説明

照明装置

【課題】製造及び施工のコストを削減できる照明装置を提供する。
【解決手段】地面に設置される支持台2と、支持台2に取り付けられる太陽電池3と、太陽電池3で発電された電力を蓄える二次電池9と、二次電池9から供給される電力により夜間点灯する照明部4と、転動面上を転動する球体を有して支持台2の振動を検知する感震器7と、感震器7の傾きを調整する調整手段10〜13とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を有して屋外に配される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明装置は特許文献1に開示されている。この照明装置は地面に設置される柱状の支持台を有し、支持台の上端に太陽電池が取り付けられる。支持台の内部には太陽電池で発電された電力を蓄える二次電池が設置され、二次電池から供給される電力により点灯する照明部が支持台の上部に設けられる。
【0003】
昼間に太陽電池で発電された電力は二次電池に蓄えられ、夜間に二次電池から照明部に電力が供給される。これにより、照明部が夜間点灯して屋外を照明する。
【0004】
また、支持台には支持台の振動を検知する感震器が設けられる。感震器は例えば筒状や碗状の転動面上を転動する鋼球を有する。感震器に所定の振動が加わると鋼球が転動して接点と接触あるいは離間する。これにより、オンオフ信号を出力して地震を検知することができる。
【0005】
照明装置は二次電池の電圧が所定値よりも低くなると照明部への供給電力を停止させる。これにより、二次電池の過放電が防止される。しかし、感震器によって地震を検知した場合に、二次電池の電圧に拘わらず通常の電力を照明部に供給する。これにより、震災発生時の避難を安全に行うことができるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−12017号公報(第2頁−第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の照明装置によると、感震器は鋼球が転動面の所定位置に配置されていないと振動を誤検知する。このため、感震器を所定の配置(例えば、碗状の転動面の軸方向が鉛直)に対して例えば±0.5゜以内の傾きで配置する必要がある。
【0008】
しかしながら、照明装置は組立て時に例えば支持台の底面に平行な取付面に感震器が取付けられ、施工時に支持台の底面が例えば水平な地面に取付けられる。このため、支持台の底面や感震器が取付けられる面を高精度に加工する必要がある。また、照明装置が設置される地面を水平等に高精度に形成する必要がある。従って、照明装置の製造及び施工のコストがかかる問題があった。
【0009】
本発明は、製造及び施工のコストを削減できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、地面に設置される支持台と、前記支持台に取り付けられる太陽電池と、前記太陽電池で発電された電力を蓄える二次電池と、前記二次電池から供給される電力により夜間点灯する照明部と、振動により転動する球体を有して前記支持台の振動を検知する感震器と、前記感震器の傾きを調整する調整手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
この構成によると、感震器を取り付けた支持台が地面に設置された後、調整手段によって感震器が所定の傾きに調整される。昼間に太陽電池で発電した電力は二次電池に蓄えられ、二次電池から供給される電力によって夜間に照明部が点灯される。また、感震器は振動が加わると鋼球等の球体がレール上や曲面上を転動して所定量の振動を検知する。これにより、地震発生を検知して、例えば夜間に照明部が消灯されるような条件下でも照明部が点灯される。
【0012】
また本発明は、上記構成の照明装置において、前記感震器の傾きを検知する水平器を設けたことを特徴としている。この構成によると、水平器を確認しながら感震器の傾きが調整手段によって調整される。
【0013】
また本発明は、上記構成の照明装置において、前記支持台に設けられる第1取付板と、前記感震器が取り付けられる第2取付板とを備え、前記調整手段は第1取付板に隙間を有して第2取付板を固定するとともに該隙間を可変するネジを有することを特徴としている。
【0014】
この構成によると、支持台に第1取付板が設けられ、感震器を取り付けた第2取付板が第1取付板に対して隙間を有してネジにより取り付けられる。ネジの締付け量によって第1、第2取付板の隙間が可変され、感震器の傾きが調整される。
【0015】
また本発明は、上記構成の照明装置において、前記支持台に設けられる第1取付板と、前記感震器が取り付けられる第2取付板とを備え、前記調整手段は第1取付板に隙間を有して第2取付板を固定するとともに該隙間を可変するネジを有し、前記感震器と前記水平器とを第2取付板の同一面に取り付けたことを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の照明装置において、所定条件で前記照明部の供給電力を停止するとともに、前記感震器により所定の大きさの振動を検知した際に前記所定条件を満たしても前記照明部に電力を供給することを特徴としている。
【0017】
この構成によると、例えば、二次電池の電圧が所定値よりも低くなると過放電を防止するために夜間であっても照明部が消灯される。感震器により地震を検知すると二次電池の電圧が該所定値よりも低くても照明部が点灯される。
