熱交換器、及び、熱交換器の組立方法
【課題】 熱交換器におけるヘッダタンク1と扁平チューブ3Aとの組立を容易化する。
【解決手段】 ヘッダタンク1側の扁平チューブ3Aとの連通部は、対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で対向面1aより後退する部位(側面1b、又は対向面1aと側面1bとのつながり部)にかけて形成されたスリット11とする。扁平チューブ3Aの端部は、ヘッダタンク1のスリット11に、ヘッダタンク1の側面側から挿入可能とする。扁平チューブ3Aは、その幅方向には、スリット11の対向面1a側の端部の第1の突当部aに突き当てられ、長手方向には、スリット11の側面1b側の端部の第2の突当部bなどに突き当てられる。
【解決手段】 ヘッダタンク1側の扁平チューブ3Aとの連通部は、対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で対向面1aより後退する部位(側面1b、又は対向面1aと側面1bとのつながり部)にかけて形成されたスリット11とする。扁平チューブ3Aの端部は、ヘッダタンク1のスリット11に、ヘッダタンク1の側面側から挿入可能とする。扁平チューブ3Aは、その幅方向には、スリット11の対向面1a側の端部の第1の突当部aに突き当てられ、長手方向には、スリット11の側面1b側の端部の第2の突当部bなどに突き当てられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のヘッダタンクとこれらのヘッダタンクを連通する複数の扁平チューブとを含んで構成される熱交換器に関するもので、特にヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱交換器として、特許文献1に示されるように、互いに平行に延びる一対のヘッダタンクと、これら一対のヘッダタンクを連通する互いに平行に2列に並べられた複数の扁平チューブとを含んで構成されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−075024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の熱交換器におけるヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造では、ヘッダタンクの扁平チューブ挿入用のスリットに扁平チューブの端部を挿入することになるが、挿入部のクリアランスが小さいため、挿入は容易ではない。
このため、扁平チューブの端部に、つぶし等によるテーパ状の端末加工を施して、ヘッダタンク側のスリットへの挿入性を確保しているが、この端末加工のために、生産性が悪く、自動化も困難である。また、端部をテーパ状にして挿入すると、突き当て部がないため、挿入寸法の管理が面倒である。また、つぶし処理は、流路面積を狭め、熱交換性能への影響も少なくない。
【0005】
また、2列の扁平チューブをその長手方向に挿入して一対のヘッダダンク間に位置させる場合、扁平チューブを1列ずつ一対のヘッダタンク間に取付けようとすると、1列目の取付け後は2列目の取付けが困難となる。従って、2列の扁平チューブを同時に挿入しなければならない。しかし、2列の同時挿入は、挿入方向及び位置に正確さが必要であり、生産性が悪い。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑み、扁平チューブに端末加工を施すことなく、ヘッダタンクと扁平チューブとを容易に組み立てることができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る組立構造では、ヘッダタンク側の扁平チューブとの連通部は、ヘッダタンクのこれと対をなす他方のヘッダタンクとの対向面の幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位にかけて形成された第1のスリット、及び、前記対向面の幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位にかけて形成された第2のスリットとする。そして、扁平チューブの端部は、ヘッダタンクの前記第1及び第2のスリットに、ヘッダタンクの側面側から挿入可能で、扁平チューブは、その幅方向には、前記第1及び第2のスリットの前記対向面中央部側の端部の第1の突当部に突き当てられる構成とする。
前記後退する部位は、ヘッダタンクの側面であってもよいし、ヘッダタンクの対向面と側面とのつながり部であってもよい。また、前記つながり部は、アール部をなしていてもよいし、面取り状の傾斜部をなしていてもよい。
【0008】
前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部は、前記対向面中央部側の端部と直角に設け、前記扁平チューブは、長手方向には、前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部の第2の突当部に突き当てられるようにするとよい。
更に、前記扁平チューブがその長手方向に突き当てられる前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部に、段差を設けて、前記扁平チューブが幅方向に突き当てられる第3の突当部を形成し、前記段差の高さは、前記対向面の高さより低くするとよい。
【0009】
又は、前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部は、前記対向面中央部側の端部と平行に設け、前記扁平チューブは、長手方向には、前記第1及び第2のスリットを貫通して、前記ヘッダタンク内の第4の突当部に突き当てられるようにしてもよい。
ここで、前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部のスリット孔方向の前端及び後端について、
前記扁平チューブの板厚をD1、
前記扁平チューブの前記対向面から、前記前端までの後退方向の距離をD2、
前記後端から、前記扁平チューブの端部までの距離をD3とすると、
D2≧D1、及び、D3>0
好ましくは、
D2>D1、及び、D3>0
に設定するとよい。
【0010】
また、上記構造の熱交換器の組立方法としては、次の第1及び第2の組立方法を提案する。
第1の組立方法は、1列目の扁平チューブをその幅方向端部を上側にして配列する第1工程と、前記1列目の扁平チューブの両端部に、上側から、一対のヘッダタンクの一方の側面側の第1のスリットを嵌合させる第2工程と、前記一対のヘッダタンクの他方の側面側の第2のスリットに、上側から、2列目の扁平チューブを嵌合させる第3工程とを含む。
【0011】
第2の組立方法は、一対のヘッダタンクをその一方の側面を上側にして配置する第1工程と、前記一対のヘッダタンクの前記一方の側面側の第1のスリットに、1列目の扁平チューブの両端部を嵌合する第2工程と、嵌合している前記一対のヘッダタンクと前記1列目の扁平チューブとを裏返す第3工程と、前記一対のヘッダタンクの他方の側面側の第2のスリットに、上側から、2列目の扁平チューブを嵌合する第4工程とを含む。
【0012】
ここで、前記第1の組立方法での第3工程、又は、前記第2の組立方法での第4工程では、前記一対のヘッダタンクの第2のスリットに2列目の扁平チューブを嵌合させる前に、前記一対のヘッダタンクの上端を外側に開き、嵌合後に、閉じるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組立構造によれば、扁平チューブの端部をヘッダタンクの側面側からスリットに挿入するため、扁平チューブの幅方向端部のアール部がガイドとなり、特別な端末処理を施すことなく、挿入性を確保できる。
