説明

熱交換型蒸留装置

【課題】液流体を均一に分配して流下させることができ、フラッディング限界も高く、上昇するガスへの液体の同伴も抑えることができる気液分配構造を備えた熱交換型蒸留装置を提供する。
【解決手段】プレートフィン熱交換器の第2通路24に導入した粗液化酸素を窒素富化酸素ガスと液化酸素とに分離する熱交換型蒸留装置において、第2通路は、第2気液接触部25の上部に、粗液化酸素が導入される液導入部32、及び、液導入部からの粗液化酸素を粗分配する粗分配部33とを備えた液流入路28と、窒素富化酸素ガスを導出するガス導出路29とが仕切板27を介して設けられた第1領域30を備えるとともに、粗分配部から流下する粗液化酸素を第2気液接触部に精密分配して流下させるとともに、第2気液接触部から上昇する窒素富化酸素ガスをガス導出路に上昇させる精密分配部37からなる第2領域31とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換型蒸留装置に関し、詳しくは、プレートフィン熱交換器に蒸留機能(気液接触機能)を持たせた熱交換型蒸留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デフレグメータ(分縮器)とも呼ばれる熱交換型蒸留装置は、多数枚のプレート間にコルゲート状の伝熱フィンを挟んで積層状態としたプレートフィン熱交換器に蒸留機能を付加した装置であって、空気を分離して酸素や窒素を製造する空気液化分離装置の蒸留塔等として用いられている。この熱交換型蒸留装置は、一般に、前記プレートの両側に第1通路と第2通路とを交互に配置して互いに熱的結合させ、第1通路を流れる流体と第2通路を流れる流体とを熱交換させ、各通路内で下降液と上昇ガスとを気液接触させることにより、各流体中の低沸点成分を通路上部に濃縮し、高沸点成分を通路下部に濃縮するように形成されている。
【0003】
このような熱交換型蒸留装置では、通路上方から供給される液流体を通路内に均一に分配することが、装置の蒸留性能を高めるために重要なものとなる。このため、通路内に液流体を均一に分配するための液分配器として種々の構造が提案されており、例えば、通路の上部に、液体流路と気体流路とを仕切板を介して隣接配置するとともに、前記液体流路に導入された液流体を均一に分配して流下させるための気液分配構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−89835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の気液分配構造体では、液体流路における通路厚み方向(プレートを横切る方向)に関しての検討が十分ではなく、また、気体流路を上昇するガスに液体の飛沫が同伴されることに関しても十分な検討がなされていない。
【0005】
そこで本発明は、液流体を均一に分配して流下させることができ、フラッディング限界も高く、上昇するガスへの液体の同伴も抑えることができる気液分配構造を備えた熱交換型蒸留装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の熱交換型蒸留装置の第1の構成は、互いに熱的結合された少なくとも二組の通路を有するプレートフィン熱交換器を使用し、少なくとも一方の通路の上方に設けた液導入部から導入した液流体の少なくとも一部を気化させ、気化したガス流体を該通路の上方に設けたガス導出路から導出する熱交換型蒸留装置において、前記液導入部に導入された液流体を粗分配する粗分配部を備えた液流入路と前記ガス導出路とが仕切板を介して設けられた第1領域を設けるとともに、該第1領域の下方に、前記粗分配部から流下する液流体を下方の通路に向けて精密分配して流下させるとともに、該通路から上昇するガス流体を前記ガス導出路に上昇させる精密分配部からなる第2領域を設けたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明の熱交換型蒸留装置の第2の構成は、互いに熱的結合された少なくとも二組の通路を有するプレートフィン熱交換器における第1通路の下部に導入された原料空気を、該第1通路上部の窒素富化ガスと第1通路下部の液化酸素富化流体とに分離する第1気液接触部と、第2通路の上部に導入された粗液化酸素を、該第2通路上部の窒素富化酸素ガスと第2通路下部の液化酸素とに分離する第2気液接触部とを備えた熱交換型蒸留装置において、前記第2通路は、前記第2気液接触部の上部に、外部から前記粗液化酸素が導入される液導入部、及び、該液導入部から流下する粗液化酸素を粗分配する粗分配部