光(例えば、黄成分光)を削減することが可能である。
【0036】
エッジフィルタタイプの素子は、特定波長帯域を有する光の偏光状態を調整せずに、他の波長帯域を有する光の偏光状態を調整することが可能である。例えば、エッジフィルタタイプの素子は、緑の波長帯域を有する光の偏光状態を調整せずに、緑よりも長波長帯域及び短波長帯域を有する光の偏光状態を調整する。エッジフィルタタイプの素子を用いることによって、特定波長帯域を有する光(例えば、緑成分光)の色純度を高めることが可能である。
【0037】
第1実施形態では、偏光状態調整素子30Yeは、黄成分光の偏光方向を回転させないか、黄成分光の偏光方向を90°回転させるかを選択的に切り替える素子であることに留意すべきである。また、偏光状態調整素子30Yeは、複数の分割領域(例えば、画素)毎に黄成分光の偏光方向を切り替える構成を有しておらず、偏光状態調整素子30Yeに入射した全ての黄成分光の偏光方向を切り替える素子であることに留意すべきである。
【0038】
例えば、図4(a)に示すように、偏光状態調整素子30Yeは、偏光状態調整素子30Yeに電圧が印加されていない状態(電源OFF)では、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させずに、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0039】
一方で、図4(b)に示すように、偏光状態調整素子30Yeは、偏光状態調整素子30Yeに電圧が印加された状態(電源ON)では、黄成分光の偏光方向のみを90°回転させて、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0040】
ここで、偏光状態調整素子30Yeから出射された黄成分光及び緑成分光は、偏光板31Gに照射される。偏光板31Gは、一の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する。従って、偏光状態調整素子30Yeが黄成分光の偏光方向を回転させるか否かによって、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量が制御される。
【0041】
クロスダイクロイックキューブ50は、液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bから出射される光を合成する。すなわち、クロスダイクロイックキューブ50は、液晶パネル30Rから出射される赤成分光、液晶パネル30Gから出射される緑成分光及び黄成分光、及び、液晶パネル30Bから出射される青成分光を合成する。また、クロスダイクロイックキューブ50は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を含む合成光(映像光)を投写レンズユニット110側に出射する。
【0042】
投写レンズユニット110は、上述したように、クロスダイクロイックキューブ50によって合成された合成光(映像光)をスクリーン200上に投写する。
【0043】
照明ユニット120は、複数のミラー群(ミラー21〜ミラー25)を有する。ミラー21は、青成分光、緑成分光及び黄成分光を透過して、赤成分光を反射するダイクロイックミラーである。ミラー22は、緑成分光及び黄成分光を反射して、青成分光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー23及びミラー24は、青成分光を反射して液晶パネル30B側に導くミラーである。ミラー25は、赤成分光を反射して液晶パネル30R側に導くミラーである。
(偏光状態調整素子の機能)
以下において、第1実施形態に係る偏光状態調整素子の機能について、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る偏光状態調整素子(偏光状態調整素子30Ye)の機能について説明するための図である。
【0044】
具体的には、図5では、偏光状態調整素子30Yeと偏光板31Gとの組合せが示されている。偏光状態調整素子Ye−1は、電圧が印加された状態(電源ON)で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。一方で、偏光状態調整素子Ye−2は、電圧が印加されていない状態(電源OFF)で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。
【0045】
偏光板G−1は、P偏光を有する光を透過して、S偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G−1は、例えば、光源10が発する光がP偏光に揃えられる場合に用いられる。一方で、偏光板G−2は、S偏光を有する光を透過して、P偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G−2は、例えば、光源10が発する光がS偏光に揃えられる場合に用いられる。
【0046】
図5に示すように、光源10が発する光がP偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye−1を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量は、偏光状態調整素子Ye−1に電圧が印加されていない状態(電源OFF)で最大となる。なお、偏光状態調整素子Ye−1に電圧が印加された状態では、黄成分光の偏光方向(S偏光)が緑成分光の偏光方向(P偏光)と異なるため、S偏光の黄成分光は、偏光板G−1(液晶パネル35Gの入射側に設けられた偏光板31G)で遮光される。
【0047】
一方で、偏光状態調整素子Ye−2を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量は、偏光状態調整素子Ye−2に電圧が印加された状態(電源ON)で最大となる。なお、偏光状態調整素子Ye−2に電圧が印加されていない状態では、黄成分光の偏光方向(S偏光)が緑成分光の偏光方向(P偏光)と異なるため、S偏光の黄成分光は、偏光板G−1(液晶パネル35Gの入射側に設けられた偏光板31G)で遮光される。
【0048】
次に、光源10が発する光がS偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye−1を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量は、偏光状態調整素子Ye−1に電圧が印加されていない状態(電源OFF)で最大となる。なお、偏光状態調整素子Ye−1に電圧が印加された状態では、黄成分光の偏光方向(P偏光)が緑成分光の偏光方向(S偏光)と異なるため、P偏光の黄成分光は、偏光板G−2(液晶パネル35Gの入射側に設けられた偏光板31G)で遮光される。
【0049】
一方で、偏光状態調整素子Ye−2を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量は、偏光状態調整素子Ye−2に電圧が印加された状態(電源ON)で最大となる。なお、偏光状態調整素子Ye−2に電圧が印加されていない状態では、黄成分光の偏光方向(P偏光)が緑成分光の偏光方向(S偏光)と異なるため、P偏光の黄成分光は、偏光板G−2(液晶パネル35Gの入射側に設けられた偏光板31G)で遮光される。
(作用及び効果)
第1実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、偏光状態調整素子30Yeは、緑成分光を変調せずに緑成分光を透過し、黄成分光を変調して黄成分光を透過する。偏光状態調整素子30Yeから出射された黄成分光及び緑成分光が、液晶パネル30Gに入射する。すなわち、黄成分光は、緑成分光に重畳されてクロスダイクロイックキューブ50に供給される。従って、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を利用する場合であっても、クロスダイクロイックキューブ50に入射する光は3種類である。この結果、投写レンズユニット110の設計を変更する必要がなく、装置全体のコスト上昇を抑制することができる。
【0050】
また、黄成分光が、緑成分光に重畳されて投写されるため、投写レンズユニット110がスクリーン上などに投写する映像の輝度が向上する。
【0051】
上述したように、偏光状態調整素子30Yeが、緑成分光を変調せずに緑成分光を透過し、黄成分光を変調して黄成分光を透過するため、3色の光を利用する投写型映像表示装置100の構成において、緑成分光の光路上に偏光状態調整素子を配置することによって、4色の光を利用する新方式に対応することができる。すなわち、新方式の採用に付随する新たな設計負荷が軽減され、コストメリットが得られる。
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0052】
具体的には、上述した第1実施形態では特に触れていないが、第2実施形態では、偏光状態調整素子30Yeによって黄成分光の偏光状態を調整する変調量は、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に応じて制御される。
【0053】
また、上述した第1実施形態では、偏光状態調整素子30Yeは、黄成分光の偏光方向を回転させないか、黄成分光の偏光方向を90°回転させるかを選択的に切り替える素子である。これに対して、第2実施形態では、偏光状態調整素子30Yeによって黄成分光の偏光状態を調整することによって、黄成分光の偏光方向が0〜90°の範囲内で制御される。
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第2実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る投写型映像表示装置100の機能を示すブロック図である。
【0054】
図6に示すように、投写型映像表示装置100は、信号受付部210と、変調量制御部220とを含む制御部130を備える。
【0055】
信号受付部210は、各色信号(赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号)を受付ける。例えば、信号受付部210は、映像信号から色信号を分離する色分離ブロックから各色信号を取得する。
【0056】
変調量制御部220は、信号受付部210から取得した各色信号に基づいて、各液晶パネル30(液晶パネル30R、液晶パネル30G、液晶パネル30B、偏光状態調整素子30Ye)の変調量を制御する。
【0057】
具体的には、変調量制御部220は、赤用入力信号を変更せずに液晶パネル30Rに入力する。同様に、変調量制御部220は、緑用入力信号を変更せずに液晶パネル30Gに入力し、青用入力信号を変更せずに液晶パネル30Bに入力する。一方で、変調量制御部220は、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に基づいて黄成分光の寄与度を算出して、黄成分光の変調量を制御するための黄用信号を生成する。
【0058】
ここで、変調量制御部220は、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に基づいて、輝度の代表値を算出する。輝度の代表値は、輝度の最小値、輝度の最大値、輝度の平均値などである。続いて、変調量制御部220は、輝度の代表値に応じて、映像に対する黄成分光の重畳量を決定して、偏光状態調整素子30Yeの変調量を制御する。
【0059】
例えば、各色信号が8bit系列で表現される場合を例に挙げると、輝度の代表値が255である場合には、黄用信号の値は最大値(すなわち、255)となる。一方で、輝度の代表値が128である場合には、黄用信号の値は最大値の半分(すなわち、128)となる。
【0060】
従って、スクリーン200上に表示される映像が黒である場合には、輝度の代表値が0となるため、黄用信号の値も0となる。一方、スクリーン200上に表示される映像が白である場合には、輝度の代表値が255となるため、黄用信号の値も255となる。この結果、スクリーン200上に表示される映像が白である場合には、液晶パネル30Gから出射される光に偏光状態調整素子30Yeから出射される光が加えられるため、スクリーン200上に表示される映像の輝度が向上する。
【0061】
次に、映像の色と、色再現に用いられる色成分光との関係について説明する。具体的には、各色成分光の量(すなわち、各液晶パネル30の変調量)は、映像の色に応じて制御される。図7に示すように、映像が白である場合には、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光の全てが用いられる。映像が黒である場合には、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光の全てが用いられない。
【0062】
映像が赤である場合には、赤成分光のみが用いられる。同様に、映像が緑である場合には、緑成分光のみが用いられ、映像が青である場合には、青成分光のみが用いられる。
【0063】