また、扁平チューブに対し、各種の突当部を有する構成とすることにより、挿入位置を安定させて、組み立てを容易化することができると共に、位置決め状態の保持もより容易となる。
【0014】
また、本発明の第1及び第2の組立方法によれば、ヘッダタンクの側面より扁平チューブを挿入できる利点を活かして、一対のヘッダタンクと2列の扁平チューブとを効率的に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示す熱交換器の概略斜視図
【図2】ヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造の第1実施形態を示す平面図
【図3】同上第1実施形態の側面図
【図4】ヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造の第2実施形態を示す平面図
【図5】同上第2実施形態の側面図
【図6】同上第2実施形態の要部拡大図
【図7】第1の具体的組立方法を示す図
【図8】第2の具体的組立方法を示す図
【図9】ヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造の第3実施形態を示す平面図
【図10】同上第3実施形態の組立状態での平面図
【図11】同上第3実施形態での寸法関係を示す平面図
【図12】図11のX矢視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態を示す熱交換器の概略斜視図である。
本実施形態の熱交換器は、互いに平行に延びる一対のヘッダタンク1、2と、これら一対のヘッダタンク1、2を連通する互いに平行に2列に並べられた複数の扁平チューブ3(1列目の扁平チューブ3Aと2列目の扁平チューブ3B)と、各列の扁平チューブ3、3間に設けられたフィン4と、を含んで構成される。図中の矢印は熱交換用空気の通流方向を示している。
【0017】
図2及び図3はヘッダタンク1、2と扁平チューブ3との組立構造の第1実施形態を示す平面図及び側面図である。
ヘッダタンク1、2は、図2に示されるような略矩形断面のアルミ製筒状体である(但し本実施形態では分割体から構成してある)。そして、ヘッダタンク1、2には、その延在方向に沿って内部空間を2分する仕切壁5が設けられ、これにより第1通路6と第2通路7とに画成される。
【0018】
ここで、一対のヘッダタンク1、2のうち、一方のヘッダタンク1には、その第1通路6に冷媒の入口パイプ(図示せず)が接続され、第2通路7に冷媒の出口パイプ(図示せず)が接続される。
他方のヘッダタンク2には、その仕切壁5に連通孔8が設けられ、ヘッダタンク2の第1通路6と第2通路7とは連通している。従って、ヘッダタンク2については仕切壁5そのものをなくしてもよい。
【0019】
扁平チューブ3は、図3に示されるような断面扁平なアルミ製のチューブで、幅方向(図3の左右方向)の両端部はアール部となっている。そして、複数の扁平チューブ3は、互いに扁平面を向かい合わせにして、ヘッダタンク1、2の延在方向に並べてある。従って、前記扁平面は、ヘッダタンク1、2間の空間を通過する熱交換用空気の通流方向と平行をなす。
【0020】
また、かかる扁平チューブ3の列を2列にして、1列目の扁平チューブ3Aが、ヘッダタンク1の第1通路6とヘッダタンク2の第1通路6とを連通するようにし、2列目の扁平チューブ3Bが、ヘッダタンク1の第2通路7とヘッダタンク2の第2通路7とを連通するようにしてある。ここで、各連通部はろう付けにより接合される。
フィン4(図1)は、例えばコルゲートフィンであり、扁平チューブ3の扁平面間にろう付けにより接合されて配置される。
【0021】
ここにおいて、冷媒は、ヘッダタンク1の第1通路6から1列目の扁平チューブ3A内を流れて、ヘッダタンク2の第1通路6へ流れ、これと連通しているヘッダタンク2の第2通路7から2列目の扁平チューブ3B内を流れて、ヘッダタンク1の第2通路7へ流れる。従って、1列目の扁平チューブ3Aと2列目の扁平チューブ3Bとでは冷媒の流れが逆向きとなり、いわゆるカウンターフローとなる。そして、冷媒が扁平チューブ3A、3B内を流れるときに、コルゲートフィン4を介し、ヘッダタンク1、2間の空間を通過する熱交換用空気との間で熱交換がなされる。
【0022】
次に、本実施形態の熱交換器におけるヘッダタンク1、2と扁平チューブ3との組立構造について説明する。
ヘッダタンク1側の扁平チューブ3との連通部は、対をなす他方のヘッダタンク2との対向面1aと、これに連なる一方の側面1bとの間の角部(アール部)に、これらの両面1a、1bに跨って形成された第1のスリット11、及び、前記対向面1aと、これに連なる他方の側面1cとの間の角部(アール部)に、これらの両面11a、11cに跨って形成された第2のスリット12とする。また、第1及び第2のスリット11、12の前記対向面1a側の端部a、a’はアール部とする。第1及び第2のスリット11、12の前記側面1b、1c側の端部b、cにはアール部を設けない。
【0023】
言い換えれば、ヘッダタンク1側の扁平チューブ3との連通部は、対をなす他方のヘッダタンク2との対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(側面1b、又は、対向面1aと側面1bとのつながり部)にかけて形成された第1のスリット11、及び、前記対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(側面1c、又は、対向面1aと側面1cとのつながり部)にかけて形成された第2のスリット12とする。尚、本例では、対向面1aと側面1b、1cとのつながり部は、アール部をなしている。また、第1及び第2スリット11、12の前記後退する部位側の端部b、cにおける前記対向面1aからの後退距離は、ヘッダタンク2(その対向面1a部分)の板厚よりも大である。また、前記第1及び第2のスリット11、12の前記後退する部位側の端部b、cは、前記対向面1a側の端部a、a’と直角に設けられる。
ヘッダタンク2側の扁平チューブ3との連通部についても同様である。
【0024】
前記第1のスリット11には、1列目の扁平チューブ3Aの端部が挿入され、前記第2のスリット12には、2列目の扁平チューブ3Bの端部が挿入される。
ここで、1列目の扁平チューブ3Aの端部は、ヘッダタンク1の第1のスリット11に、ヘッダタンク1の一方の側面1bから挿入可能であり、2列目の扁平チューブ3Bの端部は、ヘッダタンク1の第2のスリット12に、ヘッダタンク1の他方の側面1cから挿入可能である。
【0025】
そして、1列目の扁平チューブ3Aの端部は、その幅方向には、第1のスリット11の対向面1a側の端部(アール部)aに突き当てられ、長手方向には、第1のスリット11の側面1b側の端部bに突き当てられる。また、2列目の扁平チューブ3Bの端部は、その幅方向には、第2のスリット12の対向面1a側の端部(アール部)a’に突き当てられ、長手方向には、第2のスリット12の側面1c側の端部cに突き当てられる。ここで、端部a、a’が第1の突当部をなし、端部b、cが第2の突当部をなす。
1列目及び2列目の扁平チューブ3A、3Bの端部と、ヘッダタンク2の第1及び第2のスリット11、12との関係も上記と同様である。
【0026】
かかる構成によれば、ヘッダタンク1、2に1列目の扁平チューブ3Aを組み付けるときは、ヘッダタンク1、2の第1のスリット11に対し、1列目の扁平チューブ3Aの端部を、ヘッダタンク1、2の側方(側面1b側)から挿入して、扁平チューブ3Aの幅方向の端部(アール部)を第1のスリット11の対向面1a側の端部(アール部)aに突き当て、また、扁平チューブ3Aの長手方向の端部(端面)を第1のスリット11の側面1b側の端部(直角部)bに突き当てる。
