熱交換器及びこの熱交換器を備えた空気調和装置
【課題】二重管熱交換器を内蔵した熱交換器及びこの熱交換器を備えた空気調和装置を得る。
【解決手段】熱交換器は、冷媒が流通する複数のパスと、複数のパスの一方の端部に接続された第1分配ヘッダー5と、複数のパスの他方の端部に接続された第2分配ヘッダー10と、を備える。第2分配ヘッダー10は、複数のパスの他方の端部に接続された外管18と、外管18を流れる冷媒の一部を分岐する分岐配管8aと、分岐配管8aと接続され、分岐配管8aから流入した冷媒と外管18を流れる冷媒とが熱交換する内管19と、分岐配管8aに設けられ、内管19へ流入する冷媒を膨張させる絞り装置7と、を備えたものである。
【解決手段】熱交換器は、冷媒が流通する複数のパスと、複数のパスの一方の端部に接続された第1分配ヘッダー5と、複数のパスの他方の端部に接続された第2分配ヘッダー10と、を備える。第2分配ヘッダー10は、複数のパスの他方の端部に接続された外管18と、外管18を流れる冷媒の一部を分岐する分岐配管8aと、分岐配管8aと接続され、分岐配管8aから流入した冷媒と外管18を流れる冷媒とが熱交換する内管19と、分岐配管8aに設けられ、内管19へ流入する冷媒を膨張させる絞り装置7と、を備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及びこの熱交換器を備えた空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷房運転時において室外熱交換器から流出した液冷媒の過冷却度を増大させるため、二重管熱交換器を備えた空気調和装置が提案されている。このような従来の空気調和装置に用いられる二重管熱交換器としては、例えば「1本の二重管41を直線部45と屈曲部48とで形成し、直線部45同士及び屈曲部48同士が重なるように巻く。」(例えば、特許文献1参照)というものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−345074号公報(要約、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の二重管熱交換器は、熱交換をする部分の容積を大きくするために、二重管を螺旋状に巻いた多重巻二重管熱交換器構造をとるものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。そして、このような従来の二重管熱交換器は、室外熱交換器とは別に設けられていた。このため、従来の空気調和装置は、二重管熱交換器を設置するために十分な設置スペースが必要とされ、スペース効率が悪いという問題点があった。また、配管構成が複雑となり、空気調和装置のコストが増大してしまうという問題点もあった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、二重管熱交換器を内蔵した熱交換器及びこの熱交換器を備えた空気調和装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における熱交換器は、冷媒が流通する複数のパスと、複数のパスの一方の端部に接続された第1分配ヘッダーと、複数のパスの他方の端部に接続された第2分配ヘッダーと、を備え、第2分配ヘッダーは、複数のパスの他方の端部に接続された第1配管と、第1配管を流れる冷媒の一部を分岐する分岐配管と、分岐配管と接続され、前記分岐配管から流入した冷媒と第1配管を流れる冷媒とが熱交換する第2配管と、分岐配管に設けられ、第2配管へ流入する冷媒を膨張させる第1絞り装置と、を備えたものである。
【0007】
また、本発明における空気調和装置は、圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、第2絞り装置及び室内熱交換器を備えた空気調和装置において、上記の熱交換器を室外熱交換器として用いたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、熱交換器を構成する第2分配ヘッダーが二重管熱交換器となっている。つまり、本発明の熱交換器は、第2分配ヘッダーに二重管熱交換器を内蔵している。このため、従来は必要だった二重管熱交換器の設置スペースが不要となり、空気調和装置のスペース効率を向上させることができる。また、配管構成が複雑になることを防止できるため、空気調和装置のコストの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る室外熱交換器の第2分配ヘッダー近傍を示す縦断面模式図である。
【図3】図2のZ−Z断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーの別の一例を示す縦断面模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーの別の一例を示す平面断面模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す平面断面模式図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す平面断面模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る空気調和装置を示すシステム構成図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る空気調和装置の室外熱交換器を示す側面図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る空気調和装置の別の一例を示すシステム構成図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーの一例を示す縦断面模式図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーの別の一例を示す縦断面模式図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
【図16】二重管熱交換器を備えた従来の空気調和装置を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施形態1に係る熱交換器、及びこの熱交換器を備えた空気調和装置について説明する。なお、以下の実施の形態を説明する図面では、各構成部材の大きさや形状が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置を示すシステム構成図である。
実施の形態1に係る空気調和装置50は、冷媒を循環させるヒートポンプ方式の冷凍サイクル回路を備えている。この冷凍サイクル回路は、圧縮機1、四方弁3、室外熱交換器4、膨張弁等である絞り装置25、室内熱交換器26等により構成されている。圧縮機1は、吸入した冷媒を圧縮して吐出するものである。四方弁3は、冷房運転時と暖房運転時で、圧縮機1から吐出された冷媒の流路を切り替えるものである。つまり、四方弁3は、圧縮機1から吐出された冷媒の流路を、室外熱交換器4へ流入する流路(冷房運転時)又は室内熱交換器26へ流入する流路(暖房運転時)に切り替えるものである。
【0012】
室外熱交換器4は、この室外熱交換器4を流れる冷媒と室外空気とが熱交換するものである。この室外熱交換器4は、冷媒が流れる複数のパスが形成されている。複数のパスとは、例えばフィンチューブ型熱交換器の伝熱管等である。これら複数のパスには、第1分配ヘッダー5及び第2分配ヘッダー10が接続されている。第1分配ヘッダー5は、室外熱交換器4が凝縮器として機能する際(冷房運転時)、複数のパスへガス冷媒を分配するものである。また、第1分配ヘッダー5は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際(暖房運転時)、複数のパスから流出したガス冷媒を合流させるものである。第2分配ヘッダー10は、室外熱交換器4が凝縮器として機能する際(冷房運転時)、複数のパスから流出した液冷媒を合流させるものである。また、第2分配ヘッダー10は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際(暖房運転時)、複数のパスへ気液二相冷媒を分配するものである。
【0013】
絞り装置25は、室外熱交換器4又は室内熱交換器26から流入した冷媒を膨張(減圧)させるものである。室内熱交換器26は、この室内熱交換器26を流れる冷媒と室内空気とが熱交換するものである。なお、四方弁3が本発明における流路切替装置に相当し、絞り装置25が本発明の第2絞り装置に相当する。
