説明

熱伝導性シート及び半導体装置

【課題】熱源側から第1、第2、及び第3の熱伝導性シートをこの順に積層した3層構造の熱伝導性シートにおいて、熱伝導率が高く、前記第2の熱伝導性シートが粘着性を有しない場合にも、熱源と放熱部材との間で位置ずれを起こさず、熱伝導性シートの断面部からのフィラーの粉落ちを防止でき、短絡(ショート)の発生を確実に防止できる熱伝導性シート及び該熱伝導性シートを用いた半導体装置の提供。
【解決手段】半導体装置の熱源2と放熱部材6との間に挟持される熱伝導性シートであって、前記熱源側から、第1の熱伝導性シート3と、第2の熱伝導性シート4と、第3の熱伝導性シート5とをこの順に有してなり、前記第2の熱伝導性シートの熱伝導率が、前記第1の熱伝導性シートの熱伝導率及び前記第3の熱伝導性シートの熱伝導率よりも高い熱伝導性シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性シート及び該熱伝導性シートを用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置が駆動すると多大な熱が発生し、発生した熱が蓄積されると半導体素子の駆動性を悪くし、半導体装置に不具合が生じることがある。そこで、熱源である半導体素子に放熱部材を接合させて外部に熱を放散させる方法が一般的に用いられており、この放熱部材と半導体素子との接合に、炭素繊維等の熱伝導性フィラーを樹脂に配合し、シート化した熱伝導性シートが使用されている。
【0003】
このような熱伝導性シートとしては、エポキシ樹脂等の樹脂バインダーに導電性の熱伝導性フィラーを含有させる場合、例えば、熱伝導性シートの断面部からのフィラーの粉落ちにより、配線上にフィラーが落下し、短絡(ショート)が発生する。このように、高熱伝導率が要求される箇所には、絶縁性の熱伝導フィラーを含有した熱伝導性シートより、導電性の熱伝導フィラーを含有した熱伝導性シートが用いられることがあり、フィラーの粉落ちを防止することは極めて重要なことであった。
【0004】
例えば特許文献1には、第1から第3のシートからなる3層構造の熱伝導性シートが提案されているが、真中の第2の熱伝導性シートは絶縁性であり、導電性の炭素繊維を含有することは開示されていない。
また、特許文献2には、高分子マトリックス材料と、黒鉛化炭素繊維を含有する高分子組成物に、外部から磁場を印加して前記黒鉛化炭素繊維を一定方向に磁場配向させた後、該高分子組成物をシート状に硬化する熱伝導性シートの製造方法が提案されている。しかし、この提案のように、磁場をかけて黒鉛化炭素繊維を一定方向に配向させるには大掛かりな設備が必要であり、高コスト化を招いてしまう。また、半導体装置の熱源と放熱部材との間に、熱源側から第1、第2、第3の熱伝導性シートをこの順に積層した3層構造の熱伝導性シートについては、開示も示唆もされていない。
【0005】
したがって、熱源側から第1、第2、及び第3の熱伝導性シートをこの順に積層した3層構造の熱伝導性シートにおいて、熱伝導率が高く、前記第2の熱伝導性シートが粘着性を有しない場合に、熱源と放熱部材との間で位置ずれを起こさず、熱伝導性シートの断面部からのフィラーの粉落ちを防止でき、短絡(ショート)の発生を確実に防止できる熱伝導性シート及び該熱伝導性シートを用いた半導体装置の速やかな提供が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−87735号公報
【特許文献2】特開2003−200437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、熱源側から第1、第2、及び第3の熱伝導性シートをこの順に積層した3層構造の熱伝導性シートにおいて、熱伝導率が高く、前記第2の熱伝導性シートが粘着性を有しない場合にも、熱源と放熱部材との間で位置ずれを起こさず、熱伝導性シートの断面部からのフィラーの粉落ちを防止でき、短絡(ショート)の発生を確実に防止できる熱伝導性シート及び該熱伝導性シートを用いた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、半導体装置の熱源と放熱部材との間に、熱源側から第1、第2、及び第3の熱伝導性シートをこの順に積層した3層構造の熱伝導性シートにおいて、導電性の炭素繊維フィラーを含有する第2の熱伝導性シートが、絶縁性の第1の熱伝導性シートと絶縁性の第3の熱伝導性シートに挟持されており、粘着性の無い導電性の前記第2の熱伝導性シートが熱源と放熱部材との間から、ずれることを抑制することができ、前記導電性の炭素繊維フィラーの粉落ちが防止でき、短絡(ショート)の発生を確実に防止できることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 半導体装置の熱源と放熱部材との間に挟持される熱伝導性シートであって、
前記熱源側から、第1の熱伝導性シートと、第2の熱伝導性シートと、第3の熱伝導性シートとをこの順に有してなり、
前記第2の熱伝導性シートの熱伝導率が、前記第1の熱伝導性シートの熱伝導率及び前記第3の熱伝導性シートの熱伝導率よりも高いことを特徴とする熱伝導性シートである。