【0027】
また、ヘッダタンク1、2に2列目の扁平チューブ3Bを組み付けるときも同様で、ヘッダタンク1、2の第2のスリット12に対し、2列目の扁平チューブ3Bの端部を、ヘッダタンク1、2の側方(側面1c側)から挿入して、扁平チューブ3Bの幅方向の端部(アール部)を第2のスリット12の対向面1a側の端部(アール部)a’に突き当て、また、扁平チューブ3Bの長手方向の端部(端面)を第2のスリット12の側面1c側の端部(直角部)cに突き当てる。
【0028】
従って、扁平チューブ3A、3Bの端部をヘッダタンク1、2の側面側からスリット11、12に挿入するため、扁平チューブ3A、3Bの幅方向端部のアール部がガイドとなり、特別な端末処理を施すことなく、挿入性を確保できる。また、扁平チューブ3A、3Bは、幅方向及び長手方向に突き当てられるため、挿入位置も安定させることができる。従って、組み立てを容易化することができる。
尚、ヘッダタンク1と扁平チューブ3A、3Bとは、上記のように組み付けた後、挿入部の周囲をろう付けにより接合する。
【0029】
図4及び図5はヘッダタンク1、2と扁平チューブ3との組立構造の第2実施形態を示す平面図及び側面図である。また、図6は同上第2実施形態の要部拡大図である。
この第2実施形態(図4〜図6)において、第1実施形態(図2、図3)と同一要素には同一符号と付して説明を簡略化し、異なる要素を中心に主に図6を参照して説明する。
【0030】
ヘッダタンク1側の扁平チューブ3との連通部は、対をなす他方のヘッダタンク2との対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(側面1b、又は、対向面1aと側面1bとのつながり部)にかけて形成された第1のスリット11、及び、前記対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(側面1c、又は、対向面1aと側面1cとのつながり部)にかけて形成された第2のスリット12とする。尚、本例でも、対向面1aと側面1b、1cとのつながり部は、アール部をなしている。
【0031】
この第2の実施形態では、扁平チューブ3A、3Bがその長手方向に突き当てられる第1及び第2のスリット11、12の側面1b、1c側の端部b、cの各外側寄りに、段差(段差壁)を設けて、扁平チューブ11、12が幅方向に突き当てられる第3の突当部d、eを形成してある。また、前記段差(段差壁)の高さ(第2の突当部b、cからの突出高さ)h1は、同方向の対向面1aの高さh2より低くしてある。
【0032】
従って、ヘッダタンク1(第1のスリット11)と扁平チューブ3Aとの関係で説明すると、この第2実施形態では、扁平チューブ3Aは、第1実施形態と同様、その幅方向には、第1のスリット11の対向面1a側の端部aの第1の突当部に突き当てられ、長手方向には、第1のスリット11の側面1b側の端部bの第2の突当部に突き当てられる他、
第2実施形態の特徴として、幅方向の反対側では、第3の突当部dに突き当てられる。
【0033】
従って、扁平チューブ3Aは、第1の突当部aと第3の突当部dとに突き当てられ、言い換えれば、これらの間に挿入されることで、幅方向の位置が規制される。そして、扁平チューブ3Aは、長手方向には、第2の突当部b、cに突き当てられ、挿入長さが規制される。
そして、前記段差の高さh1を対向面1aの高さh2より低くすることで、挿入動作は2アクションになるものの、ヘッダタンク1の側方からの扁平チューブ3Aの挿入を可能にしている。
【0034】
すなわち、扁平チューブ3Aをヘッダタンク1の第1のスリット11にヘッダタンク1の側方から挿入して、第1の突当部aに突き当てた後(この状態では長手方向にはh2−h1分挿入されている)、扁平チューブ3Aの長手方向に(更にh1分)押込んで、第1突当部aと第3の突当部dとに案内させつつ、扁平チューブ3Aの端部を第2の突当部bに突き当てるようにする。
【0035】
このように、更に、第3の突当部d、eを有する構成とすることにより、挿入動作は2アクションとなるが、第1の突当部a、a’と第3の突当部d,eとで幅方向両側を規制でき、位置決め状態の保持がより容易となる。
【0036】
次に、ヘッダタンクと扁平チューブとのより具体的な組立方法について提案する。
図7は第1の具体的組立方法を示している。
工程1では、1列目の扁平チューブ3Aをその幅方向端部を上側にして治具等を用いて複数配列する。
工程2では、1列目の扁平チューブ3Aの両端部に、上側から、一対のヘッダタンク1、2の一方の側面にある第1のスリット11を嵌合させる。このとき、前記第1実施形態の構造では1アクション、前記第2実施形態の構造では2アクションとなる。
【0037】
工程3では、一対のヘッダタンク1、2の他方の側面にある第2のスリット12に、上側から、2列目の扁平チューブ3Bを複数嵌合させる。このときは、最初に一対のヘッダタンク1、2の上端を少し外側に広げ、次いで一対のヘッダタンク1、2の上側の第2のスリット12に2列目の扁平チューブ3Bを嵌合させ、嵌合後に、一対のヘッダタンク1、2の上端を閉じる。これにより、組立が完了し、この後、ろう付けにより接合する。
【0038】
図8は第2の具体的組立方法を示している。
工程1では、一対のヘッダタンク1、2をその一方の側面を上側にして治具等を用いて配置する。
工程2では、一対のヘッダタンク1、2の前記一方の側面(上側の側面)にある第1のスリット11に、1列目の複数の扁平チューブ3Aの両端部を嵌合する。このとき、前記第1実施形態の構造では1アクション、前記第2実施形態の構造では2アクションとなる。
【0039】
工程3では、嵌合させた一対のヘッダタンク1、2と1列目の扁平チューブ3Aとを裏返す。
工程4では、一対のヘッダタンク1、2の他方の側面(裏返して上側にきた側面)にある第2のスリット12に、上側から、2列目の複数の扁平チューブ3Bを嵌合する。このときも、最初に一対のヘッダタンク1、2の上端を少し外側に広げ、次いで一対のヘッダタンク1、2の上側の第2のスリット12に2列目の扁平チューブ3Bを嵌合させ、嵌合後に、一対のヘッダタンク1、2の上端を閉じる。これにより、組立が完了し、この後、ろう付けにより接合する。
【0040】
上記第1及び第2の具体的組立方法によれば、ヘッダタンク1、2の側面より扁平チューブ3A、3Bを挿入できる利点を活かして、一対のヘッダタンク1、2と2列の扁平チューブ3A、3Bとを効率的に組み立てることができる。特に、1列目の扁平チューブ3Aと2列目の扁平チューブ3Bとを同時に挿入する必要がないので、組み立ての自動化も容易となる。
【0041】
図9はヘッダタンク1(又は2)と扁平チューブ3との組立構造の第3実施形態を示す平面図である。また、図10は同上第3実施形態の組立状態での平面図、図11は同上第3実施形態での寸法関係を示す平面図、図12は図11のX矢視図である。
この第3実施形態(図9〜図12)においても、第1実施形態(図2、図3)と同一要素には同一符号と付して説明を簡略化し、異なる要素を中心に説明する。
【0042】
ヘッダタンク1側の扁平チューブ3(3A、3B)との連通部は、対をなす他方のヘッダタンクとの対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(対向面1aと側面1bとのつながり部)にかけて形成された第1のスリット11、及び、前記対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(対向面1aと側面1cとのつながり部)にかけて形成された第2のスリット12とする。尚、本例では、対向面1aと側面1b、1cとのつながり部は、面取り状の傾斜部1d、1eをなしている。
