説明

熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法、ならびにプラスチック組成物原料、プラスチック部材およびそれらの製造方法

【課題】 熱可塑性樹脂組成物廃材から得られるポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物を相溶化させ、再生されたプラスチック組成物において物性が低下してしまうことがなく、かつ低コストな熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂組成物からなる部材を備えた製品の廃棄物の再資源化方法であって、該廃棄物を破砕する工程と、破砕された廃棄物を金属系破砕物とプラスチック系破砕物とに選別する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程を経て得られた熱可塑性樹脂組成物廃材に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物およびポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性および/または分散性を持つ改質材を混合する熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法に関する。より詳しくは、本発明は、熱可塑性樹脂組成物廃材の複数種類を混合してプラスチック組成物原料、プラスチック部材(熱可塑性樹脂成形体)を得る、熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法に関する。
【0002】
本発明は上記再資源化方法によって得られるプラスチック組成物原料、プラスチック部材の製造方法にも関する。さらに、本発明は、上記の製造方法により得られるプラスチック組成物原料、プラスチック部材にも関する。
【背景技術】
【0003】
近年、わが国では所得水準の向上に伴い、エアコンディショナ(本明細書においては、「エアコン」と呼称する。)、テレビジョン受信機(本明細書においては、「テレビ」と呼称する。)、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサなどの情報機器、プリンタ、ファックスなどの事務用機器、その他の各種の家具、文具、玩具などが、一般家庭に高い普及率で備えられるようになっており、家庭生活における利便性は飛躍的に向上しつつある。その結果、これらの家電製品をはじめとする製品の廃棄量も年々増加する傾向にある。従来は、これらの家電製品をはじめとする製品の廃棄物の再資源化は、鉄くずの回収ルートを通して行われる場合が多かった。
【0004】
しかし近年では、家電製品をはじめとする各種製品の部材の構成材料が変化し、鉄をはじめとする金属からなる部材が減少して熱可塑性樹脂組成物からなる部材の割合が増加する傾向にある。熱可塑性樹脂組成物は、鉄をはじめとする金属よりもデザインの自由度が大きく、構成成分の調製や添加剤の使用などにより金属では実現の難しい種々の特性を付与することができ、軽量であり耐久性が高いことなどの多くの利点を有するためである。なお、本明細書においては、熱可塑性樹脂組成物からなる部材を「プラスチック部材」と呼称する。また、本明細書においては、プラスチック部材を備えた製品を「プラスチック製品」と呼称する。さらに、本明細書においては、プラスチック製品の廃棄物(熱可塑性樹脂組成物廃材)を「プラスチック廃棄物」とも呼称する。
【0005】
近年の家電製品をはじめとする各種製品の廃棄物は、各種構成部材の材質構成が複雑化しており、鉄や銅をはじめとする有価金属からなる部材の割合が少なく、有価性が低くかつ従来の処理方法では多大の手間と経費がかかるプラスチック部材の割合が多くなっており、従来の鉄くずの回収ルートではこのような廃棄物を再資源化しても採算がとれないため、対応が難しい状況になりつつある。そして、これらのプラスチック部材は、原油などの埋蔵化石燃料を基礎原料として合成されるものが多く、資源の有効活用の観点から、これらの熱可塑性樹脂組成物からなる部材を備えた部品の再資源化の推進が近年強く要求されてきている。
【0006】
また、原油などの埋蔵化石燃料の燃焼による二酸化炭素および硫黄酸化物の放出による地球温暖化、酸性雨といった環境破壊や、塩素化合物を含む熱可塑性樹脂組成物の焼却処理によるダイオキシンの生成、飛散といった環境汚染、さらには嵩の大きいプラスチック廃棄物の増大によるゴミ埋立処理場の不足といった問題を抑制するという観点からも、これらのプラスチック廃棄物の再資源化が重要かつ緊急の課題となってきつつある。
【0007】
ここで、上記の状況を受けて、2001年4月に家電リサイクル法が施行された。ここで、家電リサイクル法においては、2002年1月現在においては、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目のリサイクルが義務付けられ、また、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。
【0008】
しかし、これらの家電製品をはじめとするプラスチック製品は、一般に複数のプラスチック部材を備えており、それらのプラスチック部材は熱可塑性樹脂組成物の材質が異なることも多く、異なる材質の熱可塑性樹脂組成物からなる複合部材であることも多い。なお、本明細書においては、材質が異なる複数の熱可塑性樹脂組成物の集合体を「混合プラスチック組成物」と呼称する。また、本明細書においては、混合プラスチック組成物からなる部材または異なる材質の熱可塑性樹脂組成物からなる複合部材を「混合プラスチック部材」とも呼称する。また本明細書においては、混合プラスチック部材を備えた製品を「混合プラスチック製品」とも呼称する。さらに本明細書においては、混合プラスチック製品の廃棄物を「混合プラスチック廃棄物」とも呼称する。
【0009】
ここで、これらの混合プラスチック廃棄物に含まれる混合プラスチック部材を再度加工して、家電製品をはじめとする各種の混合プラスチック製品の部材またはその原料として使用するには、これらの混合プラスチック部材を熱可塑性樹脂組成物の系統ごとに分離した上で、再度加工する必要がある。なお、本明細書においては、このように、廃棄物を処理した後、製品の部材またはその原料に再び加工して使用することを、サーマルリサイクルと対比して、「マテリアルリサイクル」と呼称する。
【0010】
一方、従来から提案されているプラスチック廃棄物の再資源化方法には、単独の材質のプラスチック組成物だけを含むプラスチック廃棄物を、手解体で分離して再資源化する方法が多い。しかし、このように手解体で分離して再資源化する方法には、多大の手間と経費がかかるという問題がある。さらに、このような方法では混合プラスチック廃棄物には対応できないという問題がある。
【0011】
また、このような問題を回避するための方法としては、混合プラスチック廃棄物から、プラスチック組成物の系統別に分別することなく、混合プラスチック部材を分離して燃料として使用するという、いわゆるサーマルリサイクルに関する方法も従来から多く提案されている。しかしこの方法によれば、混合プラスチック廃棄物のサーマルリサイクルによる再資源化は可能であるが、燃料による炭酸ガスの発生などの問題があるため、社会的要請に充分に沿った方法であるとはいえない。
【0012】
そこで、混合プラスチック廃棄物から混合プラスチック部材を分離して、さらにその混合プラスチック部材をプラスチック組成物の系統ごとに分離することのできる方法について、各方面で多くの開発努力がなされている。
【0013】
たとえば、特許文献1においては、廃プラスチックの混合物を液体中で比重差により高比重物と低比重物に分離するにあたり、処理すべき廃プラスチックを濡れ性付与処理に付すことを特徴とする廃プラスチックの分離回収方法が開示されている。しかし、この方法においては、異なる系統のプラスチック組成物からなる混合プラスチック部材の比重の範囲が異なる場合には、混合プラスチック部材をプラスチック組成物の系統別に分離することは難しいという問題がある。
【0014】