<2> 第2の熱伝導性シートが、アスペクト比が8以上である炭素繊維を含有する前記<1>に記載の熱伝導性シートである。
<3> 炭素繊維が、第2の熱伝導性シートの厚み方向に沿って垂直配向している前記<2>に記載の熱伝導性シートである。
<4> 第1及び第3の熱伝導性シートが絶縁性の熱伝導性フィラーを含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の熱伝導性シートである。
<5> 第2の熱伝導性シートの厚みBと、第1の熱伝導性シートの厚みA及び第2の熱伝導性シートの厚みCの合計との比〔B/(A+C)〕が、0.3以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載の熱伝導性シートである。
<6> 放熱部材と、熱源と、前記熱源と前記放熱部材との間に挟持される熱伝導性シートとを有する半導体装置において、
前記熱伝導性シートが、前記熱源側から、第1の熱伝導性シートと、第2の熱伝導性シートと、第3の熱伝導性シートとをこの順に有してなり、
前記半導体装置に荷重をかけた後において、前記第1の熱伝導性シートの表面積及び前記第3の熱伝導性シートの表面積が、前記第2の熱伝導性シートの表面積より大きいことを特徴とする半導体装置である。
<7> 半導体装置に荷重をかけた後において、次式、第3の熱伝導性シートの表面積>第1の熱伝導性シートの表面積>第2の熱伝導性シートの表面積を満たす前記<6>に記載の半導体装置である。
<8> 半導体装置に荷重をかけた後において、第1及び第3の熱伝導性シートの端部が、第2の熱伝導性シートの端部よりも突出している前記<6>から<7>のいずれかに記載の半導体装置である。
<9> 半導体装置に荷重をかけた後において、第1の熱伝導性シート端部が第2及び第3の熱伝導性シートの端部より突出しており、
第3の熱伝導性シートの端部が前記第2の熱伝導性シートの端部より突出している前記<6>から<8>のいずれかに記載の半導体装置である。
<10> 第2の熱伝導性シートが、アスペクト比が8以上である炭素繊維を含有する前記<6>から<9>のいずれかに記載の半導体装置である。
<11> 炭素繊維が、第2の熱伝導性シートの厚み方向に沿って垂直配向している前記<10>に記載の半導体装置である。
<12> 第1及び第3の熱伝導性シートが絶縁性の熱伝導性フィラーを含有する前記<6>から<11>のいずれかに記載の半導体装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、熱源側から第1、第2、及び第3の熱伝導性シートをこの順に積層した3層構造の熱伝導性シートにおいて、熱伝導率が高く、前記第2の熱伝導性シートが粘着性を有しない場合にも、熱源と放熱部材との間で位置ずれを起こさず、熱伝導性シートの断面部からのフィラーの粉落ちを防止でき、短絡(ショート)の発生を確実に防止できる熱伝導性シート及び該熱伝導性シートを用いた半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の半導体装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(熱伝導性シート)
本発明の熱伝導性シートは、半導体装置の熱源と放熱部材との間に挟持され、
前記熱源側から、第1の熱伝導性シートと、第2の熱伝導性シートと、第3の熱伝導性シートとをこの順に有する3層構造であり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0013】
<第1及び第3の熱伝導性シート>
前記第1及び第3の熱伝導性シートは、絶縁性の熱伝導性フィラーを含有し、ポリマー、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記第1の熱伝導性シートは、熱源(半導体素子)に接するため、絶縁性であることが好ましい。
前記第3の熱伝導性シートは、放熱部材と接するが、縦置きした場合などでの粉落ちを防止するため絶縁性であることが好ましい。
【0014】
−絶縁性の熱伝導性フィラー−
前記絶縁性の熱伝導性フィラーとしては、その形状、材質、平均粒径などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば球状、楕円球状、塊状、粒状、扁平状、繊維状、針状などが挙げられる。これらの中でも、充填性の点で球状が特に好ましい。
前記絶縁性の熱伝導性フィラーの材質としては、例えば窒化アルミニウム、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化亜鉛、炭化ケイ素、ケイ素(シリコン)、酸化珪素、酸化アルミニウム、などが挙げられる。これらの中でも、熱伝導率の点から窒化アルミニウムが特に好ましい。
なお、前記絶縁性の熱伝導性フィラーは、表面処理を施してもよい。前記表面処理としてカップリング剤で処理すると分散性が向上し、熱伝導性シートの柔軟性が向上する。
前記絶縁性の熱伝導性フィラーの平均粒径としては、例えば0.5μm〜100μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましい。
