説明

熱可塑性樹脂組成物

【課題】透明性、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度、更に成形性、印刷性等に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂2〜99.5重量%と、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を20〜60モル%含むポリエステル樹脂98〜0.5重量%とからなる熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂と、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有するジオールから形成された単位(以下「から形成された単位」を「単位」と記す。)を一定割合有するポリエステル樹脂とからなる透明性、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度、更に成形性、印刷性等に優れた熱可塑性樹脂組成物、並びに当該熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる射出成形体、シート、及びフィルム、更に当該熱可塑性樹脂組成物に有機及び/又は無機フィラーを配合してなる機械的強度、耐熱性及び耐薬品性、更に成形性、印刷性等に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂(以下「PC」ということがある。)は耐熱性、耐衝撃性、透明性などの特長からエクステリア、電子電気用途、光ディスク基板等の分野で使用されてきた。更に、それらの特長を生かした自動車用途、医療材料用途への応用が広がると共に、耐薬品性改良の要望が高まっている。
【0003】
PCの耐薬品性を向上させるために、改質剤として飽和ポリエステル樹脂を溶融混合することが試みられている。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)をPCの改質剤とすることが提案されているが、PETを添加することでPCの透明性が著しく損なわれることが知られている。 この対策として、溶融混合時の滞留時間を長くする方法や溶融混合時の触媒としてTi系触媒を用いる方法が検討されている。しかしながら、この方法によっては透明性は十分とはいえず、更に、熱分解による組成物の黄変や、分解によりアルデヒドなどのガスが生ずるという問題があった。更にPETのガラス転移温度(Tg)が比較的低いために樹脂組成物の耐熱性が著しく低下するという問題があった。
【0004】
ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下「PBT」ということがある。)をPCの改質剤とした場合、比較的透明性が得られているものの、透明性が十分とは言えず、加えて、耐熱性も著しく低下するという問題があった。また、ジオール構成単位の40モル%を1,4−シクロヘキサンジメタノール単位とした変性PETとPCとの熱可塑性樹脂組成物が提案されているが(特許文献1参照)、この樹脂組成物は透明性は良好であるものの、耐熱性が低下し、耐薬品性も十分ではないという問題があった。
【0005】
更に、樹脂中のジカルボン酸構成単位に特定割合のナフタレンジカルボン酸単位を含む共重合ポリエステルをPCの改質剤とする方法が提案されているが(特許文献2参照)、ジカルボン酸構成単位中に耐薬品性の改善に必要な割合のナフタレンジカルボン酸単位を含ませると、透明性が不十分となるという問題点があった。従って、PCの透明性及び耐熱性を保ちつつ、耐薬品性を向上させるようなPC−ポリエステル樹脂系樹脂組成物は知られていない。
【0006】
【特許文献1】特開2000−63641号公報
【特許文献2】特開2000−103948号公報
【0007】
一方、ポリエステル樹脂、例えば、PET、ポリエチレンナフタレート、PBT等は、一般にPCに比べ、耐薬品性、成形性、及び印刷性等に優れるが、耐熱性、機械的強度(特に耐衝撃性)及び透明性に劣っており、これらの物性の改善が求められている。
【0008】
ポリエステル樹脂の耐熱性及び耐衝撃性等を改善する方法として、ポリエステル樹脂にPCを溶融混合した熱可塑性樹脂組成物が提案されているが、前記したようにこの樹脂組成物は透明性が著しく劣る。従って、ポリエステル樹脂の耐熱性、機械的強度(特に耐衝撃性)を同時に改善し、透明性も良好な熱可塑性樹脂組成物は知られていない。
【0009】
上記から、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とから構成された、透明性、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度(特に耐衝撃性)、更に成形性、印刷性等を兼ね備えた熱可塑性樹脂組成物は知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の如き状況に鑑み、ポリカーボネート樹脂と特定の共重合ポリエステル樹脂とからなる透明性、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度(特に耐衝撃性)、更に成形性、印刷性等に優れた熱可塑性樹脂組成物、並びに当該熱可塑性樹脂組成物を用いてなる射出成形体、シート及びフィルム、更に当該熱可塑性樹脂組成物に有機及び/又は無機フィラーを配合してなる機械的強度、耐熱性、耐薬品性、成形性、印刷性等に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するため種々検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂と、ポリエステル樹脂のジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール単位を一定割合含む共重合ポリエステル樹脂とを配合して得られる熱可塑性樹脂組成物が、透明性、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度、更に成形性、印刷性等に優れることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、以下の(1)〜(5)に関する発明である。
(1)ポリカーボネート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物(C)であって、ポリエステル樹脂(B)がそのジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を20〜60モル%含み、かつ熱可塑性樹脂組成物(C)がポリカーボネート樹脂(A)2〜99.5重量%とポリエステル樹脂(B)98〜0.5重量%とからなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を用いて得られる厚さ3.2mmの射出成形体の全光線透過率が87%以上、かつ曇価が4%以下である射出成形体。
(3)前記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を用いて得られる厚さ1.0mmシートの全光線透過率が87%以上であるシート。
(4)前記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を用いて得られる厚さ20μmフィルムの曇価が4%以下であるフィルム。
(5)前記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)100重量部に対し、有機及び/又は無機フィラーを1〜100重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物(D)。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂と、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を一定割合有するポリエステル樹脂とからなる透明性、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、成形性、及び印刷性に優れた熱可塑性樹脂組成物、並びに当該熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる射出成形体、シート、及びフィルム、更には当該熱可塑性樹脂組成物に有機及び/又は無機フィラーを一定割合配合してなる機械的強度、耐熱性、耐薬品性、成形性、及び印刷性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)は、ポリカーボネート樹脂(A)2.0〜99.5重量%とジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を20〜60モル%含むポリエステル樹脂(B)98.0〜0.5重量%とを配合することにより構成される。
【0015】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートである。
【化5】

