説明

熱交換型反応器

【課題】原料化合物(A)の供給量が少なくても、最上流の領域(31)を所定の反応温度に維持しうる熱交換型反応器(1)を提供する。
【解決手段】熱交換型反応器(1)は、原料化合物(A)を通過させながら発熱反応により生成物(B)を得るための反応管(2)と、該反応管(2)の周囲を覆い、内部が前記原料化合物(A)の通過方向に沿って複数の領域(31…)に分割され、分割された領域(31…)ごとに熱媒体(C1…)が充填された反応器シェル(3)とを備え、前記分割された領域(31…)ごとに前記反応管(2)内部と前記熱媒体(C1…)との間で熱交換する反応器(1)であり、分割された領域の全て(31…)がそれぞれに充填された熱媒体(C1…)を他の領域に充填された熱媒体(C2…)から独立して加熱する加熱器(41…)を備え、各領域(31…)ごとに循環ポンプ(61〜64)および冷却器(81〜84)が設けられてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換型反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
原料化合物(A)から発熱反応により生成物(B)を得る反応は、一般に、所定の反応温度を超える温度で反応させると急激に発熱し易いことから、効率よく除熱しながら反応させることが求められている。このような反応を行うための反応器として、図3に示すように、反応管(2)と、この反応管(2)の周囲を覆う反応器シェル(3)とを備えた熱交換型反応器(1´)が広く用いられている。この反応器(1´)では、反応管(2)に、原料化合物(A)を通過させながら発熱反応により生成物(B)を得る。反応器シェル(3)は、原料化合物(A)の通過方向に沿って複数の領域(31〜34)に分割されていて、この分割された各領域(31〜34)ごとに熱媒体(C1〜C4)が充填されており、それぞれ反応管(2)内と熱媒体(C1〜C4)との間で熱交換させる〔特許文献1:特開2001−129384号公報〕。かかる熱交換型反応器(1´)によれば、各領域(31〜34)ごとに発熱量に応じて熱媒体(C1〜C4)の温度を変えるなどすることにより、効率よく除熱して、反応管(2)内を所定の反応温度に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−129384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる従来の熱交換型反応器(1´)では、各領域(31〜34)における反応量が全体の反応量に対して少ないため、原料化合物(A)の供給量が少ない場合や触媒活性が低下した場合などには、各領域(31〜34)における顕熱持ち出し量と放熱量の合計が反応熱を上回り、所定の反応温度を維持できなくなることがあるという問題があり、特に最上流の領域(31)において顕著な問題となりやすかった。またそのようなときには反応収率が低下するという問題があった。さらに、反応ガス導入前に各領域(31〜34)を異なる温度に設定する必要がある場合には、冷却手段しか設置されていない図3の方法では対応しにくい問題があった。
【0005】
そこで本発明者は、原料化合物(A)の供給量が少なくても、最上流の領域(31)を所定の反応温度に維持しうる熱交換型反応器(1)を提供するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、原料化合物(A)を通過させながら発熱反応により生成物(B)を得るための反応管(2)と、該反応管(2)の周囲を覆い、内部が前記原料化合物(A)の通過方向に沿って複数の領域(31、32、…)に分割され、分割された領域(31、32、…)ごとに熱媒体(C1、C2、…)が充填された反応器シェル(3)とを備え、前記分割された領域(31、32、…)ごとに前記反応管(2)内部と前記熱媒体(C1、C2、…)との間で熱交換する反応器(1)であり、前記分割された領域(31、32、…)のうちの最上流の領域(31)に充填された熱媒体(C1)を他の領域に充填された熱媒体(C2、…)から独立して加熱する加熱器(41)を備えてなることを特徴とする熱交換型反応器(1)を提供するものである。図1および図2には、それぞれ本発明の熱交換型反応器(1)の一例を模式的に示す。この熱交換型反応器(1)の反応管(2)に原料化合物(A)を供給し、通過させながら発熱反応させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、原料化合物(A)の供給量が少なくても、最上流の領域(31)を所定の反応温度に維持しうる熱交換型反応器(1)が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の熱交換型反応器の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の熱交換型反応器の他の一例を示す模式図である。