前記平均粒径は、例えば粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定することができる。
前記絶縁性の熱伝導性フィラーの含有量は、65質量%〜85質量%であることが好ましく、65質量%〜80質量%であることがより好ましい。
【0015】
−ポリマー−
前記ポリマーとしては、特に制限はなく、熱伝導性シートに要求される性能に応じて適宜選択することができ、例えば熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーが挙げられる。
【0016】
前記熱可塑性ポリマーとしては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、又はこれらのポリマーアロイなどが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体;ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸又はそのエステル、ポリアクリル酸又はそのエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、アイオノマーなどが挙げられる。
【0017】
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体又はその水添ポリマー、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水添ポリマー等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0018】
前記熱硬化性ポリマーとしては、例えば架橋ゴム、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリイミドシリコーン、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。
【0019】
前記架橋ゴムとしては、例えば天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリイソブチレンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。
【0020】
これらの中でも、耐熱性に優れると共に、電子部品に対する密着性や追従性の点から、シリコーンゲルが特に好ましい。
前記シリコーンゲルは、その原料であるポリオルガノシロキサンを硬化することによって得られ、該シリコーンゲルの性状にはエラストマー状、ゲル状、フォーム状などがある。
前記シリコーンゲルの硬化方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機過酸化物によるラジカル反応、ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンとケイ素原子に結合した水素原子を有するポリオルガノシロキサンとを白金系触媒下で反応させる付加反応、硬化時に縮合生成物を生成する縮合反応などが挙げられる。
【0021】
前記第1及び第3の熱伝導性シートには、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、必要に応じて、溶剤、チキソトロピー性付与剤、分散剤、硬化剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤等の公知の添加剤を配合することができる。
【0022】
前記第1及び第3の熱伝導性シートの厚みは、特に制限はなく、熱抵抗を考慮して5mm以下の範囲であることが好ましい。
【0023】
<第2の熱伝導性シート>
前記第2の熱伝導性シートとしては、アスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が8以上である炭素繊維を含有し、ポリマー、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0024】
前記炭素繊維としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばピッチ系、PAN系、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法(化学気相成長法)、CCVD法(触媒化学気相成長法)等で合成されたものを用いることができる。これらの中でも、熱伝導性の点からピッチ系炭素繊維が特に好ましい。
前記炭素繊維は、必要に応じて、その一部又は全部を表面処理して用いることができる。前記表面処理としては、具体的には、酸化処理や窒化処理、ニトロ化、スルホン化、あるいはこれらの処理によって表面に導入された官能基若しくは炭素繊維の表面に、金属、金属化合物、有機化合物等を付着あるいは結合させる処理を挙げることができる。前記官能基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基等の酸素含有基や窒素含有基が挙げられる。
【0025】