【化6】

(ただし、式中R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の非環状炭化水素基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基から選ばれる。かかるR1及びR2としては、メチル、エチル、プロピル、ノルマルプロピル、イソブチル、ペンチル、シクロヘキシル基等を例示できる。R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非環状炭化水素基、ハロゲン原子、フェニル基から選ばれる。かかるR3およびR4としては、メチル、エチル、プロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ペンチル、フェニル基、塩素原子、臭素原子等を例示できる。m及びnはそれぞれ独立に、0、1または2であり、kは4または5である。)
【0016】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)を構成する芳香族ヒドロキシ化合物としては特に制限はないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニルプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アリールアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂組成物(C)の耐熱性、機械的性能、経済性等の面から、ビスフェノールAが特に好ましく、すなわちポリカーボネート樹脂(A)がビスフェノールAのポリ炭酸エステルであることが特に好ましい。
【0017】
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、分岐構造を有していてもよく、このような分岐構造を有した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α',α"−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等で例示されるポリヒドロキシ化合物、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール等を使用すればよい。
【0018】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、その粘度平均分子量が10,000以上であることが機械的強度を維持する上で好ましく、30,000以下であることが成形性の点から好ましいが、12,000以上28,000以下であることがより好ましい。粘度平均分子量を上記範囲とすることで、熱可塑性樹脂(C)の機械的強度及び成形性は優れたものとなる。
【0019】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、通常塩化メチレン等の溶媒中において公知の酸受容体や分子量調節剤の存在下、対応するビスフェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により(界面重合法)、あるいは対応するビスフェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応(溶融重合法)などによって製造される。
【0020】
本発明で使用されるポリエステル樹脂(B)におけるジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は、20〜60モル%であり、好ましくは25〜55モル%であり、特に好ましくは30〜50モル%である。ポリエステル樹脂(B)のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位が前記20モル%未満では熱可塑性樹脂組成物(C)の透明性及び耐熱性の改良が不十分となり、一方前記60モル%を越えると透明性及び機械的強度(特に耐衝撃性)の改良が不十分となる。
前記ポリエステル樹脂(B)を使用した熱可塑性樹脂組成物(C)は、耐熱性、透明性及び機械的強度が特に優れたものとなる(実施例3、16、17、及び比較例1、2参照)。
【0021】
本発明で使用されるポリエステル樹脂(B)の原料モノマーの一部である環状アセタール骨格を有するジオールは、一般式(3)又は(4)で表される化合物であることが好ましく、各種ヒドロキシアルデヒドとペンタエリスリトール(以下「PE」という)若しくはトリメチロールプロパン(以下「TMP」という)から酸触媒存在下で容易に製造できる。これらの具体例として、ネオペンチルグリコールの中間体であるヒドロキシピバルアルデヒド(以下「HPA」という)とPEから製造される3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン(以下「SPG」という)、HPAとTMPから製造される5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンなどが例示できる。上記化合物を使用して得られたポリエステル樹脂(B)を用いることにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)は、透明性、耐熱性、耐薬品性及び、機械的強度、更に成形性、印刷性等に優れる射出成形体、シート、及びフィルム等を提供することができる。
【化7】

(式中、R5およびR6はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の非環状炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基から選ばれる特性基、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの構造異性体、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基を表す。)
【化8】