【図3】従来の熱交換型反応器を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の熱交換型反応器(1)に適用される原料化合物(A)は、発熱反応を経て生成物(B)となる化合物であり、通常はガス状のものが用いられる。具体的には、例えば気相酸化法により塩素(Cl2)を得るための塩化水素(HCl)および酸素(O2)、気相酸化法により生成物(B)としてアクロレイン、更にアクリル酸を得るためのプロピレンおよび酸素(O2)、気相酸化法によりメタクロレイン、更にはメタクリル酸を得るためのイソブチレンおよび酸素(O2)などが挙げられる。
【0010】
原料化合物(A)は希釈されることなく無希釈で用いられてもよいし、反応に対して不活性な不活性物質で希釈されて用いられてもよい。原料化合物(A)を無希釈で用いると、生成物(B)から希釈に用いた不活性ガスを分離する必要がないことから好ましい。また、無希釈で用いる場合には、一般に、発熱量の多い領域では所定の反応温度を上回り易く、発熱量の少ない領域では所定の反応温度を下回り易くなる傾向にあるが、本発明の熱交換型反応器(1)では、各領域の温度を緻密に調整できるため、好ましく用いられる。
【0011】
本発明の熱交換型反応器(1)は、原料化合物(A)を上流から下流へと一方向に通過させながら発熱反応により生成物(B)を得るための反応管(2)を備えており、反応管(2)が1本の単管式であってもよいが、通常は2本以上100000本以下の複数の反応管(2)が用いられた多管式熱交換型反応器である。反応管(2)はコイル状であってもよいが、通常は直線状の直管が用いられる。反応管(2)として直管を用いる場合、本発明の熱交換型反応器(1)は、反応管(2)を水平方向に配置した横型であってもよいが、通常は図1に示すように、反応管(2)を垂直方向に配置して、原料化合物(A)を垂直方向に通過させる縦型である。
【0012】
反応管(2)内は無触媒であってもよいが、通常は触媒が充填されて用いられる。触媒としては通常、粒子状の固形触媒が用いられ、具体的には、例えば気相酸化法により塩化水素および酸素から塩素を得るための、酸化ルテニウムを主成分とし、酸化チタン(好ましくはルチル型酸化チタン)に担持させた酸化触媒、気相酸化法によりプロピレンおよび酸素(O2)からアクロレイン、更にアクリル酸を得るための酸化触媒、気相酸化法によりイソブチレンおよび酸素からメタクロレイン、更にメタクリル酸を得るための酸化触媒などが挙げられる。触媒は、反応に対して不活性な不活性充填材で希釈されていてもよい。また、触媒を複数の触媒層に分けて反応管(2)内に充填する場合には、触媒層同士の間に不活性充填材からなる不活性層を設けてもよい。複数の触媒層に分けて充填する場合、通常は下流側の活性が高くなるように触媒を配置する。活性の調整には、異なる種類の触媒を用いる方法、触媒成分の担持量を変える方法、1種類の触媒を不活性充填材で希釈する方法がよく用いられる。また、触媒の粒子形状や粒子径を異ならせることによって活性を調整することも可能である。
【0013】
反応器シェル(3)は、反応管(2)の周囲を覆うものである。反応管(2)は、例えば図1に示すように、上管板(10)および下管板(12)によって、反応器シェル(3)に対して固定される。
【0014】
反応器シェル(3)は、原料化合物(A)の通過方向に沿って複数の領域(3)に分割されている。反応器シェル(3)は、2段以上に分割されていればよく、通常は10段以下であるが、3段以上、さらには4段以上に分割されているときには、各領域あたりの発熱量が比較的少なくなって、本発明の熱交換型反応器(1)の効果を発揮し易いため、好ましく適用される。
【0015】