また、特許文献2〜9においても、廃プラスチック混合物を液体中で比重差により高比重物と低比重物に分離する方法を一部改良した方法が開示されている。しかし、これらの方法においても、異なる系統のプラスチック組成物からなる混合プラスチック部材の比重の範囲が異なる場合には、混合プラスチック部材をプラスチック組成物の系統別に分離することが難しいという問題は克服されたとは言い難い。
【0015】
現在リサイクルが義務付けられている前記家電4品目は、ポリプロピレンやポリエチレンを中心としたポリオレフィン系樹脂、およびポリスチレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などのポリスチレン系樹脂が大半を占めているが、これらの材質からなる混合プラスチック廃棄物は、前記系統別に分別する方法を用いても完全に分別回収することは困難であり、再生工程において通常両者の熱可塑性樹脂組成物が混合される。これらポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とは非相溶性であるため、両者を単純に溶融混合した場合、均一な分散が得られず、再生されたプラスチック組成物の機械的強度は大きく低下する。このように再生されたプラスチック組成物は、たとえばハンガーや植木鉢などの日用品雑貨のような低い物性であっても使用可能な限れられた用途にしか再利用できない。
【特許文献1】特開平6−63944号公報
【特許文献2】特開平9−193154号公報
【特許文献3】特開平10−315231号公報
【特許文献4】特開2000−246136号公報
【特許文献5】特開2000−246735号公報
【特許文献6】特開2000−246736号公報
【特許文献7】特開2001−96261号公報
【特許文献8】特開2001−212824号公報
【特許文献9】特開2001−328120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、熱可塑性樹脂組成物廃材から得られるポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物を相溶化させ、再生されたプラスチック組成物において物性が低下してしまうことがなく、かつ低コストな熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を提供することである。
【0017】
また、本発明の他の課題は、上記の方法を用いた熱可塑性樹脂組成物原料の製造方法を提供することである。本発明のさらに他の課題は、上記の方法を用いた熱可塑性樹脂組成物からなる部材の製造方法を提供することである。
【0018】
さらに、本発明の別な課題は、上記の方法を用いて製造される熱可塑性樹脂組成物原料や、熱可塑性樹脂組成物からなる部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物を再資源化するに際し、特定の改質材を添加すれば、非相溶性樹脂であるポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の混入により低下した物性を回復させることができるとの着想を得、そのような廃棄物の再資源化方法を開発すべく、多くの種類の改質材などを組み合わせた廃棄物の再資源化方法について実験を行い、鋭意検討を重ねた。検討の結果、本発明者らは、熱可塑性樹脂組成物からなる部材を備えた廃棄物を破砕し、選別工程を経て比重分離にて得られた熱可塑性樹脂組成物にポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性および/または分散性をもつ改質材を混合すれば、高品質なプラスチック部材またはその原料を製造することができることを見出し、本発明に到達したものである。すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0020】
本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、熱可塑性樹脂組成物からなる部材を備えた製品の廃棄物の再資源化方法であって、該廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程を経て得られた熱可塑性樹脂組成物廃材に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物およびポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性および/または分散性を持つ改質材を混合することを特徴とする。
【0021】
ここにおいて、廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程との間に、破砕された廃棄物を金属系破砕物とプラスチック系破砕物とに選別する工程をさらに有することが好ましい。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法において、前記熱可塑性樹脂組成物からなる部材を備えた製品は、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機からなる群から選ばれる家電製品であることが好ましい。
【0023】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法において、熱可塑性樹脂組成物廃材がプラスチック系破砕物を比重1.00で分離回収した浮上物であることが好ましい。
【0024】
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法においては、改質材がポリスチレン系樹脂成分とポリオレフィン系樹脂成分とを含むトリブロック共重合体であることが好ましい。
【0025】
前記改質材は、前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対し、0.1〜20重量部添加することがより好ましい。
【0026】
本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法においては、廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程との間に、プラスチック系破砕物より低嵩比重破砕物を除去する工程をさらに有することが、好ましい。
【0027】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、プラスチック系破砕物を比重差によって分離して得られた熱可塑性樹脂組成物廃材を微破砕する工程と、微破砕により生じる微紛末を除去する工程とを経た後に、改質材を混合することが好ましい。
【0028】
本発明は、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を用いた、プラスチック組成物原料の製造方法を提供する。
【0029】
本発明はまた、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を用いた、プラスチック部材の製造方法をも提供する。
【0030】
本発明はさらに、上述した本発明のプラスチック組成物原料の製造方法により製造されたプラスチック組成物原料も提供する。前記プラスチック組成物原料は、ペレット状であるのが好ましい。また本発明のプラスチック組成物原料は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の合計量のうち、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物が90〜99重量%であるのが好ましい。
【0031】