映像が黄である場合には、黄成分光が液晶パネル30Gに入射するため、黄成分光のみを利用することができないため、黄色に緑色が混じることを抑制するために、黄成分光を用いずに赤成分光及び緑成分光が用いられる。なお、黄色の色バランスを保つことが可能な範囲内であれば、黄成分光を利用してもよいことは勿論である。
【0064】
映像が、白、黒、赤、緑、青及び黄でない他の色である場合には、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光の全てが用いられる。なお、黄成分光の偏光状態を調整する変調量(すなわち、黄用信号の値)は、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に応じて適宜選択される。
(作用及び効果)
第2実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、黄用信号(黄成分光の偏光状態を調整する変調量)が、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に基づいて制御されるため、スクリーン200上に投写される映像の色バランスを崩すことなく、映像の輝度向上を適切に図ることができる。
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第3実施形態との相違点について主として説明する。
【0065】
具体的には、上述した第1実施形態では、透過型液晶パネルを光変調素子として用いるが、第3実施形態では、反射型液晶パネル(LCOS;Liquid Crystal On Silicon)を光変調素子として用いる。
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第3実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図8は、第3実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。なお、図8では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号が付されていることに留意すべきである。
【0066】
図8に示すように、照明ユニット120は、光源10と、複数の液晶パネル35(液晶パネル35R、液晶パネル35G及び液晶パネル35B)と、偏光状態調整素子35Yeと、複数のミラー群(ミラー121〜ミラー123)と、複数のPBSキューブ(PBSキューブ131〜PBSキューブ133)と、複数の位相差板(位相差板137及び位相差板138)と、クロスダイクロイックキューブ50とを備える。
【0067】
液晶パネル35Rは、液晶パネル35Rに入射した赤成分光の偏光方向(ここでは、S偏光方向)を回転して、P偏光方向を有する赤成分光を反射する。同様に、液晶パネル35Gは、液晶パネル35Gに入射した緑成分光及び黄成分光の偏光方向(ここでは、S偏光方向)を回転して、P偏光方向を有する緑成分光及び黄成分光を反射する。液晶パネル35Bは、液晶パネル35Bに入射した青成分光の偏光方向(ここでは、S偏光方向)を回転して、P偏光方向を有する青成分光を反射する。
【0068】
偏光状態調整素子35Yeは、黄成分光の偏光状態を調整することによって黄成分光を変調する。一方で、偏光状態調整素子35Yeは、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。
【0069】
ミラー121は、赤成分光、緑成分光及び黄成分光を透過して、青成分光を反射するダイクロイックミラーである。ミラー122は、赤成分光を透過して、緑成分光及び黄成分光を反射するダイクロイックミラーである。ミラー123は、青成分光を反射して液晶パネル35B側に導く反射ミラーである。
【0070】
PBSキューブ131は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ131は、S偏光方向を有する赤成分光(R−S)を反射して液晶パネル35R側に導く。PBSキューブ131は、液晶パネル35Rで反射された赤成分光のうち、P偏光方向を有する赤成分光(R−P)を透過してクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0071】
PBSキューブ132は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ132は、S偏光方向を有する緑成分光(G−S)を反射して液晶パネル35G側に導く。PBSキューブ132は、液晶パネル35Gで反射された緑成分光のうち、P偏光方向を有する緑成分光(G−P)を透過してクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0072】
また、PBSキューブ132は、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、S偏光方向を有する黄成分光(Ye−S)を反射して液晶パネル35G側に導く。一方で、PBSキューブ132は、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、P偏光方向を有する黄成分光(Ye−P)を透過する。PBSキューブ132は、液晶パネル35Gで反射された黄成分光のうち、P偏光方向を有する黄成分光(Ye−P)を透過してクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0073】
このように、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、S偏光方向を有する黄成分光(Ye−S)は、S偏光方向を有する緑成分光(G−S)とともに、液晶パネル35Gに入射することに留意すべきである。
【0074】
PBSキューブ133は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ133は、S偏光方向を有する青成分光(B−S)を反射して液晶パネル35B側に導く。PBSキューブ133は、液晶パネル35Bで反射された青成分光のうち、P偏光方向を有する青成分光(B−P)を透過してクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0075】
位相差板137は、赤成分光の偏光方向を90°回転させる。具体的には、位相差板137は、P偏光方向を有する赤成分光の偏光方向を回転して、S偏光方向を有する赤成分光をクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0076】
位相差板138は、青成分光の偏光方向を90°回転させる。具体的には、位相差板138は、P偏光方向を有する青成分光の偏光方向を回転して、S偏光方向を有する青成分光をクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
(作用及び効果)
第3実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、反射型液晶パネル(LCOS)を用いる場合であっても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
なお、3色の光を利用する場合であっても、PBSキューブ131〜PBSキューブ133が必要であるため、第3実施形態に係る投写型映像表示装置100において、各液晶パネル35から投写レンズユニット110までの距離(バックフォーカス)は、3色の光を利用する場合と同様であることに留意すべきである。
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第4実施形態との相違点について主として説明する。
【0078】
具体的には、上述した第1実施形態では、透過型液晶パネルを光変調素子として用いるが、第4実施形態では、反射型液晶パネル(LCOS;Liquid Crystal On Silicon)を光変調素子として用いる。
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第4実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図9は、第4実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。なお、図9では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号が付されていることに留意すべきである。
【0079】
また、第1実施形態と同様に、図9では、光源10が発する光を均質化するフライアイレンズ、光源10が発する光の偏光方向を一の偏光方向(例えば、P偏光方向)に揃えるPBS(Polarized Beam Splitter)などが省略されていることに留意すべきである。
【0080】
図9に示すように、照明ユニット120は、光源10と、複数の液晶パネル35(液晶パネル35R、液晶パネル35G及び液晶パネル35B)と、偏光状態調整素子35Yeと、複数のPBSキューブ(PBSキューブ231〜PBSキューブ234)と、複数の狭帯域位相差板(狭帯域位相差板237〜狭帯域位相差板239)とを備える。
【0081】
液晶パネル35Rは、液晶パネル35Rに入射した赤成分光の偏光方向(ここでは、P偏光方向)を回転して、S偏光方向を有する赤成分光を反射する。同様に、液晶パネル35Gは、液晶パネル35Gに入射した緑成分光及び黄成分光の偏光方向(ここでは、P偏光方向)を回転して、S偏光方向を有する緑成分光及び黄成分光を反射する。液晶パネル35Bは、液晶パネル35Bに入射した青成分光の偏光方向(ここでは、S偏光方向)を回転して、P偏光方向を有する青成分光を反射する。
【0082】
偏光状態調整素子35Yeは、黄成分光の偏光状態を調整することによって黄成分光を変調する。一方で、偏光状態調整素子35Yeは、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。
【0083】
なお、偏光状態調整素子35Yeの配置位置は、PBSキューブ231の光出射側に限定されるものではなく、PBSキューブ232の光出射側であってもよい。
【0084】
PBSキューブ231は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ231は、P偏光方向を有する緑成分光(G−P)及び黄成分光(Ye−P)を透過してPBSキューブ232側に導く。PBSキューブ231は、S偏光方向を有する赤成分光(R−S)及び青成分光(B−S)を反射してPBSキューブ233側に導く。
【0085】
PBSキューブ232は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ232は、P偏光方向を有する緑成分光(G−P)を透過して液晶パネル35G側に導く。PBSキューブ232は、液晶パネル35Gで反射された緑成分光のうち、S偏光方向を有する緑成分光(G−S)を反射してPBSキューブ234側に導く。
【0086】
また、PBSキューブ232は、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、S偏光方向を有する黄成分光(Ye−S)を反射する。一方で、PBSキューブ232は、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、P偏光方向を有する黄成分光(Ye−P)を透過して液晶パネル35G側に導く。PBSキューブ232は、液晶パネル35Gで反射された黄成分光のうち、S偏光方向を有する黄成分光(Ye−S)を反射してPBSキューブ234側に導く。
【0087】
PBSキューブ233は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ233は、P偏光方向を有する赤成分光(R−P)を透過して液晶パネル35R側に導く。PBSキューブ233は、液晶パネル35Rで反射された赤成分光のうち、S偏光方向を有する赤成分光(R−S)を反射してPBSキューブ234側に導く。
【0088】
また、PBSキューブ233は、S偏光方向を有する青成分光(B−S)を反射して液晶パネル35B側に導く。PBSキューブ233は、液晶パネル35Bで反射された青成分光のうち、P偏光方向を有する青成分光(B−P)を透過してPBSキューブ234側に導く。
【0089】
PBSキューブ234は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ234は、P偏光方向を有する赤成分光(R−P)及び青成分光(B−P)を透過して投写レンズユニット110側に導く。PBSキューブ234は、S偏光方向を有する緑成分光(G−S)及び黄成分光(Ye−S)を反射して投写レンズユニット110側に導く。
【0090】
