説明

熱電発電装置

【課題】熱電変換モジュールの熱害による損傷を防止しつつ、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができる熱電発電装置を提供すること。
【解決手段】熱電発電装置17は、内管21が、上流側内管25と、上流側内管25に対して下流側に設けられた下流側内管26とを備え、上流側内管25の下流端に、下流側内管26の流路面積Bよりも小さい流路面積Aを構成する絞り部25aを形成している。また、上流側内管25の下流端と下流側内管26の上流端との間に形成された隙間によって排気通路38と受熱通路22とを連通する連通路36を形成し、連通路36に対して下流側の下流側内管26の部位に排気通路38と受熱通路22とを連通する連通孔37を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電装置に関し、特に、内燃機関から排出される排気ガスを利用して熱電発電を行う熱電発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の内燃機関から排出される排気ガス等には、熱エネルギーが含まれているため、排気ガスをそのまま捨てると熱エネルギーの無駄となる。そこで、排気ガスに含まれる熱エネルギーを熱電発電装置によって回収して電気エネルギーに変換し、例えば、バッテリに充電するようにしている。
【0003】
従来のこの種の熱電発電装置としては、内燃機関から排出された排気ガスが導入される排気管の外周面に熱電変換モジュールの高温側の一側面を接触させるとともに、熱電変換モジュールの低温側の他側面を冷却水が流通する冷却水管に接触させたものが知られている。
【0004】
この熱電変換モジュールは、半導体等の熱電変換素子、電極、高温側となる受熱基板および低温側となる放熱基板等を含んで構成されており、ゼーベック効果を利用して温度の高い排気管と温度の低い冷却水管により、熱電変換モジュールの高温側と低温側との間に温度差を生じさせて発電を行うようになっている。
【0005】
ところで、熱電変換モジュールの発電効率は、熱電変換モジュールの高温側と低温側との間の温度差が大きくなるほど大きくなるが、熱電変換素子として多用される、例えばBi−Te系の熱電材料を使用した熱電変換モジュールは、耐熱温度が200℃程度であり、Mg−Si系熱の熱電材料を使用した熱電変換モジュールは、耐熱温度が500℃程度である。
【0006】
このため、耐熱温度を超えると熱電変換モジュールの熱電変換素子やケーブル等が熱害を受けて損傷してしまうことがあり、却って発電効率が低下しまうおそれがある。したがって、熱電変換モジュールを用いる場合には高温側の温度を耐熱温度以下のなるべく高い温度にすることで、最も良い発電効率を得られるようにする必要がある。
【0007】
従来、熱電変換モジュールの熱害を防止しつつ、発電効率を向上させることができるようにした熱電発電装置としては、例えば、特許文献1参照に記載されたものが知られている。
【0008】
この熱電発電装置は、内燃機関から排出された排気ガスが導入される内管としての排気管と、排気管の外方に設けられ、排気管と共に受熱通路としての遮熱空間を画成する外管と、一側面である高温側が外管の外周部に接触するとともに、他側面である低温側が冷却水管に接触し、高温側と低温側との温度差に応じて熱電発電を行う熱電変換モジュールと、排気管の内部に設けられ、排気管を開閉する開閉弁とを備えている。
【0009】
また、この熱電発電装置は、排気管の排気方向上流側に形成され、排気管の内部と遮熱空間とを連通する排気ガス導入通路と、排気管の排気方向下流側に設けられ、排気管の内部と遮熱空間とを連通する排気ガス排出通路とを備えている。
【0010】
このような構成を有する熱電発電装置は、熱電変換モジュールの使用上限温度以上に温度が上昇する場合には、開閉弁を開方向に駆動し、排気ガス導入通路を通して排気管と遮熱空間を連通することにより、遮熱空間内に流れる排気ガスの流量を低減させる。
【0011】
このため、遮熱空間を断熱層として作用させることにより、熱電変換モジュールの高温側の表面温度を下げて、熱電変換モジュールの温度がさらに上昇するのを防止することにより熱電変換モジュールが破損するのを防止することができる。
【0012】
また、エンジンの始動直後や、アイドリング時等のように排気ガスの温度が低いときには、開閉弁を閉じ、遮熱空間に排気ガスを積極的に流すことにより、熱電変換モジュールの高温側の温度を早期に上昇させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−18095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このような従来の熱電発電装置にあっては、熱電変換モジュールの使用上限温度以上に温度が上昇する場合には、開閉弁を開方向に駆動し、排気ガス導入通路を通して排気管と遮熱空間を連通するようにしているので、受熱通路を流れる排気ガスは、遮熱空間の上流側の熱電変換モジュールによって排気ガスの熱量の多くが奪われてしまい、遮熱空間の下流側において排気ガスの熱量が低下してしまう。
【0015】
このため、遮熱空間の上流側と遮熱空間の下流側とで排気ガスの熱量のばらつきが発生してしまい、下流側の熱電変換モジュールの発電効率が上流側の熱電変換モジュールに比べて低下し、結果的に熱電変換モジュールの全体の発電効率が低下してしまうという問題が発生してしまった。