さらに、本発明は、上述した本発明のプラスチック部材の製造方法により製造されたプラスチック組成物からなる部材をも提供する。前記プラスチック部材は、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機からなる群から選ばれる家電製品であるのが好ましい。また本発明のプラスチック部材は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の合計量のうち、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物が90〜99重量%であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法、プラスチック組成物原料の製造方法、およびプラスチック組成物からなる部材の製造方法は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物にポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物が混入している場合でも、少なくとも中品位もしくは高品位の熱可塑性樹脂組成物を主体とする再生品を得ることができ、使用済みとなった該製品の廃棄物を高い割合で再利用することができる。すなわち、家電4品目に使用する熱可塑性樹脂組成物廃材から得られるポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物をリサイクルする際、従来は異組成のポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物が混合していたため、物性や長期信頼性の点で低品位の再生品しか得られず、ハンガーや植木鉢などの日用品雑貨への利用に留まっていた。本発明の方法によれば、上記家電4品目の家電品から、高品位な熱可塑性樹脂組成物からなる再生品を得られるため、たとえば洗濯機の後蓋や冷蔵庫のしきり板など、得られた再生品を耐久消費材へ適用することが可能となる。なお、本発明の方法は、前記家電4品目の廃棄物の再資源化に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂組成物からなる部材を備えた製品であれば、どのような製品の再資源化にも好適に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物からなる部材(プラスチック部材)を備えた製品の廃棄物(熱可塑性樹脂組成物廃材)の再資源化方法であって、該廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程を経て得られた熱可塑性樹脂組成物廃材に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物およびポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性および/または分散性を持つ改質材を混合することを特徴とする。ここで、本発明の再資源化方法が対象とする廃棄物となったプラスチック部材を備えた製品(プラスチック製品)は、特に制限されるものではないが、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機からなる群から選ばれる家電製品(以下、「家電品」と略記することがある。)であることが好ましい。以下、使用済み製品として家電品から回収されたプラスチック系破砕物を例に本発明の再資源化方法を説明する。
【0034】
図1は、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の前半部分の一例を段階的に示すフローチャートである。本発明においては、まず、家庭などから廃棄された使用済みの家電4品目を回収する(ステップ101)。そして、該家電4品目の廃棄物を、従来公知の適宜の手法にて解体(手解体)して、コンプレッサー、熱交換器などの大型の金属部材などを部品ごとに回収する(ステップ102)。
【0035】
次に、大型金属部材などが回収された家電4品目の廃棄物の残りの部材を、たとえば衝撃式破砕装置やせん断式破砕装置などの大型破砕機で粗破砕する(ステップ103)。ステップ103における破砕物の粒径は、特に制限されるものではないが、10mm以上であるのが好ましく、40mm以上であることがより好ましい。また、破砕物の粒径は80mm以下であることが好ましく、60mm以下であることがより好ましい。破砕物の粒径が10mm未満または80mmを越える場合には、次工程での金属の選別精度が低下するという傾向があり、さらに粒径が10mm未満の場合には、破砕に長時間を要するため、プラスチックが溶融あるいは熱酸化劣化を起こすという傾向があり、また、粒径が80mmを越えると、嵩比重が小さくなり以後の工程での作業性に悪影響を及ぼすという傾向がある。具体的には、粒径が60mm程度となるように破砕するのが特に好ましい。
【0036】
本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程との間に、破砕された廃棄物を金属系破砕物とプラスチック系破砕物とに選別する工程をさらに有するのが、好ましい。図1に示す例のフローチャートにおいては、粗破砕する工程(ステップ103)に続いて、家電4品目の廃棄物の破砕物を、金属選別機で鉄、銅、アルミニウムなどで形成された金属系破砕物とプラスチック系破砕物に選別する(ステップ104)。ステップ104において、金属系破砕物のうち鉄系金属の破砕物は、たとえば磁力を用いて選別することが好ましい。また、金属系破砕物のうちアルミニウム系金属の破砕物は、たとえば渦電流を用いて選別することが好ましい。
【0037】
続いて、プラスチック系破砕物を比重差によって分離し、熱可塑性樹脂組成物廃材を得る(ステップ105)。ステップ105において用いる比重液は、比重0.92〜1.01の比重液を用いるのが好ましく、比重0.95〜1.00の比重液を用いるのがより好ましく、比重1.00の比重液を用いるのが特に好ましい。用いる比重液の比重が0.92未満であると、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物を主体とするプラスチック系破砕物の一部が沈降し、回収率が低下する傾向にあるためであり、また、用いる比重液の比重が1.01を越えると、ポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物を主体とするプラスチック系破砕物の一部が混入する傾向にあるためである。比重液としては、比重1.00未満の場合は、たとえばエタノールなどのアルコールを水で希釈し比重を調整した溶液を、比重1.00の場合はたとえば水を好適に用いることができる。また、比重1.00を越える場合は、たとえば塩化ナトリウムなどの塩類を水に溶解させて比重を調整した溶液を好適に用いることができる。比重調整の手間や比重液の廃液処理の際の便宜を考慮すると、水が特に好ましい。
【0038】
ステップ105では、プラスチック系破砕物は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物(一般的に比重が1未満)を主体とするプラスチック系破砕物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物(一般的に比重が1以上)を主体とするプラスチック系破砕物とに分離される。ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物を主体とするプラスチック系破砕物は、ステップ104で得られたプラスチック系破砕物を、たとえば比重液を収容した混合攪拌槽内に投入して、攪拌した後、浮上物として分離回収できる。このとき、ステップ105に供するプラスチック系破砕物の形状(たとえば、発泡したポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物のプラスチック系破砕物)などによっては、比重液中で沈降すべきポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂組成物を主体とするプラスチック系破砕物に一部混入するという傾向がある。また、ポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物のプラスチック系破砕物に軽比重の異物が付着して比重液中で沈降しないで混入する場合もある。
【0039】