狭帯域位相差板237は、特定の色成分光の偏光方向のみを回転させて、他の色成分光の偏光方向を回転させない。例えば、各色成分光の偏光方向がP偏光方向で揃っている場合を例に挙げると、狭帯域位相差板237は、赤成分光及び青成分光の偏光方向を90°回転させて透過し、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させずに透過する。一方で、各色成分光の偏光方向がS偏光方向で揃っている場合を例に挙げると、狭帯域位相差板237は、赤成分光及び青成分光の偏光方向を回転させずに透過し、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を90°回転させて透過する。
【0091】
狭帯域位相差板238は、特定の色成分光の偏光方向のみを回転させて、他の色成分光の偏光方向を回転させない。ここでは、狭帯域位相差板238は、赤成分光の偏光方向を90°回転させて透過し、青成分光の偏光方向を回転させずに透過する。
【0092】
狭帯域位相差板239は、特定の色成分光の偏光方向のみを回転させて、他の色成分光の偏光方向を回転させない。ここでは、狭帯域位相差板239は、赤成分光の偏光方向を90°回転させて透過し、青成分光の偏光方向を回転させずに透過する。
【0093】
なお、第3実施形態では、PBSキューブ232〜PBSキューブ234は、液晶パネル35R、液晶パネル35G及び液晶パネル35Bから出射された光を合成する色合成部を構成する。
【0094】
また、S偏光を有する光を透過して、P偏光を有する光を遮光する偏光板が、PBSキューブ232の光出射側に設けられていてもよい。P偏光を有する光を透過して、S偏光を有する光を遮光する偏光板が、狭帯域位相差板239の光出射側に設けられていてもよい。
(作用及び効果)
第4実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、反射型液晶パネル(LCOS)を用いる場合であっても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
なお、3色の光を利用する場合であっても、PBSキューブ231〜PBSキューブ234が必要であるため、第4実施形態に係る投写型映像表示装置100において、各液晶パネル35から投写レンズユニット110までの距離(バックフォーカス)は、3色の光を利用する場合と同様であることに留意すべきである。
[第5実施形態]
以下において、第5実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第5実施形態との相違点について主として説明する。
【0096】
具体的には、上述した第1実施形態では、黄成分光の偏光方向を切り替える偏光状態調整素子30Yeは、緑成分光と赤成分光とを分離する素子(ミラー22)の後段に設けられている。
【0097】
これに対して、第5実施形態では、黄成分光の偏光方向を切り替える偏光状態調整素子30Yeは、緑成分光と赤成分光とを分離する素子(ミラー22)の前段に設けられている。
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第5実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図10は、第5実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。図10では、上述した図2と同様の構成について同様の符号が付されていることに留意すべきである。
【0098】
また、第1実施形態と同様に、図10では、光源10が発する光を均質化するフライアイレンズ、光源10が発する光の偏光方向を一の偏光方向(例えば、P偏光方向)に揃えるPBS(Polarized Beam Splitter)などが省略されていることに留意すべきである。
【0099】
なお、図10では、光源10が発する光が各色成分光に分離される前において、光源10が発する光の偏光方向がS偏光に揃えられているケースについて説明する。
【0100】
図10に示すように、照明ユニット120は、光源10と、複数の液晶パネル30(液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30B)と、偏光状態調整素子37Yeと、クロスダイクロイックキューブ50と、複数のミラー群(ミラー321〜ミラー322、ミラー331〜ミラー333)を備える。
【0101】
偏光状態調整素子37Yeは、ミラー321で反射された合成光の光路上において、ミラー321とミラー332との間に設けられている。偏光状態調整素子37Yeは、図11に示すように、ミラー321で反射された合成光のうち、黄成分光の偏光状態のみを調整可能に構成されている。図11において、縦軸は、合成光の偏光状態を調整せずに合成光を透過する割合(透過率)であり、横軸は、合成光の波長である。
【0102】
図11に示すように、偏光状態調整素子37Yeに電圧が印加されていない状態では、偏光状態調整素子37Yeは、合成光の偏光状態を調整せずに合成光を透過する。すなわち、偏光状態調整素子37Yeは、赤成分光、緑成分光及び黄成分光を含む合成光をS偏光で透過する。
【0103】
一方で、偏光状態調整素子37Yeに電圧が印加された状態では、偏光状態調整素子37Yeは、黄成分光の偏光状態のみを調整して合成光を透過する。すなわち、偏光状態調整素子37Yeは、赤成分光及び緑成分光をS偏光で透過し、黄成分光をP偏光で透過する。
【0104】
ミラー321は、赤成分光、緑成分光及び黄成分光を含む合成光を反射して、青成分光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー322は、緑成分光を反射して、赤成分光を透過するダイクロイックミラーである。
【0105】
ここで、ミラー322のカットオフ波長は、図12に示すように、緑成分光の波長帯と赤成分光の波長帯との間に設けられている。また、ミラー322のカットオフ波長は、ミラー322に入射する光の偏光方向に応じて異なる。
【0106】
具体的には、ミラー322に入射する光の偏光方向がP偏光である場合には、ミラー322のカットオフ波長は、緑成分光の波長帯と黄成分光の波長帯との境界近傍の波長である。一方で、ミラー322に入射する光の偏光方向がS偏光である場合には、ミラー322のカットオフ波長は、黄成分光の波長帯と赤成分光の波長帯との境界近傍の波長である。
【0107】
偏光状態調整素子37Yeによって黄成分光の偏光状態が調整されずに、S偏光の黄成分光がミラー322に入射した場合には、黄成分光は、ミラー322で反射されて液晶パネル30G側に導かれる。
【0108】
一方で、偏光状態調整素子37Yeによって黄成分光の偏光状態が調整されて、P偏光の黄成分光がミラー322に入射した場合には、黄成分光は、ミラー322を透過して液晶パネル30R側に導かれる。
【0109】
ここで、液晶パネル30R側に導かれる黄成分光の偏光方向(P偏光)は、液晶パネル30R側に導かれる赤成分光の偏光方向(S偏光)と異なる。従って、液晶パネル30R側に導かれるP偏光の黄成分光は、液晶パネル30Rの入射側に設けられた偏光板31Rによって遮光される。
【0110】
このように、偏光状態調整素子37Yeの配置を変更したとしても、黄成分光のON/OFFを容易に切り替えることが可能である。
【0111】
ミラー331は、ミラー321を透過した青成分光を反射して、青成分光を液晶パネル30B側に導く。ミラー332及びミラー333は、ミラー322を透過した光(主として、赤成分光)を反射して、ミラー322を透過した光(主として、赤成分光)を液晶パネル35R側に導く。
[第6実施形態]
以下において、第6実施形態について図面を参照しながら説明する。第6実施形態では、上述した液晶パネル30の構成について詳述する。
(光変調素子の構成)
以下において、第6実施形態における光変調素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図13は、第6実施形態における液晶パネル30(特に、偏光状態調整素子30Yeなど)の構成を示す図である。なお、図13は、液晶パネル30の光入射面(又は、光出射面)側から液晶パネル30を見た図である。
【0112】
図13に示すように、液晶パネル30は、複数のセグメント431と、複数の透明電極432とを有する。
【0113】
セグメント431は、マトリクス状に配置されており、4つの領域(領域A〜領域D)として捉えることができる。
【0114】
液晶パネル30の上半分に設けられた領域(領域A及び領域B)では、セグメント431の位置が上方向となるに従って、セグメント431の面積が小さくなっている。一方で、液晶パネル30の下半分に設けられた領域(領域C及び領域D)では、セグメント431の位置が下方向となるに従って、セグメント431の面積が小さくなっている。
【0115】
一方で、液晶パネル30の左半分に設けられた領域(領域A及び領域D)では、各セグメント431の左側に透明電極432が設けられている。液晶パネル30の右半分に設けられた領域(領域B及び領域C)では、各セグメント431の右側に透明電極432が設けられている。
【0116】
ここで、セグメント431−1〜セグメント431−4を例に挙げて、各セグメント431の構成についてさらに詳細に説明する。
【0117】
セグメント431−1の上側に設けられたセグメント431−2の面積は、セグメント431−1に接続された透明電極432−1の幅分だけ、セグメント431−1の面積よりも小さい。
【0118】
セグメント431−2の上側に設けられたセグメント431−3の面積は、セグメント431−2に接続された透明電極432−2の幅分だけ、セグメント431−2の面積よりもさらに小さい。すなわち、セグメント431−3の面積は、透明電極432−1及び透明電極432−2の幅分だけ、セグメント431−1の面積よりも小さい。
【0119】
セグメント431−3の上側に設けられたセグメント431−4の面積は、セグメント431−3に接続された透明電極432−3の幅分だけ、セグメント431−3の面積よりもさらに小さい。すなわち、セグメント431−4の面積は、透明電極432−1〜透明電極432−3の幅分だけ、セグメント431−1の面積よりも小さい。
【0120】
透明電極432は、透明な部材によって構成されており、各セグメント431にそれぞれ接続されている。また、透明電極432は、セグメント431の面積の縮小によって空いたスペースに設けられている。
【0121】
液晶パネル30の上半分に設けられた領域(領域A及び領域B)では、透明電極432は、液晶パネル30の上側に設けられたFPC;Flexible Printed Circuit(不図示)に接続されている。液晶パネル30の下半分に設けられた領域(領域C及び領域D)では、透明電極432は、液晶パネル30の下側に設けられたFPC(不図示)に接続されている。
【0122】
なお、第6実施形態では、FPCが液晶パネル30の上下に設けられているケースについて例示したが、これに限定されるものではない。具体的には、FPCが液晶パネル30の左右に設けられてもよい。この場合には、図13に示した構成を90°回転させればよいことは勿論である。
(作用及び効果)
第6実施形態に係る液晶パネル30によれば、液晶パネル30の厚み方向に透明電極432を引き回すことが好ましくないケース、すなわち、光入射面(光出射面)内において透明電極432を引き回すことが好ましいケースにおいて、透明電極432が設けられるスペースを効率的に小さくすることができる。すなわち、液晶パネル30において各セグメント431が占める割合が高くなり、各セグメント431による変調の効果を十分に得ることができる。
【0123】
各セグメント431に接続された電極として透明電極432を用いることによって、電極による光利用効率の低下を抑制することができる。
【0124】
液晶パネル30の上下にFPCが設けられていることによって、透明電極432の長さが短くなるため、透明電極432の電気抵抗を小さくすることができ、透明電極432の幅を狭くすることができる。
[黄成分光の利用]
以下において、黄成分光の利用について図面を参照しながら説明する。図14は、上述した光源10(UHPランプ)が発する光について説明するための図である。ここで、光量は、光源10から発せられる光のエネルギーと比視感度との積によって導出される。
【0125】
図14に示すように、比視感度は、緑成分光に相当する波長帯をピークとして、短波長(青成分光)側及び長波長(赤成分光)側となる程低下する傾向を有する。従って、UHPランプのような光源10から発せられる光のエネルギーが、440nm付近(青成分光)、550nm付近(緑成分光)、580nm付近(黄成分光)に、この順でピークがあったとしても、光源10が発する光量は、緑成分光に相当する波長帯で最も大きい。また、光源10が発する光量は、緑成分光に相当する波長帯に次いで、黄成分光に相当する波長帯で大きい。
【0126】
このように、黄成分光は、光源10から発せられる光のエネルギー及び比視感度の面から、映像の光量に大きく貢献することが分かる。
【0127】
従って、従来利用されていなかった黄成分光を利用するように構成された投写型映像表示装置が提案されている。例えば、黄成分光を遮光するカラーフィルタを用いない投写型映像表示装置(例えば、特開2000−137289号公報)、4板式の投写型映像表示装置(例えば、特開2002−287247号公報)が提案されている。