【0016】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、熱電変換モジュールの熱害による損傷を防止しつつ、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができる熱電発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る熱電発電装置は、上記目的を達成するため、(1)内燃機関から排出された排気ガスが導入される内管と、前記内管の外方に設けられ、前記内管との間で受熱通路を形成する外管と、一側面が前記外管の外周部に接触するとともに他側面が冷却部材の内周部に接触し、前記一側面と前記他側面との温度差に応じて熱電発電を行う熱電変換モジュールと、前記内管を開閉する開閉弁とを備えた熱電発電装置であって、前記内管が、前記内管内を流れる排気ガスの排気方向上流側に形成され、前記内管の内部と前記受熱通路とを連通する上流側連通部と、前記排気方向下流側に設けられ、前記内管の内部と前記受熱通路とを連通する下流側連通部と、前記上流側連通部に対して前記排気方向上流側に設けられ、前記内管の流路面積を絞る絞り部とを有するものから構成されている。
【0018】
この熱電発電装置は、内管が、内管内を流れる排気ガスの排気方向上流側に形成され、内管の内部と受熱通路とを連通する上流側連通部と、排気方向下流側に設けられ、内管の内部と受熱通路とを連通する下流側連通部と、上流側連通部に対して排気方向上流側に設けられ、内管の流路面積を絞る絞り部とを有するので、絞り部の排気方向下流側の排気ガスの流速を増加させることができ、絞り部の排気方向下流側でベンチュリ効果による負圧を発生させることができる。
【0019】
このため、上流側連通部を通して受熱通路に負圧が発生するため、開閉弁によって内管が閉塞されると、内管を流れる排気ガスが下流側連通部を通して受熱通路に導入されて、内管内を流れる排気ガスの流れと逆流し、上流側連通部を通して再び内管に導入される。すなわち、受熱通路に内管内の排気ガスと逆流する排気ガスの流れを生成することができる。
【0020】
また、内燃機関から内管に排出された新規の排気ガスは、上流側連通部を通して内管に導入された熱回収後の排気ガスと混合されて内管から下流側連通部を通して受熱通路に導入される。
【0021】
このため、排気方向上流側の熱電変換モジュールに高温の新規の排気ガスを直接接触させないようにすることができる。したがって、排気方向上流側の熱電変換モジュールの熱電変換素子やケーブル等が排気ガスの熱害を受けて損傷するのを防止することができる。
【0022】
また、下流側連通部を通して受熱通路に導入された新規の排気ガスと熱回収後の排気ガスとの混合ガスは、受熱通路内を排気方向上流側に移動するにつれて冷却部材によって熱を奪われるが、この混合ガスは、内管に導入された新規の排気ガスの放射熱によって温められることで熱量を回復することができる。
【0023】
このため、受熱通路内を流れる排気ガスの温度を略均一にすることができ、熱電変換モジュールの高温側の一側面と低温側の他側面との温度差が排気方向にばらついてしまうのを防止して、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができる。
【0024】
上記(1)に記載の熱電発電装置において、(2)前記冷却部材は、冷却水が流通する冷却水管から構成され、前記冷却部材は、冷却水を前記排気方向上流側から前記排気方向下流側に向かって流すように構成されている。
【0025】
この熱電発電装置は、冷却水管内を流れる冷却水が、排気方向上流側から排気方向下流側に向かって流れるので、冷却水の流れる方向を受熱通路を流れる排気ガスの方向と逆方向にすることができる。
【0026】
すなわち、受熱通路を流れる高温の排気ガスと冷却水管を流れる低温の冷却水との向きが同一方向(並流)である場合よりも、受熱通路を流れる高温の排気ガスと冷却水管を流れる低温の冷却水との向きが向かい合わせ(向流)である場合の方が対数平均温度差を大きくすることができる。この結果、排気ガスと冷却水の向きが並流の場合よりも熱電変換モジュールの発電効率を向上させることができる。
【0027】
上記(1)または(2)に記載の熱電発電装置において、(3)前記内管は、第1の内管と、前記第1の配管に対して前記排気方向下流側に設けられた第2の内管とを備え、前記第2の配管の流路面積よりも第1の配管の前記排気方向下流側の流路面積が小さくなるように前記第1の配管の少なくとも前記排気方向下流側を縮径して前記絞り部を形成し、前記第1の配管の前記排気方向下流端と前記第2の配管の前記排気方向上流端との間に形成された隙間によって前記上流側連通部を形成したものから構成されている。
【0028】
この熱電発電装置は、内管が、第1の内管と第1の配管に対して排気方向下流側に設けられた第2の内管とから構成され、第2の配管の流路面積よりも第1の配管の排気方向下流側の流路面積が小さくなるように第1の配管の少なくとも排気方向下流側を縮径して絞り部を形成したので、絞り部の加工を容易に行うことができる。
【0029】
また、第2の配管の流路面積よりも第1の配管の排気方向下流側の流路面積が小さくなるように第1の配管を排気方向に亘って同一径とすれば、第1の内管の下流側の流路断面を絞らずに第2の内管の流路面積を大きくすることができる。この結果、第1の内管の下流端から第2の内管に導入される排気ガスの流速を大きくしつつ、第1の内管の下流端から第2の内管に導入される排気ガスの圧力損失が低下するのを防止することができる。
【0030】