図2は、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の後半部分の一例を段階的に示すフローチャートである。ステップ105に続き、分離されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物を主体とするプラスチック系破砕物を微破砕する(ステップ201)。この微破砕は、たとえば、せん断式破砕装置を用いて行うことができる(微破砕後のものを、以下「微破砕物」と呼ぶ。)。微破砕物の大きさに特に制限はないが、成形機のシリンダー内で充分に溶融し、均一混練させる理由から、最大長さが5〜20mm程度が好ましく、最大長さが10mm程度が特に好ましい。
【0040】
続いて、微破砕物を洗浄し、付着している異物を除去する(ステップ202)。洗浄は、従来公知の湿式水洗浄を行い、たとえば翼型ローター・脱水スクリーン式洗浄脱水乾燥機で行う。
【0041】
洗浄後の微破砕物(本発明でいう熱可塑性樹脂組成物廃材)に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性および/または分散性をもつ改質材を配合する(ステップ203)。ここで、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の両者に対して「相溶性および/または分散性をもつ」とは、これらの両熱可塑性樹脂組成物に対して混和性を有し、これらの熱可塑性樹脂組成物と溶融混合した後においても層間剥離などを生じない特性を示すことを意味する。
【0042】
かかる改質材としては、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性および/または分散性をもつものであれば特に制限されるものではなく、たとえば、ポリスチレン系樹脂成分とポリオレフィン系樹脂成分を含むトリブロック共重合体、エチレン−プロピレン系ゴム、ポリオレフィン系樹脂成分とポリスチレン系樹脂成分のグラフト共重合体、マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂成分とポリオレフィン系樹脂成分とのジブロック共重合体、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン(IPO)とスチレンの共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体とスチレンあるいはメタクリル酸メチル(MMA)のグラフト共重合体などが例示される。中でも、ポリオレフィン系樹脂成分とポリスチレン系樹脂成分を主成分とし、オレフィン系樹脂成分の両端にポリスチレン系樹脂成分を配した骨格を持つものは、連続相であるポリオレフィン系熱可塑性樹脂と分散相であるポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の界面に配位しやすいという理由から、ポリスチレン系樹脂成分とポリオレフィン系樹脂成分を含むトリブロック共重合体を改質材として用いるのが好ましい。
【0043】
ポリスチレン系樹脂成分とポリオレフィン系樹脂成分を含むトリブロック共重合体において、エチレン・ブチレンブロックは、ポリブタジエンをすべて水素添加したものでもよく、一部水素添加したもの、あるいは水素添加がないものでもよい。また、スチレン部がオレフィンであるものでもよい。さらに、官能基を付与した変性タイプのものでもよい。このようなトリブロック共重合体の具体例としては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブチレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィンブロック共重合体(SEBC)、マレイン酸変性SEBSなどが挙げられる。中でも、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物になじみやすいエチレン・ブチレン(EB)を有し、かつ、耐光性、耐熱性がよいという理由から、SEBSが特に好ましい。
【0044】
エチレン−プロピレン系ゴムとしては、たとえば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン(エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど)(EPDM)が挙げられる。中でも、二重結合をもつエチレン−プロピレン−非共役ジエン(EPDM)に比べ、水素添加しているためポリオレフィンとなじみやすいという理由から、エチレン−プロピレンゴム(EPR)が好ましい。
【0045】
また、ポリオレフィン系樹脂成分とポリスチレン系樹脂成分のグラフト共重合体としては、ポリプロピレン−ポリスチレングラフト共重合体、ポリエチレン−ポリスチレングラフト共重合体、ポリブタジエン−ポリスチレングラフト共重合体などが挙げられる。中でも、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機からなる家電4品目から回収されたプラスチック廃棄物の組成の大半を占めるポリプロピレンとなじみやすいという理由から、ポリプロピレン−ポリスチレングラフト共重合体が好ましい。
【0046】
本発明の再資源化方法において、改質材の配合量には特に制限はないが、バージン材料に近似した物性を有する高品位の再生品を得ることが可能となる観点から、熱可塑性樹脂組成物廃材100重量部に対し0.1〜20重量部配合するのが好ましく、0.5〜20重量部配合するのがより好ましい。改質材の配合量が熱可塑性樹脂組成物廃材100重量部に対し、0.1重量部未満であると、得られたプラスチック部材において十分な物性の改善がみられなくなる傾向にある。また、改質材の配合量が熱可塑性樹脂組成物廃材100重量部に対し20重量部を越えると、得られたプラスチック部材において曲げ強度、曲げ弾性率が低下する傾向にあり、耐久消費材として使用する場合には剛性と耐衝撃性の良好なバランスが得られなくなる虞がある。

また、本発明において再資源化される熱可視性樹脂廃材の物性向上は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の含有率が高いほど効果があり、また、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の含有率が高い熱可視性樹脂廃材は、改質材の配合量が少量であっても効果が発現されるため、コストダウン効果も併せ持つ。すなわち、熱可塑性樹脂廃材のうち、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の混合率の高い混合プラスチック組成物(たとえば、ポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の含有率(PS/PO)が0.1〜5%)の場合、熱可塑性樹脂組成物廃材100重量部に対し、0.1〜10重量部配合するのが好ましく、0.15〜5重量部配合するのがより好ましい。
【0047】
続いて、微破砕物と前記改質材とを均等に混合し(ステップ204)、加熱成形して(ステップ205)、ペレット状の成形用樹脂原料とする(ステップ206)。なお、該熱可塑性樹脂組成物の融点をT℃とすると、この加熱成形時の加熱温度はT℃以上であることが好ましく、特に(T+10)℃以上であることがより好ましい。また、この時の加熱温度は(T+120)℃以下であることが好ましく、特に(T+80)℃以下であることがより好ましい。加熱成形時の加熱温度がT℃未満の場合には、該熱可塑性樹脂組成物が十分に溶融しないために成形し難いという傾向にあるためであり、また、加熱成形時の加熱温度が(T+120)℃を越えると、該熱可塑性樹脂組成物が熱劣化してしまう傾向にあるためである。加熱成形に用いる装置としては、特に制限されるものではないが、たとえば、単軸押出成形機あるいは多軸式押出成形機などの押出成形機が挙げられる。
【0048】
そして、このペレット状の樹脂原料を射出成形機に投入し成形体を作成する(ステップ207)。なお、熱可塑性樹脂組成物をペレット状に成形してマテリアルリサイクルする場合には、上記成形用樹脂原料を、シートカット、ストランドカット、ホットエアカット、アンダーウォーターカットなどのいずれかの方法により造粒してもよい。これらの造粒方法の中でも、後に射出成形により特定の形状に成形する場合には、樹脂原料の供給が円滑に行え、大量処理にも対応できるアンダーウォーターカットが特に好ましい。
【0049】