前記炭素繊維の平均長軸長さは、10μm〜250μmであることが好ましく、100μm〜180μmであることがより好ましい。
前記炭素繊維の平均短軸長さは、6μm〜15μmであることが好ましく、8μm〜13μmであることがより好ましい。
前記炭素繊維は、アスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が8以上であることが好ましく、12〜30であることがより好ましい。前記アスペクト比が、8未満であると、炭素繊維の平均長軸長さ(繊維長)が短いため、熱伝導率が低下してしまうことがある。
ここで、前記炭素繊維の平均長軸長さ、及び平均短軸長さは、例えばマイクロスコープ、走査型電子顕微鏡(SEM)などにより測定することができる。
【0026】
前記炭素繊維は、第2の熱伝導性シートの厚み方向に沿って垂直配向していることが好ましい。
前記炭素繊維は、前記第2の熱伝導性シートの厚み方向に沿って垂直配向していることが、熱源から放熱部材に効率的に熱を伝播させることができる点で好ましい。
ここで、前記炭素繊維が、第2の熱伝導性シートの厚み方向に沿って垂直配向していることは、例えばマイクロスコープ、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
前記炭素繊維を第2の熱伝導性シートの厚み方向に沿って垂直配向させる方法としては、例えばポリマー及び炭素繊維を含む熱伝導組成物を押出して炭素繊維が一方向(押し出し方向)に優先的に配向した熱伝導成形体を得る。得られた熱伝導成形体を炭素繊維が優先的に配向している方向に対して垂直にスライス装置(例えば超音波カッター等)によりスライスして、炭素繊維が、第2の熱伝導性シートの厚み方向に沿って垂直配向している第2の熱伝導性シートを作製することができる。
【0027】
−ポリマー−
前記ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第1及び第3の熱伝導性シートと同様なものを用いることができる。
【0028】
前記第2の熱伝導性シートには、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、必要に応じて、溶剤、チキソトロピー性付与剤、分散剤、硬化剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤等の公知の添加剤を配合することができる。
【0029】
前記第2の熱伝導性シートの厚みは、特に制限はなく、熱抵抗を考慮して5mm以下の範囲であることが好ましい。
【0030】
本発明においては、前記第2の熱伝導性シートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導性シートの熱伝導率及び前記第3の熱伝導性シートの熱伝導率よりも高いことを特徴とする。これにより、熱源、放熱部材側のシートが絶縁性であり、第2の熱伝導性シートの熱伝導率が、同じ材質の絶縁性フィラーを含有した第1、第3の熱伝導性シートの熱伝導率よりも大きくすることができる。
前記第1及び第3の熱伝導性シートの熱伝導率は、いずれも1W/m・k以上であることが好ましい。
前記第2の熱伝導性シートの熱伝導率は、3W/m・k以上であることが好ましい。
ここで、前記熱伝導性シートの熱伝導率は、例えばASTM−D5470に準拠した方法により測定することができる。
【0031】
前記第2の熱伝導性シートの厚みBと、前記第1の熱伝導性シートの厚みA及び前記第2の熱伝導性シートの厚みCの合計との比〔B/(A+C)〕は、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。前記比〔B/(A+C)〕が、0.3未満であると、十分な熱伝導率が得られない場合がある。
【0032】
本発明の熱伝導性シートは、3層構造であり、熱伝導性シートの断面部からのフィラーの粉落ちを防止でき、短絡(ショート)の発生を確実に防止できるので、各種分野に好適に用いられるが、以下に説明する半導体装置に用いることが特に好ましい。
【0033】
(半導体装置)
本発明の半導体装置は、放熱部材と、熱源と、前記熱源と前記放熱部材との間に挟持される熱伝導性シートとを有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0034】
前記熱伝導性シートは、前記熱源側から、第1の熱伝導性シートと、第2の熱伝導性シートと、第3の熱伝導性シートとをこの順に有してなる。
前記半導体装置に荷重をかけた後において、前記第1の熱伝導性シートの表面積及び前記第3の熱伝導性シートの表面積が、前記第2の熱伝導性シートの表面積より大きいことが必要であり、次式、第3の熱伝導性シートの表面積>第1の熱伝導性シートの表面積>第2の熱伝導性シートの表面積を満たすことが、第2の熱伝導性シートからの粉落ち防止の点で好ましい。
前記第1の熱伝導性シートの表面積及び前記第3の熱伝導性シートの表面積が、前記第2の熱伝導性シートの表面積より小さいと、熱伝導率が低下する恐れがある。
【0035】