反応器シェル(3)を複数(n)の領域(31、32、…)に分割するには通常、中間管板または遮断板などの仕切板(11)が用いられる。中間管板は、互いに隣接する領域(31と32等)間で熱媒体(C1とC2等)が相互に移動しないように、反応管(2)と密着して反応器シェル(3)内に設けられる仕切板である。遮断板は、反応管(2)との間に隙間を空けて反応器シェル(3)内に設けられ、隣接する領域(31と32等)間で熱媒体(C1とC2等)が僅かに移動することを許容する仕切板(11)である。なお、nは領域の数を表す2以上の整数である。
【0016】
反応管(2)に触媒を充填して用いる場合に、仕切板(11)の付近の反応管(2)内では熱媒体との熱交換が不十分となり、ホットスポットと呼ばれる局所的な高温部分となり易い傾向にあるため、この付近での発熱が抑えられるよう、この付近には触媒と共に不活性充填材を充填して触媒を希釈したり、触媒に代えて不活性充填材だけを充填して不活性充填材層としておくことが好ましい。
【0017】
各領域(31、32、…)を循環する熱媒体(C)としては、目的とする反応温度、熱媒体の取扱いの容易さなどに応じて適宜選択され、例えば亜硝酸ナトリウム40質量%、硝酸ナトリウム質量7%、硝酸カリウム53質量%の混合物や、亜硝酸ナトリウム50質量%、硝酸カリウム50質量%の混合物などの溶融塩(HTS:Heat Transfer Salt)、金属ナトリウムなどの溶融金属などの無機物からなる無機熱媒体、アルキルビフェニル類、ビフェニル類とジフェニルオキサイド類との混合物、ビフェニル類とジフェニルエーテル類との混合物、トリフェニル類、ジベンジルトルエン類、アルキルベンゼン類、アルキルナフタリン類、アリールアルキル類などの有機物からなる有機熱媒体、イオン性液体、水などが挙げられる。
【0018】
反応器シェル(3)内の各領域(31、32、…)には、熱媒体(C1、C2、…)の流動方向を整えるために邪魔板(13)を設けてもよい。邪魔板の形状としては、例えば円板状、穴開円板状、欠円形などが挙げられる。邪魔板(13)は通常、熱媒体の流れ方向が反応管(2)に対して概ね直角になるように設けられる。邪魔板(13)は、全ての領域(31、32、…)に設けてもよいし、図1に示すように特によく反応温度を制御したい領域(31)だけに設けてもよい。一つの領域に設けられる邪魔板の数は通常、1〜3枚程度である。
【0019】
各領域(31、32、…)の熱媒体(C1、C2、…)は、通常、反応管(2)内との熱交換により反応熱を吸収して昇温するので、通常は各領域に充填された熱媒体(C1、C2、…)を冷却しながら熱交換させる。例えば図1に示す熱交換型反応器(1)では、各領域ごとに循環ポンプ(61〜64)および冷却器(81〜84)を設け、循環ポンプ(61〜64)により各領域(31〜34)と冷却器(81〜84)との間で熱媒体(C1〜C4)をそれぞれ循環させることにより、熱媒体(C1〜C4)を冷却している。各領域における熱媒体(C1〜C4)の温度は、各冷却器(81〜84)と各領域(31〜34)との間に設けられた循環流量調整弁(U1〜U4)によって熱媒体(C1〜C4)の循環流量を調整する方法、各冷却器(81〜84)における熱媒体(C1〜C4)の冷却温度を調整する方法などにより、各領域(31〜34)ごとに調整することができる。
【0020】
図2に示す熱交換型反応器(1)では、各領域(31〜34)に予め冷却された熱媒体(C0)を加えることにより、各領域の熱媒体(C1〜C4)を冷却している。すなわち、この熱交換型反応器(1)では、各領域(31〜34)ごとに循環ポンプ(61〜64)および循環タンク(51〜54)を設け、循環ポンプ(61〜64)により、各領域(31〜34)と循環タンク(51〜54)との間で熱媒体(C1〜C4)をそれぞれ循環させている。これと共に、各循環タンク(51〜54)には、熱媒体タンク(7)から予め冷却された熱媒体(C0)を分配して加えており、これにより、各領域(31〜34)の熱媒体(C1〜C4)を冷却している。各領域における熱媒体(C1〜C4)の温度は、熱媒体タンク(7)と各循環タンク(51〜54)との間に設けられた供給流量調整弁(V1〜V4)により熱媒体(C0)の供給量を調整する方法などにより、各領域(31〜34)ごとに調整することができる。
【0021】