【0043】
ここで、前記第1及び第2のスリット11、12の前記後退する部位(傾斜部1d、1e)側の端部f、gは、前記対向面中央部側の端部a、a’と平行に設ける。
そして、扁平チューブ3は、長手方向には、前記第1及び第2のスリット11、12を貫通して、ヘッダタンク1内の第4の突当部h、iに突き当てられるようにする。尚、第4の突当部h、iは、仕切壁5の根元部に形成してある。
【0044】
従って、本実施形態では、例えば扁平チューブ3Aをヘッダタンク1の第1のスリット11にヘッダタンク1の側方から挿入して、第1の突当部aに突き当てた後(この状態では長手方向には後述するD2分挿入されている)、扁平チューブ3Aの長手方向に押込んで、第1のスリット11の長孔(a、f間)に挿入し、扁平チューブ3Aの端部を第4の突当部hに突き当てるようにする。扁平チューブ3Bの挿入についても同様である。
【0045】
このように構成することにより、挿入動作は2アクションとなるが、第1及び第2のスリット11、12の長孔により扁平チューブ3(3A、3B)の幅方向両側を規制でき、位置決め状態の保持がより容易となる。
【0046】
ここで、図11及び図12を参照し、前記第1及び第2のスリット11、12の前記後退する部位(傾斜部1d、1e)側の端部f、gのスリット孔方向の前端及び後端については、
前記扁平チューブ3の板厚をD1、
前記扁平チューブの前記対向面から、前記前端までの後退方向の距離をD2、
前記後端から、前記扁平チューブの端部までの距離をD3とすると、
D2≧D1、及び、D3>0
好ましくは、
D2>D1、及び、D3>0
に設定する。
【0047】
D2≧D1、好ましくは、D2>D1とすることにより、ヘッダタンク1の第1及び第2のスリット11、12に対し、ヘッダタンク1の側方から、扁平チューブ3(3A、3B)を挿入する際に、挿入代を大きくとることができ、側方からの挿入が容易となることで、自動化が容易となる。特にヘッダタンク1の板厚が小さい場合に効果がある。
また、D3>0とすることにより、ヘッダタンク1内側での扁平チューブ3(3A、3B)とのろう付け時に、ろう付けのろうが扁平チューブ3(3A、3B)内に入り込みを防止することができる。チューブ内にろうが入り込むと、冷媒の流れを阻害するようになるからである。
【0048】
この第3実施形態についても、前述の第1の具体的組立方法、又は第2の具体的組み立て方法を用いて、同様に組み立てを行うことができる。
【0049】
尚、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1、2 ヘッダタンク
1a、2a 対向面
1b、2b 側面
1c、2c 側面
a、a’ 第1の突当部
b、c 第2の突当部
d、e 第3の突当部
h、i 第4の突当部
3、3A、3B 扁平チューブ
4 コルゲートフィン
5 仕切壁
6 第1通路
7 第2通路
8 連通孔
11 第1のスリット
12 第2のスリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のヘッダタンクとこれらのヘッダタンクを連通する複数の扁平チューブとを含んで構成される熱交換器に関するもので、特にヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱交換器として、特許文献1に示されるように、互いに平行に延びる一対のヘッダタンクと、これら一対のヘッダタンクを連通する互いに平行に2列に並べられた複数の扁平チューブとを含んで構成されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−075024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の熱交換器におけるヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造では、ヘッダタンクの扁平チューブ挿入用のスリットに扁平チューブの端部を挿入することになるが、挿入部のクリアランスが小さいため、挿入は容易ではない。
このため、扁平チューブの端部に、つぶし等によるテーパ状の端末加工を施して、ヘッダタンク側のスリットへの挿入性を確保しているが、この端末加工のために、生産性が悪く、自動化も困難である。また、端部をテーパ状にして挿入すると、突き当て部がないため、挿入寸法の管理が面倒である。また、つぶし処理は、流路面積を狭め、熱交換性能への影響も少なくない。
【0005】
また、2列の扁平チューブをその長手方向に挿入して一対のヘッダダンク間に位置させる場合、扁平チューブを1列ずつ一対のヘッダタンク間に取付けようとすると、1列目の取付け後は2列目の取付けが困難となる。従って、2列の扁平チューブを同時に挿入しなければならない。しかし、2列の同時挿入は、挿入方向及び位置に正確さが必要であり、生産性が悪い。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑み、扁平チューブに端末加工を施すことなく、ヘッダタンクと扁平チューブとを容易に組み立てることができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る組立構造では、ヘッダタンク側の扁平チューブとの連通部は、ヘッダタンクのこれと対をなす他方のヘッダタンクとの対向面の幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位にかけて形成された第1のスリット、及び、前記対向面の幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位にかけて形成された第2のスリットとする。そして、扁平チューブの端部は、ヘッダタンクの前記第1及び第2のスリットに、ヘッダタンクの側面側から挿入可能で、扁平チューブは、その幅方向には、前記第1及び第2のスリットの前記対向面中央部側の端部の第1の突当部に突き当てられる構成とする。
前記後退する部位は、ヘッダタンクの側面であってもよいし、ヘッダタンクの対向面と側面とのつながり部であってもよい。また、前記つながり部は、アール部をなしていてもよいし、面取り状の傾斜部をなしていてもよい。
【0008】
前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部は、前記対向面中央部側の端部と直角に設け、前記扁平チューブは、長手方向には、前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部の第2の突当部に突き当てられるようにするとよい。
更に、前記扁平チューブがその長手方向に突き当てられる前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部に、段差を設けて、前記扁平チューブが幅方向に突き当てられる第3の突当部を形成し、前記段差の高さは、前記対向面の高さより低くするとよい。
【0009】
又は、前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部は、前記対向面中央部側の端部と平行に設け、前記扁平チューブは、長手方向には、前記第1及び第2のスリットを貫通して、前記ヘッダタンク内の第4の突当部に突き当てられるようにしてもよい。
ここで、前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部のスリット孔方向の前端及び後端について、
前記扁平チューブの板厚をD1、
前記扁平チューブの前記対向面から、前記前端までの後退方向の距離をD2、