上記(1)〜(3)に記載の熱電発電装置において、(4)前記内管は、前記排気方向上流側から前記排気方向下流側に向かって前記受熱通路の流路面積が小さくなるように、前記配管の前記排気方向上流側の流路面積に対して前記排気方向下流側の流路面積が小さく形成されるように構成されている。
【0031】
この熱電発電装置は、受熱通路の流路面積が排気方向下流側から排気方向上流側に向かうに従って小さく形成されるので、受熱通路を逆流する混合ガスの流速を排気方向下流側から排気方向上流側に向かって上昇させることができる。
したがって、ニュートンの冷却の法則により、排気ガスの流速が上昇すると、排気ガスから熱電変換モジュールへの伝熱効率を向上させることができるため、結果的に熱電変換モジュールの発電効率を向上させることができる。
【0032】
上記(1)〜(4)に記載の熱電発電装置において、(5)前記開閉弁が、前記下流側連通部に対して前記排気方向の下流側に設けられるものから構成されている。
この熱電発電装置は、開閉弁が、下流側連通部に対して排気方向の下流側に設けられるので、開閉弁が閉じられると、内管内の新規の排気ガスと熱回収された排気ガスとの混合ガスが下流側連通部を通して受熱通路に導入された後、上流側連通部を通して受熱通路に発生した負圧によって受熱通路に逆流させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、熱電変換モジュールの熱害による損傷を防止しつつ、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができる熱電発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図であり、熱電発電装置を備えるエンジンの排気系の概略構成図である。
【図2】本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図であり、熱電発電装置の断面図である。
【図3】本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図であり、熱電変換モジュールの斜視図である。
【図4】本発明に係る熱電発電装置の第2の実施の形態を示す図であり、熱電発電装置の断面図である。
【図5】本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図であり、他の構成を有する熱電発電装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る熱電発電装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、熱電発電装置を、自動車等の車両に搭載される水冷式の多気筒の内燃機関、例えば4サイクルガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)に適用した場合について説明している。また、エンジンは、ガソリンエンジンに限定されるものではない。
【0036】
(第1の実施の形態)
図1〜図3は、本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1に示すように、自動車等の車両に搭載される内燃機関としてのエンジン1は、吸気系から供給される空気と燃料供給系から供給される燃料とを適宜の空燃比で混合して成る混合気を燃焼室に供給して燃焼させた後、この燃焼に伴って発生する排気ガスを排気系から大気に放出するようになっている。
【0037】
排気系は、エンジン1に取り付けられたエキゾーストマニホールド2と、このエキゾーストマニホールド2に球面継手3を介して連結された排気管4とを含んで構成されており、エキゾーストマニホールド2と排気管4とによって排気通路が形成されている。
【0038】
球面継手3は、エキゾーストマニホールド2と排気管4との適度な揺動を許容するとともに、エンジン1の振動や動きを排気管4に伝達させないか、あるいは減衰して伝達するように機能する。
【0039】
排気管4上には、2つの触媒5、6が直列に設置されており、この触媒5、6により排気ガスが浄化されるようになっている。
【0040】
この触媒5、6のうち、排気管4において排気ガスの排気方向の上流側に設置される触媒5は、所謂、スタートキャタリスタ(S/C)と呼ばれるものであり、排気管4において排気ガスの排気方向の下流側に設置される触媒6は、所謂、メインキャタリスタ(M/C)またはアンダーフロアキャタリスタ(U/F)と呼ばれるものである。
【0041】
これらの触媒5、6は、例えば三元触媒により構成されている。この三元触媒は、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)を一括して化学反応により無害な成分に変化させるといった浄化作用を発揮する。
【0042】
エンジン1の内部には、ウォータジャケットが形成されており、このウォータジャケットにはロングライフクーラント(LLC)と呼ばれる冷却液(以下、単に冷却水と言う)が充填されている。
【0043】
この冷却水は、エンジン1に取付けられた導出管8から導出された後、ラジエータ7に供給され、このラジエータ7から冷却水の還流管9を経てエンジン1に戻されるようになっている。
ラジエータ7は、ウォータポンプ10によって循環される冷却水を外気との熱交換により冷却するものである。
【0044】
また、還流管9にはバイパス管12が連結されており、このバイパス管12と還流管9との間にはサーモスタット11が介装され、このサーモスタット11によって、ラジエータ7を流通する冷却水量とバイパス管12を流通する冷却水量とが調節されるようになっている。
【0045】