【0128】
上述した各実施形態では、黄成分光を利用することによって光輝度化を図るとともに、偏光状態調整素子30Yeを用いることによって色再現性の低下を抑制している。また、偏光状態調整素子30Yeから出射された黄成分光が他の液晶パネル30に照射されるため、投写レンズユニット110のバックフォーカスが従来よりも長くならない。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0129】
例えば、上述した実施形態では、黄成分光に重畳される重畳成分光は緑成分光であるが、これに限定されるものではない。黄成分光に重畳される重畳成分光は赤成分光であってもよい。この場合に、赤成分光は、黄成分光とともに偏光状態調整素子30Yeに入射する。但し、黄色は青色の補色であるため、黄成分光に重畳される重畳成分光は青成分光ではないことが好ましいことに留意すべきである。
【0130】
上述した実施形態では、第4色成分光が黄成分光であるが、これに限定されるものではない。第4色成分光は、シアン成分光、マゼンタ成分光などであってもよい。具体的には、シアン成分光に重畳される重畳成分光は緑成分光又は青成分光であることが好ましい。マゼンタ成分光に重畳される重畳成分光は赤成分光又は青成分光であることが好ましい。
【0131】
上述した実施形態では、第4色成分光が単一の色成分光であるが、これに限定されるものではない。第4色成分光は複数の色成分光であってもよい。
【0132】
上述した実施形態では、偏光状態調整素子は解像度を有していない偏光状態調整素子30Yeであることを前提としているが、これに限定されるものではない。具体的には、偏光状態調整素子は解像度を有する第4色用液晶パネルであってもよい。この場合には、第4色用液晶パネルの解像度は、電極などによる透過率の低下を防ぐために、液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bの解像度よりも低いことが好ましい。但し、第4色用液晶パネルの解像度は、液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bの解像度と同等であってもよいことに留意すべきである。
【符号の説明】
【0133】
10・・・光源、21〜25・・・ミラー、30・・・液晶パネル、30Ye・・・偏光状態調整素子、31、32・・・偏光板、35・・・液晶パネル、35Ye・・・偏光状態調整素子、37Ye・・・偏光状態調整素子、50・・・クロスダイクロイックキューブ、100・・・投写型映像表示装置、110・・・投写レンズユニット、12・・・照明ユニット、130・・・制御部、131〜133・・・PBSキューブ、137、138・・・位相差板、200・・・スクリーン、210・・・信号受付部、220・・・変調量制御部、231〜234・・・PBSキューブ、237〜239・・・狭帯域位相差板、321〜322・・・ミラー、331〜333・・・ミラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、第4色成分光を利用する照明装置及び投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3色の光に対応する3つの光変調素子と、3つの光変調素子から出射される光を合成するクロスダイクロイックキューブと、クロスダイクロイックキューブで合成された光を投写する投写手段とを有する投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
ここで、クロスダイクロイックキューブは、光が入射する3つの光入射面と、光が出射する1つの光出射面とを有している。従って、クロスダイクロイックキューブに入射する光が3色である場合には、投写型映像表示装置は、一つのクロスダイクロイックキューブを有していれば足りる。
【0004】
一方で、色再現性や輝度の向上を目的として、4色以上の光を利用する投写型映像表示装置が提案されている。例えば、投写型映像表示装置は、赤、緑及び青の3色に加えて、オレンジ、黄又はシアンを利用することによって、色再現性や輝度の向上を図っている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−287247号公報(請求項1、請求項4、図1など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、投写型映像表示装置が4色以上の光を有する場合には、一つのクロスダイクロイックキューブで4色以上の光を合成することができない。従って、投写型映像表示装置は、複数のダイクロイックキューブ(又は、クロスダイクロイックキューブ)を有する必要がある。
【0007】
例えば、4色の光の合成が必要である場合には、投写型映像表示装置は、2色の光が合成された合成光を2つ取得して、2つの合成光をさらに合成することによって、4色の合成光を取得する。なお、投写型映像表示装置は、3色の光が合成された合成光を取得して、合成光と1色の光とを合成することによって、4色の合成光を取得してもよい。投写型映像表示装置は、2色の光が合成された合成光を取得して、合成光と2色の光とを合成することによって、4色の合成光を取得してもよい。
【0008】
ここで、光変調素子と投写手段との間に、複数のダイクロイックキューブ(又は、クロスダイクロイックキューブ)を設ける必要がある。従って、投写手段のバックフォーカスが長くなる。
【0009】
この結果、3色の光を利用する投写型映像表示装置で用いられる投写手段を転用することができないため、投写型映像表示装置のコストが全体として上昇してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする照明装置及び投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の特徴は、照明装置(照明ユニット120)であって、第1成分光(例えば、赤成分光)を変調する第1光変調素子(例えば、液晶パネル30R)と、第2成分光(例えば、緑成分光及び黄成分光)を変調する第2光変調素子(例えば、液晶パネル30G)と、第3成分光(例えば、青成分光)を変調する第3光変調素子(例えば、液晶パネル30B)とを備えるものである。そして、第1光変調素子、第2光変調素子、及び第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部(クロスダイクロイックキューブ50)と、特定の波長帯域光(例えば、黄成分光)の偏光状態を調整する偏光状態調整素子(偏光状態調整素子30Ye)を備え、前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整して透過し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光以外の第2成分光の偏光状態を調整せずに透過し、前記偏光状態調整素子を透過した光は、第2光変調素子に向けて出射することを要旨とする。
【0012】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整したときに第2光変調素子の入射側偏光板(偏光板31G)との組合せで第2光変調素子に入射する波長帯域を制限し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整しないときに第2光変調素子の入射側偏光板との組合せで第2光変調素子に入射する波長帯域を制限しないことを要旨とする。
【0013】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、第2成分光は、第1成分光及び第3成分光との比較において光量の大きい領域が広範囲な波長帯域光であることを要旨とする。
【0014】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、第2成分光は、緑成分光及び黄成分光を含むことを要旨とする。
【0015】
本発明の一の特徴は、照明装置(照明ユニット120)であって、第1成分光(例えば、赤成分光)を変調する第1光変調素子(例えば、液晶パネル30R)と、第2成分光(例えば、緑成分光及び黄成分光)を変調する第2光変調素子(例えば、液晶パネル30G)と、第3成分光(例えば、青成分光)を変調する第3光変調素子(例えば、液晶パネル30B)とを備えるものである。そして、第1光変調素子、第2光変調素子、及び第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部(クロスダイクロイックキューブ50)と、前記色合成部によって合成された光を投写する投写手段(投写レンズユニット110)と、特定の波長帯域光(例えば、黄成分光)の偏光状態を調整する偏光状態調整素子(偏光状態調整素子30Ye)を備え、前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整して透過し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光以外の第2成分光の偏光状態を調整せずに透過し、前記偏光状態調整素子を透過した光は、第2光変調素子に向けて出射することを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする照明装置及び投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るRGB色再現範囲を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る偏光状態調整素子30Yeを示す図である。
【図5】第1実施形態に係る偏光状態調整素子30Yeと偏光板31Gとの組合せを示す図である。
【図6】第2実施形態に係る投写型映像表示装置100の機能を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態に係る映像の色と各色信号との関係を示す図である。
【図8】第3実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。
【図9】第4実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。
【図10】第5実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。
【図11】第5実施形態に係る偏光状態調整素子37Yeを説明するための図である。
【図12】第5実施形態に係るミラー322のカットオフ波長について説明するための図である。
【図13】第6実施形態に係る液晶パネル30の構成を示す図である。
【図14】光源10(UHPランプ)が発する光について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0019】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【0020】
図1に示すように、投写型映像表示装置100は、投写レンズユニット110を有しており、投写レンズユニット110によって拡大された映像光をスクリーン200上に投写する。投写型映像表示装置100は、後述するように、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を第4色成分光として利用する。
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第1実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。図2では、光源10が発する光を均質化するフライアイレンズ、光源10が発する光の偏光方向を一の偏光方向(例えば、P偏光方向)に揃えるPBS(Polarized Beam Splitter)などが省略されていることに留意すべきである。
【0021】
図2に示すように、照明ユニット120は、光源10と、複数の液晶パネル30(液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30B)と、偏光状態調整素子30Yeと、クロスダイクロイックキューブ50とを備える。なお、図2では、投写レンズユニット110が図示されているが、投写レンズユニット110は照明ユニット120に含まれないことに留意すべきである。
【0022】
光源10は、白色光を発するUHPランプなどである。すなわち、光源10が発する光は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を少なくとも含む。
【0023】
ここで、黄成分光は、図3に示すように、赤成分光、緑成分光及び青成分光が再現可能な色範囲(RGB色再現範囲)外の色を再現可能な光である。3色の光を利用する投写型映像表示装置では、黄成分光は色分離の過程で除かれる光である。
【0024】
液晶パネル30Rは、赤成分光の偏光方向を回転させることによって赤成分光を変調する。液晶パネル30Rに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を遮光する偏光板31Rが設けられる。一方で、液晶パネル30Rから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する偏光板32Rが設けられる。