【0014】
また、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置50は、オイルセパレーター2及びアキュムレーター9を備えている。オイルセパレーター2は、圧縮機1の吐出側に設けられ、吐出冷媒に混入している作動油を分離して取り出すものである。また、アキュムレーター9は、四方弁3と圧縮機1との間に設けられ、液冷媒とガス冷媒を分離するものである。アキュムレーター9で分離されたガス冷媒を圧縮機1が吸入することで、圧縮機1への液バックを防止することができる。
【0015】
ここで、本実施の形態1に係る空気調和装置50と二重管熱交換器を備えた従来の空気調和装置とを比較するため、二重管熱交換器を備えた従来の空気調和装置について説明する。
【0016】
図16は、二重管熱交換器を備えた従来の空気調和装置を示すシステム構成図である。なお、図16を含め、以下の図では、絞り装置25及び室内熱交換器26の図示を省略する場合がある。
従来の空気調和装置100においては、室外熱交換器4の第2分配ヘッダー6は、冷媒を合流及び分岐する機能のみ有している。このため、室外熱交換器4から流出した液冷媒の過冷却度を増大させる二重管熱交換器110は、室外熱交換器4(より詳しくは、第2分配ヘッダー6)と絞り装置25とを接続する液側配管27に設けられている。二重管熱交換器110は内部に2つの流路が形成されており、一方の流路には液側配管27を流れる冷媒が通過する。また、他方の流路には、液側配管27から分岐した分岐配管108aが接続されている。つまり、他方の流路には、分岐配管108aを通過する際に絞り装置107で膨張された冷媒が流れる。例えば冷房運転時、二重管熱交換器110内において一方の流路を流れる冷媒と他方を流れる冷媒とが熱交換することにより、室外熱交換器4から流出した液冷媒の過冷却度を増大させることができる(つまり、冷却性能を向上させることができる)。なお、二重管熱交換器110の他方の流路を通過した冷媒は、配管108bを通ってアキュムレーター9の上流側へ流入する。
【0017】
しかしながら、従来の空気調和装置100は、二重管熱交換器110を設けるために十分なスペースを必要とし、空気調和装置100が大型化してしまう。また、従来の空気調和装置100は、配管構成が複雑になり、製造コストが増大してしまう。
【0018】
そこで、本実施の形態1に係る空気調和装置50は、冷凍性能を向上させつつ、空気調和装置100の大型化や製造コスト等の増加を防止するため、二重管熱交換器を室外熱交換器4に内蔵している。具体的には、本実施の形態1に係る空気調和装置50においては、室外熱交換器4を以下のような構成にしている。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1に係る室外熱交換器の第2分配ヘッダー近傍を示す縦断面模式図である。また、図3は、図2のZ−Z断面図である。以下、これら図2及び図3と図1を用いて、本実施の形態1に係る室外熱交換器4の詳細について説明する。
本実施の形態1に係る室外熱交換器4の第2分配ヘッダー10は、例えば中空円筒形状の外管18、例えば中空円筒形状の内管19、外管18と内管19とを接続する分岐配管8a、及び例えば膨張弁等である絞り装置7等を備えている。ここで、外管18が本発明の第1配管に相当し、内管19が本発明の第2配管に相当し、絞り装置7が本発明の第1絞り装置に相当する。
【0020】
外管18は、例えば上下方向に沿って配置されており、分配リードパイプ20を介して複数のパスに接続されている。この外管18は、室外熱交換器4が凝縮器として機能する際(冷房運転時)、複数のパスへガス冷媒を分配するものである。また、この外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際(暖房運転時)、複数のパスから流出したガス冷媒を合流させるものである。この外管18の内部には、外管18よりも直径の小さな内管19が配置されている。これら外管18と内管19とは、互いの下端部近傍が分岐配管8aによって接続されている。また、内管19の上端部は、配管8bを介してアキュムレーター9の上流側と接続されている。なお、冷凍サイクル回路内にアキュムレーター9が設けられていない場合、配管8bを圧縮機1の吸入側に接続してもよい。
【0021】
(動作)
このような本実施の形態1に係る室外熱交換器4を備えた空気調和装置50は、以下のように動作する。
【0022】
まず、冷房運転時における空気調和装置50の動作について説明する。
冷房運転時、圧縮機1から吐出された高圧のガス冷媒は、オイルセパレーター2で作動油が分離された後、四方弁3を介して室外熱交換器4へ流入する。室外熱交換器4へ流入した高圧のガス冷媒は、第1分配ヘッダー5で分配され、各パスに流入する。各パスに流入した高圧のガス冷媒は、室外空気と熱交換して凝縮し、高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、分配リードパイプ20を介して外管18へ流入して合流する。外管18で合流した高圧の液冷媒は、外管18の内周面と内管19の外周面との間を流れる間に、内管19を流れる低温冷媒に冷却され、過冷却度が増大する(過冷却が促進される)。
【0023】
過冷却度が増大したこの液冷媒の一部は、液側配管27を通って、絞り装置25に流入する。一方、過冷却度が増大したこの液冷媒の残りの一部は、分岐配管8aに流入し、絞り装置7で減圧されて、低温の気液二相冷媒となる。この冷媒は、内管19へ流入し、外管18の内周面と内管19の外周面との間を流れる冷媒を冷却した後、配管8bを通ってアキュムレーター9へ流入する。なお、本実施の形態1では、外管18を流れる冷媒(より詳しくは、外管18の内周面と内管19の外周面との間を流れる冷媒)と内管19を流れる冷媒の流れ方向が、対向流となっている。両配管を流れる冷媒の流れ方向を対向流とすることにより、両配管を流れる冷媒の熱交換を促進することができる。
【0024】
再び、絞り装置25に流入した低温の液冷媒に着目すると、この液冷媒は、絞り装置25で減圧されて気液二相冷媒となり、室内熱交換器26へ流入する。室内熱交換器26へ流入した低温低圧の気液二相冷媒は、室内空気を冷却しながら蒸発し、四方弁3を介してアキュムレーター9へ流入する。アキュムレーター9へ流入した冷媒は、液冷媒とガス冷媒に分離される。そして、アキュムレーター9で分離されたガス冷媒は、圧縮機1に吸入されて、再び圧縮される。
【0025】
次に、暖房運転時における空気調和装置50の動作について説明する。
暖房運転時、圧縮機1から吐出された高圧のガス冷媒は、オイルセパレーター2で作動油が分離された後、四方弁3を介して室内熱交換器26へ流入する。室内熱交換器26へ流入した高圧のガス冷媒は、室内空気を加熱しながら凝縮し、液冷媒となって絞り装置25へ流入する。絞り装置25へ流入した液冷媒は、減圧されて気液二相冷媒となった後、液側配管27を通って室外熱交換器4へ流入する。
【0026】
室外熱交換器4へ流入した気液二相冷媒は、第2分配ヘッダー10で分配され、各パスに流入する。各パスに流入した気液二相冷媒は、室外空気と熱交換して蒸発し、例えば低圧のガス冷媒となる。この冷媒は、第1分配ヘッダー5で合流し、四方弁3を介してアキュムレーター9へ流入する。アキュムレーター9へ流入した冷媒は、液冷媒とガス冷媒に分離される。そして、アキュムレーター9で分離されたガス冷媒は、圧縮機1に吸入されて、再び圧縮される。
【0027】
なお、暖房運転時においては、第2分配ヘッダー10の外管18のみに気液二相冷媒が流通するように絞り装置7を閉状態としてもよいし、外管18及び内管19の双方に気液二相冷媒が流通するように絞り装置7の開度を調整してもよい。内管19にも冷媒を流通させることにより、外管18を通過して各パスへ流入する気液二相冷媒の循環量を低減させることができる。これにより、外管18及び各パスにおける圧力損失を低減させることができる。また、内管19を通る気液二相冷媒と外管18を通る気液二相冷媒とが熱交換することとなるため、各パスに流入する気液二相冷媒のエンタルピーを下げることができ、室外熱交換器4の蒸発能力を増加させることができる。
【0028】
以上、本実施の形態1のように構成された室外熱交換器4及びこの室外熱交換器4を備えた空気調和装置50においては、二重管熱交換器を室外熱交換器4の第2分配ヘッダー10に内蔵しているので、冷房運転時における過冷却度を十分に確保しつつ、空気調和装置50のスペース効率を向上させることができる。また、配管構成を簡素化できるため、空気調和装置50のコストの増大を抑制することができる。