例えば、エンジン1の暖機運転時においてはバイパス管12側の冷却水量が増加されて暖機が促進されるようになっている。
バイパス管12にはヒータ配管13が連結されており、このヒータ配管13の途中には、ヒータコア14が設けられている。このヒータコア14は、冷却水の熱を利用して車室内の暖房を行うための熱源である。
【0046】
このヒータコア14によって暖められた空気は、ブロアファン15によって車室内に導入されるようになっている。なお、ヒータコア14とブロアファン15とによりヒータユニット16が構成されている。
【0047】
また、ヒータ配管13には後述する熱電発電装置17に冷却水を供給する上流側配管18aが設けられており、熱電発電装置17と還流管9との間には熱電発電装置17から還流管9に冷却水を排出する下流側配管18bが設けられている。
【0048】
このため、熱電発電装置17において排熱回収動作(この排熱回収動作の詳細については後述する)が行われている場合には、下流側配管18bを流れる冷却水は、上流側配管18aを流れる冷却水の温度よりも高くなる。
【0049】
一方、エンジン1の排気系には、熱電発電装置17が設けられており、この熱電発電装置17は、エンジン1から排出される排気ガスの熱を回収し、排気ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換するようになっている。
【0050】
図2に示すように、熱電発電装置17は、エンジン1から排出された排気ガスが導入される内管21と、内管21の外方に設けられるとともに内管21との間で受熱通路22を形成し、下流端がテールパイプ19に連結される外管23とを備えている。
【0051】
内管21は、上流側の排気管4に連結された第1の内管としての上流側内管25と、上流側内管25に対して排気ガスの排気方向下流側に設けられ、環状の支持部材24を介して外管23に固定される下流側内管26とを備えている。
【0052】
また、上流側内管25および下流側内管26の内部によって排気ガスが流れる排気通路38が形成されており、排気管4から内管21に排出された排気ガスは、排気通路38を通してテールパイプ19に排出された後、テールパイプ19から外気に排出される。
【0053】
なお、本発明において熱電発電装置17において定義される排気ガスの排気方向とは、内管21を流れる排気ガスの排気方向のことを指すものであり、上流および下流とは、この排気方向に対する方向である。すなわち、熱電発電装置17に対して上流側とはエンジン1側であり、下流側とはテールパイプ19側である。
【0054】
このため、後述するように受熱通路22を流れる排気ガスの方向が排気通路38の排気ガスの流れ方向と反対方向であっても、受熱通路22を流れる排気ガスは、表現上、排気方向の下流側から上流側に流れるものとする。
【0055】
また、熱電発電装置17は、熱電変換モジュール27と冷却部材としての筒状の冷却水管28とを備えている。
【0056】
図3に示すように、熱電変換モジュール27は、高温側の受熱部を構成する絶縁セラミックス製の受熱基板29と、低温側の放熱部を構成する絶縁セラミックス製の放熱基板30との間に、ゼーベック効果により温度差に応じた熱起電力を発生するN型熱電熱電変換素子31およびP型熱電熱電変換素子32が複数個設置されており、N型熱電熱電変換素子31およびP型熱電熱電変換素子32が電極33a、33bを介して交互に直列に接続されている。また、隣接する熱電変換モジュール27は、配線35を介して電気的に接続されている。
【0057】
この熱電変換モジュール27は、一側面である受熱基板29が外管23の外周部23aに接触するとともに、他側面である放熱基板30が冷却水管28の内周部28cに接触しており、排気ガスの排気方向に並列に設置されている。なお、図1では、受熱基板29および放熱基板30を省略して熱電変換モジュール27を簡略化している。
【0058】
そして、熱電変換モジュール27は、受熱基板29と放熱基板30との温度差に応じて熱電発電を行うことにより、ケーブル34を介してバッテリに電力を供給するようになっている。
なお、熱電変換モジュール27は、略正方形のプレート形状をしており、外管23および冷却水管28の間に密着させる必要があるため、外管23および冷却水管28は、多角形に形成されている。
【0059】
さらに、外管23および冷却水管28は、円形であってもよい。この場合には、熱電変換モジュール27の受熱基板29および放熱基板30等を湾曲させるようにすればよい。
冷却水管28は、上流側配管18aに連結される冷却水導入部28aおよび下流側配管18bに連結される冷却水排出部28bを備えている。
【0060】
この冷却水管28は、冷却水導入部28aから冷却水管28に導入された冷却水が排気ガスの排気方向と同方向に流れるように、冷却水導入部28aに対して冷却水排出部28bが排気方向下流側に設けられている。このため、冷却水は、後述するように受熱通路22に流れる排気ガスの流れと逆方向に流れる。
【0061】
一方、上流側内管25の下流側には絞り部25aが形成されており、この絞り部25aの流路面積Aは、下流側内管26の流路面積Bよりも小さくなっている。また、上流側内管25の下流端と下流側内管26の上流端との間には上流側連通部としての連通路36が形成されており、この連通路36は、上流側内管25および下流側内管26の内部である排気通路38と受熱通路22とを連通している。
【0062】
また、連通路36に対して排気方向下流側には下流側連通部としての連通孔37が形成されている。この連通孔37は、下流側内管26の円周方向に等間隔に形成されており、排気通路38と受熱通路22とを連通している。なお、連通孔37は、等間隔に形成されるものに限定されない。