【0025】
従って、液晶パネル30Rが赤成分光の偏光方向を回転させない場合には、偏光板31Rを透過した赤成分光が偏光板32Rで遮光されるため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ50に照射されない。一方で、液晶パネル30Rが赤成分光の偏光方向を回転させた場合には、偏光板31Rを透過した赤成分光が偏光板32Rを透過するため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ50に照射される。
【0026】
同様に、液晶パネル30Gは、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させることによって緑成分光及び黄成分光を変調する。液晶パネル30Gに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板31Gが設けられる。一方で、液晶パネル30Gから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板32Gが設けられる。
【0027】
液晶パネル30Bは、青成分光の偏光方向を回転させることによって青成分光を変調する。液晶パネル30Bに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板31Bが設けられる。一方で、液晶パネル30Bから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板32Bが設けられる。
【0028】
偏光状態調整素子30Yeは、黄成分光の偏光状態を調整することによって黄成分光を変調する。一方で、偏光状態調整素子30Yeは、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。
【0029】
ここで、偏光状態調整素子とは、自素子に入射した直線偏光の偏光状態を調整可能な素子であり、直線偏光又は楕円偏光(又は、円偏光)を出射する。
【0030】
例えば、偏光状態調整素子は、自素子に電圧が印加されているか否かに応じて、自素子に入射する直線偏光の偏光方向を回転せずに直線偏光をそのまま出射する状態と、自素子に入射する直線偏光の偏光方向を略90°回転して、偏光方向が略90°回転された直線偏光を出射する状態とを切り替え可能な素子である。
【0031】
偏光状態調整素子は、自素子に印加される電圧の大きさに応じて、自素子に入射する直線偏光と自素子から出射される直線偏光とによって構成される角度を0〜90°の範囲内で調整する素子であってもよい。
【0032】
偏光状態調整素子は、自素子に印加される電圧の大きさに応じて、自素子に入射する直線偏光を楕円偏光(又は、円偏光)に調整する素子であってもよい。
【0033】
なお、偏光状態調整素子による偏光方向の調整によって、偏光状態調整素子の光出射側に設けられた偏光板を透過する光量が制御される。
【0034】
偏光状態調整素子としては、ノッチフィルタタイプの素子とエッジフィルタタイプの素子とが考えられる。
【0035】
ノッチフィルタタイプの素子は、特定波長帯域を有する光の偏光状態のみを調整することが可能である。例えば、ノッチフィルタタイプの素子は、緑よりも長波長帯域、すなわち、黄色の波長帯域を有する光の偏光状態のみを調整する。ノッチフィルタタイプの素子を用いることによって、不要光(例えば、黄成分光)を削減することが可能である。
【0036】
エッジフィルタタイプの素子は、特定波長帯域を有する光の偏光状態を調整せずに、他の波長帯域を有する光の偏光状態を調整することが可能である。例えば、エッジフィルタタイプの素子は、緑の波長帯域を有する光の偏光状態を調整せずに、緑よりも長波長帯域及び短波長帯域を有する光の偏光状態を調整する。エッジフィルタタイプの素子を用いることによって、特定波長帯域を有する光(例えば、緑成分光)の色純度を高めることが可能である。
【0037】
第1実施形態では、偏光状態調整素子30Yeは、黄成分光の偏光方向を回転させないか、黄成分光の偏光方向を90°回転させるかを選択的に切り替える素子であることに留意すべきである。また、偏光状態調整素子30Yeは、複数の分割領域(例えば、画素)毎に黄成分光の偏光方向を切り替える構成を有しておらず、偏光状態調整素子30Yeに入射した全ての黄成分光の偏光方向を切り替える素子であることに留意すべきである。
【0038】
例えば、図4(a)に示すように、偏光状態調整素子30Yeは、偏光状態調整素子30Yeに電圧が印加されていない状態(電源OFF)では、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させずに、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0039】
一方で、図4(b)に示すように、偏光状態調整素子30Yeは、偏光状態調整素子30Yeに電圧が印加された状態(電源ON)では、黄成分光の偏光方向のみを90°回転させて、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0040】
ここで、偏光状態調整素子30Yeから出射された黄成分光及び緑成分光は、偏光板31Gに照射される。偏光板31Gは、一の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する。従って、偏光状態調整素子30Yeが黄成分光の偏光方向を回転させるか否かによって、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量が制御される。
【0041】
クロスダイクロイックキューブ50は、液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bから出射される光を合成する。すなわち、クロスダイクロイックキューブ50は、液晶パネル30Rから出射される赤成分光、液晶パネル30Gから出射される緑成分光及び黄成分光、及び、液晶パネル30Bから出射される青成分光を合成する。また、クロスダイクロイックキューブ50は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を含む合成光(映像光)を投写レンズユニット110側に出射する。
【0042】
投写レンズユニット110は、上述したように、クロスダイクロイックキューブ50によって合成された合成光(映像光)をスクリーン200上に投写する。
【0043】
照明ユニット120は、複数のミラー群(ミラー21〜ミラー25)を有する。ミラー21は、青成分光、緑成分光及び黄成分光を透過して、赤成分光を反射するダイクロイックミラーである。ミラー22は、緑成分光及び黄成分光を反射して、青成分光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー23及びミラー24は、青成分光を反射して液晶パネル30B側に導くミラーである。ミラー25は、赤成分光を反射して液晶パネル30R側に導くミラーである。
(偏光状態調整素子の機能)
以下において、第1実施形態に係る偏光状態調整素子の機能について、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る偏光状態調整素子(偏光状態調整素子30Ye)の機能について説明するための図である。
【0044】
具体的には、図5では、偏光状態調整素子30Yeと偏光板31Gとの組合せが示されている。偏光状態調整素子Ye−1は、電圧が印加された状態(電源ON)で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。一方で、偏光状態調整素子Ye−2は、電圧が印加されていない状態(電源OFF)で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。
【0045】
偏光板G−1は、P偏光を有する光を透過して、S偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G−1は、例えば、光源10が発する光がP偏光に揃えられる場合に用いられる。一方で、偏光板G−2は、S偏光を有する光を透過して、P偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G−2は、例えば、光源10が発する光がS偏光に揃えられる場合に用いられる。
【0046】
図5に示すように、光源10が発する光がP偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye−1を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量は、偏光状態調整素子Ye−1に電圧が印加されていない状態(電源OFF)で最大となる。なお、偏光状態調整素子Ye−1に電圧が印加された状態では、黄成分光の偏光方向(S偏光)が緑成分光の偏光方向(P偏光)と異なるため、S偏光の黄成分光は、偏光板G−1(液晶パネル35Gの入射側に設けられた偏光板31G)で遮光される。
【0047】
一方で、偏光状態調整素子Ye−2を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量は、偏光状態調整素子Ye−2に電圧が印加された状態(電源ON)で最大となる。なお、偏光状態調整素子Ye−2に電圧が印加されていない状態では、黄成分光の偏光方向(S偏光)が緑成分光の偏光方向(P偏光)と異なるため、S偏光の黄成分光は、偏光板G−1(液晶パネル35Gの入射側に設けられた偏光板31G)で遮光される。
【0048】
次に、光源10が発する光がS偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye−1を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量は、偏光状態調整素子Ye−1に電圧が印加されていない状態(電源OFF)で最大となる。なお、偏光状態調整素子Ye−1に電圧が印加された状態では、黄成分光の偏光方向(P偏光)が緑成分光の偏光方向(S偏光)と異なるため、P偏光の黄成分光は、偏光板G−2(液晶パネル35Gの入射側に設けられた偏光板31G)で遮光される。
【0049】
一方で、偏光状態調整素子Ye−2を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ50に到達する黄成分光の光量は、偏光状態調整素子Ye−2に電圧が印加された状態(電源ON)で最大となる。なお、偏光状態調整素子Ye−2に電圧が印加されていない状態では、黄成分光の偏光方向(P偏光)が緑成分光の偏光方向(S偏光)と異なるため、P偏光の黄成分光は、偏光板G−2(液晶パネル35Gの入射側に設けられた偏光板31G)で遮光される。
(作用及び効果)
第1実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、偏光状態調整素子30Yeは、緑成分光を変調せずに緑成分光を透過し、黄成分光を変調して黄成分光を透過する。偏光状態調整素子30Yeから出射された黄成分光及び緑成分光が、液晶パネル30Gに入射する。すなわち、黄成分光は、緑成分光に重畳されてクロスダイクロイックキューブ50に供給される。従って、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を利用する場合であっても、クロスダイクロイックキューブ50に入射する光は3種類である。この結果、投写レンズユニット110の設計を変更する必要がなく、装置全体のコスト上昇を抑制することができる。
【0050】
また、黄成分光が、緑成分光に重畳されて投写されるため、投写レンズユニット110がスクリーン上などに投写する映像の輝度が向上する。
【0051】
上述したように、偏光状態調整素子30Yeが、緑成分光を変調せずに緑成分光を透過し、黄成分光を変調して黄成分光を透過するため、3色の光を利用する投写型映像表示装置100の構成において、緑成分光の光路上に偏光状態調整素子を配置することによって、4色の光を利用する新方式に対応することができる。すなわち、新方式の採用に付随する新たな設計負荷が軽減され、コストメリットが得られる。
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0052】
具体的には、上述した第1実施形態では特に触れていないが、第2実施形態では、偏光状態調整素子30Yeによって黄成分光の偏光状態を調整する変調量は、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に応じて制御される。
【0053】
また、上述した第1実施形態では、偏光状態調整素子30Yeは、黄成分光の偏光方向を回転させないか、黄成分光の偏光方向を90°回転させるかを選択的に切り替える素子である。これに対して、第2実施形態では、偏光状態調整素子30Yeによって黄成分光の偏光状態を調整することによって、黄成分光の偏光方向が0〜90°の範囲内で制御される。
