説明

熱交換ダクト

【課題】熱交換ダクトにおいて、熱交換性や透湿性を十分に確保しつつ、内管を形成する膜状部材の形状を筒形状に維持し、内管を外管内の所定位置に保持できるようにする。
【解決手段】可撓性の外管1の内部に少なくとも1本の可撓性の内管2を配置し、外管1と内管2の間に形成される通気路3と、内管2の内部の通気路4との間で熱交換を行なう熱交換ダクトにおいて、前記内管2は、熱交換性を有する膜状部材22を、環状で長手方向に間隔のあいた保持部材21により筒形状に保持し、外管1の通気路3内に設けたスペーサ31によって支持する。膜状部材22として、親水性素材及び疎水性素材並びにセルロース膜から構成したガスバリア性及び透湿性を有するものを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換機能を備えた多重管構造の通気ダクトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅、オフィス及び工場等の換気は、一般に換気扇により行なわれているが、一部では冷暖房機のほか加湿器や除湿機で空調された空気のエネルギーを回収するために、静止型や回転型の熱交換器を組み込んだ換気装置が利用されている。
【0003】
このような熱交換器付きの換気装置は、高価なものであり、また、大きな設置スペースを要する等の制約により、普及が妨げられており、エネルギーの有効利用があまり図られていないという事情がある。
【0004】
一方で、空調用のダクトは、ほとんどの建物や施設に設けられていることから、これに熱交換機能を付与することができれば、熱交換器付きの換気装置を導入することなく、また、ダクト設置工事以外の工事を行なうことなく、容易にエネルギーを有効利用することができるものと考えられる。
【0005】
このような熱交換機能を備えた多重管構造のダクトとして、下記特許文献に示されたようなものが知られている。
【0006】
このうち、特許文献1及び2には、外管内に蛇腹状の内管を配置したものが記載され、特許文献3には、外管及び内管にスパイラル管を使用したものが記載されているが、これらはいずれも内管に透湿性のない顕熱交換型のものとなっている。
【0007】
また、特許文献4には、内管に透湿性を有する材料を用いて全熱交換型とする旨の記載はあるが、具体的にどのような構成のものかは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2635269号公報
【特許文献2】特開平6−235535号公報
【特許文献3】特許第3624398号公報
【特許文献4】特許第2907359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のような多重管構造のダクトにおいて、内管に透湿性を付与するため、材料として膜状部材を使用する場合、どのようにして膜状部材の形状を筒形状に維持し、外管内の所定位置に保持するかが問題となる。
【0010】
そこで、この発明は、熱交換性や透湿性を十分に確保しつつ、内管を形成する膜状部材の形状を維持し、内管を外管内の所定位置に保持できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明は、可撓性の外管の内部に少なくとも1本の可撓性の内管を配置し、外管と内管の間に形成される通気路と、内管の内部の通気路との間で熱交換を行なう熱交換ダクトにおいて、前記内管は、熱交換性を有する膜状部材を、環状で長手方向に間隔のあいた保持部材により筒形状に保持したものとしたのである。
【0012】
また、前記膜状部材として、ガスバリア性及び透湿性を有するものを使用し、親水性素材及び(又は)疎水性素材並びにセルロース膜から膜状部材を構成したのである。
【0013】
また、前記内管を、外管の通気路内に設けたスペーサによって支持したのである。
【0014】
そして、このスペーサは、内管の周方向に間隔をあけて配置し、内管と外管との相対移動に伴い、スペーサが転倒しないようにしたのである。
【0015】
また、スペーサを球状とし、その中心付近を貫通する線材を内管の外周に巻回することにより、スペーサを内管の外周に沿って線材を中心に回転可能に配置したのである。
【発明の効果】
【0016】
このような熱交換ダクトでは、内管を形成する膜状部材が保持部材で筒形状に確実に保持されて、配管の自由度確保のための可撓性を損なうことなく、優れた強度が得られると共に、膜状部材の熱交換面積が十分に確保され、高い熱交換率を得ることができる。
【0017】
また、膜状部材として、ガスバリア性及び透湿性を有するものを使用することにより、顕熱及び潜熱を交換可能な全熱交換型とすることができる。
【0018】
また、親水性素材及び(又は)疎水性素材、並びにセルロース膜から膜状部材を構成すると、優れた透湿性を得つつ、強度を向上させることができる。
【0019】
さらに、内管を外管内にスペーサで支持し、このスペーサを、内管と外管とを相対移動させても転倒せず、内管の外周に沿って回転するように配置すると、多重管構造とする製造作業が容易となるほか、施工も容易に行うことができる。