【0018】
また本発明は、上記構成の照明装置において、所定条件で前記照明部の供給電力を通常よりも低下させるとともに、前記感震器により所定の大きさの振動を検知した際に前記所定条件を満たしても前記照明部に通常の電力を供給することを特徴としている。
【0019】
この構成によると、例えば、二次電池の電圧が所定値よりも低くなると電力消費を抑制するために照明部に通常よりも低い電力が供給され、通常よりも照明が暗くなる。感震器により地震を検知すると二次電池の電圧が該所定値よりも低くても通常の電力が照明部に供給されて明るく点灯される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、感震器を備えた支持台が地面に設置される照明装置において感震器の傾きを調整する調整手段を設けたので、支持台の地面に設置される面や感震器の取付け用部材が取り付けられる面を高精度に加工する必要がない。また、照明装置が設置される地面を高精度に形成する必要がない。従って、照明装置の製造及び施工のコストを削減することができる。
【0021】
また本発明によると、感震器の傾きを検知する水平器を設けたので、感震器の傾きを容易に調整することができる。
【0022】
また本発明によると、調整手段は支持台に設けられる第1取付板と感震器が取り付けられる第2取付板との隙間を可変するネジを有するので、感震器の傾きを調整する調整手段を容易に実現することができる。
【0023】
また本発明によると、感震器と水平器とを第2取付板の同一面に取り付けたので、水平器と感震器との傾きの差を容易に防止して正確に感震器を配置できる。
【0024】
また本発明によると、感震器により所定の大きさの振動を検知した際に照明部を停止する条件を満たしても照明部に電力を供給するので、地震発生時の避難を安全に行うことができる。
【0025】
また本発明によると、感震器により所定の大きさの振動を検知した際に照明部の電力を下げる条件を満たしても照明部に通常の電力を供給するので、地震発生時の避難を安全に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、図2は一実施形態の照明装置を前方及び後方から見た斜視図をそれぞれ示している。照明装置1は柱状の支持台2を有し、底面2aを地面に設置して立設される。支持台2の上端には太陽電池3が取り付けられる。太陽電池3の下方には支持台2の上部に取り付けられるとともにLED等の発光素子(不図示)を有した照明部4が配される。
【0027】
支持台2の内部は空洞になっており、太陽電池3で発電された電力を蓄える二次電池9が設置される。二次電池9から供給される電力によって照明部4が点灯する。また、支持台2の内部には感震器7(図3参照)を設置する第1取付板5が取り付けられる。
【0028】
図3、図4、図5は感震器7を備えた第1取付板5の斜視図、正面図及び側面図を示している。第1取付板5は金属板を折曲して形成され、背面部5a及び両側面部5bにより三方を支持台2にネジ止めされる。第1取付板5上には第2取付板6が取り付けられる。第2取付板2には感震器7及び水平器8が取り付けられている。
【0029】
感震器7は例えば筒状や碗状の曲面から成る転動面上やレール上を転動する鋼球等の球体(不図示)を有する。感震器7に所定の振動が加わると球体が転動して接点と接触あるいは離間する。これにより、オンオフ信号を出力して地震を検知することができる。振動によって球体が転動して信号を出力すればどのような構成の感震器であってもよい。水平器8は第2取付板6の水平度を測定する。これにより、第2取付板6に取付けられた感震器7の傾斜量を検知することができる。
【0030】
第1、第2取付板5、6には対応する位置にそれぞれ4箇所の貫通孔(不図示)が形成され、各貫通孔にはボルト10が挿通される。ボルト10は第1取付板5を挟んでナット11が螺合され、ナット11の締め付けによって第1取付板5に固定される。また、ボルト10にはナット12、13が第2取付板6を挟んで螺合される。ナット12、13の締付けにより、第2取付板6は隙間を有して第1取付板5に取り付けられる。
【0031】
第1、第2取付板5、6の隙間はナット12、13の締付け位置によって変えることができる。このため、4箇所のボルト10で固定される第2取付板6は傾斜を可変できる。従って、ボルト10及びナット11、12、13から成る複数のネジによって感震器7の傾きを調整する調整手段が構成される。第2取付板6を3箇所のボルト等で支持してもよい。
【0032】
調整手段により、例えば感震器7の取付け面(底面)が水平に対して±0.5゜以下になるように感震器7の傾きが調整される。これにより、例えば碗状の転動面の軸方向が鉛直に配置される。この時、水平器8を視認することにより、感震器7の傾きを容易に調整することができる。
【0033】
また、感震器7及び水平器8は第2取付板6の同一面に取付けられる。第2取付板6の感震器7及び水平器8を取付ける面は面積が小さいため容易に高い平面度に形成することができる。このため、感震器7と水平器8との間に傾きの差が発生することを容易に防止できる。
【0034】
尚、第1取付板5に雌ネジを形成してナット11を省いてもよい。第2取付板6に雌ネジを形成してナット12またはナット13を省いてもよい。更に、第1、第2取付板5、6の一方に挿通して他方に螺合するボルトと、一方に螺合して他方を押圧するボルトにより第2取付板6の傾斜を可変してもよい。即ち、ボルトやナットを含むネジにより第2取付板6を容易に傾斜させることができる。