前記半導体装置に荷重をかけた後において、前記第1及び前記第3の熱伝導性シートの端部が、第2の熱伝導性シートの端部よりも突出していることが、端面部からの粉落ち防止の点で好ましい。前記半導体装置にかける荷重としては、0.1kgf/cm〜6kgf/cmであることが好ましい。
第1の熱伝導性シート端部が第2及び第3の熱伝導性シートの端部より突出しており、
第3の熱伝導性シートの端部が前記第2の熱伝導性シートの端部より突出していることが、端面部からの粉落ち防止の点で好ましい。
ここで、前記第1及び前記第3の熱伝導性シートの端部が、第2の熱伝導性シートの端部よりも突出していることは、例えば目視観察により判断することができる。
【0036】
また、前記半導体装置に荷重をかける前において、炭素繊維の前記第2の熱伝導性シートの厚み方向に対する配向角度が0度〜45度であることが好ましく、0度〜30度であることがより好ましい。前記配向角度が、45度を超えると、熱抵抗が大きくなりすぎ、熱伝導率が低下することがある。
前記炭素繊維の配向角度は、例えばシートの断面をマイクロスコープにより観察することで測定することができる。
【0037】
前記熱源としての半導体素子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPU、MPU、グラフィック演算素子などが挙げられる。
前記放熱部材としては、半導体素子から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、放熱器、冷却器、ヒートシンク、ヒートスプレッダー、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、筐体などが挙げられる。
【0038】
ここで、図1は、半導体装置10の一例を示す概略図であり、基板1上に半導体素子2が配設されており、放熱部材6との間に、第1の熱伝導性シート3と、第2の熱伝導性シート4と、第3の熱伝導性シート5との積層体が挟持されている。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
−熱伝導性シートの作製−
シリコーン10gに対して窒化アルミニウム(平均粒径1μm)20g、窒化アルミニウム(平均粒径50μm)40gを混合してシート化し、厚み0.78mmの第1の熱伝導性シート、及び厚み0.78mmの第3の熱伝導性シートを作製した。
シリコーン10gに対して球状アルミナ(平均粒径3μm)50gとピッチ系炭素繊維(平均長軸長さ200μm、平均短軸長さ8μm、アスペクト比25)12gを混合して、熱伝導組成物を調製した。
得られた熱伝導組成物を押出し機により押出してピッチ系炭素繊維が一方向(押し出し方向)に優先的に配向した熱伝導成形体を得た。得られた熱伝導成形体をピッチ系炭素繊維が優先的に配向している方向に対して垂直に超音波カッターによりスライスして、厚み0.94mmの第2の熱伝導性シートを作製した。
この第2の熱伝導性シートは、その断面をマイクロスコープ(HiROX Co Ltd製、KH7700)で観察したところ、ピッチ系炭素繊維が第2の熱伝導性シートの厚み方向に対し0度〜10度に配向していた。
次に、第2の熱伝導性シートの両面に、該第2の熱伝導性シートと同じ形状、同じ面積の第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートを積層した。以上により、総厚み2.50mmの実施例1の熱伝導性シートを作製した。
【0041】
<評価>
次に、作製した実施例1の熱伝導性シートを、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッド(熱源)と冷却側の金属ロッド(放熱部材)との間に介在させて、1kgf/cmの荷重をかけた。熱伝導性シートの総厚みは2.13mmとなった。
第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートは第2の熱伝導性シートよりも圧縮率が大きいので荷重をかけた際に第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートが横方向に伸び、第2の熱伝導性シートよりも面積が大きくなるため、第2の熱伝導性シートの端面からピッチ系炭素繊維が粉落ちしても第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートの微粘着性により捕捉されるので、短絡(ショート)が発生することがない。
【0042】
(実施例2)
−熱伝導性シートの作製−
実施例1と同様にして作製した、厚み0.8mmの第1の熱伝導性シート、厚み0.92mmの第2の熱伝導性シート、及び厚み0.8mmの第3の熱伝導性シートを用い、第2の熱伝導性シートの両面に、該第2の熱伝導性シートより10%小さい面積の第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートを積層した。以上により、総厚み2.52mmの実施例2の熱伝導性シートを作製した。
【0043】
<評価>
次に、作製した実施例2の熱伝導性シートを、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッド(熱源)と冷却側の金属ロッド(放熱部材)との間に介在させて、1kgf/cmの荷重をかけた。熱伝導性シートの総厚みは2.12mmとなった。