【0020】
そのほか、この熱交換ダクトと熱交換器とを接続することにより、熱交換率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係る熱交換ダクトの一管型の実施形態を示す概略縦断面図
【図2】同上の一部切欠縦断面図
【図3】同上の横断面図
【図4】同上の外管の一部拡大縦断面図
【図5】同上の内管の一部拡大縦断面図
【図6】(a)二管型の概略縦断面図、(b)三管通常型の概略縦断面図、(c)三管中心スペーサ型の概略縦断面図
【図7】熱交換ダクトに熱交換器を接続した実施形態を示す概略縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に示すように、この発明に係る熱交換ダクトDは、外管1の内部に1本の内管2を配置し、外管1と内管2の間に形成される通気路3と、内管2の内部の通気路4との間で全熱交換を行なうものである。
【0024】
熱交換ダクトDの両端部には、アダプタ41,42が取り付けられている。一端部のアダプタ41には、還気口43及び給気口44が設けられ、他端部のアダプタ42には、排気口45及び吸気口46が設けられている。
【0025】
図2及び図3に示すように、外管1は、長手方向に間隔をあけて螺旋状に巻いた線状の亜鉛メッキ鋼板から成る保持部材11と、これにより保持されるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの防湿用内装材12と、グラスウール製の断熱材13と、その外周を被覆するポリエチレン系樹脂フィルムの外装材14とから構成される。
【0026】
外管1の詳細な構造は、図4に示すように、保持部材11のピッチごとに、螺旋状に巻いた帯状の内装材12の隣接する側部同士をナイロン糸15と共に抱き込むように保持部材11で挟持して、内装材12を円筒状に形成し、保持部材11で支持するように、内装材12の外側に断熱材13及び外装材14を順次巻き付けたものとされている。
【0027】
内管2は、図2及び図3に示すように、長手方向に間隔をあけて螺旋状に巻いた線状の亜鉛メッキ鋼板から成る保持部材21と、これにより保持される熱交換性を有する膜状部材22とから構成される。
【0028】
内管2の詳細な構造は、図5に示すように、保持部材21のピッチごとに、螺旋状に巻いた帯状の膜状部材22の隣接する側部同士をナイロン糸23と共に抱き込むように保持部材21で挟持して、膜状部材22を円筒状に形成したものとされている。
【0029】
なお、外管1及び内管2において、保持部材11,21として、螺旋状に巻いたものに代えて、複数の閉環状のものを長手方向に間隔をあけて配置し、これにより内装材12又は膜状部材22を支持するようにしてもよい。
【0030】
そして、内管2は、外管1の通気路3内に設けたスペーサ31によって、外管1と軸線を一致させて支持されている。
【0031】
スペーサ31は、球状の発泡スチロールから成り、その中心を貫通する金属製の線材32を内管2の外周に巻回することにより、内管2の外周に3個間隔をあけて配置され、内管2の外周に沿って線材32を中心に回転可能となっている。
【0032】
上記のような熱交換ダクトDでは、内管2を形成する膜状部材22が保持部材21で筒形状に確実に保持されて、配管の自由度確保のための可撓性を損なうことなく、優れた強度が得られると共に、膜状部材22の熱交換面積が十分に確保され、高い全熱交換率を得ることができる。
【0033】
ここで、内管2の膜状部材22として、紙又は不織布にセルロース膜を形成した透湿膜を使用すると、ガスバリア性と高い透湿性を持ちながら、製造、施工及び使用に際し、十分な強度を得ることができる。そして、これにより、破裂強度が150kpa以上で、引裂強度が0.4N以上とするのが好ましく、破裂強度が250kpa以上で、引裂強度が1.5N以上とするのがより好ましい。
【0034】
セルロース膜の製造方法としては、ビスコース法以外には銅アンモニア溶液溶解法又はN−メチルモルホリンN−オキシド溶液溶解法、又はアルカリ−尿素系溶液溶解法が挙げられるが、コストや設備面を考慮すると、ビスコース法が好適である。なお、セルロース以外にもPVA(ポリビニルアルコール)、澱粉をコーティングすることにより透湿性を付与することが出来るが、湿潤時の強度が不十分となる場合があり、また特に高含水率時には一部溶解して透気度低下をきたす可能性がある。
【0035】
また、親水性素材及び(又は)疎水性素材並びにセルロース膜から膜状部材22を構成すると、優れた透湿性を得つつ、強度を向上させることができる。
【0036】
この場合、例えば、親水性の紙又は不織布と疎水性不織布とをセルロース膜をバインダーとして貼り合わせた構成とするとよい。
【0037】