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第2実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る投写型映像表示装置100の機能を示すブロック図である。
【0054】
図6に示すように、投写型映像表示装置100は、信号受付部210と、変調量制御部220とを含む制御部130を備える。
【0055】
信号受付部210は、各色信号(赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号)を受付ける。例えば、信号受付部210は、映像信号から色信号を分離する色分離ブロックから各色信号を取得する。
【0056】
変調量制御部220は、信号受付部210から取得した各色信号に基づいて、各液晶パネル30(液晶パネル30R、液晶パネル30G、液晶パネル30B、偏光状態調整素子30Ye)の変調量を制御する。
【0057】
具体的には、変調量制御部220は、赤用入力信号を変更せずに液晶パネル30Rに入力する。同様に、変調量制御部220は、緑用入力信号を変更せずに液晶パネル30Gに入力し、青用入力信号を変更せずに液晶パネル30Bに入力する。一方で、変調量制御部220は、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に基づいて黄成分光の寄与度を算出して、黄成分光の変調量を制御するための黄用信号を生成する。
【0058】
ここで、変調量制御部220は、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に基づいて、輝度の代表値を算出する。輝度の代表値は、輝度の最小値、輝度の最大値、輝度の平均値などである。続いて、変調量制御部220は、輝度の代表値に応じて、映像に対する黄成分光の重畳量を決定して、偏光状態調整素子30Yeの変調量を制御する。
【0059】
例えば、各色信号が8bit系列で表現される場合を例に挙げると、輝度の代表値が255である場合には、黄用信号の値は最大値(すなわち、255)となる。一方で、輝度の代表値が128である場合には、黄用信号の値は最大値の半分(すなわち、128)となる。
【0060】
従って、スクリーン200上に表示される映像が黒である場合には、輝度の代表値が0となるため、黄用信号の値も0となる。一方、スクリーン200上に表示される映像が白である場合には、輝度の代表値が255となるため、黄用信号の値も255となる。この結果、スクリーン200上に表示される映像が白である場合には、液晶パネル30Gから出射される光に偏光状態調整素子30Yeから出射される光が加えられるため、スクリーン200上に表示される映像の輝度が向上する。
【0061】
次に、映像の色と、色再現に用いられる色成分光との関係について説明する。具体的には、各色成分光の量(すなわち、各液晶パネル30の変調量)は、映像の色に応じて制御される。図7に示すように、映像が白である場合には、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光の全てが用いられる。映像が黒である場合には、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光の全てが用いられない。
【0062】
映像が赤である場合には、赤成分光のみが用いられる。同様に、映像が緑である場合には、緑成分光のみが用いられ、映像が青である場合には、青成分光のみが用いられる。
【0063】
映像が黄である場合には、黄成分光が液晶パネル30Gに入射するため、黄成分光のみを利用することができないため、黄色に緑色が混じることを抑制するために、黄成分光を用いずに赤成分光及び緑成分光が用いられる。なお、黄色の色バランスを保つことが可能な範囲内であれば、黄成分光を利用してもよいことは勿論である。
【0064】
映像が、白、黒、赤、緑、青及び黄でない他の色である場合には、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光の全てが用いられる。なお、黄成分光の偏光状態を調整する変調量(すなわち、黄用信号の値)は、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に応じて適宜選択される。
(作用及び効果)
第2実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、黄用信号(黄成分光の偏光状態を調整する変調量)が、赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号に基づいて制御されるため、スクリーン200上に投写される映像の色バランスを崩すことなく、映像の輝度向上を適切に図ることができる。
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第3実施形態との相違点について主として説明する。
【0065】
具体的には、上述した第1実施形態では、透過型液晶パネルを光変調素子として用いるが、第3実施形態では、反射型液晶パネル(LCOS;Liquid Crystal On Silicon)を光変調素子として用いる。
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第3実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図8は、第3実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。なお、図8では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号が付されていることに留意すべきである。
【0066】
図8に示すように、照明ユニット120は、光源10と、複数の液晶パネル35(液晶パネル35R、液晶パネル35G及び液晶パネル35B)と、偏光状態調整素子35Yeと、複数のミラー群(ミラー121〜ミラー123)と、複数のPBSキューブ(PBSキューブ131〜PBSキューブ133)と、複数の位相差板(位相差板137及び位相差板138)と、クロスダイクロイックキューブ50とを備える。
【0067】
液晶パネル35Rは、液晶パネル35Rに入射した赤成分光の偏光方向(ここでは、S偏光方向)を回転して、P偏光方向を有する赤成分光を反射する。同様に、液晶パネル35Gは、液晶パネル35Gに入射した緑成分光及び黄成分光の偏光方向(ここでは、S偏光方向)を回転して、P偏光方向を有する緑成分光及び黄成分光を反射する。液晶パネル35Bは、液晶パネル35Bに入射した青成分光の偏光方向(ここでは、S偏光方向)を回転して、P偏光方向を有する青成分光を反射する。
【0068】
偏光状態調整素子35Yeは、黄成分光の偏光状態を調整することによって黄成分光を変調する。一方で、偏光状態調整素子35Yeは、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。
【0069】
ミラー121は、赤成分光、緑成分光及び黄成分光を透過して、青成分光を反射するダイクロイックミラーである。ミラー122は、赤成分光を透過して、緑成分光及び黄成分光を反射するダイクロイックミラーである。ミラー123は、青成分光を反射して液晶パネル35B側に導く反射ミラーである。
【0070】
PBSキューブ131は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ131は、S偏光方向を有する赤成分光(R−S)を反射して液晶パネル35R側に導く。PBSキューブ131は、液晶パネル35Rで反射された赤成分光のうち、P偏光方向を有する赤成分光(R−P)を透過してクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0071】
PBSキューブ132は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ132は、S偏光方向を有する緑成分光(G−S)を反射して液晶パネル35G側に導く。PBSキューブ132は、液晶パネル35Gで反射された緑成分光のうち、P偏光方向を有する緑成分光(G−P)を透過してクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0072】
また、PBSキューブ132は、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、S偏光方向を有する黄成分光(Ye−S)を反射して液晶パネル35G側に導く。一方で、PBSキューブ132は、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、P偏光方向を有する黄成分光(Ye−P)を透過する。PBSキューブ132は、液晶パネル35Gで反射された黄成分光のうち、P偏光方向を有する黄成分光(Ye−P)を透過してクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0073】
このように、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、S偏光方向を有する黄成分光(Ye−S)は、S偏光方向を有する緑成分光(G−S)とともに、液晶パネル35Gに入射することに留意すべきである。
【0074】
PBSキューブ133は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ133は、S偏光方向を有する青成分光(B−S)を反射して液晶パネル35B側に導く。PBSキューブ133は、液晶パネル35Bで反射された青成分光のうち、P偏光方向を有する青成分光(B−P)を透過してクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0075】
位相差板137は、赤成分光の偏光方向を90°回転させる。具体的には、位相差板137は、P偏光方向を有する赤成分光の偏光方向を回転して、S偏光方向を有する赤成分光をクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
【0076】
位相差板138は、青成分光の偏光方向を90°回転させる。具体的には、位相差板138は、P偏光方向を有する青成分光の偏光方向を回転して、S偏光方向を有する青成分光をクロスダイクロイックキューブ50側に導く。
(作用及び効果)
第3実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、反射型液晶パネル(LCOS)を用いる場合であっても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
なお、3色の光を利用する場合であっても、PBSキューブ131〜PBSキューブ133が必要であるため、第3実施形態に係る投写型映像表示装置100において、各液晶パネル35から投写レンズユニット110までの距離(バックフォーカス)は、3色の光を利用する場合と同様であることに留意すべきである。
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第4実施形態との相違点について主として説明する。
【0078】
具体的には、上述した第1実施形態では、透過型液晶パネルを光変調素子として用いるが、第4実施形態では、反射型液晶パネル(LCOS;Liquid Crystal On Silicon)を光変調素子として用いる。
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第4実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図9は、第4実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。なお、図9では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号が付されていることに留意すべきである。
【0079】
また、第1実施形態と同様に、図9では、光源10が発する光を均質化するフライアイレンズ、光源10が発する光の偏光方向を一の偏光方向(例えば、P偏光方向)に揃えるPBS(Polarized Beam Splitter)などが省略されていることに留意すべきである。
【0080】
図9に示すように、照明ユニット120は、光源10と、複数の液晶パネル35(液晶パネル35R、液晶パネル35G及び液晶パネル35B)と、偏光状態調整素子35Yeと、複数のPBSキューブ(PBSキューブ231〜PBSキューブ234)と、複数の狭帯域位相差板(狭帯域位相差板237〜狭帯域位相差板239)とを備える。
【0081】
液晶パネル35Rは、液晶パネル35Rに入射した赤成分光の偏光方向(ここでは、P偏光方向)を回転して、S偏光方向を有する赤成分光を反射する。同様に、液晶パネル35Gは、液晶パネル35Gに入射した緑成分光及び黄成分光の偏光方向(ここでは、P偏光方向)を回転して、S偏光方向を有する緑成分光及び黄成分光を反射する。液晶パネル35Bは、液晶パネル35Bに入射した青成分光の偏光方向(ここでは、S偏光方向)を回転して、P偏光方向を有する青成分光を反射する。