第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートは第2の熱伝導性シートよりも圧縮率が大きいので荷重をかけた際に第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートが横方向に伸び、第2の熱伝導性シートよりも表面積が大きくなるため、第2の熱伝導性シートの端面からピッチ系炭素繊維が粉落ちしても第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートの微粘着性により捕捉される。
【0044】
(実施例3)
−熱伝導性シートの作製−
実施例1と同様にして作製した、厚み0.76mmの第1の熱伝導性シート、厚み0.94mmの第2の熱伝導性シート、及び厚み0.76mmの第3の熱伝導性シートを用い、第2の熱伝導性シートの両面に、該第2の熱伝導性シートより10%大きい面積の第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートを積層した。以上により、総厚み2.46mmの実施例3の熱伝導性シートを作製した。
【0045】
<評価>
次に、作製した実施例3の熱伝導性シートを、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッド(熱源)と冷却側の金属ロッド(放熱部材)との間に介在させて、1kgf/cmの荷重をかけた。熱伝導性シートの総厚みは2.08mmとなった。
第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートは第2の熱伝導性シートよりも圧縮率が大きいので荷重をかけた際に第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートが横方向に伸び、第2の熱伝導性シートよりも表面積が更に大きくなるため、第2の熱伝導性シートの端面からピッチ系炭素繊維が粉落ちしても第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートの微粘着性により捕捉される。
【0046】
(実施例4)
−熱伝導性シートの作製−
実施例1と同様にして作製した、厚み0.52mmの第1の熱伝導性シート、厚み0.98mmの第2の熱伝導性シート、及び厚み0.98mmの第3の熱伝導性シートを用い、第2の熱伝導性シートの両面に、該第2の熱伝導性シートと同じ形状、同じ面積の第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートを積層した。以上により、総厚み2.48mmの実施例4の熱伝導性シートを作製した。
【0047】
<評価>
次に、作製した実施例4の熱伝導性シートを、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッド(熱源)と冷却側の金属ロッド(放熱部材)との間に介在させて、1kgf/cmの荷重をかけた。熱伝導性シートの総厚みは2.16mmとなった。
第3の熱伝導性シートは第1の熱伝導性シートより厚みが厚いので、第3の熱伝導性シートは第1の熱伝導性シートよりも圧縮率が大きくなる。荷重をかけた際に第3の熱伝導性シートが横方向に伸び、第2の熱伝導性シートよりも表面積が大きくなるため、第2の熱伝導性シートの端面からピッチ系炭素繊維が粉落ちしても第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートの微粘着性により捕捉される。
【0048】
(比較例1)
−熱伝導性シートの作製−
シリコーン10gに球状アルミナ(平均粒径3μm)50gとピッチ系炭素繊維(平均長軸長さ200μm、平均短軸長さ8μm、アスペクト比25)12gを混合した後、押出し機により押出してピッチ系炭素繊維が一方向に優先的に配向した熱伝導成形体を得た。
得られた熱伝導成形体をピッチ系炭素繊維が優先的に配向している方向と垂直に超音波カッターによりスライスして、厚み1.96mmの比較例1の熱伝導性シートを作製した。
【0049】
<評価>
次に、作製した比較例1の熱伝導性シートを、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッド(熱源)と冷却側の金属ロッド(放熱部材)との間に介在させて、1kgf/cmの荷重をかけた。熱伝導性シートの総厚みは1.96mmとなった。
第2の熱伝導性シートは全面が導電性であり、端面から粉落ちの恐れがある。また、熱伝導測定機のヒーター側の金属ロッドと冷却側の金属ロッドにテスターを当てて抵抗を測定した。その結果、導電性であることが確認された。
【0050】
(比較例2)
−熱伝導性シートの作製−
シリコーン10gに対して窒化アルミニウム(平均粒径1μm)20g、窒化アルミニウム(平均粒径50μm)40gを混合してシート化し、厚み0.74mmの第1及び第3の熱伝導性シートを作製した。