本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、図1および図2に示した各工程の全てを備える必要はなく、廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程を経て得られた熱可塑性樹脂組成物廃材に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物およびポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性を持つ改質材を混合することを少なくとも特徴とするものであれば、本発明の範囲に包含される。
【0050】
本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法によれば、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物にポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物が混入している場合でも、少なくとも中品位もしくは高品位の熱可塑性樹脂組成物を主体とする再生品を得ることができ、使用済みとなった該製品の廃棄物を高い割合で再利用することができる。すなわち、家電4品目に使用する熱可塑性樹脂組成物廃材から得られるポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物をリサイクルする際、従来は異組成のポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物が混合していたため、物性や長期信頼性の点で低品位の再生品しか得られず、ハンガーや植木鉢などの日用品雑貨への利用に留まっていた。本発明の方法によれば、上記家電4品目の家電品から、高品位な熱可塑性樹脂組成物からなる再生品を得られるため、たとえば洗濯機の後蓋や冷蔵庫のしきり板など、得られた再生品を耐久消費材へ適用することが可能となる。なお、本発明の方法は、前記家電4品目の廃棄物の再資源化に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂組成物からなる部材を備えた製品であれば、どのような製品の再資源化にも好適に使用可能である。
【0051】
図3は、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の前半部分の他の例を段階的に示すフローチャートである。本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程との間に、プラスチック系破砕物より低嵩比重破砕物を除去する工程をさらに有するのが、好ましい。
【0052】
図3に示す例においては、図1を参照して上述したのと同様に、まず、使用済みの家電4品目を回収し(ステップ301)、該家電4品目の廃棄物を手解体し、大型金属部材などを回収した(ステップ302)後、廃棄物の残りの部材を粗破砕する(ステップ303)。そして、ステップ303で得られた破砕物を、金属系破砕物とプラスチック系破砕物に選別した(ステップ304)後、廃棄物の破砕物より低嵩比重破砕物をさらに選別する(ステップ305)。ここで、低嵩比重破砕物とは、嵩比重が0.3以下の破砕物を意味する。低嵩比重破砕物の具体例としては、ポリウレタン系断熱材の破砕物や発泡スチロール系の破砕物などが挙げられる。この低嵩比重破砕物は、たとえば風力により選別することができる。
【0053】
なお、本発明において、破砕された廃棄物を金属系破砕物とプラスチック系破砕物と低嵩比重破砕物とに選別する場合の風力による選別、磁力による選別、渦電流による選別の順序は特に制限されるものではない。選別の効率の観点からは、図3に示すように、まず磁力により鉄系金属破砕物を分離し、次いで渦電流によりアルミニウム系金属や銅系金属の破砕物を選別し、続いて風力により低嵩比重破砕物を選別し、残った混合プラスチック系の破砕物を、以下のステップ306に供することが好ましい。
【0054】
低嵩比重破砕物を除去する工程(ステップ305)後、上述したのと同様にして、プラスチック系破砕物を比重差によって分離し、熱可塑性樹脂組成物廃材を得る(ステップ306)。このように低嵩比重破砕物を選別する工程をさらに有することで、実施例8において後述するように、ポリオレフィン系樹脂組成物の含有率がより高い熱可塑性樹脂組成物廃材を得ることができるようになる。
【0055】
図4は、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の後半部分の他の例を段階的に示すフローチャートである。また本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法は、プラスチック系破砕物を比重差によって分離して得られた熱可塑性樹脂組成物廃材を微破砕する工程と、微破砕により生じる微紛末を除去する工程とを経た後に、改質材を混合することが好ましい。図4に示すフローチャートでは、ステップ306に続き、図2を参照して上述したのと同様にして、分離されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物を主体とするプラスチック系破砕物を微破砕する(ステップ401)。
【0056】
その後、微破砕により生じた微粉末を除去する(ステップ402)。微粉末の除去は、たとえば、篩あるいはサイクロン方式によって行うことができる。
【0057】
その後、図2の場合と同様にして、微破砕物を洗浄し(ステップ403)、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性および/または分散性をもつ改質材を配合する(ステップ404)。続いて、微破砕物と前記改質材とを均等に混合し(ステップ405)、加熱成形して(ステップ406)、ペレット状の成形用樹脂原料とする(ステップ407)。そして、このペレット状の樹脂原料を射出成形機に投入し成形体を作成する(ステップ408)。
【0058】
このように微破砕により生じた微粉末を除去する工程をさらに有することで、実施例9において後述するように、ポリオレフィン系樹脂組成物の含有率がさらに高い熱可塑性樹脂組成物廃材を得ることができるようになる。
【0059】
本発明は、また、上述した熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を用いたプラスチック組成物原料の製造方法、ならびに当該方法にて製造されたプラスチック組成物原料をも提供する。
【0060】
本発明のプラスチック組成物原料は、その形状に特に制限はなく、ペレット状、シート状、フィルム状、パイプ状などのいずれの形態であってもよく、押出成形機の種類、使用の態様あるいは求められる特性などから適宜決定すればよい。シート、フィルム、射出成形体などの各種成形体に成形する原料として汎用性のあること、取り扱いが容易であることから、熱可塑性樹脂組成物原料は、ペレット状であるのが好ましい。
【0061】
プラスチック組成物原料をペレット状とする場合、その粒径は特に制限されるものではないが、1mm以上が好ましく、特に2mm以上がより好ましい。ペレットの粒径が1mm未満の場合には、浮遊するため作業性が低下するという傾向があるためである。またペレットの粒径は、8mm以下が好ましく、特に5mm以下がより好ましい。ペレットの粒径が8mmを越えると、成形機のシリンダー内で充分に溶融しないため均一混練されないという傾向があるためである。
【0062】