【0063】
また、支持部材24には支持部材24の円周方向に亘って等間隔に連通孔24aが形成されており、受熱通路22は、連通孔24aを通してテールパイプ19に連通している。なお、連通孔24aは、等間隔に形成されるものに限定されない。
【0064】
また、下流側内管26には開閉弁39が設けられており、この開閉弁39は、連通孔37に対して下流側に設けられ、下流側内管26を開閉するように外管23に回動自在に取付けられている。この開閉弁39は、排気通路38を流れる排気ガスの圧力の大きさに応じて自動的に開閉するものである。
【0065】
すなわち、開閉弁39は、排気ガスの圧力が低いエンジン1のアイドリング時や低負荷走行時には、図2に実線で示すように、下流側内管26を閉塞することにより、下流側内管26に導入された排気ガスを受熱通路22に導入する。
【0066】
また、開閉弁39は、排気ガスの圧力が高いエンジン1の高負荷走行時には、図2に破線で示すように、下流側内管26を解放する。このため、熱電発電装置17は、排気ガスの背圧が高くなるのを防止して、排気性能が低下するのを防止することができる。
【0067】
次に、作用を説明する。
エンジン1の冷間始動時には、触媒5、6、エンジン1の冷却水の全てが低温(外気温程度)になっている。
【0068】
この状態からエンジン1が始動されると、エンジン1の始動に伴いエンジン1からエキゾーストマニホールド2を経て排気管4に、例えば300〜400℃の排気ガスが排出されることになり、2つの触媒5、6が排気ガスにより昇温されることになる。
また、冷却水がラジエータ7を通らずにバイパス管12を経てエンジン1に戻されることによって暖機運転が行われることになる。
【0069】
エンジン1の冷間始動時には、例えば、エンジン1のアイドリングが行われて排気ガスの圧力が低いため、開閉弁39が閉じた状態となる。このため、排気管4から上流側内管25を通して排気通路38に導入された排気ガスが受熱通路22に導入され、受熱通路22を通過する排気ガスによって冷却水管28を流通する冷却水が昇温され、エンジン1の暖機が促される。
【0070】
また、エンジン1の暖機後のエンジン1が低負荷走行時には、排気ガスの温度が高温となっても排気ガスの圧力が低いため、開閉弁39が閉じた状態となる。このため、排気管4から上流側内管25を通して排気通路38に導入された排気ガスが受熱通路22に導入される。このときには、熱電変換モジュール27によって排気ガスの熱エネルギーを圧力エネルギーに効率よく変換される。
【0071】
また、エンジン1の高負荷走行時には、エンジン1の冷却性能を高める必要がある。エンジン1の高負荷走行時には、例えば、エンジン1が高回転となって排気ガスの圧力が高くなるため、下流側内管26に導入された排気ガスの圧力が高くなり、開閉弁39が解放される。
【0072】
開閉弁39が解放されると、排気通路38とテールパイプ19が連通し、排気ガスは、受熱通路22を流れることがなく、排気通路38からテールパイプ19に直接、排出される。このため、高温の排気ガスによって冷却水管28を流通する冷却水が昇温されることがない。
【0073】
このとき、サーモスタット11によってバイパス管12と還流管9との連通が遮断されるので、エンジン1から導出管8を介して導出された冷却水がラジエータ7を介して還流管9に導出される。このため、エンジン1に低温の冷却水が供給され、エンジン1の冷却性能を高めることができる。また、エンジン1の高負荷走行時には開閉弁39が解放されるので、排気通路38を流れる排気ガスの背圧が高くなることがなく、排気ガスの排気性能が低下するのを防止することができる。
【0074】
次いで、暖機終了後のエンジン1の低負荷走行時の熱電発電装置17の作用を説明する。
排気ガスの圧力が小さいと、開閉弁39によって下流側内管26が閉塞され、排気通路38とテールパイプ19との連通が遮断される。
【0075】
本実施の形態の熱電発電装置17は、内管21が、上流側内管25と、上流側内管25に対して下流側に設けられた下流側内管26とを備え、上流側内管25の下流端に、下流側内管26の流路面積Bよりも小さい流路面積Aを構成する絞り部25aを形成した。
【0076】
そして、上流側内管25の下流端と下流側内管26の上流端との間に形成された隙間によって排気通路38と受熱通路22とを連通する連通路36を形成し、連通路36に対して下流側の下流側内管26の部位に排気通路38と受熱通路22とを連通する連通孔37を形成した。
【0077】
このため、上流側内管25から下流側内管26に導入される排気ガスは、上流側内管25の下流端に形成された絞り部25aを通過するときに流速が増加され、絞り部25aの排気方向下流側でベンチュリ効果による負圧が発生する。
【0078】
絞り部25aの下流端と下流側内管26の上流端との間には排気通路38と受熱通路22とを連通する連通路36が形成されているため、連通路36を通して受熱通路22に負圧が発生する。
【0079】
このため、下流側内管26を流れる排気ガスが連通路36よりも下流に設けられた連通孔37を通して受熱通路22に導入されて、下流側内管26を流れる排気ガスの流れと逆流する流れとなる。なお、図2では、排気通路38における排気ガスの流れをG1で示し、受熱通路22における排気ガスの流れをG2で示す。
【0080】