前記後端から、前記扁平チューブの端部までの距離をD3とすると、
D2≧D1、及び、D3>0
好ましくは、
D2>D1、及び、D3>0
に設定するとよい。
【0010】
また、上記構造の熱交換器の組立方法としては、次の第1及び第2の組立方法を提案する。
第1の組立方法は、1列目の扁平チューブをその幅方向端部を上側にして配列する第1工程と、前記1列目の扁平チューブの両端部に、上側から、一対のヘッダタンクの一方の側面側の第1のスリットを嵌合させる第2工程と、前記一対のヘッダタンクの他方の側面側の第2のスリットに、上側から、2列目の扁平チューブを嵌合させる第3工程とを含む。
【0011】
第2の組立方法は、一対のヘッダタンクをその一方の側面を上側にして配置する第1工程と、前記一対のヘッダタンクの前記一方の側面側の第1のスリットに、1列目の扁平チューブの両端部を嵌合する第2工程と、嵌合している前記一対のヘッダタンクと前記1列目の扁平チューブとを裏返す第3工程と、前記一対のヘッダタンクの他方の側面側の第2のスリットに、上側から、2列目の扁平チューブを嵌合する第4工程とを含む。
【0012】
ここで、前記第1の組立方法での第3工程、又は、前記第2の組立方法での第4工程では、前記一対のヘッダタンクの第2のスリットに2列目の扁平チューブを嵌合させる前に、前記一対のヘッダタンクの上端を外側に開き、嵌合後に、閉じるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組立構造によれば、扁平チューブの端部をヘッダタンクの側面側からスリットに挿入するため、扁平チューブの幅方向端部のアール部がガイドとなり、特別な端末処理を施すことなく、挿入性を確保できる。
また、扁平チューブに対し、各種の突当部を有する構成とすることにより、挿入位置を安定させて、組み立てを容易化することができると共に、位置決め状態の保持もより容易となる。
【0014】
また、本発明の第1及び第2の組立方法によれば、ヘッダタンクの側面より扁平チューブを挿入できる利点を活かして、一対のヘッダタンクと2列の扁平チューブとを効率的に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示す熱交換器の概略斜視図
【図2】ヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造の第1実施形態を示す平面図
【図3】同上第1実施形態の側面図
【図4】ヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造の第2実施形態を示す平面図
【図5】同上第2実施形態の側面図
【図6】同上第2実施形態の要部拡大図
【図7】第1の具体的組立方法を示す図
【図8】第2の具体的組立方法を示す図
【図9】ヘッダタンクと扁平チューブとの組立構造の第3実施形態を示す平面図
【図10】同上第3実施形態の組立状態での平面図
【図11】同上第3実施形態での寸法関係を示す平面図
【図12】図11のX矢視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態を示す熱交換器の概略斜視図である。
本実施形態の熱交換器は、互いに平行に延びる一対のヘッダタンク1、2と、これら一対のヘッダタンク1、2を連通する互いに平行に2列に並べられた複数の扁平チューブ3(1列目の扁平チューブ3Aと2列目の扁平チューブ3B)と、各列の扁平チューブ3、3間に設けられたフィン4と、を含んで構成される。図中の矢印は熱交換用空気の通流方向を示している。
【0017】
図2及び図3はヘッダタンク1、2と扁平チューブ3との組立構造の第1実施形態を示す平面図及び側面図である。
ヘッダタンク1、2は、図2に示されるような略矩形断面のアルミ製筒状体である(但し本実施形態では分割体から構成してある)。そして、ヘッダタンク1、2には、その延在方向に沿って内部空間を2分する仕切壁5が設けられ、これにより第1通路6と第2通路7とに画成される。
【0018】
ここで、一対のヘッダタンク1、2のうち、一方のヘッダタンク1には、その第1通路6に冷媒の入口パイプ(図示せず)が接続され、第2通路7に冷媒の出口パイプ(図示せず)が接続される。
他方のヘッダタンク2には、その仕切壁5に連通孔8が設けられ、ヘッダタンク2の第1通路6と第2通路7とは連通している。従って、ヘッダタンク2については仕切壁5そのものをなくしてもよい。
【0019】
扁平チューブ3は、図3に示されるような断面扁平なアルミ製のチューブで、幅方向(図3の左右方向)の両端部はアール部となっている。そして、複数の扁平チューブ3は、互いに扁平面を向かい合わせにして、ヘッダタンク1、2の延在方向に並べてある。従って、前記扁平面は、ヘッダタンク1、2間の空間を通過する熱交換用空気の通流方向と平行をなす。
【0020】
また、かかる扁平チューブ3の列を2列にして、1列目の扁平チューブ3Aが、ヘッダタンク1の第1通路6とヘッダタンク2の第1通路6とを連通するようにし、2列目の扁平チューブ3Bが、ヘッダタンク1の第2通路7とヘッダタンク2の第2通路7とを連通するようにしてある。ここで、各連通部はろう付けにより接合される。
フィン4(図1)は、例えばコルゲートフィンであり、扁平チューブ3の扁平面間にろう付けにより接合されて配置される。
【0021】
ここにおいて、冷媒は、ヘッダタンク1の第1通路6から1列目の扁平チューブ3A内を流れて、ヘッダタンク2の第1通路6へ流れ、これと連通しているヘッダタンク2の第2通路7から2列目の扁平チューブ3B内を流れて、ヘッダタンク1の第2通路7へ流れる。従って、1列目の扁平チューブ3Aと2列目の扁平チューブ3Bとでは冷媒の流れが逆向きとなり、いわゆるカウンターフローとなる。そして、冷媒が扁平チューブ3A、3B内を流れるときに、コルゲートフィン4を介し、ヘッダタンク1、2間の空間を通過する熱交換用空気との間で熱交換がなされる。
【0022】
次に、本実施形態の熱交換器におけるヘッダタンク1、2と扁平チューブ3との組立構造について説明する。
ヘッダタンク1側の扁平チューブ3との連通部は、対をなす他方のヘッダタンク2との対向面1aと、これに連なる一方の側面1bとの間の角部(アール部)に、これらの両面1a、1bに跨って形成された第1のスリット11、及び、前記対向面1aと、これに連なる他方の側面1cとの間の角部(アール部)に、これらの両面11a、11cに跨って形成された第2のスリット12とする。また、第1及び第2のスリット11、12の前記対向面1a側の端部a、a’はアール部とする。第1及び第2のスリット11、12の前記側面1b、1c側の端部b、cにはアール部を設けない。
【0023】
言い換えれば、ヘッダタンク1側の扁平チューブ3との連通部は、対をなす他方のヘッダタンク2との対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(側面1b、又は、対向面1aと側面1bとのつながり部)にかけて形成された第1のスリット11、及び、前記対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(側面1c、又は、対向面1aと側面1cとのつながり部)にかけて形成された第2のスリット12とする。尚、本例では、対向面1aと側面1b、1cとのつながり部は、アール部をなしている。また、第1及び第2スリット11、12の前記後退する部位側の端部b、cにおける前記対向面1aからの後退距離は、ヘッダタンク2(その対向面1a部分)の板厚よりも大である。また、前記第1及び第2のスリット11、12の前記後退する部位側の端部b、cは、前記対向面1a側の端部a、a’と直角に設けられる。
ヘッダタンク2側の扁平チューブ3との連通部についても同様である。