(式中、R5は前記と同様であり、R7は炭素数が1〜10の非環状炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基から選ばれる特性基、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体、たとえば、イソプロピル基、イソブチル基を表す。)
【0022】
本発明で使用されるポリエステル樹脂(B)の原料とする環状アセタール骨格を有しないジオールとしては、特に制限はされないが、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;4,4'−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4'−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4'−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;及びビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び当該芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂組成物(C)の機械的強度、経済性の面から、エチレングリコールが特に好ましい。
【0023】
本発明で使用されるポリエステル樹脂(B)は、ジオール構成単位中にエチレングリコールから形成された単位を好ましくは80〜40モル%、より好ましくは75〜45モル%、特に好ましくは70〜50モル%含むことで、熱可塑性樹脂組成物(C)の透明性、機械的強度、経済性等に特に優れる。
【0024】
本発明で使用されるポリエステル樹脂(B)には本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類やトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
【0025】
本発明で使用されるポリエステル樹脂(B)のジカルボン酸成分としては、特に制限はされないが、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン等の脂肪族ジカルボン酸;当該脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;及び当該芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0026】
これらの中でも、熱可塑性樹脂組成物(C)の耐熱性、機械的強度、耐薬品性等の面から芳香族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体が好ましく、特にテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体が好ましい。テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体を使用することで熱可塑性樹脂組成物(C)の透明性、機械的強度、及び経済性は特に優れたものとなる。また、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体を使用することで、熱可塑性樹脂組成物(C)の透明性、耐薬品性、耐熱性は特に優れたものとなる。
【0027】
本発明のジカルボン酸のエステル形成性誘導体とはジカルボン酸エステルを形成し得る化合物であり、例えば、ジカルボン酸ジアルキルエステル、ジカルボン酸ジハロゲン化物、ジカルボン酸ジアミド等が挙げられる。これらの中で、ジカルボン酸ジアルキルエステルが好ましく、ジカルボン酸ジメチルエステルが特に好ましい。
【0028】
ポリエステル樹脂(B)におけるジカルボン酸構成単位中の芳香族ジカルボン酸単位の割合は、通常70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が特に好ましい。ポリエステル樹脂(B)におけるジカルボン酸構成単位中の芳香族ジカルボン酸単位の割合を上記範囲とすることにより、熱可塑性樹脂組成物(C)は、耐熱性、機械的強度及び耐薬品性がより優れたものとなる。
【0029】
上記ジカルボン酸構成単位中の芳香族ジカルボン酸単位が70モル%以上であるポリエステル樹脂(B)において、更に芳香族ジカルボン酸構成単位中にテレフタル酸単位を含む場合は、当該ジカルボン酸構成単位中のテレフタル酸単位の割合は好ましくは20〜100モル%であり、より好ましくは30〜80モル%、特に好ましくは40〜60モル%である。ポリエステル樹脂(B)におけるジカルボン酸構成単位中のテレフタル酸単位の割合を上記範囲とすることで、熱可塑性樹脂組成物(C)は、透明性、機械的強度が特に優れたものとなる(実施例1〜3、比較例4〜7参照)。
【0030】
また、上記ジカルボン酸構成単位中の芳香族ジカルボン酸単位が70モル%以上であるポリエステル樹脂(B)において、更に芳香族ジカルボン酸構成単位中2,6−ナフタレンジカルボン酸単位を含む場合は、ジカルボン酸構成単位中の2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合は好ましくは5〜80モル%、より好ましくは20〜70モル%、特に好ましくは40〜60モル%である。ポリエステル樹脂(B)におけるジカルボン酸構成単位中の2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合を上記範囲とすることにより、熱可塑性樹脂組成物(C)は、透明性、耐熱性、耐薬品性が特に優れたものとなる(実施例8、9、比較例3〜7参照)。
【0031】
ポリエステル樹脂(B)の原料モノマーとして、上記芳香族ジカルボン酸成分以外に1分子中に3個以上のカルボキシル基が芳香環に結合している多価カルボン酸化合物または当該化合物に結合しているカルボキシル基の内の2個以上が無水環を形成している多価カルボン酸化合物を使用することができる。例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、カルボキシル基の芳香環への結合位置が異なる各種ナフタレントリカルボン酸無水物、各種アントラセントリカルボン酸、各種ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、ベンゼンテトラカルボン酸一無水物、各種ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、各種アントラセンテトラカルボン酸二無水物、各種ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、エチレンビストリメリット酸無水物等が例示される。
【0032】
ポリエステル樹脂(B)の原料モノマーには、本発明の目的を損なわない範囲でグルコール酸、乳酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸等のオキシ酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
【0033】