とを備えた液流入路と、第2通路内から前記窒素富化酸素ガスを外部に導出するガス導出路とが仕切板を介して設けられた第1領域を備えるとともに、該第1領域の下方に設けられ、前記粗分配部から流下する粗液化酸素を下方の第2気液接触部に精密分配して流下させるとともに、前記第2気液接触部から上昇する窒素富化酸素ガスを前記ガス導出路に上昇させる精密分配部からなる第2領域とを備えていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の熱交換型蒸留装置は、前記第1領域が、2枚の仕切板により厚み方向に3つに区画されており、中央の区画に前記ガス導出路が、両側の区画に前記液流入路がそれぞれ配置されていること、前記仕切板の下端に突起部が設けられていること、前記粗分配部は、液流下抵抗が大きなフィンを配列して形成されていること、あるいは、液流下抵抗が大きなフィンを配列した上部分配部と、この上部分配部に比べて液流下抵抗が小さなフィンを配列した下部分配部との二段で形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、前記精密分配部は、前記通路と同じ厚みで形成されていること、前記精密分配部及び前記通路は、第2の仕切板によって通路厚み方向に分割されていること、前記精密分配部は、軸線を鉛直方向から通路幅方向に傾斜させたフィンを配列して形成されていること、この精密分配部のフィンは、フィン軸線方向から見た断面形状が三角形状であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱交換型蒸留装置によれば、通路上部に導入される液流体を通路内に均一に分配して流下させることができ、プレートを介して隣接する通路間の熱交換を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の一形態例を示す熱交換型蒸留装置の要部の厚み方向断面正面図、図2は液流入路部分を示す要部の幅方向断面側面図、図3はガス導出路部分を示す要部の幅方向断面側面図、図4は熱交換型蒸留装置における各流体の導入、導出状態の一例を示す説明図、図5は各流体の導入、導出状態の他の例を示す説明図、図6は各流体の導入、導出状態の更に他の例を示す説明図である。
【0012】
まず、図4に示すように、本形態例に示す熱交換型蒸留装置11は、原料空気経路12から導入される原料空気(ガス状温流体)Aと、粗液化酸素経路13から導入される粗液化酸素(液状冷流体)RLOとを熱交換させて蒸留することにより、原料空気を上部の窒素富化ガスGNと下部の液化酸素富化流体LAとに分離し、これらを上部の窒素富化ガス経路14及び下部の液化酸素富化流体経路15からそれぞれ導出し、粗液化酸素を上部の窒素富化酸素ガスRGOと下部の液化酸素LOとに分離し、これらを上部の窒素富化酸素ガス経路16及び下部の液化酸素経路17からそれぞれ導出するように形成されている。
【0013】
図1に示すように、熱交換型蒸留装置11は、鉛直方向に設けられる複数のプレート21の間にコルゲート状のフィン22を挟んで積層した状態で一体化したものであって、各プレート21により、前記原料空気が導入される第1通路23と、前記粗液化酸素が導入される第2通路24とが交互に隣接して互いに熱的結合された状態で区画形成されている。
【0014】
第2通路24には、有孔伝熱フィンの軸線(屈曲線)を鉛直方向に向けた第2気液接触部25の上部に、第2通路24に導入される粗液化酸素を第2気液接触部25に均一に分配するとともに、窒素富化酸素ガスを導出するための気液分配手段26が設けられている。この気液分配手段26は、2枚の鉛直方向の仕切板27により厚さ方向(プレートを水平に横切る方向)3分割され、両側の液流入路28の間にガス導出路29を挟んだ状態に形成された第1領域30と、該第1領域30と第2気液接触部25との間に配置された第2領域31とを備えている。
【0015】
第1領域30における前記液流入路28は、外部から前記粗液化酸素経路13を介して供給される粗液化酸素が導入される液導入部32と、該液導入部32から流下する粗液化酸素を粗分配する粗分配部33とを備えており、粗分配部33は、軸線を水平方向として比較的高密度なフィン、例えば幅方向のピッチ(ランス)の大きなセレートフィンあるいはギャップの小さなセレートフィンや開孔率の小さなパーフォレートフィン等を配列した液流下抵抗が大きな上部分配部34と、軸線を水平方向として比較的低密度なフィン、例えばランスの小さなセレートフィンやギャップの大きなセレートフィン等を配列した液流下抵抗が小さな下部分配部35との二段構成で形成されている。なお、上部分配部34及び下部分配部35の二段構成にせずに、下部分配部35を省略して上部分配部34の構造のみにすることもできる。また、第1領域30のガス導出路29には、軸線を鉛直方向に向けたフィンが設けられている。