【0029】
なお、本実施の形態1(図1〜図3)で示した室外熱交換器4の構成は、あくまでも一例であり、本発明の効果を有する限りにおいて種々の構成とすることができる。
【0030】
例えば、冷房運転時、内管19の下端部近傍から内管19内へ冷媒を流入させた場合、室外熱交換器4の下部(例えば、下部に配置されたパス内)に冷媒が寝込む場合がある。外管18内の過冷却度が最も大きい冷媒(外管18の下部近傍の冷媒、換言すると外管18の出口近傍の冷媒)が、内管19を流れる冷媒のうちで最もエンタルピーが低い状態のものと熱交換することになるためである。室外熱交換器4の下部に冷媒が寝込むと、室外熱交換器4の一部で効率的な熱交換ができなくなり、室外熱交換器4の凝縮能力が低下してしまう。
【0031】
このような場合、室外熱交換器4の第2分配ヘッダー10を例えば以下のように構成し、各パスの出口近傍における冷媒の過冷却度バランスを均一化するとよい。
【0032】
図4は、本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーの別の一例を示す縦断面模式図である。
例えば図4に示すように、内管19の略中央部(下部近傍ではない位置)に分岐配管8aを接続するとよい。このように第2分配ヘッダー10を構成することにより、外管18内の過冷却度が最も大きい冷媒(外管18の下部近傍の冷媒、換言すると外管18の出口近傍の冷媒)と熱交換する内管19内の冷媒は、エンタルピーが高い状態のものとなる。これにより、各パスの出口近傍における冷媒の過冷却度バランスを均一化でき、室外熱交換器4の下部に冷媒が寝込むことを抑制できる。
【0033】
図5は、本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
例えば図5に示す第2分配ヘッダー10は、分岐配管8aの端部に複数の分岐バイパス管29が設けられている。そして、これら分岐バイパス管29が、内管19内の冷媒流れ方向(内管19の長手方向)に沿って、内管19と接続されている。つまり、分岐配管8aは、複数の流路に分岐されて内管19に接続されている。このように第2分配ヘッダー10を構成することにより、略同一のエンタルピーとなった冷媒が内管19に流入し、各パスから流出した冷媒は、略同一のエンタルピーとなった冷媒と熱交換することとなる。これにより、各パスの出口近傍における冷媒の過冷却度バランスを均一化でき、室外熱交換器4の下部に冷媒が寝込むことを抑制できる。
【0034】
また例えば、二重管熱交換器構造となる第2分配ヘッダー10(第1配管及び第2配管)の構成も、図2及び図3に示した外管18及び内管19の構成に限定されるものではない。
【0035】
図6〜図8は、本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーの別の一例を示す平面断面模式図である。これらの図は、図3と同じ位置の断面を示している。
例えば図6に示すように、一本の配管を仕切り板で分割し、第1配管24(図3の外管18に相当)と第2配管23(図3の内管19に相当)を一体形成してもよい。
また例えば図7に示すように、第1配管24(図3の外管18に相当)の外周面と第2配管23(図3の内管19に相当)の外周面とが接するように、第2分配ヘッダー10を構成してもよい。
また例えば図8に示すように、第1配管24(図3の外管18に相当)の内周面と第2配管23(図3の内管19に相当)の外周面とが接するように、第2分配ヘッダー10を構成してもよい。
図6〜図8に示す第2分配ヘッダー10においては、冷房運転時、各パスから流出した冷媒は第1配管24を流れることとなる。また、分岐配管8aを通って絞り装置7で減圧された冷媒は、第2配管23を流れることとなる。
【0036】
ここで、図6〜図8に示す第2分配ヘッダー10の場合、第2配管23の断面積を第1配管24の断面積よりも小さくするとよい。第2配管23に流れる冷媒の流量は絞り装置7で制御することが可能であり、第2配管23を流れる冷媒の流量は第1配管24を流れる冷媒の流量よりも十分に小さいためである。また、暖房運転時に第1配管24のみに冷媒を流通させる場合、第1配管24の圧力損失が過大となることを防止するためである。
【0037】
実施の形態2.
冷房運転時、室外熱交換器4に冷媒が寝込んでしまった場合に備え、例えば以下のような寝込み是正装置を予め空気調和装置50に備えていてもよい。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0038】
図9は、本発明の実施の形態2に係る空気調和装置を示すシステム構成図である。また、図10は、この空気調和装置の室外熱交換器を示す側面図である。
本実施の形態2に係る空気調和装置50は、実施の形態1で示した空気調和装置50に、室外熱交換器4の内部に冷媒が寝込むことを是正する寝込み是正装置が設けられている。この寝込み是正装置は、バイパス管13、例えば電磁弁である開閉装置14、及び例えばキャピラリーである絞り装置15を備えている。ここで、絞り装置15が本発明の第3絞り装置に相当する。
【0039】
バイパス管13は、一端が圧縮機1の吐出側に接続され、室外熱交換器4を通って他端が圧縮機1の吸入側(本実施の形態2の場合はアキュムレーター9の上流側)に接続されている。そして、バイパス管13を流れる冷媒(圧縮機1から吐出された冷媒)が室外熱交換器4へ流入する位置である高圧バイパス管入口22は、最も過冷却度の大きい下部のパス出口21の近傍に設けられている。開閉装置14は、バイパス管13の流路を開閉するものであり、圧縮機1の吐出側と室外熱交換器4との間のバイパス管13(図9においてバイパス管13aとして示す配管)に設けられている。絞り装置15は、バイパス管13を流れる冷媒を減圧するものであり、室外熱交換器4と圧縮機1の吸入側との間のバイパス管13(図9においてバイパス管13bとして示す配管)に設けられている。
【0040】
また、本実施の形態2に係る空気調和装置50の室外熱交換器4には、冷媒の寝込みを検知するサーミスタ12が設けられている。サーミスタ12は、例えば、冷媒が寝込みやすい下部のパスの出口に設けられている。
【0041】
サーミスタ12の検知温度に基づいて冷媒の寝込みを検知した場合、開閉装置14を開き、圧縮機1から吐出された高圧のガス冷媒をバイパス管13へ流す。この高圧のガス冷媒が室外熱交換器4内に配置されたバイパス管13内を流れることにより、室外熱交換器4内に寝込んだ冷媒を蒸発させることができる。このとき、室外熱交換器4内に配置されたバイパス管13を流れて冷却された(液化した)バイパス管13bを流れる冷媒は、絞り装置15で減圧(膨張)されるので、圧縮機1への液バックを防止することができる。
【0042】
なお、室外熱交換器4の内部に冷媒が寝込むことを是正する寝込み是正装置は、図9に示すものに限定されず、例えば次のような構成にしてもよい。
【0043】
図11は、本発明の実施の形態2に係る空気調和装置の別の一例を示すシステム構成図である。
図11に示す空気調和装置50は、寝込み是正装置として、バイパス管13c、例えば電磁弁である開閉装置14、及び例えばキャピラリーである絞り装置15を備えている。ここで、バイパス管13cが本発明の第1回収配管に相当する。
【0044】
バイパス管13cは、圧縮機1の吸入側(本実施の形態2の場合はアキュムレーター9の上流側)と室外熱交換器4のパスの一部(例えば、下部に配置されているパス)とを接続するものである。開閉装置14は、バイパス管13cの流路を開閉するものであり、バイパス管13cに設けられている。絞り装置15は、バイパス管13cを流れる冷媒を減圧するものであり、バイパス管13cに設けられている。また、図11に示す空気調和装置50の室外熱交換器4にも、冷媒の寝込みを検知するサーミスタ12が設けられている。
【0045】
サーミスタ12の検知温度に基づいて冷媒の寝込みを検知した場合、開閉装置14を開くことより、室外熱交換器4内に寝込んだ冷媒を圧縮機1によって吸入することができる。このとき、絞り装置15でバイパス管13c内の冷媒を減圧(膨張)するので、圧縮機1への液バックを防止することができる。
【0046】
以上、本実施の形態2に係る空気調和装置50のように寝込み是正装置を備えることにより、室外熱交換器4の内部に冷媒が寝込むことを是正することができる。
【0047】
実施の形態3.