シリコーン10gに対して球状アルミナ(平均粒径3μm)50gとピッチ系炭素繊維(平均長軸長さ200μm、平均短軸長さ8μm、アスペクト比25)12gを混合した後、押出し機により押出してピッチ系炭素繊維が一方向に優先的に配向した熱伝導成形体を得た。
得られた熱伝導成形体をピッチ系炭素繊維が優先的に配向している方向と垂直に超音波カッターによりスライスして、厚み1mmの第2の熱伝導性シートを作製した。
第2の熱伝導性シートの両面に、該第2の熱伝導性シートより20%小さい表面積の第1及び第3の熱伝導性シートを積層した。以上により、総厚み2.48mmの比較例2の熱伝導性シートを作製した。
【0051】
次に、作製した比較例1の熱伝導性シートを、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッド(熱源)と冷却側の金属ロッド(放熱部材)との間に介在させて、1kgf/cmの荷重をかけた。熱伝導性シートの総厚みは1.92mmとなった。
第1の熱伝導性シートは、第2の熱伝導性シートよりも圧縮率が大きいので荷重をかけた際に第1の熱伝導性シートが横方向に伸びたが、第2の熱伝導性シートよりも表面積が小さかったため、第1の熱伝導性シートの熱源及び放熱部材と接する表面積が小さく、実施例2と比べて熱伝導率が小さくなった。
【0052】
(実施例5)
−熱伝導性シートの作製−
シリコーン10gに対して窒化アルミニウム(平均粒径1μm)20g、窒化アルミニウム(平均粒径50μm)40gを混合してシート化し、厚み1mmの第1及び第3の熱伝導性シートを作製した。
シリコーン10gに対して球状アルミナ(平均粒径3μm)50gとピッチ系炭素繊維(平均長軸長さ200μm、平均短軸長さ8μm、アスペクト比25)12gを混合した後、押出してピッチ系炭素繊維が一方向に優先的に配向した熱伝導成形体を得た。
得られた熱伝導成形体をピッチ系炭素繊維が優先的に配向している方向と垂直に超音波カッターによりスライスして、厚み0.5mmの第2の熱伝導性シートを作製した。
第2の熱伝導性シートの両面に、該第2の熱伝導性シートと同じ形状、同じ表面積の第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートを積層した。以上により、総厚み2.5mmの実施例5の熱伝導性シートを作製した。
【0053】
次に、作製した実施例5の熱伝導性シートを、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッド(熱源)と冷却側の金属ロッド(放熱部材)との間に介在させて、1kgf/cmの荷重をかけた。熱伝導性シートの総厚みは2.08mmとなった。
第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートは第2の熱伝導性シートよりも圧縮率が大きいので荷重をかけた際に第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートが横方向に伸び、第2の熱伝導性シートよりも面積が大きくなるため、第2の熱伝導性シートの端面からピッチ系炭素繊維が粉落ちしても第1の熱伝導性シート及び第3の熱伝導性シートの微粘着性により捕捉されるので、短絡(ショート)が発生することがない。
【0054】
(比較例3)
−熱伝導性シートの作製−
シリコーン10gに対して窒化アルミニウム(平均粒径1μm)20g、窒化アルミニウム(平均粒径50μm)40gを混合してシート化し、厚み2.52mmの比較例3の熱伝導性シートを作製した。
【0055】
次に、作製した比較例3の熱伝導性シートを、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッド(熱源)と冷却側の金属ロッド(放熱部材)との間に介在させて、1kgf/cmの荷重をかけた。熱伝導性シートの総厚みは2.04mmとなった。
得られた熱伝導性シートは、絶縁性のフィラーが充填されているので絶縁性であるが、熱伝導率が低くなった。
【0056】
(比較例4)
−熱伝導性シートの作製−
シリコーン10gに対して窒化アルミニウム(平均粒径1μm)20g、窒化アルミニウム(平均粒径50μm)40gを混合してシート化し、厚み1mmの第1及び第3の熱伝導性シートを作製した。
シリコーン10gに球状アルミナ(平均粒径10μm)100gを混合してシート化し、厚み1mmの第2の熱伝導性シートを作製した。
第2の熱伝導性シートの両面に、該第2の熱伝導性シートと同じ形状、同じ表面積の第1及び第3の熱伝導性シートを積層した。以上により、総厚み3.0mmの比較例4の熱伝導性シートを作製した。
次に、作製した比較例4の熱伝導性シートを、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッド(熱源)と冷却側の金属ロッド(放熱部材)との間に介在させて、1kgf/cmの荷重をかけた。熱伝導性シートの総厚みは2.4mmとなった。
【0057】
<熱伝導性シートの電気抵抗性>
各熱伝導性シートの電気抵抗は、熱伝導測定装置(ソニー株式会社製)のヒーター側の金属ロッドと冷却側の金属ロッドにテスターを当てて電気抵抗を測定した。「絶縁性」とは電気抵抗が10Ω以下であり、「導電性」とは電気抵抗が10Ω以上であることを示す。結果を表1に示す。