【0082】
偏光状態調整素子35Yeは、黄成分光の偏光状態を調整することによって黄成分光を変調する。一方で、偏光状態調整素子35Yeは、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。
【0083】
なお、偏光状態調整素子35Yeの配置位置は、PBSキューブ231の光出射側に限定されるものではなく、PBSキューブ232の光出射側であってもよい。
【0084】
PBSキューブ231は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ231は、P偏光方向を有する緑成分光(G−P)及び黄成分光(Ye−P)を透過してPBSキューブ232側に導く。PBSキューブ231は、S偏光方向を有する赤成分光(R−S)及び青成分光(B−S)を反射してPBSキューブ233側に導く。
【0085】
PBSキューブ232は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ232は、P偏光方向を有する緑成分光(G−P)を透過して液晶パネル35G側に導く。PBSキューブ232は、液晶パネル35Gで反射された緑成分光のうち、S偏光方向を有する緑成分光(G−S)を反射してPBSキューブ234側に導く。
【0086】
また、PBSキューブ232は、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、S偏光方向を有する黄成分光(Ye−S)を反射する。一方で、PBSキューブ232は、偏光状態調整素子35Yeから出射された黄成分光のうち、P偏光方向を有する黄成分光(Ye−P)を透過して液晶パネル35G側に導く。PBSキューブ232は、液晶パネル35Gで反射された黄成分光のうち、S偏光方向を有する黄成分光(Ye−S)を反射してPBSキューブ234側に導く。
【0087】
PBSキューブ233は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ233は、P偏光方向を有する赤成分光(R−P)を透過して液晶パネル35R側に導く。PBSキューブ233は、液晶パネル35Rで反射された赤成分光のうち、S偏光方向を有する赤成分光(R−S)を反射してPBSキューブ234側に導く。
【0088】
また、PBSキューブ233は、S偏光方向を有する青成分光(B−S)を反射して液晶パネル35B側に導く。PBSキューブ233は、液晶パネル35Bで反射された青成分光のうち、P偏光方向を有する青成分光(B−P)を透過してPBSキューブ234側に導く。
【0089】
PBSキューブ234は、S偏光成分光を反射して、P偏光成分光を透過するPBS膜を有する。具体的には、PBSキューブ234は、P偏光方向を有する赤成分光(R−P)及び青成分光(B−P)を透過して投写レンズユニット110側に導く。PBSキューブ234は、S偏光方向を有する緑成分光(G−S)及び黄成分光(Ye−S)を反射して投写レンズユニット110側に導く。
【0090】
狭帯域位相差板237は、特定の色成分光の偏光方向のみを回転させて、他の色成分光の偏光方向を回転させない。例えば、各色成分光の偏光方向がP偏光方向で揃っている場合を例に挙げると、狭帯域位相差板237は、赤成分光及び青成分光の偏光方向を90°回転させて透過し、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させずに透過する。一方で、各色成分光の偏光方向がS偏光方向で揃っている場合を例に挙げると、狭帯域位相差板237は、赤成分光及び青成分光の偏光方向を回転させずに透過し、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を90°回転させて透過する。
【0091】
狭帯域位相差板238は、特定の色成分光の偏光方向のみを回転させて、他の色成分光の偏光方向を回転させない。ここでは、狭帯域位相差板238は、赤成分光の偏光方向を90°回転させて透過し、青成分光の偏光方向を回転させずに透過する。
【0092】
狭帯域位相差板239は、特定の色成分光の偏光方向のみを回転させて、他の色成分光の偏光方向を回転させない。ここでは、狭帯域位相差板239は、赤成分光の偏光方向を90°回転させて透過し、青成分光の偏光方向を回転させずに透過する。
【0093】
なお、第3実施形態では、PBSキューブ232〜PBSキューブ234は、液晶パネル35R、液晶パネル35G及び液晶パネル35Bから出射された光を合成する色合成部を構成する。
【0094】
また、S偏光を有する光を透過して、P偏光を有する光を遮光する偏光板が、PBSキューブ232の光出射側に設けられていてもよい。P偏光を有する光を透過して、S偏光を有する光を遮光する偏光板が、狭帯域位相差板239の光出射側に設けられていてもよい。
(作用及び効果)
第4実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、反射型液晶パネル(LCOS)を用いる場合であっても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
なお、3色の光を利用する場合であっても、PBSキューブ231〜PBSキューブ234が必要であるため、第4実施形態に係る投写型映像表示装置100において、各液晶パネル35から投写レンズユニット110までの距離(バックフォーカス)は、3色の光を利用する場合と同様であることに留意すべきである。
[第5実施形態]
以下において、第5実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第5実施形態との相違点について主として説明する。
【0096】
具体的には、上述した第1実施形態では、黄成分光の偏光方向を切り替える偏光状態調整素子30Yeは、緑成分光と赤成分光とを分離する素子(ミラー22)の後段に設けられている。
【0097】
これに対して、第5実施形態では、黄成分光の偏光方向を切り替える偏光状態調整素子30Yeは、緑成分光と赤成分光とを分離する素子(ミラー22)の前段に設けられている。
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第5実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図10は、第5実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。図10では、上述した図2と同様の構成について同様の符号が付されていることに留意すべきである。
【0098】
また、第1実施形態と同様に、図10では、光源10が発する光を均質化するフライアイレンズ、光源10が発する光の偏光方向を一の偏光方向(例えば、P偏光方向)に揃えるPBS(Polarized Beam Splitter)などが省略されていることに留意すべきである。
【0099】
なお、図10では、光源10が発する光が各色成分光に分離される前において、光源10が発する光の偏光方向がS偏光に揃えられているケースについて説明する。
【0100】
図10に示すように、照明ユニット120は、光源10と、複数の液晶パネル30(液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30B)と、偏光状態調整素子37Yeと、クロスダイクロイックキューブ50と、複数のミラー群(ミラー321〜ミラー322、ミラー331〜ミラー333)を備える。
【0101】
偏光状態調整素子37Yeは、ミラー321で反射された合成光の光路上において、ミラー321とミラー332との間に設けられている。偏光状態調整素子37Yeは、図11に示すように、ミラー321で反射された合成光のうち、黄成分光の偏光状態のみを調整可能に構成されている。図11において、縦軸は、合成光の偏光状態を調整せずに合成光を透過する割合(透過率)であり、横軸は、合成光の波長である。
【0102】
図11に示すように、偏光状態調整素子37Yeに電圧が印加されていない状態では、偏光状態調整素子37Yeは、合成光の偏光状態を調整せずに合成光を透過する。すなわち、偏光状態調整素子37Yeは、赤成分光、緑成分光及び黄成分光を含む合成光をS偏光で透過する。
【0103】
一方で、偏光状態調整素子37Yeに電圧が印加された状態では、偏光状態調整素子37Yeは、黄成分光の偏光状態のみを調整して合成光を透過する。すなわち、偏光状態調整素子37Yeは、赤成分光及び緑成分光をS偏光で透過し、黄成分光をP偏光で透過する。
【0104】
ミラー321は、赤成分光、緑成分光及び黄成分光を含む合成光を反射して、青成分光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー322は、緑成分光を反射して、赤成分光を透過するダイクロイックミラーである。
【0105】
ここで、ミラー322のカットオフ波長は、図12に示すように、緑成分光の波長帯と赤成分光の波長帯との間に設けられている。また、ミラー322のカットオフ波長は、ミラー322に入射する光の偏光方向に応じて異なる。
【0106】
具体的には、ミラー322に入射する光の偏光方向がP偏光である場合には、ミラー322のカットオフ波長は、緑成分光の波長帯と黄成分光の波長帯との境界近傍の波長である。一方で、ミラー322に入射する光の偏光方向がS偏光である場合には、ミラー322のカットオフ波長は、黄成分光の波長帯と赤成分光の波長帯との境界近傍の波長である。
【0107】
偏光状態調整素子37Yeによって黄成分光の偏光状態が調整されずに、S偏光の黄成分光がミラー322に入射した場合には、黄成分光は、ミラー322で反射されて液晶パネル30G側に導かれる。
【0108】
一方で、偏光状態調整素子37Yeによって黄成分光の偏光状態が調整されて、P偏光の黄成分光がミラー322に入射した場合には、黄成分光は、ミラー322を透過して液晶パネル30R側に導かれる。
【0109】
ここで、液晶パネル30R側に導かれる黄成分光の偏光方向(P偏光)は、液晶パネル30R側に導かれる赤成分光の偏光方向(S偏光)と異なる。従って、液晶パネル30R側に導かれるP偏光の黄成分光は、液晶パネル30Rの入射側に設けられた偏光板31Rによって遮光される。
【0110】
このように、偏光状態調整素子37Yeの配置を変更したとしても、黄成分光のON/OFFを容易に切り替えることが可能である。
【0111】
ミラー331は、ミラー321を透過した青成分光を反射して、青成分光を液晶パネル30B側に導く。ミラー332及びミラー333は、ミラー322を透過した光(主として、赤成分光)を反射して、ミラー322を透過した光(主として、赤成分光)を液晶パネル35R側に導く。
[第6実施形態]
以下において、第6実施形態について図面を参照しながら説明する。第6実施形態では、上述した液晶パネル30の構成について詳述する。
(光変調素子の構成)
以下において、第6実施形態における光変調素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図13は、第6実施形態における液晶パネル30(特に、偏光状態調整素子30Yeなど)の構成を示す図である。なお、図13は、液晶パネル30の光入射面(又は、光出射面)側から液晶パネル30を見た図である。
【0112】
図13に示すように、液晶パネル30は、複数のセグメント431と、複数の透明電極432とを有する。
【0113】
セグメント431は、マトリクス状に配置されており、4つの領域(領域A〜領域D)として捉えることができる。
【0114】
液晶パネル30の上半分に設けられた領域(領域A及び領域B)では、セグメント431の位置が上方向となるに従って、セグメント431の面積が小さくなっている。一方で、液晶パネル30の下半分に設けられた領域(領域C及び領域D)では、セグメント431の位置が下方向となるに従って、セグメント431の面積が小さくなっている。
【0115】
一方で、液晶パネル30の左半分に設けられた領域(領域A及び領域D)では、各セグメント431の左側に透明電極432が設けられている。液晶パネル30の右半分に設けられた領域(領域B及び領域C)では、各セグメント431の右側に透明電極432が設けられている。
【0116】
ここで、セグメント431−1〜セグメント431−4を例に挙げて、各セグメント431の構成についてさらに詳細に説明する。
【0117】
セグメント431−1の上側に設けられたセグメント431−2の面積は、セグメント431−1に接続された透明電極432−1の幅分だけ、セグメント431−1の面積よりも小さい。
【0118】
セグメント431−2の上側に設けられたセグメント431−3の面積は、セグメント431−2に接続された透明電極432−2の幅分だけ、セグメント431−2の面積よりもさらに小さい。すなわち、セグメント431−3の面積は、透明電極432−1及び透明電極432−2の幅分だけ、セグメント431−1の面積よりも小さい。