暖房運転時、第2分配ヘッダー10の第1配管(例えば図2の外管18)には気液二相冷媒が流入し、この冷媒が各パスへ分配されることとなる。このとき、第1配管(例えば図2の外管18)の下部から流入した気液二相冷媒は、第1配管(例えば図2の外管18)の上方へ流れるにつれて圧力損失が増加し、乾き度が増加する。このため、暖房運転時、第1配管(例えば図2の外管18)を流れる冷媒の圧力損失の増加を抑制するため、例えば以下のように第2分配ヘッダー10を構成してもよい。なお、実施の形態1において第2分配ヘッダー10の構成を幾つか示したが(例えば図2、図6〜図8)、本実施の形態3では、図2で示した第2分配ヘッダー10を例に説明する。また、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態2と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0048】
図12は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーの一例を示す縦断面模式図である。
図12に示す第2分配ヘッダー10の内管19は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、直径が段階的に小さくなっている。つまり、図12に示す第2分配ヘッダー10の内管19は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、流路の断面積が段階的に小さくなっている。これにより、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、外管18の流路を段階的に大きくできる。このため、外管18の上方へ行くに従って圧力損失が増加することを抑制できるので、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。なお、図12に示す内管19は、段部での急激な形状変化によって圧力損失が増加することを抑制するため、段部をC面カット形状30にしている。
【0049】
図13は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーの別の一例を示す縦断面模式図である。
図13に示す第2分配ヘッダー10の内管19は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、直径が漸近的に小さくなっている(換言すると、テーバー形状となっている)。つまり、図13に示す第2分配ヘッダー10の内管19は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、流路の断面積が漸近的に小さくなっている。これにより、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、外管18の流路を漸近的に大きくできる。このため、外管18の上方へ行くに従って圧力損失が増加することを抑制できるので、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。
【0050】
図14は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
図14に示す第2分配ヘッダー10の外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、直径が段階的に大きくなっている。つまり、図14に示す第2分配ヘッダー10の外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、流路の断面積が段階的に大きくなっている。このため、外管18の上方へ行くに従って圧力損失が増加することを抑制できるので、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。なお、図14に示す外管18は、段部での急激な形状変化によって圧力損失が増加することを抑制するため、段部をC面カット形状30にしている。
【0051】
図15は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
図15に示す第2分配ヘッダー10の外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、直径が漸近的に大きくなっている(換言すると、テーバー形状となっている)。つまり、図15に示す第2分配ヘッダー10の外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、流路の断面積が漸近的に大きくなっている。このため、外管18の上方へ行くに従って圧力損失が増加することを抑制できるので、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。
【0052】
以上のように、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、外管18の流路を大きくしていくことにより、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。
【0053】
なお、本実施の形態3では、外管18又は内管19の一方の直径を変更したが、外管18及び内管19の双方の直径を変更しても勿論よい。また、実施の形態1の図6〜図8で示した第2分配ヘッダー10においても、上記のように第1配管24の流路断面積を変化させることにより、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 圧縮機、2 オイルセパレーター、3 四方弁、4 室外熱交換器(冷房:凝縮器、暖房:蒸発器)、5 第1分配ヘッダー、6 第2分配ヘッダー、7 絞り装置、8a 分岐配管、8b 配管、9 アキュムレーター、10 第2分配ヘッダー、12 サーミスタ、13(13a,13b) バイパス管、13c バイパス管、14 開閉装置、15 絞り装置、18 外管、19 内管、20 分配リードパイプ、21 パス出口、22 高圧バイパス管入口、23 第2配管、24 第1配管、25 絞り装置、26 室内熱交換器(冷房:蒸発器、暖房:凝縮器)、27 液側配管、29 分岐バイパス管、30 C面カット形状、50 空気調和装置、100 空気調和装置(従来)、107 絞り装置(従来)、108a 分岐配管(従来)、108b 配管(従来)、110 二重管熱交換器(従来)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及びこの熱交換器を備えた空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷房運転時において室外熱交換器から流出した液冷媒の過冷却度を増大させるため、二重管熱交換器を備えた空気調和装置が提案されている。このような従来の空気調和装置に用いられる二重管熱交換器としては、例えば「1本の二重管41を直線部45と屈曲部48とで形成し、直線部45同士及び屈曲部48同士が重なるように巻く。」(例えば、特許文献1参照)というものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−345074号公報(要約、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の二重管熱交換器は、熱交換をする部分の容積を大きくするために、二重管を螺旋状に巻いた多重巻二重管熱交換器構造をとるものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。そして、このような従来の二重管熱交換器は、室外熱交換器とは別に設けられていた。このため、従来の空気調和装置は、二重管熱交換器を設置するために十分な設置スペースが必要とされ、スペース効率が悪いという問題点があった。また、配管構成が複雑となり、空気調和装置のコストが増大してしまうという問題点もあった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、二重管熱交換器を内蔵した熱交換器及びこの熱交換器を備えた空気調和装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における熱交換器は、冷媒が流通する複数のパスと、複数のパスの一方の端部に接続された第1分配ヘッダーと、複数のパスの他方の端部に接続された第2分配ヘッダーと、を備え、第2分配ヘッダーは、複数のパスの他方の端部に接続された第1配管と、第1配管を流れる冷媒の一部を分岐する分岐配管と、分岐配管と接続され、前記分岐配管から流入した冷媒と第1配管を流れる冷媒とが熱交換する第2配管と、分岐配管に設けられ、第2配管へ流入する冷媒を膨張させる第1絞り装置と、を備えたものである。
【0007】