【0016】
これにより、液流下抵抗の大きな上部分配部34の上に液導入部32から導入された粗液化酸素が所定の液位で保持され、幅方向(プレートに平行な水平方向)に均一に分配可能な状態となり、上部分配部34から下部分配部35の全体に均一に粗液化酸素が分配されて流下する状態となる。このような液流下抵抗の大きな粗分配フィンのみを用いてもある程度は幅方向に均一に分配できるが、粗分配部33を上下に分割し、下部に液流下抵抗が小さな下部分配部35を設け、ここで、例えば、有孔フィンの孔ピッチを第2気液接触部25のフィンの折曲げピッチよりも小さくして液散布密度を大きくしたフィンを用いることにより、幅方向の液分配性能を更に向上させることができる。
【0017】
前記第2気液接触部25及び第2領域31は、第2通路24の厚さ方向中間に設けられた第2仕切板36によって厚さ方向に二つに区画されている。第2仕切板36の上端は、第2気液接触部25の上端から第2領域31の中間部まで突出した状態で設けられており、第2領域31の上部は厚さ方向で連通した状態となっている。なお、第2仕切板36を設けずに厚み方向全体を第2気液接触部25及び第2領域31としてもよい。
【0018】
第1領域30の下方に設けられた第2領域31は、前記粗分配部33から流下する粗液化酸素に適度な流下抵抗を与えて下方の第2気液接触部25に精密分配して流下させるとともに、第2気液接触部25から上昇する窒素富化酸素ガスを前記ガス導出路29に向けて上昇させる精密分配部37を有しており、精密分配部37の上方には、下部分配部35の下端との間に隙間38が設けられ、前記仕切板27の下端には、下部分配部35の下端よりも隙間38内に延長した状態の突起部27aが設けられている。
【0019】
精密分配部37は、第2気液接触部25と同じ厚みを有する有孔フィンを、その軸線を鉛直方向から第2通路24の幅方向に傾斜させた状態で配列したものであって、前記有孔フィンには、液の分配性やガスの上昇性を考慮して、フィン軸線方向から見た断面形状が三角形状に近い折曲げ加工を施した板厚の薄いものが好ましい。
【0020】
精密分配部37における有孔フィンの軸線の傾斜角度は、精密分配部37の高さに応じて適宜設定することができるが、通常は鉛直線に対して5〜30度程度の範囲が好ましく、この傾斜角度が5度未満では有孔フィンを傾斜させた効果が十分に得ることが困難であり、30度を超えて大きく傾斜させると、上昇ガスの抵抗が増加してフラッディング限界が低下することがある。このように、薄板からなる有孔フィンを適当に傾斜させて設けることにより、フィン厚み方向における流下液の均一性を大幅に向上させることができる。
【0021】
特に、第1領域30を2枚の仕切板27によって3分割し、ガス導出路29を挟んで両側部分に液流入路28をそれぞれ配置したことにより、中央に液流入路を設けた場合に比べて液流入路28の流路断面積を増大できるとともに、厚み方向への液の偏りも抑えることができるので、精密分配部37に向けて粗液化酸素を幅方向により均一に分配できる。また、粗分配部33の下部に液流下抵抗が小さな下部分配部35を設けることにより、幅方向の均一性を更に高めることができる。
【0022】
そして、第2気液接触部25と同じ厚みで、断面三角形状の有孔フィンを傾斜させて配列した精密分配部37により、その下方の第2気液接触部25へ粗液化酸素を厚み方向に、より均一に分配することができる。したがって、粗液化酸素は、上方の粗分配部33で幅方向に均一に分配された後、下方の精密分配部37で厚み方向に均一に分配されることにより、第2気液接触部25の全体に均一に分配されることになる。
【0023】
また、精密分配部37の上部には第2仕切板36を設けずに連通状態とし、精密分配部37と下部分配部35との間に隙間38を設けたことにより、第2気液接触部25から精密分配部37を経て上昇する窒素富化酸素ガスは、両精密分配部37間の第2仕切板36の厚みに相当する空間及び前記隙間38を通って円滑にガス導出路29に上昇する。さらに、仕切板27の下端を延長した突起部27aを設けておくことにより、下部分配部35から精密分配部37に流下する液と、精密分配部37からガス導出路29に上昇するガスとを効率よく分離することができ、飛沫がガスに同伴されてガス導出路29から流出することを効果的に抑制できる。
【0024】