本発明のポリエステル樹脂(B)を製造する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適用することが出来る。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法または溶液重合法を挙げることが出来る。エステル交換及びエステル化触媒は従来既知のものを用いることができ、特に限定されるものではないが、例えばナトリウム、マグネシウムのアルコキサイド、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタニウム、ゲルマニウム、アンチモン、スズ等の脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、金属マグネシウムなどが挙げられる。これらの触媒は単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。重縮合触媒は従来既知のものを用いることができ、特に限定されるものではなく、例えば上述したものを用いることが出来る。これらの触媒は単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。
【0034】
ポリエステル樹脂(B)を製造する際には公知のエーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等を用いることが出来る。具体的には、エーテル化防止剤としてアミン化合物等が例示される。また熱安定剤としてリン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸等の各種リン化合物を加えることも有効である。その他光安定剤、耐電防止剤、滑剤、酸化防止剤、離型剤、染料、顔料等を加えても良い。
【0035】
ポリエステル樹脂(B)の示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度は好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、特に好ましくは90℃以上である。ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が上記範囲であることで、熱可塑性樹脂組成物(C)は耐熱性が特に良好となる。
【0036】
ポリエステル樹脂(B)は、ポリカーボネート樹脂(A)と溶融混練する際、樹脂中の水分率を300ppm以下、好ましくは100ppm以下に乾燥させることが望ましい。水分率を上記範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂(A)と溶融混練する際のポリエステル樹脂(B)の劣化を防ぐ事が出来る。
【0037】
本発明で用いるポリエステル樹脂(B)の極限粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの質量比が6/4である混合溶媒中で、25℃で測定した値)には、特に制限はないが、通常0.3〜2.0d1/g、好ましくは0.4〜1.8d1/gであることが望ましい。極限粘度が0.3以上であるとポリエステル樹脂(B)の分子量が充分に高いために、これを使用して得られる熱可塑性樹脂組成物(C)からなる成形物が特に優れた機械的強度を有する。
【0038】
ポリエステル樹脂(B)の溶融粘度は、温度240℃、及びせん断速度100s-1の条件下で測定した場合、好ましくは300〜5000Pa・sの範囲であり、更に好ましくは500〜2000Pa・sの範囲である。ポリエステル樹脂(B)の溶融粘度が上記範囲であると、ポリカーボネート樹脂(A)との溶融混合する際の混じりがよく、透明性、及び機械的強度に優れた熱可塑性樹脂組成物(C)を得ることが出来る。
【0039】
ポリエステル樹脂(B)の分子量分布は2.5〜12.0であることが好ましく、更に好ましくは2.5〜8.0である。分子量分布が上記の場合においてフィルム、シート、及び薄肉中空容器などの成形性に特に優れる。ここで、分子量分布とは、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の割合(Mw/Mn)をいう。分子量分布は、環状アセタール骨格を有するジオールの添加時期、ポリエステル樹脂(B)の分子量、重合温度、添加剤を選ぶことにより調節することが出来る。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)は、ポリカーボネート樹脂(A)2.0〜99.5重量%、好ましくは5〜99.0重量%、より好ましくは10〜95重量%と、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を20〜60モル%含むポリエステル樹脂(B)を98.0〜0.5重量%、好ましくは95〜1.0重量%、より好ましくは90〜5重量%とを配合することにより構成される。
【0041】
熱可塑性樹脂組成物(C)がポリカーボネート樹脂(A)99.5重量%以下、ポリエステル樹脂(B)0.5重量%以上から構成される場合、ポリカーボネート樹脂(A)に対する耐薬品性は大幅に改善され、更に成形性及び印刷性も改善される。尚、熱可塑性樹脂組成物(C)中にポリエステル樹脂(B)を0.3重量%以上含む場合においてもポリカーボネート樹脂(A)に対する耐薬品性の改善効果は発現する。熱可塑性樹脂組成物(C)がポリカーボネート樹脂(A)2.0重量%以上、ポリエステル樹脂(B)98.0重量%以下から構成される場合、ポリエステル樹脂(B)に対し、機械的強度(特に耐衝撃性)及び耐熱性が改善される。
【0042】
熱可塑性樹脂組成物(C)は、従来公知の方法により混合されたものである。例えば、ポリカーボネート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とをタンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等でドライブレンドした混合物を一軸押出機、二軸押出機、ニーダー等で1回以上溶融混合したもの、更には必要に応じて溶融混合物を高真空下又は不活性ガス雰囲気下で固相重合したものが挙げられる。
【0043】
熱可塑性樹脂組成物(C)の厚さ3.2mm射出成形体の全光線透過率は、透明性の点から、87%以上が好ましく、88%以上がより好ましく、89%以上が特に好ましく、一方、曇価は4%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下が特に好ましい。
【0044】
熱可塑性樹脂組成物(C)の示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度は90℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、130℃以上が特に好ましい。熱可塑性樹脂組成物(C)のガラス転移温度が上記範囲であることで耐熱性が特に良好となる。
【0045】
熱可塑性樹脂組成物(C)の厚さ3.2mm射出成形体のノッチ付きアイゾット衝撃試験における衝撃強度は、耐衝撃性の点から30J/m以上が好ましく、50J/m以上がより好ましく、100J/m以上が特に好ましい。
【0046】
熱可塑性樹脂組成物(C)の厚さ3.2mmの射出成形体に変形率1%の歪をかけた状態で四塩化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる溶液(溶液温度:25℃)に浸漬した際にクラックが発生するまでの時間は、耐薬品性の点から、5秒以上が好ましく、7秒以上がより好ましく、10秒以上が特に好ましい。
【0047】
熱可塑性樹脂組成物(C)の厚さ1.0mmの押出し成形シートにインキ(帝国インキ製造(株)製、13−00215 ホワイト 遅乾D3N25−P)と溶剤(帝国インキ製造(株)製 Z−603)からなる組成物(インキ/溶剤の重量比:100/30)を厚さ60μmに塗布し、10分間風乾後更に80℃で10分間乾燥させた際にインキ部分にクラックが入る割合は、印刷性の点から、20%以下が好ましく、0%がより好ましい。
【0048】