【0058】
<熱伝導性シートの熱伝導率>
各熱伝導性シートの熱伝導率は、ASTM−D5470に準拠して、熱伝導率測定装置(ソニー株式会社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0059】
<端面からの粉落ちの有無>
炭素繊維粉末が端面から落ちているか否かを目視により確認した。結果を表1に示す。
【0060】
<端部の突出の有無>
第1及び第3の熱伝導性シートの端部が、第2の熱伝導性シートの端部よりも突出しているか否かを目視により確認した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1−1】

【表1−2】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の熱伝導性シートは、熱源側から第1、第2、及び第3の熱伝導性シートをこの順に積層した3層構造の熱伝導性シートにおいて、熱伝導率が高く、前記第2の熱伝導性シートが粘着性を有しない場合にも、熱源と放熱部材との間で位置ずれを起こさず、熱伝導性シートの断面部からのフィラーの粉落ちを防止でき、短絡(ショート)の発生を確実に防止できるので、例えば各種半導体装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0063】
1 基板
2 半導体素子
3 第1の熱伝導性シート
4 第2の熱伝導性シート
5 第3の熱伝導性シート
6 放熱部材
10 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の熱源と放熱部材との間に挟持される熱伝導性シートであって、
前記熱源側から、第1の熱伝導性シートと、第2の熱伝導性シートと、第3の熱伝導性シートとをこの順に有してなり、
前記第2の熱伝導性シートの熱伝導率が、前記第1の熱伝導性シートの熱伝導率及び前記第3の熱伝導性シートの熱伝導率よりも高いことを特徴とする熱伝導性シート。
【請求項2】
第2の熱伝導性シートが、アスペクト比が8以上である炭素繊維を含有する請求項1に記載の熱伝導性シート。
【請求項3】
炭素繊維が、第2の熱伝導性シートの厚み方向に沿って垂直配向している請求項2に記載の熱伝導性シート。
【請求項4】
第1及び第3の熱伝導性シートが絶縁性の熱伝導性フィラーを含有する請求項1から3のいずれかに記載の熱伝導性シート。
【請求項5】
第2の熱伝導性シートの厚みBと、第1の熱伝導性シートの厚みA及び第2の熱伝導性シートの厚みCの合計との比〔B/(A+C)〕が、0.3以上である請求項1から4のいずれかに記載の熱伝導性シート。
【請求項6】
放熱部材と、熱源と、前記熱源と前記放熱部材との間に挟持される熱伝導性シートとを有する半導体装置において、
前記熱伝導性シートが、前記熱源側から、第1の熱伝導性シートと、第2の熱伝導性シートと、第3の熱伝導性シートとをこの順に有してなり、
前記半導体装置に荷重をかけた後において、前記第1の熱伝導性シートの表面積及び前記第3の熱伝導性シートの表面積が、前記第2の熱伝導性シートの表面積より大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
半導体装置に荷重をかけた後において、次式、第3の熱伝導性シートの表面積>第1の熱伝導性シートの表面積>第2の熱伝導性シートの表面積を満たす請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体装置に荷重をかけた後において、第1及び第3の熱伝導性シートの端部が、第2の熱伝導性シートの端部よりも突出している請求項6から7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体装置に荷重をかけた後において、第1の熱伝導性シート端部が第2及び第3の熱伝導性シートの端部より突出しており、
第3の熱伝導性シートの端部が前記第2の熱伝導性シートの端部より突出している請求項6から8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
第2の熱伝導性シートが、アスペクト比が8以上である炭素繊維を含有する請求項6から9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
炭素繊維が、第2の熱伝導性シートの厚み方向に沿って垂直配向している請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
第1及び第3の熱伝導性シートが絶縁性の熱伝導性フィラーを含有する請求項6から11のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−249682(P2011−249682A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123311(P2010−123311)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】