【0119】
セグメント431−3の上側に設けられたセグメント431−4の面積は、セグメント431−3に接続された透明電極432−3の幅分だけ、セグメント431−3の面積よりもさらに小さい。すなわち、セグメント431−4の面積は、透明電極432−1〜透明電極432−3の幅分だけ、セグメント431−1の面積よりも小さい。
【0120】
透明電極432は、透明な部材によって構成されており、各セグメント431にそれぞれ接続されている。また、透明電極432は、セグメント431の面積の縮小によって空いたスペースに設けられている。
【0121】
液晶パネル30の上半分に設けられた領域(領域A及び領域B)では、透明電極432は、液晶パネル30の上側に設けられたFPC;Flexible Printed Circuit(不図示)に接続されている。液晶パネル30の下半分に設けられた領域(領域C及び領域D)では、透明電極432は、液晶パネル30の下側に設けられたFPC(不図示)に接続されている。
【0122】
なお、第6実施形態では、FPCが液晶パネル30の上下に設けられているケースについて例示したが、これに限定されるものではない。具体的には、FPCが液晶パネル30の左右に設けられてもよい。この場合には、図13に示した構成を90°回転させればよいことは勿論である。
(作用及び効果)
第6実施形態に係る液晶パネル30によれば、液晶パネル30の厚み方向に透明電極432を引き回すことが好ましくないケース、すなわち、光入射面(光出射面)内において透明電極432を引き回すことが好ましいケースにおいて、透明電極432が設けられるスペースを効率的に小さくすることができる。すなわち、液晶パネル30において各セグメント431が占める割合が高くなり、各セグメント431による変調の効果を十分に得ることができる。
【0123】
各セグメント431に接続された電極として透明電極432を用いることによって、電極による光利用効率の低下を抑制することができる。
【0124】
液晶パネル30の上下にFPCが設けられていることによって、透明電極432の長さが短くなるため、透明電極432の電気抵抗を小さくすることができ、透明電極432の幅を狭くすることができる。
[黄成分光の利用]
以下において、黄成分光の利用について図面を参照しながら説明する。図14は、上述した光源10(UHPランプ)が発する光について説明するための図である。ここで、光量は、光源10から発せられる光のエネルギーと比視感度との積によって導出される。
【0125】
図14に示すように、比視感度は、緑成分光に相当する波長帯をピークとして、短波長(青成分光)側及び長波長(赤成分光)側となる程低下する傾向を有する。従って、UHPランプのような光源10から発せられる光のエネルギーが、440nm付近(青成分光)、550nm付近(緑成分光)、580nm付近(黄成分光)に、この順でピークがあったとしても、光源10が発する光量は、緑成分光に相当する波長帯で最も大きい。また、光源10が発する光量は、緑成分光に相当する波長帯に次いで、黄成分光に相当する波長帯で大きい。
【0126】
このように、黄成分光は、光源10から発せられる光のエネルギー及び比視感度の面から、映像の光量に大きく貢献することが分かる。
【0127】
従って、従来利用されていなかった黄成分光を利用するように構成された投写型映像表示装置が提案されている。例えば、黄成分光を遮光するカラーフィルタを用いない投写型映像表示装置(例えば、特開2000−137289号公報)、4板式の投写型映像表示装置(例えば、特開2002−287247号公報)が提案されている。
【0128】
上述した各実施形態では、黄成分光を利用することによって光輝度化を図るとともに、偏光状態調整素子30Yeを用いることによって色再現性の低下を抑制している。また、偏光状態調整素子30Yeから出射された黄成分光が他の液晶パネル30に照射されるため、投写レンズユニット110のバックフォーカスが従来よりも長くならない。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0129】
例えば、上述した実施形態では、黄成分光に重畳される重畳成分光は緑成分光であるが、これに限定されるものではない。黄成分光に重畳される重畳成分光は赤成分光であってもよい。この場合に、赤成分光は、黄成分光とともに偏光状態調整素子30Yeに入射する。但し、黄色は青色の補色であるため、黄成分光に重畳される重畳成分光は青成分光ではないことが好ましいことに留意すべきである。
【0130】
上述した実施形態では、第4色成分光が黄成分光であるが、これに限定されるものではない。第4色成分光は、シアン成分光、マゼンタ成分光などであってもよい。具体的には、シアン成分光に重畳される重畳成分光は緑成分光又は青成分光であることが好ましい。マゼンタ成分光に重畳される重畳成分光は赤成分光又は青成分光であることが好ましい。
【0131】
上述した実施形態では、第4色成分光が単一の色成分光であるが、これに限定されるものではない。第4色成分光は複数の色成分光であってもよい。
【0132】
上述した実施形態では、偏光状態調整素子は解像度を有していない偏光状態調整素子30Yeであることを前提としているが、これに限定されるものではない。具体的には、偏光状態調整素子は解像度を有する第4色用液晶パネルであってもよい。この場合には、第4色用液晶パネルの解像度は、電極などによる透過率の低下を防ぐために、液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bの解像度よりも低いことが好ましい。但し、第4色用液晶パネルの解像度は、液晶パネル30R、液晶パネル30G及び液晶パネル30Bの解像度と同等であってもよいことに留意すべきである。
【符号の説明】
【0133】
10・・・光源、21〜25・・・ミラー、30・・・液晶パネル、30Ye・・・偏光状態調整素子、31、32・・・偏光板、35・・・液晶パネル、35Ye・・・偏光状態調整素子、37Ye・・・偏光状態調整素子、50・・・クロスダイクロイックキューブ、100・・・投写型映像表示装置、110・・・投写レンズユニット、12・・・照明ユニット、130・・・制御部、131〜133・・・PBSキューブ、137、138・・・位相差板、200・・・スクリーン、210・・・信号受付部、220・・・変調量制御部、231〜234・・・PBSキューブ、237〜239・・・狭帯域位相差板、321〜322・・・ミラー、331〜333・・・ミラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成分光を変調する第1光変調素子と、
第2成分光を変調する第2光変調素子と、
第3成分光を変調する第3光変調素子とを備えた照明装置において、
第1光変調素子、第2光変調素子、及び第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、
特定の波長帯域光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子を備え、
前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整して透過し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光以外の第2成分光の偏光状態を調整せずに透過し、
前記偏光状態調整素子を透過した光は、第2光変調素子に向けて出射することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整したときに第2光変調素子の入射側偏光板との組合せで第2光変調素子に入射する波長帯域を制限し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整しないときに第2光変調素子の入射側偏光板との組合せで第2光変調素子に入射する波長帯域を制限しないことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明装置において、
第2成分光は、第1成分光及び第3成分光との比較において光量の大きい領域が広範囲な波長帯域光であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の照明装置において、
第2成分光は、緑成分光及び黄成分光を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項5】
第1成分光を変調する第1光変調素子と、
第2成分光を変調する第2光変調素子と、
第3成分光を変調する第3光変調素子とを備えた投写型映像表示装置において、
第1光変調素子、第2光変調素子、及び第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、
前記色合成部によって合成された光を投写する投写手段と、
特定の波長帯域光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子を備え、
前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整して透過し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光以外の第2成分光の偏光状態を調整せずに透過し、
前記偏光状態調整素子を透過した光は、第2光変調素子に向けて出射することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項1】
第1成分光を変調する第1光変調素子と、
第2成分光を変調する第2光変調素子と、
第3成分光を変調する第3光変調素子とを備えた照明装置において、
第1光変調素子、第2光変調素子、及び第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、
特定の波長帯域光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子を備え、
前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整して透過し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光以外の第2成分光の偏光状態を調整せずに透過し、
前記偏光状態調整素子を透過した光は、第2光変調素子に向けて出射することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整したときに第2光変調素子の入射側偏光板との組合せで第2光変調素子に入射する波長帯域を制限し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整しないときに第2光変調素子の入射側偏光板との組合せで第2光変調素子に入射する波長帯域を制限しないことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明装置において、
第2成分光は、第1成分光及び第3成分光との比較において光量の大きい領域が広範囲な波長帯域光であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の照明装置において、
第2成分光は、緑成分光及び黄成分光を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項5】
第1成分光を変調する第1光変調素子と、
第2成分光を変調する第2光変調素子と、
第3成分光を変調する第3光変調素子とを備えた投写型映像表示装置において、
第1光変調素子、第2光変調素子、及び第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、
前記色合成部によって合成された光を投写する投写手段と、
特定の波長帯域光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子を備え、
前記偏光状態調整素子は、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光の偏光状態を調整して透過し、第2成分光のうち前記特定の波長帯域光以外の第2成分光の偏光状態を調整せずに透過し、
前記偏光状態調整素子を透過した光は、第2光変調素子に向けて出射することを特徴とする投写型映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−3274(P2012−3274A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165362(P2011−165362)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【分割の表示】特願2009−70655(P2009−70655)の分割
【原出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【分割の表示】特願2009−70655(P2009−70655)の分割
【原出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]