熱可塑性樹脂組成物(C)の溶融粘度は、温度240℃、及びせん断速度100s-1で測定した場合に、300〜5000Pa・sの範囲が好ましく、500〜2000Pa・sの範囲がより好ましい。熱可塑性樹脂組成物(C)の溶融粘度が上記範囲であると、成形性、特に射出成形性、押出し成形性、発泡成形性が良好となる。また、熱可塑性樹脂組成物(C)から得られた成形体は、真空圧空成形での賦形性、深絞り性が良好である他、冷間曲げ、ドリル穴あけ、打ち抜き性等二次加工性が良好となる。
【0049】
熱可塑性樹脂組成物(C)は、ポリカーボネート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との構成割合により、以下の(I)〜(III)に記載する特徴を有する。
【0050】
(I)熱可塑性樹脂組成物(C)が多量のポリカーボネート樹脂(A)と少量のポリエステル樹脂(B)とから構成される場合
すなわち、熱可塑性樹脂組成物(C)中のポリカーボネート樹脂(A)が好ましくは60〜99.5重量%、より好ましくは70〜95重量%と、ポリエステル樹脂(B)が好ましくは40〜0.5重量%、特により好ましくは30〜5重量%とから構成される場合、主としてポリカーボネート樹脂(A)に対して透明性、機械的強度及び耐熱性を損なうことなく、耐薬品性、成形性及び印刷性の改良が顕著となる(実施例1〜9、18、比較例7参照)。
【0051】
従って、上記組成の熱可塑性樹脂組成物(C)は、耐熱性、透明性、耐薬品性及び機械的強度に特に優れ、更に成形性及び印刷性にも優れるものである。
【0052】
上記組成の熱可塑性樹脂組成物(C)は具体的には、下記(1)〜(4)の物性を有する。
(1)耐熱性:示差走査型熱量計で測定したガラス転移温度が130℃以上。(2)耐衝撃性:ノッチ付きアイゾット衝撃試験で衝撃強度が100J/m以上。
(3)耐薬品性:1%の歪みを加えた射出成形体を四塩化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる混合溶液に浸漬した際に射出成形体にクラックが入るまでの時間が5秒以上。
(4)透明性:3.2mm厚の射出成形体の全光線透過率が87%以上、かつ曇価が4%以下。
【0053】
(II)熱可塑性樹脂組成物(C)がポリカーボネート樹脂(A)と同程度量のポリエステル樹脂(B)とから構成される場合
すなわち、熱可塑性樹脂組成物(C)中のポリカーボネート樹脂(A)が好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%と、ポリエステル樹脂(B)が好ましくは70〜30重量%、より好ましくは60〜40重量%とから構成される場合、ポリカーボネート樹脂(A)に対しては、特に耐薬品性、成形性、印刷性が優れ、ポリエステル樹脂(B)に対しては特に耐熱性、機械的強度、中でも耐衝撃性が優れたものとなる(実施例10〜12、比較例7〜11参照)。
【0054】
従って、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)のそれぞれの透明性を損なうことなく、耐熱性、機械的強度、耐薬品性、成形性、印刷性の優れた熱可塑性樹脂組成物(C)を得ることが出来る。上記組成の熱可塑性樹脂組成物(C)は具体的には、下記(1)〜(4)の物性を有する。
(1)耐熱性:示差走査型熱量計で測定したガラス転移温度が110℃以上。(2)耐衝撃性:ノッチ付きアイゾット衝撃試験での衝撃強度が30J/m以上。
(3)耐薬品性:1%の歪みを加えた射出成形体を四塩化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる溶液に浸漬した際に射出成形体にクラックが入るまでの時間が7秒以上。
(4)透明性:3.2mm厚の射出成形体の全光線透過率が87%以上、かつ曇価が4%以下。
【0055】
(III)熱可塑性樹脂組成物(C)が少量のポリカーボネート樹脂(A)と多量のポリエステル樹脂(B)とから構成される場合
すなわち、熱可塑性樹脂組成物(C)中のポリカーボネート樹脂(A)が好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%と、ポリエステル樹脂(B)が好ましくは99.5〜60重量%、より好ましくは95〜70重量%とから構成される場合、ポリエステル樹脂(B)に対して、特に耐熱性、機械的強度、中でも耐衝撃性が改良されたものとなる(実施例13〜17、及び比較例8〜11参照)。
【0056】
従って、ポリエステル樹脂(B)の透明性を損なうことなく、耐熱性、機械的強度を改善し、耐薬品性、成形性、印刷性の優れた熱可塑性樹脂組成物(C)を得ることが出来る。上記組成の熱可塑性樹脂組成物(C)は具体的には、下記(1)〜(4)の物性を有する。
(1)耐熱性:示差走査型熱量計で測定したガラス転移温度が90℃以上。
(2)耐衝撃性:ノッチ付きアイゾット衝撃試験での衝撃強度が30J/m以上。
(3)耐薬品性:1%の歪みを加えた射出成形体を四塩化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる溶液に浸漬した際に射出成形体にクラックが入るまでの時間が10秒以上。
(4)透明性:3.2mm厚の射出成形体の全光線透過率が87%以上、かつ曇価が4%以下。
【0057】
本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)には、本発明の効果を損なわない範囲で、顔料、染料、滑剤、艶消剤、熱安定剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を加えることも出来る。
【0058】
また、熱可塑性樹脂組成物(C)には、その性質を本質的に変化させない範囲で、ポリエチレンテレフタレート製品回収物、少量のイソフタル酸成分単位を含む変性ポリエチレンテレフタレート製品回収物、ポリカーボネート製品回収物、及び/または規格外物等のポリエステル樹脂及び/又はポリカーボネート樹脂回収物を添加しても良い。
【0059】
熱可塑性樹脂組成物(C)は、射出成形、押出し成形、ブロー成形、発泡成形に好適に用いることが出来る。熱可塑性樹脂組成物(C)は、これらの成形により得られる射出成形体、単層又は多層シート及びシート成形体、単層又は多層フィルム、熱収縮性フィルム、中空容器、シート発泡体、ビーズ発泡体、繊維、カレンダー成形体、異型押出し成形体、眼鏡レンズ等種々の成形体に用いることが出来るほか、溶液型塗料、粉体塗料、トナー、接着剤等種々の用途に用いることが出来る。これらの中で射出成形体、シート、フィルムの用途には特に好適に用いることが出来る。
【0060】
熱可塑性樹脂組成物(C)から射出成形体を得る方法としては特に制限されるものでは無く、従来公知の方法を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂組成物(C)を射出成形機に供給し、熱可塑性樹脂組成物(C)の溶融温度において熱可塑性樹脂組成物(C)を所定形状の金型に射出し、金型内で冷却固化することにより成形体を得る方法が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物(C)から得られる3.2mm厚の射出成形体の曇価は4.0%以下、好ましくは3.0%以下、更に好ましくは2.0%以下であり、全光線透過率は87%以上、好ましくは88%以上、更に好ましくは89%以上であり、透明性が良好である。熱可塑性樹脂組成物(C)から得られる3.2mm厚の射出成形体に1.82MPaの荷重をかけた際の荷重たわみ温度は好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。荷重たわみ温度が上記範囲であることで、熱可塑性樹脂組成物(C)は耐熱性に特に優れたものとなる。
【0061】