本発明のプラスチック組成物原料において、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の合計量のうち、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物が90〜99重量%であるのが好ましく、95〜99重量%であるのがより好ましい。本発明のプラスチック組成物原料におけるポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の含有率が90重量%未満であると、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物とを溶融混合した後、層間剥離を生じ物性が大きく低下する傾向にあるためであり、またポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の含有率が99重量%を超えると、改質材を混合しなくても実用上に問題のない物性を持ち得ているためである。なお、プラスチック組成物原料に含まれる、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の含有率は、たとえば、プラスチック組成物原料をテトラヒドロフラン(THF)に16時間浸漬し、溶媒不溶物の重量をポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の重量とし、全体の重量からその比を求めることによって算出できる。
【0063】
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法において、上述した低嵩比重破砕物を選別する工程(図3におけるステップ305)を経ることで、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物が95〜98重量%という高い割合で含有された熱可塑性樹脂組成物廃材を得ることができる(後述する実施例8を参照)。また、加えて、上述した微破砕物の微粉末を除去する工程(図4におけるステップ402)を経ることで、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物が97〜99重量%というさらに高い割合で含有された熱可塑性樹脂組成物廃材を得ることができる(後述する実施例9を参照)。
【0064】
さらに、本発明のプラスチック組成物原料には、熱安定剤や光安定剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー、銅害防止剤、抗菌剤、着色剤などの添加剤を、必要により、本発明の効果を害しない範囲の量で添加してもよい。
【0065】
さらに、本発明は、上述した熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法を用いたプラスチック部材の製造方法、ならびに当該方法にて製造されたプラスチック部材をも提供する。
【0066】
本発明のプラスチック部材は、特に制限されるものではないが、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機よりなる群から選ばれる製品に用いられることが好ましい。
【0067】
本発明のプラスチック部材は、上記の本発明のプラスチック原料から、射出成形などの方法を用いて成形することができる。このとき用いる射出成形機としては、特に限定するものではないが、たとえばスクリュインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機などが挙げられる。
【0068】
本発明のプラスチック部材の成形の工程をより簡略化するために、ペレット状などの形状を有する前記プラスチック組成物原料を作製することなく、破砕したプラスチック組成物を射出成形機にそのまま投入し、プラスチック部材を直接作製しても構わない。
【0069】
本発明のプラスチック部材は、本発明のプラスチック組成物原料について上述したのと同様の理由から、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の合計量のうち、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物が90〜99重量%であるのが好ましく、95〜99重量%であるのがより好ましい。
【0070】
また、本発明のプラスチック部材は、熱安定剤や光安定剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー、銅害防止剤、抗菌剤、着色剤などの添加剤を、必要により、本発明の効果を害しない範囲の量で添加した上で成形して作成してもよい。これらの添加物を添加する工程としては、押出成形機または破砕した熱可塑性樹脂組成物の投入時が好ましい。
【0071】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
<実施例1>
図1の手順に従って、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機からなる群から選ばれる家電製品を廃棄物として用い、通常の破砕機を用いて破砕して得られた破砕物から、通常の磁力を用いた選別機により金属系破砕物を選別し、さらに比重1.00の分離液を用い、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系樹脂組成物を比重の差を利用して分離した。比重分離方法としては、回収されたプラスチック系破砕物を比重1.00の水で満たされた混合攪拌槽内に投入し、攪拌した後、浮遊したもの(ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物)と沈殿したもの(ポリスチレン系樹脂組成物)を回収した。
【0073】
次に、図2の手順に従って、上記で得られた熱可塑性樹脂組成物廃材である浮遊物(主にポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物、以下「混合プラスチック組成物」と呼称する。)を微破砕した後、洗浄し、ここに改質材を配合し、さらに均一混合した。改質材としては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)を用いた。配合量は、微破砕物100重量部に対し5重量部とした。
【0074】
なお、ここで使用した混合プラスチック組成物に含まれるポリスチレン系プラスチックの含有率(PS/PO)は10%であった。含有率の測定は、混合プラスチック組成物をテトラヒドロフラン(THF)に16時間浸漬し、溶媒不溶物の重量をポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の重量とし、全体の重量からその比を求めた。
【0075】
そして、これらの熱可塑性樹脂組成物をそれぞれスクリュー系45mmの二軸溶融混練押出機を用いて230℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物原料を作成した。続いて、これらの熱可塑性樹脂組成物原料をそれぞれ10トン射出成形機のホッパーに投入し、成形温度230℃、金型温度40℃の射出成形条件でASTM準拠の物性測定用の試験片を作製した。
【0076】
<実施例2>
改質材の配合量を0.1重量部とした以外は、実施例1と同様にして試験片を得た。
【0077】
<実施例3>
改質材の配合量を10重量部とした以外は、実施例1と同様にして試験片を得た。
【0078】
<実施例4>
改質材の配合量を20重量部とした以外は、実施例1と同様にして試験片を得た。
【0079】
<実施例5>
改質材としてエチレン−プロピレンゴム(EPR)を5重量部配合した以外は、実施例1と同様にして試験片を得た。
【0080】
<実施例6>
改質材としてポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物とのグラフト共重合体であるポリプロピレン−ポリスチレングラフト共重合体を5重量部配合した以外は、実施例1と同様にして試験片を得た。
【0081】
<実施例7>
改質材として反応型相溶化剤であるマレイン酸変性ポリプロピレンを5重量部配合した以外は、実施例1と同様にして試験片を得た。
【0082】
<比較例1>
改質材を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして試験片を得た。実施例1と同様にして測定したポリスチレン系プラスチックの含有率(PS/PO)は10%であった。
【0083】
<参考例>
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物のバージン材を用いて、試験片を得た。
【0084】
<評価試験>
実施例1〜7、比較例、参考例で得られた各試験片について、下記の物性を測定した。(1)引張強度および伸び