加えて、第2気液接触部25を第2仕切板36によって2分割することにより、第2仕切板36の面積分、第2気液接触部25の気液接触面積が増えるので、第1通路23との熱交換や第2気液接触部25内での気液接触を効率よく行うことができる。また、精密分配部37の厚みを小さくできるので、熱交換型蒸留装置11の強度も向上させることができる。
【0025】
図2に示すように、このように形成した熱交換型蒸留装置11において、熱交換型蒸留装置11の外部から粗液化酸素経路13を通り、ヘッダー13aを介して導入される粗液化酸素は、液導入部32の傾斜路に沿って粗分配部33の上部全体に供給され、液流下抵抗が大きな上部分配部34によって粗分配部33の上部で所定の液位に保たれた状態となり、幅方向に均一な流れとなって上部分配部34から下部分配部35に流下し、更に、液流下抵抗が小さな下部分配部35でより均一に幅方向に分配されて精密分配部37に流下する。
【0026】
精密分配部37では、フィンの傾斜や断面形状を選択することによって厚み方向に均一に分配された状態となり、第2通路24の厚み方向全体に構成されていない粗分配部33から流下した粗液化酸素は、第2気液接触部25と同じ厚みの精密分配部37で再分配されることにより、第2気液接触部25の幅方向及び厚み方向に均一に分配された状態となって第2気液接触部25に流下する。
【0027】
一方、図3に示すように、第2気液接触部25から上昇する窒素富化酸素ガスは、その大部分が適当に傾斜した精密分配部37を上昇しながら第2仕切板36の上端を超えた精密分配部37の中間部で厚み方向中央部分に合流し、ガス導出路29に向かって上昇する。また、一部の窒素富化酸素ガスは、精密分配部37から粗分配部33に向かって上昇するが、隙間38によりガス導出路29に導かれる。したがって、圧力損失も最小限に抑えることができる。このとき、前記突起部27aを設けておくことにより、液の流れとガスの流れとを分けて窒素富化酸素ガス中に粗液化酸素の飛沫が同伴されることを抑制でき、粗液化酸素が偏流せずに精密分配部37に流下することができる。
【0028】
なお、原料空気が導入される第1通路23における第1気液接触部等は、従来と同様に形成することができるので、その詳細な説明は省略する。また、各経路の接続状態、各ヘッダーの位置や形状は、気液の流量等の条件に応じて適宜に設定することができる。さらに、熱交換型蒸留装置11には、第1通路23及び第2通路24に加えて、他の流体を加熱又は冷却するための通路を適宜な位置に併設することも可能である。
【0029】
また、各通路を流れる流体の種類は任意であり、特に限定されるものではない。例えば、第2通路24側を前記同様の構成とした場合であっても、図5に示すように、第1通路23を上下方向に分割し、下部通路23aに原料空気Aを導入し、該下部通路23aの底部から導出した気液混合状態の空気(LA+GA)を気液分離器41に導入し、分離した液化空気LAは抜出し、ガス状空気GAは上部通路23bの下部に導入して上部通路23bの上部から窒素富化ガスGNを導出するとともに上部通路23bの下部から液化酸素富化流体LAを導出する構成とすることもできる。
【0030】
さらに、図6に示すように、第1通路23の上部から導出した窒素富化ガスGNの一部を液化器42で液化して液化窒素LNとし、この液化窒素LNの一部を第1通路23の上部に導入して第1通路23内を流下させる構成とすることもできる。この場合、第1通路23の上部にも、第2通路24上部と同様の気液分配構造を採用することができる。なお、第1通路23の上部に導入する液化窒素LNは、他の機器で液化した液化窒素や外部から注入された液化窒素であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一形態例を示す熱交換型蒸留装置の要部の厚み方向断面正面図である。
【図2】液流入路部分を示す要部の幅方向断面側面図である。
【図3】ガス導出路部分を示す要部の幅方向断面側面図である。
【図4】熱交換型蒸留装置における各流体の導入、導出状態の一例を示す説明図である。
【図5】熱交換型蒸留装置における各流体の導入、導出状態の他の例を示す説明図である。
【図6】熱交換型蒸留装置における各流体の導入、導出状態の更に他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