熱可塑性樹脂組成物(C)からシートを得る方法としては特に制限されるものでは無く、従来公知の方法を用いることができる。例えば、例えば押出し成形、キャスト成形を行うことが出来る。熱可塑性樹脂組成物(C)から得られる1.0mm厚のシートの全光線透過率は87%以上、好ましくは88%以上、更に好ましくは89%以上であり、透明性が良好である。更に、熱可塑性樹脂組成物(C)から得られるシートは真空圧空成形での賦形性、深絞り性が良好である他、冷間曲げ、ドリル穴あけ、打ち抜き性等二次加工性が良好である。
【0062】
熱可塑性樹脂組成物(C)からフィルムを得る方法としては特に制限されるものでは無く、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ロール延伸、長間隙延伸、テンター延伸などの方法が挙げられる。延伸時の形状はフラット状、チューブ状等の方法が適用できる。熱可塑性樹脂組成物(C)から得られる1.0mm厚のフィルムの曇価は4.0%以下、好ましくは3.0%以下、更に好ましくは2.0%以下であり透明性が良好である。
【0063】
本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)100重量部に対し、有機及び/又は無機フィラーを0.1〜150重量部、好ましくは1〜130重量部、より好ましくは10〜100重量部配合して、機械的強度、耐熱性等に優れた熱可塑性樹脂組成物(D)を得ることができる。
【0064】
当該有機フィラーとしては特に制限はないが、炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ABS樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマーやポリアミドエラストマー等の各種エラストマー、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。当該無機フィラーとしては特に制限はないがガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、繊維状マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、セラミックウィスカー、タルク、マイカ、酸化チタン、モンモリオナイト、粘土などが挙げられる(実施例19参照)。
【0065】
本発明の熱可塑性樹脂組成物(D)は、射出成形、押出し成形、ブロー成形、発泡成形に好適に用いることが出来る。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これらの成形により得られる射出成形体、単層又は多層シート及びシート成形体、中空容器、シート発泡体、ビーズ発泡体、カレンダー成形体、異型押出し成形体等種々の成形体に用いることが出来る。
【0066】
本発明の熱可塑性樹脂組成物(D)から射出成形体を得る方法としては特に制限されるものでは無く、従来公知の方法を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂組成物を射出成形機に供給し、熱可塑性樹脂組成物の溶融温度において熱可塑性樹脂組成物を所定形状の金型に射出し、金型内で冷却固化することにより成形体を得る方法が挙げられる。
【実施例】
【0067】
次に、本発明を実施例、比較例により更に具体的に説明する。尚、実施例、比較例の評価に用いた試料の合成方法、及びその物性の測定方法は次の通りである。
【0068】
(ポリエステル樹脂(B)の製造(製造例1〜13))
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、攪拌翼、加熱装置、及び窒素導入管を備えた150リットル(L)のポリエステル製造装置に表1に記載の量のモノマーを仕込み、酢酸マンガン四水和物をジカルボン酸成分に対して0.03モル%加え、常圧、窒素雰囲気下で昇温した。200℃まで昇温し、エステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90モル%以上とした後、ジカルボン酸成分に対して0.02モル%の三酸化アンチモンと0.06モル%のリン酸トリメチルを加え、昇温と減圧を徐々に行い、エチレングリコールを系外に抜き出しつつ、最終的に270〜300℃、0.3kPa以下で重縮合反応を行った。徐々に反応物の粘度が上昇し、適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、本発明のポリエステル樹脂(B)を得た。
【0069】
(ポリエステル樹脂(B)の評価)
ポリエステル樹脂(B)の評価は以下の方法で行った。なお、評価結果は表2に示す。
(1)極限粘度(IV)
ポリエステル樹脂(B)の極限粘度は混合溶媒(質量比:フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=6/4)を用いて25℃恒温下で測定した。(2)分子量分布(Mw/Mn)
ポリエステル樹脂(B)の分子量分布は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで検量した。GPCは東ソー(株)製カラムTSK GMHHR-Lを2本、TSK G5000HRを1本接続した東ソー(株)製TOSOH 8020を用い、カラム温度40℃で測定した。溶離液はクロロホルムを1.0ml/minの流速で流し、UV検出器で測定した。(3)ポリエステル樹脂のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位
ポリエステル樹脂のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位を1H−NMR測定にて算出した。測定装置は日本電子(株)製、NM−AL400を用い、400MHzで測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。
【0070】
〔実施例1〜17、比較例1〜6〕
ポリカーボネート樹脂(A)として、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンS−3000、Mv:2.3×104)を使用した。
(1)熱可塑性樹脂組成物(C)の作製
表3〜10に記載する量のポリカーボネート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)をタンブラーにより混合した。この樹脂混合物を二軸押出し機(スクリュー径:37mm、L/D:42)を用いてシリンダー温度265〜285℃、ダイ温度265〜285℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混合した。(2)射出成形体の作製
熱可塑性樹脂組成物(C)をスクリュー式射出成形機(スクリュー径:32mm、型締力:9.8kN)により、シリンダー温度260〜280℃、金型温度35℃の条件で3.2mm厚の各種試験片を成形した。
(3)シートの作製
熱可塑性樹脂組成物(C)を二軸押出し機(スクリュー径:20mm、L/D:25)を用いてTダイ法によりシリンダー温度265〜285℃、Tダイ温度265〜285℃、スクリュー回転数50rpmの条件で1.0mm厚のシートを作製した。
(4)フィルムの作製
上記(3)に記載の条件で作製した100μm厚のシートを熱可塑性樹脂組成物(C)のガラス転移温度より10〜20℃高い温度で2.2×2.2倍に同時二軸延伸を行った。
〔実施例18〕
ポリカーボネート樹脂(A)として、下記の繰返し単位からなる三菱エンジニエンジニアリングプラスチックス(株)製、ポリカーボネート樹脂(Mv:2.3×104)を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
【化9】