JIS K 7113に準じて測定した。
(2)曲げ強度および曲げ弾性率
JIS K 7203に準じて測定した。
(3)アイゾット衝撃強度
JIS K 7110に準じて測定した。
(4)面衝撃強度
JIS K 7211に準じて測定した。
【0085】
結果を表1に示す。
【0086】
【表1】

【0087】
表1から理解されるように、改質材を配合せずに得られた比較例1の物性測定値は、バージン材から得られた参考例の物性測定値と比較して、伸び、アイゾット衝撃強度、面衝撃強度が著しく劣るものであった。このように比較例1の品質が参考例と比較して低くなっている理由は、異組成のスチレン系熱可塑性樹脂組成物が含有されることにより、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物がマクロに層間剥離してしまうためであると推測される。
【0088】
これに対し、ポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物とポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物のトリブロック共重合体であるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体を改質材として5重量部配合した場合には、アイゾット衝撃強度、面衝撃強度が向上した(実施例1)。また、0.1重量部〜20重量部の間でポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物とポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物のトリブロック共重合体を配合することで、伸び、アイゾット衝撃強度、面衝撃強度が向上し、バージン材料の近似した物性の高品位の再生品を得ることが可能となることが分かった(実施例2〜4)。
【0089】
また、改質材としてエチレン−プロピレンゴム(EPR)を5重量部配合した場合には、伸び、アイゾット衝撃強度、面衝撃強度は向上したが、引張強度、曲げ強度が低下した(実施例5)。また、改質材としてポリオレフィングラフト共重合体を5重量部配合した場合には、面衝撃強度が17cmと小さく、要求特性の高い(高品位な)家電製品の部材として使用するには実用性に欠けるものであった(実施例6)。さらに、改質材としてマレイン酸変性ポリプロピレンを5重量部配合した場合には、アイゾット衝撃強度、面衝撃強度が劣るものであった(実施例7)。
【0090】
しかし、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体以外の改質材(実施例5〜7)であっても、改質材無配合(比較例1)に比べると物性は向上しており、家電製品の部材であっても、低品位、あるいは中品位の用途であればマテリアルリサイクルは可能である。
【0091】
<実施例8>
混合プラスチック組成物の物性は、混合プラスチック組成物に含まれるポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の混合率が少ないほど(単一組成物で構成されているほど)、向上する。そこで、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の混合率をより上げるため、図3に示した手順に従い、プラスチック系破砕物を、風力によって低嵩比重破砕物を選別する工程(ステップ305)を経た後、比重1.00の水を分離液として用い、浮遊物である混合プラスチック組成物を回収した。なお、回収された混合プラスチック組成物に含まれるポリスチレン系プラスチックの含有率(PS/PO)は5%と、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の混合率の高いものであった。
【0092】
次に、得られた混合プラスチック組成物を、図2の手順に従い、混合プラスチック組成物を微破砕した後、洗浄し、ここにポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物とポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物のトリブロック共重合体であるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)を微破砕物100重量部に対し3重量部配合した。その後、実施例1と同様にして、試験片を作製した。
【0093】
<実施例9>
さらにポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の混合率を上げるため、図3の手順に従って得られた混合プラスチック組成物を、図4の手順に従って微破砕した後、篩あるいはサイクロン方式にて微粉末破砕を行った(ステップ402)。そしてこれを洗浄し、ここにスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)を微破砕物100重量部に対し1重量部配合した。なお、回収された混合プラスチック組成物に含まれるポリスチレン系プラスチックの含有率(PS/PO)は2%であった。その後、実施例1と同様にして、試験片を作製した。
【0094】
<比較例2>
改質材を配合しなかったこと以外は、実施例8と同様にして試験片を得た。
【0095】
<比較例3>
改質材を配合しなかったこと以外は、実施例9と同様にして試験片を得た。
【0096】
結果を表2に示す。
【0097】
【表2】

【0098】
表2から理解されるように、改質材を配合せずに得られた比較例2の物性測定値は、ポリスチレン系プラスチックの含有率(PS/PO)が10%である比較例1の物性測定値と比較して、伸び、アイゾット衝撃強度、面衝撃強度が向上している。これは、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の混合率が上がったため、若干混入するとポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物との層間剥離を生じる界面が少なくなったことが要因と推測される。しかし、ポリスチレン系プラスチックの含有率(PS/PO)が10%の混合プラスチック組成物にスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体を改質材として5重量部含有した実施例1と比較すると、面衝撃強度は格段に低く、改質材の配合なしでは要求特性の高い高品位な部材として使用するには実用性に欠けるものであった。そこで、これにスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体を改質材として3重量部配合すると、伸び、アイゾット衝撃強度、面衝撃強度が著しく向上し、高品位の再生品を得ることが可能になることが分かった(実施例8)。
【0099】
さらに、図3および図4に示した手順で得られたポリスチレン系プラスチックの含有率(PS/PO)が2%の混合プラスチック組成物では、改質材を配合していないもの(比較例3)であっても面衝撃強度は43cmであり、低〜中品位の用途であればマテリアルリサイクルは可能である。しかし、これにスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体を改質材として1重量部配合すると、バージン材料に近似した物性の高品位の再生品を得ることが可能となることが分かった(実施例9)。
【0100】
したがって本発明の廃棄物の再資源化方法では、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂に非相溶性であるポリスチレン系熱可塑性樹脂が混合した場合でも、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂とポリスチレン系熱可塑性樹脂に対して相溶性をもつポリスチレン系熱可塑性樹脂とポリオレフィン系熱可塑性樹脂のトリブロック共重合体を混合することにより、従来はサーマルリサイクルに限定されていた、混合プラスチック廃棄物のマテリアルリサイクルが可能になったといえる。
【0101】