親水性素材とは、パルプや親水性の合成繊維からなる紙や不織布、織布などの多孔質シートをいう。これらの中でも、紙や不織布を用いると加工が容易で、コスト的にも有利であるのでより好ましい。また、この多孔質シートは、セルロースからなる木材パルプ、レーヨン、綿、麻等や羊毛等、セルロース誘導体であるセルロースアセテート等、又はポリビニルアルコールからなるビニロンやポリビニルアルコール系繊維、無機材料からなるガラス繊維などの親水性繊維からなり、パルプ繊維−マニラ麻、パルプ繊維−ポリビニルアルコール繊維等のように混抄紙でもよい。
【0038】
疎水性素材とは、疎水性の合成繊維からなる紙や不織布、織布などの多孔質シートをいう。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン繊維、ポリエステル、ナイロンなどの疎水性繊維から成り、それら二成分以上の混抄紙や、ポリエステルの芯繊維に、ポリエチレンが被覆して二重構造になっているものでもよい。
【0039】
また、親水性素材と疎水性素材の複合紙を使用する場合には、親水性繊維を30重量%以上有していることが、セルロース膜の加工性および透湿度の理由から好ましい。
【0040】
各素材は、セルロース膜形成時の加工性、および、得られた透湿膜の透気度、強度に悪影響を与えない限りは、コスト及び素材自身の透湿性が高い方が好ましく坪量は低い方が好ましい。ダクトの形状および加工方法により求められる強度も異なるが、一般的には単層の場合、10−100g/mが好ましく、20−80g/mがより好ましい。親水性素材と疎水性素材と貼り合せる場合には、親水性素材は8−65g/mが好ましく、10−35g/mがより好ましく、疎水性素材は、60g/m以下が好ましく、40g/m以下がより好ましい。
【0041】
さらに、膜状部材22には、吸湿性を付与するため、吸湿剤を含有させる場合がある。この吸湿剤は、特に限定されるものではなく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等の無機酸塩やスルファミン酸アンモニウム等の有機酸塩、グリセリン等の多価アルコール、潮解性のないシリカゲル、珪藻土、ケイ酸カルシウム等を挙げることが出来る。その他、必要に応じて難燃処理を施す場合がある。難燃剤としては、例えば、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン等のグアニジン系難燃剤やスルファミン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、カルバミン燐酸塩等のアンモニウム系難燃剤を挙げることが出来る。
【0042】
また、上記熱交換ダクトDでは、スペーサ31を回転可能としたことにより、製造時における内管2の外周へのスペーサ31の配置作業や、外管1への内管2の挿入作業が容易になるほか、現場での施工時においても、外管1と内管2とを相対的に移動させて、配管作業を容易に行うことができる。
【0043】
なお、スペーサ31は、必ずしも球状である必要はなく、スペーサ31の寸法を、内管2の長手方向の大きさが径方向の大きさ以上となるように設定しておけば、内管2と外管1とを相対移動させても、スペーサ31が転倒することはない。
【0044】
また、図6(a)に示すように、外管1の内部に、2本の内管2を両端の二管分岐管47により分岐させて設け、これらの内管2を、配列により生じる外管1との間隔の大小に応じて、大小のスペーサ31で支持するようにしてもよい。
【0045】
また、図6(b)に示すように、外管1の内部に、3本の内管2を両端の三管分岐管48により分岐させて設け、これらの内管2を、外管1の内周に接するように周方向に3個配置されたスペーサ31で支持するようにしてもよい。
【0046】
また、図6(c)に示すように、外管1の内部に、3本の内管2を両端の三管分岐管48により分岐させて、中間部で外管1の中心側に間隔があくように設け、これらの内管2を、外管1の中心部に配置されたスペーサ31により支持するようにしてもよい。
【0047】
上記各実施形態に係る熱交換ダクトの試験結果によると、内管2が1本の一管型の場合の全熱交換率は35%前後であり、内管2が2本の二管型の場合、全熱交換率は48〜49%に向上し、内管2が三本の三管型の場合、全熱交換率は50〜53%に向上する。
【0048】
ところで、上記各実施形態では、内管2の膜状部材22として、透湿性を有するものを用いることにより、全熱交換型としているが、浴室やトイレ等、湿度が高い室内や臭気が気になる室内の換気に使用する場合には、膜状部材22として、透湿性のないものを使用し、顕熱交換型としてもよい。
【0049】
また、外管1の内部に一層の内管2を設けた二重管構造としているが、内管2の内部にさらに内管を設ける三層以上の多重管構造としてもよい。
【0050】
さらに、図7に示すように、上記のような熱交換ダクトDを、別に用意した熱交換器Eに接続し、熱交換率が向上するようにしてもよい。この場合、熱交換器Eには、一般の静止型や回転型の全熱交換器を用いるとよい。
【0051】
そして、外管1と内管2の間に形成される通気路3と、内管2の内部の通気路4とを、それぞれ熱交換器Eの熱交換を行なう通気路に連通させるように、配管して接続を行う。
【0052】