【0024】
前記第1のスリット11には、1列目の扁平チューブ3Aの端部が挿入され、前記第2のスリット12には、2列目の扁平チューブ3Bの端部が挿入される。
ここで、1列目の扁平チューブ3Aの端部は、ヘッダタンク1の第1のスリット11に、ヘッダタンク1の一方の側面1bから挿入可能であり、2列目の扁平チューブ3Bの端部は、ヘッダタンク1の第2のスリット12に、ヘッダタンク1の他方の側面1cから挿入可能である。
【0025】
そして、1列目の扁平チューブ3Aの端部は、その幅方向には、第1のスリット11の対向面1a側の端部(アール部)aに突き当てられ、長手方向には、第1のスリット11の側面1b側の端部bに突き当てられる。また、2列目の扁平チューブ3Bの端部は、その幅方向には、第2のスリット12の対向面1a側の端部(アール部)a’に突き当てられ、長手方向には、第2のスリット12の側面1c側の端部cに突き当てられる。ここで、端部a、a’が第1の突当部をなし、端部b、cが第2の突当部をなす。
1列目及び2列目の扁平チューブ3A、3Bの端部と、ヘッダタンク2の第1及び第2のスリット11、12との関係も上記と同様である。
【0026】
かかる構成によれば、ヘッダタンク1、2に1列目の扁平チューブ3Aを組み付けるときは、ヘッダタンク1、2の第1のスリット11に対し、1列目の扁平チューブ3Aの端部を、ヘッダタンク1、2の側方(側面1b側)から挿入して、扁平チューブ3Aの幅方向の端部(アール部)を第1のスリット11の対向面1a側の端部(アール部)aに突き当て、また、扁平チューブ3Aの長手方向の端部(端面)を第1のスリット11の側面1b側の端部(直角部)bに突き当てる。
【0027】
また、ヘッダタンク1、2に2列目の扁平チューブ3Bを組み付けるときも同様で、ヘッダタンク1、2の第2のスリット12に対し、2列目の扁平チューブ3Bの端部を、ヘッダタンク1、2の側方(側面1c側)から挿入して、扁平チューブ3Bの幅方向の端部(アール部)を第2のスリット12の対向面1a側の端部(アール部)a’に突き当て、また、扁平チューブ3Bの長手方向の端部(端面)を第2のスリット12の側面1c側の端部(直角部)cに突き当てる。
【0028】
従って、扁平チューブ3A、3Bの端部をヘッダタンク1、2の側面側からスリット11、12に挿入するため、扁平チューブ3A、3Bの幅方向端部のアール部がガイドとなり、特別な端末処理を施すことなく、挿入性を確保できる。また、扁平チューブ3A、3Bは、幅方向及び長手方向に突き当てられるため、挿入位置も安定させることができる。従って、組み立てを容易化することができる。
尚、ヘッダタンク1と扁平チューブ3A、3Bとは、上記のように組み付けた後、挿入部の周囲をろう付けにより接合する。
【0029】
図4及び図5はヘッダタンク1、2と扁平チューブ3との組立構造の第2実施形態を示す平面図及び側面図である。また、図6は同上第2実施形態の要部拡大図である。
この第2実施形態(図4〜図6)において、第1実施形態(図2、図3)と同一要素には同一符号と付して説明を簡略化し、異なる要素を中心に主に図6を参照して説明する。
【0030】
ヘッダタンク1側の扁平チューブ3との連通部は、対をなす他方のヘッダタンク2との対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(側面1b、又は、対向面1aと側面1bとのつながり部)にかけて形成された第1のスリット11、及び、前記対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(側面1c、又は、対向面1aと側面1cとのつながり部)にかけて形成された第2のスリット12とする。尚、本例でも、対向面1aと側面1b、1cとのつながり部は、アール部をなしている。
【0031】
この第2の実施形態では、扁平チューブ3A、3Bがその長手方向に突き当てられる第1及び第2のスリット11、12の側面1b、1c側の端部b、cの各外側寄りに、段差(段差壁)を設けて、扁平チューブ11、12が幅方向に突き当てられる第3の突当部d、eを形成してある。また、前記段差(段差壁)の高さ(第2の突当部b、cからの突出高さ)h1は、同方向の対向面1aの高さh2より低くしてある。
【0032】
従って、ヘッダタンク1(第1のスリット11)と扁平チューブ3Aとの関係で説明すると、この第2実施形態では、扁平チューブ3Aは、第1実施形態と同様、その幅方向には、第1のスリット11の対向面1a側の端部aの第1の突当部に突き当てられ、長手方向には、第1のスリット11の側面1b側の端部bの第2の突当部に突き当てられる他、
第2実施形態の特徴として、幅方向の反対側では、第3の突当部dに突き当てられる。
【0033】
従って、扁平チューブ3Aは、第1の突当部aと第3の突当部dとに突き当てられ、言い換えれば、これらの間に挿入されることで、幅方向の位置が規制される。そして、扁平チューブ3Aは、長手方向には、第2の突当部b、cに突き当てられ、挿入長さが規制される。
そして、前記段差の高さh1を対向面1aの高さh2より低くすることで、挿入動作は2アクションになるものの、ヘッダタンク1の側方からの扁平チューブ3Aの挿入を可能にしている。
【0034】
すなわち、扁平チューブ3Aをヘッダタンク1の第1のスリット11にヘッダタンク1の側方から挿入して、第1の突当部aに突き当てた後(この状態では長手方向にはh2−h1分挿入されている)、扁平チューブ3Aの長手方向に(更にh1分)押込んで、第1突当部aと第3の突当部dとに案内させつつ、扁平チューブ3Aの端部を第2の突当部bに突き当てるようにする。
【0035】
このように、更に、第3の突当部d、eを有する構成とすることにより、挿入動作は2アクションとなるが、第1の突当部a、a’と第3の突当部d,eとで幅方向両側を規制でき、位置決め状態の保持がより容易となる。
【0036】
次に、ヘッダタンクと扁平チューブとのより具体的な組立方法について提案する。
図7は第1の具体的組立方法を示している。
工程1では、1列目の扁平チューブ3Aをその幅方向端部を上側にして治具等を用いて複数配列する。
工程2では、1列目の扁平チューブ3Aの両端部に、上側から、一対のヘッダタンク1、2の一方の側面にある第1のスリット11を嵌合させる。このとき、前記第1実施形態の構造では1アクション、前記第2実施形態の構造では2アクションとなる。
【0037】
工程3では、一対のヘッダタンク1、2の他方の側面にある第2のスリット12に、上側から、2列目の扁平チューブ3Bを複数嵌合させる。このときは、最初に一対のヘッダタンク1、2の上端を少し外側に広げ、次いで一対のヘッダタンク1、2の上側の第2のスリット12に2列目の扁平チューブ3Bを嵌合させ、嵌合後に、一対のヘッダタンク1、2の上端を閉じる。これにより、組立が完了し、この後、ろう付けにより接合する。
【0038】
図8は第2の具体的組立方法を示している。
工程1では、一対のヘッダタンク1、2をその一方の側面を上側にして治具等を用いて配置する。
工程2では、一対のヘッダタンク1、2の前記一方の側面(上側の側面)にある第1のスリット11に、1列目の複数の扁平チューブ3Aの両端部を嵌合する。このとき、前記第1実施形態の構造では1アクション、前記第2実施形態の構造では2アクションとなる。
【0039】
工程3では、嵌合させた一対のヘッダタンク1、2と1列目の扁平チューブ3Aとを裏返す。
工程4では、一対のヘッダタンク1、2の他方の側面(裏返して上側にきた側面)にある第2のスリット12に、上側から、2列目の複数の扁平チューブ3Bを嵌合する。このときも、最初に一対のヘッダタンク1、2の上端を少し外側に広げ、次いで一対のヘッダタンク1、2の上側の第2のスリット12に2列目の扁平チューブ3Bを嵌合させ、嵌合後に、一対のヘッダタンク1、2の上端を閉じる。これにより、組立が完了し、この後、ろう付けにより接合する。