なお、混合プラスチック組成物の物性向上効果は、ポリスチレン系プラスチックの含有率(PS/PO)が低いほど効果があり、さらには改質材の配合量が少量であっても効果が発現されるため、コストダウン効果を併せ持つ。本発明の再資源化方法において、改質材の配合量には特に制限はないが、バージン材料に近似した物性を有する高品位の再生品を得ることが可能となる観点から、ポリスチレン系プラスチックの含有率(PS/PO)が0.1〜5%であるポリオレフィン系熱可塑性樹脂の混合率の高い混合プラスチック組成物の場合は、熱可塑性樹脂組成物廃材100重量部に対し、0.1〜10重量部配合するのが好ましく、0.15〜5重量部配合するのがより好ましい。
【0102】
以上のことから、本発明の廃棄物の再資源化方法では、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂に非相溶性であるポリスチレン系熱可塑性樹脂が混合した場合でも、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂とポリスチレン系熱可塑性樹脂に対して相溶性および/または分散性をもつポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物とポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物のトリブロック共重合体を混合することにより、従来はサーマルリサイクルに限定されていた、混合プラスチック廃棄物のマテリアルリサイクルが可能となったといえる。
【0103】
さらに、本発明の廃棄物の再資源化方法では、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂に非相溶性であるポリスチレン系熱可塑性樹脂が混合した場合でも、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性および/または分散性をもつ上記改質材を配合することで、たとえば、目的とする物性値を有するプラスチック組成物原料を得ることができる。すなわち、上記改質材を1つまたは複数選択することで、プラスチック製品の用途や同製品を構成する部材に必要となる物性値に合わせたプラスチック組成物原料へのマテリアルリサイクルが可能となる。
【0104】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の前半部分の一例を段階的に示すフローチャートである。
【図2】本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の後半部分の一例を段階的に示すフローチャートである。
【図3】本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の前半部分の他の例を段階的に示すフローチャートである。
【図4】本発明の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法の後半部分の他の例を段階的に示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂組成物からなる部材を備えた製品の廃棄物の再資源化方法であって、
該廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程を経て得られた熱可塑性樹脂組成物廃材に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物およびポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物に対して相溶性および/または分散性を持つ改質材を混合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。
【請求項2】
廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程との間に、破砕された廃棄物を金属系破砕物とプラスチック系破砕物とに選別する工程をさらに有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。
【請求項3】
熱可塑性樹脂組成物からなる部材を備えた製品は、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機からなる群から選ばれる家電製品であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。
【請求項4】
熱可塑性樹脂組成物廃材がプラスチック系破砕物を比重1.00で分離回収した浮上物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。
【請求項5】
改質材がポリスチレン系樹脂成分とポリオレフィン系樹脂成分とを含むトリブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。
【請求項6】
前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対し、前記改質材を0.1〜20重量部添加することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。
【請求項7】
廃棄物を破砕する工程と、プラスチック系破砕物を比重差によって分離する工程との間に、プラスチック系破砕物より低嵩比重破砕物を除去する工程をさらに有する、請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。
【請求項8】
プラスチック系破砕物を比重差によって分離して得られた熱可塑性樹脂組成物廃材を微破砕する工程と、微破砕により生じる微紛末を除去する工程とを経た後に、改質材を混合することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物廃材の再資源化方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の再資源化方法を用いた、プラスチック組成物原料の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の再資源化方法を用いた、プラスチック部材の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載のプラスチック組成物原料の製造方法により製造されたプラスチック組成物原料。
【請求項12】
ペレット状であることを特徴とする請求項11に記載のプラスチック組成物原料。
【請求項13】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の合計量のうち、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物が90〜99重量%である、請求項11または12に記載のプラスチック組成物原料。
【請求項14】
請求項10に記載のプラスチック部材の製造方法により製造されたプラスチック部材。
【請求項15】
エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機からなる群から選ばれる家電製品であることを特徴とする請求項14に記載のプラスチック部材。
【請求項16】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物とポリスチレン系熱可塑性樹脂組成物の合計量のうち、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物が90〜99重量%である、請求項14または15に記載のプラスチック部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−15721(P2006−15721A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287618(P2004−287618)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】