なお、上記各実施形態では、熱交換ダクトDとして、離れた両端間で空気を移送する形態のものを例示したが、この発明の対象は、所定の設置場所で熱交換をしつつ換気を行う熱交換器自体に使用されるものを含むものとする。
【実施例1】
【0053】
以下、内管に使用する種々の膜状部材(シート)の作製例及び試験結果を挙げて、その性質及び熱交換ダクトへの適性を説明する。
【0054】
[透気度試験方法]
紙パルプ技術協会規格JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法「紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法」に従い、それぞれのシートの透気度を、旭精工株式会社製:王研式透気度試験機KG−55を用いて測定した。
【0055】
[破裂強度試験方法]
JIS P 8112(紙−破裂強さ試験方法)に準拠して測定した。
【0056】
[引裂き強度試験方法]
JIS K 7128−1(プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第1部:トラウザー引裂法)に準拠して測定した。
【0057】
[熱交換ダクト用シートの作製]
次に、それぞれの熱交換ダクト用シートの作製方法について説明する。
【0058】
(作製例1)
親水性繊維として木材パルプを100%含有する片面をカレンダー処理された片艶クラフト紙(城山製紙株式会社製:坪量65g/m、厚さ91.3μm)に、セルロース濃度が2.5重量%のビスコースをロールコーターにより塗布し、濃度11%の硫酸水溶液浴に連続的に浸漬させてセルロースを再生させ、その後、水洗工程を経て、各々0.6重量%の水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムとの混合水溶液浴により脱硫処理を行い、0.6重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液浴により漂白処理を行なって、十分水洗後乾燥することで、親水性高分子加工シートを得た。
【0059】
(作製例2)
作製例1で得た親水性高分子加工シートを、塩化リチウム(本荘ケミカル株式会社製)の15%水溶液に浸漬し、マングルで絞った後、乾燥することで、吸湿剤含有量10.0重量%の吸湿処理した親水性高分子加工シートを得た。
【0060】
(作製例3)
疎水性繊維として、ポリエチレンテレフタレートを芯とし、ポリエチレンで芯の周囲を覆った複合繊維から成る不織布(ユニチカ株式会社製:坪量30g/m、厚さ104.5μm)と手抄機にて試作した親水性繊維のパルプ−麻混合不織布(坪量18g/m、厚さ51μm)とをセルロース濃度が9.3重量%のビスコースでラミネートした以外、作製例1と同様にして親水性高分子加工シートを得た。
【0061】
(作製例4)
作製例3で得た親水性高分子加工シートを、塩化リチウム(本荘ケミカル株式会社製)の15%水溶液に浸漬し、マングルで絞った後、乾燥することで、吸湿剤含有量11.8重量%の吸湿処理した親水性高分子加工シートを得た。
【0062】
(作製例5)
疎水性繊維として、ポリエチレンテレフタレートを芯とし、ポリエチレンで芯の周囲を覆った複合繊維から成る不織布(ユニチカ株式会社製:坪量30g/m、厚さ104.5μm)にセルロース濃度が8.4重量%のビスコースをロールコーターにより塗布した以外、作製例1と同様にして親水性高分子加工シートを得た。
【0063】
(作製例6)
作製例5で得た親水性高分子加工シートを、塩化リチウム(本荘ケミカル株式会社製)の15%水溶液に浸漬し、マングルで絞った後、乾燥することで、吸湿剤含有量10.0重量%の吸湿処理した親水性高分子加工シートを得た。
【0064】
(作製例7)
手抄機にて試作した親水性繊維のパルプ−麻混合不織布(坪量23g/m、厚さ51μm)に、セルロース濃度が7.7重量%のビスコースをロールコーターにより塗布した以外、作製例1と同様にして親水性高分子加工シートを得た。
【0065】
(作製例8)
作製例7で得た親水性高分子加工シートを、塩化リチウム(本荘ケミカル株式会社製)の15%水溶液に浸漬し、マングルで絞った後、乾燥することで、吸湿剤含有量10.0重量%の吸湿処理した親水性高分子加工シートを得た。
【0066】
(作製例9)
親水性繊維として木材パルプを100%含有する片面をカレンダー処理された片艶クラフト紙(城山製紙株式会社製:坪量35g/m、厚さ53μm)に、セルロース濃度が2.5重量%のビスコースをロールコーターにより塗布した以外、作製例1と同様にして親水性高分子加工シートを得た。
【0067】
(作製例10)
作製例9で得た親水性高分子加工シートを、塩化リチウム(本荘ケミカル株式会社製)の15%水溶液に浸漬し、マングルで絞った後、乾燥することで、吸湿剤含有量10.0重量%の吸湿処理した親水性高分子加工シートを得た。
【0068】
(作製例11)
ポリエステル繊維とパルプとから成る混抄紙(坪量30g/m、厚さ70.0μm)に、セルロース濃度が5.8重量%のビスコースをロールコーターにより塗布した以外、作製例1と同様にして親水性高分子加工シートを得た。