なお、図2に示す熱交換型反応器(1)において、熱媒体タンク(7)には冷却器(8)が設けられており、熱媒体(C0)は、この冷却器(8)により冷却される。各循環タンク(51〜54)からは、余剰となった熱媒体(C1〜C4)がオーバーフローして熱媒体タンク(7)に送られる。また、各循環タンク(51〜54)は、それぞれの領域(31〜34)にできるだけ接近して設けられることが、各領域と循環タンクとの間の配管を少なくし得て好ましい。熱媒体タンク(7)には予熱器(9)が設けられており、運転開始時などには、この予熱器(9)により、予め熱媒体(C0)を所定の温度に加熱しておき、これを各循環タンク(51〜54)に供給することも可能である。
【0022】
図2に示す熱交換型反応器(1)において、反応器シェル(3)が遮断板により分割されている場合には、各領域(31〜34)の間の熱媒体(C1〜C4)の移動を少なくできる点で、各循環タンク(51〜54)における熱媒体の液面の高さを一致させることが好ましく、さらに各領域(31〜34)間で熱媒体(C1〜C4)の移動を最小限にするよう、循環流量調整弁(U1〜U4)により、各領域(31〜34)と循環タンク(51〜54)との間の循環流量を調節することも好ましい。各循環タンク(51〜54)における熱媒体の液面は、通常の液面計(図示せず)により測定することができる。
【0023】
図1および図2で用いられる循環ポンプ(61〜64)としては、軸流ポンプ、遠心渦巻ポンプなどが用いられ、中でも縦型の遠心渦巻ポンプが好ましく用いられる。
【0024】
本発明の熱交換型反応器(1)は、分割された領域のうちの最上流の領域(31)に充填された熱媒体(C1)を他の領域(32、…)の熱媒体(C2、…)から独立して加熱する加熱器(41)を備える。加熱器(41)としては、例えば電気ヒーター、熱交換式の加熱器などが挙げられるが、電気ヒーターが好ましく用いられる。
【0025】
例えば図1に示す熱交換型反応器(1)では、分割された各領域(31〜34)と、冷却器(81〜84)との間の配管の途中に、これらの間を循環する熱媒体(C1〜C4)を加熱するための加熱器(41〜44)がそれぞれ設けられている。これにより、全ての領域の熱媒体(C1〜C4)について、それぞれ他の領域の熱媒体から独立して加熱することができる。
【0026】
図2に示す熱交換型反応器(1)は、各領域(31〜34)ごとに設けられた循環タンク(51〜54)のうちの一つ(51)に、この循環タンク(51)内の熱媒体(C1)を加熱する加熱器(41)が設けられている。これにより、この循環タンク(51)が設けられた領域(31)の熱媒体(C1)を他の領域(32〜34)の熱媒体(C2〜C4)から独立して加熱することができる。
【0027】
加熱器は、図1に示すように、分割された領域の全て(31〜34)に備えられていることが、各領域(31〜34)の温度をより緻密に調整することができて好ましいが、場合によっては、例えば図2に示すように、一部の領域(31)にだけ加熱器(41)を備えていてもよい。
【0028】
本発明の熱交換型反応器(1)によれば、加熱器(41)により、分割された領域のうちの最上流の領域(31)の熱媒体(C1)を他の領域(32、…)の熱媒体(C2、…)から独立して加熱することができるので、反応管(2)の全域に亙って、各領域の温度を緻密に調整することが容易となり、例えば原料化合物(A)の供給量が少なくて、発熱反応による発熱量が少ない場合にも、容易に、反応管(2)の全域に亙って所定の反応温度に維持することができる。
【0029】
また、例えば原料化合物(A)を十分に予熱しないまま反応管(2)に供給した場合には、最上流の分割領域では顕熱持出し量が発熱量を上回り、反応管(2)の入口付近では反応温度を維持できないことがあるが、図1および図2に示すように、反応管(2)の入口付近の領域(31)の熱媒体(C1)を加熱する加熱器(41)を備える場合には、他の領域(32〜34)の熱媒体(C2〜C4)を加熱することなく、この領域(31)の熱媒体(C1)だけを加熱することができるので、他の領域(32〜34)を所定の反応温度に維持したまま、この領域(31)を所定の反応温度に維持することが容易である。
【0030】
反応管(2)に触媒を充填して用いる場合には、入口付近(31)の触媒は比較的早く劣化し易いのに対して、出口付近(34)の触媒は劣化が比較的遅い傾向にあるので、入口付近に相当する領域(31)の触媒が劣化して、この領域(31)における収率が低下したときには、出口付近に相当する領域(34)の熱媒体(C4)を加熱することにより反応温度を上げ、この領域(34)における収率を上げることができる。
【0031】