このため、受熱通路22を流れる高温の排気ガスが熱電変換モジュール27の一側面である受熱基板29に作用し、冷却水管28を流通する低温の冷却水が熱電変換モジュール27の他側面である放熱基板30に作用することにより、熱電変換モジュール27の受熱基板29と放熱基板30との間の温度差によって発電が行われる。そして、発電された電力は、ケーブル34を介してバッテリに供給され、バッテリに充電される。
【0081】
一方、受熱通路22を流れる排気ガスは、連通路36を通して再び下流側内管26に導入される。エンジン1から排気管4を通して上流側内管25に排出された新規の排気ガスは、連通路36を通して下流側内管26に導入された熱回収後の排気ガスと混合されて下流側内管26から連通孔37を通して受熱通路22に導入される。
【0082】
このため、上流側の熱電変換モジュール27に高温の新規の排気ガスを直接接触させないようにすることができ、上流側の熱電変換モジュール27のN型熱電熱電変換素子31やP型熱電熱電変換素子32、あるいは、ケーブル34が排気ガスの熱害を受けて損傷するのを防止することができる。
【0083】
また、上流側の冷却水管28に伝達される排気ガスの熱量を少なくすることができるため、冷却水が高温になるのを抑制することができ、冷却水管28が破損したり、エンジン1の冷却性能が低下するのを防止することができる。
【0084】
また、冷却水の温度が上昇するのを抑制することができるため、排気ガスと冷却水との温度差を大きくすることができ、熱電変換モジュール27の発電効率が低下するのを防止することができる。
【0085】
また、連通孔37を通して受熱通路22に導入された新規の排気ガスと熱回収後の排気ガスとの混合ガスは、受熱通路22内を上流側に移動するにつれて冷却水管28を流通する冷却水によって熱を奪われるが、上流側内管25を通して下流側内管26に導入された新規の排気ガスの放射熱によって温められることで熱量が回復する。
【0086】
このため、受熱通路22内を流れる排気ガスの温度を略均一にすることができ、熱電変換モジュール27の高温側の受熱基板29と低温側の放熱基板30との温度差が排気方向にばらつくのを防止して、熱電変換モジュール27の発電効率が低下するのを防止することができる。
【0087】
また、本実施の形態の熱電発電装置17は、冷却水管28を流れる冷却水Wが排気方向上流側から排気方向下流側に向かって流れるので、冷却水管28を流れる冷却水Wの方向を、受熱通路22を逆流する排気ガスの方向と逆方向にすることができる。
すなわち、本実施の形態の熱電発電装置17は、受熱通路22を流れる高温の排気ガスと冷却水管28を流れる低温の冷却水との向きが同一方向(並流)である場合に比べて、図2に示すように、受熱通路22を流れる高温の排気ガスG2と冷却水管28を流れる低温の冷却水Wとの向きを向かい合わせ(向流)にすることで、対数平均温度差を大きくすることができる。この結果、排気ガスと冷却水の向きが並流の場合よりも熱電変換モジュール27の発電効率を向上させることができる。
【0088】
ここで、従来のように、例えば、受熱通路22の上流側の排気ガスの温度が受熱通路22の下流側の排気ガスの温度よりも高温になる場合には、受熱通路22の上流側で冷却水が沸騰するおそれがある。このため、排気ガスの排気方向と冷却水の流れる方向が排気方向の上流側から下流側に向かって同方向に流れる(並流)ようにした方が、受熱通路22の上流側の冷却水の温度が沸騰するのを防止する上で効果的であるが、この場合には、対数平均温度差が小さくなって発電効率が低下してしまう。
【0089】
本実施の形態では、受熱通路22内を流れる排気ガスの温度を略均一にすることができるので、受熱通路22を流れる高温の排気ガスG2と冷却水管28を流れる低温の冷却水Wとの向きを向かい合わせ(向流)にすることによって、対数平均温度差を大きくすることができ、熱電変換モジュール27の発電効率を向上させることができるのである。
また、本実施の形態の熱電発電装置17は、上流側内管25の下流端に絞り部25aを形成して絞り部25aの下流側に負圧を発生させることができるため、負圧を発生させるための絞り部25aの加工を容易に行うことができる。
【0090】
また、本実施の形態の熱電発電装置17は、開閉弁39を、連通孔37に対して下流側に設けたので、開閉弁39が閉じられると、下流側内管26の新規の排気ガスと熱回収された排気ガスとの混合ガスが連通孔37を通して受熱通路22に確実に導入され、連通路36を通して受熱通路22に発生した負圧によって受熱通路22に確実に逆流することになる。
【0091】
なお、本実施の形態の開閉弁39は、冷却水温に応じて開閉させるようにしてもよい。例えば、下流側配管18bを流通する冷却水温に感応して作動するサーモスタットに開閉弁39を連結し、下流側配管18bを流通する冷却水の温度が所定値以上になった場合には、サーモスタットによって開閉弁39を解放するように構成する。
【0092】
このようにすれば、冷却水が沸騰する前に開閉弁39を解放して排気通路38とテールパイプ19とを連通して受熱通路22に排気ガスが流れないようにすることができ、冷却水が蒸発するのを防止することができ、エンジン1の冷却性能を向上させることができる。
【0093】
(第2の実施の形態)
図4、図5は、本発明に係る熱電発電装置の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
図4において、内管41は、上流側の排気管4に連結された第1の内管としての上流側内管42と、上流側内管42に対して排気ガスの排気方向下流側に設けられ、支持部材24を介して外管23に固定されるとともに、テールパイプ19に連結された第2の内管としての下流側内管43とを備えている。
【0094】