11…熱交換型蒸留装置、12…原料空気経路、13…粗液化酸素経路、13a…ヘッダー、14…窒素富化ガス経路、15…液化酸素富化流体経路、16…窒素富化酸素ガス経路、17…液化酸素経路、21…プレート、22…フィン、23…第1通路、24…第2通路、25…第2気液接触部、26…気液分配手段、27…仕切板、27a…突起部、28…液流入路、29…ガス導出路、30…第1領域、31…第2領域、32…液導入部、33…粗分配部、34…上部分配部、35…下部分配部、36…第2仕切板、37…精密分配部、38…隙間、41…気液分離器、42…液化器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに熱的結合された少なくとも二組の通路を有するプレートフィン熱交換器を使用し、少なくとも一方の通路の上方に設けた液導入部から導入した液流体の少なくとも一部を気化させ、気化したガス流体を該通路の上方に設けたガス導出路から導出する熱交換型蒸留装置において、前記液導入部に導入された液流体を粗分配する粗分配部を備えた液流入路と前記ガス導出路とが仕切板を介して設けられた第1領域を設けるとともに、該第1領域の下方に、前記粗分配部から流下する液流体を下方の通路に向けて精密分配して流下させるとともに、該通路から上昇するガス流体を前記ガス導出路に上昇させる精密分配部からなる第2領域を設けたことを特徴とする熱交換型蒸留装置。
【請求項2】
互いに熱的結合された少なくとも二組の通路を有するプレートフィン熱交換器における第1通路の下部に導入された原料空気を、該第1通路上部の窒素富化ガスと第1通路下部の液化酸素富化流体とに分離する第1気液接触部と、第2通路の上部に導入された粗液化酸素を、該第2通路上部の窒素富化酸素ガスと第2通路下部の液化酸素とに分離する第2気液接触部とを備えた熱交換型蒸留装置において、前記第2通路は、前記第2気液接触部の上部に、外部から前記粗液化酸素が導入される液導入部、及び、該液導入部から流下する粗液化酸素を粗分配する粗分配部とを備えた液流入路と、第2通路内から前記窒素富化酸素ガスを外部に導出するガス導出路とが仕切板を介して設けられた第1領域を備えるとともに、該第1領域の下方に設けられ、前記粗分配部から流下する粗液化酸素を下方の第2気液接触部に精密分配して流下させるとともに、前記第2気液接触部から上昇する窒素富化酸素ガスを前記ガス導出路に上昇させる精密分配部からなる第2領域とを備えていることを特徴とする熱交換型蒸留装置。
【請求項3】
前記第1領域は、2枚の仕切板により厚み方向に3つに区画されており、中央の区画に前記ガス導出路が、両側の区画に前記液流入路がそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換型蒸留装置。
【請求項4】
前記仕切板は、その下端に突起部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の熱交換型蒸留装置。
【請求項5】
前記粗分配部は、液流下抵抗が大きなフィンを配列して形成されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の熱交換型蒸留装置。
【請求項6】
前記粗分配部は、液流下抵抗が大きなフィンを配列した上部分配部と、該上部分配部に比べて液流下抵抗が小さなフィンを配列した下部分配部との二段で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の熱交換型蒸留装置。
【請求項7】
前記精密分配部は、前記通路と同じ厚みで形成されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の熱交換型蒸留装置。
【請求項8】
前記精密分配部及び前記通路は、第2の仕切板によって通路厚み方向に分割されていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の熱交換型蒸留装置。
【請求項9】
前記精密分配部は、軸線を鉛直方向から通路幅方向に傾斜させたフィンを配列して形成されていることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の熱交換型蒸留装置。
【請求項10】
前記フィンは、フィン軸線方向から見た断面形状が三角形状であることを特徴とする請求項9記載の熱交換型蒸留装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−218467(P2007−218467A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37500(P2006−37500)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】