また、本発明における空気調和装置は、圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、第2絞り装置及び室内熱交換器を備えた空気調和装置において、上記の熱交換器を室外熱交換器として用いたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、熱交換器を構成する第2分配ヘッダーが二重管熱交換器となっている。つまり、本発明の熱交換器は、第2分配ヘッダーに二重管熱交換器を内蔵している。このため、従来は必要だった二重管熱交換器の設置スペースが不要となり、空気調和装置のスペース効率を向上させることができる。また、配管構成が複雑になることを防止できるため、空気調和装置のコストの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和装置を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る室外熱交換器の第2分配ヘッダー近傍を示す縦断面模式図である。
【図3】図2のZ−Z断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーの別の一例を示す縦断面模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーの別の一例を示す平面断面模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す平面断面模式図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す平面断面模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る空気調和装置を示すシステム構成図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る空気調和装置の室外熱交換器を示す側面図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る空気調和装置の別の一例を示すシステム構成図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーの一例を示す縦断面模式図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーの別の一例を示す縦断面模式図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
【図16】二重管熱交換器を備えた従来の空気調和装置を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施形態1に係る熱交換器、及びこの熱交換器を備えた空気調和装置について説明する。なお、以下の実施の形態を説明する図面では、各構成部材の大きさや形状が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置を示すシステム構成図である。
実施の形態1に係る空気調和装置50は、冷媒を循環させるヒートポンプ方式の冷凍サイクル回路を備えている。この冷凍サイクル回路は、圧縮機1、四方弁3、室外熱交換器4、膨張弁等である絞り装置25、室内熱交換器26等により構成されている。圧縮機1は、吸入した冷媒を圧縮して吐出するものである。四方弁3は、冷房運転時と暖房運転時で、圧縮機1から吐出された冷媒の流路を切り替えるものである。つまり、四方弁3は、圧縮機1から吐出された冷媒の流路を、室外熱交換器4へ流入する流路(冷房運転時)又は室内熱交換器26へ流入する流路(暖房運転時)に切り替えるものである。
【0012】
室外熱交換器4は、この室外熱交換器4を流れる冷媒と室外空気とが熱交換するものである。この室外熱交換器4は、冷媒が流れる複数のパスが形成されている。複数のパスとは、例えばフィンチューブ型熱交換器の伝熱管等である。これら複数のパスには、第1分配ヘッダー5及び第2分配ヘッダー10が接続されている。第1分配ヘッダー5は、室外熱交換器4が凝縮器として機能する際(冷房運転時)、複数のパスへガス冷媒を分配するものである。また、第1分配ヘッダー5は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際(暖房運転時)、複数のパスから流出したガス冷媒を合流させるものである。第2分配ヘッダー10は、室外熱交換器4が凝縮器として機能する際(冷房運転時)、複数のパスから流出した液冷媒を合流させるものである。また、第2分配ヘッダー10は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際(暖房運転時)、複数のパスへ気液二相冷媒を分配するものである。
【0013】
絞り装置25は、室外熱交換器4又は室内熱交換器26から流入した冷媒を膨張(減圧)させるものである。室内熱交換器26は、この室内熱交換器26を流れる冷媒と室内空気とが熱交換するものである。なお、四方弁3が本発明における流路切替装置に相当し、絞り装置25が本発明の第2絞り装置に相当する。
【0014】
また、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置50は、オイルセパレーター2及びアキュムレーター9を備えている。オイルセパレーター2は、圧縮機1の吐出側に設けられ、吐出冷媒に混入している作動油を分離して取り出すものである。また、アキュムレーター9は、四方弁3と圧縮機1との間に設けられ、液冷媒とガス冷媒を分離するものである。アキュムレーター9で分離されたガス冷媒を圧縮機1が吸入することで、圧縮機1への液バックを防止することができる。
【0015】
ここで、本実施の形態1に係る空気調和装置50と二重管熱交換器を備えた従来の空気調和装置とを比較するため、二重管熱交換器を備えた従来の空気調和装置について説明する。
【0016】
図16は、二重管熱交換器を備えた従来の空気調和装置を示すシステム構成図である。なお、図16を含め、以下の図では、絞り装置25及び室内熱交換器26の図示を省略する場合がある。
従来の空気調和装置100においては、室外熱交換器4の第2分配ヘッダー6は、冷媒を合流及び分岐する機能のみ有している。このため、室外熱交換器4から流出した液冷媒の過冷却度を増大させる二重管熱交換器110は、室外熱交換器4(より詳しくは、第2分配ヘッダー6)と絞り装置25とを接続する液側配管27に設けられている。二重管熱交換器110は内部に2つの流路が形成されており、一方の流路には液側配管27を流れる冷媒が通過する。また、他方の流路には、液側配管27から分岐した分岐配管108aが接続されている。つまり、他方の流路には、分岐配管108aを通過する際に絞り装置107で膨張された冷媒が流れる。例えば冷房運転時、二重管熱交換器110内において一方の流路を流れる冷媒と他方を流れる冷媒とが熱交換することにより、室外熱交換器4から流出した液冷媒の過冷却度を増大させることができる(つまり、冷却性能を向上させることができる)。なお、二重管熱交換器110の他方の流路を通過した冷媒は、配管108bを通ってアキュムレーター9の上流側へ流入する。
【0017】
しかしながら、従来の空気調和装置100は、二重管熱交換器110を設けるために十分なスペースを必要とし、空気調和装置100が大型化してしまう。また、従来の空気調和装置100は、配管構成が複雑になり、製造コストが増大してしまう。
【0018】
そこで、本実施の形態1に係る空気調和装置50は、冷凍性能を向上させつつ、空気調和装置100の大型化や製造コスト等の増加を防止するため、二重管熱交換器を室外熱交換器4に内蔵している。具体的には、本実施の形態1に係る空気調和装置50においては、室外熱交換器4を以下のような構成にしている。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1に係る室外熱交換器の第2分配ヘッダー近傍を示す縦断面模式図である。また、図3は、図2のZ−Z断面図である。以下、これら図2及び図3と図1を用いて、本実施の形態1に係る室外熱交換器4の詳細について説明する。
本実施の形態1に係る室外熱交換器4の第2分配ヘッダー10は、例えば中空円筒形状の外管18、例えば中空円筒形状の内管19、外管18と内管19とを接続する分岐配管8a、及び例えば膨張弁等である絞り装置7等を備えている。ここで、外管18が本発明の第1配管に相当し、内管19が本発明の第2配管に相当し、絞り装置7が本発明の第1絞り装置に相当する。
【0020】