また、上流側内管42および下流側内管43の内部によって排気ガスが流れる排気通路46が形成されており、排気管4から内管41に排出された排気ガスは、排気通路46を通してテールパイプ19に排出された後、テールパイプ19から外気に排出される。
【0095】
また、上流側内管42の流路面積A1は、排気方向に亘って同一となるように上流側内管42は、同一径に形成されており、下流側内管43は、下流側内管43の流路面積B1が上流側内管42の流路面積よりも大きくなるように上流側内管42よりも大きい内径を有している。
【0096】
本実施の形態の熱電発電装置17の内管41は、上流側内管42が絞り部を構成し、排気ガスは、上流側内管42で排気ガスの流速が増加されて下流側内管43に導入される。このため、上流側内管42の下流側に負圧が発生する。
【0097】
また、上流側内管42の下流端と下流側内管43の上流端との間には上流側連通部としての連通路44が形成されており、この連通路44は、上流側内管42および下流側内管43の内部である排気通路46と受熱通路22とを連通している。
【0098】
また、連通路44に対して排気方向下流側には下流側連通部としての連通孔45が形成されている。この連通孔45は、下流側内管43の円周方向に等間隔に形成されており、排気通路46と受熱通路22とを連通している。なお、連通孔45は、等間隔に形成されるものに限定されない。
【0099】
また、下流側内管43の下流側には絞り部43aが形成されており、絞り部43aによって下流側内管43の下流部の流路面積は、上流部よりも小さくなっている。このため、受熱通路22の流路面積は、下流側よりも上流側が小さくなり、受熱通路22を流れる排気ガスの流速は、下流側から上流側に向かって、すなわち、連通孔45から連通路44に向かって大きくなる。
【0100】
本実施の形態では、上流側内管42から下流側内管43に導入される排気ガスは、絞り部を構成する上流側内管42を通過するときに流速が増加され、上流側内管42の下流側でベンチュリ効果による負圧が発生する。
【0101】
上流側内管42の下流端と下流側内管43の上流端との間には排気通路46と受熱通路22とを連通する連通路44が形成されているため、連通路44を通して受熱通路22に負圧が発生する。
【0102】
このため、下流側内管43を流れる排気ガスが連通路44よりも下流に設けられた連通孔45を通して受熱通路22に導入されて、下流側内管43を流れる排気ガスの流れと逆流する流れとなる。なお、図4では、排気通路38における排気ガスの流れをG3で示し、受熱通路22における排気ガスの流れをG4で示す。
【0103】
このため、受熱通路22を流れる高温の排気ガスが熱電変換モジュール27の受熱基板29に作用し、冷却水管28を流通する低温の冷却水が熱電変換モジュール27の放熱基板30に作用することにより、熱電変換モジュール27の受熱基板29と放熱基板30との間の温度差によって発電が行われる。そして、発電された電力は、ケーブル34を介してバッテリに供給され、バッテリに充電される。
【0104】
一方、受熱通路22を流れる排気ガスは、連通路44を通して再び下流側内管43に導入される。エンジン1から排気管4を通して上流側内管42に排出された新規の排気ガスは、連通路44を通して下流側内管43に導入された熱回収後の排気ガスと混合されて下流側内管26から連通孔37を通して受熱通路22に導入される。
【0105】
このため、上流側の熱電変換モジュール27に高温の新規の排気ガスを直接接触させないようにすることができ、上流側の熱電変換モジュール27のN型熱電熱電変換素子31やP型熱電熱電変換素子32、あるいは、ケーブル34が排気ガスの熱害を受けて損傷するのを防止することができる。
【0106】
また、冷却水管28に伝達される排気ガスの熱量を少なくすることができるため、冷却水が高温になるのを抑制することができ、冷却水管28が破損したり、エンジン1の冷却性能が低下するのを防止することができる。
【0107】
また、冷却水の温度が上昇するのを抑制することができるため、排気ガスと冷却水との温度差を大きくすることができ、熱電変換モジュール27の発電効率が低下するのを防止することができる。
【0108】
また、連通孔45を通して受熱通路22に導入された新規の排気ガスと熱回収後の排気ガスとの混合ガスは、受熱通路22内を上流側に移動するにつれて冷却水管28を流通する冷却水によって熱を奪われるが、上流側内管42を通して下流側内管43に導入された新規の排気ガスの放射熱によって温められることで熱量が回復する。
【0109】
このため、受熱通路22内を流れる排気ガスの温度を略均一にすることができ、熱電変換モジュール27の高温側の受熱基板29と低温側の放熱基板30との温度差が排気方向にばらつくのを防止して、熱電変換モジュール27の発電効率が低下するのを防止することができる。
【0110】
また、本実施の形態の熱電発電装置17は、冷却水管28を流れる冷却水の排気方向上流側から排気方向下流側に向かって流れるので、冷却水管28を流れる冷却水の方向を、受熱通路22を逆流する排気ガスの流れる方向と逆方向にすることができる。この結果、排気ガスと冷却水の向きが並流の場合よりも熱電変換モジュール27の発電効率を向上させることができる。
【0111】
また、第1の実施の形態の熱電発電装置17は、上流側内管25の下流側に絞り部25aを形成したので、絞り部25aで排気ガスの圧力損失が発生する可能性がある。本実施の形態では、下流側内管43の流路面積B2よりも上流側内管42の流路面積A1が小さくなるように上流側内管42を排気方向に亘って同一径とした。
【0112】