【0040】
上記第1及び第2の具体的組立方法によれば、ヘッダタンク1、2の側面より扁平チューブ3A、3Bを挿入できる利点を活かして、一対のヘッダタンク1、2と2列の扁平チューブ3A、3Bとを効率的に組み立てることができる。特に、1列目の扁平チューブ3Aと2列目の扁平チューブ3Bとを同時に挿入する必要がないので、組み立ての自動化も容易となる。
【0041】
図9はヘッダタンク1(又は2)と扁平チューブ3との組立構造の第3実施形態を示す平面図である。また、図10は同上第3実施形態の組立状態での平面図、図11は同上第3実施形態での寸法関係を示す平面図、図12は図11のX矢視図である。
この第3実施形態(図9〜図12)においても、第1実施形態(図2、図3)と同一要素には同一符号と付して説明を簡略化し、異なる要素を中心に説明する。
【0042】
ヘッダタンク1側の扁平チューブ3(3A、3B)との連通部は、対をなす他方のヘッダタンクとの対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(対向面1aと側面1bとのつながり部)にかけて形成された第1のスリット11、及び、前記対向面1aの幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位(対向面1aと側面1cとのつながり部)にかけて形成された第2のスリット12とする。尚、本例では、対向面1aと側面1b、1cとのつながり部は、面取り状の傾斜部1d、1eをなしている。
【0043】
ここで、前記第1及び第2のスリット11、12の前記後退する部位(傾斜部1d、1e)側の端部f、gは、前記対向面中央部側の端部a、a’と平行に設ける。
そして、扁平チューブ3は、長手方向には、前記第1及び第2のスリット11、12を貫通して、ヘッダタンク1内の第4の突当部h、iに突き当てられるようにする。尚、第4の突当部h、iは、仕切壁5の根元部に形成してある。
【0044】
従って、本実施形態では、例えば扁平チューブ3Aをヘッダタンク1の第1のスリット11にヘッダタンク1の側方から挿入して、第1の突当部aに突き当てた後(この状態では長手方向には後述するD2分挿入されている)、扁平チューブ3Aの長手方向に押込んで、第1のスリット11の長孔(a、f間)に挿入し、扁平チューブ3Aの端部を第4の突当部hに突き当てるようにする。扁平チューブ3Bの挿入についても同様である。
【0045】
このように構成することにより、挿入動作は2アクションとなるが、第1及び第2のスリット11、12の長孔により扁平チューブ3(3A、3B)の幅方向両側を規制でき、位置決め状態の保持がより容易となる。
【0046】
ここで、図11及び図12を参照し、前記第1及び第2のスリット11、12の前記後退する部位(傾斜部1d、1e)側の端部f、gのスリット孔方向の前端及び後端については、
前記扁平チューブ3の板厚をD1、
前記扁平チューブの前記対向面から、前記前端までの後退方向の距離をD2、
前記後端から、前記扁平チューブの端部までの距離をD3とすると、
D2≧D1、及び、D3>0
好ましくは、
D2>D1、及び、D3>0
に設定する。
【0047】
D2≧D1、好ましくは、D2>D1とすることにより、ヘッダタンク1の第1及び第2のスリット11、12に対し、ヘッダタンク1の側方から、扁平チューブ3(3A、3B)を挿入する際に、挿入代を大きくとることができ、側方からの挿入が容易となることで、自動化が容易となる。特にヘッダタンク1の板厚が小さい場合に効果がある。
また、D3>0とすることにより、ヘッダタンク1内側での扁平チューブ3(3A、3B)とのろう付け時に、ろう付けのろうが扁平チューブ3(3A、3B)内に入り込みを防止することができる。チューブ内にろうが入り込むと、冷媒の流れを阻害するようになるからである。
【0048】
この第3実施形態についても、前述の第1の具体的組立方法、又は第2の具体的組み立て方法を用いて、同様に組み立てを行うことができる。
【0049】
尚、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1、2 ヘッダタンク
1a、2a 対向面
1b、2b 側面
1c、2c 側面
a、a’ 第1の突当部
b、c 第2の突当部
d、e 第3の突当部
h、i 第4の突当部
3、3A、3B 扁平チューブ
4 コルゲートフィン
5 仕切壁
6 第1通路
7 第2通路
8 連通孔
11 第1のスリット
12 第2のスリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に延びる一対のヘッダタンクと、これら一対のヘッダタンクを連通する互いに平行に2列に並べられた複数の扁平チューブと、を含んで構成される、熱交換器において、
前記ヘッダタンク側の前記扁平チューブとの連通部は、
前記ヘッダタンクのこれと対をなす他方のヘッダタンクとの対向面の幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位にかけて形成された第1のスリット、
及び、前記対向面の幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位にかけて形成された第2のスリットであり、
前記扁平チューブの端部は、前記ヘッダタンクの前記第1及び第2のスリットに、前記ヘッダタンクの側面側から挿入可能で、
前記扁平チューブは、その幅方向には、前記第1及び第2のスリットの前記対向面中央部側の端部の第1の突当部に突き当てられることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
前記後退する部位は、前記ヘッダタンクの側面であることを特徴とする、請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記後退する部位は、前記ヘッダタンクの対向面と側面とのつながり部であることを特徴とする、請求項1記載の熱交換器。
【請求項4】
前記つながり部は、アール部をなすことを特徴とする、請求項3記載の熱交換器。
【請求項5】
前記つながり部は、面取り状の傾斜部をなすことを特徴とする、請求項3記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部は、前記対向面中央部側の端部と直角に設けられ、
前記扁平チューブは、長手方向には、前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部の第2の突当部に突き当てられることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記扁平チューブがその長手方向に突き当てられる前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部に、段差を設けて、前記扁平チューブが幅方向に突き当てられる第3の突当部を形成し、前記段差の高さは、前記対向面の高さより低くしたことを特徴とする、請求項6記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部は、前記対向面中央部側の端部と平行に設けられ、
前記扁平チューブは、長手方向には、前記第1及び第2のスリットを貫通して、前記ヘッダタンク内の第4の突当部に突き当てられることを特徴とする、請求項1、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部のスリット孔方向の前端及び後端について、
前記扁平チューブの板厚をD1、