また、反応ガス導入前に、各領域(31、32、…)を予め異なる温度に設定する必要がある場合は、図1に示すように各領域の加熱器(41、42、…)をそれぞれ単独に用いて温度設定することができる。もちろん図2の最上流領域の循環タンク(51)に設置している加熱器(41)と同様の加熱器を、全領域に設置してもよい。
【0032】
本発明によれば、原料化合物(A)の供給量が少なくても、最上流の領域を所定の反応温度に維持しうる熱交換型反応器が提供され、さらには、全ての領域に亙り所定の反応温度に維持することが容易な熱交換型反応器が提供される。また、反応収率の低下を抑制しうる原料化合物(A)の反応方法および生成物(B)の製造方法が提供される。本発明によれば、反応ガス導入前に各領域(31〜34)を異なる温度に設定する必要がある場合にも、対応可能である。
【符号の説明】
【0033】
1:本発明の熱交換型反応器 1´:従来の熱交換型反応器
2:反応管
3:反応器シェル 31〜34:分割された領域
41〜44:加熱器
51〜54:循環タンク
61〜64:循環ポンプ
8、81〜84:冷却器
9:予熱器
10:上管板 11:仕切板(遮蔽板、中間管板)
12:下管板 13:邪魔板
U1〜U4:循環流量調整弁 V1〜V4:供給流量調整弁
A:原料化合物 B:生成物
C0〜C4:熱媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料化合物を通過させながら発熱反応により生成物を得るための反応管と、
該反応管の周囲を覆い、内部が前記原料化合物の通過方向に沿って複数の領域に分割され、分割された領域ごとに熱媒体が充填された反応器シェルとを備え、
前記分割された領域ごとに、前記反応管内部と前記熱媒体との間で熱交換させる反応器であり、
分割された領域の全てが、それぞれに充填された熱媒体を他の領域に充填された熱媒体から独立して加熱する加熱器をそれぞれ備え、
各領域ごとに循環ポンプおよび冷却器が設けられ、該循環ポンプにより各領域と冷却器との間で熱媒体をそれぞれ循環させることにより熱媒体を冷却するように構成されていることを特徴とする熱交換型反応器。
【請求項2】
原料化合物を通過させながら発熱反応により生成物を得るための反応管と、
該反応管の周囲を覆い、内部が前記原料化合物を通過方向に沿って複数の領域に分割され、分割された領域ごとに熱媒体が充填された反応器シェルとを備え、
分割された領域の全てが、それぞれに充填された熱媒体を他の領域に充填された熱媒体から独立して加熱する加熱器をそれぞれ備え、
前記分割された領域ごとに、前記反応管内部と前記熱媒体との間で熱交換させる反応器であり、
各領域ごとに循環ポンプおよび循環タンクが設けられ、循環ポンプにより各領域と循環タンクとの間で熱媒体をそれぞれ循環させ、各循環タンクに、熱媒体タンクから予め冷却された熱媒体を分配して加えることにより、各領域の熱媒体を冷却するように構成されていることを特徴とする熱交換型反応器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱交換型反応器の反応管に原料化合物を供給し、通過させながら発熱反応させることを特徴とする前記原料化合物の反応方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の熱交換型反応器の反応管に塩化水素および酸素を供給し、通過させながら発熱反応させることを特徴とする塩素の製造方法。
【請求項5】
塩化水素および酸素を無希釈で供給する請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
酸化ルテニウムを主成分とし、酸化チタンに担持させた酸化触媒を用いる請求項4または請求項5に記載の塩素の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−17715(P2010−17715A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241742(P2009−241742)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【分割の表示】特願2005−151996(P2005−151996)の分割
【原出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】