このため、上流側内管42の下流側の流路断面を絞らずに下流側内管43の流路面積を大きくすることができ、上流側内管42の下流端から下流側内管43に導入される排気ガスの流速を大きくしつつ、上流側内管42の下流端から下流側内管43に導入される排気ガスの圧力損失が低下するのを防止することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、下流側内管43の下流側に絞り部43aを形成し、絞り部43aによって下流側内管43の下流部の流路面積を上流部よりも小さくすることにより、受熱通路22の流路面積を下流側よりも上流側が小さくなるように構成している。
【0114】
このため、受熱通路22を流れる混合ガスの流速を下流側から上流側に向かって速くすることができる。したがって、ニュートンの冷却の法則により、排気ガスの流速が上昇すると、排気ガスから熱電変換モジュール27への伝熱効率を向上させることができるため、結果的に熱電変換モジュール27の発電効率を向上させることができる。
【0115】
なお、本実施の形態では、下流側内管43の下流側に絞り部43aを形成し、絞り部43aによって下流側内管43の下流部の流路面積を上流部よりも小さくすることにより、受熱通路22の流路面積を下流側よりも上流側が小さくなるように構成しているが、これに限定されるものではない。
【0116】
すなわち、図5に示すように、上流側内管42と共に内管41を構成し、連通孔52を有する下流側内管51を設け、この下流側内管51の流路面積B3を、排気方向の上流から下流に向かって小さくすることにより、受熱通路22の流路面積を下流側よりも上流側が小さくなるように構成してもよい。このようにしても、上述した本実施の形態の効果を得ることができる。なお、下流側内管51は、第2の内管を構成し、連通孔52は、下流側連通部を構成している。
【0117】
以上のように、本発明に係る熱電発電装置は、熱電変換モジュールの熱害による損傷を防止しつつ、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができるという効果を有し、内燃機関から排出される排気ガスを利用して熱電発電を行う熱電発電装置等として有用である。
【符号の説明】
【0118】
1 エンジン(内燃機関)
4 排気管
17 熱電発電装置
21、41 内管
22 受熱通路
23 外管
23a 外周部
25、42 上流側内管(第1の内管)
25a 絞り部
26、51 下流側内管(第2の内管)
27 熱電変換モジュール
28 冷却水管(冷却部材)
28c 内周部
29 受熱基板(熱電変換モジュールの一側面)
30 放熱基板(熱電変換モジュールの他側面)
36、44 連通路(上流側連通部)
37、45、52 連通孔(下流側連通部)
39 開閉弁
42 下流側内管(第2の内管、絞り部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出された排気ガスが導入される内管と、前記内管の外方に設けられ、前記内管との間で受熱通路を形成する外管と、一側面が前記外管の外周部に接触するとともに他側面が冷却部材の内周部に接触し、前記一側面と前記他側面との温度差に応じて熱電発電を行う熱電変換モジュールと、前記内管を開閉する開閉弁とを備えた熱電発電装置であって、
前記内管が、前記内管内を流れる排気ガスの排気方向上流側に形成され、前記内管の内部と前記受熱通路とを連通する上流側連通部と、前記排気方向下流側に設けられ、前記内管の内部と前記受熱通路とを連通する下流側連通部と、前記上流側連通部に対して前記排気方向上流側に設けられ、前記内管の流路面積を絞る絞り部とを有することを特徴とする熱電発電装置。
【請求項2】
前記冷却部材は、冷却水が流通する冷却水管から構成され、前記冷却水管は、冷却水を前記排気方向上流側から前記排気方向下流側に向かって流すことを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。
【請求項3】
前記内管は、第1の内管と、前記第1の配管に対して前記排気方向下流側に設けられた第2の内管とを備え、
前記第2の配管の流路面積よりも第1の配管の前記排気方向下流側の流路面積が小さくなるように前記第1の配管の少なくとも前記排気方向下流側を縮径して前記絞り部を形成し、
前記第1の配管の前記排気方向下流端と前記第2の配管の前記排気方向上流端との間に形成された隙間によって前記上流側連通部が形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電発電装置。
【請求項4】
前記内管は、前記排気方向上流側から前記排気方向下流側に向かって前記受熱通路の流路面積が小さくなるように、前記内管の前記排気方向上流側の流路面積に対して前記排気方向下流側の流路面積が小さく形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項に記載の熱電発電装置。
【請求項5】
前記開閉弁が、前記下流側連通部に対して前記排気方向の下流側に設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項に記載の熱電発電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−92125(P2013−92125A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235227(P2011−235227)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】