〔実施例19〕
熱可塑性樹脂組成物(C)の原料として表8に記載する量のポリカーボネート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、フィラーとしてガラス繊維を使用した以外は実施例3と同様に行った。
〔比較例7〕
二軸押出し機による熱可塑性樹脂組成物の製造工程を行わなかった以外は実施例1と同様に行った。
〔比較例8−11〕
射出成形体の作製は、シリンダー温度240〜280℃、金型温度35℃、シートの作製はシリンダー温度240〜280℃、Tダイ温度240〜280℃、スクリュー回転数50rpmの条件で行った以外は、比較例7と同様に行った。
【0071】
〔評価方法〕
実施例1〜19、及び比較例1〜11中の樹脂組成物の評価方法は以下の通りである。なお、評価結果は表3〜11にまとめて示す。
(1)曇価、全光線透過率:
3.2mm厚の射出成形体、1.0mm厚のシート、20μm厚のフィルムをそれぞれ使用して、JIS K7105、ASTM D1003に準じて行った。
使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
(2)荷重たわみ温度:
ASTM D648に準じ、1.82MPa荷重下で測定した。
(3)ガラス転移温度:
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tgm)は、(株)島津製作所製、DSC/TA−50WSを使用し、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中、昇温速度20℃/minで測定した。
DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(4)耐薬品性(1):
厚み3.2mmの曲げ試験片(射出成形体)に変形率0.5%の歪をかけた状態で試験薬品を塗布し、温度25℃において表面にクラックが発生するまでの時間を測定した。
試験薬品としては、ジオクチルフタレート(東京化成工業(株)製)を使用した。
(5)耐薬品性(2):
厚み3.2mmの曲げ試験片(射出成形体)に変形率1%の歪をかけた状態で四塩化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる混合溶液(溶液温度:25℃)に浸漬しクラックが発生するまでの時間を計測した(試験数:5)。(6)耐衝撃性:
JIS K7110に準拠して3.2mm厚の試験片でノッチ付きアイゾット衝撃強さの測定を行った。
(7)印刷性:
厚み1.0mmのシートにインキ(帝国インキ製造(株)製、13−00215 ホワイト 遅乾D3N25−P)と溶剤(帝国インキ製造(株)製 Z−603)を100:30(重量比)で混合したものをアプリケーターで厚さ60μmに塗布し、10分間風乾後更に80℃で10分間乾燥させた際に試料のインキ部分のクラック発生割合を測定した(試験数5)。
(8)成形性:
厚み1.0mmのシートを真空圧空成形した際(絞り比1.5)の賦形性を目視にて以下の基準に従い評価した。
○:金型どおりに賦形
△:賦形が十分でない
×:真空圧空成形できず
【0072】
尚、表1、2中、テレフタル酸ジメチルを「DMT」と、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを「NDC」と、イソフタル酸ジメチルを「DMI」と、エチレングリコールを「EG」と、1,4−シクロヘキサンジメタノールを「CHDM」と、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンを「SPG」と、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンを「DOG」と、極限粘度を「IV」と、分子量分布を「Mw/Mn」と略記する。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
【表6】