【0035】
上記構成の照明装置1において、昼間に太陽電池3で発電された電力は二次電池9に蓄えられ、夜間に二次電池9から照明部4に電力が供給される。これにより、照明部4が夜間点灯して屋外を照明する。
【0036】
また、感震器7に所定の振動が加わると球体が転動して接点と接触あるいは離間する。これにより、オンオフ信号を出力して地震を検知することができる。
【0037】
照明装置1は二次電池9の電圧が所定値よりも低くなると照明部4への供給電力を停止させる。これにより、二次電池9の過放電を防止することができる。しかし、感震器7によって地震を検知した場合に、二次電池9の電圧に拘わらず通常の電力を照明部4に供給する。これにより、震災発生時の避難を安全に行うことができる。
【0038】
また、二次電池9の電圧が所定値よりも低くなると照明部4への供給電力を通常よりも低下して照明部4を点灯してもよい。これにより、省電力化を図って夜間の消灯を回避することができる。このときも上記と同様に、感震器7によって地震を検知した場合に、二次電池9の電圧に拘わらず通常の電力を照明部4に供給するとよい。これにより、照明部4を明るく点灯して避難を安全に行うことができる。
【0039】
上記に限らず、他の所定条件で二次電池9の供給電圧を停止または低下してもよい。例えば、二次電池9の供給電圧を通常の夜間(例えば、19時〜24時)よりも夕暮れ時(19時迄)や深夜(24時以降)に低下させてもよい。この時、該所定条件下であっても感震器7によって地震を検知すると通常の電力を照明部4に供給することで避難を安全に行うことができる。
【0040】
本実施形態によると、感震器7を備えた支持台2が地面に設置される照明装置1において感震器7の傾きを調整する調整手段を設けたので、支持台2の底面2aや感震器7を支持台2に取り付ける第1取付板5等の取付部材を高精度に加工する必要がない。また、照明装置1が設置される地面を水平等に高精度に形成する必要がない。従って、照明装置1の製造及び施工のコストを削減することができる。
【0041】
また、感震器7の傾きを検知する水平器8を設けたので、感震器7の傾きを容易に調整することができる。また、感震器7と水平器8とを第2取付板6の同一面に取り付けたので、水平器8と感震器7との傾きの差を容易に防止して正確に感震器7を所定の傾きに配置できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によると、太陽電池を有して屋外に配される照明装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態の照明装置を前方から見た斜視図
【図2】本発明の実施形態の照明装置を後方から見た斜視図
【図3】本発明の実施形態の照明装置の第1取付板を示す斜視図
【図4】本発明の実施形態の照明装置の第1取付板を示す正面図
【図5】本発明の実施形態の照明装置の第1取付板を示す側面図
【符号の説明】
【0044】
1 照明装置
2 支持台
3 太陽電池
4 照明部
5 第1取付板
6 第2取付板
7 感震器
8 水平器
9 二次電池
10 ボルト
11、12、13 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設置される支持台と、前記支持台に取り付けられる太陽電池と、前記太陽電池で発電された電力を蓄える二次電池と、前記二次電池から供給される電力により夜間点灯する照明部と、振動により転動する球体を有して前記支持台の振動を検知する感震器と、前記感震器の傾きを調整する調整手段とを備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記感震器の傾きを検知する水平器を設けたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記支持台に設けられる第1取付板と、前記感震器が取り付けられる第2取付板とを備え、前記調整手段は第1取付板に隙間を有して第2取付板を固定するとともに該隙間を可変するネジを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記支持台に設けられる第1取付板と、前記感震器が取り付けられる第2取付板とを備え、前記調整手段は第1取付板に隙間を有して第2取付板を固定するとともに該隙間を可変するネジを有し、前記感震器と前記水平器とを第2取付板の同一面に取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
所定条件で前記照明部の供給電力を停止するとともに、前記感震器により所定の大きさの振動を検知した際に前記所定条件を満たしても前記照明部に電力を供給することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
所定条件で前記照明部の供給電力を通常よりも低下させるとともに、前記感震器により所定の大きさの振動を検知した際に前記所定条件を満たしても前記照明部に通常の電力を供給することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−99369(P2009−99369A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269660(P2007−269660)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】