外管18は、例えば上下方向に沿って配置されており、分配リードパイプ20を介して複数のパスに接続されている。この外管18は、室外熱交換器4が凝縮器として機能する際(冷房運転時)、複数のパスへガス冷媒を分配するものである。また、この外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際(暖房運転時)、複数のパスから流出したガス冷媒を合流させるものである。この外管18の内部には、外管18よりも直径の小さな内管19が配置されている。これら外管18と内管19とは、互いの下端部近傍が分岐配管8aによって接続されている。また、内管19の上端部は、配管8bを介してアキュムレーター9の上流側と接続されている。なお、冷凍サイクル回路内にアキュムレーター9が設けられていない場合、配管8bを圧縮機1の吸入側に接続してもよい。
【0021】
(動作)
このような本実施の形態1に係る室外熱交換器4を備えた空気調和装置50は、以下のように動作する。
【0022】
まず、冷房運転時における空気調和装置50の動作について説明する。
冷房運転時、圧縮機1から吐出された高圧のガス冷媒は、オイルセパレーター2で作動油が分離された後、四方弁3を介して室外熱交換器4へ流入する。室外熱交換器4へ流入した高圧のガス冷媒は、第1分配ヘッダー5で分配され、各パスに流入する。各パスに流入した高圧のガス冷媒は、室外空気と熱交換して凝縮し、高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、分配リードパイプ20を介して外管18へ流入して合流する。外管18で合流した高圧の液冷媒は、外管18の内周面と内管19の外周面との間を流れる間に、内管19を流れる低温冷媒に冷却され、過冷却度が増大する(過冷却が促進される)。
【0023】
過冷却度が増大したこの液冷媒の一部は、液側配管27を通って、絞り装置25に流入する。一方、過冷却度が増大したこの液冷媒の残りの一部は、分岐配管8aに流入し、絞り装置7で減圧されて、低温の気液二相冷媒となる。この冷媒は、内管19へ流入し、外管18の内周面と内管19の外周面との間を流れる冷媒を冷却した後、配管8bを通ってアキュムレーター9へ流入する。なお、本実施の形態1では、外管18を流れる冷媒(より詳しくは、外管18の内周面と内管19の外周面との間を流れる冷媒)と内管19を流れる冷媒の流れ方向が、対向流となっている。両配管を流れる冷媒の流れ方向を対向流とすることにより、両配管を流れる冷媒の熱交換を促進することができる。
【0024】
再び、絞り装置25に流入した低温の液冷媒に着目すると、この液冷媒は、絞り装置25で減圧されて気液二相冷媒となり、室内熱交換器26へ流入する。室内熱交換器26へ流入した低温低圧の気液二相冷媒は、室内空気を冷却しながら蒸発し、四方弁3を介してアキュムレーター9へ流入する。アキュムレーター9へ流入した冷媒は、液冷媒とガス冷媒に分離される。そして、アキュムレーター9で分離されたガス冷媒は、圧縮機1に吸入されて、再び圧縮される。
【0025】
次に、暖房運転時における空気調和装置50の動作について説明する。
暖房運転時、圧縮機1から吐出された高圧のガス冷媒は、オイルセパレーター2で作動油が分離された後、四方弁3を介して室内熱交換器26へ流入する。室内熱交換器26へ流入した高圧のガス冷媒は、室内空気を加熱しながら凝縮し、液冷媒となって絞り装置25へ流入する。絞り装置25へ流入した液冷媒は、減圧されて気液二相冷媒となった後、液側配管27を通って室外熱交換器4へ流入する。
【0026】
室外熱交換器4へ流入した気液二相冷媒は、第2分配ヘッダー10で分配され、各パスに流入する。各パスに流入した気液二相冷媒は、室外空気と熱交換して蒸発し、例えば低圧のガス冷媒となる。この冷媒は、第1分配ヘッダー5で合流し、四方弁3を介してアキュムレーター9へ流入する。アキュムレーター9へ流入した冷媒は、液冷媒とガス冷媒に分離される。そして、アキュムレーター9で分離されたガス冷媒は、圧縮機1に吸入されて、再び圧縮される。
【0027】
なお、暖房運転時においては、第2分配ヘッダー10の外管18のみに気液二相冷媒が流通するように絞り装置7を閉状態としてもよいし、外管18及び内管19の双方に気液二相冷媒が流通するように絞り装置7の開度を調整してもよい。内管19にも冷媒を流通させることにより、外管18を通過して各パスへ流入する気液二相冷媒の循環量を低減させることができる。これにより、外管18及び各パスにおける圧力損失を低減させることができる。また、内管19を通る気液二相冷媒と外管18を通る気液二相冷媒とが熱交換することとなるため、各パスに流入する気液二相冷媒のエンタルピーを下げることができ、室外熱交換器4の蒸発能力を増加させることができる。
【0028】
以上、本実施の形態1のように構成された室外熱交換器4及びこの室外熱交換器4を備えた空気調和装置50においては、二重管熱交換器を室外熱交換器4の第2分配ヘッダー10に内蔵しているので、冷房運転時における過冷却度を十分に確保しつつ、空気調和装置50のスペース効率を向上させることができる。また、配管構成を簡素化できるため、空気調和装置50のコストの増大を抑制することができる。
【0029】
なお、本実施の形態1(図1〜図3)で示した室外熱交換器4の構成は、あくまでも一例であり、本発明の効果を有する限りにおいて種々の構成とすることができる。
【0030】
例えば、冷房運転時、内管19の下端部近傍から内管19内へ冷媒を流入させた場合、室外熱交換器4の下部(例えば、下部に配置されたパス内)に冷媒が寝込む場合がある。外管18内の過冷却度が最も大きい冷媒(外管18の下部近傍の冷媒、換言すると外管18の出口近傍の冷媒)が、内管19を流れる冷媒のうちで最もエンタルピーが低い状態のものと熱交換することになるためである。室外熱交換器4の下部に冷媒が寝込むと、室外熱交換器4の一部で効率的な熱交換ができなくなり、室外熱交換器4の凝縮能力が低下してしまう。
【0031】
このような場合、室外熱交換器4の第2分配ヘッダー10を例えば以下のように構成し、各パスの出口近傍における冷媒の過冷却度バランスを均一化するとよい。
【0032】
図4は、本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーの別の一例を示す縦断面模式図である。
例えば図4に示すように、内管19の略中央部(下部近傍ではない位置)に分岐配管8aを接続するとよい。このように第2分配ヘッダー10を構成することにより、外管18内の過冷却度が最も大きい冷媒(外管18の下部近傍の冷媒、換言すると外管18の出口近傍の冷媒)と熱交換する内管19内の冷媒は、エンタルピーが高い状態のものとなる。これにより、各パスの出口近傍における冷媒の過冷却度バランスを均一化でき、室外熱交換器4の下部に冷媒が寝込むことを抑制できる。
【0033】
図5は、本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
例えば図5に示す第2分配ヘッダー10は、分岐配管8aの端部に複数の分岐バイパス管29が設けられている。そして、これら分岐バイパス管29が、内管19内の冷媒流れ方向(内管19の長手方向)に沿って、内管19と接続されている。つまり、分岐配管8aは、複数の流路に分岐されて内管19に接続されている。このように第2分配ヘッダー10を構成することにより、略同一のエンタルピーとなった冷媒が内管19に流入し、各パスから流出した冷媒は、略同一のエンタルピーとなった冷媒と熱交換することとなる。これにより、各パスの出口近傍における冷媒の過冷却度バランスを均一化でき、室外熱交換器4の下部に冷媒が寝込むことを抑制できる。
【0034】
また例えば、二重管熱交換器構造となる第2分配ヘッダー10(第1配管及び第2配管)の構成も、図2及び図3に示した外管18及び内管19の構成に限定されるものではない。
【0035】
図6〜図8は、本発明の実施の形態1に係る第2分配ヘッダーの別の一例を示す平面断面模式図である。これらの図は、図3と同じ位置の断面を示している。
例えば図6に示すように、一本の配管を仕切り板で分割し、第1配管24(図3の外管18に相当)と第2配管23(図3の内管19に相当)を一体形成してもよい。
また例えば図7に示すように、第1配管24(図3の外管18に相当)の外周面と第2配管23(図3の内管19に相当)の外周面とが接するように、第2分配ヘッダー10を構成してもよい。
また例えば図8に示すように、第1配管24(図3の外管18に相当)の内周面と第2配管23(図3の内管19に相当)の外周面とが接するように、第2分配ヘッダー10を構成してもよい。
図6〜図8に示す第2分配ヘッダー10においては、冷房運転時、各パスから流出した冷媒は第1配管24を流れることとなる。また、分岐配管8aを通って絞り装置7で減圧された冷媒は、第2配管23を流れることとなる。
【0036】
ここで、図6〜図8に示す第2分配ヘッダー10の場合、第2配管23の断面積を第1配管24の断面積よりも小さくするとよい。第2配管23に流れる冷媒の流量は絞り装置7で制御することが可能であり、第2配管23を流れる冷媒の流量は第1配管24を流れる冷媒の流量よりも十分に小さいためである。また、暖房運転時に第1配管24のみに冷媒を流通させる場合、第1配管24の圧力損失が過大となることを防止するためである。
【0037】
実施の形態2.