【0079】
【表7】

【0080】
【表8】

【0081】
【表9】

【0082】
【表10】

【0083】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物(C)であって、ポリエステル樹脂(B)がそのジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を20〜60モル%含み、かつ熱可塑性樹脂組成物(C)がポリカーボネート樹脂(A)2〜99.5重量%とポリエステル樹脂(B)98〜0.5重量%とからなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
ポリカーボネート樹脂(A)が一般式(1)及び/又は(2)で表される繰返し単位から構成されるポリカーボネート樹脂である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
【化1】

【化2】

(ただし、式中R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の非環状炭化水素基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基から選ばれる。R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非環状炭化水素基、ハロゲン原子、フェニル基から選ばれ、m及びnはそれぞれ独立に0、1または2であり、kは4または5である。)
【請求項3】
ポリカーボネート樹脂(A)がビスフェノールAのポリ炭酸エステルである請求項1ないし2に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
【請求項4】
環状アセタール骨格を有するジオール成分が一般式(3)又は(4)で表される請求項1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
【化3】

(式中、R5およびR6はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の非環状炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基から選ばれる特性基を表す。)
【化4】

(式中、R5は前記と同様であり、R7は炭素数が1〜10の非環状炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基から選ばれる特性基を表す。)
【請求項5】
環状アセタール骨格を有するジオール成分が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、又は5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンである請求項1ないし4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
【請求項6】
ポリエステル樹脂(B)が、そのジカルボン酸構成単位中に芳香族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むポリエステル樹脂である請求項1ないし5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
【請求項7】
ポリエステル樹脂(B)が、そのジカルボン酸構成単位中にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸から選ばれる1種以上のジカルボン酸単位を含むポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
【請求項8】
以下の(1)ないし(4)の物性を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
(1)示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度が90℃以上
(2)ノッチ付きアイゾット衝撃試験での衝撃強度が30J/m以上
(3)1%の歪みを加えた射出成形体を四塩化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる混合溶液に浸漬した際に25℃で射出成形体にクラックが入るまでの時間が5秒以上
(4)3.2mm厚の射出成形体の全光線透過率が87%以上、かつ曇価が4%以下
【請求項9】
以下の(1)ないし(2)の物性を有することを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
(1)示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度が130℃以上
(2)ノッチ付きアイゾット衝撃試験での衝撃強度が100J/m以上
【請求項10】
以下の(1)ないし(2)の物性を有することを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
(1)示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度が110℃以上
(2)1%の歪みを加えた射出成形体を四塩化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる混合溶液に浸漬した際に射出成形体にクラックが入るまでの時間が7秒以上
【請求項11】
1%の歪みを加えた射出成形体を四塩化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる混合溶液に浸漬した際に射出成形体に25℃でクラックが入るまでの時間が10秒以上であることを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を用いて得られる3.2mm厚の射出成形体の全光線透過率が87%以上、かつ曇価が4%以下である射出成形体。
【請求項13】
請求項1ないし11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を用いて得られる1.0mm厚のシートの全光線透過率が87%以上であるシート。
【請求項14】
請求項1ないし11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を用いて得られる20μm厚のフィルムの曇価が4%以下であるフィルム。
【請求項15】
請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物(C)100重量部に対し、有機及び/又は無機フィラーを1〜100重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物(D)。

【公開番号】特開2008−189942(P2008−189942A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123311(P2008−123311)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【分割の表示】特願2002−370454(P2002−370454)の分割
【原出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】