前記扁平チューブの前記対向面から、前記前端までの後退方向の距離をD2、
前記後端から、前記扁平チューブの端部までの距離をD3とすると、
D2≧D1、及び、D3>0
に設定したことを特徴とする、請求項8記載の熱交換器。
【請求項10】
前記D1、D2について、
D2>D1
に設定したことを特徴とする、請求項9記載の熱交換器。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の熱交換器の組立方法であって、
1列目の扁平チューブをその幅方向端部を上側にして配列する第1工程と、
前記1列目の扁平チューブの両端部に、上側から、一対のヘッダタンクの一方の側面側の第1のスリットを嵌合させる第2工程と、
前記一対のヘッダタンクの他方の側面側の第2のスリットに、上側から、2列目の扁平チューブを嵌合させる第3工程とを含む、熱交換器の組立方法。
【請求項12】
前記第3工程では、前記一対のヘッダタンクの第2のスリットに2列目の扁平チューブを嵌合させる前に、前記一対のヘッダタンクの上端を外側に開き、嵌合後に、閉じることを特徴とする、請求項11記載の熱交換器の組立方法。
【請求項13】
請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の熱交換器の組立方法であって、
一対のヘッダタンクをその一方の側面を上側にして配置する第1工程と、
前記一対のヘッダタンクの前記一方の側面側の第1のスリットに、1列目の扁平チューブの両端部を嵌合する第2工程と、
嵌合している前記一対のヘッダタンクと前記1列目の扁平チューブとを裏返す第3工程と、
前記一対のヘッダタンクの他方の側面側の第2のスリットに、上側から、2列目の扁平チューブを嵌合する第4工程とを含む、熱交換器の組立方法。
【請求項14】
前記第4工程では、前記一対のヘッダタンクの第2のスリットに2列目の扁平チューブを嵌合させる前に、前記一対のヘッダタンクの上端を外側に開き、嵌合後に、閉じることを特徴とする、請求項13記載の熱交換器の組立方法。
【請求項1】
互いに平行に延びる一対のヘッダタンクと、これら一対のヘッダタンクを連通する互いに平行に2列に並べられた複数の扁平チューブと、を含んで構成される、熱交換器において、
前記ヘッダタンク側の前記扁平チューブとの連通部は、
前記ヘッダタンクのこれと対をなす他方のヘッダタンクとの対向面の幅方向中央部側から、幅方向の一方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位にかけて形成された第1のスリット、
及び、前記対向面の幅方向中央部側から、幅方向の他方の端部側で前記中央部より対向方向と反対方向に後退する部位にかけて形成された第2のスリットであり、
前記扁平チューブの端部は、前記ヘッダタンクの前記第1及び第2のスリットに、前記ヘッダタンクの側面側から挿入可能で、
前記扁平チューブは、その幅方向には、前記第1及び第2のスリットの前記対向面中央部側の端部の第1の突当部に突き当てられることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
前記後退する部位は、前記ヘッダタンクの側面であることを特徴とする、請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記後退する部位は、前記ヘッダタンクの対向面と側面とのつながり部であることを特徴とする、請求項1記載の熱交換器。
【請求項4】
前記つながり部は、アール部をなすことを特徴とする、請求項3記載の熱交換器。
【請求項5】
前記つながり部は、面取り状の傾斜部をなすことを特徴とする、請求項3記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部は、前記対向面中央部側の端部と直角に設けられ、
前記扁平チューブは、長手方向には、前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部の第2の突当部に突き当てられることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記扁平チューブがその長手方向に突き当てられる前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部に、段差を設けて、前記扁平チューブが幅方向に突き当てられる第3の突当部を形成し、前記段差の高さは、前記対向面の高さより低くしたことを特徴とする、請求項6記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部は、前記対向面中央部側の端部と平行に設けられ、
前記扁平チューブは、長手方向には、前記第1及び第2のスリットを貫通して、前記ヘッダタンク内の第4の突当部に突き当てられることを特徴とする、請求項1、請求項3、請求項4、請求項5のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1及び第2のスリットの前記後退する部位側の端部のスリット孔方向の前端及び後端について、
前記扁平チューブの板厚をD1、
前記扁平チューブの前記対向面から、前記前端までの後退方向の距離をD2、
前記後端から、前記扁平チューブの端部までの距離をD3とすると、
D2≧D1、及び、D3>0
に設定したことを特徴とする、請求項8記載の熱交換器。
【請求項10】
前記D1、D2について、
D2>D1
に設定したことを特徴とする、請求項9記載の熱交換器。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の熱交換器の組立方法であって、
1列目の扁平チューブをその幅方向端部を上側にして配列する第1工程と、
前記1列目の扁平チューブの両端部に、上側から、一対のヘッダタンクの一方の側面側の第1のスリットを嵌合させる第2工程と、
前記一対のヘッダタンクの他方の側面側の第2のスリットに、上側から、2列目の扁平チューブを嵌合させる第3工程とを含む、熱交換器の組立方法。
【請求項12】
前記第3工程では、前記一対のヘッダタンクの第2のスリットに2列目の扁平チューブを嵌合させる前に、前記一対のヘッダタンクの上端を外側に開き、嵌合後に、閉じることを特徴とする、請求項11記載の熱交換器の組立方法。
【請求項13】
請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の熱交換器の組立方法であって、
一対のヘッダタンクをその一方の側面を上側にして配置する第1工程と、
前記一対のヘッダタンクの前記一方の側面側の第1のスリットに、1列目の扁平チューブの両端部を嵌合する第2工程と、
嵌合している前記一対のヘッダタンクと前記1列目の扁平チューブとを裏返す第3工程と、
前記一対のヘッダタンクの他方の側面側の第2のスリットに、上側から、2列目の扁平チューブを嵌合する第4工程とを含む、熱交換器の組立方法。
【請求項14】
前記第4工程では、前記一対のヘッダタンクの第2のスリットに2列目の扁平チューブを嵌合させる前に、前記一対のヘッダタンクの上端を外側に開き、嵌合後に、閉じることを特徴とする、請求項13記載の熱交換器の組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−242114(P2011−242114A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243173(P2010−243173)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
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