【0069】
(作製例12)
作製例3で得た親水性高分子加工シートを、グリセリン(ミヨシ油脂株式会社製)の20%水溶液に浸漬し、マングルで絞った後、乾燥することで、吸湿剤含有量4.0重量%の吸湿処理した親水性高分子加工シートを得た。
【0070】
(作製例13)
疎水性繊維としてポリエチレンテレフタレートを芯とし、ポリエチレンで芯の周囲を覆った複合繊維から成る不織布(ユニチカ株式会社製:坪量15g/m、厚さ63.8μm)と、手抄機にて試作した親水性繊維のパルプ−麻混合不織布(坪量18g/m、厚さ51μm)とをセルロース濃度が9.6重量%のビスコースでラミネートした以外、作製例1と同様に行った親水性高分子加工シートを、塩化リチウム(本荘ケミカル株式会社製)の15%水溶液に浸漬し、マングルで絞った後、乾燥することで、吸湿剤含有量10.0重量%の吸湿処理した親水性高分子加工シートを得た。
【0071】
(作製例14)
作製例1において、ビスコースの代わりに、セルロース濃度が15重量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製:PVA−117完全懸化)をロールコーターにより塗布し、乾燥することで、親水性高分子加工シートを得た。
【0072】
(作製例15)
ポリビニルアルコール水溶液に塩化リチウム(本荘ケミカル株式会社製)を15重量%となるように添加した以外は、作製例14と同様に加工した。
【0073】
(作製例16)
作製例1において、ビスコースの代わりに、セルロース濃度が7.0重量%の銅アンモニア溶液をロールコーターにより塗布し、濃度11%の硫酸水溶液浴に連続的に浸漬させてセルロースを再生させ、その後、十分水洗後乾燥することで、親水性高分子加工シートを得た。
【0074】
上記のような各作製例について、引裂き強度、破裂強度、透気度及び透湿度を測定し、成形適性を評価した試験結果を、表1に示す。
【表1】

【符号の説明】
【0075】
D 熱交換ダクト
1 外管
2 内管
3,4 通気路
11 保持部材
12 内装材
13 断熱材
14 外装材
15 ナイロン糸
21 保持部材
22 膜状部材
23 ナイロン糸
31 スペーサ
32 線材
41,42 アダプタ
43 還気口
44 給気口
45 排気口
46 吸気口
47 二管分岐管
48 三管分岐管
E 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の外管の内部に少なくとも1本の可撓性の内管を配置し、外管と内管の間に形成される通気路と、内管の内部の通気路との間で熱交換を行なう熱交換ダクトにおいて、前記内管は、熱交換性を有する膜状部材を、環状で長手方向に間隔のあいた保持部材により筒形状に保持したものとしたことを特徴とする熱交換ダクト。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換ダクトにおいて、前記膜状部材として、ガスバリア性及び透湿性を有するものを使用したことを特徴とする熱交換ダクト。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換ダクトにおいて、前記膜状部材として、セルロース膜を使用したことを特徴とする熱交換ダクト。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の熱交換ダクトにおいて、前記膜状部材を、親水性素材及び疎水性素材並びにセルロース膜から構成したことを特徴とする熱交換ダクト。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の熱交換ダクトにおいて、前記内管を、外管の通気路内に設けたスペーサによって支持したことを特徴とする熱交換ダクト。
【請求項6】
請求項5に記載の熱交換ダクトにおいて、前記スペーサは、内管の周方向に間隔をあけて配置し、内管と外管との相対移動に伴い、スペーサが転倒しないようにしたことを特徴とする熱交換ダクト。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の熱交換ダクトにおいて、前記スペーサを球状とし、その中心付近を貫通する線材を内管の外周に巻回することにより、スペーサを内管の外周に沿って線材を軸に回転可能に配置したことを特徴とする熱交換ダクト。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の熱交換ダクトと熱交換器とを接続したことを特徴とする熱交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−58653(P2011−58653A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206196(P2009−206196)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】