冷房運転時、室外熱交換器4に冷媒が寝込んでしまった場合に備え、例えば以下のような寝込み是正装置を予め空気調和装置50に備えていてもよい。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0038】
図9は、本発明の実施の形態2に係る空気調和装置を示すシステム構成図である。また、図10は、この空気調和装置の室外熱交換器を示す側面図である。
本実施の形態2に係る空気調和装置50は、実施の形態1で示した空気調和装置50に、室外熱交換器4の内部に冷媒が寝込むことを是正する寝込み是正装置が設けられている。この寝込み是正装置は、バイパス管13、例えば電磁弁である開閉装置14、及び例えばキャピラリーである絞り装置15を備えている。ここで、絞り装置15が本発明の第3絞り装置に相当する。
【0039】
バイパス管13は、一端が圧縮機1の吐出側に接続され、室外熱交換器4を通って他端が圧縮機1の吸入側(本実施の形態2の場合はアキュムレーター9の上流側)に接続されている。そして、バイパス管13を流れる冷媒(圧縮機1から吐出された冷媒)が室外熱交換器4へ流入する位置である高圧バイパス管入口22は、最も過冷却度の大きい下部のパス出口21の近傍に設けられている。開閉装置14は、バイパス管13の流路を開閉するものであり、圧縮機1の吐出側と室外熱交換器4との間のバイパス管13(図9においてバイパス管13aとして示す配管)に設けられている。絞り装置15は、バイパス管13を流れる冷媒を減圧するものであり、室外熱交換器4と圧縮機1の吸入側との間のバイパス管13(図9においてバイパス管13bとして示す配管)に設けられている。
【0040】
また、本実施の形態2に係る空気調和装置50の室外熱交換器4には、冷媒の寝込みを検知するサーミスタ12が設けられている。サーミスタ12は、例えば、冷媒が寝込みやすい下部のパスの出口に設けられている。
【0041】
サーミスタ12の検知温度に基づいて冷媒の寝込みを検知した場合、開閉装置14を開き、圧縮機1から吐出された高圧のガス冷媒をバイパス管13へ流す。この高圧のガス冷媒が室外熱交換器4内に配置されたバイパス管13内を流れることにより、室外熱交換器4内に寝込んだ冷媒を蒸発させることができる。このとき、室外熱交換器4内に配置されたバイパス管13を流れて冷却された(液化した)バイパス管13bを流れる冷媒は、絞り装置15で減圧(膨張)されるので、圧縮機1への液バックを防止することができる。
【0042】
なお、室外熱交換器4の内部に冷媒が寝込むことを是正する寝込み是正装置は、図9に示すものに限定されず、例えば次のような構成にしてもよい。
【0043】
図11は、本発明の実施の形態2に係る空気調和装置の別の一例を示すシステム構成図である。
図11に示す空気調和装置50は、寝込み是正装置として、バイパス管13c、例えば電磁弁である開閉装置14、及び例えばキャピラリーである絞り装置15を備えている。ここで、バイパス管13cが本発明の第1回収配管に相当する。
【0044】
バイパス管13cは、圧縮機1の吸入側(本実施の形態2の場合はアキュムレーター9の上流側)と室外熱交換器4のパスの一部(例えば、下部に配置されているパス)とを接続するものである。開閉装置14は、バイパス管13cの流路を開閉するものであり、バイパス管13cに設けられている。絞り装置15は、バイパス管13cを流れる冷媒を減圧するものであり、バイパス管13cに設けられている。また、図11に示す空気調和装置50の室外熱交換器4にも、冷媒の寝込みを検知するサーミスタ12が設けられている。
【0045】
サーミスタ12の検知温度に基づいて冷媒の寝込みを検知した場合、開閉装置14を開くことより、室外熱交換器4内に寝込んだ冷媒を圧縮機1によって吸入することができる。このとき、絞り装置15でバイパス管13c内の冷媒を減圧(膨張)するので、圧縮機1への液バックを防止することができる。
【0046】
以上、本実施の形態2に係る空気調和装置50のように寝込み是正装置を備えることにより、室外熱交換器4の内部に冷媒が寝込むことを是正することができる。
【0047】
実施の形態3.
暖房運転時、第2分配ヘッダー10の第1配管(例えば図2の外管18)には気液二相冷媒が流入し、この冷媒が各パスへ分配されることとなる。このとき、第1配管(例えば図2の外管18)の下部から流入した気液二相冷媒は、第1配管(例えば図2の外管18)の上方へ流れるにつれて圧力損失が増加し、乾き度が増加する。このため、暖房運転時、第1配管(例えば図2の外管18)を流れる冷媒の圧力損失の増加を抑制するため、例えば以下のように第2分配ヘッダー10を構成してもよい。なお、実施の形態1において第2分配ヘッダー10の構成を幾つか示したが(例えば図2、図6〜図8)、本実施の形態3では、図2で示した第2分配ヘッダー10を例に説明する。また、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態2と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0048】
図12は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーの一例を示す縦断面模式図である。
図12に示す第2分配ヘッダー10の内管19は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、直径が段階的に小さくなっている。つまり、図12に示す第2分配ヘッダー10の内管19は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、流路の断面積が段階的に小さくなっている。これにより、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、外管18の流路を段階的に大きくできる。このため、外管18の上方へ行くに従って圧力損失が増加することを抑制できるので、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。なお、図12に示す内管19は、段部での急激な形状変化によって圧力損失が増加することを抑制するため、段部をC面カット形状30にしている。
【0049】
図13は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーの別の一例を示す縦断面模式図である。
図13に示す第2分配ヘッダー10の内管19は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、直径が漸近的に小さくなっている(換言すると、テーバー形状となっている)。つまり、図13に示す第2分配ヘッダー10の内管19は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、流路の断面積が漸近的に小さくなっている。これにより、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、外管18の流路を漸近的に大きくできる。このため、外管18の上方へ行くに従って圧力損失が増加することを抑制できるので、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。
【0050】
図14は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
図14に示す第2分配ヘッダー10の外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、直径が段階的に大きくなっている。つまり、図14に示す第2分配ヘッダー10の外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、流路の断面積が段階的に大きくなっている。このため、外管18の上方へ行くに従って圧力損失が増加することを抑制できるので、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。なお、図14に示す外管18は、段部での急激な形状変化によって圧力損失が増加することを抑制するため、段部をC面カット形状30にしている。
【0051】
図15は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の第2分配ヘッダーのさらに別の一例を示す縦断面模式図である。
図15に示す第2分配ヘッダー10の外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、直径が漸近的に大きくなっている(換言すると、テーバー形状となっている)。つまり、図15に示す第2分配ヘッダー10の外管18は、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、流路の断面積が漸近的に大きくなっている。このため、外管18の上方へ行くに従って圧力損失が増加することを抑制できるので、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。
【0052】
以上のように、室外熱交換器4が蒸発器として機能する際に外管18を流れる冷媒の流れ方向に沿って(つまり、下部から上部にかけて)、外管18の流路を大きくしていくことにより、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。
【0053】
なお、本実施の形態3では、外管18又は内管19の一方の直径を変更したが、外管18及び内管19の双方の直径を変更しても勿論よい。また、実施の形態1の図6〜図8で示した第2分配ヘッダー10においても、上記のように第1配管24の流路断面積を変化させることにより、室外熱交換器4の各パスの入口における冷媒の乾き度を均一化でき、各パスへ冷媒を均等に分配することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 圧縮機、2 オイルセパレーター、3 四方弁、4 室外熱交換器(冷房:凝縮器、暖房:蒸発器)、5 第1分配ヘッダー、6 第2分配ヘッダー、7 絞り装置、8a 分岐配管、8b 配管、9 アキュムレーター、10 第2分配ヘッダー、12 サーミスタ、13(13a,13b) バイパス管、13c バイパス管、14 開閉装置、15 絞り装置、18 外管、19 内管、20 分配リードパイプ、21 パス出口、22 高圧バイパス管入口、23 第2配管、24 第1配管、25 絞り装置、26 室内熱交換器(冷房:蒸発器、暖房:凝縮器)、27 液側配管、29 分岐バイパス管、30 C面カット形状、50 空気調和装置、100 空気調和装置(従来)、107 絞り装置(従来)、108a 分岐配管(従来)、108b 配管(従来)、110 二重管熱交換器(従来)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流通する複数のパスと、
前記複数のパスの一方の端部に接続された第1分配ヘッダーと、
前記複数のパスの他方の端部に接続された第2分配ヘッダーと、
を備え、
前記第2分配ヘッダーは、
前記複数のパスの他方の端部に接続された第1配管と、
前記第1配管を流れる冷媒の一部を分岐する分岐配管と、
前記分岐配管と接続され、前記分岐配管から流入した冷媒と前記第1配管を流れる冷媒とが熱交換する第2配管と、
前記分岐配管に設けられ、前記第2配管へ流入する冷媒を膨張させる第1絞り装置と、
を備えたことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記複数のパスから流出した冷媒が前記第1配管を流れる際の流れ方向に沿って見た場合、
前記分岐配管の前記第2配管への接続位置は、
前記第2配管の下流側端部よりも上流側となる位置であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記分岐配管は、複数の流路に分岐されて前記第2配管と接続されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1配管は、
前記複数のパスから流出した冷媒が前記第1配管を流れる際の流れ方向に沿って、流路の断面積が大きくなっていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第2配管は、
前記複数のパスから流出した冷媒が前記第1配管を流れる際の流れ方向に沿って、流路の断面積が小さくなっていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1配管及び前記第2配管は、
管部材の内部を仕切り板で分割することにより一体形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第2配管は、その外周面が前記第1配管の内周面に接触して設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第2配管は、その外周面が前記第1配管の外周面に接触して設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、第2絞り装置及び室内熱交換器を備えた空気調和装置において、
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の熱交換器を室外熱交換器として用いたことを特徴とする空気調和装置。
【請求項10】
前記室外熱交換器の内部に冷媒が寝込むことを是正する寝込み是正装置を備えたことを特徴とする請求項9に記載の空気調和装置。
【請求項11】
前記寝込み是正装置は、
一端が前記圧縮機の吐出側に接続され、前記室外熱交換器を通って他端が前記圧縮機の吸入側と接続されたバイパス管と、
前記圧縮機の吐出側と前記室外熱交換器との間の前記バイパス管に設けられた開閉装置と、
前記室外熱交換器と前記圧縮機の吸入側との間の前記バイパス管に設けられた第3絞り装置と、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の空気調和装置。
【請求項12】
前記寝込み是正装置は、
前記圧縮機の吸入側と前記室外熱交換器の前記複数のパスの一部とを接続する第1回収配管と、
前記第1回収配管に設けられた開閉装置及び第3絞り装置と、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の空気調和装置。
【請求項1】
冷媒が流通する複数のパスと、
前記複数のパスの一方の端部に接続された第1分配ヘッダーと、
前記複数のパスの他方の端部に接続された第2分配ヘッダーと、
を備え、
前記第2分配ヘッダーは、
前記複数のパスの他方の端部に接続された第1配管と、
前記第1配管を流れる冷媒の一部を分岐する分岐配管と、
前記分岐配管と接続され、前記分岐配管から流入した冷媒と前記第1配管を流れる冷媒とが熱交換する第2配管と、
前記分岐配管に設けられ、前記第2配管へ流入する冷媒を膨張させる第1絞り装置と、
を備えたことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記複数のパスから流出した冷媒が前記第1配管を流れる際の流れ方向に沿って見た場合、
前記分岐配管の前記第2配管への接続位置は、
前記第2配管の下流側端部よりも上流側となる位置であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記分岐配管は、複数の流路に分岐されて前記第2配管と接続されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1配管は、
前記複数のパスから流出した冷媒が前記第1配管を流れる際の流れ方向に沿って、流路の断面積が大きくなっていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第2配管は、
前記複数のパスから流出した冷媒が前記第1配管を流れる際の流れ方向に沿って、流路の断面積が小さくなっていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1配管及び前記第2配管は、
管部材の内部を仕切り板で分割することにより一体形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第2配管は、その外周面が前記第1配管の内周面に接触して設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第2配管は、その外周面が前記第1配管の外周面に接触して設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、第2絞り装置及び室内熱交換器を備えた空気調和装置において、
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の熱交換器を室外熱交換器として用いたことを特徴とする空気調和装置。
【請求項10】
前記室外熱交換器の内部に冷媒が寝込むことを是正する寝込み是正装置を備えたことを特徴とする請求項9に記載の空気調和装置。
【請求項11】
前記寝込み是正装置は、
一端が前記圧縮機の吐出側に接続され、前記室外熱交換器を通って他端が前記圧縮機の吸入側と接続されたバイパス管と、
前記圧縮機の吐出側と前記室外熱交換器との間の前記バイパス管に設けられた開閉装置と、
前記室外熱交換器と前記圧縮機の吸入側との間の前記バイパス管に設けられた第3絞り装置と、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の空気調和装置。
【請求項12】
前記寝込み是正装置は、
前記圧縮機の吸入側と前記室外熱交換器の前記複数のパスの一部とを接続する第1回収配管と、
前記第1回収配管に設けられた開閉装置及び第3絞り装置と、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の空気調和装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−107775(P2012−107775A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255144(P2010−255144)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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